以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造方法における各工程、各工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、寸法等は厳密に図示したものではない。
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子の配列方向、外部端子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をX軸方向(以下では第一方向とも称する)と定義する。また、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の上下方向(容器の蓋を上方に向けて設置した状態での重力の作用する方向)をZ軸方向(以下では第二方向とも称する)と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
(実施の形態)
まず、蓄電装置1の構成について、説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。また、図2は、本実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置1は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体のエンジン始動用バッテリーとして用いられる。
ここで、図1及び図2に示すように、蓄電装置1は、第一外装体11と第二外装体12とからなる外装体10、及び、外装体10内方に収容される蓄電ユニット20と保持部材30とバスバー41、42等を備えている。
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、蓄電ユニット20、保持部材30及びバスバー41、42の外方に配置され、この蓄電ユニット20等を所定の位置に配置し、蓄電ユニット20等を衝撃などから保護する。また、外装体10は、軽量化等の観点から、例えばポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により構成されている。外装体10は、これにより、蓄電ユニット20等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
ここで、外装体10は、外装体10の蓋体を構成する第一外装体11と、外装体10の本体を構成する第二外装体12とを有している。第一外装体11は、第二外装体12の開口を閉塞する扁平な矩形状のカバー部材であり、正極外部端子13と負極外部端子14とが設けられている。蓄電装置1は、この正極外部端子13と負極外部端子14とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。また、第二外装体12は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジングであり、蓄電ユニット20、保持部材30及びバスバー41、42等を収容する。なお、第一外装体11と第二外装体12とは、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100(本実施の形態では、12個の蓄電素子100)と複数のバスバー200とを有しており、バスバー41、42を介して、第一外装体11に設けられた正極外部端子13と負極外部端子14とに電気的に接続される。また、蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100が縦置きになった状態で第一方向(X軸方向)に配列されて、第二外装体12内に配置される。そして、蓄電ユニット20は、上方から第一外装体11が被せられて、外装体10の内方に収容される。なお、蓄電ユニット20の詳細な構成の説明については、後述する。
保持部材30は、バスバー41、42や、その他リレーなどの電装部品、配線類等(図示せず)を保持し、当該バスバー41、42等と他の部材との絶縁、及び、当該バスバー41、42等の位置規制を行うことができる電装品トレーである。保持部材30は、例えばPC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により形成されている。また、バスバー41、42は、蓄電ユニット20内のバスバー200と、第一外装体11に設けられた正極外部端子13及び負極外部端子14とを電気的に接続する導電性の部材である。バスバー41、42は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成されている。
次に、蓄電ユニット20の構成について、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る蓄電ユニット20を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
同図に示すように、蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100と、複数のバスバー200と、複数のスペーサ300(複数のスペーサ310及び一対のスペーサ320)と、一対の挟持部材400と、複数の拘束部材500と、バスバーフレーム600と、遮熱プレート700とを備えている。
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な矩形状を有しており、スペーサ310に隣接して配置されている。つまり、複数の蓄電素子100のそれぞれが、複数のスペーサ310のそれぞれと交互に配置され、第一方向(X軸方向)に配列されている。本実施の形態では、12個の蓄電素子100が11個のスペーサ310と交互に隣接して配置されている。
また、同図に示すように、蓄電素子100は、金属製の容器110と、正極端子120及び負極端子130とを備えている。また、容器110の内方には、電極体(発電要素)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。なお、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
バスバー200は、蓄電ユニット20内の複数の蓄電素子100が有するそれぞれの電極端子と電気的に接続される導電性の部材である。バスバー200は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成されている。また、スペーサ300は、複数のスペーサ310と一対のスペーサ320とを有しており、例えばPC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂により形成されている。スペーサ310は、隣り合う2つの蓄電素子100の間に配置され、当該2つの蓄電素子100間を絶縁する板状部材である。スペーサ320は、後述する挟持部材400と外装体10との間に配置され、挟持部材400と外装体10との間を絶縁する板状部材である。
挟持部材400及び拘束部材500は、蓄電素子100の電極体の積層方向において、蓄電素子100を外方から圧迫する部材である。つまり、挟持部材400及び拘束部材500は、複数の蓄電素子100を当該積層方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子100に含まれるそれぞれの蓄電素子100を両側から圧迫する。なお、蓄電素子100の電極体の積層方向とは、電極体の正極板、負極板及びセパレータが積層される方向であり、複数の蓄電素子100の配列方向(X軸方向)と同じ方向である。
具体的には、挟持部材400は、複数の蓄電素子100のX軸方向両側に配置された平板状部材(エンドプレート)であり、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ310を、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ310の配列方向(X軸方向)の両側から挟み込んで保持する。挟持部材400は、絶縁性及び強度確保の観点等から、内側(蓄電素子100と対向する側)にスペーサ300と同様の絶縁部材を有し、外側に鋼やステンレス等の金属部材を有する2層構造となっている。なお、挟持部材400は、強度の高い1つの絶縁部材で形成されていてもよい。
また、それぞれの挟持部材400は、下端部に、第二外装体12と接続される部位である接続部430を有している。なお、この接続部430の構成、及び、挟持部材400と第二外装体12との接続の構成についての詳細な説明は、後述する。
拘束部材500は、両端が挟持部材400に取り付けられて、複数の蓄電素子100を拘束する長尺状かつ平板状の部材(拘束バー)である。つまり、拘束部材500は、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ310を跨ぐように配置され、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ310に対してこれらの配列方向(X軸方向)における拘束力を付与する。なお、拘束部材500は、挟持部材400と同様に、例えば鋼やステンレス等の金属製の部材で形成されているのが好ましいが、金属以外の部材で形成されていてもかまわない。
バスバーフレーム600は、バスバー200と他の部材との絶縁、及び、バスバー200の位置規制を行うことができる部材である。バスバーフレーム600は、例えばPC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により形成されている。また、遮熱プレート700は、蓄電素子100のガス排出弁の排気の流路に配置される断熱性を有する板状の部材である。
次に、蓄電ユニット20を外装体10に固定する構成、つまり、挟持部材400と第二外装体12との接続の構成について、詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る挟持部材400の接続部430の構成を示す斜視図である。また、図5は、本実施の形態に係る蓄電ユニット20を第二外装体12に固定する構成を示す斜視図である。なお、同図では、スペーサ320を透過して蓄電ユニット20の構成を示している。
まず、図4に示すように、挟持部材400は、挟持部材本体部410と、挟持部材底部420と、接続部430とを備えている。挟持部材本体部410は、挟持部材400の本体を構成する平板状の部材である。また、挟持部材底部420は、挟持部材400の底壁であり、挟持部材本体部410の下端部(Z軸方向マイナス側の端部)から外方(X軸方向プラス側)へ立設し、かつ、当該下端部に沿う方向(Y軸方向)に延びる帯状の壁部である。また、接続部430は、挟持部材底部420の上面に配置される略直方体形状の部材であり、挟持部材底部420のY軸方向の両端部に1つずつ設けられている。つまり、挟持部材底部420には、2つの接続部430が固定されており、挟持部材底部420における2つの接続部430の下方には、2つの円形状の挿通孔421が形成されている。また、挟持部材底部420において、当該2つの挿通孔421の間には、波板状に湾曲した2つの補強部422が形成されている。
また、図5に示すように、蓄電装置1は、外装体10を第一方向(X軸方向)と交差する第二方向(Z軸方向)に挿通し、外装体10に蓄電ユニット20を固定する固定部材50を備えている。具体的には、固定部材50は、第二外装体12の底面部12aに形成された挿通孔12bに挿通され、挟持部材400の接続部430と接続される。なお、固定部材50及び挿通孔12bの形状は特に限定されないが、本実施の形態では、固定部材50は、円柱形状の部材であり、円形状の挿通孔12bに挿通される。また、固定部材50の材質も特に限定されないが、強度の観点等から、鋼やステンレスなどの金属製の部材であるのが好ましい。
ここで、図4に示すように、接続部430は、被固定部材431と、規制部材432とを有している。被固定部材431は、固定部材50が固定される部材であり、蓄電ユニット20の第一方向(X軸方向)の端部に配置された挟持部材底部420上に載置されて配置されている。具体的には、被固定部材431は、直方体形状の部材であり、中央部分に、雌ねじ部分となるねじ溝が形成された第一開口部431aを有している。固定部材50は、この被固定部材431の雌ねじ部分に対応した雄ねじ部分を有しており、固定部材50は、被固定部材431に螺合(ねじ締め)により固定される。また、被固定部材431は、挟持部材底部420に対して固定されておらず、固定部材50が固定される際には、第二方向(Z軸方向)と交差する方向(XY平面内の任意の方向)に移動可能な構成となっている。なお、被固定部材431の材質は特に限定されないが、強度の観点等から、鋼やステンレスなどの金属製の部材であるのが好ましい。
規制部材432は、被固定部材431の側方及び上方を覆うように、平板状部材を折り曲げて形成された全体として直方体形状のカバー部材であり、挟持部材底部420に溶接等により固定されている。具体的には、規制部材432は、被固定部材431の四側方(X軸方向の両側方及びY軸方向の両側方)を覆う平板状の側面部432aと、被固定部材431の上方を覆う平板状の上面部432bとを有している。また、上面部432bには、固定部材50が挿通される矩形状の挿通孔432cが形成されている。
この構成により、規制部材432は、側面部432aによって被固定部材431の回転を規制する。つまり、固定部材50が、挟持部材底部420に形成された挿通孔421に挿通され、かつ、被固定部材431の第一開口部431aに挿入されて、螺合のために固定部材50の軸まわりに回転する。この際に、規制部材432が、被固定部材431の、固定部材50の軸まわりの回転を規制することで、固定部材50が被固定部材431に固定される。また、規制部材432は、上面部432bによって、被固定部材431の上方への移動を規制する機能も有している。なお、規制部材432の材質は特に限定されないが、強度の観点等から、鋼やステンレスなどの金属製の部材であるのが好ましい。
次に、接続部430の被固定部材431及び規制部材432と、固定部材50の構成について、さらに詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る接続部430に固定部材50が接続された状態の構成を示す断面図である。また、図7は、本実施の形態に係る接続部430の被固定部材431及び規制部材432の構成を示す平面図である。なお、同図では、説明の便宜のため、規制部材432の上面部432bは省略して、被固定部材431及び規制部材432を上方から見た場合の図を示している。
固定部材50は、気密ボルトのボルト部分の先端を細くしたような形状を有している。具体的には、図6に示すように、固定部材50は、Z軸方向に延設された第一軸部51と、第一軸部51よりも先端側(Z軸方向プラス側)に配置される第二軸部52と、第一軸部51よりも基端側(Z軸方向マイナス側)に配置される封止部53とを有している。
第一軸部51は、被固定部材431に挿入される円柱形状の部位である。具体的には、第一軸部51は、被固定部材431の第一開口部431aの雌ねじ部分に螺合される部位であり、外周に雄ねじ部分(ねじ山)が形成されている。
第二軸部52は、固定部材50の先端部に配置された円柱形状の部位であり、第一軸部51よりも細く形成されている。同図では、第二軸部52の径はa1であり、第一軸部51の径a2よりも半径がb1小さくなるように形成されている。また、第一軸部51と第二軸部52との間は、第一軸部51から第二軸部52に向けて徐々に縮径する形状となっている。なお、第二軸部52の先端部分においても、径a1から徐々に縮径した形状となっている。なお、第一軸部51にはねじ山が形成されているが、第二軸部52には、ねじ山は形成されていない。また、上記のb1は、第一軸部51のねじ山の高さよりも大きい。
封止部53は、固定部材50の基端部に配置された円盤形状の部位であり、外装体10の固定部材50が挿通される挿通孔12bを封止する。具体的には、封止部53は、第二外装体12の底面部12aに形成された挿通孔12bの全体を覆うように挿通孔12bよりも大きい形状を有しており、外周にガスケット部53aが設けられている。ガスケット部53aは、封止部53の上方、下方及び側方を囲むように形成された樹脂製の部材である。この構成により、封止部53が底面部12aに押圧されると、ガスケット部53aが底面部12aに密着し、圧縮されて潰されることで、挿通孔12bを封止することができる。なお、封止部53にガスケット部53aが設けられておらず、樹脂製の底面部12aの挿通孔12bの周囲に封止部53が食い込むことで、挿通孔12bを封止するような構成であってもかまわない。
また、被固定部材431は、固定部材50が挿入される上述のZ軸方向に延設された第一開口部431aに加えて、第一開口部431aよりも入口側(Z軸方向マイナス側)に配置される第二開口部431bを有している。第二開口部431bは、第一開口部431aのようなねじ溝は有しておらず、第一開口部431aよりも開口面積が大きく形成されている。つまり、第二開口部431bは、第一開口部431aから入口側の端部に向かうほど徐々に拡径する形状となっている。同図では、第一開口部431aの径は第一軸部51の径と同じa2であり、第二開口部431bの入口側の端部の径はa3であり、a3は、a2よりも半径がb2大きくなるように形成されている。なお、第一開口部431aにはねじ溝が形成されているが、上記のb2は、当該ねじ溝の深さよりも大きい。また、同図では、第二開口部431bの断面形状は、直線で構成されているが、上に凸または下に凸の曲線で構成されていてもよい。
また、規制部材432は、被固定部材431が収容される収容空間S(側面部432aと上面部432bとで囲まれた空間)を有している。被固定部材431は、この規制部材432の内方の収容空間S内で、移動可能に配置されている。具体的には、被固定部材431の外幅a4は、規制部材432の側面部432aの内幅a5よりも、片側がb3(両側でb3×2)小さくなるように形成されている。これにより、被固定部材431は、固定部材50が固定される際には、規制部材432の中心から、X軸方向両側へ向けて、それぞれb3の距離が移動可能となっている。なお、この移動可能距離b3は、例えば、1〜2mm程度である。
ここで、本実施の形態では、第一軸部51と第二軸部52との半径の差b1は、被固定部材431の両側への移動可能距離b3以上の大きさを有している。また、第一開口部431aと第二開口部431bの入口側の端部との半径の差b2は、被固定部材431の両側への移動可能距離b3以上の大きさを有している。なお、b1、b2、b3の大小関係は上記には限定されないが、被固定部材431と固定部材50との位置がずれていた場合でも、固定部材50の第二軸部52を、被固定部材431の第二開口部431bの入口から円滑に挿入するためには、b1+b2が、b3以上の大きさを有しているのが好ましい。
以上のような構成により、固定部材50は、外装体10及び蓄電ユニット20を第二方向(Z軸方向)に挿通した状態で、被固定部材431に固定される。つまり、固定部材50は、第二外装体12の底面部12aの挿通孔12b、挟持部材底部420の挿通孔421、及び、規制部材432の上面部432bの挿通孔432cに挿通される。ここで、固定部材50を、被固定部材431の第二開口部431bに円滑に挿入するために、挿通孔421の径c2は、第二開口部431bの入口側の端部の径a3よりも大きく形成されている。
また、外装体10の気密性を確保するために、外装体10の固定部材50が挿通される挿通孔12bは、蓄電ユニット20の固定部材50が挿通される挿通孔421よりも、第一方向(X軸方向)における固定部材50との幅の差が小さい。具体的には、挿通孔12bの径c1は、挿通孔421の径c2よりも小さく形成されているため、挿通孔12bの径c1と固定部材50の第一軸部51の径a2との差(c1−a2)は、挿通孔421の径c2と第一軸部51の径a2との差(c2−a2)よりも小さい。
また、同様に、挿通孔12bの径c1は、挿通孔432cの径c3よりも小さく形成されている。なお、被固定部材431が移動しても、挿通孔432cに固定部材50の第一軸部51を挿入できるように、挿通孔432cの径c3と第一軸部51の径a2との差(c3−a2)は、被固定部材431の移動可能距離(a5−a4=b3×2)以上の大きさを有している。
また、図7の(a)に示すように、第二方向(Z軸方向)から見た場合の、収容空間Sの最小の幅は、被固定部材431の最大外寸よりも小さい。本実施の形態では、規制部材432の側面部432aは上面視(平面視)で正方形状を有しており、収容空間Sも上面視で正方形状を有しているため、収容空間Sの最小の幅は、収容空間Sの1辺の長さa5である。また、被固定部材431の上面視での最大外寸は、被固定部材431の対角線の長さのa7である。なお、この最大外寸(a7)は、上面視において、被固定部材431の外縁の最大の幅、被固定部材431の外縁上の2点の最大距離、被固定部材431の外接円の直径、または、被固定部材431を内部に含む最小の円の直径、などと定義することもできる。
このように、規制部材432及び被固定部材431は、a5がa7よりも小さくなるように構成されている。この構成により、図7の(b)に示すように、被固定部材431が回転しようとしても、被固定部材431が規制部材432の側面部432aに当接することで、被固定部材431の回転が規制される。
また、図7の(a)に示すように、上面視で、規制部材432の側面部432aが正方形状を有しているのに対し、被固定部材431はY軸方向に長い(a4よりa6の方が長い)長方形状を有している。つまり、収容空間S内で、被固定部材431は、X軸方向への移動可能距離がa5−a4であるのに対し、Y軸方向への移動可能距離はa5−a6(a5−a4よりも小さい)である。このため、被固定部材431は、第二方向(Z軸方向)と交差する方向のうち、第一方向(X軸方向)の方が第一方向と直交する方向(Y軸方向)よりも移動可能距離が大きい。
次に、蓄電装置1を製造する際に、被固定部材431に固定部材50が固定される工程について、詳細に説明する。なお、以下では、接続部430と第二外装体12の挿通孔12bとの位置がずれていた場合を例として、被固定部材431に固定部材50が固定される工程を説明する。図8及び図9は、本実施の形態に係る被固定部材431に固定部材50が固定される工程を示す図である。
まず、図8の(a)に示すように、接続部430が、第二外装体12の挿通孔12bに対して、X軸方向プラス側にずれていたとする。この場合、図8の(b)に示すように、挿通孔12b及び421に固定部材50が挿通され、固定部材50の第二軸部52の先端部分が被固定部材431の第二開口部431bに当接する。
そして、図9の(a)に示すように、固定部材50をさらに挿入していくと、被固定部材431がX軸方向マイナス側に移動していく。そして、図9の(b)に示すように、固定部材50をさらに挿入し、かつ、第一軸部51を被固定部材431に螺合させていくことで、被固定部材431がX軸方向マイナス側に移動した状態で固定部材50が被固定部材431に固定される。また、固定部材50の封止部53に設けられたガスケット部53aが第二外装体12の底面部12aに密着し、圧縮されて潰されることで、挿通孔12bが封止される。
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1によれば、外装体10に蓄電ユニット20を固定する固定部材50は、蓄電ユニット20の被固定部材431に固定され、被固定部材431は、外装体10への挿通方向(第二方向)と交差する方向に移動可能であって、当該方向のうち複数の蓄電素子100の配列方向(第一方向)への移動可能距離が最も大きい。ここで、蓄電ユニット20は、一般的に、第一方向において寸法のばらつきが大きくなるが、第一方向への被固定部材431の移動可能距離が最も大きいため、当該寸法のばらつきを吸収することができる。このため、蓄電ユニット20の寸法がばらついて、被固定部材431の位置にずれが生じても、被固定部材431に固定部材50を容易に固定することができるため、外装体10に蓄電ユニット20を容易に固定することができる。
また、外装体10には、固定部材50が挿通される挿通孔12bが形成されているが、封止部53によって挿通孔12bを封止することで、外装体10の挿通孔12bの部分における気密性を確保することができる。
また、外装体10の挿通孔12bの固定部材50との幅の差を小さくしても、被固定部材431が移動することで固定部材50を被固定部材431に固定することができるため、挿通孔12bを小さくすることができる。これにより、外装体10の挿通孔12bの部分における気密性を確保しやすい構成にすることができる。
また、被固定部材431が、蓄電ユニット20の第一方向(複数の蓄電素子100の配列方向)の端部に配置されているため、被固定部材431の位置に比較的大きなばらつきが生じるが、被固定部材431は第一方向に移動可能な構成であるため、当該ばらつきを吸収することができる。これにより、被固定部材431に固定部材50を容易に固定することができるため、外装体10に蓄電ユニット20を容易に固定することができる。
また、固定部材50が被固定部材431に螺合される際に、被固定部材431が移動することで固定部材50が傾くのが抑制され、また、規制部材432により被固定部材431の回転が規制されるため、容易に、固定部材50を被固定部材431に強固に固定することができる。
ここで、外装体10が金属製の場合には、固定部材50が傾いていたとしても、固定部材50の封止部53に設けられた樹脂製のガスケット部53aを十分に圧縮して潰すことで挿通孔12bを封止して、外装体10に蓄電ユニット20を強固に固定することができる。しかしながら、本実施の形態では、外装体10は樹脂で形成されている。このため、樹脂製のガスケット部53aを必要以上に圧縮すると、圧縮されて硬くなったガスケット部53aに外装体10が負けてしまい、挿通孔12bを十分に封止することができないおそれが生じるとともに、外装体10に蓄電ユニット20を強固に固定することができなくなる。したがって、本実施の形態の構成とすることで、固定部材50が傾くのが抑制されるため、外装体10の気密性を確保しながら、外装体10に蓄電ユニット20を強固に固定することができる。
また、規制部材432に形成された被固定部材431の収容空間Sの最小幅が、被固定部材431の最大外寸よりも小さいため、収容空間S内で被固定部材431が回転しようとしても規制部材432の内面と当接して、被固定部材431の回転が規制される。これにより、ねじ締めによって被固定部材431に固定部材50を固定する際に、被固定部材431の回転が規制されるため、被固定部材431に固定部材50を容易に固定することができる。
また、固定部材50は、被固定部材431に挿入される第一軸部51よりも細い第二軸部52を先端側に有しているため、固定部材50を被固定部材431に挿入しやすい形状になっている。これにより、被固定部材431に固定部材50を容易に挿入することができるため、被固定部材431に固定部材50を容易に固定することができる。
また、被固定部材431は、固定部材50が挿入される第一開口部431aよりも開口面積が大きい第二開口部431bを入口側に有しているため、固定部材50を被固定部材431に挿入しやすい形状になっている。これにより、被固定部材431に固定部材50を容易に挿入することができるため、被固定部材431に固定部材50を容易に固定することができる。
また、1つの固定部材50に対し、1つの第一開口部431aを有する被固定部材431が設けられている。言い換えれば、1つの被固定部材431には1つの第一開口部431aしか形成されていない。ここで、例えば、1つの被固定部材に2つの第一開口部431aが形成されているような場合には、一方の第一開口部431aに一方の固定部材50を挿入して螺合させると、被固定部材が回転止めまで回転するため、他方の第一開口部431aの位置がずれてしまい、他方の第一開口部431aに他方の固定部材50を挿入するのが困難になる。また、被固定部材は、2つの第一開口部431aを有する構成にするために、サイズを大きくする必要が生じ、コストが増加したり、重量が増加したりする等の課題が生じる。また、図4に示したように、挟持部材底部420が2つの接続部430の間に補強部422を有しているような形状の場合には、当該2つの接続部430の被固定部材431を繋げて1つの被固定部材とするのが困難である。これに対し、本実施の形態では、1つの固定部材50に、1つの第一開口部431aを有する被固定部材431が設けられているため、他の固定部材50の固定によって第一開口部431aの位置がずれることはなく、かつ、被固定部材431を小さいサイズとしたり、挟持部材底部420に容易に補強部422を形成したりすることができる。
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、上記実施の形態が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、上面視(平面視)で規制部材432が正方形状を有しているのに対し、被固定部材431はY軸方向に長い長方形状を有していることとした。しかし、図10に示すように、上面視で規制部材434がX軸方向に長い長方形状を有しているのに対し、被固定部材433は正方形状を有していることにしてもよい。この場合でも、被固定部材433は、第一方向(X軸方向)の移動可能距離(a5−a4)の方が第一方向と直交する方向(Y軸方向)の移動可能距離(a8−a4)よりも大きくなっている。また、上面視で、収容空間Sの最小の幅(a8)は、被固定部材433の最大外寸(a9)よりも小さくなっている。なお、図10は、本実施の形態の変形例に係る接続部430aの被固定部材433及び規制部材434の構成を示す平面図である。
また、被固定部材の第一方向の移動可能距離の方が第一方向と直交する方向の移動可能距離よりも大きいのであれば、規制部材及び被固定部材の形状は、上記には限定されない。例えば、規制部材及び被固定部材ともに上面視で長方形状を有していてもよいし、規制部材または被固定部材が、上面視で三角形状、六角形状等の四角形状以外の多角形状や、円形状、長円形状、楕円形状を有するなど、どのような形状を有していてもかまわない。
また、上記実施の形態では、固定部材50は、外装体10の挿通孔12bを封止する封止部53を有していることとしたが、外装体10の気密性を確保する必要がない場合には、固定部材50は、封止部53を有していない構成でもかまわない。また、外装体10の挿通孔12bは、挟持部材400の挿通孔421よりも、固定部材50との幅の差が大きくてもよい。
また、上記実施の形態では、被固定部材431は、蓄電ユニット20の端部の挟持部材400に配置されていることとした。しかし、被固定部材431は、挟持部材400に代えて、または挟持部材400に加えて、蓄電ユニット20の中央部分などに配置されていてもよい。
また、上記実施の形態では、固定部材50が雄ねじ部分となる第一軸部51を有し、被固定部材431が雌ねじ部分となる第一開口部431aを有していることとした。しかし、固定部材50が雌ねじ部分を有し、被固定部材431が雄ねじ部分を有しており、固定部材50が被固定部材431に螺合により固定されることにしてもよい。または、固定部材50は、被固定部材431に螺合により固定されるのではなく、例えば、嵌合や係合などによって固定されることにしてもよい。この場合、第一軸部51の断面形状、及び、第一軸部51が挿入される挿通孔12b、421、第一開口部431a等の断面形状は、円形状には限定されないが、挿通孔12b、421、第一開口部431a等の断面形状は、第一軸部51の断面形状に対応した形状であるのが好ましい。
また、上記実施の形態では、固定部材50は、第一軸部51と、第一軸部51よりも細い第二軸部52とを有することとした。しかし、固定部材50は、第二軸部52を有していなくてもかまわない。
また、上記実施の形態では、固定部材50は、封止部53の上方、下方及び側方を囲む樹脂性のガスケット部53aが設けられた、いわゆる気密ボルトの構成を有することとした。しかし、固定部材50として、Oリングまたは樹脂製ワッシャ等の気密部材と、従来技術による通常のボルトとを組み合わせて、気密構造をとるように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、被固定部材431は、第一開口部431aと、第一開口部431aよりも開口面積が大きい第二開口部431bとを有することとした。しかし、被固定部材431は、第二開口部431bは有していなくてもかまわない。
また、上記実施の形態では、規制部材432を、被固定部材431の上方を覆って折り曲げるカバー部材として構成した。しかし、被固定部材431を内包するように規制部材432を加工して予めユニット化した、例えばフローティングナットのような構成とし、当該ユニット化したものを、挟持部材底部420にかしめや圧入等により固定する構成としてもかまわない。
また、本発明は、このような蓄電装置1として実現することができるだけでなく、蓄電装置1が備える固定部材50、被固定部材または規制部材としても実現することができる。