JP6736921B2 - Fish染色方法 - Google Patents
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Description
標的とする核酸に、その塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する、合計の塩基長が3000以下である核酸プローブをハイブリダイズさせる工程(ハイブリダイゼーション工程)と、
下記工程(1)または(2)から選ばれる、蛍光ナノ粒子が結合可能な部位を増幅させる工程(結合部位増幅工程)と、
工程(1):前記核酸プローブにあらかじめ直接的または間接的に増幅の起点としてのビオチンを結合させておき、当該ビオチンとアビジン−ビオチン複合体(ABC)に含まれるアビジンと結合させることにより、前記核酸プローブを、蛍光ナノ粒子と結合可能な部位としての前記ABCに含まれるビオチンで修飾する処理(ABC処理工程)
工程(2):前記核酸プローブにあらかじめ直接的または間接的にペルオキシダーゼを結合させておき、過酸化物の存在下で、当該ペルオキシダーゼに、蛍光ナノ粒子と結合可能な分子で修飾されたタイラマイドを接触させることにより、前記核酸プローブの周辺に蛍光ナノ粒子と結合可能な部位を沈着させる処理(タイラマイド処理工程)
前記結合部位に蛍光ナノ粒子を結合させる工程(蛍光ナノ粒子結合工程)と
を含む、核酸のFISH(蛍光in situ ハイブリダイゼーション)染色方法。
前記結合部位増幅工程において、前記核酸プローブに間接的に増幅の起点としてのビオチン(工程1)またはペルオキシダーゼ(工程2)を結合させるために、
前記核酸プローブをハプテンで修飾しておき、
前記ハプテンで修飾された核酸プローブに、1次抗体として抗ハプテンポリクローナル抗体または抗ハプテンモノクローナル抗体を結合させた後、
前記1次抗体に、2次抗体として前記1次抗体に対するポリクローナル抗体を結合させる、[1]に記載の核酸のFISH染色方法。
前記ハプテンが、ジニトロフェノール、ジゴキシゲニンおよびFITC(フルオレセインイソチオシアネート)からなる群より選択される、[1]または[2]に記載の核酸のFISH染色方法。
前記蛍光ナノ粒子結合工程の後、蛍光ナノ粒子が結合した部位から遊離することを防ぐ工程(固定化工程)を行う、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の核酸のFISH染色方法。
前記蛍光ナノ粒子が蛍光色素集積ナノ粒子であり、その平均粒子径が20nm〜300nmである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の核酸のFISH染色方法。
前記蛍光ナノ粒子が無機蛍光体集積ナノ粒子であり、その平均粒子径が20nm〜300nmである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の核酸のFISH染色方法。
前記蛍光ナノ粒子が量子ドットおよび炭素ドットからなる群より選択される無機蛍光体ナノ粒子であり、その平均粒子径が1nm〜300nmである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の核酸のFISH染色方法。
[1]〜[7]のいずれか1項に記載のFISH染色方法における、前記結合部位増幅工程により増幅された複数の結合部位に蛍光ナノ粒子が結合してなることを特徴とする、核酸のFISH染色がされた病理標本。
−核酸のFISH染色方法−
本発明に係るFISH染色方法は、少なくとも、「ハイブリダイゼーション工程」、「結合部位増幅工程」および「蛍光ナノ粒子結合工程」を含み、必要に応じてさらに、「固定化工程」を含んでいてもよい。
ハイブリダイゼーション工程は、標的とする核酸に、その塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する、合計の塩基長が3000以下である核酸プローブをハイブリダイズさせる工程である。この工程でハイブリダイズさせる核酸プローブは、次の結合部位増幅工程の実施形態に応じた所定の分子(「核酸プローブ修飾分子」と称する。)で修飾された核酸プローブ(「修飾核酸プローブ」と称する。)である。
核酸プローブ接触工程の後に行われる結合部位増幅工程は、蛍光ナノ粒子が結合可能な部位を増幅させるための工程であり、下記工程1または2から選ばれる工程である。
工程1:前記核酸プローブにあらかじめ直接的または間接的に増幅の起点としてのビオチンを結合させておき、当該ビオチンとアビジン−ビオチン複合体(ABC:avidin-biotin complex)に含まれるアビジンとを結合させることにより、前記核酸プローブを、蛍光ナノ粒子と結合可能な部位としての前記ABCに含まれる複数のビオチンで修飾する処理(ABC処理工程)。
工程2:前記核酸プローブにあらかじめ直接的または間接的にペルオキシダーゼを結合させておき、過酸化物の存在下で、当該ペルオキシダーゼに蛍光ナノ粒子と結合可能な分子で修飾されたタイラマイドを接触させることにより、前記核酸プローブの周辺に蛍光ナノ粒子と結合可能な部位を複数沈着させる処理(タイラマイド処理工程)。
図1の反応様式に示されるように、工程1(ABC処理工程)は、核酸プローブにあらかじめ直接的または間接的に増幅の起点としてのビオチンを結合させておき、当該ビオチンとABCに含まれるアビジンとを結合させることにより、核酸プローブを、蛍光ナノ粒子と結合可能な部位としてのABCに含まれる複数のビオチンで修飾する処理を含む工程である。
図2の反応様式に示されるように、工程2(タイラマイド処理工程)は、核酸プローブにあらかじめ直接的または間接的にペルオキシダーゼを結合させておき、過酸化物の存在下で、当該ペルオキシダーゼに蛍光ナノ粒子と結合可能な分子で修飾されたタイラマイドを接触させることにより、核酸プローブの周辺に蛍光ナノ粒子と結合可能な部位を複数沈着させる処理を含む工程である。
工程(1)または(2)から選ばれる結合部位増幅工程の後に行われる蛍光ナノ粒子反応工程は、結合部位増幅工程により増幅された結合部位に蛍光ナノ粒子を結合させる工程である。この工程により、標的とする核酸を蛍光ナノ粒子で標識することができる。
蛍光ナノ粒子結合工程の後に任意で行われる固定化工程は、所定の結合部位で結合した蛍光ナノ粒子をその周辺のタンパク質と架橋させることにより、ないしは蛍光ナノ粒子の周辺のタンパク質同士が架橋することで細胞核内に入り込んだ蛍光ナノ粒子が細胞核外に出にくくすることにより、蛍光ナノ粒子による標的とする核酸の蛍光標識を、後の水洗処理等ではがれないような強固で安定的なものとするための工程である。
本発明のFISH染色方法において標的とする、つまり検出および定量の対象とする核酸(本明細書において「標的核酸」と呼ぶ。)は、特に限定されるものではなく、従来のFISH染色方法と同様に、様々な塩基配列を有するDNAまたはRNAが標的核酸に包含される。典型的には、染色体上に存在する特定の塩基配列を有する遺伝子が標的核酸となるが、非染色体性の核酸、例えばmRNA,tRNA,rRNA,miRNA,siRNA,non−cordingRNAなども標的核酸となり得る。
核酸プローブは、標的核酸の塩基配列の一部または全部と相補的な塩基配列(プローブ配列)を有し、標的核酸と相補鎖を形成することができる核酸分子からなる。核酸プローブは、DNA、RNAのように天然に存在する分子で構成されていてもよいし、PNA(Peptide Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid、BNA:Bridged Nucleic Acidと呼ばれることもある)等の人工核酸分子で構成されていてもよいし、これら両方で構成されていてもよい。
核酸プローブ修飾分子は、核酸プローブに、結合部位増幅工程の実施形態に応じて用いられる所定の物質、すなわち第1実施形態においてはアビジン−ビオチン複合体(ABC)を、第2実施形態においては修飾ペルオキシダーゼを間接的に結合させるための分子である。核酸プローブが複数の核酸分子からなるセットである場合、核酸プローブ修飾分子は、核酸分子のそれぞれに導入される。
核酸プローブに修飾分子を導入するための手法は特に限定されず、公知の各種の手法を採用することができるが、結合の安定性から共有結合等の結合力の強い結合を用いることが好ましい。共有結合を用いて修飾分子が結合された核酸プローブを調製する手法としては、(i)修飾分子が共有結合された塩基、例えばBiotin−dNTP(Nはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、またはウラシル(U)を表す。)を用いて、対応する反応性官能基を有する修飾分子を結合させることができる。あるいは、(ii)核酸プローブを作製した後、その5′末端のまたは3′末端に試薬を用いて反応性官能基を導入し、それに対応する官能基を有する修飾分子を反応させて共有結合させる方法などが挙げられる。上記(i)の手法において、ニックトランスレーションを利用すれば、核酸プローブの5′末端のまたは3′末端以外の部位に、複数の修飾分子を導入することも可能である。
前述したように、核酸プローブにビオチン(第1実施形態)またはペルオキシダーゼ(第2実施形態)を間接的に結合させる際には、1次抗体および2次抗体を用いてもよい。
抗体修飾分子は、核酸プローブに間接的にビオチン(第1実施形態:ABCを結合させる拠点としてのもの)またはペルオキシダーゼ(第2実施形態)を結合させるために、1次抗体または2次抗体に導入される分子であり、結合部位増幅工程の実施形態に応じた分子が用いられる。すなわち、第1実施形態(ABC処理工程)においては、ABCを結合させるための、増幅の基点としてのビオチンが抗体修飾分子となり、第2実施形態(タイラマイド処理工程)においては、修飾ペルオキシダーゼを結合させるための、ペルオキシダーゼ修飾分子と特異的に結合する分子が抗体修飾分子となる。1次抗体を修飾する場合は1次抗体修飾分子、2次抗体を修飾する場合は2次抗体修飾分子と呼ぶときもあるが、単に修飾抗体分子と呼ぶときは1次抗体修飾分子および2次抗体修飾分子の総称として用いられる。
本発明の第2実施形態で用いるペルオキシダーゼ修飾分子としては、抗体修飾分子または核酸プローブ修飾分子に対して特異的に結合する分子を使用する。例えば、抗体修飾分子または核酸プローブ修飾分子としてビオチンを用いた場合は、ペルオキシダーゼ修飾分子としてアビジン、好ましくはストレプトアビジンを使用する。
本発明の第2実施形態で用いるタイラマイド修飾分子は、核酸プローブの周辺に蛍光ナノ粒子を結合させるための分子である。タイラマイド修飾分子は、タイラマイドを修飾でき、かつ、それと特異的に結合する抗体以外の分子(タイラマイド修飾分子に結合させる蛍光ナノ粒子修飾分子として抗体は用いないので、特異的に結合する分子から抗体は除外される。)が存在するものであれば特に限定されるものではない。そのようなタイラマイド修飾分子としては、抗体修飾分子と同様、例えばビオチンおよびアビジンが挙げられ、特にビオチンが好ましい。
本発明の第1実施形態、第2実施形態のいずれにおいても用いる蛍光ナノ粒子修飾分子としては、ビオチン(第1実施形態)またはタイラマイド修飾分子(第2実施形態)に対して特異的に結合する分子を使用する。例えば、ビオチンに対しては、アビジン、好ましくはストレプトアビジンを蛍光ナノ粒子修飾分子として使用することができる。
本発明の第2実施形態では、タイラマイド(チラミドと呼ばれることもある。)を基質として、ペルオキシダーゼをその基質を活性化する作用を有する酵素として利用する。ペルオキシダーゼ(例えば、HRP:西洋ワサビペルオキシダーゼ)は、過酸化物(例えば過酸化水素)に作用してフリーラジカルを生成し、フリーラジカル連鎖反応により、タイラマイドを活性化(ラジカル化)する。つまり、過酸化物の存在化にペルオキシダーゼとタイラマイドを反応させる処理により、タイラマイドを活性化することができる。活性化されたタイラマイドは、詳細は未解明のところがあるが、おそらく複数のタイラマイド同士が凝集して析出することで、核酸プローブ周辺の分子に結合(沈着)する。このような処理のための適切な条件、たとえば反応溶液の塩濃度、pHおよび温度など、一般的な条件に準じて調製すればよい。
修飾タイラマイドおよび修飾ペルオキシダーゼは、いずれも公知の手法を用いて作製することができる(例えばUS5196306:特許文献2および特表2013−531801:特許文献3参照)。例えば、ビオチンで修飾されたタイラマイドは、試薬を用いてタイラマイドとビオチンとにそれぞれ反応性官能基を導入し、これらの官能基同士を反応させて共有結合を形成させることにより作製することができる。必要に応じて、タイラマイドとビオチンの間(つまりそれらが有する官能基同士の間)にリンカーを介在させてもよい。なお、ビオチンとタイラマイドとのコンジュゲートは市販されており、容易に入手することができる。また、例えばアビジンで修飾されたペルオキシダーゼも、試薬を用いてペルオキシダーゼとアビジンとにそれぞれ反応性官能基を導入し、これらの官能基同士を反応させて共有結合を形成させることにより作製することができる。必要に応じて、ペルオキシダーゼとアビジンの間(つまりそれらが有する官能基同士の間)にリンカーを介在させてもよい。
本発明では、目的とする遺伝子を蛍光標識するための物質として、蛍光ナノ粒子を使用する。蛍光ナノ粒子は、ナノサイズの(直径が1μm以下の)粒子状の蛍光体であり、1粒子で十分な輝度を有する蛍光を発することのできるものである。このような蛍光体は、蛍光体集積ナノ粒子および無機蛍光ナノ粒子に大別することができる。なお、単独の蛍光色素は、本発明では十分な輝度を有する蛍光を発することができないため用いられない。蛍光体集積ナノ粒子には、蛍光色素内包ナノ粒子および無機蛍光体集積ナノ粒子が包含される。無機蛍光体ナノ粒子には、量子ドットおよび炭素ドットが包含される。
本発明では無機蛍光体ナノ粒子として、量子ドットおよび炭素ドットを用いることができる。これらの無機蛍光体ナノ粒子は、次に述べるような無機蛍光体集積ナノ粒子を調製しなくても単独で、観察可能な輝度を有する輝点の輝度を構成することができる。
脱水および炭化処理方法としては、水熱、マイクロ波−水熱、プラズマ−水熱、マイクロ波、燃焼、濃酸熱分解およびマイクロリアクターによる炭化等が挙げられる。
蛍光体集積ナノ粒子は蛍光色素または無機蛍光体ナノ粒子(量子ドット、炭素ドット等)を集積したものである。本発明では蛍光体集積ナノ粒子として、蛍光色素集積ナノ粒子および無機蛍光体集積ナノ粒子を使用することができる。このような蛍光体集積ナノ粒子を用いることで、単独の蛍光色素または無機蛍光体ナノ粒子と比較して、1粒子当たりの発する蛍光の量、すなわち所定の生体分子を標識する輝点の輝度を高めることができる。
本発明で用いられる蛍光体集積ナノ粒子の製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。一般的には、樹脂またはシリカを母体として蛍光体をまとめ上げる(当該母体の内部または表面に蛍光体を固定化する)製造方法を用いることができる。例えば、蛍光体集積ナノ粒子の母体として使われる樹脂は、熱硬化性樹脂であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。各種の樹脂についての具体例およびこれらの樹脂を母体として製造される蛍光体集積ナノ粒子の製造方法は公知の文献(WO2014/136776)に準じる。
修飾蛍光ナノ粒子は、公知の手法を用いて作成することができる。例えば、蛍光ナノ粒子として蛍光体集積ナノ粒子(蛍光色素集積ナノ粒子または無機蛍光体集積ナノ粒子)を用いる場合、試薬等を用いて蛍光体集積ナノ粒子の表面と蛍光ナノ粒子修飾分子とにそれぞれ反応性官能基を導入し、これらの官能基同士を結合させることにより、修飾された蛍光体集積ナノ粒子を作製することができる。蛍光体集積ナノ粒子表面の修飾に際しては、その母体の材質(樹脂、シリカ等)を考慮して、適切な試薬等を用いるようにする。また、必要に応じて、アビジンと蛍光体集積ナノ粒子の間(つまりそれらが有する官能基同士の間)にリンカーを介在させてもよい。反応性官能基の組み合わせの例としては、NHSエステル基−アミノ基、チオール基−マレイミド基の組み合わせ等を例示することができる。例えば、(i)シランカップリング剤を用いて蛍光体集積ナノ粒子の表面をあらかじめアミノ基で修飾しておき、(ii)一方でストレプトアビジンにN−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテートを反応させて、ストレプトアビジンが有するアミノ基に、アセチル基で保護されたチオール基を連結し、(iii)クロスリンカーとして、一端にアミノ基と反応するNHS基を有し、他端にチオール基と反応するマレイミド基を有するポリエチレングリコール鎖(例えば「SM(PEG)12」、サーモサイエンティフィック社)を用意し、(iv)蛍光体集積ナノ粒子表面のアミノ基と、クロスリンカーのNHS基を反応させて共有結合させ、(v)次いでストレプトアビジンのチオール基を脱保護した後、クロスリンカーのマレイミド基と反応させることにより、ストレプトアビジンで修飾された蛍光体集積ナノ粒子が得られる。
本発明に係る病理標本は、本発明のFISH染色方法における結合部位増幅工程(ABC処理工程またはタイラマイド処理工程)によって増幅された複数の結合部位に蛍光ナノ粒子が結合してなる、核酸のFISH染色がされた病理標本である。
本発明のFISH染色方法の用途は特に限定されるものではないが、基本的には従来の病理標本と同様の用途を有し、典型的には、核酸に含まれる特定の遺伝子を定量することで病理診断を行うための、例えば疾患の診断または治療にとって有用な情報を取得するための、本発明に係る病理標本を調製するために利用される。すなわち、診断対象から採取した組織切片を用いて作製されたスライド(検体スライド)を、本発明に係る核酸のFISH染色方法および必要に応じて組み合わせされるその他の染色方法に基づいて染色し、得られた病理標本(染色その他処理が施されて検査の対象とすることが可能となった検体スライド)の顕微鏡観察および/またはその撮影画像の画像処理することにより、特定の遺伝子を定量するなどの検査をして、病理診断を行うことができる。
(1)DNA変性処理
標本前処理工程を経た検体スライドに対して、まずDNAの変性処理を行う。DNAの変性処理は常法に従って、熱変性によっておこなってもよいし、ホルムアミド溶液などの変性溶液で処理することによりおこなってもよい。また、次に述べるFISH染色処理に含まれるハイブリダイゼーションを行う際に、染色体の二本鎖DNAを解離させる(変性)とともに一本鎖DNAと核酸プローブとの結合(ハイブリダイゼーション)を促進することのできる成分を含むハイブリダイゼーション用バッファー(例えばIQFISH FFPE Hybridization Buffer, Agilent Technologies)を用いることによって、DNA変性処理とハイブリダイゼーションとを同時に行うようにしてもよい。
本発明を利用して病理標本を調製する場合、FISH染色処理は、前述したような本発明のFISH染色方法におけるハイブリダイゼーション工程、結合部位増幅工程および蛍光ナノ粒子反応工程に準じた処理となる。
検体スライドに修飾核酸プローブ溶液を滴下し、検体に含まれる標的核酸と修飾核酸プローブ溶液を接触させるようにして、ハイブリダイゼーションを行う。この際、ハイブリダイゼーションを促進する成分を含む(前述したように、さらにDNAを変性させる成分を含んでいてもよい)緩衝液を添加することができる。
ハイブリダイゼーション工程を経た検体スライドに、結合部位増幅工程の実施形態に応じた溶液を順次滴下し、核酸プローブに修飾した分子を起点にした結合により、または核酸プローブ周辺の分子への結合により、蛍光ナノ粒子が結合可能な部位を増幅する。
結合部位増幅工程を経た検体スライドに、修飾蛍光ナノ粒子の溶液を滴下し、ABCに含まれるビオチン(第1実施形態)またはタイラマイド修飾分子(第2実施形態)と接触させて、それらに修飾蛍光ナノ粒子を結合させる。この工程を終えることで、最終的に個々の標的核酸を多数の蛍光ナノ粒子で標識することができる。
本発明を利用して病理標本を調製する場合、後固定処理は、前述したような本発明のFISH染色方法における固定化工程に準じた処理となる。
FISH染色処理または任意で行われる後固定処理の後、通常はさらに、細胞数をカウントするために核染色を行う。核染色試薬としてはDAPIが一般的に用いられるが、Hoechst 33258、Hoechst 33342またはその他の核染色試薬を用いることもできる。
染色工程には、必要に応じてその他の工程例を含めることができる。例えば、第1実施形態および第2実施形態において必要に応じて用いられる1次抗体を添加する前に、その抗体の組織切片中の非特異吸着を抑えるために市販のブロッキング剤を用いてブロッキング処理を行うことが好ましい。また、例えばハイブリダイゼーションの後、市販の洗浄剤を用いて洗浄処理を行うことが好ましい。
0.2mLPCRストリップチューブ(バイオ・ラッド社)内に5×GoTaq reaction buffer(プロメガ社)5μL、GoTaq DNA polymerase(5U/μL、プロメガ社) 0.25μL、Human Genomic DNA(100ng/μL、タカラバイオ社)0.25μL、dATP、dGTP、dCTP(全て10mM、タカラバイオ社)各0.5μL、dTTP(1mM、タカラバイオ社)3.75μL、DNP−11−UTP(1mM、パーキンエルマー社)1.25μL、ヒトHER2遺伝子のForward primer(配列:5'-CGATGTGACTGTCTCCTCCC-3'、10μM)0.5μL、当該Forward primerに対応するReverse primer(配列:5'-ATCCTACTCCATCCCAAGGCC-3'、10μM)0.5μL、milliQ7μLの計25μLの溶液を調製した。
ステップ1:95℃、3分
ステップ2:95℃、30秒
ステップ3:56℃、30秒
ステップ4:ステップ2に戻る(39回くり返す)
ステップ5:72℃、3分
(i)蛍光色素集積メラミン樹脂ナノ粒子の合成
スルホローダミン101(「Sulforhodamine 101」、シグマアルドリッチ社製、TexasRed色素)2.5mgを純水22.5mLに溶解した後、ホットスターラーにより溶液の温度を70℃に維持しながら20分間撹拌した。撹拌後の溶液に、メラミン樹脂「ニカラックMX−035」(日本カーバイド工業社製)1.5gを加え、さらに同一条件で5分間加熱撹拌した。
洗浄後の粒子X0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシラン「LS−3150」(信越化学工業社製)2μLを加えて8時間、撹拌しながら室温で反応させて表面アミノ化処理を行った。
一方、スルフヒドリル基を有するストレプトアビジンの作製は以下のように行った。まず、1mg/mLに調整したストレプトアビジン(和光純薬工業社製)40μLに対して、64mg/mLに調整したN−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート(N−succinimidyl S−acetylthioacetate,SATA、pirce社製)70μLを室温で1時間より反応させた。すなわち、ストレプトアビジンのアミノ基に対して保護されたチオール基(−NH−CO−CH2−S−CO−CH3)を導入した。
マレイミド基を有するPEG鎖で表面修飾された粒子Xと、チオール基が連結されたストレプトアビジンとを、EDTAを2mM含有したPBS中で混合し、1時間反応させることで、マレイミド基とチオール基を共有結合させた。10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応のストレプトアビジン等を除去して、ストレプトアビジンで修飾された蛍光色素集積メラミン樹脂ナノ粒子を得た。
(脱パラフィン処理)
HER2陽性染色対照標本の検体スライド(ロシュ社製「HER2 Dual ISH 3−in−1 コントロールスライド」)を、以下の(1)〜(5)の順で処理することで脱パラフィン処理を行った。(1)キシレンに室温で5分間、浸漬する。この操作をもう1回繰り返す(合計2回行う)。(2)検体スライドを100%エタノール、室温で2分間、浸漬する。この操作をもう1回繰り返す(合計2回行う)。(3)検体スライドを70%エタノール、室温で2分間浸漬する。(4)検体スライドをmilliQ水で、室温で2分間浸漬する。
DNAプローブの到達性を向上させるために、上記検体スライドに対し以下の(1)〜(3)の順で熱処理を行い、細胞膜及び核膜の蛋白質の除去を行った。(1)MES buffer(HER2 FISH PharmDx「ダコ」Vial 1をmilliQ水で20倍に希釈)で95〜99℃,10分間処理したのち、室温で15分間処理する。(2)検体スライドをTris wash buffer(HER2 FISH PharmDx「ダコ」Vial 6をmilliQ水で20倍に希釈)に3分間浸漬し、洗浄する。(3)この洗浄操作をもう1回繰り返す。
処理を行った検体スライドに対して、以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことでプロテアーゼ処理を行った。(1)熱処理した検体スライドを取り出し、ペーパータオルにスライドグラスの下端をつけて余分な洗浄緩衝液を取り除く。(2)検体スライド上にプロテアーゼ溶液(HER2 FISH PharmDx「ダコ」Vial 2A)を5〜6滴滴下し、室温で10分間反応させる。この浸漬処理は、細胞膜及び核膜のタンパク質、特にコラーゲンの分解をするためのものである。(3)検体スライドをTris wash buffer(HER2 FISH PharmDx「ダコ」Vial 6をmilliQ水で20倍に希釈)に3分間浸漬し、洗浄する。(4)この洗浄操作をもう1回繰り返す。
検体スライドを風乾した後、まず70%エタノールに室温で2分間浸漬し、次に100%(脱水)エタノールに室温で2分間浸漬した。その後、検体スライドを取り出し、冷風で風乾し、室温で10分間以上放置した。
上記脱水処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理をこの順で行うことで、作製例1により得られたDNP修飾核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション処理を行った。(1)検体スライドのハイブリダイゼーション領域に、5ng/μLに調製したDNP修飾核酸プローブを1μLと、IQFISH FFPE Hybridization Buffer(アジレント・テクノロジー社)を9μL添加する。スライド上でピペッティングによる混合後、すぐに、22mm×22mmのカバーグラスを被せ、DNP修飾核酸プローブ溶液を均一に広げる。ハイブリダイゼーション領域に気泡が入らないようにする。(2)ペーパーボンド(コクヨ社)でカバーグラスをシールする。(3)ハイブリダイザー(ダコ社)に検体スライドを配置して、80℃で10分間、その後45℃で一晩、変性およびハイブリダイゼーションを行う。
上記ハイブリダイゼーション処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(6)の処理をこの順で行うことで、検体スライドの洗浄処理を行った。(1)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液:SSCwash Buffer(HER2 FISH PharmDx「ダコ」Vial 2AをmilliQ水で20倍に希釈したもの)をコプリンジャーに入れる。ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液が63℃になるまで温浴槽で予備加熱をする。(2)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液を入れたコプリンジャーをもうひとつ用意し、室温に維持する。(3)ピンセットでペーパーボンドのシールを取り除く。室温に維持されたポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液が入ったコプリンジャーの中に検体スライドを入れて、カバーグラスを剥がす。(4)検体スライドを63℃に保たれたポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液の中に入れて10分間浸漬し、洗浄する。(5)Tris wash buffer(HER2 FISH PharmDx「ダコ」Vial 6をmilliQ水で20倍に希釈したもの)に室温で3分間浸漬し、洗浄する。この洗浄を再度繰り返す。(6)コプリンジャーから検体スライドを取り出し、遮光下で風乾する。
ブロッキングはAntibody Diluent,Backgroud Reducing(ダコ社)100μLをスライド上に載せ、湿潤箱中、室温で30分間浸漬することで行った。
上記ブロッキング処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことで、DNP修飾核酸プローブと1次抗体の結合処理を行った。(1)キムタオル上でスライドを角がキムタオルにあたるように上下に振り、スライド上の溶液を落とした後、細胞周辺以外のスライド上のAntibody Diluent,Backgroud Reducing液をろ紙等で拭きとって、細胞表面のみウエットな状態とする。(2)1次抗体として抗DNPウサギモノクローナル抗体(ロシュ社製 Anti-DNP rabbit mAb)の溶液100μLを検体スライド上に滴下し、湿潤箱中、室温で60分間反応させ、DNP修飾核酸プローブに結合させる。(3)スライド上の溶液をキムタオル上で落としてから、PBSに5分間浸漬して洗浄する。(4)PBS洗浄操作を更に2回繰り返す。
上記DNP修飾核酸プローブと1次抗体の結合処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことで、1次抗体とビオチン標識2次抗体の結合処理を行った。(1)キムタオル上でスライドを角がキムタオルにあたるように上下に振りスライド上の溶液を落とした後、細胞周辺以外のスライド上の溶液をろ紙等で拭きとって、細胞表面のみウエットな状態とする。(2)ビオチン標識2次抗体としてビオチン標識抗マウス・ウサギポリクローナルIgG抗体(ロシュ社製 Anti−mouse and rabbit Ab)の溶液100μLを検体スライド上に滴下し、湿潤箱中、室温で60分間反応させ、1次抗体に結合させる。(3)スライド上の溶液をキムタオル上で落としてから、PBSに5分間浸漬して洗浄する。(4)PBS洗浄操作を更に2回繰り返す。
GenPoint(ダコ社)のキットを使用して、以下の(A1)〜(A4)および(B1)〜(B4)の処理をこの順で行うことで、タイラマイド処理を行った。
上記タイラマイド処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことで、蛍光色素集積メラミン樹脂粒子の結合処理を行った。(1)キムタオル上でスライドを角がキムタオルにあたるように上下に振りスライド上の溶液を落とした後、細胞周辺以外のスライド上のビオチン標識タイラマイド溶液をろ紙等で拭きとって、細胞表面のみウエットな状態とする。(2)作製例2により得られたストレプトアビジン修飾蛍光色素集積メラミン樹脂ナノ粒子の、Antibody Diluent,Backgroud Reducing液を用いて濃度を0.1nMに調整した溶液80μLを、検体スライド上に滴下し、室温で60分間反応させて、タイラマイドが有するビオチンと蛍光色素集積メラミン樹脂粒子に修飾されたストレプトアビジンとを結合させる。(3)スライド上の溶液をキムタオル上に落とし、検体スライドをPBSに5分間浸漬して洗浄を行う。(4)この洗浄操作を更に2回繰り返す。
上記蛍光色素集積メラミン樹脂粒子の結合処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理をこの順で行うことで、後固定処理を行った。(1)キムタオル上でスライドを角がキムタオルにあたるように上下に振りスライド上の溶液を落とした後、細胞周辺以外のスライド上の溶液をろ紙等で拭きとって、細胞表面のみウエットな状態とする。(2)検体スライド上に4%パラホルムアルデヒド溶液150μLを滴下し、湿潤箱中で、室温で10分間浸漬させる。(3)スライド上の溶液をキムタオル上に落とし、Tris EDTA緩衝液(Wako)に5分間浸漬して洗浄を行う。
上記後固定処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことで、DAPI(4',6-Diamidino-2-Phenylindole, Dihydrochloride)を用いた核染色処理を行った。(1)キムタオル上でスライドを角がキムタオルにあたるように上下に振りスライド上の溶液を落とした後、細胞周辺以外のスライド上の溶液をろ紙等で拭きとって、細胞表面のみウエットな状態とする。(2)0.01%のβ−メルカプトエタノールおよび1.43μMのDAPI(Invitrogen社)を含有する染色液150μLを検体スライドのハイブリダイゼーション領域に添加し、湿潤箱中、室温で15分間反応させ、細胞核を染色する。(3)検体スライド上の溶液をキムタオル上に落とし、Tris EDTA緩衝液(Wako)に室温で5分間浸漬して洗浄する。(4)検体スライドをPBS bufferに5分間浸漬し、洗浄する。
上記核染色処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(2)の処理をこの順で行うことで、封入処理を行った。(1)キムタオル上でスライドを角がキムタオルにあたるように上下に振りスライド上の溶液を落とした後、細胞周辺以外のスライド上の溶液をろ紙等で拭きとって、細胞表面のみウエットな状態とする。(2)非乾燥状態で検体スライド上にAquatex(MERCK社)を1滴ずつ加えて封入した後、カバーガラスを被せて、シグナルの計測まで検体スライドを遮光して保存する。
以上の工程により作製された、FISH染色およびDAPI染色がなされた検体スライドを、蛍光顕微鏡「BZ−X710」(キーエンス社製)を用いて観察し、蛍光画像を取得した。対物レンズの倍率は100倍、DAPI、蛍光色素集積メラミン樹脂ナノ粒子の撮像時の励起時間はそれぞれ20msおよび500msとした。撮影された蛍光画像を図4[A]に示す。
「タイラマイド処理」を行わなかったこと以外は実施例1と同じ手順で、染色された検体スライドを調製し、その観察を行った。なお、この実施形態では、2次抗体に修飾されたビオチンに、ストレプトアビジンで修飾された蛍光色素集積メラミン樹脂粒子が結合することになる。撮影された蛍光画像を図4[B]に示す。
修飾蛍光ナノ粒子として、ストレプトアビジン修飾された蛍光色素集積メラミン樹脂ナノ粒子に代えて、ストレプトアビジン修飾された量子ドット「SA−QD625」(Life technologies社)を用いたこと以外は、実施例1と同じ手順で、染色された検体スライドを調製し、その観察を行った。但し量子ドットの撮像時の励起時間は500msとした。量子ドットは、を使用した。撮影された蛍光画像を図5[A]に示す。
「タイラマイド処理」を行わなかったこと以外は実施例2と同じ手順で、染色された検体スライドを調製し、その観察を行った。なお、この実施形態では、2次抗体に修飾されたビオチンに、ストレプトアビジンで修飾された量子ドットが結合することになる。撮影された蛍光画像を図5[B]に示す。
図4[A]では、図4[B]では検知できない、DAPIで染色された(カラー写真では青色)核内の輝点(増幅されたHER2遺伝子の存在を表す、カラー写真では赤色)が検知できていることがわかる。なお、非特異染色として核外にも輝点が存在しているが、これはブロッキング液等の最適化で低減することができる。
2 核酸プローブ
3 核酸プローブ修飾分子
4 修飾核酸プローブ
10 モノクローナル1次抗体
20a モノクローナル2次抗体
20b ポリクローナル2次抗体
21 2次抗体修飾分子
22a 修飾モノクローナル2次抗体
22b 修飾ポリクローナル2次抗体
50 ビオチン
60 アビジン
70 ペルオキシダーゼ
71 ペルオキシダーゼ修飾分子
72 修飾ペルオキシダーゼ
80 アビジンービオチン複合体(ABC)
90a 活性化される前のタイラマイド
90b 活性化されたタイラマイド
91 タイラマイド修飾分子
92a 活性化される前の修飾タイラマイド
92b 活性化修飾タイラマイド
100 蛍光ナノ粒子
101 蛍光ナノ粒子修飾分子
102 修飾蛍光ナノ粒子
Claims (7)
- 標的とする核酸に、その塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する、合計の塩基長が3000以下である核酸プローブをハイブリダイズさせる工程(ハイブリダイゼーション工程)と、
下記工程(1)または(2)から選ばれる、蛍光ナノ粒子が結合可能な部位を増幅させる工程(結合部位増幅工程)と、
工程(1):前記核酸プローブにあらかじめ直接的または間接的に増幅の起点としてのビオチンを結合させておき、当該ビオチンとアビジン−ビオチン複合体(ABC)に含まれるアビジンと結合させることにより、前記核酸プローブを、蛍光ナノ粒子と結合可能な部位としての前記ABCに含まれるビオチンで修飾する処理(ABC処理工程)
工程(2):前記核酸プローブにあらかじめ直接的または間接的にペルオキシダーゼを結合させておき、過酸化物の存在下で、当該ペルオキシダーゼに、蛍光ナノ粒子と結合可能な分子で修飾されたタイラマイドを接触させることにより、前記核酸プローブの周辺に蛍光ナノ粒子と結合可能な部位を沈着させる処理(タイラマイド処理工程)
前記結合部位に蛍光ナノ粒子を結合させる工程(蛍光ナノ粒子結合工程)とを含み、
前記蛍光ナノ粒子結合工程の後、蛍光ナノ粒子が結合した部位から遊離することを防ぐ工程(固定化工程)を行い、
前記固定化工程が、蛍光ナノ粒子を周辺のタンパク質と架橋させる工程、または蛍光ナノ粒子の周辺のタンパク質同士を架橋させる工程である、核酸のFISH(蛍光in situ ハイブリダイゼーション)染色方法。 - 前記結合部位増幅工程において、前記核酸プローブに間接的に増幅の起点としてのビオチン(工程1)またはペルオキシダーゼ(工程2)を結合させるために、
前記核酸プローブをハプテンで修飾しておき、
前記ハプテンで修飾された核酸プローブに、1次抗体として抗ハプテンポリクローナル抗体または抗ハプテンモノクローナル抗体を結合させた後、
前記1次抗体に、2次抗体として前記1次抗体に対するポリクローナル抗体を結合させる、請求項1に記載の核酸のFISH染色方法。 - 前記ハプテンが、ジニトロフェノール、ジゴキシゲニンおよびFITC(フルオレセインイソチオシアネート)からなる群より選択される、請求項2に記載の核酸のFISH染色方法。
- 前記蛍光ナノ粒子が蛍光色素集積ナノ粒子であり、その平均粒子径が20nm〜300nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸のFISH染色方法。
- 前記蛍光ナノ粒子が無機蛍光体集積ナノ粒子であり、その平均粒子径が20nm〜300nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸のFISH染色方法。
- 前記蛍光ナノ粒子が量子ドットおよび炭素ドットからなる群より選択される無機蛍光体ナノ粒子であり、その平均粒子径が1nm〜300nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸のFISH染色方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のFISH染色方法における、前記結合部位増幅工程により増幅された複数の結合部位に蛍光ナノ粒子が結合してなることを特徴とする、核酸のFISH染色がされた病理標本の製造方法。
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