JP6736721B1 - カッターナイフのホルダおよびカッターナイフ - Google Patents
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Abstract
Description
当該特許文献1では、カッター刃による切断作業に加えて、ドライバー機能を更に付加することで、カッターナイフの汎用性を向上する技術が採用されている。
前記刃収容部は、カッター刃を所定の弾性体の付勢力を利用して刃収容部に位置決め保持しつつ、当該付勢力に抗するマニュアル操作を介してスライド可能に構成されてもよい。あるいは、ネジの螺着動作を介して刃収容部に位置決め保持しつつ、当該螺着解除動作を介してスライド可能に構成されてもよい。
前記長尺体の「第1端部領域」は、長手方向においてカッター刃先端に近接する側の端部領域として定義されるが、当該「近接」とは、スライド可能に収容されたカッター刃の先端に近い側の端部に相当し、換言すれば、カッター刃を用いた切断作業をする場合の長尺体の前方側端部に相当する。
典型的には、カッター刃による切断作業において、第2指〜第5指を使って把持部をしっかり握った状態で、第1指(親指)の指圧を押圧部に作用させることにより、切断力がコントロールされつつ切断作業が遂行する態様がこれに該当する。
第2端部領域側をカッター刃とは異なる機能部材に割り当てる関係で、スクレーパ使用時には、作業者は、上記把持部を前後逆にして把持することになるが。このとき、上記した突状曲面部が、スクレーパ使用時に作業者による把持の邪魔にならないようにされる。このため本発明では、スクレーパによる作業遂行のための把持状態において、前記突状曲面部は、作業者の手指への当接が回避された手指当接回避領域に設けられるように構成されている。これにより、カッター刃による作業時の把持性向上と、スクレーパによる作業時の支障回避が両立されることになる。
上記の通り、本発明は、カッターナイフないしそのホルダにつき、人間工学に基づいた把持性能の向上に関する技術であり、まず把持に関わる作業者の手の構造について、先に説明を行う。
図1は、作業者が手Hを開いて掌を向けた状態の模式的構造が示される(図1では便宜上右手が示されている)。作業者の手指につき、親指(ないし母指)に相当する第1指をF1(Finger−1)、人差し指(ないし示指)に相当する第2指をF2、中指に相当する第3指をF3、薬指(ないし環指)に相当する第4指をF4、小指に相当する第5指をF5と定義する。
本実施例では、掌凹部PVは、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を全て含んだ状態で定義されるが、人種や生活環境等による掌の構造上の相違に応じて、上記母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3の少なくとも一部を含めば足りるものとする。
すなわち第1指F1を曲折するとともに、第2指F2〜第5指F5を並列状に曲折することで手Hが把持状態に置かれる。このとき、第2指F2と母指球PH1が形成する母指球側環状把持部をR1と定義し、第5指F5と小指球PH2が形成する小指球側環状把持部をR2と定義する。このとき、母指球側環状把持部R1と小指球側環状把持部R2の間には、上記のように、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を含んだ状態で掌凹部PVが形成されている。
次に本発明の実施の形態であるカッターナイフ1およびホルダ2の構造について、図3〜図8を用いて説明する。なおカッターナイフ1は、本発明における「カッターナイフ」の一例であり、ホルダ2は、本発明における「ホルダ」の一例に相当する。
図3は、カッターナイフ1およびホルダ2の全体構成を示した正面模式図である。図4は、カッターナイフ1およびホルダ2を上面から視た状態を示した平面模式図である。また図5、図6は、人間工学的配慮に基づく、ホルダ2の特徴的構造を示した断面模式図および斜視模式図である。また図7は、当該カッターナイフ1を切断作業に供するために把持した状態を示した模式図であり、図8は、当該カッターナイフ1をスクレーパ作業に供するために前後逆に把持した状態を示した模式図である。
ホルダ2は、刃収容部3および把持部10を有する。刃収容部3はカッター刃5を収容可能に構成された長尺状の金属製の部材である。刃収容部3にはスライダ6が設けられており、当該スライダ6は係合部7を介して、カッター刃5を一体状に係止する。そしてカッター刃5は、刃収容部3に収容された状態で、スライダ6の手動操作に応じて、長軸方向LD1に摺動動作可能とされている。
ホルダ2は、カッターナイフ1を作業者が手で把持することに供される把持部10を有する。把持部10の詳細な構造が、図3〜図5に示される。
把持部10は、複数の把持溝部17が所定距離毎に形成された状態で、長手方向LD1に延在し、第1端部領域11、第2端部領域12、中間領域13を有する長尺体14として構成される。なお、説明の便宜上、把持溝部17は図4においては図示を省略されている。
図4および図5に示す膨出部16は、以下に述べる人間工学的視点に立脚した把持性向上の見地より、略R10〜R21の範囲内のいずれかの曲率となるように設定することが好ましい。特に、曲率を略R13〜R16の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。本実施の形態では、膨出部16の曲率は、一例としてR15に設定されている。
上記膨出部16の曲率および/または膨出角度の設定により、本実施の形態に係るホルダ2は、人間工学的視点に基づく把持性の著しい向上が図られている。これを説明するべく、膨出部16の特徴的構成が図6に詳細に示される。なお図6では、説明の便宜上、把持部10を、膨出部16の位置する箇所の断面とともに模式的に示している。図6に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2を作業者が手Hで把持した場合、その掌凹部PVに対して、把持部10の突状曲面部15における膨出部16が略面接触状に密着して当接することになる。とりわけ図1、図2に示す母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3と交差する方向(すなわち図3に示す把持部10においては長手方向LD1と交差する方向)に関して、膨出部16が掌凹部PVに極めて高度に密着することが可能とされ、人間工学的に優れた把持性能が付与されることになる。
更に図3に示すように、把持部10の第1端部領域11には、押圧部21および第2指係止部22が形成されている。押圧部21は、カッター刃5を用いて切断作業を遂行する場合に、作業者が手指でカッターナイフ1を作業対象へと押圧するための領域として定義される。作業者は、典型的には、第1指F1で押圧部21を押圧する使用形態をとることが想定されるが、他の指(例えば第2指F2)あるいは別の手指によって押圧する態様も好適に包含されるものである。また第2指係止部22は、カッター刃5を用いて切断作業を遂行する場合に、作業者の第2指F2を係止して作業を遂行し易くするための領域として定義される。本実施の形態では、第2指係止部22は、作業者の第2指F2を係止する使用形態を想定しているが、もちろん、実際の作業において別の指を係止することを妨げるものではない。
さらに把持部10は、図3,4に示すように、長手方向LD1における第2端部領域12において、第2端部領域側把持領域23およびスクレーパ31を有する。第2端部領域側把持領域23は、図3に示すカッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2に当接する側の把持領域として定義される(これについては、併せて図7参照)。
また、図3に示すカッターナイフ1を、長手方向LD1に関して前後逆に把持して、スクレーパ31を使用する状態が図8に示される。図8に示すように、第2端部領域12(ないし第2端部領域側把持領域23)には、無用な突出部や成形時のバリ等が削除された平滑面が形成されている。この平滑面は、スクレーパ31を使用する際に、作業者の作業進行を阻害されないように設定された「当接円滑化処理領域24」を構成する。換言すれば、「本発明に係るカッターナイフのホルダであって、第2端部領域ないし第2端部側把持領域には、スクレーパが用いられる場合に作業者の手指の当接箇所に対応して当接円滑化処理領域」という構成が採用されている。
当接円滑化処理領域24は、スクレーパ31使用の際に、作業者の第1指F1での当接・押圧動作に対する阻害回避に有効とされる。
スクレーパ31は、「へら」とも称呼される金属製の部材であり、刺突作業、ないし刺突および切断作業に供される。典型的な作業態様の一つとしては、テープ係止された段ボール収容箱につき、当該テープを刺突してスクレーパ31を段ボール収容箱の内側に進入させるとともに、その状態で当該スクレーパ31を引き操作することで、上記テープを切断し、これによって収容箱の開扉を可能とする作業がこれに該当する。
図3に示すように、かかる刺突作業、ないし刺突と併せて切断作業を遂行可能とするべくスクレーパ31の自由端側には、先端突出部32が形成されている。
なお本実施形態に係るカッターナイフ1では、第2端部領域12にスクレーパ31を配置する一方、当該第2端部領域12の寸法を適宜に設定することで、スクレーパ31による作業時に求められる強度剛性が適切に確保されている。一方、第2端部領域12に形成された第2端部側把持領域23については、図7に示すように、カッター刃5を用いた切断作業の際に、作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応させて、把持状態における作業者の第5指F5が、小指球PH2に接触または近接可能な寸法設定とされている。すなわち、第2端部領域12は、スクレーパ31による作業のための強度剛性確保と、カッター刃5による作業の際の把持性向上という、双方側の要請を両立させた構成とされている。
本実施の形態に係るカッターナイフ1、およびそのホルダ2は、上記のように構成される。とりわけ、膨出部16の曲率Rおよび膨出角度θ1に関する創意工夫がなされることで、図6に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2を作業者が手Hで把持した状態で切断作業を遂行する場合、その掌凹部PVに対して、膨出部16が略面接触状に密着して当接することになり、人間工学的に優れた把持性能がカッターナイフ1およびホルダ2に付与される。
これらの相乗効果により、把持性および作業性の最大効率化が図られることになる。
2 ホルダ
3 刃収容部
4 ラッチ
5 カッター刃
6 スライダ
7 係合部
10 把持部
11 第1端部領域
12 第2端部領域
13 中間領域
14 長尺体
15 突状曲面部
16 膨出部
17 把持溝部
21 押圧部
22 第2指係止部
23 第2端部領域側把持領域
24 当接円滑化処理領域
31 スクレーパ
32 先端突出部
33 手指当接回避領域
LD1 長手方向
C 把持部中央領域
H 作業者の手
PL1 母指線(母指球皮線、生命線)
PL2 近位手掌線(近位手掌皮線、知能線)
PL3 遠位手掌線(遠位手掌皮線、感情線)
PH1 母指球
PH2 小指球
PV 掌凹部
F1 第1指(母指、親指)
F2 第2指(示指、人差し指)
F3 第3指(中指)
F4 第4指(薬指、環指)
F5 第5指(小指)
R1 把持状態における第2指と母指球が形成する母指球側環状把持部
R2 把持状態における第5指と小指球が形成する小指球側環状把持部
Claims (17)
- カッターナイフのホルダであって、
カッター刃をスライド可能に収容する刃収容部と
作業者の手での把持に供される把持部と、を有し、
前記把持部は、前記カッター刃のスライド方向を長手方向とする長尺体として形成されるとともに、前記長尺体の中間領域と、前記長手方向における前記カッター刃先端に近接する側の第1端部領域と、離間する側の第2端部領域とを有し、
前記中間領域は、作業者が手で前記把持部を把持した状態における当該作業者の掌の母指球と小指球の間に形成される掌凹部に対して略面接触可能な突状曲面部を有し、
前記第1端部領域は、前記カッター刃による切断作業が遂行される場合に、作業者の指圧による押圧力が作用する押圧部を有し、
前記第2端部領域側には、先端突出部を有するスクレーパが設けられており、
スクレーパによる作業遂行のための把持状態における、前記突状曲面部は、作業者の手指への当接が回避された手指当接回避領域に設けられる
ことを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1に記載のカッターナイフのホルダであって、前記掌凹部は、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線の少なくとも一部を含んで構成されることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
- 請求項1または2に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記突状曲面部は、前記長手方向において前記把持部の中央よりも前記第2端部領域に近接した位置に設けられることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記突状曲面部は、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線と交差する方向につき、所定の曲率および膨出角度を有する膨出部を有し、前記膨出部が、作業者が手で前記把持部を把持した状態における前記掌凹部に対して略面接触するように構成されることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項4に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記膨出部の所定の曲率は、略R10〜R21の範囲内のいずれかとされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項4に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記膨出部の所定の曲率は、略R13〜R16の範囲内のいずれかとされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項4〜6までのいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記膨出部の膨出角度は、略θ1=115°〜135°の範囲内のいずれかとされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項4〜6までのいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記膨出部の膨出角度は、略θ1=120°〜125°の範囲内のいずれかとされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項4〜8までのいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記突状曲面部は、前記長手方向において、前記膨出部から前記第1端部領域側に延在する第1突状曲面部と、前記膨出部から前記第2端部領域側に延在する第2突状曲面部を有し、
前記第1突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第1端部領域までの長さの略50%以上かつ略90%以下となるように設定されるとともに、前記第2突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第2端部領域までの長さの略50%以上かつ90%以下となるように設定されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項9に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記長手方向に対する前記第1突状曲面部の傾斜角よりも、前記長手方向に対する前記第2突状曲面部の傾斜角が大きくなるように設定されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記第2端部領域は、
把持状態における第5指および小指球が形成する環状領域に面接触可能に構成された第2端部領域側把持領域を有し、前記第2端部側把持領域は、把持状態における第5指が小指球に接触または近接可能な寸法設定とされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1から11のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記第1端部領域における前記押圧部と対向する側には、作業者が前記押圧部を第1指で押圧した場合に、第2指を係止可能な第2指係止部を有することを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1から12のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記スクレーパの先端突出部は、略R=2.0〜2.5の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1から12のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記スクレーパの先端突出部は、略R=2.1〜2.4の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1から14のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記スクレーパの先端突出部は、略θ2=40°〜60°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1から14のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
前記スクレーパの先端突出部は、略θ2=44°〜56°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。 - 請求項1から16のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダと、前記刃収容部にスライド可能に収容されたカッター刃を有することを特徴とするカッターナイフ。
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