JP6733857B1 - 電磁波吸収材料及び電磁波吸収体 - Google Patents

電磁波吸収材料及び電磁波吸収体 Download PDF

Info

Publication number
JP6733857B1
JP6733857B1 JP2020523826A JP2020523826A JP6733857B1 JP 6733857 B1 JP6733857 B1 JP 6733857B1 JP 2020523826 A JP2020523826 A JP 2020523826A JP 2020523826 A JP2020523826 A JP 2020523826A JP 6733857 B1 JP6733857 B1 JP 6733857B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromagnetic wave
wave absorbing
magnetic
absorbing material
multiferroic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2020523826A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020170608A1 (ja
Inventor
一茂 兵頭
一茂 兵頭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority claimed from PCT/JP2019/051314 external-priority patent/WO2020170608A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6733857B1 publication Critical patent/JP6733857B1/ja
Publication of JPWO2020170608A1 publication Critical patent/JPWO2020170608A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

従来と同定の肉厚で、より広帯域な電磁波吸収体を得られる電磁波吸収材料及び該材料を含む電磁波吸収体が提供される。電磁波吸収材料であって、前記電磁波吸収材料がマルチフェロイック材料を含み、前記マルチフェロイック材料が、ビスマス(Bi)及び鉄(Fe)を含み、さらにニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)からなる群から選択される1種以上の第1添加元素を含む複合酸化物からなり、前記複合酸化物が、ペロブスカイト(Perovskite)型構造、ダブルペロブスカイト(Double−Perovskite)型構造、ルデルスデンポッパー(Ruddlesden−Popper)型構造及びディオンジャコブソン(Dion−Jacobson)型構造からなる群から選択される1種以上の結晶構造を有し、前記マルチフェロイック材料が吸収する電磁波の周波数は、100MHz以上1THz以下の範囲内にある、材料。

Description

本発明は、電磁波吸収材料及び電磁波吸収体に関する。
情報通信の高速度化や車載用レーダー等の用途でGHz帯の電波通信の発展が、今後予想されている。一方で、電子機器の増大による外部からのノイズ、デバイスの集積化に伴って深刻化している機器内のノイズの干渉対策(EMC対策)が必須である。しかしながら、このようなEMC対策を回路設計単体で行うことは困難な場合が多い。この問題を解決する一手段として、磁性材料又は誘電材料の焼結体、あるいは磁性材、誘電材又は導電材等の複合材料からなる電磁波(電波)吸収材料、及びそれを利用した電磁波吸収体(ノイズ抑制シート)が用いられている。
シート型電磁波吸収体の基本的構成を、断面模式図を用いて、図1に示す。シート型電磁波吸収体(1)は、金属膜(3)で裏打ちされた吸収体(2)で構成されている。吸収体(2)は吸収材料で構成されている。吸収体(2)に入射した入射波(4)は、一部が吸収体表面で反射され、残りは吸収体内部に侵入する。侵入した電磁波は金属膜(3)で反射され、その一部が反射波(5)として吸収体外部へ放射される。電磁波減衰メカニズムは、入射波(4)と反射波(5)の干渉による減衰と吸収体(2)の内部での減衰(吸収)の2つに分類される。前者(干渉による減衰)は、吸収体(2)の厚さと電磁波の波長が特定の関係にあるとき、入射波(4)と反射波(5)が打ち消しあうという現象を利用するものである。しかしながら、吸収体(2)の厚さを厳密に制御する必要があるとともに、減衰される電磁波の周波数が狭帯域に限定される。一方で、後者(吸収体内部での減衰)は、吸収体(2)の損失特性を利用するものであり、広帯域の電磁波を吸収できる利点がある。
損失特性を利用した吸収材料は、導電損失材料、誘電損失材料及び磁気損失材料の3種に大別される。このうち、導電損失材料や誘電損失材料は、電磁波の電界成分によって誘起される物質中の電子の移動による電気抵抗や、イオン及び/又は電子の変位による分極によって、電磁波エネルギーが吸収され、最終的に熱エネルギーに変換される現象を利用している。一方で、磁気損失材料は、電磁波の磁界成分によって物質中の磁気モーメント(スピン)の運動が励起され、電磁波エネルギーが吸収される現象を利用している。損失特性を利用した吸収体は、これを厚くすることで、電磁波吸収量を高めることが可能である。しかしながら、過度に厚い吸収体は、電子機器の小型化の観点から望ましくない。そのため、損失量が大きく、薄肉でも電磁波吸収を十分に行える材料の開発が望まれている。
誘電損失及び磁気損失の一方に着目した文献として、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1が挙げられる。特許文献1には、樹脂及び平均粒径10μm以下の天然黒鉛粉末を含む塗工液の塗膜を乾燥して形成された厚み5〜30μmのシートからなることを特徴とする誘電体シートが開示され、黒鉛粉末と樹脂の混合物は誘電体として機能する旨、シート表面に対する垂直方向から入射する電磁波に対して特に高い誘電率が得られる誘電異方性を示し、シート表面を電磁波が到来する方向に対面させることで、優れた電磁波吸収能力を発揮する旨が記載されている(特許文献1の請求項1、[0013]及び[0016])。
また、特許文献2には、鉄系非晶質合金からなる扁平状の軟磁性粒子と、有機結合剤を主に含有し、前記非晶質合金は、組成式が{Fe(Si1−a100−b、LはAl等であり、10GHzにおける複素比透磁率μ’’が7以上であることを特徴とする電磁干渉抑制体が開示され、10GHzにおける複素比透磁率のμ’’を7以上とすることで、磁気損失による電磁干渉抑制機能を高めることができる旨が記載されている(特許文献2の請求項1及び[0043])。さらに、非特許文献1には、一般に、強誘電体セラミック材料において、MHz帯からGHz帯の間に、自発分極の緩和に起因する誘電損失が生じる旨が記載されている。
一方で、誘電損失と磁気損失の双方に着目した文献として、特許文献3及び非特許文献2が挙げられる。特許文献3には、高誘電性材料と高磁性材料とが複合された複合体からなり、前記複合体中において前記高誘電性材料と前記高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した構造を有することを特徴とする電磁波吸収体が開示され、電磁波の磁界成分及び電界成分の振動方向に対しても高誘電性材料及び高磁性材料が連続しているので、磁気回路及電気回路が分断されることなく、低周波の電磁波を含む広帯域の電磁波に対して高い電磁波吸収特性を備える旨が記載されている。また、非特許文献2には、8.2〜12.4GHzのXバンドにおいて、U型六方晶フェライトBaMn(2−x)ZnFe3660(0≦x≦2)の複素誘電率、透磁率及びマイクロ波吸収特性を調べる旨、BaMnZnFe3660組成を有するサンプルが、マイクロ吸収及び電気磁気干渉の抑制に利用できる旨が記載されている。
特開2011−249614号公報 特開2015−46538号公報 特開2009−94502号公報
T.Teranishi, Broadband spectroscopy of dielectrics and oxygen-ion conductors, Journal of the Ceramic Society of Japan, 157 [7] (2017), 547-551 R.S.Meena et al., Complex permittivity, permeability and microwave absorbing properties of (Mn2-xZnx)U-type hexaferrite, Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 322 (2010), 2908-2914
電子機器等のさらなる高周波化、広帯域化及び小型化の要求に応じて、薄肉で且つ広帯域で電磁波吸収性能(損失特性)が優れた電磁波吸収材料が求められている。そして、この要求に答えるには、電磁波吸収材料の誘電損失及び/又は磁気損失が大きいほど望ましい。
誘電損失及び磁気損失の指標として、比誘電率の虚部と比透磁率の虚部の値が性能指数の一つとして用いられており、これらの値が高いほど損失が大きく、電磁波が早く減衰する。このことを、図2(a)及び(b)を用いて説明する。図2(a)は、吸収材料の比誘電率及び/又は比透磁率の虚部が小さい場合である。この場合には、吸収材料の損失が小さいため、電磁波の減衰量は小さい。一方、図2(b)は、吸収材料の比誘電率及び/又は比透磁率の虚部が高い場合である。この場合には、吸収材料の損失が大きく、入射電磁波のエネルギーが速やかに吸収材料の熱エネルギーに変換され、その結果、電磁波の減衰量が大きい。
また、比誘電率虚部(誘電損失)は誘電損失ピーク周波数で最大となり、比透磁率虚部(磁気損失)は磁気損失ピーク周波数で最大となる。したがって、電磁波吸収材料は、その損失ピーク周波数が目的の周波数帯域にあるとともに、そのときの比誘電率及び比透磁率の虚部の値が高いことが望まれる。
これに加えて、電磁波吸収材料は、その比誘電率と比透磁率の値が同程度であることが望まれる。これは、比誘電率と比透磁率の値が極端に離れていると、吸収材料の特性インピーダンスが空気のインピーダンスと整合(マッチング)しなくなり、その結果、入射電磁波のうち、吸収体表面で反射される割合が多くなり、吸収体内部での吸収効率が低下してしまうからである。これに対して、比誘電率と比透磁率の値を同程度にすることで、インピーダンス不整合による電磁波反射が抑えられ、その結果、誘電損失及び磁気損失の双方を電磁波吸収に効果的に利用できる。そのためには、誘電損失と磁気損失のピーク周波数が近接していることが望ましい。
このように、電磁波吸収材料は、その誘電損失と磁気損失のピーク周波数が近接し且つ比誘電率と比透磁率の値が同程度に高いことが望まれる。
しかしながら、従来の材料では、この要求に答えるには限界があった。大半の材料では、誘電損失と磁気損失の間の相関が小さく、そのため、誘電損失と磁気損失のピーク周波数を近接させ且つ比誘電率と比透磁率の値を同程度とするのは困難であったからである。
例えば、特許文献1及び非特許文献1では誘電損失のみに着目し、特許文献2では磁気損失のみに着目している。そのため、電磁波吸収性能の向上には限界がある。特許文献3では、高誘電性材料と高磁性材料が三次元的に連続した構造を有する電磁波吸収体が開示されている。しかしながら、高誘電性材料と高磁性材料の特性を整合させる必要があり、材料選択の自由度が低いという問題がある。その上、三次元的に連続した複雑な構造を有する複合材料は、製造が困難という問題がある。非特許文献2では、GHz帯域において、同程度の誘電損失及び磁気損失が得られるとされている。しかしながら、この文献で実現されるとされるフェライトは、その組成が非常に限られている。このため、この文献のフェライトでは、偶発的に近接した周波数で誘電損失及び磁気損失がピークとなったにすぎないと考えられる。
本発明者は、今般、詳細な検討を行った結果、特定の組成及び結晶構造を有する複合酸化物がマルチフェロイック材料となり得ること、及びこのマルチフェロイック材料を用いることで、従来と同程度の肉厚であるにもかかわらず、より広帯域で優れた電磁波吸収性能を示す電磁波吸収体が得られるとの知見を得た。
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、従来と同程度の肉厚であるにもかかわらず、より広帯域で優れた電磁波吸収性能を示す電磁波吸収材料及び電磁波吸収体の提供を課題とする。
本発明は、下記(1)〜(10)の態様を包含する。なお、本明細書において、「〜」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち、「X〜Y」は「X以上Y以下」と同義である。
(1)電磁波吸収材料であって、
前記電磁波吸収材料がマルチフェロイック材料を含み、
前記マルチフェロイック材料が、ビスマス(Bi)及び鉄(Fe)を含み、さらにニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)からなる群から選択される1種以上の第1添加元素を含む複合酸化物からなり、
前記複合酸化物が、ペロブスカイト(Perovskite)型構造、ダブルペロブスカイト(Double−Perovskite)型構造、ルデルスデンポッパー(Ruddlesden−Popper)型構造及びディオンジャコブソン(Dion−Jacobson)型構造からなる群から選択される1種以上の結晶構造を有し、
前記マルチフェロイック材料が吸収する電磁波の周波数は、100MHz以上1THz以下の範囲内にある、材料。
(2)前記マルチフェロイック材料は、誘電損失ピーク周波数(ω)及び磁気損失ピーク周波数(ω)の両方が100MHz以上1THz以下の範囲内にある、上記(1)の材料。
(3)鉄(Fe)のモル量(XFe)に対する第1添加元素の合計モル量(Y)の比(Y/XFe)が、0.00超4.00以下である、上記(1)又は(2)の材料。
(4)前記複合酸化物が、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、希土類元素(RE)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1種以上の第2添加元素をさらに含む、上記(1)〜(3)のいずれかの材料。
(5)前記複合酸化物中のビスマス(Bi)のモル量(XBi)に対する亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、希土類元素(RE)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1種以上の第2添加元素の合計モル量(Y)の比(Y/XBi)が、0.00以上0.80以下である、上記(1)〜(4)のいずれかの材料。
(6)前記電磁波吸収材料が、粉末、成形体又は焼結体である、上記(1)〜(5)のいずれかの材料。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかの材料を含有する、電磁波吸収体。
(8)前記電磁波吸収材料が粉末であり、該粉末と母材とからなり、該粉末が母材中に分散されてなる、上記(7)の電磁波吸収体。
(9)前記母材が、有機物、高分子、ガラス及びセラミックスからなる群から選択される1種以上の材料からなる、上記(8)の電磁波吸収体。
(10)前記電磁波吸収材料が焼結体である、上記(7)の電磁波吸収体。
本発明によれば、従来と同程度の肉厚であるにもかかわらず、より広帯域で優れた電磁波吸収性能を示す電磁波吸収材料及び電磁波吸収体が提供される。
電磁波吸収体の概念図である。 電磁波の減衰メカニズムを示す図である。 実施例及び比較例サンプルの電磁波吸収特性を示す図である。
本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
電磁波吸収材料
本実施形態の電磁波吸収材料は、マルチフェロイック材料を含む。このマルチフェロイック材料は、ビスマス(Bi)及び鉄(Fe)を含む複合酸化物からなる。この複合酸化物は、さらにニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)からなる群から選択される1種以上の第1添加元素を含む。また、この複合酸化物は、ペロブスカイト(Perovskite)型構造、ダブルペロブスカイト(Double−Perovskite)型構造、ルデルスデンポッパー(Ruddlesden−Popper)型構造及びディオンジャコブソン(Dion−Jacobson)型構造からなる群から選択される1種以上の結晶構造を有する。さらに、このマルチフェロイック材料は、材料が吸収する電磁波の周波数が100MHz以上1THz以下の範囲内にある。
マルチフェロイック材料とは、磁気秩序及び電気分極秩序が共存する材料のことである。ここで、磁気秩序とは、強磁性や反強磁性など、物質中の磁気モーメント(スピン)間に強い相互作用(交換相互作用、超交換相互作用)があり、磁気モーメントの方向に秩序性が存在する状態を意味する。また、電気分極秩序とは、強誘電性や反強誘電性など、物質中の電子及び/又はイオンの変位に基づく電気分極(自発分極)が生じ、それらの分極の間に秩序性がある性質を意味する。マルチフェロイック材料は、誘電体及び磁性体を含む複合材料とは異なり、単一物質であるにもかかわらず、磁気秩序及び電気分極秩序、例えば、強磁性及び強誘電性が共存する。また、マルチフェロイック材料のうち、磁気秩序及び電気分極秩序の間に強い相関がある材料は、高い電気磁気効果を有しており、磁場による電気分極の誘起及び/又は電場による磁化の誘起が可能である。
マルチフェロイック材料は、磁化及び電気分極のそれぞれの向きを制御することが可能であり、多値メモリへの適用を目指して注目されている。また、高い電気磁気効果を有するマルチフェロイック材料は、電場や磁場によるON−OFF制御可能な次世代メモリへの適用が期待されている。
本実施形態の電磁波吸収材料は、マルチフェロイック材料を含み、GHz帯域を含む広帯域における電磁波吸収材料として有用である。これは、本実施形態で特定される組成を有するマルチフェロイック材料は、磁気秩序及び電気分極秩序を有しており、GHz帯域を含む広帯域で、磁気損失及び誘電損失のそれぞれに寄与する比透磁率虚部及び比誘電率虚部が高いためである。その上、このマルチフェロイック材料は、磁気秩序及び電気分極秩序の間に強い結合があり、磁気損失及び誘電損失が近接した周波数で極大(ピーク)となる。そのため、インピーダンス不整合による電磁波反射が抑えられるとともに、誘電損失及び磁気損失の双方を効果的に電磁波吸収に利用でき、その結果、従来と同程度の肉厚であるにもかかわらず、より広帯域で優れた電磁波吸収性能が得られる。
電磁波吸収材料に含まれるマルチフェロイック材料は、ビスマス(Bi)及び鉄(Fe)を含む複合酸化物からなる。ここで、ビスマス(Bi)及び鉄(Fe)は複合酸化物の結晶構造の骨格を形成する主要構成元素となるものである。すなわち、マルチフェロイック材料は、ビスマス(Bi)−鉄(Fe)系複合酸化物からなる。ビスマス(Bi)−鉄(Fe)系複合酸化物で構成し且つ後述する結晶構造とすることで、室温でマルチフェロイック現象が発現する。
電磁波吸収材料に含まれる複合酸化物(マルチフェロイック材料)は、ペロブスカイト(Perovskite)型構造、ダブルペロブスカイト(Double−Perovskite)型構造、ルデルスデンポッパー(Ruddlesden−Popper)型構造及びディオンジャコブソン(Dion−Jacobson)型構造からなる群から選択される1種以上の結晶構造を有する。ここで、ペロブスカイトは、一般式ABOで表される結晶構造であり、ダブルペロブスカイトは、一般式ABB’Oで表される結晶構造である。また、ルデルスデンポッパーは、一般式An+13n+1で表される結晶構造であり、ディオンジャコブソンは、一般式A’An−13n+1で表される結晶構造である。
ダブルペロブスカイト、ルデルスデンポッパー及びディオンジャコブソンは、ペロブスカイト類似の構造であり、ペロブスカイトと同様の電磁波吸収特性が得られる。なお、上記一般式において、所望の結晶構造が得られる限り、組成の揺らぎは許容される。例えば、ペロブスカイトの一般式ABOにおいて、AとBの比は厳密に「1:1」である必要はなく、ペロブスカイト型結晶構造を示す限り、比のずれは許容される。また、結晶構造中イオンの価数によっては、酸素空孔などの格子欠陥が存在する場合があり、その場合は、一般式における酸素(O)量がずれることもある。
従来知られている材料のうち、室温でマルチフェロイック現象を示す材料は少ない。これは、一般に磁気秩序及び電気分極秩序は温度上昇と共に解消される傾向にあるためである。これに対して、ペロブスカイト型結晶構造を有するビスマス(Bi)−鉄(Fe)系複合酸化物は、強誘電性キュリー温度及び反強磁性ネール温度(又は強磁性キュリー温度)が高く、そのため、室温でもマルチフェロイック現象を示す。また、ダブルペロブスカイト、ルデルスデンポッパー及びディオンジャコブソン型結晶構造を有するビスマス(Bi)−鉄(Fe)系複合酸化物は、その結晶構造がペロブスカイト型構造と類似するが故に、室温でマルチフェロイック現象を示す。
電磁波吸収材料に含まれる複合酸化物(マルチフェロイック材料)は、さらにニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)からなる群から選択される1種以上の第1添加元素を含む。このような第1添加元素を含むことで、材料の巨視的な磁化を高める効果がある。すなわち、第1添加元素を含まないビスマス(Bi)−鉄(Fe)系複合酸化物は、巨視的な自発分極を有するものの、巨視的な磁化がほぼ無い。これは、鉄(Fe)イオンによる磁気モーメント(スピン)は、酸素(O)イオンを介した超交換相互作用により反平行結合(反強磁性結合)するからである。一方で、鉄(Fe)と同様に3d遷移金属に属する第1添加元素(Ni、Co、Mn及びCr)は、複合酸化物中でイオン化して、鉄(Fe)イオンと容易に置換する。イオン化した第1添加元素は、鉄(Fe)イオンとは磁気モーメントの大きさが異なるとともに材料内の磁気秩序を変える。この結果、磁気モーメント(スピン)の相殺が抑えられ、全体として磁化が発現する。
鉄(Fe)のモル量(XFe)に対する第1添加元素の合計モル量(Y)の比(Y/XFe)は、0.00超4.00以下が好ましい。磁化を高める観点から、第1添加元素がある程度含有されることが望ましい。しかしながら、第1添加元素が過度に多いと、異相が多くなり、電磁波吸収性能が劣化する恐れがある。Y/XFeは、0.01以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。また、Y/XFeは、1.00以下がより好ましく、0.50以下がさらに好ましい。特に、複合酸化物がペロブスカイト型構造を有する場合には、Y/XFeは、0.01以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。また、Y/XFeは、0.50以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましい。
複合酸化物(マルチフェロイック材料)は、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、希土類元素(RE)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1種以上の第2添加元素をさらに含んでいてもよい。ここで、希土類元素(RE)は、周期律表で原子番号57のランタン(La)から原子番号71のルテチウム(Lu)からなるランタノイド元素に加えて、原子番号21のスカンジウム(Sc)及び原子番号39のイットリウム(Y)を加えた元素の総称である。第2添加元素は、複合酸化物中のビスマス(Bi)及び鉄(Fe)のいずれか一方又は両方を置換する。第2添加元素には、誘電損失と磁気損失のバランスを調節する作用がある。
複合酸化物中のビスマス(Bi)のモル量(XBi)に対する亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、希土類元素(RE)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1種以上の第2添加元素の合計モル量(Y)の比(Y/XBi)は、0.00以上0.80以下であるのが好ましい。第2添加元素をある程度の量で含有することで、複合酸化物の誘電損失及び磁気損失のバランスを調節できる。しかしながら、第2添加元素が過度に多いと、異相が多くなり、電磁波吸収性能が劣化する恐れがある。Y/XBiは、0.01以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。また、Y/XBiは、0.50以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましい。特に、複合酸化物がペロブスカイト型構造を有する場合には、Y/XBiは、0.01以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。また、Y/XBiは、0.50以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましい。複合酸化物は、第2添加元素を含まなくともよい。
本実施形態の複合酸化物(マルチフェロイック材料)は、この材料が吸収する電磁波の周波数が100MHz以上1THz以下の範囲内にある。このことは、誘電損失ピーク周波数(ω)及び磁気損失ピーク周波数(ω)の両方が、100MHz以上1THz以下の範囲内にあることを意味する。ここで、誘電損失ピーク周波数(ω)及び磁気損失ピーク周波数(ω)は、それぞれ誘電率虚部又は透磁率虚部が極大値(ピーク)をとる周波数(誘電共鳴周波数、磁気共鳴周波数)のことである。誘電損失ピーク周波数(ω)及び磁気損失ピーク周波数(ω)は、100MHz以上100GHz以下が好ましく、1GHz以上100GHz以下がより好ましい。さらに、誘電損失と磁気損失のピーク周波数が近接することで、GHz帯域を含む広帯域での電磁波吸収性能を優れたものとすることが可能である。誘電損失ピーク周波数(ω)と磁気損失ピーク周波数(ω)は、その差(|Δω|)が、5GHz以下であるのが好ましく、3GHz以下であるのがより好ましく、1GHz以下であるのがさらに好ましい。
また、複合酸化物は、その帯磁率を1×10−2以上とするのが好ましい。帯磁率を1×10−2以上に限定することで、磁気秩序(強磁性)に基づく磁気損失が十分に発揮され、電磁波吸収性能がより優れたものとなる。帯磁率は、5×10−2以上がより好ましく、1×10−1以上がさらに好ましい。帯磁率の上限は、特に限定されるものではないが、典型的には10以下であり、より典型的には3以下である。
複合酸化物は、その平均粒径が5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。電磁波吸収材料の粒径が過度に大きいと、この材料を含む電磁波吸収体が、表面平滑性に劣るものとなることがある。また、電磁波吸収材料の粒径を大きくするには、焼成温度を高める必要があり、ビスマス(Bi)等の蒸気圧の高い成分が揮発してしまい、組成制御が困難となる場合がある。
複号酸化物は、その結晶子径が5nm以上200nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下がより好ましい。結晶子径が過度に小さいと、結晶性に劣るものとなってしまい、誘電損失及び磁気損失が低下する恐れがある。一方で、結晶子径を過度に大きくするには焼成温度を高める必要があり、組成制御が困難となる恐れがある。
なお、電磁波吸収材料は、マルチフェロイック材料(複合酸化物)を含んでいればよく、他の成分の含有を排除するものでない。例えば、複合酸化物製造時に混入する不可避不純物は許容される。また、上述の結晶構造を有する複合酸化物以外の異相が含有されていてもよい。さらに、焼結助剤等の添加成分が含有されていてもよい。しかしながら、電磁波吸収性能の観点から、マルチフェロイック材料(複合酸化物)の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。電磁波吸収材料が、マルチフェロイック材料(複合酸化物)のみから構成されていてもよい。
マルチフェロイック材料(複合酸化物)は、所望の電磁波吸収性能が得られる限り、ビスマス(Bi)、鉄(Fe)、酸素(O)、第1添加元素(Ni、Co、Mn及びCr)及び第2添加元素(Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、Pb、RE、Ti、Nb、Zr、Al、Cu及びTa)以外の元素の包含を排除するものでない。しかしながら、ビスマス(Bi)、鉄(Fe)、酸素(O)、第1添加元素及び第2添加元素の含有量は、合計で80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましく、95mol%以上がさらに好ましく、99mol%以上が特に好ましい。
電磁波吸収材料は、その形態が限定されるものではない。すなわち、バルク状であってもよく、粉末状であってもよい。また、単結晶であってもよく、多結晶であってもよい。例えば、電磁波吸収材料は、粉末、成形体又は焼結体であってもよい。さらに、電磁波吸収材料は、薄膜であってもよく、厚膜であってもよい。
電磁波吸収材料は、通常のセラミックス材料と同様の手法で製造することができる。例えば、構成金属の酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物及び/又は硝酸塩を混合し、さらに焼成反応させる固体間反応法が挙げられる。また、ゾルゲル法、錯体重合法、凍結乾燥法、噴霧熱分解法などの手法で構成金属を含む酸化物混合物を作製し、この混合物を焼成反応させる手法が挙げられる。焼成の条件は、所望の組成及び結晶構造を有する材料が得られる限り限定されるものではない。例えば、300℃〜1000℃の温度で30分〜10時間保持する条件が挙げられる。
本実施形態の電磁波吸収材料は、従来と同程度の肉厚であるにもかかわらず、より広帯域で優れた電磁波吸収性能が得られる。その上、通常のセラミックス材料と同様の手法で作製でき、簡易且つ安価に得ることができる。
電磁波吸収体
本実施形態の電磁波吸収体は、上記電磁波吸収材料を含有する。含有される電磁波吸収材料の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、粉末や焼結体が例示される。電磁波吸収材料が粉末である場合、粉末と母材とからなり、この粉末が母材中に分散されてなる態様としてもよい。この場合、母材が、有機物、高分子、ガラス及びセラミックスからなる群から選択される1種以上の材料からなるのが好ましい。また、母材中の分散性を改善するために、粉末表面に表面処理層を設けてもよく、母材中に粉末以外の他の添加剤を加えてもよい。
電磁波吸収体の使用態様は、特に限定されるものではなく、既知の態様とすればよい。例えば、焼結体からなる電磁波吸収体は、構造物の電磁波吸収タイルとすることが可能である。また、母材中に分散させた粉末状電磁波吸収材料を用いて、バルク状又はシート状の電磁波吸収体としてもよい。バルク状又はシート状の電磁波吸収体は、電子機器の筐体又は電子部品のパッケージなどに用いることができる。さらに、電磁波吸収体は、基体上に設けた塗膜であってもよい。このような塗膜は、例えば、粉末状電磁波吸収材料に、溶媒と、必要に応じてバインダーや分散剤などを加えてペースト状とし、得られたペーストを基体表面に塗布及び乾燥させて形成することができる。
本実施形態を、以下の例によってさらに具体的に説明する。
(1)電磁波吸収材料の作製
例1
電磁波吸収材料の作製を、以下のとおり行った。
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)及び硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を準備し、これらの原料を秤量した後、硝酸に溶かして原料液とした。この際、得られる生成物が表1に示す組成となり、生成物量が10gとなるように秤量を行った。次に、得られた原料溶液に、クエン酸やエチレンジアミン4酢酸を加えて、前駆体溶液を作製した。得られた前駆体溶液を加熱して溶媒を揮発させ、前駆体粉末を得た。その後、得られた前駆体粉末をプレス成型し、得られた成型体を焼成して、焼結体からなる電磁波吸収材料を作製した。焼成は950℃で5時間保持する条件で行った。
得られた焼結体(電磁波吸収体)から、評価用サンプルを作製した。一部の焼結体を粉砕して結晶構造、自発分極及び帯磁率評価用サンプルとして用いた。また、100MHzから20GHzにおける誘電率及び透磁率評価用サンプルとして、焼結体を外径7mm、内径1.5mm、厚み1.5mmのトロイダル形状となるように加工した。
例2
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)及び硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物の組成が表1に示される組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製を行った。評価に関して、例1と同様の評価を行うことに加えて、20GHzから110GHzにおける誘電率及び透磁率の評価を行った。焼結体を120mm×120mm×1mmの板状となるように加工して、20GHzから110GHzにおける誘電率及び透磁率評価用サンプルとした。このサンプルは、例1と同様の手法を用いて、新たに150gの焼結体を作製して用意した。
例3
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)及び硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例4
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)、硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)及び硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例5
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)、硝酸ネオジム六水和物(Nd(NO・6HO)、硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例6
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)、硝酸カルシウム四水和物(Ca(NO・4HO)、硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例7
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)、硝酸ネオジム六水和物(Nd(NO・6HO)及び硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例8
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)及び硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物の組成が表1に示される組成となるように秤量した。前駆体溶液および前駆体粉末を得るところまでは例1〜7と同様にして行った。その後、プレス成型し、600℃で2時間保持する条件で焼成して、評価についても例1〜7と同様に行った。つまり、例8は例2と同様の組成で焼成条件を変更した例である。
例9
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)、硝酸ネオジム六水和物(Nd(NO・6HO)及び硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例8と同様の条件で、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。つまり、例9は例7と同様の組成で焼成条件を変更した例である。
例10(比較例)
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)及び硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例11(比較例)
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)及び硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例8と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。つまり、例11は例10と同様の組成で焼成条件を変更した例である。
例12(比較例)
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)及び硝酸ネオジム六水和物(Nd(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例13(比較例)
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(
Fe(NO・9HO)及び硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例14(比較例)
原料として、硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO・5HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)、硝酸ネオジム六水和物(Nd(NO・6HO)及び硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収材料の作製と評価を行った。
例15(比較例)
原料として、硝酸ストロンチウム四水和物(Sr(NO・4HO)、硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)、硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)及びチタンテトラブトキシド(Ti(OC)を用い、得られる生成物が表1に示す組成となるように秤量を行い、焼成を1200℃で5時間保持する条件で行った以外は、例1と同様にして、電磁波吸収体の作製と評価を行った。例12は、その組成が例1〜14とは大きく異なることから、焼成条件を変更した。この生成物の組成は、強磁性を有するが強誘電性を持たないマグネトプラムバイト型六方晶フェライトの組成である。
(2)評価
例1〜例15において、得られた電磁波吸収材料について、各種特性の評価を、以下のとおり行った。
<結晶構造及び結晶子径>
電磁波吸収材料の結晶構造を、X線回折法(XRD)により調べた。また、回折ピークの半価幅から、デバイ・シェラーの式を用いて結晶子径を算出した。得られた結果を表1に示す。
<強誘電性及び強磁性>
電磁波吸収材料の帯磁率を室温で測定し、この材料の強磁性の有無を確認した。また、電磁波吸収材料の自発分極の有無を圧電応答顕微鏡を用いて調べ、この材料の強誘電性の有無を確認した。得られた結果を表1に示す。
<誘電率及び透磁率>
電磁波吸収材料の、100MHzから20GHzの周波数帯域における誘電率と透磁率を、次のようにして測定した。すなわち、同軸導波管法により、ベクトルネットワークアナライザを用いて、得られたサンプルの反射及び透過特性を得、この反射及び透過特性から複素比誘電率(ε=ε’−jε’’)と複素比透磁率(μ=μ’−jμ’’)を算出した。ここで、ε’及びε’’はそれぞれ複素比誘電率の実部及び虚部であり、μ’及びμ’’はそれぞれ複素比透磁率の実部及び虚部である。また、jは虚数単位である。
誘電損失ピーク周波数(ω)及び磁気損失ピーク周波数(ω)のそれぞれは、上記計測周波数範囲における誘電率と透磁率の各虚部が極大値をとる周波数から求めた。測定結果から、誘電損失ピーク時の比誘電率虚部(ε’’)及び磁気損失ピーク時の比透磁率虚部(μ’’)、及び誘電損失ピーク周波数(ω)と磁気損失ピーク周波数(ω)の差(|Δω|)を求めた。得られた結果を表1に示す。実施例2のサンプルについては、上記測定に加えて、20GHzから110GHzの反射及び透過特性を、フリースペース法により測定し、この反射及び透過特性から同周波数帯域の誘電率及び透磁率を算出した。
(3)結果
例10はよく知られたマルチフェロイック材料であるBiFeOである。表1に示すように、ペロブスカイト構造を有することを確認し、自発分極も確認された。しかしながら、帯磁率の値は5×10−4と非常に小さかった。これは、BiFeOにおいては、磁性イオンである鉄イオン(Fe3+)の磁化は、異なるサイト間の反強磁性的結合等によって、磁場に対する応答が非常に小さいためと考えられる。表1を見るに、例10は、比誘電率虚部(ε’’)が高く、誘電損失は期待できる。しかしながら、比透磁率虚部(μ’’)の値は非常に小さく、十分な磁気損失が得られていない。これは、帯磁率に示されるように、BiFeOでは磁場に対して応答する磁化が殆どないためと推測される。この結果、例10は従来の誘電損失のみを活用する吸収体と同様に、磁気損失は殆ど生じないと考えられる。また、比誘電率虚部(ε’’)のピークは確認できたものの、比透磁率虚部(μ’’)の明確なピークは確認できず、ピーク周波数の差(|Δω|)は求められなかった。
例1は、例10にコバルト(Co)元素を添加したものである。例10と同様にペロブスカイト構造と自発分極を確認できるとともに、帯磁率は40倍程度にまで増大している。これは、コバルト(Co)添加によって、BiFeOで生じていた磁化の打ち消しが弱まり、弱い強磁性を示すようになったためと考えられる。表1に示されるように、例1は、例10と同程度の誘電損失が得られつつ、比透磁率虚部(μ’’)の値が大きく増大している。これは、帯磁率の増加に起因すると考えられる。この結果、比誘電率虚部(ε’’)に加えて比透磁率虚部(μ’’)のピークが確認されるとともに、ピーク周波数の差(|Δω|)が小さく、2つの損失のピーク周波数が非常に近接していることが分かった。このことは、例1の材料における誘電損失と磁気損失の相関を示唆しており、マルチフェロイック材料に起因した現象と考えられる。
例1は、誘電損失及び磁気損失の双方が近接した周波数で起こることで、両方の損失を活用した電磁波吸収体となっている。また、比誘電率虚部(ε’’)と比透磁率虚部(μ’’)の値も近いことからインピーダンスマッチングが実現させやすく、高い吸収能を持つ電磁波吸収材料の実現に優位に働く。加えて、比誘電率虚部(ε’’)及び比透磁率虚部(μ’’)は共にブロードなピークを示し、測定を行った100MHzから20GHzの全体で有限値をとった。
なお、粉末の結晶子径を算出したところ、例1は例10とともに60〜70nm程度の値であり、添加元素の影響は小さいと考えられる。また、粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、例1と例10は、ともに結晶子が弱く凝集したアグロメレート的な形状をしていた。そのため、粒径の評価は難しいが、60nm〜1μm程度のものが分散していると予想される。
例2及び例3は、例1と同様にBiFeOの鉄(Fe)の一部をコバルト(Co)で置換した例であり、置換量を例1に比べて増やしている。その結果、例1と同じペロブスカイト構造が存在するとともに、異相が存在した。また、異相の量はCo添加量を増した例3のほうが多い結果となった。今回用いた合成法では、BiFeO中にコバルト(Co)が固溶できる量に限度があることを示唆している。しかしながら、ペロブスカイト構造の比率が高いため、強誘電性と強磁性を保持している。それに加えて、コバルト(Co)量を増やしていることから、帯磁率の上昇を確認した。また、誘電損失と磁気損失が近接して生じている。注目すべきは、例1と比べて比透磁率虚部(μ’’)の最大値は増加し、比誘電率虚部(ε’’)の最大値は低下していることであり、これは、元素置換量で、電磁波の電界成分と磁界成分の吸収量のバランスを制御できることを示している。
なお、例2については、20GHzから110GHzの周波数範囲においても誘電率及び透磁率の測定を行った。その結果、双方の虚部の値は80〜90GHz程度までは有限な値であることが分かった。このことは、本実施形態のマルチフェロイック材料がGHz帯を含む広い周波数の電磁波に対して損失を起こす能力を持つことを示している。この原因として、一般に強誘電体セラミック材料で、MHz帯からGHz帯の間で自発分極の緩和に起因する誘電損失が生じることが知られており、マルチフェロイック材料において、この損失が磁気損失にも波及したと考えられる。
例4は、例2とは異なり、鉄(Fe)の一部をニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)で置換した例であるが、例2と類似の構造及び特性が得られている。また、クロム(Cr)による置換でも同様の効果が得られることを確認した。
例5及び例6は、例1におけるビスマス(Bi)の一部を、それぞれ、ネオジム(Nd)又はカルシウム(Ca)で置換した例である。例1と同様に、ペロブスカイト構造及び有限の自発分極が確認できるとともに、例1と同程度の帯磁率が確認できた。また、例1に比べて、若干ではあるが、比誘電率虚部(ε’’)及び比透磁率虚部(μ’’)双方の最大値に上昇がみられた。ネオジム(Nd)及びカルシウム(Ca)以外の第2添加元素についても、少量の置換であれば、マルチフェロイック性は失われることなく誘電及び磁気特性が若干変化し、電磁波吸収性能を調整できることを確認した。
例7は、例2におけるビスマス(Bi)の一部をネオジム(Nd)で置換した例である。ただし、例5及び例6に比べてビスマス(Bi)の置換量を増加させている。例7では、例2と同様に、ペロブスカイト構造とともに一部の異相が生じ、異相の割合が増加した。また、例2と比べて、比誘電率虚部(ε’’)の最大値は低下し、比透磁率虚部(μ’’)の最大値は増加している。比誘電率虚部(ε’’)の低下は例5及び例6では起こらなかったことから、異相との関係性が示唆される。
例8は、その組成が例2と同じであり、前駆体粉末までは例2と同じ条件で作製したものである。ただし、焼結体を作る際、600℃で2時間保持する条件で焼成を行った。焼成温度を下げたことで、例2に比べて結晶子径の低下を確認した。また、例2と同様に異相が現れているものの、異相の割合が低下していた。この原因として、950℃の焼成条件では、一部のぺロブスカイト構造が分解して、他の構造に変化してしまうことが考えられる。誘電及び磁気特性に注目すると、例2と比較して比誘電率虚部(ε’’)はそれほど変化がないものの、比透磁率虚部(μ’’)には有意な増加が見られた。これは、異相の減少に起因したものと考えられる。
例9は、その組成が例7と同様であるが、例8と同様に600℃で2時間保持する条件で焼成を行ったものである。例7に比べて異相の割合が低下しているとともに、比透磁率虚部(μ’’)の増加を確認した。この原因として、例8の場合と同様に、焼成温度を下げたことでぺロブスカイト構造の分解が抑えられたことが挙げられる。
例2〜例9では、例1と同様に、比誘電率虚部(ε’’)及び比透磁率虚部(μ’’)は、100MHzから20GHzの全体で有限値をとり、誘電損失及び磁気損失の両方を活用した電磁波吸収体となっていた。
例11は、例8及び例9と同様に、600℃で2時間保持する条件で焼成を行ったものである。ただし、その組成は、例10と同じBiFeOであり、Cr、Mn、Co及びNiのいずれの添加も行わなかった。例10と比較して、比誘電率虚部(ε’’)および比透磁率虚部(μ’’)の変化はほとんど見られなかった。
例2、例8、例10及び例11について、1GHz〜20GHzにおける吸収特性(反射減衰量(RL))を比較した結果を図3に示す。この反射減衰量(RL、単位:dB)は、複素比誘電率(ε=ε’−jε’’)と複素比透磁率(μ=μ’−jμ’’)を用いて、インピーダンス(Zin)を下記式(2)により求め、このインピーダンス(Zin)を用いて下記式(1)により算出したものである。なお、下記式(2)において、fは周波数、dはサンプル厚さ、cは光速を表す。図3ではd=3mmとして吸収特性を計算している。
Figure 0006733857
Figure 0006733857
誘電損失を有するものの、磁気損失が小さい例10及び例11では、90%(−10dB)以上の吸収が起こる帯域は7〜10GHzと3GHz程度である。これに対して、誘電損失及び磁気損失が近接して生じる例2及び例8では、5GHz〜20GHz超の帯域で90%以上の吸収が起こっている。このことより、より広帯域で機能する吸収体が実現されていることが確認された。また、例8では、例2と比べて、特に10GHz超において吸収量の増加を確認した。これは、透磁率虚部(μ’’)の向上に起因すると考えられる。
例12では、例7と比較して、ビスマス(Bi)のネオジム(Nd)置換量は同程度であるが、鉄(Fe)のコバルト(Co)置換を行わなかった。帯磁率と比透磁率虚部(μ’’)が大きく低下し、例7と比較して電磁波吸収体としての性能が低下していることが分かる。
例13は、鉄(Fe)量に対するコバルト(Co)量を過剰としたものであり、例14は、ビスマス(Bi)量に対するネオジム(Nd)量を過剰にしたものである。それぞれについて、過剰な元素添加に起因すると考えられるペロブスカイト構造の消失及び自発分極の消失がみられる。その結果、比誘電率虚部(ε’’)が低下するとともに、誘電損失と磁気損失が異なる周波数で生じるようになり、電磁波吸収性能が大きく低下する。
例15は、マルチフェロイック材料ではない、強磁性を示すマグネトプラムバイト型フェライトにおいて同様の測定を行ったものである。誘電損失ピーク及び磁気損失ピークのそれぞれが見られたが、ピーク周波数が異なっていた。これは、マルチフェロイック材料のように、電気分極秩序と磁気秩序の結合がないためと考えられる。
Figure 0006733857

Claims (10)

  1. 電磁波吸収材料であって、
    前記電磁波吸収材料がマルチフェロイック材料を含み、
    前記マルチフェロイック材料が、ビスマス(Bi)及び鉄(Fe)を含み、さらにニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)からなる群から選択される1種以上の第1添加元素を含む複合酸化物からなり、
    前記複合酸化物が、ペロブスカイト(Perovskite)型構造、ダブルペロブスカイト(Double−Perovskite)型構造、ルデルスデンポッパー(Ruddlesden−Popper)型構造及びディオンジャコブソン(Dion−Jacobson)型構造からなる群から選択される1種以上の結晶構造を有し、
    前記マルチフェロイック材料が吸収する電磁波の周波数は、100MHz以上1THz以下の範囲内にある、材料。
  2. 前記マルチフェロイック材料は、誘電損失ピーク周波数(ω)及び磁気損失ピーク周波数(ω)の両方が100MHz以上1THz以下の範囲内にある、請求項1に記載の材料。
  3. 鉄(Fe)のモル量(XFe)に対する第1添加元素の合計モル量(Y)の比(Y/XFe)が、0.00超4.00以下である、請求項1又は2に記載の材料。
  4. 前記複合酸化物が、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、希土類元素(RE)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1種以上の第2添加元素をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の材料。
  5. 前記複合酸化物中のビスマス(Bi)のモル量(XBi)に対する亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、希土類元素(RE)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1種以上の第2添加元素の合計モル量(Y)の比(Y/XBi)が、0.00以上0.80以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の材料。
  6. 前記電磁波吸収材料が、粉末、成形体又は焼結体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の材料を含有する、電磁波吸収体。
  8. 前記電磁波吸収材料が粉末であり、該粉末と母材とからなり、該粉末が母材中に分散されてなる、請求項7に記載の電磁波吸収体。
  9. 前記母材が、有機物、高分子、ガラス及びセラミックスからなる群から選択される1種以上の材料からなる、請求項8に記載の電磁波吸収体。
  10. 前記電磁波吸収材料が焼結体である、請求項7に記載の電磁波吸収体。
JP2020523826A 2019-02-20 2019-12-26 電磁波吸収材料及び電磁波吸収体 Expired - Fee Related JP6733857B1 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019028326 2019-02-20
JP2019028326 2019-02-20
JP2019077731 2019-04-16
JP2019077731 2019-04-16
PCT/JP2019/051314 WO2020170608A1 (ja) 2019-02-20 2019-12-26 電磁波吸収材料及び電磁波吸収体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6733857B1 true JP6733857B1 (ja) 2020-08-05
JPWO2020170608A1 JPWO2020170608A1 (ja) 2021-03-11

Family

ID=71892257

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020523826A Expired - Fee Related JP6733857B1 (ja) 2019-02-20 2019-12-26 電磁波吸収材料及び電磁波吸収体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6733857B1 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2020170608A1 (ja) 2021-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Vinnik et al. Structure and magnetodielectric properties of titanium substituted barium hexaferrites
Liu et al. Zr 4+ doping-controlled permittivity and permeability of BaFe 12− x Zr x O 19 and the extraordinary EM absorption power in the millimeter wavelength frequency range
Ahmad et al. Characterization of Sr-substituted W-type hexagonal ferrites synthesized by sol–gel autocombustion method
Ahmad et al. Magnetic and microwave attenuation behavior of Al-substituted Co2W hexaferrites synthesized by sol-gel autocombustion process
Sözeri et al. Magnetic and microwave properties of BaFe12O19 substituted with magnetic, non-magnetic and dielectric ions
Shirsath et al. Co–Al-substituted strontium hexaferrite for rare earth free permanent magnet and microwave absorber application
US8758721B2 (en) Enhanced hexagonal ferrite material and methods of preparation thereof
Su et al. Low-loss magneto-dielectric materials: Approaches and developments
Hoque et al. Study of the bulk magnetic and electrical properties of MgFe 2 O 4 synthesized by chemical method
Narang et al. Single-layer & double-layer microwave absorbers based on Co–Ti substituted barium hexaferrites for application in X and Ku-band
Lee et al. Absorption-dominant mmWave EMI shielding films with ultralow reflection using ferromagnetic resonance frequency tunable M-type ferrites
Hojjati-Najafabadi et al. Magneto-electric features of BaFe9. 5Al1. 5CrO19-CaCu3Ti4O12 nanocomposites
Sadiq et al. Tunable microwave absorbing nano-material for X-band applications
Nikmanesh et al. Erbium-chromium substituted strontium hexaferrite particles: Characterization of the physical and Ku-band microwave absorption properties
Kaur et al. Microwave absorption behavior and electromagnetic properties of Ni-Zr doped La-Sr hexagonal ferrite synthesized by auto-combustion method
Turky et al. Tuning the optical, electrical and magnetic properties of Ba 0.5 Sr 0.5 Ti x M 1− x O 3 (BST) nanopowders
Stergiou et al. Rare earth substituted hexagonal ferrites for electromagnetic absorber applications. Recent advances and critical issues
Gajula et al. High frequency studies on dielectric, impedance and Nyquist properties of BaTiO 3–Li 0.5 Fe 2.5 O 4 composite ceramics substituted with Sm and Nb for microwave device applications
Aggarwal et al. X-band microwave analysis and characterization of zinc substituted nickel ferrites prepared by sol–gel citrate route
Sözeri et al. Microwave properties of BaFe11Mg2+ 0.25 X2+ 0.25 Ti4+ 0.25 O19 (X2+= Cu, Mn, Zn, Ni and Co) nanoparticles in 0–26.5 GHz range
Jamalian et al. Sol–gel synthesis of Mn–Sn–Ti-substituted strontium hexaferrite nanoparticles: structural, magnetic, and reflection-loss properties
Shahid et al. Impact of erbium substitution on structural, dielectric, spectral, and microwave absorption properties of Ba3Co2Fe24O41 Z-type hexa-ferrites for microwave devices applications
Vinnik et al. Ferrite-based solid solutions: structure types, preparation, properties, and potential applications
Rajan et al. Multiferroic and magneto-dielectric properties in Fe doped BaTiO 3
WO2020170608A1 (ja) 電磁波吸収材料及び電磁波吸収体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200427

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200427

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200609

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200622

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6733857

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees