JP6733846B1 - 表面処理鋼板、及び表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

表面処理鋼板、及び表面処理鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

鋼板と、前記鋼板の片面または両面に形成された金属亜鉛を含む析出層と、を備え、前記析出層は、さらに、バナジウム酸化物、バナジウム水酸化物、ジルコニウム酸化物、及びジルコニウム水酸化物からなる群から選択される一種以上を含み、前記析出層の表面をFT−IR法の反射法によって測定して得られた赤外吸収スペクトルにおいて、酸化物を示す1600〜650cm−1のピーク面積S1に対する水酸化物を示す3600cm−1のピーク面積S2との比S2/S1が0以上0.3以下である表面処理鋼板を採用する。

Description

本発明は、表面処理鋼板に関し、特に、自動車用、家電用、建材用、土木用、機械用、家具用、容器用等に使用される表面処理鋼板、及びその製造方法に関するものである。
本願は、2018年11月29日に、日本に出願された特願2018−223492号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来から、家電製品や建材、自動車などの多様な分野で、電気亜鉛めっき層を有する表面処理鋼板(電気亜鉛めっき鋼板)が利用されている。近年、電気亜鉛めっき鋼板においては、より一層耐食性を向上させることが要求されている。
電気亜鉛めっき鋼板の耐食性を向上させる方法としては、亜鉛めっき層のめっき量(目付量)を増加させることが考えられる。しかし、電気亜鉛めっき鋼板のめっき量を増大させると、加工性や溶接性が低下する。
また、電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層に代えて合金めっき層を形成することは、耐食性の向上を図る上で有力な手段である。合金めっき層の種類および組成いかんによっては、鋼板の耐食性が向上し、溶接性にも優れる(例えば、非特許文献1参照)。しかし、亜鉛めっき層に代えて合金めっき層を形成する場合には、製造コストの増大を回避することが難しい。このため、合金めっき層の更なる性能向上による低目付量化が求められている。
電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層に、バナジウム元素を含有させることにより、耐食性を向上させることが検討されている。例えば、特許文献1〜5には、陰極である鋼板表面に、Zn−V酸化物を複合電析させる技術が記載されている。
このような技術によって得られた析出層には、通常、水酸化物が含まれる。例えば、特許文献5に記載の技術によって得られた表面処理鋼板の析出層の表面を、本発明者らがFT−IR法の反射法によって評価したところ、この析出層の表面において、酸化物を示す1600〜650cm−1のピーク面積に対する、水酸化物を示す3600cm−1のピーク面積の比が約0.4以上であった(表2−1及び表2−2の試験No.44及び試験No.45参照)。
特許第5273316号公報 特開2011−236471号公報 特開2013−185199号公報 特開2014−114503号公報 特開2013−108183号公報
鉄と鋼 Vol.66(1980)No.7、807頁〜813頁
電気めっき法によって、鋼板表面に、亜鉛と、バナジウムの酸化物および水酸化物もしくはジルコニウムの酸化物および水酸化物とを含む層(析出層)を形成させた表面処理鋼板では、当該析出層に含まれるバナジウム又はジルコニウムが表面処理鋼板の平面耐食性に寄与する。しかしながら、従来の表面処理鋼板では、析出層と鋼板との界面の密着性の更なる向上が求められている。特に、表面処理鋼板では、曲げ等の加工を加えた際に析出層が鋼板から剥離しないことが望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、平面耐食性と加工部の密着性とに優れた表面処理鋼板、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、表面処理鋼板の平面耐食性と加工部の密着性とを両立させるべく鋭意検討を行った結果、以下のような新たな知見を得た。なお、「加工部の密着性」とは、曲げ等の加工を加えた際の加工部における鋼板と析出層との密着性を意味する。以下、本明細書では「加工部密着性」と表記する場合がある。
例えば、析出層中の亜鉛の含有比率を多くすると、加工部密着性が良好となるが、一方で平面耐食性が低下する。そのため、亜鉛と、バナジウムもしくはジルコニウムを含む析出層を備えた従来の表面処理鋼板において、加工部密着性と平面耐食性を両立することは困難であった。
そこで本発明者は、上記課題を解決するために、析出層の組成、特にバナジウムもしくはジルコニウムの水酸化物および酸化物に着目し鋭意研究した。その結果、驚くべきことに、加工部密着性は、酸化物に対する水酸化物の比率がある一定値以下に少ない場合に優れ、かつ、この水酸化物と酸化物の比率は平面耐食性には影響しないことを見出した。
本発明は以上のような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 鋼板と、
前記鋼板の片面または両面に形成された金属亜鉛を含む析出層と、を備え、
前記析出層は、さらに、バナジウム酸化物、バナジウム水酸化物、ジルコニウム酸化物及びジルコニウム水酸化物からなる群から選択される一種以上を含み、
前記析出層の表面をFT−IR法の反射法によって測定して得られた赤外吸収スペクトルにおいて、酸化物を示す1600〜650cm−1のピーク面積Sに対する水酸化物を示す3600cm−1のピーク面積Sとの比S/Sが0以上0.3以下であることを特徴とする表面処理鋼板。
[2] 前記析出層に含まれる金属亜鉛量をa(g/m)とし、前記析出層に含まれる前記バナジウム酸化物および前記バナジウム水酸化物の合計量、もしくは前記ジルコニウム酸化物および前記ジルコニウム水酸化物の合計量を金属換算でb(g/m)としたとき、100b/(a+b)が0.1以上50以下であることを特徴とする、[1]に記載の表面処理鋼板。
[3] 前記析出層に含まれる金属亜鉛量をa(g/m)とし、前記析出層に含まれる前記バナジウム酸化物および前記バナジウム水酸化物の合計量、もしくは前記ジルコニウム酸化物および前記ジルコニウム水酸化物の合計量を金属換算でb(g/m)としたとき、100b/(a+b)が1.0以上20以下であることを特徴とする、[1]に記載の表面処理鋼板。
[4] 前記析出層の付着量が1.0g/m以上50.0g/m以下であることを特徴とする、[1]〜[3]の何れか一項に記載の表面処理鋼板。
[5] 前記析出層が、前記金属亜鉛を含む第1相と、バナジウム酸化物またはバナジウム水酸化物の少なくとも一方、もしくはジルコニウム酸化物またはジルコニウム水酸化物の少なくとも一方を含む第2相とを有し、
前記第1相が、前記鋼板の厚み方向に成長した複数のデンドライト状の柱状結晶相であり、前記第2相が、前記第1相の周囲に形成された非晶質相であることを特徴とする[1]〜[4]の何れか一項に記載の表面処理鋼板。
[6] 前記析出層の表面に1層以上の皮膜を有することを特徴とする[1]〜[5]の何れか一項に記載の表面処理鋼板。
[7] 陰極電解処理によって、鋼板の片面または両面に析出層を形成する工程と、
前記析出層を熱処理する工程と、
を備え、
陰極電解処理溶液が、亜鉛化合物と、バナジウム化合物またはジルコニウム化合物の少なくとも一方とを含み、
前記陰極電解処理溶液における、Vイオン濃度(g/l)またはZrイオン濃度(g/l)と、Znイオン濃度(g/l)との比が0.2〜0.9であり、
前記陰極電解処理溶液のpHが1.0〜4.0であり、
前記陰極電解処理の開始から終了までの間に、0.01秒以上の無通電時間を1回以上設け、
前記陰極電解処理の前記無通電時間における前記陰極電解処理溶液の流速を0.05m/秒以上5.00m/秒以下とし、
前記熱処理における前記析出層の最高温度を100℃以上350℃以下とし、
前記熱処理における平均昇温速度を40℃/秒以上とし、
前記熱処理において、前記析出層の温度が100℃以上の温度になってから前記析出層の冷却を開始するまでの間に、0.5秒以上5秒以内の無加熱時間を設ける
ことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
本発明によれば、平面耐食性と加工部の密着性とに優れる表面処理鋼板、及びその製造方法を提供できる。
本実施形態の表面処理鋼板を製造する際に好適に用いられる陰極電解装置の模式図である。 本実施形態の表面処理鋼板の析出層のIRスペクトルを説明する模式図である。
以下に本発明の一実施形態に係る表面処理鋼板について詳細に説明する。
本実施形態の表面処理鋼板は、鋼板と、鋼板の片面または両面に形成された金属亜鉛を含む析出層と、を備え、析出層は、さらに、バナジウム酸化物、バナジウム水酸化物、ジルコニウム酸化物及びジルコニウム水酸化物からなる群から選択される一種以上を含み、前記析出層の表面をFT−IR法の反射法によって測定して得られた赤外吸収スペクトルにおいて、酸化物を示す1600〜650cm−1のピーク面積Sに対する水酸化物を示す3600cm−1のピーク面積Sとの比S/Sが0以上0.3以下である表面処理鋼板である。
本実施形態において、析出層を形成する下地となる鋼板は、特に限定されるものではない。例えば、鋼板として、極低C型(フェライト主体組織)、Al−k型(フェライト中にパーライトを含む組織)、2相組織型(例えば、フェライト中にマルテンサイトを含む組織、フェライト中にベイナイトを含む組織)、加工誘起変態型(フェライト中に残留オーステナイトを含む組織)、微細結晶型(フェライト主体組織)等、いずれの型の鋼板を用いてもよく、板厚にも制限はない。
本実施形態では、鋼板上に金属亜鉛と、バナジウム酸化物、バナジウム水酸化物、ジルコニウム酸化物及びジルコニウム水酸化物からなる群から選択される一種以上(バナジウム酸化物または水酸化物の少なくとも一方、もしくは、ジルコニウム酸化物または水酸化物の少なくとも一方)とを含む析出層が形成されている。析出層に金属亜鉛を含むことにより、析出層に犠牲防食性を付与でき、さらに、バナジウム酸化物、バナジウム水酸化物、ジルコニウム酸化物及びジルコニウム水酸化物からなる群から選択される一種以上を含むことで平面耐食性を確保することができる。
また本実施形態では、析出層について、FT−IR法(フーリエ変換赤外分光光度法)の反射法によって前記析出層の表面を測定して得られた赤外吸収スペクトルにおいて、酸化物を示す1600〜650cm−1の吸収のピーク面積Sに対する水酸化物を示す3600cm−1の吸収のピーク面積Sの比S/Sが0.3以下である。
本発明者らの鋭意検討の結果、析出層において酸化物に対する水酸化物の比率をある一定値以下に低減した場合、平面耐食性に影響を及ぼすことなく加工後の析出層と鋼板との間の密着性(加工部密着性)を向上させ得ることを知見した。すなわち、本実施形態では、前記S/Sが0.3以下となるよう、酸化物に対する水酸化物の比率を下げることとし、これにより、加工部密着性と平面耐食性とを兼備した表面処理鋼板を得ることができる。S/Sが0.3超であると、加工後の加工部における析出層と鋼板との密着性が劣るため、S/Sは0.3以下とし、好ましくは0.2以下とする。なお、析出層中における水酸化物は加工部密着性の観点から少ないほうが好ましく、S/Sは0でもよいが、後述する製造方法における制御条件の厳格化に伴うコスト増大の観点から、S/Sは0.1以上としてもよい。
なお、析出層は金属亜鉛と、バナジウム及び/又はジルコニウムとを含有する。ここで、析出層にバナジウムを含む場合の前述の「酸化物」、「水酸化物」とはそれぞれバナジウム酸化物、バナジウム水酸化物であり、析出層にジルコニウムを含む場合の前述の「酸化物」、「水酸化物」とはそれぞれジルコニウム酸化物、ジルコニウム水酸化物を示す。析出層が金属亜鉛、バナジウム、及びジルコニウムを含む場合、「酸化物」とは、バナジウム酸化物及びジルコニウム酸化物の混合物を示し、「水酸化物」とは、バナジウム水酸化物及びジルコニウム水酸化物の混合物を示す。
なお、S/Sの測定にあたっては、表面処理鋼板の表面の10箇所以上において測定を行い、その平均値を算出するものとする。ここで、測定箇所同士の間隔は、1mm以上とする。ただし、供試材の大きさが不十分であり、十分な測定間隔を確保しながら10箇所での測定を行うことが困難である場合は、測定間隔を縮めたり測定箇所数を減らしたりすることが許容される。
FT−IR法の反射法による測定は、原則的に、析出層の表面を測定する。また、測定方法としては、原則的に、高感度反射法(RAS法:Reflection Absorption Spectrometry)とする。しかし、析出層表面に塗膜などの皮膜が付与されている場合に、塗膜を除去して析出層の表面を高感度反射法によって測定することが困難な場合がある。この場合は、析出層の断面をCP(クロスセクションポリッシャ)加工などで切り出したのち、EPMAなど一般的に知られている元素分析装置により、塗膜などの皮膜に由来する炭素を含まない層を析出層として特定し、当該析出層をFT−IR法の顕微反射法によって測定するとよい。
また本実施形態では、析出層に含まれる金属亜鉛量(付着量)をa(g/m)とし、析出層に含まれるバナジウムの酸化物および水酸化物の合計量、もしくはジルコニウムの酸化物および水酸化物の合計量(付着量)を金属換算でb(g/m)としたとき、100b/(a+b)が0.1以上50以下であることが好ましい。100b/(a+b)が0.1未満であるとバナジウムやジルコニウムによる平面耐食性の向上効果が十分に発揮されず、析出層の平面耐食性が劣る。一方、100b/(a+b)が50超であると析出層の疵部耐食性に劣る。なお100b/(a+b)は、1.0以上、20以下であると平面耐食性及び疵部耐食性が優れるため特に好ましい。なお、析出層がバナジウム化合物及びジルコニウム化合物の両方を含有する場合、bはバナジウム酸化物、バナジウム水酸化物、ジルコニウム酸化物、及びジルコニウム水酸化物の金属換算での総量である。
析出層に含まれる金属亜鉛量a(g/m)、バナジウムの酸化物および水酸化物の合計量、もしくはジルコニウムの酸化物および水酸化物の金属換算での合計量b(g/m)は、析出層を酸で溶解し、溶解後の溶液中のZn量、V量及びZr量をICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によって測定することで、求めることができる。析出層を分析する場合は、鋼板が溶解しないよう塩酸等にインヒビターを添加した塩酸で析出層を溶解するとよい。
また、析出層の付着量は、1.0g/m以上50.0g/m以下であることが好ましい。析出量の付着量を1.0g/m以上にすることで、表面処理鋼板の平面耐食性を更に向上させることができる。また、析出量の付着量を50.0g/m以下にすることで、製造コストを抑制し、また、析出層と鋼板との密着性を向上させることができる。これらの観点から、析出層の付着量が3.0g/m以上40.0g/m以下であることがより好ましい。
析出層の付着量は、鋼板が溶解しないようインヒビターを添加した塩酸で析出層を溶解することで、表面処理鋼板から析出層を除去し、析出層の除去前後での表面処理鋼板の質量変化量から析出層の付着量を求めることができる。
また本実施形態の表面処理鋼板の析出層は、金属亜鉛を含む第1相と、バナジウム酸化物またはバナジウム水酸化物の少なくとも一方、もしくはジルコニウム酸化物またはジルコニウム水酸化物の少なくとも一方を含む第2相とを有する形態であってもよい。さらに、金属亜鉛を含む第1相が鋼板の厚み方向に成長した複数のデンドライト状の柱状結晶相であり、かつ第2相が、この第1相の周囲に形成された非晶質相であってもよい。このような析出層では、第1相であるデンドライト状の柱状結晶相が先に析出され、次いで、第2相が柱状結晶相の周囲に析出された形態を有している。
第1相のデンドライト状の柱状結晶相は、金属亜鉛のみから形成されていてもよく、金属亜鉛とともに、鉄やニッケルなどの他の金属成分が含まれていてもよい。なお析出層は、金属元素として鉄が0.1質量%以上7質量%以下含まれると溶接性に優れるため、好適である。また、第1相のデンドライト状の柱状結晶相は、析出層の厚み方向に沿って鋼板側から析出層表面側に向けて成長し、析出層表面に向けて枝分かれした構造を有している。
第2相は、バナジウム酸化物またはバナジウム水酸化物の少なくとも一方、もしくはジルコニウム酸化物またはジルコニウム水酸化物の少なくとも一方を含む他に、亜鉛酸化物を含んでいてもよい。第2相は、デンドライト状の第1相の周囲に形成されている。析出層の形成の際に、デンドライト状の柱状結晶からなる第1相が先に形成され、その後、非晶質相からなる第2相が第1相の周囲に形成される。バナジウム酸化物と水酸化物、もしくはジルコニウム酸化物と水酸化物と、亜鉛酸化物とを含むことで、析出層にバリア性を付与できる。また、第2相が酸化物または水酸化物を主体とするので、第2相に塗膜を形成した場合に、塗装密着性を確保できる。
第1相の金属亜鉛を含むデンドライト状の柱状結晶相は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて析出層断面から電子線回折を行った場合に、結晶構造に起因する回折パターンが得られる。一方、第2相については、結晶構造に起因する回折パターンが得られず、非晶質であると判断される。
以上説明したような析出層は、1層のみ設けられていてもよいし、複数層が積層された状態で設けられていてもよい。析出層が複数層設けられている場合、複数の析出層のうち1層以上が本実施形態の析出層であればよい。
また、表面処理鋼板が黒色外観を有する用途に用いられるものである場合であって、析出層が複数層設けられている場合は、本実施形態の析出層が最表層に設けられていることが好ましい。
また、鋼板と析出層との間には、下地層が設けられていてもよい。下地層は、鋼板と析出層との密着性を向上させるために、必要に応じて設けられる。本実施形態においては、1〜300nmの亜鉛とニッケルと鉄とを含む結晶からなる下地層が設けられていることが好ましい。
本実施形態の表面処理鋼板の析出層上には、更に、化成処理膜、塗装膜、有機樹脂皮膜、シランカップリング剤を含む有機ケイ素化合物を含む膜を形成してもよい。塗装膜を形成する場合は、析出層表面に下地層として非クロメート化成膜を形成することが好ましい。これら皮膜を析出層表面に形成することで、表面処理鋼板の平面耐食性をより向上できる。
本実施形態の表面処理鋼板は、明度を表すL*値が40以下を示すものとなり、黒色の外観を有する。黒色の外観を有することで、黒色の外観を有する製品の材料など様々な用途に使用できる。
また、本実施形態の表面処理鋼板は、鋼板上に析出層を形成した例を説明したが、本実施形態はこれに限らず、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層上に、本実施形態の析出層を形成してもよい。すなわち、鋼板と析出層との間に、別の亜鉛めっき層が形成されていてもよい。別の亜鉛めっき層が形成されることにより、表面処理鋼板の平面耐食性をより向上できる。例えば、腐食物質が析出層を通過した場合であっても、別の亜鉛めっき層によって犠牲防食効果を発揮でき、表面処理鋼板の平面耐食性を向上できる。
また、当然ながら、本実施形態に係る表面処理鋼板の析出層が、バナジウム化合物(バナジウム酸化物または水酸化物の少なくとも一方)及びジルコニウム化合物(ジルコニウム酸化物または水酸化物の少なくとも一方)の両方を含有してもよい。バナジウム化合物及びジルコニウム化合物は、上述のように、表面処理鋼板の加工部耐食性及び平面耐食性に関して同様の作用効果を奏する。また、バナジウム化合物及びジルコニウム化合物が互いの作用効果を阻害することはない。析出層がバナジウム化合物及びジルコニウム化合物の両方を含有する場合も、S/Sは上述の手順で測定することができる。析出層が、バナジウム化合物及びジルコニウム化合物の両方を含有する場合、析出層の第2相が、バナジウム酸化物またはバナジウム水酸化物の少なくとも一方、及びジルコニウム酸化物またはジルコニウム水酸化物の少なくとも一方を含む形態であってもよい。
次に、本実施形態の表面処理鋼板の製造方法を説明する。
本実施形態の表面処理鋼板は、鋼板の片面または両面に、亜鉛化合物と、バナジウム化合物もしくはジルコニウム化合物を含む溶液を用いて、陰極電解処理により析出層を形成し、その後、析出層を熱処理する方法によって製造できる。具体的には、本実施形態に係る表面処理鋼板の製造方法は、陰極電解処理によって、鋼板の片面または両面に析出層を形成する工程と、析出層を熱処理する工程と、を備え、陰極電解処理溶液が、亜鉛化合物と、バナジウム化合物またはジルコニウム化合物の少なくとも一方とを含み、陰極電解処理溶液における、Vイオン濃度(g/l)またはZrイオン濃度(g/l)と、Znイオン濃度(g/l)との比が0.2〜0.9であり、陰極電解処理溶液のpHが1.0〜4.0であり、陰極電解処理の開始から終了までの間に、1回以上の無通電時間を設け、陰極電解処理の無通電時間における処理液の流速を0.05m/秒以上5.00m/秒以下とし、熱処理における析出層の最高温度を100℃以上350℃以下とし、熱処理における平均昇温速度を40℃/秒以上とし、熱処理において、析出層の温度が100℃以上の温度になってから析出層の冷却を開始するまでの間に、0.5秒以上5秒以内の無加熱時間を設ける。
陰極電解処理で用いる溶液(陰極電解処理溶液)としては、Znイオン、及びVイオン及び/又はZrイオンを含有する溶液を用いることができ、この溶液を用いて鋼板を陰極電解処理することで析出層を作製することができる。Znイオン、Vイオン及び/又はZrイオンを含む溶液は、Zn化合物、V化合物、Zr化合物を含むものが用いられる。陰極電解処理溶液の一例として、具体的には、無機酸、例えば硫酸の水溶液に、硫酸Zn、酸化バナジル又は硝酸ジルコニルを溶解することによって得ることができる。
Zn化合物としては、金属Zn、ZnSO・7HO、ZnCOなどの可溶性の塩が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、Zr化合物としては、溶液中でZrO2+イオンを形成するものが好ましく、例えば、硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、塩化硝酸酸化ジルコニウム等の可溶性の塩を例示できる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、V化合物としては、酸化バナジル、メタバナジン酸アンモン(V)、メタバナジン酸カリウム(V)、メタバナジン酸ソーダ(V)、VO(C(バナジルアセチルアセトネート(IV))、VOSO・5HO(硫酸バナジル(IV))などが挙げられる。これらのバナジウム化合物の中でも特に、酸化バナジル、VO(C(バナジルアセチルアセトネート(IV))、VOSO・5HO(硫酸バナジル(IV))を用いることが好ましい。これらのバナジウム化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
陰極電解処理の溶液中のVイオン濃度(g/l)及び/又はZrイオン濃度(g/l)と、Znイオン濃度(g/l)との比((Vイオン及び/又はZrイオン)/Znイオン)が0.2〜0.9である。(Vイオン及び/又はZrイオン)/Znイオンが0.2未満又は0.9超では、Vイオン又はZrイオンが析出層中に取り込まれず、析出層中のバナジウムやジルコニウムの酸化物、水酸化物を十分に確保できないおそれがある。
陰極電解処理の溶液としては、析出層の付着量、ならびに析出層中のバナジウムやジルコニウムの酸化物、水酸化物の含有量を確保するために、pHが1.0〜4.0である。pHが1.0未満では、バナジウム及び/又はジルコニウムが析出層中に取り込まれず、析出層中のバナジウム及び/又はジルコニウムの酸化物、水酸化物を十分に確保できない場合がある。pHが4.0超では、溶液中にVイオン及び/又はZrイオンが酸化物として沈殿してしまい、析出層中にバナジウム及び/又はジルコニウムの酸化物、水酸化物として取り込まれなくなる。
なお、陰極電解処理の溶液には、Zr化合物、V化合物、Zn化合物に加えて、必要に応じて、pH調整剤、Zr化合物、V化合物、Zn化合物ではない他の金属化合物、添加剤等を添加してもよい。pH調整剤としては、HSOやNaOHなどが挙げられる。また、添加剤としては、陰極電解処理の溶液の導電性を安定させるNaSOなどが挙げられる。他の金属化合物としては、NiSO・6HOなどのニッケル化合物などが挙げられる。
また、陰極電解処理の溶液としては、溶液中にNaを0.1mol/l以上を含めてもよい。この場合、溶液の導電性を高めることができ、本実施形態の析出層を容易に形成できる。
陰極電解処理の溶液の温度は、特に限定されないが、本実施形態の析出層を容易に効率よく形成するために、40〜60℃の範囲であることが好ましい。
本実施形態において、陰極電解処理により析出層を形成する際には、電流密度を2A/dm以上150A/dm以下とすることが好ましい。電流密度を上記範囲内とすることで、バナジウム及び/又はジルコニウムの酸化物、水酸化物の含有量ならびに付着量を十分に確保した本実施形態の析出層を容易に形成できる。電流密度が2A/dm未満では、電解処理の速度が小さいため効率的ではない。電流密度が150A/dmを超えると、いわゆる水素発生反応の進行が顕著となり、バナジウム及び/又はジルコニウムの含有量が50質量%以下のめっき層が得られにくくなる。なお、陰極電解処理を行う時間は特に限定されず、電流密度、及び必要とされる析出層の付着量に応じて適宜設定することができる。
さらに、陰極電解処理により析出層を形成する際には、陰極電解処理の開始から終了までの間に、0.01秒以上の無通電時間を1回以上設け、陰極電解処理の無通電時間における陰極電解処理溶液の流速を0.05m/秒以上5.00m/秒以下とする必要がある。陰極電解処理の開始とは、鋼板への最初の通電を開始したときである。陰極電解処理の終了とは、鋼板への最後の通電を終了したときである。無通電時間とは、鋼板と陰極電解処理溶液との間に電圧を印加していない期間のことである。無通電時間を1回含む陰極電解処理とは、換言すると、通電を2回に分けて行う陰極電解処理のことである。陰極電解処理溶液の流速とは、陰極電解処理溶液と鋼板との間の相対流速のことである。
本発明者らは、陰極電解処理溶液に無通電時間を設け、この無通電時間において溶液を所定範囲の流速で流すことにより、水酸化物の生成を一層抑制する効果が得られることを知見した。これは、析出層の形成の進展(即ちデンドライト成長)に伴い、鋼板の表面近傍において溶液のpHが上昇するからであると推定される。デンドライト成長を停止させ、この間に溶液を流動させることにより、pHの局所的な上昇が解消され、水酸化物の生成が抑制されていると推定される。
本発明者らは、実験の結果、0.01秒以上の無通電時間を1回以上設け、無通電時間における陰極電解処理溶液の流速を0.05m/秒以上5.00m/秒以下と規定した。0.01秒以上の無通電時間を設けなかった場合、たとえ通電時間中に溶液が流れていたとしても、pH上昇が十分解消されないこととなる。また、無通電時間における陰極電解処理溶液の流速が0.05m/秒未満であった場合、無通電時間を設けなかった場合と同様の結果となる。一方、無通電時間における陰極電解処理溶液の流速が5.00m/秒超であった場合、析出層の溶解が大きくなるため不適となる。
上記のように、Znイオン、並びにVイオン及び/又はZrイオンを含有する溶液中で、素材となる鋼板を陰極として電解し析出層を形成したのちに、本実施形態ではさらに、析出層を加熱して、析出層における水酸化物と酸化物の比率を制御する必要がある。
表面処理鋼板の製造する際に、電解条件を調整するだけでは、析出層における水酸化物と酸化物の比率を制御することは容易ではない。その理由は、電解処理に用いる溶液(浴)のpHに関係している。具体的には、電解中、浴中のバナジウムイオン及び/又はジルコニウムイオンが酸化物および/または水酸化物として析出するが、その析出物が酸化物になるか水酸化物になるかは電解中の浴の局所的なpH上昇の仕方による。そのため、電解条件を調整するだけでは、析出層における水酸化物と酸化物の比率の制御は容易ではない。そこで、析出層における水酸化物と酸化物の比率を容易に制御する方法について検討したところ、析出層形成後に、所定条件で加熱処理を施すことで当該比率を制御可能であることを見出した。
本実施形態では、陰極電解処理により鋼板表面に析出層を形成した後、40℃/秒以上の平均昇温速度で析出層を加熱する。そして、鋼板温度が100℃以上の温度になってから冷却するまでの間に0.5秒以上5秒以内の加熱しない時間を設ける。このような熱処理を行うことで、析出層の水酸化物を酸化物に変化させながらも、その際に発生する水蒸気が析出層中で膨張し続けることを抑制して、析出層中での空洞の発生を抑制できるようになる。
本実施形態では、上記のように鋼板表面に析出層を形成した後、40℃/秒以上の平均昇温速度で加熱処理する。そしてさらに、析出層(鋼板)の温度が100℃以上の温度になってから冷却を開始するまでの間に0.5秒以上5秒以内の加熱しない時間を確保する。平均昇温速度が40℃/秒未満の場合、析出層中の水酸化物の酸化物への変化量が小さく、IRスペクトルにおける酸化物を示すピーク面積Sに対する水酸化物を示すピーク面積Sとの比S/Sを十分に低減できなくなり、加工部密着性が劣化するおそれがある。そのため、加熱処理における平均昇温速度は40℃/秒以上とし、好ましくは50℃/秒以上とする。
また、析出層(鋼板)の温度が100℃以上の到達温度に達したのち、一定時間加熱を停止して保持した上で冷却を開始することで、IRスペクトルにおける酸化物を示すピーク面積Sに対する水酸化物を示すピーク面積Sとの比S/Sを十分に低減しやすく好適である。到達温度を100℃以上にすることで、水和物から酸化物への変化を進めることができる。また、加熱しない時間が長すぎると、ガス(主に水蒸気)が滞留しS/Sを低減できない可能性があるため、加熱停止時間は5秒以内とする。一方、加熱しない時間が短すぎると、ガス(主に水蒸気)が析出層中で膨張し析出層を脆くして加工部密着性が低下するおそれがあるため0.5秒以上とする。また、析出層(鋼板)の到達温度の上限は、350℃以下が好ましい。350℃超まで加熱すると、析出層の一部が溶解するおそれがある。
「平均昇温速度」は、加熱の開始時から加熱の停止までの鋼板の温度上昇幅を、加熱の開始時から加熱の停止までの所要時間で除した値とする。また、到達温度に達した後の「加熱しない時間」とは、加熱を停止してから冷却を開始するまでの時間であり、その間は鋼板温度を保定してもよいし、保定しなくてもよいが、この間は、鋼板温度を100℃以上に維持することが好ましい。
上記加熱処理の方法としては、高周波誘導加熱やレーザ加熱が好ましく、高周波誘導加熱の場合は析出層が鋼板側から加熱されることになるため、より好ましい。また、上記加熱処理後の冷却については、生産性の観点から水冷とすることが好ましく、例えば、スプレー方式により水冷すればよい。
以上、本実施形態に係る表面処理鋼板の製造方法について説明したが、当該製造方法における1回の陰極電解処理を実施するにあたり、好適に用いることができる製造装置として、図1に示す陰極電解装置を例に挙げて説明する。
本発明ではこの装置を2つ以上つなげて使用する等で2回以上陰極電解処理を実施し、その間で無通電での時間と流速を制御している。
図1は、陰極電解装置の一例を示した概略図である。図1において、符号1は鋼板を示し、符号2は電解浴を示し、符号21は電解槽を示し、符号3は陽極を示している。なお、電解浴2は、上述した陰極電解処理用の溶液であることが好ましい。
図1において、符号4a、4b、5a、5bは、鋼板1を図1における矢印の方向に移動させて、電解浴2中に鋼板1を通板させるロールを示している。鋼板1の上部に配置されたロール4a、4bはコンダクタロールである。鋼板1は、ロール4a、4bに電気的に接続されることにより、陰極とされる。
電解槽21は、鋼板1の上部に配置される上部槽21aと、鋼板1の下部に配置される下部槽21bとを有している。上部槽21a内および下部槽21b内の鋼板1に隣接する位置には、白金などからなる複数の陽極3が鋼板1との間に所定の間隔を空けて配置されている。各陽極3の鋼板1に対向する面は、鋼板1の表面と略平行となるように配置されている。
上部槽21a内および下部槽21b内は、電解浴2で満たされている。図1に示すように、電解槽21の上部槽21aと下部槽21bとの間には、水平方向に移動する鋼板1が配置され、鋼板1は電解浴2に浸漬された状態となっている。そして、鋼板1を搬送させることで、電解浴2は鋼板1に対して相対的に流動される流動状態の電解浴2となる。
上部槽21aには、上部槽21aに電解浴2を供給する上部供給用配管2aが上部槽21aの上面を貫通するように設けられている。上部供給用配管2aは、上部槽21a内において複数の外周分岐路2cと複数の中間分岐路2d(図1においては1つのみ図示)とに分岐されている。中間分岐路2dは、平面視で隣接する陽極3間に鋼板1の幅方向に沿って複数配置されている。中間分岐路2dは、両側の陽極3と鋼板1との間に向かって電解浴2を供給する開口部を備えている。外周分岐路2cは、平面視で陽極3とロール4a、4bとの間に鋼板1の幅方向に沿って複数配置されている。外周分岐路2cは、陽極3と鋼板1との間に向かって電解浴2を供給する開口部を備えている。
また、上部槽21aには、電解浴2を排出する排出口(不図示)が設けられており、ポンプを備える配管(不図示)を介して、上部供給用配管2aと接続されている。したがって、上部槽21aでは、上部供給用配管2aから供給され、排出口から排出された電解浴2が、ポンプによって、配管を介して再び上部供給用配管2aから供給されて循環される流動状態の電解浴2となっている。
また、下部槽21bには、下部槽21bに電解浴2を供給する下部供給用配管2bが下部槽21bの下面を貫通するように設けられている。下部供給用配管2bは、下部槽21b内において複数の外周分岐路2eと複数の中間分岐路2f(図1においては1つのみ図示)とに分岐されている。中間分岐路2fは、平面視で隣接する陽極3間に鋼板1の幅方向に沿って複数配置されている。中間分岐路2fは、両側の陽極3と鋼板1との間に向かって電解浴2を供給する開口部を備えている。外周分岐路2eは、平面視で陽極3とロール5a、5bとの間に鋼板1の幅方向に沿って複数配置されている。外周分岐路2eは、陽極3と鋼板1との間に向かって電解浴2を供給する開口部を備えている。
また、下部槽21bには、電解浴2を排出する排出口(不図示)が設けられており、ポンプを備える配管(不図示)を介して、下部供給用配管2bと接続されている。したがって、下部槽21bでは、下部供給用配管2bから供給され、排出口から排出された電解浴2が、ポンプによって、配管を介して再び下部供給用配管2bから供給されて循環される流動状態の電解浴2となっている。
電解槽21内の鋼板に対する電解浴2の相対流速は、3〜300m/minの範囲であることが好ましく、20〜300m/minの範囲、又は30〜200m/minの範囲であることがより好ましい。電解浴2の平均流速が3〜300m/minの範囲内である場合、析出層におけるクラックの発生を防止できるとともに、電解浴2から鋼板1の表面へのイオンの供給を支障なく行うことができる。
図1に示した陰極電解装置は常に通電されており、この装置を2つ以上つなげて使用し、その間で無通電での時間と流速を制御することによって析出層を形成したのちに、析出層に対して上述の熱処理を行うことで、本実施形態に係る析出層を形成することができる。
以上の製法によって本実施形態の表面処理鋼板を製造できるが、上記析出層を形成する前に、鋼板の両面に、必要に応じて前処理を行なってもよい。前処理としては、鋼板の両面に厚み1〜300nmのニッケルめっきを行なうことが好ましい。
また、析出層を形成した後、更に、化成処理膜、塗装膜、有機樹脂皮膜、シランカップリング剤を含む有機ケイ素化合物を含む膜を形成してもよい。これらのような皮膜を形成する一例としては、例えば、皮膜を形成する各成分を含む塗料組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。具体的には、皮膜を構成する各成分を水などの溶媒中に添加して溶解もしくは分散させた塗料組成物を析出層上に塗布し、塗膜を遠赤外や誘導加熱によって熱乾燥して硬化させる方法が好適である。
以下に本発明の実施例を示すが、以下に示す実施例は本発明の一例であり、本発明は以下に説明する実施例に制限されるものではない。
(1.鋼板)
鋼板としては、JIS G 3141記載の一般冷延鋼板の絞り用であるSPCDで板厚0.8mmのものを用いた。
(2.析出層)
まず、ZnイオンおよびVイオンを含む溶液と、ZnイオンおよびZrイオンを含む溶液、さらに一部の溶液(溶液32〜34)にはFeイオンをさらに含む溶液を作製した。これら溶液は硫酸の中に、硫酸Znと、酸化バナジルもしくは硝酸ジルコニル(溶液32〜34にはさらに硫酸鉄)を混合することで作製した。溶液1〜34の詳細は表1に示すとおりである。なお表1中の溶液組成(各イオンの質量(g/l))は、使用した硫酸Zn、酸化バナジル、硝酸ジルコニル、硫酸鉄の質量から換算した。また析出層の成分はこれらの溶液成分の量によって調整した。溶液のpHは硫酸の量と水酸化Naの量で調整した。
次に、これらの溶液1〜34に、陰極である上記鋼板を浸漬し、鋼板表面に白金陽極を対抗配置させ、更に、電解溶液を鋼板と白金電極との間に一方向に流すことができる装置を用いて、陰極電解処理を行って、析出層を形成した。電解条件は、溶液温度:50℃、電解時間(合計):1〜5秒、電流密度:80〜120A/dm、電解溶液の平均流速80mpm(m/min)とした。また、無通電時の流速は、表2−1に記載されている値とした。通電回数は1回〜4回の範囲内とした。形成された析出層の成分を表2−1に記載した。
その後、高周波誘導加熱によって析出層を熱処理した。熱処理は、所定の平均昇温速度で100℃以上の到達温度まで加熱し、到達温度まで昇温した後は、「加熱しない時間」を設け、その後、スプレー式の水冷によって冷却した。熱処理条件を表2−1に示す。表2−1に記載の熱処理条件については、平均昇温速度40℃/秒以上の場合を「○」、40℃/秒未満の場合を「×」とした。また、100℃以上で0.5秒以上5秒以内の加熱しない時間を設けた場合を「○」、加熱しない時間が100℃以上で0.5秒未満ないしは5秒超の場合を「×」とした。最高到達温度や加熱しない時間等を制御することによって、析出層の酸化物と水酸化物の量の比率を変化させた。このようにして、各種の表面処理鋼板(板厚t:0.8mm)を製造した。
析出層の酸化物と水酸化物の量の比率については、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、「FT/IR−6100」)を用いて高感度反射法によって求めた。具体的には、得られたIRスペクトルにおいて、1600〜650cm−1の酸化物を示す吸収のピーク面積Sに対する3600cm−1近傍の水酸化物を示す吸収のピーク面積Sの比率S/Sを求めた。吸収のピーク面積は、図2に示すように、IRスペクトルのベースラインによって吸収のピークを区画し、ベースラインによって区画された領域の面積(図2中の斜線部の面積)をピークの面積とした。
また、析出層の付着量は、鋼板が溶解しないようインヒビターを添加した塩酸で析出層を溶解することで、表面処理鋼板から析出層を除去し、析出層の除去前後での表面処理鋼板の質量変化量から析出層の付着量を求めた。
更に、析出層中の各成分は、析出層を溶解後の溶液中のZn量、V量及びZr量をICP発光分光分析法によって測定することで求めた。
また、析出層に含まれる亜鉛量をa(g/m)とし、析出層に含まれるバナジウム酸化物およびバナジウム水酸化物の合計量、もしくはジルコニウム酸化物およびジルコニウム水酸化物の合計量をバナジウムもしくはジルコニウムの金属換算でb(g/m)としたときの100b/(a+b)について表2−2に示す。なお、この「100b/(a+b)」は、析出層中の各成分の分析結果から求めた。
また、得られた表面処理鋼板(試験No.1〜49)について、以下の項目を以下に示す方法により評価した。
「加工部密着性」
表面処理鋼板から切り出した評価用サンプルを、エリクセン試験機で9mm張出し加工した後、加工が施された張出し凸部の外側を粘着テープ(ニチバン(株):商品名セロテープ(登録商標))を用いてテープ剥離試験を行った。試験後の析出層の剥離状態を観察し、張出し凸部の頭頂部部分の析出層の剥離率を求め、以下の基準で加工部密着性の評価を行った。なお、評価「2」以上を合格とした。
(基準)
4:剥離なし
3:剥離率10%未満
2:剥離率10%以上50%未満
1:剥離率50%以上
「平面耐食性」
JIS Z 2371に記載されている塩水噴霧試験方法に準じて、雰囲気温度35℃で、5%のNaCl水溶液を、表面処理鋼板から切り出した評価用サンプル(エッジおよび裏面はテープシール)に吹き付け、12時間後の非シール部分の白錆発生面積率を目視で観察して測定し、以下の基準で評価し「2」以上を合格とした。白錆発生面積率とは、観察部位の面積に対する白錆発生部位の面積の百分率である。
(基準)
4:白錆発生なし
3:白錆発生面積率10%未満
2:白錆発生面積率10%以上、50%未満
1:白錆発生面積率50%以上
「塗装密着性」
表面処理鋼板から切り出した評価用サンプルに塗料(関西ペイント株式会社製、アミラック♯1000)をバーコート塗布し、140℃で20分間焼付を行い、乾燥膜厚で25μmの皮膜を形成した。得られた塗装板を沸騰水に30分浸漬後、常温の室内に24時間放置した。その後、サンプルに対して1mm角100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これをエリクセン試験機で7mm押し出した後、この押し出し凸部に粘着テープによる剥離テストを行い、以下の基準にて塗装密着性を評価し「2」以上を合格とした。
(基準)
4:剥離無し
3:剥離個数1個以上、10個未満
2:剥離個数10個以上、50個未満
1:剥離個数50個以上
「疵部耐食性」
表面処理鋼板から切り出した評価用サンプル(エッジおよび裏面はテープシール)に対して、カッターナイフを用い、下地の鋼板まで達する力で「X」の形に疵をつけた上で、上記「平面耐食性」と同様の塩水噴霧試験により疵部耐食性を評価した。疵部耐食性は疵部の赤錆発生有無により以下の基準にて評価し「2」以上を合格とした。
3:赤錆発生なし
2:赤錆発生5%未満
1:赤錆発生5%以上
「溶接性」
加圧力1.96kN、通電時間12サイクル/50Hzとして、適正電流範囲を測定した。使用した電極はCr-Cuとした。適正電流範囲の下限値はボタン径が4√t(tは表面処理鋼板の板厚(mm))以上を確保する電流値とし、上限値は塵が発生する電流値とした。求めた適正電流上限値より0.5kA低い電流値でスポット溶接し、50打点毎にボタン径を測定した。ボタン径は、溶接された2枚の鋼板を引き剥がし、片側の鋼板に残ったボタン径を測定して得た。ボタン径が4√t未満または無通電が発生した打点数より50打点を差し引いた打点数を連続打点数とし、以下の基準にて溶接性(連続打点性)を評価し「2」以上を合格とした。
4:連続打点数100打点以上
3:連続打点数50打点以上、100打点未満
2:連続打点数2打点以上、50打点未満
1:連続打点数1打点以下
表2−2に示すように、発明例の表面処理鋼板のいずれにおいても、加工部密着性、平面耐食性に優れ、さらに、塗装密着性、疵部耐食性、溶接性のいずれについても優れていた。
一方、表2−1及び表2−2に示すように、試験No.7、8は、電解溶液の組成が適切でなかったため、析出層中にバナジウム酸化物およびバナジウム水酸化物が析出されず、その結果、平面耐食性及び塗装密着性が不十分となった。
試験No.12、13、18は、電解溶液の組成が適切でなかったため、析出層中にジルコニウム酸化物およびジルコニウム水酸化物が析出されず、平面耐食性及び塗装密着性が不十分となった。
試験No.41は、熱処理時の平均昇温速度が40℃/秒未満であったため、析出層中にバナジウム酸化物およびバナジウム水酸化物が析出されたものの、析出層の酸化物と水酸化物の比率(S/S)を十分に下げることができず、その結果、加工部密着性及び塗装密着性が不十分となった。
試験No.44は、「加熱しない時間」が6秒となり、適切な製造条件の上限である5秒を超えたため、析出層の酸化物と水酸化物の比率(S/S)を十分に下げることができず、その結果、加工部密着性及び塗装密着性が不十分となった。
試験No.45は、「加熱しない時間」が0.4秒となり、適切な製造条件の下限である0.5秒以上を満たさなかったため、析出層の酸化物と水酸化物の比率(S/S)を十分に下げることができず、その結果、加工部密着性及び塗装密着性が不十分となった。
試験No.58は、1回の通電で陰極電解処理を行ったので、無通電時間が存在しなかった例である。析出層の酸化物と水酸化物の比率(S/S)を十分に下げることができず、加工部密着性及び塗装密着性が不十分となった。
試験No.59は、無通電時間における溶液の流速が大きすぎたので、めっきの溶解が大きくなり、製造段階における品質制御ができず、不適であった。
なお、表1の溶液15は、pHが4.5と高すぎたため、溶液中に沈殿が生成し、電解溶液として不適切であった。
さらに、得られた析出層を電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)(日本電子社製(JED−2100F))により観察したところ、試験No.1〜59のすべてにおいて、析出層は、鋼板の厚み方向に成長した複数のデンドライト状の柱状結晶相(第1相)と、その周囲に形成された非晶質相(第2相)が形成されていることが確認した。また、デンドライト状の柱状結晶相(第1相)は、エネルギー分散型X線分析装置(EDS(日本電子社製(JED−2300T))による元素分析及び電子線回折分析により、金属亜鉛を含み、また非晶質相(第2相)は、バナジウム酸化物および/またはバナジウム水酸化物、もしくはジルコニウム酸化物および/またはジルコニウム水酸化物を含んでいることが分かった。
Figure 0006733846
Figure 0006733846
Figure 0006733846
1…鋼板、2…電解浴、2a…上部供給用配管、2b…下部供給用配管、3…陽極、4a、5a、4b、5b…ロール、21…電解槽、21a…上部槽。

Claims (7)

  1. 鋼板と、
    前記鋼板の片面または両面に形成された金属亜鉛を含む析出層と、を備え、
    前記析出層は、さらに、バナジウム酸化物、バナジウム水酸化物、ジルコニウム酸化物及びジルコニウム水酸化物からなる群から選択される一種以上を含み、
    前記析出層の表面をFT−IR法の反射法によって測定して得られた赤外吸収スペクトルにおいて、酸化物を示す1600〜650cm−1のピーク面積Sに対する水酸化物を示す3600cm−1のピーク面積Sとの比S/Sが0以上0.3以下であることを特徴とする表面処理鋼板。
  2. 前記析出層に含まれる金属亜鉛量をa(g/m)とし、前記析出層に含まれる前記バナジウム酸化物および前記バナジウム水酸化物の合計量、もしくは前記ジルコニウム酸化物および前記ジルコニウム水酸化物の合計量を金属換算でb(g/m)としたとき、100b/(a+b)が0.1以上50以下であることを特徴とする、請求項1に記載の表面処理鋼板。
  3. 前記析出層に含まれる金属亜鉛量をa(g/m)とし、前記析出層に含まれる前記バナジウム酸化物および前記バナジウム水酸化物の合計量、もしくは前記ジルコニウム酸化物および前記ジルコニウム水酸化物の合計量を金属換算でb(g/m)としたとき、100b/(a+b)が1.0以上20以下であることを特徴とする、請求項1に記載の表面処理鋼板。
  4. 前記析出層の付着量が1.0g/m以上50.0g/m以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の表面処理鋼板。
  5. 前記析出層が、前記金属亜鉛を含む第1相と、バナジウム酸化物またはバナジウム水酸化物の少なくとも一方、もしくはジルコニウム酸化物またはジルコニウム水酸化物の少なくとも一方を含む第2相とを有し、
    前記第1相が、前記鋼板の厚み方向に成長した複数のデンドライト状の柱状結晶相であり、前記第2相が、前記第1相の周囲に形成された非晶質相であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の表面処理鋼板。
  6. 前記析出層の表面に1層以上の皮膜を有することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の表面処理鋼板。
  7. 陰極電解処理によって、鋼板の片面または両面に析出層を形成する工程と、
    前記析出層を熱処理する工程と、
    を備え、
    陰極電解処理溶液が、亜鉛化合物と、バナジウム化合物またはジルコニウム化合物の少なくとも一方とを含み、
    前記陰極電解処理溶液における、Vイオン濃度(g/l)またはZrイオン濃度(g/l)と、Znイオン濃度(g/l)との比が0.2〜0.9であり、
    前記陰極電解処理溶液のpHが1.0〜4.0であり、
    前記陰極電解処理の開始から終了までの間に、0.01秒以上の無通電時間を1回以上設け、
    前記陰極電解処理の前記無通電時間における前記陰極電解処理溶液の流速を0.05m/秒以上5.00m/秒以下とし、
    前記熱処理における前記析出層の最高温度を100℃以上350℃以下とし、
    前記熱処理における平均昇温速度を40℃/秒以上とし、
    前記熱処理において、前記析出層の温度が100℃以上の温度になってから前記析出層の冷却を開始するまでの間に、0.5秒以上5秒以内の無加熱時間を設ける
    ことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
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