JP6731702B2 - 親和性成熟化ヒト抗体の同定 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本願は、2011年7月12日出願の米国仮特許出願第61/506,749号明細書からの優先権を主張する。
配列表
本願は、EFS−Webを介してASCII方式で提出され、その全体において参照により本明細書によって組み込まれる配列表を含有する。2012年7月12日作成の前記ASCIIコピーのファイル名は54070121.txtであり、サイズは40,628バイトである。
本発明は全般的に、免疫学および分子生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は、体細胞高頻度突然変異を含有する「親和性成熟を受けた」ヒト抗体(Ab)を同定するための、方法、組成物およびキットに関する。
19世紀および20世紀を通じて、科学者や医師は、単一の生物学的標的に対して非常に特異的である治療剤をカスタム設計できることを夢見ていた。これらの「魔法の弾丸」は、健康な組織に影響を与えずに疾患を選択的に攻撃することにより、理想的な治療剤となると考えられていた。しかし、この夢が現実となり始めたのは、1970年代初めに、KohlerおよびMilstein(Nature 256:495,1975)が抗原(Ag)特異的なモノクローナル抗体(mAbs)を作製するための画期的な方法を開発してからであった。これはおそらく、現代免疫学における最も意義ある出来事の1つであった。この新しいアプローチを用いて、多数の研究、診断および治療薬が開発され、合計で数千億ドルの市場が形成された。
KohlerおよびMilsteinの方法において、特有の免疫グロブリン(Ig)(即ちmAb)をそれぞれ発現するげっ歯類B細胞を骨髄腫細胞との融合によって不死化した。これらのmAb分泌「ハイブリドーマ」の無限複製能によって、あるAgに対して高親和性を有するmAbを産生したものが、大量の同一mAbを産生させるためのエンジンとして選択されるようになった。この方法により作製されたMAbが最終的にヒト治療薬として使用された。有効である一方、治療用げっ歯類mAbの使用は、複数回投与後、抗げっ歯類Ig免疫反応を誘導し、その反応がmAbの活性を中和し、処置を受けた患者において頻繁に重篤な有害反応を引き起こしたため、到底理想的とはいえないことがすぐに明らかになった。
したがって、ヒトB細胞を骨髄腫細胞と融合させることによってヒトmAbを作製するために、KohlerおよびMilsteinのげっ歯類法を改変する試みが行われた。この「ヒトハイブリドーマ」技術は、多くの様々な理由のために予想よりも困難であることが判明した。最初に、倫理的または医学的理由のため、Agでヒト対象に繰り返し免疫付与することによって、Ag特異的なB細胞の頻度を向上させることが困難であることが多かった。第二に、これもまた倫理的または医学的理由のため、げっ歯類において行われたようにB細胞を得るためにヒト脾臓組織を単離することは実際的ではなかった。第三に、不死化mAb産生ヒト細胞株は、樹立が容易ではなく、ごく僅かしかmAbを産生しない傾向があった。そして、第四に、個々のAb特異性のヒト免疫グロブリンの多様性またはレパートリーが、げっ歯類レパートリーよりも遥かに多いため(それぞれの特異性が、約1012と約10)、および、採用されるスクリーニング法がある1回のサンプリングにおいて約10の特異性を超えない数に限定されていたため、望ましい特異性のヒトmAb分泌細胞を単離することは、技術的に遥かに困難である。このように、この技術によって低頻度の特異性を有するmAbを同定することは未だ困難であり、依然として非常に厄介なものであり、「見付かるあてのないものを探す」努力である。
「ヒトハイブリドーマ」法の開発と平行して、科学者らはまた、様々なげっ歯類アミノ酸配列をヒト抗体からの配列で置換することによって、げっ歯類抗体を「ヒト化」する試みも開始した。主用途においては、マウスIg可変領域をヒト定常ドメインと組み合わせるか、またはマウス相補性決定領域(CDR)をヒトIgフレームワーク上に移植する。この新しい組み換え核酸コンストラクトを発現ベクターに挿入し、これを培養時に大量のキメラmAbを産生し得る宿主細胞に形質移入する。(ヒト抗げっ歯類免疫グロブリン反応を低下させることによって)治療用途におけるmAbの有用性を高めるためにこの技術はよく行われてきたが、残留するげっ歯類配列は、依然として、mAbを中和させ得るかまたは患者において重篤な有害反応をさらに生じさせ得る望ましくない抗mAb反応[例えばHAMA(ヒト抗マウス抗体)反応]の発現を引き起こし得る。
ヒトmAbを作製するための別のアプローチは、ホスト動物のIg遺伝子が部分的にそれらのヒト対応物で置換されているキメラ動物を使用することである。ワクチン接種時、これらのノックアウト/ノックイン動物はヒトAbを産生し、従来のハイブリドーマ技術を用いてヒトmAbを作製するためにそれらのB細胞含有脾臓を使用し得る。この技術に関連づけられている欠点としては、ヒトIg関連遺伝子の不完全なレパートリーゆえの多様性(特異性)および親和性の低下;純粋にヒトではない液性反応(「ヒト化」トランスジェニック動物は、それらのネイティブT細胞を保持しており、マウス抗体反応の「リーキー」な発現がある。);産生される抗体が非ヒトグリコシル化パターン(例えばヒト化動物中のGalα 1−3Gal含有オリゴ糖はヒトでは一般的に見られず、従って外来物として認識される。);および動物において生成する抗体は、ヒトにおける寛容性に対して「選択」されず、したがって部分的ヒト配列由来だとしても、それらはヒトにおいて必ずしも非免疫原性ではない(即ち真にヒトではない)ことが挙げられる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の出現によって、Ig遺伝子の全体または一部を増幅することが可能となり、産生させようとする末梢血白血球(PBL)からの重および軽Ig鎖可変領域(V領域)をコードするcDNAを含有するプラスミドのライブラリを作製できるようになる。従来より、ファージディスプレイのためのライブラリ作製には、重鎖の可変領域における6個のプライマーおよびカッパ鎖の可変領域における4個のプライマーおよびラムダ鎖の可変領域における9個のプライマーのセットが含まれた(Barbas et al.,Phage Display:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor,2001に記載のとおり)。これらのライブラリからのプラスミドは、細菌または他の宿主細胞(例えば酵母)に対して形質移入を行うために使用され得、次いでこれがAg特異的なIg成分についてスクリーニングされ得る。ファージディスプレイアプローチにおいて、バクテリオファージ粒子の表面上でAb断片を提示させるために、バクテリオファージにヒトIg V領域遺伝子をクローニングする。大規模ヒトAb遺伝子ライブラリからの遺伝子をファージのライブラリに挿入する。各ファージは、様々なV領域に対する遺伝子を担い、その表面上で様々なV領域を提示し得る可能性がある。一般的に、これらのファージは、各重鎖および軽鎖V領域が、mAbがどのようにAgに結合するか綿密に模倣するようにして標的抗原に結合し得るように、リンカーにより分離される重および軽Ig鎖V領域から構成されるAbコンストラクト(1本鎖断片可変AbまたはscFv)をバクテリオファージ表面上に提示させるために使用される。ファージディスプレイと同様、酵母ディスプレイにおいて、融合タンパク質を細胞表面から突出させるようにして、酵母の表面上でAga2pタンパク質との融合物としてIg成分を提示させる。次に、標的Agと反応するIg成分を発現する酵母細胞を選択するために、フローサイトメトリーが使用され得る。ファージまたは酵母ディスプレイにより同定されたら、発現される重および/または軽鎖V領域遺伝子を回収し、全長重および/または軽鎖発現ベクターに挿入する。このようなベクターで形質移入された宿主細胞を培養することによって、大量のmAbを産生させることができるようになる。
ファージまたは酵母ディスプレイ技術の主な利点は、千億種類という多くの別個のV領域を組み込む巨大ライブラリをAg反応性についてスクリーニングし得るという点である。これらの技術の欠点は、ディスプレイの第一ラウンドで単離されるV領域の親和性が一般的には非常に低いことである。低親和性抗体を生じさせる一般的な理由は、この方法を用いると(成熟高親和性抗体を生成させる)、その結果重大な高頻度突然変異配列が失われということである。高親和性抗体を産生するBリンパ球は、一般に体細胞高頻度突然変異として知られる過程を経ている。この過程において、生殖系列にコードされるV領域配列は、V領域の遺伝子配列が改変されるような遺伝子突然変異を起こす。この結果、ある一定の抗原に対して実質的に親和性がより高い「成熟した」V領域配列が生成し得る。体細胞高頻度突然変異は、抗体多様性および高親和性抗体を生成させるための根本的に重要な事象であると一般的に理解される。この体細胞高頻度突然変異は、生殖系列のゲノム配列では見出すことはできず、ユニークなBリンパ球クローンでのみ示される。
ファージディスプレイアプローチを用いた低親和性抗体の生成は、この方法の大きな制限となってきた。この難問があるため、実際に、上述のような、ヒト化マウスを含む多くの他の複雑なアプローチおよびインビトロ体細胞高頻度突然変異が開発された。ヒトにおける抗体は、ヒトの身体において寛容性とする選択過程を経る。これらの技術では、ヒトインビボ選択過程に基づかない抗体配列が使用されることとなり、したがってこれらの抗体はヒトにおいて免疫原性となり得る。いずれにせよ、低親和性抗体の生成を克服することは、これらの方法に対する大きな課題であり得る。
ファージディスプレイにより一般的に低親和性抗体が生じる理由は、これが、生殖系列V領域配列に基づくプライマー配列の使用を含むからである。生殖系列配列に基づくV領域プライマーを用いることから、(1)プライマーと高頻度突然変異配列との間のミスマッチの結果、プライマーアニーリングができないため、プライマーは、体細胞突然変異配列とハイブリッド形成できないか;または(2)プライマーと高頻度突然変異配列との間のミスマッチが保存的であり、アニーリングが起こるが、増幅の結果、根本的な高頻度突然変異配列ではなくプライマーによりコードされる生殖系列−配列の反復が起こる、という2つの結果が起こり得る。いずれにせよ、ファージディスプレイ法は、生殖系列V領域配列をコードするPCRプライマー配列を用いた必須のPCR増幅段階を含むので、および、これらのプライマーが抗体V領域内部からのIg配列を増幅するので、生殖系列プライマー配列を用いて作製されるcDNAライブラリは、体細胞高頻度突然変異配列の完全レパートリーを含有しないであろう。さらに、および重要なこととして、このレパートリーは、V領域の5’末端、即ち生殖系列コードプライマーによりコードされる領域において高頻度突然変異がある抗体を完全に欠いている。
言い換えると、生殖系列配列に基づくプライマーを使用することは、生殖系列V領域配列を繰り返すことであり、それによってプライマー配列によりコードされるエリアにおいて高頻度突然変異を失う。したがって、この方法は、V領域のこれらのエリアにおいて高頻度突然変異を体系的に除去し、その結果、高頻度突然変異抗体配列が全体的に失われることになる。ファージディスプレイ系がほぼ間違いなく最適であり得る低頻度Ab(即ち、対象のAg特異性の全レパートリーの0.1、0.01、0.001、0.0001,または0.00001%未満)の場合において、高親和性mAbを生成させるために使用され得るV領域遺伝子を見出すことは、なお一層困難なものとなる。
本発明は、ヒトAbレパートリーで発生する頻度が低いAg特異的なIg V領域を同定し、Ag特異的なヒトmAbまたは他のAgを標的とするコンストラクトを作製するためにこれらのV領域が使用され得るようにする、改良法の開発に基づく。本発明はまた、より完全なV領域ライブラリ、特に、高親和性抗体を生成させるための必須の体細胞突然変異を含有する抗体配列をコードするものの同定を可能とする。
この改良法の開発は、従来からのファージおよび酵母ディスプレイ方法によって、標的Agに対する高親和性を有するヒト末梢血単核細胞(PBMC)における多くのV領域が同定から漏れることになるという驚くべき発見に基づいた。従来からのファージおよび酵母ディスプレイ法において、重および/または軽Ig鎖のV領域に対応する核酸配列を増幅するためにPCRが使用される。PCR増幅過程を開始させるフォワードプライマーは、V領域をコードするcDNAが増幅されるように各V領域の5’生殖系列末端に相補的である核酸配列を有する。
Ab多様性の生成に関与するいくつかの過程ゆえに、成熟AbのV領域のアミノ酸配列は生殖系列配列と異なり、互いに異なる。哺乳動物におけるIg遺伝子セグメントは、可変(V)、多様性(D)、連結(J)および定常(C)エクソンの一群で編成される。ヒト重鎖に対するDNAは、約50個の機能性VHセグメント、30個のDHセグメントおよび6個のJHセグメントを含む。カッパ鎖は、約40個の機能性Vκセグメント、5個のJκセグメントおよび1個のCκセグメントを含む。ラムダ鎖DNAは、30個のVλセグメントおよび4個の各JλおよびCλセグメントを含有する。連結多様性は、遺伝子セグメントの曖昧な連結の結果であり、組み換え中、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによって隣接している遺伝子セグメント間で非鋳型ヌクレオチドが付加され得、相補性決定領域(CDR)の一部となり得る。次いで、構築されるV−D−JまたはV−Jセグメントは、単一ヌクレオチド置換の段階的な組み込みにより多様化し(体細胞高頻度突然変異)、それにより、より大きな抗体多様性および親和性成熟がもたらされる。
各V領域重鎖および軽鎖における3個のCDR領域は最大の配列多様性を示す。この多様性のために、これらの領域は超可変領域とも呼ばれる。重鎖および軽鎖の6個のCDRは、AbのAg結合特異性を決定するために非常に重要である。各V領域の5’生殖系列末端は超可変領域内ではなく、この部位の生殖系列配列に対するフォワードプライマーを使用する従来法は、問題があるとは思われない。実際に、高頻度ヒトAbにおけるV領域を同定するために、この方法は非常に有用であると実証されている。
本発明までの研究において、低頻度のAbを同定することが試みられた。望ましい特異性のAbは、ELISA(酵素免疫測定アッセイ)などの技術を用いて末梢血試料中で同定することができたものの、従来のファージディスプレイ法においてこれらの試料を使用した場合、高親和性Abは生成され得なかった。これは業界において一般的な問題であり、V領域のコンビナトリライブラリを作製するために突然変異を生成させる複雑なインビトロ法が開発された。これらの方法は困難であり、労力を要し、ネイティブヒト配列を維持する抗体を必ずしも生成させない。
本発明は、ファージ系が、これらの低頻度抗体に対して高親和性抗体を生成させることができない理由を解決することに端を発する。(a)V領域の5’末端のアミノ酸配列において生殖系列と離れたかなりの割合の突然変異があること、および(b)CDRの外側のV領域のセクションにおける2つのアミノ酸置換がAgに対するAbの親和性に対して顕著な影響を有したことを示すそれらの先行実験を考慮し、5’生殖系列末端配列に対するプライマーを用いてV領域配列を増幅する従来法の結果、ライブラリがそれらの5’末端で突然変異を有するV領域の多くを失っており、またPCR過程中にこの部位において配列エラーを導入したという驚くべき事実に気付いた。ストリンジェントなPCR条件下でさえも、生殖系列配列プライマーは、いくつかの体細胞突然変異を含有するV領域と交差ハイブリッド形成する。したがって、プライマーは、V領域を増幅する場合、cDNAにおいて生殖系列配列を繰り返す。したがって、真の高親和性V領域の体細胞高頻度突然変異が失われるであろう。重要なこととして、これは、最高親和性Abに含まれると予想されるV領域を失っているものであったことも認識された。V領域の最初の10アミノ酸は、体細胞高頻度突然変異を含有し得、含有することが多い。この領域における単一アミノ酸変化は抗体結合に影響を与え得る。
本明細書中に記載の革新的なアプローチにおいて、5’V領域配列に対するPCRプライマーを用いてV領域を増幅するのではなく、V領域はリーダー配列特異的なフォワードプライマーを用いて増幅される。リーダー配列はV領域遺伝子のすぐ上流にあるので、5’末端突然変異があるものを含め、V領域配列が全て増幅される。従って、得られるライブラリは、(結果的に、体細胞において高頻度突然変異が起こっている全V領域配列が失われる)従来の方法により調製されるものよりも完全なV領域レパートリーを含有する。したがって、体細胞突然変異している低頻度V領域を単離することが可能である。リバースプライマーは、より集中的なライブラリを有するため、Igアイソタイプの全サブクラス(例えばガンマ、ミュー、アルファ、カッパ、ラムダなど)または重鎖の個々のサブクラス(例えばガンマ3またはガンマ4)の増幅を可能にするために選択され得る。
リーダー配列プライマーを用いて増幅されるV領域核酸の発現により、V領域タンパク質産物においてリーダーペプチドが含まれるようになる。これらの核酸を発現させるためにCHO細胞などの哺乳動物細胞が使用される場合、内在性の翻訳後プロセシング機構によってリーダーペプチドが除去され、それにより、Ag結合スクリーニングアッセイを妨害するリーダーペプチドがないV領域または複数のV領域(例えば重鎖および軽鎖)コンストラクトの発現が可能となる。しかし、細菌性ファージディスプレイ技術において、リーダーペプチドは除去されない。リーダーペプチドの存在により、Ag結合スクリーニングアッセイが妨害され得、それによって標的Agに対して高親和性があるV領域の検出が妨げられる。
この問題を克服するために、本発明はまた、5’V領域プライマーの従来のセットより大きいものを用いて作られる(「第二段階」増幅)第二のV領域ライブラリの作製も提供する。このより大きいプライマーセットによって、従来のプライマーセットを用いて増幅される数と比較して、より多数のV領域配列が増幅されるようになる。当然ではあるが、これらのプライマーは、生殖系列配列を増幅し、体細胞突然変異配列を増幅しないように設計されるので、プライマーそれ自身が、増幅産物中で配列エラーを導入する(即ち体細胞突然変異が除去され、生殖系列配列で置換されるように)。標的Agに結合するscFv発現ファージにおいてV領域を単離するためにファージディスプレイを使用した後、次いで、同定されたV領域をコードする核酸の配列決定を行う。この配列情報を使用して、その核酸を特異的に増幅するリバースプライマーを作製し、第一のライブラリが作製されたドナーにおいて生じるAg特異的なV領域の実際のおよび完全な(体細胞高頻度突然変異が起こった)配列を同定するために第一のライブラリからのV領域を増幅するため、リーダー配列フォワードプライマーとともに使用する。
前述のものに加えて、プロテオミクスアプローチも使用され、ここで、(例えばタンパク質Gクロマトグラフィーと、それに続くAg−親和性クロマトグラフィーを使用して)血漿IgGが単離される。得られたAg特異的なIgG混合物をキャピラリー等電点電気泳動法によってさらに分離する。次いで、プロテアーゼでIgGを消化し、質量分析(MS)によってペプチド断片アミノ酸配列を決定する。第二段階増幅が適切な体細胞高頻度突然変異V領域配列を生成できない(即ち、V領域生殖系列プライマーが、第一ラウンド増幅からの体細胞突然変異配列を含有した望ましい5’V領域配列との交差ハイブリッド形成/アニーリングができなかった)場合には、第一ラウンドcDNAのV領域産物の核酸配列決定を行うために、単離されたAg特異的なIgGのデノボ配列決定情報を使用し得る。具体的には、V領域リバースプライマーを設計するために、MSデノボタンパク質配列決定からの部分的配列決定データを使用する。V領域の5’末端を同定し、配列決定を行うために、これらのリバースプライマーをリーダー配列フォワードプライマーと一緒に使用し得る。これらの高頻度突然変異領域が同定されたら、従来のPCRを用いて完全なV領域配列が増幅され得る。次いで、これらのV領域を完全な体細胞高頻度突然変異が起こった抗体に構築し得る。ライブラリスクリーニング過程において、Ag特異的なV領域が正しく同定されたことを裏付けるために、MSペプチド配列情報を使用することもできる。
従って、本発明は、ヒト免疫グロブリンのV領域をコードする核酸を増幅するためのリーダー特異的なプライマーに着目する。本プライマーは、(a)ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号1から76から選択されるヌクレオチド配列の相補体に結合する核酸配列または(b)配列番号1から76から選択される核酸配列を含み得る。
別の態様において、本発明は、ヒト組織(例えば末梢血)試料中のヒト免疫グロブリンのV領域をコードする核酸の少なくとも90%(例えば少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98,または99%)を増幅するための、リーダー特異的プライマーのセットに着目する。本セットは、ヒト組織試料中のヒト免疫グロブリンのV領域をコードする核酸の100%を増幅するものであり得る。本セットは、少なくとも50種類の異なるプライマーを含み得、この異なるプライマーのそれぞれは、異なる核酸配列、例えば配列番号1から76のものを含み得る。本セットはまた、少なくとも32種類の異なるプライマーも含み得、この異なるプライマーのそれぞれは、異なる核酸配列、例えば配列番号1から32のものを含み得る。本セットは、少なくとも15種類の異なるプライマーを含み得、この異なるプライマーのそれぞれは、異なる核酸配列、例えば配列番号33から48のものを含み得る。本セットは、少なくとも27種類の異なるプライマーを含み得、この異なるプライマーのそれぞれは、異なる核酸配列、例えば配列番号49から76のものを含み得る。
可変領域の最初の8アミノ酸において体細胞高頻度突然変異を有する免疫グロブリン重鎖をコードする少なくとも10(例えば少なくとも10、10または10)の核酸分子を含むファージライブラリもまた本発明内である。
本発明は、リーダー特異的プライマーを用いたヒト対象から単離されたBリンパ球のPCR増幅によって単離された可変領域コード核酸配列を含むファージディスプレイライブラリをスクリーニングすることによって決定される可変領域配列を含む精製抗体をさらに含む。
別の態様において、本発明は、(a)Bリンパ球を含むヒト組織試料からヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖ヌクレオチド配列を増幅するために第一のPCRを使用し、このPCR増幅においてリーダー特異的プライマーが使用され;(b)第一のPCR段階から増幅産物を単離し;(c)第一のPCR段階からの単離増幅産物を発現ベクターに挿入することによって、コンストラクトの第一のセットを作製し;(d)ヒト免疫グロブリンヌクレオチド配列の第一のライブラリを作製するために、コンストラクトの第一のセットを宿主細胞の第一のセットに導入する段階を含む方法に着目する。この方法において、リーダー特異的なプライマーは、それぞれがストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号1から76からなる群から選択される異なる核酸配列の相補体に結合する異なるポリヌクレオチドのセットを含み得る。本方法はまた、(e)第一のライブラリまたはヒト組織試料からヒト免疫グロブリンヌクレオチド配列を増幅するために第二のPCRを使用し、このPCR増幅において可変領域特異的なプライマーが使用され;(f)第二のPCR段階から増幅産物の第二のセットを単離し;(g)単離された増幅産物の第二のセットを発現ベクターに挿入することによって、コンストラクトの第二のセットを作製し;(h)ヒト免疫グロブリンヌクレオチド配列の第二のライブラリを作製するために、宿主細胞の第二のセットにコンストラクトの第二のセットを導入し;(i)標的抗原に特異的に結合する可変領域をコードするヌクレオチド配列について第二のライブラリをスクリーニングし;(j)標的抗原に特異的に結合する可変領域をコードするヌクレオチド配列の配列を得て;(k)標的抗原に特異的に結合する可変領域をコードするヌクレオチド配列に特異的なリバースプライマーを生成させるために得られた配列情報を使用し;(l)標的抗原への免疫グロブリンの結合を促進するヒト組織試料中のBリンパ球において免疫グロブリンの配列に対応する第一のライブラリからヌクレオチド配列を増幅するために、第三のPCRにおいてリバースプライマーおよびリーダー特異的なプライマーを使用する、段階の1つ以上も含み得る。本明細書中で記載のように、本発明の方法においてプロテオミクスも使用し得る。
さらに、体細胞高頻度突然変異が起こったV領域配列の完全セットを含むヒト免疫グロブリンcDNAライブラリは、本発明の範囲内である。
別段の定めがない限り、本明細書中で使用される技術用語は全て、本発明が属する技術分野の熟練者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に理解される生物学用語の定義は、Rieger et al.,Glossary of Genetics:Classical and Molecular,5th edition,Springer−Verlag:New York,1991;およびLewin,Genes V,Oxford University Press:New York,1994で見出すことができる。医学用語の一般的に理解される定義は、Stedman’s Medical Dictionary,27th Edition,Lippincott,Williams & Wilkins,2000で見出すことができる。
本明細書中で使用される場合、「抗体」または「Ab」は、免疫グロブリン(Ig)、同一または異種Igの溶液またはIgの混合物である。「抗体」はまた、Igの断片および改変体、例えばFab、Fab’およびF(ab’)断片など;およびscFvのヘテロ結合型Abならびに、抗原特異性を付与するためにIg由来CDRを使用する類似の人工分子も指し得る。「モノクローナル抗体」または「mAb」は、1つのクローンB細胞株により発現されるAbまたは、特定の抗原の特定のエピトープと免疫反応可能な1つの抗原結合部位のみを含有するAb分子の集団である。「ポリクローナル抗体」または「ポリクローナルAb」は、異種Abの混合物である。一般的には、ポリクローナルAbには、特定の抗原に結合する無数の様々なAb分子が含まれており、その様々なAbのうち少なくとも一部が、抗原の異なるエピトープと免疫反応する。本明細書中で使用される場合、ポリクローナルAbは、2以上のmAbの混合物であり得る。
Abの「抗原−結合部分」は、AbのFab部の可変領域内に含有され、Abに抗原特異性を付与するAbの一部分(即ち、一般にはAbの重鎖および軽鎖のCDRにより形成される3次元ポケット)である。「Fab部」または「Fab領域」は、そのIgの抗原結合部分を含有するパパイン消化Igのタンパク質分解性断片である。「非Fab部」は、Fab部内ではないAbの一部、例えば「Fc部」または「Fc領域」である。Abの「定常領域」は、可変領域の外側のAbの一部分である。
Abなどのタンパク質分子を指す場合、「精製される」は、このような分子に天然に付随する成分から分離されることを意味する。一般的には、少なくとも約10重量%(例えば9重量%、10重量%、20重量%、30重量% 40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%、99.9重量%および100重量%)、非Abタンパク質または天然に付随するその他の天然有機分子を含まない場合、Abまたはタンパク質は精製されている。例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLC分析などの何らかの適切な方法によって純度を測定することができる。化学合成タンパク質または、そのタンパク質が天然に存在する細胞タイプ以外のタイプの細胞において産生されるその他の組み換えタンパク質は、「精製されている」。
「結合する(bind)」、「結合する(binds)」または「と反応する(reacts with)」は、ある1つの分子が、試料中で特定の第二の分子を認識し、それに接着するが、試料中の他の分子を実質的に認識しないかまたはそれらに接着しないことを意味する。一般に、別の分子に「特異的に結合する」Abは、その他の分子に対して約10、10、10、10、10、1010、1011または1012リットル/モルより大きいKを有する。
核酸およびアミノ酸に関して本明細書中で使用される場合、「パーセント配列同一性」という用語は、2つのアラインメント配列間の完全一致の数を短い方の配列の長さにより除してそれに100を乗じたものを意味する。核酸配列のアラインメントは、SmithおよびWaterman,Advances in Applied Mathematics 2:482−489(1981)において記載されるとおり、およびアミノ酸配列の場合は、Dayhoff,Atlas of Protein Sequences and Structure,M.O.Dayhoff ed.,5 suppl.3:353−358、National Biomedical Research Foundation,Washington,D.C.,USAおよびGribskov(1986)Nucl.Acids Res.14:6745に記載のとおり行うことができる。2つのDNA配列または2つのポリペプチド配列は、上記方法を用いて決定される場合、その分子の定められる長さにわたり、配列が少なくとも約80%から85%、少なくとも約85%から90%、少なくとも約90%から95%または少なくとも約95%から98%の配列同一性を示す場合、互いに対して「実質的に相同」である。本明細書中で使用される場合、実質的に相同とは、配列が、指定のDNAまたはポリペプチド配列に対して完全な同一性を示すことも指す。実質的に相同であるDNA配列は、例えば、その特定の系に対して定められるようなストリンジェントな条件下でのサザンハイブリッド形成実験において同定され得る。適切なハイブリッド形成条件を定義することは、当技術分野の技術の範囲内である。例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,(1989)Cold Spring Harbor,N.Y.;Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach,editors B.D.Hames and S.J.Higgins,(1985)Oxford;Washington,D.C.;IRL Pressを参照のこと。
本明細書中で使用される場合、「ストリンジェントなハイブリッド形成条件」という用語は、45℃で6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中に置き、続いて少なくとも60℃で0.2XSSC、0.1%SDSで洗浄することを意味する。
本明細書中に記載のものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試行において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、それらの全体において参照により組み込まれる。不一致がある場合、定義を含め本願が優先する。さらに、下記で論じられる特定の実施形態は、単なる例示であり、限定するものではない。
図1は、本発明の重鎖PCR増幅ストラテジーにおける段階の略図である。 図2は、本発明の重鎖PCR増幅ストラテジーにおける別の段階の略図である。 図3は、本発明の軽鎖PCR増幅ストラテジーにおける段階の略図である。 図4は、本発明の軽鎖PCR増幅ストラテジーにおける別の段階の略図である。 図5は、重鎖可変または軽鎖可変領域何れかのリーダーペプチド上流の存在によって、その抗原へのScFv断片の結合が阻害されたことを示すグラフである。重鎖上のリーダー(LC−LHC)、軽鎖上のリーダー(LLC−HC)および重鎖および軽鎖上のリーダー(LLC−LHC)を含有するScFv断片は、リーダーのないScFv断片(LC−HC)と比較した場合、抗原への結合を減少させる。
本発明は、体細胞高頻度突然変異を含有するヒト抗体配列の同定に関連する、方法、組成物およびキットを包含する。下記の好ましい実施形態は、これらの方法、組成物およびキットの適応を例示する。とはいえ、これらの実施形態の記載から、下記で提供される記載に基づき、本発明の他の態様がなされ得、および/または実施され得る。
全般的方法
従来の免疫学的および分子生物学的技術を含む方法を本明細書中で記載する。免疫学的方法(例えば、抗原−Ab複合体の検出および局在に関するアッセイ、免疫沈降、免疫ブロッティングなど)は、一般に当技術分野で公知であり、Current Protocols in Immunology,Coligan et al.,ed.,John Wiley & Sons,New Yorkなどの、手法に関する専門書に記載されている。分子生物学の技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1−3,Sambrook et al.,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2001;およびCurrent Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,ed.,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New Yorkなどの専門書に詳細に記載されている。Ab法は、Handbook of Therapeutic Abs,Dubel,S.,ed.,Wiley−VCH,2007に記載されている。
概観
Ag特異的なIg V領域を同定するための従来からのファージおよび酵母ディスプレイ法において、重および/または軽Ig鎖のV領域に対応する核酸配列を増幅するためにPCRが使用される。PCR増幅過程を開始させるフォワードプライマーは、V領域をコードするcDNAが増幅されるように、各V領域の5’生殖系列末端の相補体である核酸配列を有する。5’V遺伝子セグメントが、体細胞高頻度突然変異ゆえに生殖系列と異なる場合、このPCR過程は、選択的にファージおよび酵母ディスプレイライブラリにおいて多様性の喪失を導く5’生殖系列配列を有する産物を増幅する。
本発明のある態様において、リーダー配列特異的なフォワードプライマーを用いてV領域が増幅される。リーダー配列はV領域遺伝子のすぐ上流にあるので、大規模な5’末端突然変異があるものを含め、V領域配列は全て、元の5’V遺伝子セグメント配列を喪失することなく増幅される。従って、この方法で作製されたライブラリは、従来法によって調製されたものよりも完全なV領域レパートリーを含有する。これらのライブラリは、増幅されたV領域コード核酸を発現するように改変された哺乳動物細胞を使用して、Ag特異的なV領域についてスクリーニングされ得る。内在性の翻訳後プロセシング機構によってリーダーペプチドが除去され、それにより、Ag結合スクリーニングアッセイを妨害するリーダーペプチドがないV領域または複数のV領域(例えば重鎖および軽鎖)コンストラクトの発現が可能となる。リーダーペプチドがAg結合スクリーニングアッセイを妨害し得る細菌性ファージディスプレイ技術において、本発明はまた、5’V領域プライマーの従来のセットよりも大きいものを用いて作製される第二のV領域ライブラリの作製も提供する。このより大きいプライマーセットによって、従来のプライマーセットを用いて増幅される数と比較して、より多数のV領域配列が増幅されるようになるが、上記のように、増幅産物への配列エラーの導入が起こる。高親和性で標的Agに結合するscFvにおけるこれらのV領域についてスクリーニングするために、ファージディスプレイが使用される。次に、同定されたV領域をコードする核酸の配列決定を行い、その配列情報を使用して、それらの核酸を特異的に増幅するリバースプライマーを作製し、第一のライブラリが作製されたドナーにおいて生じるAg特異的なV領域の実際のおよび完全な配列を同定するために第一のライブラリからのV領域を増幅するため、リーダー配列フォワードプライマーとともに使用する。ドナーAbの重鎖および軽鎖をコードする核酸の同定を促進するために、ならびにこのような核酸を増幅するためのPCRプライマーを設計するために、ドナーIgの断片からのアミノ酸配列情報を使用し得る。
PCRプライマー
本発明のある態様は、それらのリーダー配列をコードするヌクレオチドから重鎖および軽鎖ヒトIg V領域を増幅するためのフォワードPCRプライマーを含む。配列決定されたこれらの100%未満(例えば70から99、70から75、75から80、80から85、85から90、90から95または95から99%)を捕捉するプライマーのセットも使用され得るものの、低頻度V領域を捕捉するためには、これらの配列の100%を増幅するために使用され得るこのようなプライマーのセット(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30以上)が好ましい。これらのプライマーのセットの例は、下記の表1A、1Bおよび1Cに記載される。これらのプライマーセット(または表1A、1Bおよび1Cのものと実質的に相同であるプライマーとのプライマーセット)および適切なリバースプライマーを用いると、リーダー配列がV領域遺伝子のすぐ上流にあるので、大規模な5’末端突然変異があるものを含め、全V領域配列が増幅され得る。
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本発明の別の態様において、重鎖および軽鎖Ig可変領域をコードする核酸を増幅するために、V領域PCRプライマーのセットを使用し得る。このようなプライマーの好ましいセットは、従来のプライマーセットを用いて増幅される数と比較して、より多くの数のV領域配列が増幅されるようにするものである。配列決定されたこれらの100%未満(例えば70から99、70から75、75から80、80から85、85から90、90から95または95から99%)を捕捉するプライマーのセットも全て使用され得るものの、低頻度V領域を捕捉するためには、これらの配列の100%を増幅するために使用され得るこのようなプライマーのセットが好ましい。このようなプライマーのセットの例は、下記の表2および3に記載される。これらのプライマーセット(または表2および3のものと実質的に相同であるプライマーとのプライマーセット)および適切なリバースプライマーを用いると、この過程によって高頻度突然変異が起こった5’V領域があるそれらの鎖において(本明細書中で記載のように補正され得る)エラーが導入されるものの、全てでないにしても殆どのV領域配列がPCRにより増幅され得る。scFvの作製の場合、本明細書中に記載のフォワードプライマーのそれぞれが、(重鎖に対するプライマー配列に対して5’に位置し得、表2の下部で示される配列番号99などの適切なリバースプライマーとともに使用され得る)ロングリンク(longlink)配列:GGTGGTTCCTCTAGATCTTCCTCCTCTGGTGGCGGTGGCTCGGGCGGTGGTGGG[配列番号:176]などの適切なリンカー配列または(配列番号114、133および134などの対応するリバースプライマーとともに使用される)配列番号142から175におけるプライマー配列の上流で示されるリンカーを含むように改変され得る。
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本発明は、V領域をコードするヌクレオチド(例えばヒンジまたは定常領域をコードする核酸配列)の3’に位置する配列から重鎖および軽鎖ヒトIg V領域を増幅するためのリバースPCRプライマーのセットも含み得る。リバースプライマーは、より焦点が絞られたライブラリを得るためにIgアイソタイプの全サブクラス(例えばガンマ、ミュー、アルファ、イプシロン、カッパ、ラムダなど)または重鎖の個々のサブクラス(例えばガンマ1、ガンマ2、ガンマ3、ガンマ4、アルファ1およびアルファ2)の増幅を可能にするように選択され得る。このようなリバースプライマーの特定の配列は、Igアイソタイプの公開配列に基づき当業者により決定され得る。代表例は、下記の表4で示される。
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前出の特異的なプライマーが好ましいものの、PCR増幅において使用されるハイブリッド形成条件またはストリンジェントなハイブリッド形成条件下で本明細書中で示される特異的な配列の相補体とハイブリッド形成する他のプライマーも使用され得る。例えば、少なくとも75%(例えば少なくとも80%、85%、90%または95%)の配列同一性を有するプライマーは、本明細書中で示される具体的な配列の相補体と実質的に相同であり、および/またはこれとストリンジェントなハイブリッド形成条件下で結合する。これらの長さは、約(+/−5ヌクレオチド)15から100、17から50、18から40または20から30ヌクレオチドの範囲であり得る。
V領域ライブラリ
V領域ライブラリを生成させるために、PCRにおいて前出のプライマーを用いて作製される重鎖および軽鎖Ig増幅産物を使用し得る。例えばIg鎖をコードする核酸をベクターに挿入し得、ライブラリを作製するために、生じたコンストラクトを宿主細胞(例えば細菌などの原核細胞または酵母もしくは哺乳動物細胞などの真核細胞)に導入し得る。
一例として、Bリンパ球を含有するドナー試料(例えば末梢血単核細胞、単離B細胞または形質細胞、バフィーコート、骨髄、リンパ節、脾臓またはCNS試料)から天然のIgをコードする核酸を得ることができる。一般的には、関心のある標的Agに特異的なAbを保持するために既に決定されたヒトドナーから(例えばELISAまたはRIAによって)試料を得る。自己Agに対するAbを同定することに対して、好ましいドナーは、サイトカイン特異的な自己抗体(例えばインターフェロンガンマ、腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキン4およびインターロイキン10、GM−CSF、エリスロポエチン、IL−6、IL−17、IL−22、インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータ、IL−2、IL−8、血管内皮細胞成長因子および/または顆粒球コロニー刺激因子に対するもの)を有する者および関節リウマチまたは狼瘡などの自己免疫疾患の者である。
ある方法において、これらの細胞から全RNAを抽出し、ポリAプライマーを用いて逆転写する。上述のプライマーおよび下記実施例に記載されるものなどの適切なPCRストラテジーを用いたPCR増幅に対する鋳型として、得られたcDNAを使用する。アガロースゲル上で正しい大きさを有するPCR産物を視覚化し、切り出し、精製し得る。次に、精製した産物を適切な制限酵素(例えば、V重鎖の場合はNotIまたはNcoI、V軽鎖の場合はSfiIまたはSalI)で消化し得る。消化した断片を再びゲル精製し、ベクター(例えば、NotI/NcoIまたはSfiI/SalIの何れかで予め線状化したファージミドベクター)にリガーゼ(例えばT4 DNAリガーゼ)で連結し得る。重鎖および軽鎖ライブラリを調製するために、連結産物をコンピーテント宿主細胞(例えばE.コリ)へと電気穿孔により挿入し得る。アイソタイプまたはサブクラスに特異的なリバースプライマーを用いて、アイソタイプおよびサブクラス特異的ライブラリを作製し得る。
ディスプレイライブラリ
重鎖および軽鎖を含有する、Fab、scFvまたは他のAb様コンストラクトを提示する細胞の他のライブラリを作製するために、重鎖および軽鎖ライブラリを使用し得る。上述の方法によるかまたはこれらの核酸を既存のV領域ライブラリから再精製することによる重鎖および軽鎖コード核酸の単離によって、このようなライブラリを作製し得る。単離された重鎖および軽鎖コード核酸を適切なベクターに挿入し、これらのコンストラクトを宿主細胞中で発現させることによって、Ag結合について重鎖および軽鎖の組み合わせを評価し、および/または高親和性がある標的Agに結合するものを同定するために複数回の選択ラウンドに供し得る。これらは、配列決定によって特徴を調べることができる。例えばClackson et al.,Nature 352:624−628,1991;McCafferty et al.,Nature 348:552−554, 1990;およびKang et al.,Proc.Nat’l Acad. Sci.88:4363−4366,1991を参照のこと。
scFvライブラリの調製に対しては、増幅VHおよびVL遺伝子をアガロース上でゲル精製し、鋳型としてVHおよびVL断片を用いてオーバーラップPCRによってscFv遺伝子を構築する。最初に、リンカーの末端の短い相補性領域が様々な断片のハイブリッド形成を促進する、プライマーなしのPCRによって、リンカーを用いてVHおよびVLを構築する。最初にプライマーなしのPCRを行い、その後外側のプライマーを添加する。scFvを適切な制限酵素で消化し、アガロースゲル精製し、次いで同じ制限酵素で切断されたファージディスプレイベクターに連結する。コンピーテント宿主細胞(例えば細菌、酵母または哺乳動物細胞)に連結産物を挿入し(例えば電気穿孔処理し)、細胞をプレーティングし、培養し、次いで適切なクローンをプレートから擦り取って適切な凍結用培地に入れ、凍結させる(例えば10%グリセロール入りのスーパーブロス培地中、−70℃)。リンカーを使用しなくても、同様にしてFabライブラリを調製し得る。自動スクリーニング装置/ピッキング装置(例えばCLONEPIX(商標)システム)を用いた、パニング、細胞ソーティング、ならびに磁気ビーズ分離などの選択法を用いて、細菌性ファージディスプレイ、酵母ディスプレイおよび/または哺乳動物細胞ディスプレイライブラリ技術をスクリーニングすることによって、Ag特異的なFabおよびscFvを得ることができる。
リーダー配列プライマーを用いて増幅されたV領域核酸の発現によって、V領域タンパク質産物中にリーダーペプチドが含まれるようになる。これらの核酸を発現させるためにCHO細胞などの哺乳動物細胞を使用する場合、内在性の翻訳後プロセシング機構によってリーダーペプチドが除去され、それにより、Ag結合スクリーニングアッセイを妨害するリーダーペプチドがないV領域または複数のV領域(例えば重鎖および軽鎖)コンストラクトの発現が可能となる。しかし、細菌性ファージディスプレイ技術において、リーダーペプチドは除去されない。リーダーペプチドの存在により、Ag結合スクリーニングアッセイが妨害され得、それによって標的Agに対して高親和性があるV領域の検出が妨げられる。
この問題を克服するために、本発明はまた、5’V領域プライマーの従来のセットより大きいものを用いて作られる第二のV領域ライブラリの作製も提供する。この大きいプライマーセットによって、従来のプライマーセットを用いて増幅される数と比較して、より多数のV領域配列が増幅されるようになる。当然ではあるが、これらのプライマーは、生殖系列配列を増幅するが、体細胞突然変異配列を増幅しないように設計されるので、プライマーそれ自身、増幅産物中で配列エラーを導入する(即ち体細胞突然変異が除去され、生殖系列配列で置換されるように)。高親和性を有する標的Agに結合するscFvにおいてV領域をスクリーニングするためにファージディスプレイを使用する。次いで、同定されたV領域をコードする核酸の配列決定を行い、この情報を使用して、その核酸を特異的に増幅するリバースプライマーを作製し、第一のライブラリが作製されたドナーにおいて生じるAg特異的なV領域の実際のおよび完全な配列を同定するために(産物がリーダー配列プライマーで増幅された)第一のライブラリからのV領域を増幅するため、リーダー配列フォワードプライマーとともに使用する。
Ag特異的なヒトmAbsまたは他のAgを標的とするコンストラクト
全長Ab、Ab断片、改変Abおよび融合タンパク質を含むAgを標的とするコンストラクトを作製するために、特定の標的Agへの結合に関与するものとして同定される重鎖および/または軽鎖V領域(またはCDRなどのそれらの一部)を使用し得る。全長Abおよび他のAgを標的とするコンストラクトは、特定のアイソタイプまたはサブクラス、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA1、IgA2、IgEまたはIgMに特異的なIg配列をコードする非V領域配列を含み得る。Fab断片は、Fab’、F(ab)2、F(ab’)、F(ab)、Fv、scFv)、dsFv、FdまたはdAbであり得る。改変Abは、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディまたはカッパボディであり得る。例えば核酸レベルでV領域またはCDRがコンストラクトの残りの部分に移植される組み換えまたはタンパク質改変技術を用いて、Ag結合コンストラクトを作製し得る。
プロテオミクス
前述のものに加えて、プロテオミクスアプローチも使用され、ここで、既知の技術(例えばプロテインG、プロテインA、プロテインLまたはイオン交換クロマトグラフィーと、それに続くAgアフィニティークロマトグラフィー)を用いて、ドナー組織試料(例えば血漿IgG)中のAg特異的Abが単離される。例えばキャピラリー等電点電気泳動によって、得られたAg特異的Ab混合物をさらに分離する。次に、Igをプロテアーゼで消化し、MSによってペプチド断片アミノ酸配列を決定する。次に、ライブラリスクリーニング過程においてAg特異的V領域が正しく同定されたことを確認するために、ペプチド配列を使用し得、前に調製したライブラリからAg特異的V領域を増幅するために、PCRプライマーを消化することもできる。
キット
使用のための説明書を含み得るキット中に本明細書中に記載のPCRプライマーのセットおよび/または本明細書中に記載のライブラリの1以上を包装し得る。
実施例1:PCRストラテジー
ここで図1を参照して、重鎖に対する3ラウンドのPCRおよび軽鎖に対する2ラウンドのPCRを行う。ヒトPBMCから作製されるcDNAライブラリを鋳型として使用し、様々なリーダーフォワードプライマー(表1A参照)および重鎖のCH2領域中に位置するリバースプライマーを用いて第一ラウンドのPCRを行う。得られたPCR産物の大きさは、IgGのサブクラスに依存して、905から1046である。第二ラウンドのPCRは、第一ラウンドと同じフォワードプライマーを使用するが、リバースプライマーは、表4で列挙されるリバースプライマーを用いたIgG重鎖の4つの異なるクラスのヒンジ領域に位置する。この段階の結果、サブクラス特異的な重鎖の増幅が起こる。図2を参照して、重鎖に対する第三のPCRラウンドは、V領域の5’末端に位置するフォワードプライマー(表3参照)およびCH1ドメインの5’末端に位置するリバースプライマーを使用する。フォワードプライマーは、ScFv断片に対する長いリンカーを導入するアダプターを有し、リバースプライマーは、Sfi I部位を導入するアダプターを有する。
軽鎖の場合、図3を参照して、PBMC cDNAライブラリも鋳型として使用され、リーダーフォワードプライマーおよびカッパおよびラムダ鎖のCκおよびCλ領域に位置するリバースプライマーを用いて第一ラウンドのPCRを行う。得られたPCR産物をアガロースゲル上で流し、カッパ鎖に対しては約550bp産物をゲル精製し、第二ラウンドPCR反応において鋳型として使用する。ラムダ鎖に対しては約630産物をゲル精製し、第二ラウンドPCR反応において鋳型として使用する。リバースプライマーを表4で列挙する。図4を参照して、軽鎖に対する第二ラウンドのPCRは、V領域の5’末端に位置するフォワードプライマーおよびCκおよびCλドメインの5’末端に位置するリバースプライマーを使用する。フォワードプライマーは、Sfi I部位を導入するアダプターを有し、リバースプライマーは、長いリンカーを導入するアダプターを有する。
オーバーラップ・エクステンションPCRを行うが、ここでは、第三ラウンド重鎖産物をカッパおよびラムダ鎖第二ラウンドPCR産物と等しい比率で混合し、オーバーラップ産物を生成させる。ScFv断片を生成させるために、軽鎖アダプター特異的なフォワードプライマーおよび重鎖アダプター特異的なリバースプライマーを用いて、オーバーラップ産物を増幅させる。ScFv断片をSfiIで消化し、pComb3Xベクターにクローニングする。
実施例2:V領域プライマーを用いたPCR
ファージ結合におけるリーダー配列の効果を試験するために、次の実験を行った。重鎖および軽鎖リーダーありまたはなしで、試験ScFv断片を作製し、ファージ上で発現させた。特異的な抗原に対してELISAにおいてファージを使用した。図5は、重鎖可変または軽鎖可変領域の何れかの上流にリーダーペプチドが存在することによって、ScFv断片の、その抗原に対する結合が阻害されたことを示す。
上記結果に基づき、V領域特異的なプライマーは、長いリンカーおよびSfi I部位が導入される、最後のラウンドのPCRにおけるものである。高親和性抗原特異的な候補ScFv断片の配列決定を行ったら、V領域の正しい5’配列を得るために、リバースプライマーとしてフレームワーク2領域においてプライマーを設計し、リーダー特異的なフォワードプライマーを重鎖の第二のPCR産物および軽鎖の第一のPCR産物において使用する。生物学的活性アッセイのための全長抗体を生成させるために、補正されたV領域を使用する。
実施例3:ヒトサイトカインに結合する重鎖および軽鎖の探索
上記の方法および組成物を用いて、ヒトサイトカインに対する2つの異なるモノクローナル抗体をコードするヒト重鎖および軽鎖遺伝子を同定した。これらのモノクローナル抗体は両者とも、(ナノモル濃度からピコモル濃度の範囲で)抗原に対して高い結合親和性を示した。このことから、本発明の方法および組成物は、ヒトゲノムからの低頻度(この場合は、抗体が自己抗原に対するものであった)抗体を同定するために有用であることが明らかとなる。
その他の実施形態
本発明の詳細な説明と組み合わせて本発明を説明してきたが、前出の説明は、添付の特許請求の範囲により定められる本発明の範囲を例示するものであり、限定するものではないことを理解されたい。他の態様、長所および変更は次の請求項の範囲内である。

Claims (7)

  1. ヒト免疫グロブリン可変領域ヌクレオチド配列のライブラリを作成するための方法であって、
    前記方法が:
    (a)関心のある抗原に特異的な抗体を保持すると既に決定されたヒトドナーから得られたヒト末梢血単核細胞の試料から作製されたcDNAライブラリからヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖のリーダーおよび可変領域のヌクレオチド配列を増幅するためにPCRを使用する段階であって、前記PCR増幅においてリーダー特異的プライマーが使用され、前記リーダー特異的プライマーが、各々が異なった核酸配列の相補体にストリンジェントなハイブリッド形成条件下で結合する、配列番号1から76から成る群からの10種以上の異なったポリヌクレオチドのセットを含む段階;
    (b)前記PCR段階から増幅産物を単離する段階;
    (c)前記PCR段階からの単離された前記増幅産物を発現ベクターに挿入することによって、コンストラクトのセットを作製する段階;および
    (d)ヒト免疫グロブリン可変領域ヌクレオチド配列のライブラリを作製するために、前記コンストラクトのセットを宿主細胞のセットに導入する段階であって、前記ライブラリが、
    ヒト免疫グロブリン可変領域であって、そのN末端の最初の8アミノ酸において体細胞高頻度突然変異を有し、関心のある抗原に特異的に結合するものを含むヒト免疫グロブリン可変領域
    をコードするヌクレオチド配列を含む段階;
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 関心のある抗原へ結合する免疫グロブリンの可変領域をコードする核酸配列を決定するための方法であって、
    前記方法が:
    (a)関心のある抗原に特異的な抗体を保持すると既に決定されたヒトドナーから得られたヒト末梢血単核細胞の試料から作製されたcDNAライブラリからヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖のリーダーおよび可変領域のヌクレオチド配列を増幅するために第一のPCRを使用する段階であって、前記PCR増幅においてリーダー特異的プライマーのセットを使用する段階;
    (b)前記第一のPCR段階から増幅産物を単離する段階;
    (c)前記第一のPCR段階からの単離された前記増幅産物を発現ベクターに挿入することによって、コンストラクトの第一のセットを作製する段階;
    (d)ヒト免疫グロブリンヌクレオチド配列の第一のライブラリを作製するために、前記コンストラクトの第一のセットを宿主細胞の第一のセットに導入する段階;
    (e)前記第一のライブラリまたは前記試料からヒト免疫グロブリンヌクレオチド配列を増幅するために第二のPCRを使用する段階であって、前記PCR増幅において可変領域特異的プライマーを使用する段階;
    (f)前記第二のPCR段階から増幅産物の第二のセットを単離する段階;
    (g)単離された前記増幅産物の第二のセットを発現ベクターに挿入することによって、コンストラクトの第二のセットを作製する段階;
    (h)ヒト免疫グロブリンヌクレオチド配列の第二のライブラリを作製するために、前記コンストラクトの第二のセットを宿主細胞の第二のセットに導入する段階;
    (i)標的抗原に特異的に結合する可変領域をコードするヌクレオチド配列について前記第二のライブラリをスクリーニングする段階;
    (j)標的抗原に特異的に結合する可変領域をコードする前記ヌクレオチド配列の配列を得る段階;
    (k)標的抗原に特異的に結合する可変領域をコードする前記ヌクレオチド配列に特異的なリバースプライマーを作製するために、得られた配列情報を使用する段階;
    (l)前記試料中のBリンパ球における免疫グロブリンの可変領域の配列に対応するヌクレオチド配列を前記第一のライブラリから増幅するために、第三のPCRにおいて前記リバースプライマーおよび前記リーダー特異的プライマーを使用する段階であって、前記試料中のBリンパ球における免疫グロブリンの可変領域の配列が前記関心のある抗原へ結合する段階;および
    (m)前記第三のPCR段階で増幅された前記ヌクレオチド配列の核酸配列を決定する段階;
    を備えることを特徴とする方法。
  3. 請求項2に記載の方法で使用するための、少なくとも50種の異なるプライマーを含むリーダー特異的プライマーのセットであって、異なるプライマーのそれぞれが、配列番号1から76から成る群から選択される異なる核酸を含む、セット。
  4. 請求項2に記載の方法で使用するための、32種の異なるプライマーを含むリーダー特異的プライマーのセットであって、異なるプライマーのそれぞれが、配列番号1から32から成る群から選択される異なる核酸を含む、セット。
  5. 請求項2に記載の方法で使用するための、16種の異なるプライマーを含むリーダー特異的プライマーのセットであって、異なるプライマーのそれぞれが、配列番号33から48から成る群から選択される異なる核酸を含む、セット。
  6. 請求項2に記載の方法で使用するための、28種の異なるプライマーを含むリーダー特異的プライマーのセットであって、異なるプライマーのそれぞれが、配列番号49から76から成る群から選択される異なる核酸を含む、セット。
  7. 請求項1に記載の方法によって得られる、ヒト免疫グロブリンをコードする核酸のライブラリー。
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