JP6728550B2 - 鋳造物に残存する鋳型の除去方法 - Google Patents

鋳造物に残存する鋳型の除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋳型を用いて鋳造した鋳造物から、鋳造物に残存して付着する鋳型を除去する方法に関するものである。
鋳造は、鋳型に金属の溶湯を流し込み、溶湯金属を冷やして凝固させることによって、行なわれている。ここで、鋳型はけい砂などの鋳物砂をバインダーで結合させて所定形状に成形することによって製造されている。そして鋳型に金属の溶湯を流し込んで鋳造を行なうと、鋳型には溶湯の高温が作用するので、この高温の作用でバインダーが熱分解され、バインダーによる結合力が低下する。このため、鋳造を行なった後に鋳型に衝撃を加えるなどすると、バインダーで結合されていた鋳物砂がバラバラになるように鋳型は崩壊し、鋳型からの鋳造物の取り出しを行なうことができるものである。
鋳型において上記のバインダーには有機バインダーと無機バインダーがあり、そして有機バインダーとしては、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、澱粉や砂糖などの糖類が主として使用されている。ここで、糖類は熱分解温度が低いので、比較的低温の金属の鋳造に使用する鋳型のバインダーとして用いられている。また糖類はこのように熱分解温度が低いので溶湯を流し込む際の高温の作用で容易に熱分解し、鋳型は容易に崩壊して鋳物砂はバラバラになる。このため、鋳造物からの鋳物砂の除去は容易である。
一方、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂は例えばシェルモールド法などにおいて、鋳型のバインダーとして汎用されている。そして熱硬化性樹脂は糖類よりも耐熱性が高いので、比較的高温の金属を鋳造する際にも鋳型の強度を保持することができる。しかし熱硬化性樹脂は熱分解温度が高いので、溶湯を流し込む際に溶湯金属の高温が作用しても容易に熱分解しないことがある。このため、鋳造を行なった後に鋳型を壊しても、鋳型の大部分または一部がバインダーの結合力で崩壊しないまま鋳造物に付着して残ることがある。特に鋳型が中子である場合、中子は鋳造物の内部に存在するので、中子を鋳造物から除去することは難しい。
そこで、鋳造物から鋳型を除去する方法が、従来より、例えば特許文献1や特許文献2のように種々提案されている。
特開2010−64082号公報 特開2012−139718号公報
鋳造物から鋳型を除去する方法としては、上記の特許文献1や特許文献2にみられるように、鋳造物に衝撃や振動を加えて鋳型を崩壊させる方法が主たるものである。しかし、鋳型のバインダーの熱分解が不十分であって、鋳型が崩壊しないまま鋳造物に残っている状態では、多少の衝撃や振動を加えても、鋳造物に残存して付着する鋳型の鋳物砂をバラバラに崩壊させることは困難である。特に熱硬化性樹脂のように結合強度の高いバインダーを用いて製造した鋳型で鋳造を行なった場合には、大きな衝撃や振動を鋳造物に加えても、鋳型に残存する鋳型を崩壊させて除去することは難しいものであった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、鋳造物に残存して付着する鋳型を容易に崩壊させて除去することができる鋳型の除去方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る鋳造物に残存する鋳型の除去方法は、有機バインダーで鋳物砂を結合させることによって形成される鋳型を用いて鋳造することにより得られる鋳造物を鋳型から脱型する際に、鋳造物に付着して残る鋳型を除去する方法であって、鋳造物に付着する鋳型の有機バインダーを炭化させると共にさらに賦活する処理を行なった後、鋳造物に付着する鋳型を除去することを特徴とするものである。
鋳造物に付着する鋳型の有機バインダーを炭化させると、有機バインダーは多孔質構造の炭化物になって強度が低下し、さらに有機バインダーの炭化物を賦活すると、多孔質の微細構造がさらに発達すると共に微細な亀裂が発生して、有機バインダーの炭化物の強度はさらに低下し、鋳造物に残存して付着する鋳型の有機バインダーは非常に脆い状態になる。この結果、鋳造物に残存して付着する鋳型の鋳物砂は容易に崩壊してバラバラになり、鋳造物に残存して付着する鋳型を容易に除去することができるものである。
また本発明は、鋳型が付着した鋳造物を賦活ガス雰囲気中に配置し、鋳型の有機バインダーを炭化すると共にさらに有機バインダーの炭化物を賦活させる条件下で鋳造物を加熱処理することを特徴とするものである。
鋳型が付着した鋳造物を賦活ガス雰囲気中で加熱すると、賦活ガスは鋳造物に付着した鋳型の鋳物砂の粒子間に浸透し、鋳物砂を結合している有機バインダーを炭化させた後に効率よく賦活することができるものであり、有機バインダーを容易に脆い状態にすることができるものである。
また本発明は、鋳造物に付着する鋳型の有機バインダーを炭化させると共にさらに賦活する処理を行なった後、鋳造物に付着する鋳型に外力を加えて崩壊させることを特徴とするものである。
有機バインダーを上記のように炭化・賦活処理した後も、鋳造物に付着する鋳型は外形を保っていることが多いが、有機バインダーの炭化物は非常に脆い状態になっているので、この鋳型に少しの力を加えるだけで容易に崩れ、鋳物砂をバラバラに崩壊させた状態にして鋳造物から容易に除去することができるものである。
また本発明は、上記賦活ガスとして水蒸気、二酸化炭素、酸素、これらの二種類以上の混合ガス、から選ばれるものを用いることを特徴とするものである。
賦活ガスとしてこれらのものを用いることによって、効率高く賦活を行なうことができるものである。特に水蒸気は高い潜熱と顕熱を有するので、鋳造物に付着する鋳型の有機バインダーを効率高く加熱することができ、短時間で有機バインダーを炭化することができると共に賦活することができるものである。
また本発明において、上記水蒸気は過熱水蒸気であることを特徴とするものである。
過熱水蒸気は高温の乾き蒸気であり、鋳造物に付着する鋳型の有機バインダーをより効率高く加熱することができ、短時間で有機バインダーを炭化することができると共に賦活することができるものである。
また本発明において、鋳型の上記有機バインダーは熱硬化性樹脂であることを特徴とするものである。
熱硬化性樹脂は耐熱性が高く溶湯の熱で熱分解しないことがあるが、熱硬化性樹脂は炭化や賦活が容易であって、容易に脆い炭化物にすることができるものであり、有機バインダーが熱硬化性樹脂であっても、鋳造物に付着する鋳型を容易に除去することができるものである。
また本発明において、上記鋳型は中子であることを特徴とするものである。
中子は鋳造後に鋳造物の内部に残されることが多いが、賦活ガスは鋳造物の内部に開口部から進入して中子に作用するものであり、中子の鋳物砂を結合している有機バインダーを炭化させた後に効率よく賦活することができるものであり、鋳造物の内部に残る中子であっても容易に除去することができるものである。
本発明によれば、鋳造物に付着する鋳型の有機バインダーを炭化させると、有機バインダーは多孔質構造の炭化物になり、さらにこの炭化物を賦活すると多孔質の微細構造が発達し、有機バインダーは強度が非常に小さい炭化物になるものであり、鋳型の有機バインダーを非常に脆い状態にすることができ、鋳造物に残存して付着する鋳型を容易に崩壊させて、鋳型の鋳物砂をバラバラにした状態で鋳造物から容易に除去することができるものである。
本発明において使用する装置の一例を示す概略正面図である。 本発明において使用する装置の他の一例を示す概略正面図である。 実施例において使用する鋳型を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は平面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、炭素を分子骨格に有する有機バインダーをバインダー(粘結剤)とする鋳型を用いて鋳造した鋳造物であれば、特に制限されることなく適用されるものである。この有機バインダーについても熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、糖類など、鋳型の製造に使用されるものであればよく、特に制限されるものではない。炭素化収率が高い有機バインダーを使用したものであっても、例えば熱硬化性樹脂のなかでもフェノール樹脂やフラン樹脂のように炭素化収率が高いものであっても、炭化及び賦活により鋳型の崩壊が容易になるものである。
鋳型を形成する鋳物砂についても特に制限されることはなく、けい砂、山砂、アルミナ砂、オリビン砂、クロマイト砂、ジルコン砂、ムライト砂、再生砂、その他、人工砂など、鋳型に一般的に使用されるものを例示することができる。
また鋳物砂と有機バインダーを用いて製造される鋳型は、どのような方法で製造したものであっても制限なく使用することができる。例えば鋳物砂と有機バインダーを湿態状態で混錬し、これを成形型に充填して加熱することによって得られる鋳型を使用することができる。あるいは鋳物砂と有機バインダーを混錬して、鋳物砂の表面を固体の有機バインダーで被覆したいわゆるレジンコーテッドサンドを調製し、このレジンコーテッドサンドを高温の成形型内に充填し、成形型の温度で加熱することによって得られる鋳型や、あるいはレジンコーテッドサンドを成形型内に充填し、成形型に水蒸気を通気して、成形型内のレジンコーテッドサンドを水蒸気で加熱することによって得られる鋳型を使用することもできる。
そして溶融した金属である溶湯を鋳型に注湯し、溶湯を冷却して凝固させることによって、鋳造を行なうことができる。このように溶湯を鋳型に注湯する際に、溶湯の高温が鋳型に作用するので、鋳型の有機バインダーはこの高温で熱分解され、鋳物砂を結合する有機バインダーの強度は低下する。このため、衝撃を加えたり振動を与えたりすると、鋳物砂がバラバラになるように鋳型が崩壊し、鋳造物を鋳型から取り出すことができるものである。
このとき、溶湯の温度や有機バインダーの耐熱性などによって、鋳造を行なう際の有機バインダーの熱分解が十分でないと、鋳型の全体が崩壊せず、鋳型の一部あるいは大部分が鋳造物に残ることがある。鋳造物に残る鋳型は、鋳物砂が有機バインダーで結合された状態にあると共に有機バインダーで鋳造物に付着しているものであり、このように鋳造物に残存して付着した鋳型は、鋳造物に衝撃を加えたり振動を与えたりしても容易に除去することは難しい。
そこで本発明は、このように鋳型が残って鋳物砂が付着した鋳造物において、鋳造物に残存して付着する鋳型の有機バインダーを炭化させ、さらに賦活させる処理を行なうようにしたものである。炭化物を賦活するにあたって本発明では賦活ガスを使用することが好ましいものであり、賦活ガスのなかでも水蒸気が特に好ましい。そして賦活ガスとして水蒸気を用いて処理を行なうにあたっては、例えば図1のような炭化賦活処理器Aを使用することができる。
図1の炭化賦活処理器Aは、熱処理容器1と蒸気発生装置10を備えて形成されるものであり、熱処理容器1には水蒸気が容器1内に吹き込まれる導入口3が下部に、容器1内の水蒸気が排出される排気口4が上部に設けてある。熱処理容器1の前面の開口部5を扉6で閉じることによって、熱処理容器1内は導入口3と排気口4以外は密閉される構造になっており、熱処理容器1内に密閉空間が形成されるようになっている。そして導入口3に蒸気生成装置10がバルブ12を介して接続してある。蒸気生成装置10はボイラーを備えて形成されるものであり、水をボイラー内で加熱して水蒸気(飽和水蒸気)を生成して送り出すことができるものである。このボイラーに過熱器を接続することによって、ボイラーで生成された水蒸気を過熱器でさらに加熱して過熱水蒸気として蒸気生成装置10から送り出すこともできるようになっている。
そして扉6を開いて熱処理容器1内に鋳型の一部が残存して付着する鋳型をセットし、扉6を閉じた後にバルブ12を開いて熱処理容器1内に水蒸気を通気すると、鋳造物に残存して付着している鋳型に水蒸気が作用し、鋳型の有機バインダーを水蒸気で加熱することができる。水蒸気は高い潜熱と顕熱を有するので、有機バインダーを瞬時に加熱して短時間で高温に昇温させることができるものである。また鋳造物の露出した表面に付着した鋳型に水蒸気が作用するのは勿論、水蒸気は鋳造物の内部へと開口部から進入するので、鋳造物の内部に付着した鋳型にも水蒸気が作用する。そして水蒸気は鋳物砂の粒子間を通過して鋳型内に浸透するので、残存する鋳型を均一に加熱することができるものであり、鋳物砂を結合し且つ鋳物砂を鋳造物に付着させている有機バインダーを水蒸気で加熱することができるものである。
ここで、上記のように熱処理容器1内は空気(酸素)を排除した水蒸気雰囲気であり、このような非酸素雰囲気で、鋳造物に付着した鋳物砂の有機バインダーを水蒸気で加熱することによって、有機バインダーを炭化することができるものである。有機バインダーが炭化物になると多孔質構造になるため、強度が低下し、有機バインダーの炭化物は脆くなる。
そして有機バインダーを炭化した後に、さらに熱処理容器1に水蒸気を供給して通気を継続することによって、有機バインダーの炭化物はさらに水蒸気の作用を受け、炭化物を賦活することができる。すなわち、水蒸気は賦活ガスとして炭化物の炭素と反応し、炭化物に形成されている多孔質の微細構造をさらに発達させて、炭化物を賦活することができるものである。このように炭化物が賦活されると、多孔質構造が発達して有機バインダーの炭化物の強度は低くなり、脆くなる。このため、鋳造物に残存して付着している鋳型は崩壊し易くなるものであり、鋳造物に衝撃や振動を加えると、鋳型は容易に崩壊して、鋳型の鋳物砂はバラバラになり、鋳造物から除去することができるものである。
有機バインダーを上記のように炭化・賦活処理した後も、鋳造物に付着する鋳型は外形を保っていることが多い。この場合には鋳造物に衝撃や振動を加えても付着した鋳型が崩壊しないことがあるので、この鋳型を棒などの治具で突つくなどして鋳型に外力を直接作用させることで、鋳物砂はバラバラになり、鋳型を容易に崩壊させることができる。
図2の炭化賦活処理器Aは、熱処理容器1に加熱手段8を設けたものである。加熱手段8としては、燃焼や電気抵抗などで自己発熱して熱処理容器1内の温度を上昇させることができるものであれば何でもよく、例えばガスバーナー、電気ヒーターなどを用いることができる。このものでは、加熱手段8で加熱して熱処理容器1内の雰囲気温度を水蒸気の温度よりも高い温度に設定することができるものであり、高温雰囲気で炭化及び賦活の処理を短時間で行なうことができるものである。
上記各実施の形態の熱処理容器1内での水蒸気による加熱処理の条件は有機バインダーの種類等によって異なり、特に限定されるものではないが、一般に、有機バインダーを炭化し、さらに炭化物を賦活するためには加熱温度は200℃程度以上であることが好ましく、より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは400℃以上である。有機バインダーの炭化と、炭化物の賦活は、熱処理容器1に水蒸気を継続して供給して通気する一連の工程で、連続的にあるいは同時的に行われるものであり、高い生産効率で炭化及び賦活を行なうことができるものである。さらに、有機バインダーを加熱処理するのに要する時間は、水蒸気の温度、有機バインダーの種類、鋳造物の大きさ、賦活の程度などによって異なるが、一般的に0.1〜40時間程度に設定するのが好ましく、なかでも賦活を十分に行うには0.5時間以上であることが好ましい。例えば、有機バインダーとしてフェノール樹脂やフラン樹脂のような熱硬化性樹脂を用いる場合、水蒸気の温度を300〜900℃、熱処理容器1に水蒸気を通気する時間を0.1〜30時間の範囲に設定するのが好ましく、賦活を十分に行うには0.5時間以上であることが好ましい。
水蒸気としては飽和水蒸気を用いる他に、上記したように過熱水蒸気を用いることもできる。過熱水蒸気は、飽和水蒸気をさらに加熱して、沸点以上の温度とした完全気体状態の水蒸気であり、100℃以上の乾き蒸気である。過熱水蒸気は900℃程度まで温度を上昇させることが可能であり、このため高温で有機バインダーを加熱処理することができ、賦活の加熱処理の時間を短縮することが可能になるものである。
上記の実施の形態では賦活ガスとして水蒸気を用いるようにしたが、賦活ガスとしては水蒸気の他に各種のものを使用することができるものであり、例えば二酸化炭素、酸素、あるいは水蒸気、二酸化炭素、酸素から選ばれる二種類以上を混合した混合ガスなどを挙げることができる。水蒸気以外の賦活ガスを用いる場合、図2のような加熱手段8を設けた熱処理容器1を用いて、加熱手段8で加熱しながら処理を行なうことができる。すなわち、加熱手段8で熱処理容器1内の温度を有機バインダーを炭化・賦活する条件に設定し、賦活ガスを導入口3から熱処理容器1内に供給すると共に、熱処理器1内の賦活ガスを排気口4から排気して、熱処理容器1内が賦活ガス雰囲気になるように賦活ガスを通気することによって、炭化及び賦活の処理を行なうことができるものである。
本発明において、鋳型に使用されるバインダーは、加熱して炭化され得る有機バインダーであれば特に制限されることはない。ここで、有機バインダーが熱硬化性樹脂である場合、熱硬化性樹脂は耐熱性が高く溶湯の熱で熱分解し難いことがことがあるが、加熱処理で熱硬化性樹脂を容易に炭化させることができ、さらに賦活させることができ、有機バインダーを脆い状態にすることができる。従って有機バインダーがこのような熱硬化性樹脂であっても、残存する鋳型を鋳造物から容易に除去することができるものであり、有機バインダーが熱硬化性樹脂である場合においても本発明は有効である。また有機バインダーが熱硬化性樹脂のなかでもフェノール樹脂やフラン樹脂のように炭素化収率が高いものであっても、水蒸気による加熱処理で容易に炭化することができるものであり、本発明の効果を高く得ることができるものである。
また上記したように、水蒸気などの賦活ガスは鋳造物の露出した表面に付着した鋳型に作用するだけでなく、鋳造物の表に露出しない鋳造物の内部へも水蒸気などの賦活ガスは開口部から進入するので、鋳造物の内部において付着した鋳型にも水蒸気などの賦活ガスが作用し、鋳造物の内部のこの鋳型の有機バインダーを炭化させ、さらに賦活することができるものである。ここで、鋳型が中子である場合、中子は鋳造物の内部に取り残されるので完全に除くことが難しいが、本発明では中子が鋳造物の内部に付着して残っていても、水蒸気など賦活ガスの雰囲気で加熱処理することによって、中子の有機バインダーを容易に炭化させることができると共に、さらに容易に賦活させることができ、有機バインダーを脆い状態にすることができるものである。従って水蒸気などの賦活ガスで処理した後に、棒などの治具を鋳造物の内部に差し込んで残存する中子を突くなどして力を直接加えることによって、中子の鋳物砂をバラバラに崩した状態で鋳造物から除去することができるものであり、本発明の適用によって、鋳造物の内部に残存する中子の除去を容易に行なうことができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(レジンコーテッドサンドNo1,No2)
135℃に加熱したフラッタリーけい砂30kgをワールミキサーに仕込み、表1に示す量でフェノール樹脂を加えて、30秒間混錬した後、必要に応じて450gの水に溶解乃至分散させたヘキサメチレンテトラミン120gを添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次いで、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて30秒間混錬し、これをワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して3.0質量%の被覆量で固形フェノール樹脂により表面が被覆されたレジンコーテッドサンドNo1,No2を得た。
上記のように調製したレジンコーテッドサンドNo1,No2の表面のフェノール樹脂の融着点をJACT試験方法C−1「融着点試験法」に準拠して測定した。結果を表1に示す。
また幅23mm×長さ70mm×厚さ23mmの試験片を成形できる成形金型を240±5℃に加熱し、この成形金型にレジンコーテッドサンドNo1,No2をゲージ圧0.1MPaの空気圧で吹き込んで充填し、60秒後に脱型することによって試験片を得た。この試験片の曲げ強さを、JACT試験法SM−1に準拠して測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006728550
(実施例1、比較例1)
幅40mm×高さ40mm×長さ180mmの試験片を成形できる成形金型を240±5℃に加熱し、この成形金型にレジンコーテッドサンドNo1をゲージ圧0.1MPaの空気圧で吹き込んで充填し、120秒後に脱型することによって、崩壊性試験用の試験片を得た。この試験片をアルミニウム箔で3重に包み込んだ。
そして図2に示す炭化賦活処理器Aを用い、内寸が幅400mm、奥行400mm、高さ400mmの熱処理容器1内に試験片を置き、ボイラーで発生させたゲージ圧0.3MPa、温度143℃の飽和水蒸気を野村技工(株)製過熱器「型式GE100」により500℃まで加熱して調製した過熱水蒸気を吹き込み、同時に電気ヒータからなる加熱手段8を作動させ、熱処理容器1内の温度を650℃に設定した。そしてこの状態で20分間保持することによって、試験片のフェノール樹脂を炭素化した。この炭素化した試験片を熱処理容器1から取り出して自然冷却した後、試験片の一部を用いてJACT試験法SM−1に準拠して曲げ強度を測定すると共に、外観を観察した。結果を表2に示す。
次に、この取り出した試験片の残りを半分にして、一方はアルミニウム箔を剥がし、他方はアルミニウム箔で包み込んだまま、再び熱処理容器1内に入れ、上記と同じ650℃の条件で、表2に示す時間保持して処理を行なった。この処理を行なった後に自然冷却し、JACT試験法SM−1に準拠して曲げ強度を測定すると共に、外観を観察した。
ここで、アルミニウム箔を剥がした一方の試験片と、アルミニウム箔で包み込んだままの他方の試験片のうち、アルミニウム箔を剥がした一方の試験片は、水蒸気による加熱処理で賦活されるものであり、これを実施例1として表2に曲げ強度と外観を示す。他方のアルミニウム箔で包んだ試験片は、水蒸気で加熱処理しても賦活は進まないので、これを比較例1として表2に曲げ強度と外観を示す。
(実施例2、比較例2)
レジンコーテッドサンドNo2を用いる他は、上記と同様にした。
Figure 0006728550
表2において、実施例1,2は鋳型を想定して作成した試験片を炭化・賦活処理したものであり、比較例1,2は試験片を炭化処理したものである。そして実施例1,2では炭化・賦活処理をすることによって、処理時間と共に曲げ強度の低下が著しく発生しており、試験片は脆くなって崩壊が進んでいることが確認される。
ここで、曲げ強度が2.0MPa程度以下であれば、指で押す程度の外力で容易に崩壊する脆さになっているので、実施例1では炭素化20分、賦活60分、実施例2では炭素化20分、賦活60分の処理をすることによって、鋳型を容易に崩壊させて鋳造物から除去できることが確認される。
(実施例3)
レジンコーテッドサンドNo1を用い、図3に示す主型15と中子16からなる鋳型を作製した。主型15の外形は直径10cm×高さ10cmの円柱形であり、内径6cm×深さ7cmの凹部17が形成してあって、そ中央に直径2cm×深さ1cmの穴18が設けてある。中子16は直径2cm×高さ8cmの円柱形である。主型15と中子16はそれぞれ、240±5℃に加熱した成形金型にレジンコーテッドサンドNo2をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で吹き込んで充填し、60秒後に脱型することによって成形したものである。
そして、主型15に中子16を図3のようにセットした後、800℃の溶融アルミニウム合金を主型15の凹部17内に注湯し、自然放冷して主型15内の鋳造物19が室温に低下するまで放置することによって、鋳造を行なった。主型15や中子16には溶融アルミニウム合金の高温が作用し、主型15や中子16のうち鋳造物19に接する部分は炭化されて黒くなるが、他の部分は元の色のままであった。このように鋳造した後、主型15や中子16を木槌で叩いて衝撃を与えたところ、主型15は20〜30%が崩壊せずに鋳造物の表面に付着して残った。また中子16は60〜70%が崩壊せずに鋳造物17の内部に付着して残った。
次に、図2に示す水蒸気加熱処理器Aを用い、熱処理容器1内に上記の主型15や中子16が付着して残存する鋳造物19をセットし、ボイラーで発生させたゲージ圧0.3MPa、温度143℃の飽和水蒸気を野村技工(株)製過熱器「型式GE100」により500℃まで加熱して調製した過熱水蒸気を吹き込み、同時に電気ヒータからなる加熱手段8を作動させ、熱処理容器1内の温度を650℃に設定した。そしてこの状態で90分保持することによって、主型15や中子16を水蒸気で加熱する処理を行なった。
この後、熱処理容器1から取り出して室温まで冷却し、主型15を木槌で叩いたところ、主型15は崩壊してバラバラの砂粒になり、鋳造物19の表面から脱落した。また中子16を木槌で叩いて衝撃を与えた後、金属棒を差し込んでかき混ぜることによって、中子16は崩壊してバラバラの砂粒になり、鋳造物19の内部から取り出すことができた。
1 熱処理容器
2 導入口
3 排気口
10 蒸気生成装置
15 鋳型
16 鋳型
19 鋳造物

Claims (7)

  1. 有機バインダーで鋳物砂を結合させることによって形成される鋳型を用いて鋳造することにより得られる鋳造物を鋳型から脱型する際に、鋳造物に付着して残る鋳型を除去する方法であって、鋳造物に付着する鋳型の有機バインダーを炭化させると共にさらに賦活する処理を行なった後、鋳造物に付着する鋳型を除去することを特徴とする鋳造物に残存する鋳型の除去方法。
  2. 鋳型が付着した鋳造物を賦活ガス雰囲気中に配置し、鋳型の有機バインダーを炭化すると共にさらに有機バインダーの炭化物を賦活させる条件下で鋳造物を加熱処理することを特徴とする請求項1に記載の鋳造物に残存する鋳型の除去方法。
  3. 鋳造物に付着する鋳型の有機バインダーを炭化させると共にさらに賦活する処理を行なった後、鋳造物に付着する鋳型に外力を加えて崩壊させることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造物に残存する鋳型の除去方法。
  4. 上記賦活ガスとして水蒸気、二酸化炭素、酸素、これらの二種類以上の混合ガス、から選ばれるものを用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の鋳造物に残存する鋳型の除去方法。
  5. 上記水蒸気は過熱水蒸気であることを特徴とする請求項4に記載の鋳造物に残存する鋳型の除去方法。
  6. 鋳型の上記有機バインダーは熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の鋳造物に残存する鋳型の除去方法。
  7. 上記鋳型は中子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の鋳造物に残存する鋳型の除去方法。
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