JP6727555B2 - 液晶配向膜製造用組成物、該組成物を用いた液晶配向膜及びその製造方法、並びに液晶配向膜を有する液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、該組成物を用いて製造される液晶配向膜、特に横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜及び該膜を有する基板、並びにその製造方法に関する。
さらに、本発明は、該液晶配向膜又は基板を有する液晶表示素子及びその製造方法に関する。
特に、本発明は、液晶配向膜の配向処理に用いる光配向法において、光照射量範囲を拡大させて、液晶配向膜の製造効率を高めた液晶配向膜製造用組成物、特に横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜製造用組成物、該組成物を用いて製造される液晶配向膜又は液晶配向膜を有する基板、それらを有する液晶表示素子、並びに液晶配向膜、液晶配向膜を有する基板又は液晶表示素子の製造方法に関する。
光配向法には様々な方法があるが、直線偏光またはコリメートした光によって液晶配向膜を構成する有機膜内に異方性を形成し、その異方性に従って液晶を配向させる。
分解型の光配向法は、例えば、ポリイミド膜に偏光紫外線を照射し、分子構造の紫外線吸収の偏光方向依存性を利用して異方的な分解を生じさせ、分解せずに残されたポリイミドにより液晶を配向させる手法である(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、光配向法において用いる主成分の配向制御能が偏光した光の照射量に敏感すぎると、液晶配向膜の一部又は全体において配向が不完全になり、安定な液晶の配向が実現できない場合が生じる。
また、本発明の目的は、上記目的以外に、又は上記目的に加えて、該組成物を用いて製造される液晶配向膜又は液晶配向膜を有する基板、それらを有する液晶表示素子、特に横電界駆動型液晶表示素子を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記目的以外に、又は上記目的に加えて、液晶配向膜、液晶配向膜を有する基板、又は液晶表示素子、特に横電界駆動型液晶表示素子の製造方法を提供することにある。
<1> (A)所定の温度範囲で液晶性を発現する感光性の側鎖型高分子、及び
(B)有機溶媒
を含有する液晶配向膜製造用組成物、特に横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜製造用組成物であって、
該組成物が下記式(I)で表される構造を有する化合物を含有する、上記組成物。
なお、式中、C1、C2、C3、及びC4は、各々独立に、ハロゲン基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(アルキル基は、各々独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である)、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のエステル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、及びニトロ基からなる第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよいフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基を表す;
P1及びP2は、各々独立に、*−N=N−*(*はC1、C2、C3又はC4との結合位置を表す)を表し;
Lは、第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。L内の−CH2−は、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OCONH−及び−CO−からなる第2の群から選ばれる基で置換されていてもよい。ただし、第2の群から選ばれる基同士が互いに隣り合うことはない。
n1は0〜5の整数、m4は1〜5の整数、を表す。
また、本発明により、上記効果以外に、又は上記効果に加えて、該組成物を用いて製造される液晶配向膜又は液晶配向膜を有する基板、それらを有する液晶表示素子、特に横電界駆動型液晶表示素子を提供することができる。
さらに、本発明により、上記効果以外に、又は上記効果に加えて、液晶配向膜、液晶配向膜を有する基板、又は液晶表示素子、特に横電界駆動型液晶表示素子の製造方法を提供することができる。
該化合物は、(A)成分、即ち側鎖型高分子の一部として、及び/又は、側鎖型高分子以外の添加剤として、組成物中に含有させることができる。
<液晶配向膜を有する基板の製造方法>及び<液晶表示素子の製造方法>
本発明の液晶配向膜を有する基板の製造方法は、
[I] (A)所定の温度範囲で液晶性を発現する感光性の側鎖型高分子、及び
(B)有機溶媒
を含有する重合体組成物、具体的には液晶配向膜製造用組成物、特に横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜製造用組成物を、横電界駆動用の導電膜を有する基板上に塗布して塗膜を形成する工程;
[II] [I]で得られた塗膜に偏光した紫外線を照射する工程;及び
[III] [II]で得られた塗膜を加熱する工程;
を有する。
なお、重合体組成物、具体的には液晶配向膜製造用組成物、特に横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜製造用組成物は、上記式(I)で表される構造を有する化合物を含有する。
上記工程により、配向制御能が付与された液晶配向膜、特に横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜を得ることができ、該液晶配向膜を有する基板を得ることができる。
第2の基板は、横電界駆動用の導電膜を有する基板に代わって、横電界駆動用の導電膜を有しない基板を用いる以外、上記工程[I]〜[III](横電界駆動用の導電膜を有しない基板を用いるため、便宜上、本願において、工程[I’]〜[III’]と略記する場合がある)を用いることにより、配向制御能が付与された液晶配向膜を有する第2の基板を得ることができる。
[IV] 上記で得られた第1及び第2の基板を、液晶を介して第1及び第2の基板の液晶配向膜が相対するように、対向配置して液晶表示素子を得る工程;
を有する。これにより、液晶表示素子、特に横電界駆動型液晶表示素子を得ることができる。
<工程[I]>
工程[I]では、横電界駆動用の導電膜を有する基板上に、(A)所定の温度範囲で液晶性を発現する感光性の側鎖型高分子、及び(B)有機溶媒を含有する重合体組成物であって、上記式(I)で表される構造を有する化合物を含有する重合体組成物を塗布して塗膜を形成する。
基板については、特に限定はされないが、製造される液晶表示素子が透過型である場合、透明性の高い基板が用いられることが好ましい。その場合、特に限定はされず、ガラス基板、またはアクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができる。
また、反射型の液晶表示素子への適用を考慮し、シリコンウェハなどの不透明な基板も使用できる。
基板は、横電界駆動用の導電膜を有する。
該導電膜として、液晶表示素子が透過型である場合、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)、IZO(Indium Zinc Oxide:酸化インジウム亜鉛)などを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、反射型の液晶表示素子の場合、導電膜として、アルミなどの光を反射する材料などを挙げることができるがこれらに限定されない。
基板に導電膜を形成する方法は、従来公知の手法を用いることができる。
横電界駆動用の導電膜を有する基板上、特に導電膜上に、重合体組成物、具体的には液晶配向膜製造用組成物、特に横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜製造用組成物を塗布する。
本発明の製造方法に用いられる、該重合体組成物は、上述のように、(A)所定の温度範囲で液晶性を発現する感光性の側鎖型高分子;及び(B)有機溶媒;を含有し、且つ上記式(I)で表される構造を有する化合物を含有する。
(A)成分は、所定の温度範囲で液晶性を発現する感光性の側鎖型高分子である。
(A)側鎖型高分子は、250nm〜400nmの波長範囲の光で反応し、かつ100℃〜300℃の温度範囲で液晶性を示すのがよい。
(A)側鎖型高分子は、250nm〜400nmの波長範囲の光に反応する感光性側鎖を有することが好ましい。
(A)側鎖型高分子は、100℃〜300℃の温度範囲で液晶性を示すためにメソゲン基を有することが好ましい。
Sは、炭素数1〜12のアルキレン基であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよい;
Tは、単結合または炭素数1〜12のアルキレン基であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよい;
Y1は、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環および炭素数5〜8の脂環式炭化水素から選ばれる環を表すか、それらの置換基から選ばれる同一又は相異なった2〜6の環が結合基Bを介して結合してなる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−COOR0(式中、R0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
Y2は、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
Rは、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、又はY1と同じ定義を表す;
Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表し、Xの数が2となるときは、X同士は同一でも異なっていてもよい;
Couは、クマリン−6−イル基またはクマリン−7−イル基を表し、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
q1とq2は、一方が1で他方が0である;
q3は0または1である;
P及びQは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基である;ただし、Xが−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−である場合、−CH=CH−が結合する側のP又はQは芳香環であり、Pの数が2以上となるときは、P同士は同一でも異なっていてもよく、Qの数が2以上となるときは、Q同士は同一でも異なっていてもよい;
l1は0または1である;
l2は0〜2の整数である;
l1とl2がともに0であるときは、Tが単結合であるときはAも単結合を表す;
l1が1であるときは、Tが単結合であるときはBも単結合を表す;
H及びIは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、およびそれらの組み合わせから選ばれる基である。
式中、A、B、D、Y1、X、Y2、及びRは、上記と同じ定義を有する;
lは1〜12の整数を表す;
mは、0〜2の整数を表し、m1、m2は1〜3の整数を表す;
nは0〜12の整数(ただしn=0のときBは単結合である)を表す。
式中、A、X、l、m、m2及びRは、上記と同じ定義を有する。
式中、A、Y1、X、l、m1及びm2は上記と同じ定義を有する。
式中、A、X、l及びmは、上記と同じ定義を有する。
式中、A、B、Y1、q1、q2、m1、及びm2は、上記と同じ定義を有する。
R1は、水素原子、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基を表す。
式中、A、Y1、X、l及びmは上記と同じ定義を有する。
式中、A、B、q1及びq2は上記と同じ定義を有する;
Y3は、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、窒素含有複素環、及び炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−NO2、−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
R3は、水素原子、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、窒素含有複素環、炭素数5〜8の脂環式炭化水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す;
lは1〜12の整数を表し、mは0から2の整数を表し、但し、式(25)〜(26)において、全てのmの合計は2以上であり、式(27)〜(28)において、全てのmの合計は1以上であり、m1、m2およびm3は、それぞれ独立に1〜3の整数を表す;
R2は、水素原子、−NO2、−CN、ハロゲン基、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、窒素含有複素環、及び炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、アルキル基、又はアルキルオキシ基を表す;
Z1、Z2は単結合、−CO−、−CH2O−、−CH=N−、−CF2−を表す。
上記式(I)で表される構造を有する化合物は、側鎖型高分子の一部を構成するように、組成物中に含有することができる。
この場合、側鎖型高分子の一部が、上記式(I)で表される構造を有するように、下記式(II)で表される重合性モノマーを用いて、側鎖型高分子を形成するのがよい。
なお、式(II)中、C1、C2、C3、C4、P1、P2及びLは上記と同じ定義を有し、
PLは、下記式CL−13〜CL−17からなる群から選ばれる重合性基であり、R11は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又はハロゲンで置換された炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、
*は、Lとの結合位置を表す。
上記の液晶性を発現し得る感光性の側鎖型高分子は、上記の感光性側鎖を有する光反応性側鎖モノマーおよび液晶性側鎖モノマーを重合することによって得ることができる。
また、上述したように、側鎖型高分子の一部が、上記式(I)で表される構造を有する場合、上記式(II)で表される重合性モノマーを用いるのがよい。
なお、上記式(II)で表される重合性モノマーを用いる場合、その量は次のとおりである。即ち、上記式(II)で表される重合性モノマーを含まない、感光性側鎖を有する光反応性側鎖モノマーおよび液晶性側鎖モノマーの合計を100モル%とした場合、上記式(II)で表される重合性モノマーの量は、1〜50モル%、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは1〜20モル%であるのがよい。
光反応性側鎖モノマーとは、高分子を形成した場合に、高分子の側鎖部位に感光性側鎖を有する高分子を形成することができるモノマーのことである。
側鎖を有する光反応性基としては下記の構造およびその誘導体が好ましい。
液晶性側鎖モノマーとは、該モノマー由来の高分子が液晶性を発現し、該高分子が側鎖部位にメソゲン基を形成することができるモノマーのことである。
側鎖を有するメソゲン基として、ビフェニルやフェニルベンゾエートなどの単独でメソゲン構造となる基であっても、安息香酸などのように側鎖同士が水素結合することでメソゲン構造となる基であってもよい。側鎖を有するメソゲン基としては下記の構造が好ましい。
式中、Rは水素原子またはメチル基を示す;Sは炭素数2〜10のアルキレン基を表す;R10はBrまたはCNを示す;Sは炭素数2〜10のアルキレン基を表す;uは0または1を表す;及びPyは2−ピリジル基、3−ピリジル基または4−ピリジル基を表す。また、vは1または2を表す。
なお、側鎖型高分子の一部が、上記式(I)で表される構造を有する場合、上記式(II)で表される重合性モノマーを、液晶性を発現しない光反応性側鎖モノマーと液晶性側鎖モノマーと共に共重合するか、又は、液晶性を発現する光反応性側鎖モノマーと液晶性側鎖モノマーと共に共重合することによって、側鎖型高分子を得ることができる。
液晶性の発現能を損なわない範囲でその他のモノマーと共重合することができる。
その他のモノマーの具体例としては、不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
アクリル酸エステル化合物としては、例えば、WO2014/054785号公報の[0152]に記載されるものを挙げることができる。
また、ラジカル重合において有機溶媒中の酸素は重合反応を阻害する原因となるので、有機溶媒は可能な程度に脱気されたものを用いることが好ましい。
上述の反応により得られた、液晶性を発現し得る感光性の側鎖型高分子の反応溶液から、生成した高分子を回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して、それら重合体を沈殿させれば良い。沈殿に用いる貧溶媒としては、メタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、水等を挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2回〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素等が挙げられ、これらの中から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本発明に用いられる重合体組成物は、液晶配向膜の形成に好適となるように塗布液として調製されることが好ましい。すなわち、本発明に用いられる重合体組成物は、樹脂被膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液として調製されることが好ましい。ここで、その樹脂成分とは、既に説明した液晶性を発現し得る感光性の側鎖型高分子を含む樹脂成分である。その際、樹脂成分の含有量は、1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜15質量%、特に好ましくは3質量%〜10質量%である。
そのような他の重合体は、例えば、ポリ(メタ)アクリレートやポリアミック酸やポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリウレア、ジイソシアネート化合物とテトラカルボン酸誘導体、ジアミン化合物とを重合することにより得られるポリアミック酸−ポリウレア、さらにイミド化することにより得られるポリイミド−ポリウレア等からなり、液晶性を発現し得る感光性の側鎖型高分子ではない重合体等が挙げられる。
本発明に用いられる重合体組成物は、上記式(I)で表される構造を有する化合物を、側鎖型高分子以外の添加剤として含有することができる。
式CL−1〜CL−23において、*は、上記式(I)で表される構造と結合する位置、特に上記式(I)で表される構造のC1又はC4と結合する位置を示す。
式CL−1〜CL−23中、R11は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又はハロゲンで置換された炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す;
R12は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖又はハロゲンで置換されたフェニル基を示し、式中の芳香環の酸素原子が結合している炭素原子のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には水素原子が結合している;
Z11、Z12及びZ13は、それぞれ独立して、R13、OR13又はOCOR13(R13は、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基)である。但し、Z11、Z12及びZ13が全てR13である場合を除く;
BLは、下記式BL−1〜BL−6のいずれかのイソシアネート基を保護するブロック基を示す;(式中、**は、イソシアネート基との結合位置を表す。)
スペーサ基は、各々独立に、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−CO−、−N=、及び第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基(アルキレン基中の−CH2−は、各々独立に、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OCONH−及び−CO−からなる第2の群から選ばれる基で置換されていてもよい。ただし、第2の群から選ばれる基同士は互いに隣り合うことはない)からなる群から選ばれるのがよい。
なお、スペーサ基として「−N=」を用いる場合、「=」の双方に末端基を有してもよい。即ちスペーサ基として「−N=」を用いる場合、上記式(I)で表される構造を有する化合物の一端に2つの末端基、又は両端の各々に2つの末端基を有してもよい。
本発明に用いられる重合体組成物に用いる有機溶媒は、樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
より具体的には、例えば、エフトップ(登録商標)301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(登録商標)F171、F173、R−30(DIC社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガード(登録商標)AG710(旭硝子社製)、サーフロン(登録商標)S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(AGCセイミケミカル社製)等が挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、重合体組成物に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜2質量部、より好ましくは0.01質量部〜1質量部である。
光増感剤としては、WO2014/054785号公報の[0179]に記載されるものを挙げることができる。
好ましくは、芳香族2−ヒドロキシケトン(ベンゾフェノン)、クマリン、ケトクマリン、カルボニルビスクマリン、アセトフェノン、アントラキノン、キサントン、チオキサントン、およびアセトフェノンケタールである。
塗布方法は、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷またはインクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナ法(回転塗布法)またはスプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5nm〜300nm、より好ましくは10nm〜150nmである。
尚、[I]工程の後、続く[II]工程の前に塗膜の形成された基板を室温にまで冷却する工程を設けることも可能である。
工程[II]では、工程[I]で得られた塗膜に偏光した紫外線を照射する。塗膜の膜面に偏光した紫外線を照射する場合、基板に対して一定の方向から偏光板を介して偏光された紫外線を照射する。使用する紫外線としては、波長100nm〜400nmの範囲の紫外線を使用することができる。好ましくは、使用する塗膜の種類によりフィルター等を介して最適な波長を選択する。そして、例えば、選択的に光架橋反応を誘起できるように、波長290nm〜400nmの範囲の紫外線を選択して使用することができる。紫外線としては、例えば、高圧水銀灯から放射される光を用いることができる。
工程[III]では、工程[II]で偏光した紫外線の照射された塗膜を加熱する。加熱により、塗膜に配向制御能を付与することができる。
加熱は、ホットプレート、熱循環型オーブンまたはIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段を用いることができる。加熱温度は、使用する塗膜の液晶性を発現させる温度を考慮して決めることができる。
なお、液晶発現温度は、側鎖型高分子または塗膜表面が固体相から液晶相に相転移がおきるガラス転移温度(Tg)以上であって、液晶相からアイソトロピック相(等方相)に相転移を起こすアイソトロピック相転移温度(Tiso)以下の温度をいう。
[IV]工程は、[III]で得られた、横電界駆動用の導電膜上に液晶配向膜を有する基板(第1の基板)と、同様に上記[I’]〜[III’]で得られた、導電膜を有しない液晶配向膜付基板(第2の基板)とを、液晶を介して、双方の液晶配向膜が相対するように対向配置して、公知の方法で液晶セルを作製し、横電界駆動型液晶表示素子を作製する工程である。なお、工程[I’]〜[III’]は、工程[I]において、横電界駆動用の導電膜を有する基板の代わりに、該横電界駆動用導電膜を有しない基板を用いた以外、工程[I]〜[III]と同様に行うことができる。工程[I]〜[III]と工程[I’]〜[III’]との相違点は、上述した導電膜の有無だけであるため、工程[I’]〜[III’]の説明を省略する。
本発明に用いる塗膜では、側鎖の光反応と液晶性に基づく自己組織化によって誘起される分子再配向の原理を利用して、塗膜への高効率な異方性の導入を実現する。本発明の製造方法では、側鎖型高分子に光反応性基として光架橋性基を有する構造の場合、側鎖型高分子を用いて基板上に塗膜を形成した後、偏光した紫外線を照射し、次いで、加熱を行った後、液晶表示素子を作成する。
また、本発明の組成物又は本発明の方法により、液晶配向膜の配向制御能が安定して生じる光照射量の範囲(いわゆる「照射量マージン」)を拡大させることができるため、液晶配向膜の製造工程において、偏光光照射の時間などが、制御値から多少ぶれたとしても、品質が変わらない液晶配向膜を得ることができ、液晶配向膜の製造効率を上げることができる。よって、本発明の組成物又は本発明の方法によって製造された横電界駆動型液晶表示素子用基板又は該基板を有する横電界駆動型液晶表示素子は、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用できる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は、該実施例に限定されるものではない。
<(メタ)アクリレート化合物>
MA−1は特許文献(WO2011−084546)に記載の合成法にて合成した。
MA−2は特許文献(特開平9−118717)に記載の合成法にて合成した。
MA−3は、既知物質であり(Acta Polymerica (1992), 43(5), 283-87など)、既知の合成法を用いて合成した。
MA−4は、文献等未公開の新規化合物であり、以下の合成例1でその合成法を詳述する。
MA−5は、既知物質であり(Chemical Communications (2012), 48(80), 10010-10012など)、既知の合成法を用いて合成した。
<添加剤>
T−1は、既知物質であり(特開平1−56720号公報など)、既知の合成法で合成した。
NMP: N−メチル−2−ピロリドン。
BC: ブチルセロソルブ。
THF: テトラヒドロフラン。
DMF: N,N−ジメチルホルムアミド。
実施例におけるアクリルポリマーの分子量は、(株)Shodex社製常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)、Shodex社製カラム(KD―803、KD−805)を用い以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:DMF(添加剤として、臭化リチウム一水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o―リン酸)が30mmol/L、THFが10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
[MA−4]の合成:
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.92-7.95 (d,3H), 7.82-7.84 (d,1H), 7.73-7.75 (d,1H), 7.59-7.61 (d,1H), 7.47-7.48 (d,2H), 7.35-7.37 (d,1H), 7.13-7.15 (d,2H), 6.03 (s,1H), 5.67 (s,1H), 4.08-4.13 (m,4H), 2.77 (s,3H), 2.72 (s,3H), 1.88 (s,3H), 1.76-1.79 (t,2H), 1.63-1.68 (t,2H), 1.42-1.48 (t,4H).
MA−1(13.3g、40.0mmol)、MA−2(18.4g、60.0mmol)をTHF(182.3g)中に溶解し、ダイアフラムポンプで脱気を行った後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.82g、5.0mmol)を加え再び脱気を行った。この後60℃で20時間反応させメタクリレートのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール(1500ml)に滴下し、得られた沈殿物をろ過した。この沈澱物をジエチルエーテルで洗浄し、50℃のオーブン中で減圧乾燥しメタクリレートポリマー粉末を得た。このポリマーの数平均分子量は35000、重量平均分子量は126000であった。得られた粉末6.0gにNMP(54.0g)を加え、室温で3時間攪拌して溶解させた。この溶液にBC(40.0g)を加え攪拌することによりメタクリレートポリマー溶液(PMA−1)を得た。
MA−1(13.3g、40.0mmol)、MA−2(18.4g、60.0mmol)、MA−3(2.35g、5.0mmol)をTHF(138.1g)中に溶解し、ダイアフラムポンプで脱気を行った後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを(0.49g、3.0mmol)を加え再び脱気を行った。この後60℃で20時間反応させメタクリレートのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール(1500ml)に滴下し、得られた沈殿物をろ過した。この沈澱物をメタノールで洗浄し、50℃のオーブン中で減圧乾燥しメタクリレートポリマー粉末を得た。このポリマーの数平均分子量は40000、重量平均分子量は90000であった。得られた粉末6.0gにNMP(54.0g)を加え、室温で3時間攪拌して溶解させた。この溶液にBC(40.0g)を加え攪拌することによりメタクリレートポリマー溶液(PMA−2)を得た。
MA−1(13.3g、40.0mmol)、MA−2(18.4g、60.0mmol)、MA−3(4.70g、10.0mmol)をTHF(147.5g)中に溶解し、ダイアフラムポンプで脱気を行った後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを(0.49g、3.0mmol)を加え再び脱気を行った。この後60℃で20時間反応させメタクリレートのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール(1500ml)に滴下し、得られた沈殿物をろ過した。この沈澱物をメタノールで洗浄し、50℃のオーブン中で減圧乾燥しメタクリレートポリマー粉末を得た。このポリマーの数平均分子量は40000、重量平均分子量は87000であった。得られた粉末6.0gにNMP(54.0g)を加え、室温で3時間攪拌して溶解させた。この溶液にBC(40.0g)を加え攪拌することによりメタクリレートポリマー溶液(PMA−3)を得た。
MA−1(13.3g、40.0mmol)、MA−2(18.4g、60.0mmol)、MA−4(2.49g、5.0mmol)をTHF(138.6g)中に溶解し、ダイアフラムポンプで脱気を行った後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.49g、3.0mmol)を加え再び脱気を行った。この後60℃で20時間反応させメタクリレートのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール(1500ml)に滴下し、得られた沈殿物をろ過した。この沈澱物をメタノールで洗浄し、50℃のオーブン中で減圧乾燥しメタクリレートポリマー粉末を得た。このポリマーの数平均分子量は42000、重量平均分子量は86000であった。得られた粉末6.0gにNMP(54.0g)を加え、室温で3時間攪拌して溶解させた。この溶液にBC(40.0g)を加え攪拌することによりメタクリレートポリマー溶液(PMA−4)を得た。
MA−1(13.3g、40.0mmol)、MA−2(18.4g、60.0mmol)、MA−5(1.83g、5.0mmol)をTHF(136.0g)中に溶解し、ダイアフラムポンプで脱気を行った後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.49g、3.0mmol)を加え再び脱気を行った。この後60℃で20時間反応させメタクリレートのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール(1500ml)に滴下し、得られた沈殿物をろ過した。この沈澱物をメタノールで洗浄し、50℃のオーブン中で減圧乾燥しメタクリレートポリマー粉末を得た。このポリマーの数平均分子量は41000、重量平均分子量は85000であった。得られた粉末6.0gにNMP(54.0g)を加え、室温で3時間攪拌して溶解させた。この溶液にBC(40.0g)を加え攪拌することによりメタクリレートポリマー溶液(PMA−5)を得た。
得られたメタクリレートポリマー溶液(PMA−1)(10.0g)に添加剤T−1(0.03g)を加え、室温にて1時間撹拌することにより液晶配向剤A−1を得た。
(実施例2〜4、比較例1〜2)
表1に示す組成で、実施例1と同様の方法を用いて実施例2〜4の液晶配向剤A−2、A−3及びA−4を得た。また、比較例1〜2も同様の方法で液晶配向剤B−1及びB−2を調製した。
上記で得られた液晶配向剤A−1を用いて下記に示すような手順でオーダーパラメータ測定用基板の作製を行った。基板は、40mm×40mmの大きさで、厚さが1.0mmの石英基板を用いた。
実施例1で得られた液晶配向剤A−1を1.0μmのフィルターで濾過した後、石英基板上にスピンコートし、70℃のホットプレート上で90秒間乾燥後、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。次いで、塗膜面に偏光板を介して313nmの紫外線を5〜60mJ/cm2照射した後に140℃〜180℃のホットプレートで10分間加熱し、液晶配向膜付き基板を得た。
上記で作製した液晶配向膜付き基板を用い、液晶配向膜の光学的異方性を測定するために、偏光の吸光度からオーダーパラメータであるSを下式より算出した。
なお、吸光度の測定には、島津製作所社製の紫外線可視近赤外分析光度計U−3100PCを使用した。
算出したオーダーパラメータSの絶対値を、下記の基準を用いて表2に示す。
○:Sの絶対値が0.5以上
○△:Sの絶対値が0.4以上〜0.5未満
△:Sの絶対値が0.3以上〜0.4未満
×:Sの絶対値が0.3未満
また、本発明の添加剤T−1と同じよう構造を有する(メタ)アクリレート化合物MA−3、MA−4を用いた実施例2〜4の液晶配向剤A−2〜A−4についても、本発明の添加剤T−1を添加した実施例1の液晶配向剤A−1と同様に、良好なオーダーパラメータの範囲が高温側及び/又は高照射量側に拡大していることが確認された。
さらに、アゾベンゼン骨格を1つ有する(メタ)アクリレート化合物MA−5を用いた比較例2の液晶配向剤B−2は、比較例1の液晶配向剤B−1と比べて、良好なオーダーパラメータの範囲がほとんど拡大していない。よって、良好なオーダーパラメータの範囲拡大には、アゾベンゼン骨格は2つ以上必要ということが確認された。
実施例1、並びに実施例2〜4の液晶配向剤A−1〜A−4についてのオーダーパラメータの結果から、本発明の式(I)で表される構造を有する化合物を、側鎖型高分子の一部を構成するように用いる(実施例2〜4)か、又は添加剤(実施例1)として用いることにより、照射量マージンを拡大させられることがわかる。
Claims (21)
- (A)所定の温度範囲で液晶性を発現する感光性の側鎖型高分子、及び
(B)有機溶媒
を含有する液晶配向膜製造用組成物であって、
該組成物が下記式(I)で表される構造を有する化合物
(式中、C1、C2、C3、及びC4は、各々独立に、ハロゲン基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(アルキル基は、各々独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である)、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のエステル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、及びニトロ基からなる第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよいフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基を表す;
P1及びP2は、各々独立に、*−N=N−*(*はC1、C2、C3又はC4との結合位置を表す)を表し;
Lは、第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。L内の−CH2−は、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OCONH−及び−CO−からなる第2の群から選ばれる基で置換されていてもよい。ただし、第2の群から選ばれる基同士が互いに隣り合うことはない。
n1は0〜5の整数、m4は1〜5の整数、を表す)
を含有し、
前記(A)成分が、下記式(1)〜(6)
(式中、A、B、Dはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−CH 2 −、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NH−CO−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表す;
Sは、炭素数1〜12のアルキレン基であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよい;
Tは、単結合または炭素数1〜12のアルキレン基であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよい;
Y 1 は、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環および炭素数5〜8の脂環式炭化水素から選ばれる環を表すか、それらの置換基から選ばれる同一又は相異なった2〜6の環が結合基Bを介して結合してなる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−COOR 0 (式中、R 0 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)、−NO 2 、−CN、−CH=C(CN) 2 、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
Y 2 は、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−NO 2 、−CN、−CH=C(CN) 2 、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
Rは、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、又はY 1 と同じ定義を表す;
Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表し、Xの数が2となるときは、X同士は同一でも異なっていてもよい;
Couは、クマリン−6−イル基またはクマリン−7−イル基を表し、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−NO 2 、−CN、−CH=C(CN) 2 、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
q1とq2は、一方が1で他方が0である;
q3は0または1である;
P及びQは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基である;ただし、Xが−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−である場合、−CH=CH−が結合する側のP又はQは芳香環であり、Pの数が2以上となるときは、P同士は同一でも異なっていてもよく、Qの数が2以上となるときは、Q同士は同一でも異なっていてもよい;
l1は0または1である;
l2は0〜2の整数である;
l1とl2がともに0であるときは、Tが単結合であるときはAも単結合を表す;
l1が1であるときは、Tが単結合であるときはBも単結合を表す;
H及びIは、各々独立に、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、およびそれらの組み合わせから選ばれる基である。)
からなる群から選ばれるいずれか1種の感光性側鎖を有する、上記組成物。
- 式(I)で表される構造を有する前記化合物が、前記側鎖型高分子の一部を構成する請求項1に記載の組成物。
- 式(I)で表される構造を有する前記化合物が、前記側鎖型高分子以外の添加剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記添加剤は、その両端に、各々独立に、下記式CL−1〜CL−23からなる群から選ばれる末端基
(式中、*は、上記式(I)で表される構造と結合する位置、特に上記式(I)で表される構造のC1又はC4と結合する位置を示す。
式CL−1〜CL−23中、R11は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又はハロゲンで置換された炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す;
R12は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖又はハロゲンで置換されたフェニル基を示し、式中の芳香環の酸素原子が結合している炭素原子のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には水素原子が結合している;
Z11、Z12及びZ13は、それぞれ独立して、R13、OR13又はOCOR13(R13は、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基)である。但し、Z11、Z12及びZ13が全てR13である場合を除く;
BLは、下記式BL−1〜BL−6のいずれかのイソシアネート基を保護するブロック基を示す;(式中、**は、イソシアネート基との結合位置を表す。))
を有する請求項4に記載の組成物。
- 前記添加物は、その両端に、各々独立に、上記式CL−1〜CL−3、CL−5、CL−10、CL−12〜CL−14、及びCL−16〜CL−21からなる群から選ばれる末端基を有する請求項4又は5に記載の組成物。
- 前記式(I)で表される構造を有する化合物が、側鎖型高分子以外の添加剤である場合、C1と末端基との間又はC4と末端基との間に、スペーサ基を有し、該スペーサ基は、各々独立に、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−CO−、−N=、及び第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基(アルキレン基中の−CH2−は、各々独立に、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OCONH−及び−CO−からなる第2群から選ばれる基で置換されていてもよい。ただし、第2の群から選ばれる基同士は互いに隣り合うことはない)からなる群から選ばれる請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記(A)成分が、光架橋、光異性化、または光フリース転位を起こす感光性側鎖を有する請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
- (A)成分が、下記式(7)〜(10)
(式中、A、B、Dはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−CH2−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NH−CO−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表す;
Y1は、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環および炭素数5〜8の脂環式炭化水素から選ばれる環を表すか、それらの置換基から選ばれる同一又は相異なった2〜6の環が結合基Bを介して結合してなる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−COOR0(式中、R0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表し、Xの数が2となるときは、X同士は同一でも異なっていてもよい;
lは1〜12の整数を表す;
mは、0〜2の整数を表し、m1、m2は1〜3の整数を表す;
nは0〜12の整数(ただしn=0のときBは単結合である)を表す;
Y2は、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
Rは、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、又はY1と同じ定義を表す)
からなる群から選ばれるいずれか1種の感光性側鎖を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)成分が、下記式(11)〜(13)
(式中、Aは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CH2−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NH−CO−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表す;
Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表し、Xの数が2となるときは、X同士は同一でも異なっていてもよい;
lは、1〜12の整数を表し、mは0〜2の整数を表し、m2は1〜3の整数を表す;
Rは、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環および炭素数5〜8の脂環式炭化水素から選ばれる環を表すか、それらの置換基から選ばれる同一又は相異なった2〜6の環が結合基Bを介して結合してなる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−COOR0(式中、R0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良いか、又はヒドロキシ基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す)
からなる群から選ばれるいずれか1種の感光性側鎖を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)成分が、下記式(14)又は(15)
(式中、Aはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−CH2−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NH−CO−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表す;
Y1は、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環および炭素数5〜8の脂環式炭化水素から選ばれる環を表すか、それらの置換基から選ばれる同一又は相異なった2〜6の環が結合基Bを介して結合してなる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−COOR0(式中、R0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表し、Xの数が2となるときは、X同士は同一でも異なっていてもよい;
lは1〜12の整数を表し、m1、m2は1〜3の整数を表す)
で表される感光性側鎖を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)成分が、下記式(18)又は(19)
(式中、A、Bはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−CH2−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NH−CO−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表す;
Y1は、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環および炭素数5〜8の脂環式炭化水素から選ばれる環を表すか、それらの置換基から選ばれる同一又は相異なった2〜6の環が結合基Bを介して結合してなる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−COOR0(式中、R0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
q1とq2は、一方が1で他方が0である;
lは1〜12の整数を表し、m1、m2は1〜3の整数を表す;
R1は、水素原子、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基を表す)からなる群から選ばれるいずれか1種の感光性側鎖を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)成分が、下記式(20)(式中、Aは、単結合、−O−、−CH2−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NH−CO−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表す;
Y1は、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環および炭素数5〜8の脂環式炭化水素から選ばれる環を表すか、それらの置換基から選ばれる同一又は相異なった2〜6の環が結合基Bを介して結合してなる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−COOR0(式中、R0は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、又は−O−CO−CH=CH−を表し、Xの数が2となるときは、X同士は同一でも異なっていてもよい;
lは1〜12の整数を表し、mは0〜2の整数を表す)で表される感光性側鎖を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)成分が、下記式(21)〜(31)(式中、A及びBは上記と同じ定義を有する;
Y3は、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、窒素含有複素環、及び炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる基であり、それらに結合する水素原子はそれぞれ独立に−NO2、−CN、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルキルオキシ基で置換されても良い;
R3は、水素原子、−NO2、−CN、−CH=C(CN)2、−CH=CH−CN、ハロゲン基、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、窒素含有複素環、炭素数5〜8の脂環式炭化水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す;
q1とq2は、一方が1で他方が0である;
lは1〜12の整数を表し、mは0から2の整数を表し、但し、式(25)〜(26)において、全てのmの合計は2以上であり、式(27)〜(28)において、全てのmの合計は1以上であり、m1、m2およびm3は、それぞれ独立に1〜3の整数を表す;
R2は、水素原子、−NO2、−CN、ハロゲン基、1価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、窒素含有複素環、及び炭素数5〜8の脂環式炭化水素、および、アルキル基、又はアルキルオキシ基を表す;
Z1、Z2は単結合、−CO−、−CH2O−、−CH=N−、−CF2−を表す)からなる群から選ばれるいずれか1種の液晶性側鎖を有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
- [I] 請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物を、横電界駆動用の導電膜を有する基板上に塗布して塗膜を形成する工程;
[II] [I]で得られた塗膜に偏光した紫外線を照射する工程;及び
[III] [II]で得られた塗膜を加熱する工程;
を有することによって配向制御能が付与された横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜を得る、前記液晶配向膜を有する基板の製造方法。 - 請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物から形成された横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜。
- 請求項18に記載の横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜を有する基板。
- 請求項19に記載の基板を有する横電界駆動型液晶表示素子。
- 請求項19に記載の基板(第1の基板)を準備する工程;
[I’] 第2の基板上に 請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物を、塗布して塗膜を形成する工程;
[II’] [I’]で得られた塗膜に偏光した紫外線を照射する工程;及び
[III’] [II’]で得られた塗膜を加熱する工程;
を有することによって配向制御能が付与された液晶配向膜を得る、前記液晶配向膜を有する第2の基板を得る工程;及び
[IV] 液晶を介して前記第1及び第2の基板の液晶配向膜が相対するように、前記第1及び第2の基板を対向配置して液晶表示素子を得る工程;
を有することにより、横電界駆動型液晶表示素子を得る、該液晶表示素子の製造方法。
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