JP6726486B2 - 反射基板の製造方法及び反射基板 - Google Patents

反射基板の製造方法及び反射基板 Download PDF

Info

Publication number
JP6726486B2
JP6726486B2 JP2016043325A JP2016043325A JP6726486B2 JP 6726486 B2 JP6726486 B2 JP 6726486B2 JP 2016043325 A JP2016043325 A JP 2016043325A JP 2016043325 A JP2016043325 A JP 2016043325A JP 6726486 B2 JP6726486 B2 JP 6726486B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
reflectance
reflective
powder
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016043325A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016170410A (ja
Inventor
貞男 堀内
貞男 堀内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Citizen Watch Co Ltd filed Critical Citizen Watch Co Ltd
Publication of JP2016170410A publication Critical patent/JP2016170410A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6726486B2 publication Critical patent/JP6726486B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Led Device Packages (AREA)

Description

本発明は、反射基板の製造方法及び反射基板に関する。
一般的にLED(Light Emitting Diode)デバイスは、基板と、基板上に実装されたLED素子と、LED素子を封止する、蛍光体を含む封止部材とを有する。LED素子からの光(以下「LED光」ともいう)は全方向に放射され、LED光が蛍光体を励起させて、励起光により、又は励起光とLED光との合成により、所望の色が作成される。
LED光のうち、基板に向かう光は、基板で反射されて反射光となる。しかしながら、従来用いられている基板は、近紫外領域の光(近紫外線)の反射率が低い。このため、近紫外のLED素子を用いた場合、近紫外領域の反射光量が減るため、蛍光体を励起させる効率は低いと考えられる。したがって、従来技術では、封止部材中の蛍光体の含有量を大きくする、又はLED素子の出力を上げる等の方策がとられている。
例えば特許文献1のように、無機粒子とバインダとを含む被着材料をスプレーコート法によって基材の表面に吹き付けた後に仮焼成を行って多孔質層を形成して得られる、近紫外領域において反射率の高い反射部材が知られている。
特開2011−180618号公報
特許文献1の多孔質層は、950℃以上の温度で焼結を行い形成されている。しかしながら、アルミニウム基板や樹脂基板などに被着材層を形成して仮焼成を行うと、熱の影響を受けて、基板上の金属や配線が熱酸化される、マイグレーションなどによる配線の断線、基板形状の歪みなどが発生するなど、様々な不具合が生じてしまう。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、例えば以下の構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[8]に関する。
[1]球状の無機粒子を用いて、粉末噴射コーティング法により、ベース基板上の少なくとも一部の領域に反射層を形成する工程を有する、反射基板の製造方法。
[2]前記球状の無機粒子の70%以上(個数基準)が、粒子径が20〜60μmの範囲にある粒子である前記[1]に記載の反射基板の製造方法。
[3]前記球状の無機粒子が、スプレードライ法により得られた球状の造粒粉末である前記[1]又は[2]に記載の反射基板の製造方法。
[4]前記球状の無機粒子が、ZrO2、SiO2、Al23及びAlNから選択される少なくとも1種を含む粒子である前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の反射基板の製造方法。
[5]前記ベース基板における反射層形成領域の材質が、アルミニウム、チタニウム又はステンレス鋼である前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の反射基板の製造方法。
[6]前記反射層の膜厚が、1μm以上の範囲にある前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の反射基板の製造方法。
[7]ベース基板と、球状の無機粒子を用いた粉末噴射コーティング法により、前記ベース基板上の少なくとも一部の領域に形成された反射層と、を有する反射基板。
[8]LED素子搭載用基板である、前記[7]に記載の反射基板。
本発明によれば、高温熱処理工程を行うことなく、既存の基板上に近紫外領域の光の反射率が高い反射層を形成することができ、また、近紫外領域の光の反射率が高い反射基板を提供することができる。
図1は、粉末ガス化デポジション法で用いる成膜装置を説明する図である。 図2は、実施例で用いた球状の無機粒子のSEM画像である。 図3は、比較例で用いた非球状の無機粒子のSEM画像である。 図4は、実施例で用いた無機粒子単体の反射率と、アルミニウム基板、チタニウム基板及びSUS基板の反射率とを示すグラフである。 図5(a)は、実施例及び比較例Aで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。 図5(b)は、実施例及び比較例Aで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。 図5(c)は、実施例及び比較例Aで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。 図6(a)は、実施例及び比較例Bで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。 図6(b)は、実施例及び比較例Bで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。 図6(c)は、実施例及び比較例Bで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。 図7(a)は、実施例及び比較例Cで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。 図7(b)は、実施例及び比較例Cで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。 図7(c)は、実施例及び比較例Cで得られた反射基板等の反射率を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、近紫外領域とは、波長360nm以上400nm以下の範囲をいい、可視光領域とは、波長400nmを超えて740nm以下の範囲をいう。
〔反射基板の製造方法〕
本発明の反射基板の製造方法は、球状の無機粒子を用いて、粉末噴射コーティング法により、ベース基板上の少なくとも一部の領域に反射層を形成する工程を有する。
〈無機粒子〉
本発明では、ベース基板上に反射層を形成するために、球状の無機粒子が用いられる。本発明で用いられる球状の無機粒子は、波長360nm以上400nm以下の範囲のうち少なくとも一部の範囲において、反射層が形成されるベース基板の反射率よりも高い反射率を有することが好ましい。
無機粒子の近紫外領域での反射率は、以下のように測定する。無機粒子を基板上に、基板が見えないほど充分に配置した後に、この無機粒子の層上にもう1枚の基板をおいて、無機粒子の層を平坦化する。平坦化後は、無機粒子の層上においた基板は取り除く。このようにして得られた、無機粒子の層について、分光測色計を用いて、波長360〜740nmの範囲の反射率を測定する。このようにして、波長360nm以上400nm以下の範囲における、無機粒子の反射率を得る。なお、無機粒子の層は平坦化できればよく、基板以外の平坦な部材で無機粒子を平坦化できればよい。
近紫外領域(360nm〜400nm)のうち少なくとも一部の範囲において、反射層を形成するために用いられる球状の無機粒子の反射率が、反射層が形成されるベース基板の反射率よりも高いことが好ましい。ここで、球状の無機粒子の反射率は、上述の全近紫外領域でベース基板の反射率を上回っていることがより好ましいが、部分的に上回っていればよい。例えば380〜400nmの範囲での反射率が、ベース基板よりも高い球状の無機粒子でもよく、360nm付近での反射率が、ベース基板よりも高い球状の無機粒子でもよい。あるいは、近紫外領域での平均反射率が、ベース基板よりも高い球状の無機粒子でもよい。
無機粒子としては、ZrO2、SiO2、Al23及びAlNから選択される少なくとも1種を含む粒子がより好ましく用いられる。
また、1種の無機粒子を用いてもよく、2種以上の無機粒子を用いてもよい。
本明細書において、粒子を構成するある成分Xの含有割合が50質量%以上の粒子をX粒子と記載する。例えば、粒子を構成するZrO2の含有割合が50質量%以上の粒子をZrO2粒子と記載する。
無機粒子としては、ZrO2粒子、SiO2粒子、Al23粒子及びAlN粒子が挙げられ、これらの中でも、近紫外領域における反射率の高さの観点から、ZrO2粒子及びAl23粒子が好ましく、可視光領域における反射率の高さの観点から、ZrO2粒子がより好ましい。反射率という目的に加えて放熱などの熱伝導率を考慮した場合には、熱伝導率はAlN粒子が高く、次いでAl23粒子、ZrO2粒子の順であり、放熱性を確保したい場合はAlN粒子やAl23粒子が好ましい。
球状の無機粒子を用いることで、内部に空隙を多く含む、密度の低い反射層をベース基板上に形成することができる。これにより、近紫外領域における反射率を向上させることができる。本発明では、1次粒子及び/又は1次粒子が凝集した2次粒子を造粒することにより得られる球状(顆粒状)のセラミック粒子を用いることがより好ましい。
球状の無機粒子は、円形度が0.9以上であることが好ましく、より好ましくは0.95以上である。特に、20〜60μmの範囲の粒子径の円形度が前記範囲にあることが好ましい。このような円形度の粒子は、例えば後述のスプレードライ法によって得られる。
球状の無機粒子としては、70%以上が、粒子径が20〜60μmの範囲にある粒子を用いることが好ましい。ここで、前記割合は個数基準であり、粒子径5μm以上の全無機粒子に対する割合である。20μm以上の粒子径を有する粒子を前記範囲で含む無機粒子は、密度の低い反射層を形成するうえで好ましい。また、60μmより大きい粒子径の粒子が30%を超えて含まれる無機粒子を用いると、成膜法として粉末噴射コーティング法を採用する本発明において膜が形成されずに堆積されにくい傾向がある。前記粒子径を有する無機粒子の割合は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)の写真から任意の粒子の粒子径を測定し算出することができる。
球状の無機粒子としては、メディアン径(D50;個数基準)が20μm以上の範囲にある無機粒子を用いることが好ましく、20〜60μmの範囲にある無機粒子を用いることがより好ましい。メディアン径は、SEM観察画像により測定される。
球状の無機粒子は、スプレードライ法により得られた球状の造粒粉末であることが好ましい。具体的には、1次粒子及び/又は1次粒子を凝集して形成される2次粒子を原料としてスプレードライ法により造粒して得られた球状(顆粒状)の粉末であることが好ましい。スプレードライ法は、球状の無機粒子を得るうえで好ましい。スプレードライ法の条件は、球状で且つ粒子径が上記範囲にある粒子が得られる限り特に限定されない。スプレードライ法については既知の技術を用いることができるため、その説明は省略する。調製粒子の形状及び大きさ等は、例えばスプレードライの噴霧量及び噴霧状態、並びに温度を適宜設定することで変化させることができる。
〈ベース基板〉
ベース基板における反射層形成領域の材質としては、例えば、アルミニウム、チタニウム、ステンレス鋼(例:JIS規格に規定される、SUS430、SUS304、SUS316)等の金属(合金を包含する)が挙げられる。また、ベース基板としては、例えば、アルミニウム基板、チタニウム基板、ステンレス鋼基板等の金属製基板;エポキシ樹脂基板等の合成樹脂製基板;合成樹脂製基板の表面にアルミニウム層、チタニウム層、ステンレス鋼層等の金属層が形成された積層基板;アルミニウム、チタニウム、鉄を主成分とする合金基板と積層基板;これらの基板上にガラス膜などの保護層が形成された基板が挙げられる。ベース基板として金属製基板を用いた場合、ベース基板の裏面からの放熱性が高くなり、例えばLED素子をベース基板上に搭載した場合、発光時におけるベース基板の温度分布を均等化することができる。このため、LED光のばらつきを抑制することができる点で好ましい。
これらの中でも、アルミニウム基板は波長400nmを超えて740nm以下において反射率が高い点からベース基板として好ましい。例えば、波長400nmを超えて740nm以下の平均反射率が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であるアルミニウム基板が挙げられる。
ベース基板は特に限定されないが、形状としては、例えば、平板状が挙げられる。また、ベース基板の厚さは通常0.5〜2mm程度である。
〈成膜法〉
本発明では、ベース基板上の少なくとも一部の領域に反射層を形成する成膜法として、粉末噴射コーティング法が用いられる。本発明において「粉末噴射コーティング法」とは、原料粉末を搬送ガス中に分散させて粉末ガス化し、粉末ガスを対象基板に向けて噴射することにより粉末ガス中の前記粉末を対象基板に衝突及び堆積させて、前記粉末を構成する材料からなる膜を対象基板上に形成する方法を意味する。なお、粉末ガスとは、気体中に浮遊するガラス粉末とその気体との混合物のことをいう。
粉末噴射コーティング法では、特に加熱手段を必要とせず、常温で成膜可能である。また、粉末噴射コーティング法を用いることで、ベース基板上に、例えば接着剤層等を介することなく、反射層を直接形成することができる。粉末噴射コーティング法では粉末吹き付けのみで成膜が行え、焼成が不要になるため、ベース基板へのダメージが少なく、基板の選択肢を増やすことができる。
粉末噴射コーティング法としては、具体的には、粉末ガス化デポジション法(GD法)及びパウダージェットデポジション法(PJD法)が挙げられる。一般的に、GD法は減圧下の成膜環境で行われる方法であり、PJD法は大気圧下の成膜環境で行われる方法である。本発明では、いずれの方法も採用することができる。
本発明では、原料粉末として上記球状の無機粒子が用いられ、対象基板として上記ベース基板が用いられる。
成膜室内の圧力は、好ましくは10〜1000Pa、より好ましくは10〜400Pa、さらに好ましくは20〜200Paである。圧力が前記範囲にあると、得られる膜が緻密になりすぎないため、近紫外領域の光の反射率が高い基板を得るうえで好ましい。
搬送ガスとしては、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)等の不活性ガス、及び乾燥空気が挙げられる。搬送ガスのガス流量は、所望の粉末ガスの生成及び搬送を維持できる流量であれば特に限定されないが、好ましくは0.1〜10L/分、より好ましくは0.5〜5L/分、さらに好ましくは0.5〜2L/分である。ガス流量が前記範囲にあると、得られる膜が緻密になりすぎないため、近紫外領域の光の反射率が高い基板を得るうえで好ましい。
成膜室における雰囲気温度は、通常5〜35℃程度である。
形成される反射層の膜厚は、通常1μm以上、好ましくは10〜1000μm、より好ましくは100〜300μmである。形成される反射層の膜厚が前記範囲の下限値以上であれば、近紫外領域において高い反射率を得ることができる傾向にあり、また、成膜の制御の観点から好ましい。
無機粒子としてZrO2粒子、SiO2粒子、Al23粒子及びAlN粒子等を用いた場合、形成される上記反射層は高い絶縁性を有する。したがって、本発明では、絶縁性が高く、かつ近紫外線の反射率が高い反射層を有する反射基板を得ることができる。
図1に、GD法により成膜を行う成膜装置の模式図の一例を示す。成膜装置1は、ガスボンベ120と、ガス導入部40と、混合部110と、粉末タンク10と、成膜室20と、真空ポンプ30と、粉末ガス導入部50と、排気管60とを有する。
混合部110は、粉末ガスの生成が行われる容器であり、混合部110には原料粉末70を含む粉末タンク10が接続されている。混合部110には、ガス導入部40及び粉末ガス導入部50が接続されている。
ガス導入部40は、原料粉末70を搬送するために用いられる搬送ガスを、混合部110の内部に導入する。混合部110の内部にて原料粉末70と搬送ガスとが混合され、粉末ガスが生成される。粉末ガス導入部50は、生成された粉末ガスを吸引して成膜室20の内部に導入する。粉末ガス導入部50の先端には、スリットが形成された噴射ノズル80が設けられている。
成膜室20では、GD法により成膜が行われる。成膜室20には、粉末ガス導入部50により混合部110が接続されており、排気管60により真空ポンプ30が接続されている。成膜室20内部の圧力は、真空ポンプ30により任意の減圧状態に制御可能である。
成膜室20の内部には、可動ステージ90が設けられており、可動ステージ90には対象基板100が固定されている。可動ステージ90は、対象基板100と噴射ノズル80との相対位置を調節するために移動可能である。
混合部110において生成された粉末ガスは、粉末ガス導入部50を通り、噴射ノズル80から成膜室20の内部に導入され、可動ステージ90に固定された対象基板100に向けて噴射される。
以上の成膜法により、例えばLED素子から放射された近紫外線に対する反射率が高い反射層を、ベース基板上の任意の領域に形成することができる。したがって、本発明の製造方法で得られる反射基板は、LED素子搭載用基板として好適に用いることができる。
本発明で得られた反射基板をLED素子搭載用基板として用いることで、近紫外領域の反射率を高くすることができるため、蛍光体を励起する確率が向上する。これにより、封止部材中の蛍光体の含有量を減らすことができ、このため励起光、又は励起光とLED光との合成光の取出し効率を上げることができる。また、LED素子の出力を下げることができ、このため省電力に寄与することができる。
〔反射基板〕
本発明の反射基板は、ベース基板と、球状の無機粒子を用いた粉末噴射コーティング法により、前記ベース基板上の少なくとも一部の領域に形成された反射層とを有する。
本発明の反射基板は、反射層面において、波長360〜400nmの範囲のうち少なくとも一部の範囲における光の反射率がベース基板のみの反射率よりも高いことが好ましい。
例えば、近紫外LED素子と、赤色、緑色又は青色の蛍光体とを組み合わせることで、疑似白色光を得ることができる。波長360〜400nmにおける光の反射率が高い反射基板をLED素子搭載用基板として用いると、LED光のうち上記波長範囲の光が基板で反射された反射光も蛍光体の励起に寄与する確率が高くなる。したがって、蛍光体の使用量を低減できる点、及び省電力の点で好ましい。
可視光領域の光の平均反射率が高いほど、LED素子の輝度が高くなる傾向にある。また、上述の疑似白色光を得るうえで、光の反射率が可視光領域において略一定であることが好ましい。
本発明の反射基板は上述した〔反射基板の製造方法〕に基づき製造することができる。
以下、本発明の反射基板をLED素子搭載用基板として用いる一例を説明する。具体的には、LED装置を製造する方法について説明する。LED装置は、例えば、反射層及び回路パターンが形成されたLED素子搭載用基板(以下「基板Z」ともいう)の反射層上にLED素子を搭載する工程、前記基板Zに搭載されたLED素子と前記基板Zの回路パターンとを導通させる工程、透光性の封止材を用いてLED素子を封止する工程を経て、製造することができる。
基板Zの構成は、例えば以下のとおりである。
ベース基板がアルミニウム基板等の金属製基板である場合には、ベース基板上に絶縁層を兼ねた反射層を形成し、この反射層上に金属箔を積層し、この金属箔にエッチング処理を施すことにより回路パターンを形成することができる。金属箔としては、例えば、銅箔が挙げられる。その他、公知の手段により回路パターンを形成することができる。
また、ベース基板が合成樹脂製基板上にアルミニウム層等の金属層を形成した積層基板である場合には、回路パターンとなる電極層を金属層によって形成しておき、LED素子と電極層とを導通させる部分以外の領域に上述した反射層を形成することができる。
LED素子は、例えば、透光性の接着剤を介して、基板Zに搭載する。透光性の接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等のダイボンド剤が挙げられる。
基板Zに搭載されたLED素子は、ワイヤボンディングやフリップチップ等の公知の手段により、基板Z上に形成された回路パターンに対して、電気的に接続される。
LED素子は、透光性樹脂及び蛍光体を含む封止材を用いて樹脂封止される。上記LED装置は、近紫外領域の光の反射率が高い基板を有することから、上述したように、封止材中の蛍光体量を減らすことができる。このため、蛍光体の励起光が他の蛍光体に吸収されたりすることなく取り出されるため、LED装置からの光の出射効率が高くなる。
上記LED装置の一実施形態では、反射層上に複数のLED素子が透光性の接着剤を介して接着されているので、個々のLED素子に対応するように反射層を形成する必要はない。
上記LED装置では、LED素子から放射された光の一部は、正規の光の取り出し方向とは逆に、LED素子搭載用基板の反射層に向かう。反射層に向かった光は、反射層面で正規の光の取り出し方向に向けて反射される。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明する。
[調製例1]
球状のZrO2造粒粒子の調製方法を説明する。
はじめに、水酸化ジルコニウム粉末を900℃から1000℃に設定された炉に入れて、2時間ほど仮焼をすることによりZrO2微粉末を得る。次に、ZrO2微粉末を水と有機溶媒とからなる液体に混合してスラリーを作製する。ここで、混合比率はZrO2の質量と液体の質量とを同程度にしておく。そして、スラリーと粉砕用のボールとを撹拌槽型媒体攪拌式粉砕機で6時間混合粉砕することによって、1次粒子及び/又は粒子径の小さい1次粒子が凝集してできた2次粒子を含むスラリーとなる。このように作成したスラリーをスプレードライ法により150℃の高温気流中に噴霧すると、表面張力によって1次粒子及び/又は粒子径の小さい1次粒子が凝集してできた2次粒子がさらに凝集し球状化した液滴となる。この液滴をそのまま乾燥しZrO2の造粒粒子を得る。
得られたZrO2の造粒粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)による写真を図2(a)(5kV,1000倍)及び図2(b)(5kV,200倍)に示す。得られたZrO2の造粒粒子が球状(顆粒状)であることを確認した。
SEMの写真から任意の粒子の粒子径を測定し算出した結果、球状(顆粒状)のZrO2の造粒粒子の粒子径は、5μm以上の粒子のうち約77%(個数基準)が20〜60μmの範囲にあり、メディアン径(D50)は29μmであった。また、上述の20〜60μmの範囲の粒子径の円形度はいずれも0.9以上であった。このようにして得られたZrO2の造粒粒子の粉末をZrO2造粒粉と呼ぶ。
[調製例2]
水酸化ジルコニウム粉末にかえて水酸化アルミニウム粉末を用いたこと以外は調製例1に準じて、Al23の造粒粒子を得る。得られたAl23の造粒粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、球状(顆粒状)であることを確認した。SEMの写真から任意の粒子の粒子径を測定し算出した結果、球状(顆粒状)のAl23の造粒粒子の粒子径は、5μm以上の粒子のうち約81%(個数基準)が20〜60μmの範囲にあり、メディアン径(D50)は46.8μmであった。また、上述の20〜60μmの範囲の粒子径の円形度はいずれも0.9以上であった。このようにして得られたAl23の造粒粒子の粉末をAl23造粒粉と呼ぶ。
[調製例3]
水酸化ジルコニウム粉末にかえてアルミナ粉末又はアルミナ水和物粉末を用いて、スプレードライ法により調製例1に準じて球状造粒物を得た後、還元剤が存在する窒素雰囲気において1200〜1800℃の温度で熱処理と還元窒化処理を行うことによってAlNの造粒粒子を得る。得られたAlNの造粒粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、球状(顆粒状)であることを確認した。SEMの写真から任意の粒子の粒子径を測定し算出した結果、球状(顆粒状)のAlNの造粒粒子の粒子径は、5μm以上の粒子のうち約83%(個数基準)が20〜60μmの範囲にあり、メディアン径(D50)は40.5μmであった。また、上述の20〜60μmの範囲の粒子径の円形度はいずれも0.9以上であった。このようにして得られたAlNの造粒粒子の粉末をAlN造粒粉と呼ぶ。
[比較調製例1]
次に、比較例としてZrO2の焼結粉砕粒子の調製法を説明する。
まず、ZrO2微粉末原料に対して、金型プレスにより成形圧力500〜700kgf/cm2でプレスを行い粉末成形体を造る。これを1200〜1900℃で2時間焼成して高密度の焼結体とする。そして、この焼結体を粉砕機にて粉砕した後に、分級することによって、ZrO2粉砕粒子が得られる。
このようにして得られたZrO2粉砕粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM;5kV,1000倍)による写真を図3に示す。前記ZrO2粉砕粒子は球状ではなく角ばった形状であることを確認した。また、上記と同様にしてメディアン径(D50)を求めた。その結果、D50は13.6μmであった。このようにして得られたZrO2粉砕粒子の粉末をZrO2粉砕粉と呼ぶ。
[比較調製例2]
ZrO2微粉末原料にかえてAl23微粉末原料を用いたこと以外は比較調製例1に準じて、Al23粉砕粒子を得る。得られたAl23粉砕粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、球状ではなく角ばった形状であることを確認した。また、上記と同様にしてメディアン径(D50)を求めた。その結果、D50は0.6μmであった。このようにして得られたAl23粉砕粒子の粉末をAl23粉砕粉と呼ぶ。
[比較調製例3]
ZrO2微粉末原料にかえてAlN微粉末原料を用いたこと以外は比較調製例1に準じて、AlN粉砕粒子を得る。得られたAlN粉砕粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、球状ではなく角ばった形状であることを確認した。また、上記と同様にしてメディアン径(D50)を求めた。その結果、D50は0.5μmであった。このようにして得られたAlN粉砕粒子の粉末をAlN粉砕粉と呼ぶ。
上記で得られた、球状(顆粒状)の造粒粉及び非球状の粉砕粉それぞれについての反射率を測定した。反射率は、以下のように測定した。前記造粒粉又は粉砕粉をスライドガラス上に、スライドガラスが見えないほど充分に配置した後に、この造粒粉又は粉砕粉の層の上側からもう1枚のスライドガラスをおいて前記層を平坦化し、上側のスライドガラスを外した。このようにして得られた前記層は、15mm径で厚さ1mmであった。前記層を、分光測色計「CM−2600d」(コニカミノルタ(株)製)を用いて、波長360〜740nmにわたって10nm間隔で、反射率を測定した。
球状の造粒粉及び非球状の粉砕粉それぞれについての反射率と、以下の実施例及び比較例で用いたアルミニウム基板、チタニウム基板及びSUS430基板(以下「SUS基板」と記載する)についての反射率を図4に示す。また、近紫外領域及び可視光領域における平均反射率を表1に示す。
図4においては、球状の造粒粉であるZrO2造粒粉単体の反射率のデータ線R11を■、Al23造粒粉単体のデータ線R21を▲、AlN造粒粉単体のデータ線R31を●で示し、非球状の粉砕粉であるZrO2粉砕粉単体のデータ線R12を□、Al23粉砕粉単体のデータ線R22を△、AlN粉砕粉単体のデータ線R32を○で示している。また、アルミニウム基板のデータ線S1を破線で、チタニウム基板のデータ線S2を1点鎖線で、SUS基板のデータ線S3を2点鎖線で、それぞれ示している。
表1及び図4に示すとおり、ZrO2の造粒粉は、アルミニウム基板、チタニウム基板、SUS基板のいずれにおいても基板の反射率よりも高い反射率を有しており、Al23の造粒粉は、チタニウム基板、SUS基板においては基板の反射率よりも高い反射率を有しており、アルミニウム基板においては360〜420nmの範囲で基板の反射率よりも高い反射率を有している。AlNの造粒粉は、チタニウム基板、SUS基板においては基板の反射率よりも高い反射率を有しており、アルミニウム基板においては、360nm付近において基板の反射率よりも高い反射率を有している。
次に、上記ZrO2、Al23、AlNの造粒粉又は粉砕粉を原料として、アルミニウム基板、チタニウム基板、SUS基板にそれぞれ反射層を形成したときの反射率について説明を行う。実施例及び比較例Aではベース基板としてアルミニウム基板を用い、実施例及び比較例Bではチタニウム基板を、実施例及び比較例CではSUS基板を用いている。
[反射率の測定]
以下の実施例及び比較例で得られた反射基板について、分光測色計「CM−2600d」(コニカミノルタ(株)製)で反射率を、波長360〜740nmにわたって10nm間隔で測定した。得られた測定値について後述する数値範囲における平均値を計算し平均反射率とした。
[実施例及び比較例A:図5(a)〜(c)]
はじめに反射基板を構成するベース基板として、LED用で一般的に使用されているアルミニウム基板を用いた例を、図5(a)〜(c)を用いて詳細に説明する。
[実施例反射基板A11]
アルミニウム基板上に、原料粉末として調製例1で得られた球状のZrO2造粒粉を用い、GD法により成膜を行った。ロータリーポンプにて成膜室であるチャンバー内の圧力を60Paに調整した。搬送ガスとして窒素ガスを用い、搬送ガスの流量を1L/分とし、窒素ガスボンベより混合部へガス導入部であるガス配管を通じて窒素ガスを導入して、混合部にてZrO2造粒粉を窒素ガスに分散させた粉末ガスを発生させた。粉末ガスは粉末ガス導入部である粉末ガス搬送管を通ってノズルに搬送され、ノズルの開口からアルミニウム基板に向けてZrO2造粒粉を噴射した。ノズル幅10mm、ノズルスリット幅0.8mmの矩形開口を持つノズルを採用した。成膜時のノズルの走査方法としては、アルミニウム基板/ノズル間距離を20mmとし、スキャン速度を10mm/秒とし、スキャンを計10サイクル行った。以上の工程は常温で行った。以上のようにして、膜厚が約100μmの反射層をアルミニウム基板上に形成し、実施例反射基板A11を得た。反射層の膜厚は、以下の実施例及び比較例でも同様であるが、接触式膜厚計により確認した。
[実施例反射基板A21、A31]
原料粉末として調製例2〜3で得られたAl23造粒粉又はAlN造粒粉を用いたこと以外は反射層の形成と同様に行った。これにより、膜厚が約100μmの反射層をアルミニウム基板上に形成し、Al23造粒粉を用いた実施例反射基板A21とAlN造粒粉を用いた実施例反射基板A31をそれぞれ得た。
[比較用反射基板A12、A22、A32]
原料粉末として比較調製例1〜3で得られたZrO2粉砕粉、Al23粉砕粉又はAlN粉砕粉を用いた。それ以外は実施例反射基板A11と同様に行った。これにより、膜厚が約10〜20μmの反射層をアルミニウム基板上に形成し、比較用反射基板A12、A22、A32をそれぞれ得た。ここで、非球状の粉砕粉を用いた場合は厚膜化が困難であったため、反射層の膜厚は約10〜20μmとした。
ベース基板として用いたアルミニウム基板、並びに、実施例反射基板A11、A21、A31及び比較用反射基板A12、A22、A32について、波長と反射率の関係を図5(a)〜(c)に示す。図5(a)は実施例反射基板A11(■)、比較用反射基板A12(□)及びアルミニウム基板S1(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図であり、図5(b)は実施例反射基板A21(▲)、比較用反射基板A22(△)及びアルミニウム基板S1(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図であり、図5(c)は実施例反射基板A31(●)、比較用反射基板A32(○)及びアルミニウム基板S1(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図である。図5(a)〜(c)において、アルミニウム基板の反射率のデータ線を符号S1で示し、各反射基板のデータ線の符号は説明をわかりやすくするために、反射率の測定対象物(実施例反射基板A11、A21、A31、比較用反射基板A12、A22、A32)の符号と同一としている。
図5(a)に示すように、実施例反射基板A11は、360〜410nmにおいてアルミニウム基板S1の反射率より高い反射率(平均反射率93.7%)を有しており、410nmを超えて740nm以下での範囲においても90%以上の高い反射率(平均反射率93.2%)をほぼ維持している。また、実施例反射基板A11は、360〜740nmの範囲において、平均反射率が93.6%と高い反射率を有し、反射率の最大値と最小値の差が約5%であり一定した反射率を有している。一方、比較用反射基板A12は、実施例反射基板A11と比較すると20%以上低い反射率となっており、粉砕粉単体(図4のR12)の反射率よりも低下している。
これより、ベース基板としてアルミニウム基板を用いた場合、ZrO2の球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、ZrO2の非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360〜410nmにおいてアルミニウム基板よりも高い反射率が得られるとともに、360〜740nmの範囲において波長依存の少ない一定の反射率を得るのに適している。特に、前記ZrO2の造粒粉を用いた反射基板を、近紫外LED素子を有するLED基板として用いた場合、360〜740nmの範囲において高い反射率を有するため、近紫外光による蛍光量が増えて光の取り出し効率を高めることができる。
図5(b)に示すように、実施例反射基板A21は、360〜400nmにおいてアルミニウム基板S1の反射率より高い反射率(平均反射率92.8%)を有しており、400nmを超えて740nm以下での範囲においても、平均反射率が82.8%と高い反射率を有している。一方、比較用反射基板A22は、最大の反射率が21.1%であり、実施例反射基板A21と比較すると45%以上低い反射率(360〜740nmの平均反射率19.8%)となっており、粉砕粉単体(図4のR22)の反射率よりも低下している。
これより、ベース基板としてアルミニウム基板を用いた場合、Al23の球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、Al23の非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360〜400nmの範囲において高い反射率を得るのに適している。
図5(c)に示すように、実施例反射基板A31は、360nm付近においてアルミニウム基板S1の反射率より高い反射率(76.2%)を有しており、360〜740nmの範囲において、平均反射率が78.2%、反射率の最大と最小の差が約3%と、比較的高い反射率を有しつつ、一定した反射率を有している。一方、比較用反射基板A32は、最大の反射率が13.8%であり、実施例反射基板A31と比較すると50%以上低い反射率(360〜740nmの平均反射率13.7%)となっており、粉砕粉単体(図4のR32)の反射率よりも大きく下回っている。
これより、ベース基板としてアルミニウム基板を用いた場合、AlNの球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、AlNの非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360nm付近においてアルミニウム基板よりも高い反射率が得られるとともに、360〜740nmの範囲において波長依存の少ない一定の反射率を得るのに適している。
[実施例及び比較例B:図6(a)〜(c)]
次に、反射基板を構成するベース基板として、チタニウム基板を用いた例を、図6(a)〜(c)を用いて詳細に説明する。
[実施例反射基板B11、B21、B31、比較用反射基板B12、B22、B32]
ベース基板をチタニウム基板とし、実施例及び比較例Aと同様に、ZrO2、Al23、AlNの造粒粉を用いて膜厚が約100μmの反射層をチタニウム基板上にそれぞれ形成し、実施例反射基板B11、B21、B31をそれぞれ得た。
ベース基板をチタニウム基板とし、実施例及び比較例Aと同様に、ZrO2、Al23、AlNの粉砕粉を用いて膜厚が約10〜20μmの反射層をチタニウム基板上にそれぞれ形成し、比較用反射基板B12、B22、B32をそれぞれ得た。
ベース基板として用いたチタニウム基板S2、並びに、実施例反射基板B11、B21、B31及び比較用反射基板B12、B22、B32について、波長と反射率の関係を図6(a)〜(c)に示す。図6(a)は実施例反射基板B11(■)、比較用反射基板B12(□)及びチタニウム基板S2(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図であり、図6(b)は実施例反射基板B21(▲)、比較用反射基板B22(△)及びチタニウム基板S2(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図であり、図6(c)は実施例反射基板B31(●)、比較用反射基板B32(○)及びチタニウム基板S2(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図である。図6(a)〜(c)において、チタニウム基板の反射率のデータ線を符号S2で示し、各反射基板のデータ線の符号は説明をわかりやすくするために、反射率の測定対象物(実施例反射基板B11、B21、B31、比較用反射基板B12、B22、B32)の符号と同一としている。
図6(a)に示すように、実施例反射基板B11は、360〜740nmにおいて平均反射率が94.9%とチタニウム基板S2の反射率(平均反射率55.7%)より高い反射率を有しており、360〜400nmの範囲においても平均反射率が93.2%と高い反射率を有している。また、実施例反射基板B11は、360〜740nmの範囲において、反射率の最大と最小の差が約3.4%であり一定した反射率を有している。一方、比較用反射基板B12は、平均反射率が55.7%であり、実施例反射基板B11と比較すると10%以上低い反射率となっており、粉砕粉単体(図4のR12)の反射率よりも低下している。
これより、ベース基板としてチタニウム基板を用いた場合、ZrO2の球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、ZrO2の非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360〜400nmにおいてチタニウム基板よりも高い反射率が得られるとともに、360〜740nmの範囲において波長依存の少ない一定の反射率を得るのに適している。特に、前記ZrO2の造粒粉を用いた反射基板は、これを近紫外LED素子用のLED基板として用いた場合、360〜740nmの範囲において高い反射率を有するため、近紫外光による蛍光量が増えて光の取り出し効率を高めることができる。
図6(b)に示すように、実施例反射基板B21は、360〜680nmにおいてチタニウム基板S2の反射率より高い反射率を有しており、680nmを超えて740nm以下での範囲においても、平均反射率56.8%を有している。一方、比較用反射基板B22は、最大の反射率が26.1%であり、上述の範囲において実施例反射基板B21と比較すると35%以上低い反射率(360〜740nmの平均反射率20.5%)となっており、粉砕粉単体(図4のR22)の反射率よりも低下している。
これより、ベース基板としてチタニウム基板を用いた場合、Al23の球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、Al23の非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360〜680nmの範囲において高い反射率を得るのに適している。
図6(c)に示すように、実施例反射基板B31は、360〜740nmの範囲において、チタニウム基板S2よりも反射率が高く、平均反射率が75.9%、反射率の最大と最小の差が約5.1%と、比較的高い反射率を有しつつ、一定した反射率を有している。一方、比較用反射基板B32は、最大の反射率が17.0%であり、実施例反射基板B31と比較すると50%以上低い反射率(360〜740nmの平均反射率14.0%)となっており、粉砕粉単体(図4のR32)の反射率よりも大きく下回っている。
これより、ベース基板としてチタニウム基板を用いた場合、AlNの球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、AlNの非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360〜740nmの範囲においてチタニウム基板よりも高い反射率が得られるとともに、360〜740nmの範囲において波長依存の少ない一定の反射率を得るのに適している。
[実施例及び比較例C:図7(a)〜(c)]
次に、反射基板を形成するベース基板として、SUS基板を用いた例を、図7(a)〜(c)を用いて詳細に説明する。
[実施例反射基板C11、C21、C31、比較用反射基板C12、C22、C32]
ベース基板をSUS基板とし、実施例及び比較例Aと同様に、ZrO2、Al23、AlNの造粒粉を用いて膜厚が約100μmの反射層をSUS基板上にそれぞれ形成し、実施例反射基板C11、C21、C31をそれぞれ得た。
ベース基板をSUS基板とし、実施例及び比較例Aと同様に、ZrO2、Al23、AlNの粉砕粉を用いて膜厚が約10〜20μmの反射層をSUS基板上にそれぞれ形成し、比較用反射基板C12、C22、C32をそれぞれ得た。
ベース基板として用いたSUS基板、並びに、実施例反射基板C11、C21、C31及び比較用反射基板C12、C22、C32について、波長と反射率の関係を図7(a)〜(c)に示す。図7(a)は実施例反射基板C11(■)、比較用反射基板C12(□)及びSUS基板S3(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図であり、図7(b)は実施例反射基板C21(▲)、比較用反射基板C22(△)及びSUS基板S3(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図であり、図7(c)は実施例反射基板C31(●)、比較用反射基板C32(○)及びSUS基板S3(破線)の360〜740nmの範囲の反射率を示した図である。図7(a)〜(c)において、SUS基板の反射率のデータ線を符号S3で示し、各反射基板のデータ線の符号は説明をわかりやすくするために、反射率の測定対象物(実施例反射基板C11、C21、C31、比較用反射基板C12、C22、C32)の符号と同一としている。
図7(a)に示すように、実施例反射基板C11は、360〜740nmにおいて平均反射率が92.2%とSUS基板S3の反射率(平均反射率48.7%)より高い反射率を有しており、360〜400nmの範囲においても平均反射率が92.9%と高い反射率を有している。また、実施例反射基板C11は、360〜740nmの範囲において、反射率の最大と最小の差が約3.3%であり一定した反射率を有している。一方、比較用反射基板C12は、平均反射率が47.6%であり、実施例反射基板C11と比較すると30%以上低い反射率となっており、粉砕粉単体(図4のR12)の反射率よりも低下している。
これより、ベース基板としてSUS基板を用いた場合、ZrO2の球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、ZrO2の非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360〜400nmにおいてSUS基板よりも高い反射率が得られるとともに、360〜740nmの範囲において波長依存の少ない一定の反射率を得るのに適している。特に、前記ZrO2の造粒粉を用いた反射基板は、これを近紫外LED素子用のLED基板として用いた場合、360〜740nmの範囲において高い反射率を有するため、近紫外光による蛍光量が増えて光の取り出し効率を高めることができる。
図7(b)に示すように、実施例反射基板C21は、360〜580nmにおいてSUS基板S3の反射率より高い反射率(平均反射率65.1%)を有している。一方、比較用反射基板C22は、上述の範囲において平均反射率が18.5%であり、実施例反射基板C21と比較すると30%以上低い反射率となっており、粉砕粉単体(図4のR22)の反射率よりも低下している。
これより、ベース基板としてSUS基板を用いた場合、Al23の球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、Al23の非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360〜580nmの範囲において高い反射率を得るのに適している。
図7(c)に示すように、実施例反射基板C31は、360〜460nmの範囲において、SUS基板S3よりも反射率が高く、平均反射率が44.5%である。また、実施例反射基板C31は、360〜740nmの範囲で反射率の最大と最小の差が約2.0%と、一定した反射率を有している。一方、比較用反射基板C32は、最大の反射率が15.9%であり、実施例反射基板C31と比較すると20%以上低い反射率(360〜460nmの平均反射率14.5%、360〜740nmの平均反射率14.8%)となっており、粉砕粉単体(図4のR32)の反射率よりも大きく下回っている。
これより、ベース基板としてSUS基板を用いた場合、AlNの球状の粒子である造粒粉を用いた反射基板は、AlNの非球状の粉砕粉を用いた反射基板と比較して高い反射率を有しており、360〜460nmの範囲においてSUS基板よりも高い反射率が得られるとともに、360〜740nmの範囲において波長依存の少ない一定の反射率を得るのに適している。
上記実施例で、近紫外領域において反射率の大きな改善が見られた理由は、球状の無機粒子を用いることで、内部に空隙を多く含む、密度の低い反射層をベース基板上に形成できたためであると推測される。
以上説明したとおり、球状の無機粒子を用いて、粉末噴射コーティング法により、ベース基板上に反射層を形成することにより、焼成などの高温熱処理工程を行うことなく、非球状の無機粒子と比較して高い反射率を得ることができる。これにより、熱処理工程に対して脆弱なベース基板や配線金属などを用いることができる。
特に、波長360nm以上400nm以下の範囲のうち少なくとも一部の範囲において、球状の無機粒子の反射率がベース基板の反射率よりも高い反射率を有するようにしておくことにより、近紫外LEDなどの近紫外領域光を利用するデバイスにおいては、反射効率を上げることができる。
1…成膜装置、10…粉末タンク、20…成膜室、30…真空ポンプ、40…ガス導入部、50…粉末ガス導入部、60…排気管、70…原料粉末、80…噴射ノズル、90…可動ステージ、100…対象基板、110…混合部、120…ガスボンベ

Claims (5)

  1. 球状の無機粒子を用いて、粉末噴射コーティング法により、ベース基板上の少なくとも一部の領域に反射層を形成する工程を有し、
    前記球状の無機粒子の70%以上(個数基準)が、粒子径が20〜60μmの範囲にある粒子である
    反射基板の製造方法。
  2. 前記球状の無機粒子が、スプレードライ法により得られた球状の造粒粉末である請求項1記載の反射基板の製造方法。
  3. 前記球状の無機粒子が、ZrO2、SiO2、Al23及びAlNから選択される少なくとも1種を含む粒子である請求項1又は2に記載の反射基板の製造方法。
  4. 前記ベース基板における反射層形成領域の材質が、アルミニウム、チタニウム又はステンレス鋼である請求項1〜のいずれか1項に記載の反射基板の製造方法。
  5. 前記反射層の膜厚が、1μm以上の範囲にある請求項1〜のいずれか1項に記載の反射基板の製造方法。
JP2016043325A 2015-03-10 2016-03-07 反射基板の製造方法及び反射基板 Expired - Fee Related JP6726486B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015047029 2015-03-10
JP2015047029 2015-03-10

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016170410A JP2016170410A (ja) 2016-09-23
JP6726486B2 true JP6726486B2 (ja) 2020-07-22

Family

ID=56982410

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016043325A Expired - Fee Related JP6726486B2 (ja) 2015-03-10 2016-03-07 反射基板の製造方法及び反射基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6726486B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11265685A (ja) * 1998-03-18 1999-09-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd 蛍光ランプ
JP3962061B2 (ja) * 2005-01-24 2007-08-22 常元 厨川 目標物に対する膜の形成方法及び装置
KR20070112411A (ko) * 2005-03-29 2007-11-23 쿄세라 코포레이션 반사 부재, 이것을 이용한 발광 장치 및 조명 장치
JP2006330373A (ja) * 2005-05-26 2006-12-07 Iwasaki Electric Co Ltd 反射鏡製造方法及び該反射鏡を用いた光源装置
JP4729583B2 (ja) * 2005-11-21 2011-07-20 日本カーバイド工業株式会社 光反射用材料、発光素子収納用パッケージ、発光装置及び発光素子収納用パッケージの製造方法
JP5034314B2 (ja) * 2006-05-19 2012-09-26 住友大阪セメント株式会社 高屈折率透明粒子の製造方法と高屈折率透明粒子及び高屈折率透明複合体並びに発光素子
JP2013168622A (ja) * 2011-03-28 2013-08-29 Fujifilm Corp 発光素子用反射基板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016170410A (ja) 2016-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5748028B2 (ja) 複合波長変換粉体、複合波長変換粉体含有樹脂組成物及び発光装置
TWI685132B (zh) 發光裝置
TWI518947B (zh) 發光裝置
JP6215360B2 (ja) 発光装置用基板、発光装置および発光装置用基板の製造方法
JP5631745B2 (ja) 透光性セラミックプレートを備える発光装置
CN104428265B (zh) 用于led磷光体的硼酸铋玻璃包封剂
JP4045300B2 (ja) 蛍光体及びその蛍光体を用いた電球色光を発する電球色光発光ダイオードランプ
US9947850B2 (en) Substrate for light emitting devices and light emitting device
EP3428697B1 (en) Light emitting device
CN105716039B (zh) 光转换装置及其制备方法和应用
WO2005124878A1 (ja) 白色発光ダイオード及びその製造方法
JP2015065425A (ja) 発光装置及びその製造方法
JP2016204561A (ja) 蛍光部材、その製造方法および発光装置
TW201545863A (zh) 陶瓷磷光板及包括其之照明裝置
JP6449963B2 (ja) 光波長変換部材及び発光装置
JP2015090887A (ja) 発光素子及び発光装置
CN107894689A (zh) 自增强散热的荧光粉轮及其制备方法
TWI438170B (zh) 氧化鋁陶瓷
WO2018052129A1 (ja) 溶射用材料
JP6726486B2 (ja) 反射基板の製造方法及び反射基板
Behera et al. Study of efficient sustainable phosphor in glass (P–i–G) material for white LED applications fabricated by tape casting and screen-printing techniques
WO2010140411A1 (ja) 発光装置の製造方法及び発光装置
CN112888762A (zh) 表面覆盖荧光体粒子、复合体和发光装置
JP6215357B2 (ja) 発光装置用基板、発光装置、および、発光装置用基板の製造方法
EP4039770A1 (en) Wavelength conversion member

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181031

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191016

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200629

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6726486

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees