JP6726344B1 - クレンジング料 - Google Patents
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Abstract
Description
皮膚の皮脂汚れや油性のメイクアップ化粧料を落とす目的で、界面活性剤を配合し、界面活性剤の作用でメイク汚れを落とす水性クレンジング料(ウォータータイプのクレンジング料)や、油性成分の溶解作用でメイク汚れを落とす油性クレンジング料(オイルタイプのクレンジング料)の両方が上市されている。
一方、水性クレンジング料はすすぎ流しに優れる反面、ウォータープルーフタイプ等の耐久性(化粧持ち効果)に優れたメイクアップ化粧料に対するクレンジング力に劣ることが指摘されている。
このような問題を解決するため、油と水を共存しながら透明液状であるクレンジング料が提案されている。これらのクレンジング料は、油を含むため、メイクに対するクレンジング性能に優れ、一方で水も含むため、洗い流し性に優れ、良好なクレンジング性能と洗い流し性能を両立することができる。水と油を配合した透明クレンジング料に関する技術は大きく4つに大別できる。すなわちa)油が多く、水が少ないタイプ、b)油が少なく、水が多いタイプ、c)油と水両方が多いタイプ、d)油と水両方が少なく、界面活性剤またはポリオールが多いタイプ、である。
a)油が多く、水が少ないタイプ(特許文献1、特許文献2参照)のクレンジング料は、水が15質量%以下で油が占める割合が高いため、性能としては油性クレンジング料に近い特徴を持ち、メイクに対するクレンジング性能が高い反面、洗い流し易さに問題があることが指摘されている。
また、多種多様なタイプのメイクアップ化粧料が上市される中、消費者のその選択も多岐に渡り、1つのクレンジング料では満足な化粧落としができなくなってきた。
本願発明は、このような現状に鑑みて、水と油を含有する透明で安定なクレンジング料であって、広い温度領域で透明かつ安定であり、しかも油性や水性の多種類の異なるタイプのメイクアップ化粧料(例えば、リップカラー、ウォータープルーフタイプマスカラ、フィルムタイプマスカラ)に対して洗浄力が高く、洗浄後の油成分の残留感を少なくした、水で洗い流ししやすいクレンジング料を提供することを課題とする。
(1)次の(A)〜(E)成分を含有する透明クレンジング料。
(A)炭素数14〜22の分岐脂肪酸および/又は不飽和脂肪酸と、ポリグリセリンとのジエステル
(B)1分子あたりの、ポリグリセリン重合度と脂肪酸の結合残基数の比(ポリグリセリン重合度/脂肪酸の結合残基数)が2.5〜3.5である炭素数6〜10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンのエステル
(C)油剤
(D)グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン−3、ポリグリセリン−4、ポリグリセリン−5、ポリグリセリン−6およびポリグリセリン−10から選ばれる1以上
(E)クレンジング料全量あたり水15〜45質量%
(2)(B)成分が、カプリル酸トリグリセリル、ジカプリル酸ペンタグリセリル、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル、ヘキサカプリン酸エイコサグリセリル、カプリン酸トリグリセリル、ジカプリル酸ヘキサグリセリルおよびジカプリン酸ヘキサグリセリルから選ばれる1以上である(1)に記載の透明クレンジング料。
(3)(A)成分と、(B)成分の含有量の合計が、クレンジング料全量当たり5〜30質量%であり、且つ(A)と(B)の質量比((A)/(B))が4/1〜1/3である(1)または(2)に記載の透明クレンジング料。
(4)(C)成分をクレンジング料全量当たり20〜50質量%含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の透明クレンジング料。
本発明のクレンジング料は、油分を肌に残さずに水ですっきりと洗い落とすことができる。
なお、本願発明でいう、「透明」とは、直径30mmの透明なガラス容器にクレンジング料を充填した、このクレンジング料の層を横から見通して10ポイントの活字を肉眼で判読できる状態をいう。
本願発明のクレンジング料には、(A)成分として炭素数14〜22の分岐脂肪酸および/又は不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルを用いる。
(A)成分である炭素数14〜22の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルとしては、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ジオレイン酸ポリグリセリル−10等が挙げられる。
(A)成分の炭素数14〜22の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルのいずれか、または両方の配合量は、クレンジング料全量当たり1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンは、平均重合度が5〜15が好ましい。
本願発明のクレンジング料には、1分子あたりの、ポリグリセリン重合度/脂肪酸の結合残基数の比が2.5〜3.5である、炭素数6〜10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンとのエステルを(B)成分として配合する。
(B)成分である、1分子あたりの、ポリグリセリン重合度と脂肪酸の結合残基数の比(ポリグリセリン重合度/脂肪酸の結合残基数)が2.5〜3.5である、炭素数6〜10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンとのエステルとしては、カプリル酸トリグリセリル(ポリグリセリン重合度と脂肪酸の結合残基数の比が3.0)、ジカプリル酸ペンタグリセリル(同2.5)、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル(同3.3)、ヘキサカプリン酸エイコサグリセリル(同3.3)、カプリン酸トリグリセリル(同3.0)、ジカプリル酸ヘキサグリセリル(同3.0)、ジカプリン酸ヘキサグリセリル(同3.0)が好ましく、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル又はジカプリン酸ヘキサグリセリルがより好ましい。洗い流し性能を特に重要視する場合は、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリルが最も好ましい。
さらにまた(B)成分の配合量は、クレンジング料全量当たり0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。
本願発明のクレンジング料にあっては、(C)成分として油剤を含有する。
本願発明において配合する(C)成分の油剤としては、以下のようなものが例示できる。
天然動植物油脂類及び半合成油脂、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、脂溶性ビタミン、高級脂肪酸、動植物や合成の精油成分等が挙げられる。天然動植物油脂類及び半合成油脂としては、アボカド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油(オリーブ果実油)、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、トウモロコシ油、菜種油、馬脂、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、メドゥフォーム油、ラノリン等が挙げられる。炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、ワセリン等が挙げられる。エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸セチル、乳酸テトラデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パラメトキシケイ皮酸エステル、テトラロジン酸ペンタエリスリット、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、ジカプリリルエーテル、ジイソノナン酸BG、コハク酸ジエチルヘキシル等が挙げられる。グリセライド油としては、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリテトラデカン酸グリセリル、ジパラメトキシケイ皮酸モノイソオクチル酸グリセリル等が挙げられる。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン等が挙げられる。脂溶性ビタミンとしてはトコフェロール等、精油としてはオレンジ果皮油、ローズマリー葉油等が挙げられる。
これらの例示した中でも、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、ジカプリリルエーテル、ジイソノナン酸BG、コハク酸ジエチルヘキシル、ミネラルオイル、アボカド油、メドゥフォーム油、オリーブ果実油、トコフェロール、オレンジ果皮油、ローズマリー葉油が好ましく、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、ジカプリリルエーテル、ジイソノナン酸BG、コハク酸ジエチルヘキシル、ミネラルオイルが特に好ましい。(C)成分の油剤は、単独で配合してもよいが、2以上を組み合わせて含有させることができる。本願発明のクレンジング料は、(C)成分をクレンジング料全量当たり、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜50質量%含有する。
本願発明のクレンジング料には、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン−3、ポリグリセリン−4、ポリグリセリン−5、ポリグリセリン−6およびポリグリセリン−10から選ばれる1以上を配合する。これらの成分は、クレンジング料に含有される油剤の溶剤として作用して、クレンジング料の透明性と安定性に貢献する。
本願発明のクレンジング料は、(D)成分をクレンジング料全量当たり5〜40質量%、好ましくは7〜35質量%、さらに好ましくは7〜30質量%含有する。この範囲を外れると、透明で安定なクレンジング料が得られなくなる恐れが高まる。
本願発明のクレンジング料には、洗浄効果と洗い流しの効果を得るために(E)成分として水を15〜45質量%含有する。水の含有量が15質量%未満の場合はフィルムタイプのメイクアップ化粧料(例えばフィルムタイプマスカラ)が落としにくくなる恐れがある。水の含有量が45質量%を超えると、ウォータープルーフタイプのメイクアップ化粧料(例えばウォータープルーフタイプアイライナー)等の耐久性(化粧持ち効果)に優れたメイクアップ化粧料に対するクレンジング力が低下する恐れが高まる。本発明においては、(E)成分を15〜45質量%の範囲にすることで、本発明のクレンジング料がタイプの異なるメイクアップ化粧料(例えばリップライナー、ウォータープルーフタイプアイライナー、フィルムタイプマスカラ)のいずれも落とすことが出来るようになる。本発明において、(E)成分の配合量は、より好ましくはクレンジング料全量に対し20〜40質量%、さらに好ましくは20〜35質量%である。
また、本願発明の透明クレンジング料には、化粧料に常用される各種原料を本願発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。例えば、ブチレングリコール(BG)やジプロピレングリコール(DPG)などの多価アルコール、防腐剤、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、香料、着色剤(例えばシアノコバラミン、(クロロフィリン/銅)複合体)、美容成分(例えばローズマリーエキス)等を配合することができる。
1.効果試験法
次の手法により、実施例および比較例の各クレンジング料を評価した。
<経時安定性確認(外観観察)方法>
調製したクレンジング料を直径30mmのスクリューキャップ付透明ガラス瓶に充填し、室温(RT、25℃)で、この容器を横から見通して10ポイントの活字を読み取れることで、透明性を評価した。また、透明なものについては、均一性を目視にて評価した。本試験においては、透明・不均一なものはなかった。したがって、表中には、下記文言で記載した。
透明:透明・均一状態
白濁:白濁し、不透明である状態 (前記「透明」の判定基準に入らないものは、白濁とした)
分離:二相以上に分離した状態
なお、調製直後の状態が分離していたサンプルについては、安定性試験を実施せず、表では「−」と記載した。各温度で一ヵ月保管した後の外観を、各保管温度で観察した。表中の文言は下記の状態である。
○ :透明・均一状態
白濁:白濁し、不透明である状態(前記「透明」の判定基準に入らないものは、白濁とした)
分離:二相以上に分離した状態
モヤ:透明であるが、モヤが認められ、均一ではない状態
なお、本試験においては、「モヤ」が認められたサンプルはなかった。
試験に用いたクレンジング料を0.1%になるように水で希釈し、O/W型乳化組成物を調製し、この組成物中の乳化粒子径をELSZ−1000(大塚電子株式会社製)を用いて動的光散乱法により粒度分布を測定し、体積基準平均径の測定を行った。この乳化粒子径(体積基準平均径)を洗い流し性の評価として採用した。
なお、乳化粒子径と洗い流し効果の関係については、特許第6234533号に次のことが記載されている。
(1)乳化粒子径が大きいと肌に油性感が残る。
(2)水を添加した時に形成される乳化粒子径が300nm以下であれば、素早くすっきりと洗い流すことが出来る。
本試験では、100nm以下のサイズの乳化粒子径を測定できる装置を導入して、下記(3)を追加した。
(3)乳化粒子径が100nm以下であればさらに素早くすっきりと洗い流すことが出来る。
本試験では、洗い流し性能を見るのに、前記(1)〜(3)のとおり乳化粒子径のサイズで評価できると考え、乳化粒子径(体積基準平均径)を試験して求め、これを評価した。表には、乳化粒子径(体積基準平均径)の数値をそのまま記載した。なお表中、「−」とあるのは、調製直後に分離又は白濁が生じた、或いはサンプル量の不足のため、測定を実施していないものである。
すなわち、「水と混和した際のクレンジング力」を、油性メイクアップ化粧料の代表であるリップカラーで評価し、「水と混和しない状態でのクレンジング力」を、ウォータープルーフタイプのメイクアップ化粧料の代表であるウォータープルーフタイプアイライナーと、フィルムタイプのメイクアップ化粧料の代表であるフィルムタイプマスカラで評価した。
<水と混和した際のクレンジング力評価方法>
(1)3cm×6cmの白色人工皮革の2cm×2cm枠内に、リップカラー(ファンケル モイスチャールージュP#84ビロードレッド)0.004gを塗布し30分乾燥させた。これを試験検体とした。
(2)作成した試験検体の色彩値(Lab1)を色彩色差計(装置名:CM−2600d、コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。
(3)実施例、または比較例で調製したクレンジング料の質量100%に対して、所定量(40%、60%、80%、100%)の水を添加して試験サンプルを作製した。
(4)上記(1)で作製した試験検体に、(3)で作製した試験サンプル0.1mlを滴下し、指で1秒間に1回の速度で20回擦った。
(5)試験検体を水で十分に洗い流し、乾燥させた。
(6)乾燥後の試験検体の色彩値(Lab2)を、色彩色差計を用いて測定した。
(7)以下の計算式によりメイク洗浄率を算出した。
メイク洗浄率(%)=100×[(L1−L2)2+(a1−a2)2+(b1−b2)2]1/2/[(L1−L0)2+(a1−a0)2+(b1−b0)2]1/2
ただし、Lab0は、リップカラー塗布前の白色人工皮革の色彩値
(1)3cm×6cmの白色人工皮革の直径1cm枠内に、メイク品0.005gを塗布し30分乾燥させた。これを試験検体とした。
ウォータープルーフタイプアイライナーとして、メイベリンニューヨーク マスターライナー クリーミィペンシルBK−1を用いた。
フィルムタイプマスカラとして、アテニア パーフェクトマスカラr 21を用いた。
(2)作製した試験検体の色彩値(Lab1)を色彩色差計(装置名:CM−2600d、コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。
(3)上記(1)で作製した試験検体に、試験サンプル0.1mlを滴下し、指で1秒間に1回の速度で20回擦った。
(4)試験検体を水で十分に洗い流し、乾燥させた。
(5)乾燥後の試験検体の色彩値(Lab2)を、色彩色差計を用いて測定した。
(6)以下の計算式によりメイク洗浄率を算出した。
メイク洗浄率(%)=100×[(L1−L2)2+(a1−a2)2+(b1−b2)2]1/2/[(L1−L0)2+(a1−a0)2+(b1−b0)2]1/2
ただし、Lab0は、メイク品塗布前の白色人工皮革の色彩値
(A)成分:ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10
(B)成分:ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20
(C)成分:エチルヘキサン酸セチル
(C)成分:トリエチルヘキサノイン
(D)成分:グリセリン
(E)成分:水35質量%
上記(A)〜(E)成分を配合した実施例1、(D)成分を配合せず(E)成分の水の配合量を変えた比較例1〜5の組成(下記表1)のクレンジング料を調製した。調製方法は、各配合成分を混合し、加温しながら撹拌することで透明なクレンジング料を得た。
この実施例1、比較例1〜5を用いて、調製直後の透明性・均一性、洗い流し性能(体積基準平均径)、保存による変化を試験した。(D)成分配合による効果の評価結果を表1の下段に示した。
なお以下に示す配合表の配合量は、全て組成物あたりの質量%で表示している。
一方、比較例1〜5は(D)成分を配合していない。また、油/水比を変えて検討したが、比較例1〜4は調製直後の観察で透明なものはなく、1ヶ月保管(5℃〜50℃の温度領域)後も透明で安定なクレンジング料はなかった。比較例5は、調製直後透明であったが、1ヶ月保管(5℃〜50℃の温度領域)後、透明で安定ではなかった。
以上の実施例1と比較例1〜5の試験より、透明性と温度安定性に(D)成分の配合が重要であることが分かった。
(A)成分:ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10
(B)成分:ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20
(C)成分:エチルヘキサン酸セチル
(C)成分:トリエチルヘキサノイン
(C)成分:(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル
(C)成分:ジカプリリルエーテル
(D)成分:グリセリン
(D)成分:ポリグリセリン−5
(E)成分:水25質量%、40質量%
上記(A)〜(E)成分を配合した実施例2、実施例3(表2の組成)のクレンジング料を調製した。同様にして、(D)成分を配合せず(E)成分の水の配合量を変えた比較例6〜15の組成(表2の組成)のクレンジング料を調製した。この実施例2、3、比較例6〜15を用いて、実施例1と同様に調製直後の透明性・均一性、洗い流し性能(体積基準平均径)、保存による変化を試験した。(D)成分配合による効果の評価結果を表2の下段に示した。
一方、比較例6〜13に示すとおり、BG又はDPGでは、透明で安定性の高いクレンジング料が調製困難であった。また、比較例14、15の組成は、ソルビトールあるいは、保湿剤として汎用されるメチルグルセス−10を用いた組成であるが、長期間透明で保存安定性の高いクレンジング料を調製できなかった。
以上の試験から、グリセリンおよびポリグリセリン−5は、クレンジング料の透明性と安定性に高い効果を有していることが分かった。
(A)成分:ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10
(B)成分:ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20
(C)成分:エチルヘキサン酸セチル
(C)成分:トリエチルヘキサノイン
(D)成分:グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン−3、ポリグリセリン−4、ポリグリセリン−5、ポリグリセリン−6およびポリグリセリン−10から選ばれる1以上
(E)成分:水20質量%、30質量%、35質量%、40質量%
上記(A)〜(E)成分を配合した実施例4〜16の組成(下記表3)のクレンジング料を調製した。
実施例4〜16のクレンジング料について同様に配合効果確認の試験を行った。評価結果を下記表3の下段に示した。
(A)成分:ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10
(B)成分:ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20
(C)成分:エチルヘキサン酸セチル
(C)成分:トリエチルヘキサノイン
(C)成分:(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル
(C)成分:ジカプリリルエーテル
(D)成分:グリセリン
(E)成分:水35質量%
上記(A)〜(E)成分を配合した実施例17(表4の組成)のクレンジング料を調製した。同様にして、(A)成分および(B)成分のいずれか一方を配合するか、その他のノニオン界面活性剤と組み合わせ、(D)成分と(E)成分の配合量を変化させた例として比較例16〜25の組成(表4の組成)を調製し、同様に評価した。
一方、比較例16、17は、(A)成分または(B)成分のいずれか一方のみを単独で配合使用した組成である。比較例16、17は調製直後に分離した。
また、比較例18〜21は、一般的なクレンジング料に用いられるトリイソステアリン酸PEG−20グリセリル、イソステアリン酸PEG−8グリセリルと、本発明に用いる(A)成分、(B)成分のいずれか一方を組み合わせて配合した組成である。比較例19〜21は調製直後に分離し、比較例18は、温度安定な透明クレンジング料が調製できなかった。
さらにまた、比較例22〜25は、一般的なクレンジング料に用いられるトリイソステアリン酸PEG−20グリセリル、イソステアリン酸PEG−8グリセリルの単独使用またはこれらの組み合わせによる組成である。比較例23〜25は調製直後に分離した。比較例22は、温度安定な透明クレンジング料とはならなかった。
以上の実施例と比較例の検討結果から、透明で温度安定なクレンジング料を調製するためには、界面活性剤である(A)成分と(B)成分の両方を組み合わせて用いることが必要であることがわかった。
(A)成分:ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10
(A)成分:ジオレイン酸ポリグリセリル−10
(B)成分:ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20
(B)成分:ジカプリン酸ポリグリセリル−6
(C)成分:エチルヘキサン酸セチル
(C)成分:トリエチルヘキサノイン
(C)成分:(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル
(C)成分:ジカプリリルエーテル
(D)成分:グリセリン
(E)成分:水35質量%
上記(A)〜(E)成分を配合した実施例18、19(表5の組成)のクレンジング料を調製した。
(A)成分として、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、およびジオレイン酸ポリグリセリル−10を選択し、(B)成分としてヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20、ジカプリン酸ポリグリセリル−6を選択した。また(A)成分の比較例としてイソステアリン酸ポリグリセリル−10、(B)成分の比較例としてオクタイソノナン酸ポリグリセリル−20、ペンタ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル−20、トリラウリン酸ポリグリセリル−10、ラウリン酸ポリグリセリル−4を選定した。
表5に実施例と比較例の組成および、ポリグリセリンエステルの炭素鎖長数と結合脂肪酸の分岐の有無、ポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)を記載した。また表5には、説明のため表4に示した実施例17も合わせて載せている。
実施例17、18の評価結果から明らかなように、(A)成分としてジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ジオレイン酸ポリグリセリル−10のどちらを用いても透明で温度安定なクレンジング料を調製できた。
一方、比較例26に示すように(A)成分を含まず、イソステアリン酸ポリグリセリル−10を配合した組成では、調製直後に分離した。
(A)成分としては炭素数C18を有する分岐鎖または不飽和脂肪酸とのジエステルであるデカグリセリンが望ましいことがわかった。すなわち(A)成分としては炭素数C14〜22の分岐鎖および/または不飽和脂肪酸と、ポリグリセリンとのジエステルが好ましいと判断した。
実施例19の評価結果に示すように、(B)成分としてジカプリン酸ポリグリセリル−6を用いると透明で安定なクレンジング料が調製できた。
一方、比較例27〜34の評価結果に示すとおり、(B)成分に代えてその他のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた場合、比較例27、28、32は温度安定な透明クレンジング料が調製できず、比較例29〜31、33、34は調整直後に分離した。
(B)成分として、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化度はポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.5〜3.5であり、脂肪酸の炭素数がC8〜C10であり、かつ脂肪酸が直鎖であることが、より好ましい結果であった。すなわち(B)成分として、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化度はポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.5〜3.5であり、脂肪酸の炭素数がC6〜C10であって、かつ脂肪酸が直鎖脂肪酸であることが、より好ましいと判断した。
(A)成分:ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10
(B)成分:ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20
(C)成分:エチルヘキサン酸セチル
(C)成分:トリエチルヘキサノイン
(D)成分:グリセリン
(E)成分:水30質量%
上記(A)〜(E)成分を配合した実施例20、21(表6の組成)のクレンジング料を調製した。前述の試験例では(A)成分と(B)成分の合計含有量を16質量%として試験を行ったが、本試験では、(A)成分と(B)成分の合計含有量を12.5質量%とし、同様にして評価を行った。
(A)成分:ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10
(B)成分:ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20
(C)成分:エチルヘキサン酸セチル
(C)成分:イソノナン酸イソトリデシル
(C)成分:パルミチン酸エチルヘキシル
(C)成分:トリエチルヘキサノイン
(D)成分:グリセリン
(E)成分:水30質量%
上記(A)〜(E)成分を配合した実施例22〜26(表7の組成)のクレンジング料を調製した。
(C)成分としてエチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノインを配合した実施例22〜26の組成のクレンジング料を、同様にして評価を行った。結果を表7に示す。
(A)成分:ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10
(B)成分:ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20
(C)成分:エチルヘキサン酸セチル
(C)成分:トリエチルヘキサノイン
(C)成分:(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル
(C)成分:ジカプリリルエーテル
(C)成分:ジイソノナン酸BG
(C)成分:コハク酸ジエチルヘキシル
(C)成分:ミネラルオイル
(D)成分:グリセリン
(E)成分:水20質量%、35質量%
上記(A)〜(E)成分を配合した実施例27〜32(表8の組成)のクレンジング料を調製した。
(C)成分として配合するエチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、ジカプリリルエーテル、ジイソノナン酸BG、コハク酸ジエチルヘキシル、ミネラルオイルを組み合わせて配合した実施例27〜32を、同様にして評価を行った。
組成および評価結果を下記の表8に示す。
前述した実施例14、実施例22の透明なクレンジング料を用いて、使用実態に即した場面でのクレンジング力を試験した。使用実態とは、一つには風呂場等で使用して水が混入することを想定した、という意味である。試験方法は、前記に説明した手法の、<水と混和した際のクレンジング力評価方法(洗浄対象;リップカラー)>に従って評価した。
また、別の使用実態として、アイライナーやマスカラは室内で化粧落としをする化粧行動が少なくないことから、室内での使用(水が混入しない使用場面)を想定して、前述の<クレンジング力評価方法(洗浄対象;ウォータープルーフアイライナー、フィルムタイプマスカラ)>に従って試験し評価した。また比較例35〜37の組成のクレンジング料を調製して同様に試験し評価した。
比較例35は本発明のB成分とD成分とE成分を欠く組成((A)+(C)が一致)であり、比較例36は本発明のB成分とE成分を欠く組成((A)+(C)+(D)が一致)であり、比較例37は本発明の(A)成分と(B)成分と(D)成分と(E)成分を欠く組成((C)が一致)である。比較例35〜37は任意成分を加えて透明クレンジング料としている。比較例35〜37に配合されているオクタイソノナン酸ポリグリセリル−20、テトラオレイン酸ソルベス−30、ポリソルベート80、オレイン酸ソルビタンは界面活性剤である。比較例35〜37の組成は、従来の油性クレンジング料として代表的な組成である。
下記表9に実施例14、22、比較例35〜37の組成を示す。なお比較例35〜37は、(E)成分の水を全く含まないか、実質的に(E)成分の水を含有しない組成(水1質量%以下)であり、ウォータープルーフアイライナーに対して強い洗浄力を有することが確認できた組成である。また実施例14は前記表3に、実施例22は前記表7に載せたものと同一である。
実施例22、比較例35、比較例37の各クレンジング料100質量%に対して、水を40〜100質量%添加したときの洗浄率(%)を図1に示す。なお、実施例14、比較例36は試験していない。
実施例22は(C)成分の油剤量、界面活性剤量((A)成分と(B)成分の合計量)が、比較例35、37の組成における(C)成分の油剤量、界面活性剤量と比べて少ないにも関わらず、水が混入しても比較例35と同等のクレンジング性能を有していた。また、比較例37は水の混入によって顕著なクレンジング性能の低下が観察された。
(1)ウォータープルーフタイプアイライナーに対するクレンジング力評価
実施例14、実施例22、比較例35〜37の組成のクレンジング料の、ウォータープルーフタイプアイライナーに対する評価結果を図2に示す。
図2に示す通り、油性メイクのウォータープルーフタイプアイライナーに対して、実施例14および実施例22のクレンジング料は、(C)成分の油剤量、界面活性剤量((A)成分と(B)成分の合計量)が、比較例35、36、37の(C)成分の油剤量、界面活性剤量と比べて少ないにも関わらず強い洗浄効果を示した。この洗浄効果は、油性クレンジング料である比較例35〜37と同等か又はそれ以上のクレンジング性能を有していた。
実施例14、実施例22、比較例35〜37の組成のクレンジング料の、フィルムタイプマスカラに対するクレンジング力の評価結果を図3に示す。
本発明の実施例14、実施例22は、フィルムを形成するフィルムタイプマスカラに対して、強いクレンジング効果を示した。一方、従来の油性クレンジング料である比較例35〜37は、フィルムタイプマスカラに対して、洗浄力が極めて弱かった。実施例14は水を35質量%、実施例22は水を30質量%含有しており、本発明の構成((A)+(B)+(C)+(D)+(E))とすることにより、フィルムタイプマスカラに対して強い洗浄力を発揮したものと考えられる。
実施例14、実施例22、比較例35、比較例36、比較例37のクレンジング料の0.1質量%水溶液の乳化粒子の体積基準平均径測定結果を下記表10に示す。体積基準平均径測定値が11438nmと非常に大きかった比較例37を除いた実施例14、22、比較例35、36について、体積基準平均径測定値をグラフ化して図4に示した。
前述した実施例1〜32の乳化粒子径(体積基準平均径)はおおむね100nm以下であり、最大でも140.9nm(実施例23)であることから、本発明の構成をとるクレンジング料は、洗い流し性が一般的な油性タイプのクレンジング料よりも優れていると判断できる。
また一般的な油性クレンジング料では落としにくい場合があると位置づけられるウォータープルーフタイプ化粧料(例えばウォータープルーフタイプのアイライナー)に対して、従来のクレンジングオイルと同等以上のクレンジング性能を有していた(図2)。さらに、従来のクレンジングオイルでは落とすことが困難とされていたフィルムタイプマスカラに対して、本発明のクレンジング料は高いクレンジング性能を有していることが明らかとなった(図3)。
また本発明の構成をとるクレンジング料は、体積基準平均径の測定結果から、クレンジング後の洗い流しが容易であることが明らかである(表10、図4)。
本発明の構成をとる透明クレンジング料は、水があらかじめ安定に配合されていることから、消費者がどのようなタイプのメイクアップ化粧料を選択して使用していても、また消費者がどのような使用場面(水の混入の恐れの高い風呂場/水の混入する恐れのない室内)でクレンジング行為(化粧落とし)を行っても、常に安定して優れたクレンジング効果を得ることが出来た。
従来技術では、例えば落としにくいアイメイクに対しては、それを落とす専用のクレンジング料で化粧を落とし、顔全体は別のクレンジング料で化粧落としをするなど煩雑な化粧行動をとらざるをえなかった。つまり消費者は、嗜好したメイクアップ化粧料のタイプに合わせて複数のクレンジング料を揃えて所有することは当たり前であった。しかしながら、本発明の構成をとるクレンジング料であれば、1つのクレンジング料で、タイプの異なるメイクアップ化粧料を落とすことが出来る。この効果は従来技術のクレンジング料では考えられてこなかったものであり、それを達成した本願発明は画期的である。
次に、任意成分(着色効果のあるシアノコバラミンや(クロロフィリン/銅)複合体、BG、その他の界面活性剤、保湿成分であるローズマリーエキス)、製品の香りづけにもなる(C)成分(オレンジ果皮油、ローズマリー葉油)を配合した実施例33〜36を示す。単位は質量%である。常法により調製した。
Claims (4)
- 次の(A)〜(E)成分を含有する、油性タイプの化粧料、ウォータープルーフタイプの化粧料およびフィルムタイプの化粧料をクレンジングするための透明クレンジング料。
(A)炭素数14〜22の分岐脂肪酸および/又は不飽和脂肪酸と、ポリグリセリンとのジエステル
(B)1分子あたりの、ポリグリセリン重合度と脂肪酸の結合残基数の比(ポリグリセリン重合度/脂肪酸の結合残基数)が2.5〜3.5である炭素数6〜10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンのエステル
(C)油剤
(D)グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン−3、ポリグリセリン−4、ポリグリセリン−5、ポリグリセリン−6およびポリグリセリン−10から選ばれる1以上
(E)クレンジング料全量あたり水20〜45質量% - (B)成分が、カプリル酸トリグリセリル、ジカプリル酸ペンタグリセリル、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル、ヘキサカプリン酸エイコサグリセリル、カプリン酸トリグリセリル、ジカプリル酸ヘキサグリセリルおよびジカプリン酸ヘキサグリセリルから選ばれる1以上である請求項1に記載の透明クレンジング料。
- (A)成分と、(B)成分の含有量の合計が、クレンジング料全量当たり5〜30質量%であり、且つ(A)と(B)の質量比((A)/(B))が4/1〜1/3である請求項1または2に記載の透明クレンジング料。
- (C)成分をクレンジング料全量当たり20〜50質量%を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の透明クレンジング料。
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