(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1の全体構成を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る画像形成システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置100と、中間搬送装置200と、用紙処理装置300と、平綴じ処理装置400とで構成されている。
以下の説明において、図1に示すように、鉛直方向(上下方向)をZ方向とし、画像形成装置100、中間搬送装置200、用紙処理装置300及び平綴じ処理装置400の並び方向をX方向とし、X−Z平面に直交する方向をY方向とする。また、X方向について前側及び後側を付して説明し、Y方向について右側及び左側を付して説明する。ここで、前側は、画像形成システム1における搬送方向の上流側であり、後側は、その下流側である。
画像形成装置100は、画像データに基づいて用紙に画像を形成する。画像が形成された用紙は画像形成装置100から排出され、中間搬送装置200に送り出される。
画像形成装置100は、例えば電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置100は、感光体と、帯電部と、像露光部と、現像部と、転写部と、定着装置と、排紙部とを主体に構成されている。感光体は、帯電部によりその表面が一様に帯電させられる。像露光部は、画像データに対応して、レーザビームにより感光体の表面を走査露光する。これにより、感光体の表面に潜像が形成される。現像部はトナーにより潜像を反転現像し、感光体の表面にトナー画像が形成される。転写部は、感光体表面のトナー画像を、直接又は中間転写体を介して用紙へ転写する。定着装置は、画像が転写された用紙に対する加熱及び加圧により定着処理を施す。そして、定着処理が施された用紙は排紙部へと送り出され、当該排紙部により機外に排出される。
なお、画像形成装置100は、用紙に画像を形成することなく、中間搬送装置200に対して単に用紙を送り出すこともできる。
中間搬送装置200は、画像形成装置100から送り出された用紙を受け取ると、当該用紙を一時的に待機させたり、用紙に対して筋付け及び断裁を施したりする。各種の処理が施された用紙は、中間搬送装置200から排出され、用紙処理装置300に送り出される。
中間搬送装置200は、例えば、待機部(スタッカー)と、整合部と、筋付け部(クリーサー)と、断裁部(スリッター)とを備えている。待機部は、画像形成装置100から送り出された用紙を下降させるように搬送し、用紙の紙面をY−Z平面にほぼ沿わせた状態で一旦停止させて待機させる。整合部は、待機中の用紙の位置を整合する。筋付け部は、整合された用紙に筋付けを行う。断裁部は、筋付けが施された用紙を搬送しながら当該用紙の余白部分を断裁する。
なお、中間搬送装置200は、画像形成装置100から受け取った用紙に対して、中間搬送装置200による各種の処理の一部又は全部を施すことなく、用紙処理装置300に送り出すこともできる。
用紙処理装置300は、中間搬送装置200(画像形成装置100)から送り出された用紙に各種の処理を施す装置であり、いわゆる後処理装置である。用紙処理装置300は、3つ折り部310を有している。
図3及び図4は、3つ折り部310の構成を模式的に示す説明図である。3つ折り部310は、中間搬送装置200(画像形成装置100)から送り出された用紙を順次重ね合わせた上で、これら複数の用紙(用紙束)を、1回目の折り(第1の折り)で折った後さらに2回目の折り(第2の折り)で折って3つ折りにする3つ折り処理を行う。以下本明細書において、1回目に折られる用紙束の位置を「第1の折り位置」といい、2回目に折られる用紙束の位置を「第2の折り位置」という。これらの折り位置は、用紙サイズ、又はユーザーの設定により予め決定されている。
3つ折り部310は、第1折りローラー311aと、第2折りローラー311bと、第3折りローラー311cと、第1押込部材312aと、第2押込部材313aと、一対の保持ローラー314a,314bとを主体に構成されている。
各折りローラー311a,311b,311cは、例えば外周面が弾性層で被覆されたローラーである。
第1折りローラー311aと第2折りローラー311bとは互いに圧接した状態で配置されており、これにより、両折りローラー311a,311bの圧接部分に第1ニップ(折りニップ)N1が構成されている。第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、用紙束に1回目の折りを行う機能と、1回目の折りが行われた用紙束を一対の保持ローラー314a,314bへ搬送する機能とを担っている。第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、用紙束を折るのに必要な圧力によって相互に圧接されている。
第2折りローラー311bと第3折りローラー311cとは互いに圧接した状態で配置されており、これにより、両折りローラー311a,311bの圧接部分に第2ニップ(折りニップ)N2が構成されている。第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cは、用紙束に2回目の折りを行う機能と、2回目の折りが行われた用紙束を後工程へ搬送する機能とを担っている。第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cは、用紙束を折るのに必要な圧力によって相互に圧接されている。
これらの折りローラー311a,311b,311cは、動力機構(図示せず)を通じて回転動作することができる。例えば、動力機構は第2折りローラー311bを回転駆動し、残余の折りローラー311a,311cが従動回転することで、各折りローラー311a,311b,311cが回転動作する。
なお、動力機構が直接的に駆動するローラーは第2折りローラー311bに限られず、本実施形態に示す3つ折り動作を行い得る限りにおいて、折りローラー311a,311b,311cのいずれか一つ又は複数を駆動するものであってもよい。
さらに、本実施形態において、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、上述した圧接状態の他に、当該圧接状態を解除して、互いに離間した状態へ遷移することができる。第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、動力機構(図示せず)を通じて動作し、圧着状態と離間状態との間でその状態を切り替えることができる。圧接状態から離間状態へ切り替わる場合には、第1折りローラー311aのみが移動する構成であってもよいし、第2折りローラー311bが第3折りローラー311cとともに移動する構成であってもよいし、この両方であってもよい。
第1押込部材312aは、平板状の部材であり、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bと協働して1回目の折りを行うものである。第1押込部材312aは、図3に示すように、その先端が第1ニップN1と対向するように、第1折りローラー311aと第2折りローラー311bとの圧接部分(第1ニップN1)の接線方向に沿って配置されている(初期位置)。
また、第1押込部材312aは、第1ニップN1へ向かう方向A1に沿って直線的に往復移動可能に構成されている。第1押込部材312aは、動力機構(図示せず)を通じて、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bの間(第1ニップN1)に進入したり、この状態から初期位置まで後退したりする進退動作を行うことができる。
第2押込部材313aは、第1押込部材312aと同様、平板状の部材であり、第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cと協働して2回目の折りを行うものである。第2押込部材313aは、図3に示すように、その先端が第2ニップN2と対向するように、第2折りローラー311bと第3折りローラー311cとの圧接部分(第2ニップN2)の接線方向に沿って配置されている(初期位置)。
また、第2押込部材313aは、第2ニップN2へ向かう方向A2に沿って直線的に往復移動可能に構成されている。第2押込部材313aは、動力機構(図示せず)を通じて、第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cの間(第2ニップN2)に進入したり、この状態から初期位置まで後退したりする進退動作を行うことができる。
一対の保持ローラー314a,314bは互いに圧接されており、これにより、両保持ローラー314a,314bの圧接部分に第3ニップN3が構成されている。一対の保持ローラー314a,314bは、1回目の折りで折られた用紙束をその厚さ方向の両側から挟持するためのものである(用紙保持部)。個々の保持ローラー314a,314bは、挟持した用紙束の移動に伴い回転する従動ローラーであり、例えば外周面が弾性層で被覆されたローラーで構成されている。
図4に示すように、一対の保持ローラー314a,314bは、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bの上方に、第3ニップN3の接線方向と第1ニップN1の接線方向とが一致するように配置されている。また、一対の保持ローラー314a,314bは、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bから送り出された用紙束(1回目の折りで折られた用紙束)を、第2の折り位置F2よりも第1の折り位置F1側で保持するように配置されている。より特定的には、一対の保持ローラー314a,314bは、1回目の折りで折られた用紙束について、第1の折り位置F1を境に用紙束同士が互いに折り重なった領域S1を保持するように配置されている。
一対の保持ローラー314a,314bは、上述した圧接状態の他に、当該圧接状態を解除して、互いに離間した状態へと遷移することができる。一対の保持ローラー314a,314bは、動力機構(図示せず)を通じて、圧着状態と離間状態との間でその状態を切り替えることができる。圧接状態から離間状態へと切り替わる場合には、一方の保持ローラー314aのみが移動する構成であってもよいし、他方の保持ローラー314bのみが移動する構成であってもよいし、この両方であってもよい。
本実施形態の特徴の一つとして、一対の保持ローラー314a,314bによる圧接力(Fa)、すなわち、用紙束の挟持力は、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによる圧接力(Fb)、すなわち、用紙束の挟持力よりも大きくなるような関係に設定されている(Fa>Fb)。このような圧接力の関係は、少なくとも2回目の折りを行う場合に設定されていればよく、常時このような力関係に設定されている必要はない。ここで、本実施形態では、2回目の折りを行う場合に、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは離間状態に切り替えられ、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによる圧接力(Fb)がゼロとなるように設定されている(Fa>Fb(=0))。
再び図1及び図2を参照するに、用紙処理装置300は、3つ折り処理以外にも、例えば、用紙を中折り(二つ折り)にする中折り処理、中折りされた用紙を所定枚数重ね合わせて綴じることにより中綴じ冊子を作成する中綴じ処理、冊子の背表紙を角背成形する角背成形処理、冊子の小口断裁を行う断裁処理、等を行う機能を備えている。すなわち、用紙処理装置300は、中折り部320と、中綴じ部330と、クランプ部340と、断裁部350と、角背成形部360と、排出部370,380とをさらに有している。
中折り部320は、中間搬送装置200から送り出された用紙を、折り目に沿って中折りする(中折り処理)。中綴じ部330は、中折り部320により中折りされた用紙を順次集積し、冊子一部相当の枚数の用紙(用紙束)が集積されると、その用紙束に打針して中綴じ冊子を作成する(中綴じ処理)。
クランプ部340は、中綴じ冊子を保持し、当該中綴じ冊子を規定の位置に整合させる整合動作を行う。さらに、クランプ部340は、中綴じ冊子を保持した状態で下降することで、中綴じ冊子の小口端部側を断裁部350に進入させることができる。断裁部350は、クランプ部340により保持された中綴じ冊子の小口の断裁処理を行う。角背成形部360は、中綴じ冊子の背表紙の角背成形処理を行うものであり、クランプ部340に搭載されている。
排出部370は、中綴じ冊子を外部に排出するものである。一方、排出部380は、3つ折り部310によって3つ折り処理された用紙束を外部に排出するものである。
なお、用紙処理装置300は、中間搬送装置200から受け渡された用紙に対して、用紙処理装置300による各種の処理を施さずに平綴じ処理装置400に送り出すこともできる。
平綴じ処理装置400は、用紙束について平綴じ処理等を行う。具体的には、平綴じ処理装置400は、例えば、ステープル処理部と、ページ端断裁部と、排出部とを備えている。ステープル処理部は、用紙処理装置300から送り出された用紙束にステープル処理を施す。ページ端断裁部は、ステープル処理が施された用紙束のうち背表紙と平行な端部を揃えるために当該端部の一部を切り落とす小口断裁を行う。排出部は、処理後の用紙束を排出するものである。
なお、平綴じ処理装置400は、用紙処理装置300から送り出された用紙に対して、平綴じ処理装置400による各種の処理の一部又は全部を施さずに排出することもできる。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成システム1の制御系は、中央制御部501と、画像形成装置100が備える画像形成制御部502と、中間搬送装置200が備える中間搬送制御部503と、用紙処理装置300が備える用紙処理制御部504と、平綴じ処理装置400が備える平綴じ処理制御部505と、操作表示部510とで構成されている。
中央制御部501は、画像形成システム1全体の動作制御を行うものである。画像形成制御部502は、画像形成装置100の動作制御を行うものである。中間搬送制御部503は、中間搬送装置200の動作制御を行うものである。用紙処理制御部504は、用紙処理装置300の動作制御を行うものである。平綴じ処理制御部505は、平綴じ処理装置400の動作制御を行うものである。中央制御部501、画像形成制御部502、中間搬送制御部503、用紙処理制御部504及び平綴じ処理制御部505はそれぞれ、CPU、RAM、ROM等を有し、処理内容に応じたソフトウェア・プログラムや各種のデータを読み出して実行処理する。
操作表示部510は、画像形成システム1の動作に係るユーザーの入力操作を受け付け、画像形成システム1の動作に係る表示出力を行う。操作表示部510は、例えば、タッチパネル方式の操作表示装置や各種の入力のためのスイッチ、キー等を有し、ユーザーの入力内容に応じた信号を中央制御部501に送信する。
この画像形成システム1において、中央制御部501は、操作表示部510を介して入力されたユーザーの入力内容に応じて、画像形成システム1に係る各種の条件の設定を行う。この各種条件の設定内容には、例えば、用紙のサイズや画像形成時の色数(例えば、カラー・グレースケール・モノクロ等)、3つ折りの制御モード選択条件、3つ折りにする用紙枚数、3つ折りにする用紙の種類、サイズ、坪量、中間搬送装置200の筋付け部(クリーサー)による筋付けの実施/非実施、断裁される端部の幅等が含まれる。
中央制御部501は、画像形成制御部502、中間搬送制御部503、用紙処理制御部504、及び平綴じ処理制御部506の各制御部に対して設定内容に応じた処理を施すための命令を出力する。各制御部502,503,504,506は、命令に応じてそれぞれの制御対象である装置100,200,300,400の動作を制御する。
以下、本実施形態に係る画像形成システム1の3つ折り処理に係る一連の手順について説明する。ここで、図5は、第1の実施形態に係る3つ折り処理の手順を示す説明図である。中央制御部501は、用紙処理制御部504に対して3つ折り処理を施すための命令を出力する。用紙処理制御部504は、これに応じて3つ折り部310を制御し、以下に示すように、3つ折り処理を実行させる。
図5(a)に示すように、中間搬送装置200から供給された用紙は、搬送経路Paに沿って矢印B1方向に搬送される。搬送された用紙は、搬送方向の先端がスタッカー315aに当接することで停止する。複数枚からなる用紙束に対して3つ折り処理を行う場合、中間搬送装置200からの供給された用紙が順次重ねられ、スタッカー315aによって各用紙の先端が揃えられる。スタッカー315aは搬送経路Paに沿って往復動作可能に構成されており、第1押込部材312aの先端位置と用紙束の第1の折り位置F1とを合わせるように、用紙束を移動させる。
つぎに、第1押込部材312aがスタッカー315aに保持された用紙束に向って進入すると、第1ニップN1に用紙束が挿入され、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bにより両側から圧力が加えられることで、1回目の折りが行われる。このように、第1押込部材312a、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、1回目の折りを行う第1折り部として機能する。
第1ニップN1を通過した用紙束は、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによって搬送され、第1の折り位置F1を先頭に搬送経路Pbを進行する。
そして、図5(b)に示すように、用紙束の先頭(第1の折り位置F1)が、第3ニップN3に進入すると、一対の保持ローラー314a,314bは従動回転し、所定の位置に到達すると、第1折りローラー311a、第2折りローラー311bによる搬送停止により、用紙束の搬送が停止される。この場合、一対の保持ローラー314a,314bは、1回目の折りで折られた用紙束のうち、第1の折り位置F1を境に用紙束同士が互いに折り重なった領域を挟持している。ここで、上述した動作から明らかなように、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、1回目の折りで折られた用紙束を、第1の折り位置F1を先頭に一対の保持ローラー314a,314bへ搬送する用紙搬送部としても機能している。
つぎに、図5(c)に示すように、第2押込部材313aが一対の保持ローラー314a,314bによって挟持された用紙束に向って前進すると、用紙束は、第2押込部材313aの先端によって折り曲げられるようにして第2折りローラー311bと第3折りローラー311cとの隙間に突き当てられる。これにより、第2押込部材313aが第2の折り位置F2へ位置決めされる。第2押込部材313aが位置決めされると、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、圧接状態から離間状態へと切り替えられる。
第2押込部材313aが前進を継続することで、第2ニップN2に用紙束が挿入される。そして、第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cにより両側から圧力が加えられることで、2回目の折りが行われる。このように、第2押込部材313a、第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cは、2回目の折りを行う第2折り部として機能する。
そして、第2ニップN2を通過して3つ折りにされた用紙束は第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cによって搬送され、第2の折り位置F2を先頭に搬送経路Pcを進行する。
このように本実施形態において、用紙処理装置300は、用紙束に対して1回目の折りを行った後に2回目の折りを行う装置であって、1回目の折りが行われた用紙束を保持する一対の保持ローラー314a,314bと、一対の保持ローラー314a,314bによって保持された用紙束に対して2回目の折りを行う第2折り部と、を有している。この場合において、一対の保持ローラー314a,314bは、2回目の折りがなされる第2の折り位置F2よりも、1回目の折りがなされた第1の折り位置F1側で用紙束を保持している。
この構成によれば、1回目の折りが行われた用紙束を一対の保持ローラー314a,314bによって保持することができるので、2回目の折りを行う場合に、用紙束の後端側を固定しなければならないという制約が不要になる。その結果、2回目の折りを行う場合に、用紙束の後端側の固定状態を解放し、或いは、その固定状態を緩和することができるので、用紙束をなす各用紙の後端のずれを許容することができる。これにより、用紙束を見栄え良く折ることができ、高品質な3つ折り処理を行うことができる。
ここで、用紙束の後端とは、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによって搬送される用紙束の搬送状態を基準に定義したものであり、特に、第1の折り位置F1を境とする2つの用紙領域のうち2回目の折りが行われる用紙領域側の端部(折り方向と平行する端部)を指すものである。
また、本実施形態において、用紙処理装置300は、1回目の折りが行われた用紙束を、第1の折り位置F1を先頭に一対の保持ローラー314a,314bへ搬送する第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bを有している。そして、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、2回目の折りを行う場合に、圧接状態から離間状態へと切り替えられている。
この構成によれば、2回目の折りを行う場合に、用紙束の後端側が完全に解放された状態となるので、用紙束をなす各用紙の後端のずれを許容することができる。これにより、用紙束を見栄え良く折ることができるので、高品質な3つ折り処理を行うことができる。
なお、本実施形態では、2回目の折りを行う場合に、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bを離間状態へと切り替え、その圧接力をゼロとしている。しかしながら、一対の保持ローラー314a,314bの圧接力(Fa)は、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bの圧接力(Fb)よりも大きくなるように設定されていればよい。したがって、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、このような圧接力の関係(Fa>Fb)を満たしている限り、2回目の折りを行う場合に圧接状態であってもよい。
この構成によれば、2回目の折りを行う場合に、用紙束の後端側における挟持力が弱いので、用紙束をなす各用紙の後端のずれを許容することができる。これにより、用紙束を見栄え良く折ることができるので、高品質な3つ折り処理を行うことができる。
また、この構成によれば、2回目の折りを行う場合、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bが軽度に圧接された状態となる。そのため、2回目の折りを行う場合、すなわち、用紙束が第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cに挿入される場合に、用紙束の姿勢を安定させることができる。これにより、綺麗に2回目の折りを施すことができる。
また、本実施形態において、一対の保持ローラー314a,314bは、1回目の折りが行われた用紙束において、第1の折り位置F1を境に用紙束同士が互いに折り重なった領域S1を挟持するように配置されている(図4参照)。
この構成によれば、一対の保持ローラー314a,314bにより、第2の折り位置F2よりも第1の折り位置F1側で用紙束を挟持することができる。一方で、2回目の折りを行う場合、用紙束は一対の保持ローラー314a,314bから引き抜かれるように移動する。この場合、領域S1を挟持しておくことで、一対の保持ローラー314a,314bを通過する際に、1回目の折りで折り畳まれた用紙の先端部分が、一対の保持ローラー314a,314bに干渉して捲れあがったり、不規則に折られたりするといった不都合を抑制することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る画像形成システム1について説明する。この第2の実施形態に係る画像形成システム1が、第1の実施形態のそれと相違する点は、用紙処理装置300の3つ折り部310の動作態様である。第1の実施形態と共通する内容については説明を省略し、以下、相違点を中心に説明を行う。ここで、図6は、第2の実施形態に係る3つ折り処理の手順を示す説明図である。
図6(a)に示すように、所定枚数の用紙がスタッカー315aに集積されると、当該スタッカー315aは、第1押込部材312aの先端位置と用紙束の第1の折り位置F1とを合わせるように、用紙束を移動させる。そして、第1押込部材312aがスタッカー315aに保持された用紙束に向って進入する。これにより、第1ニップN1に用紙束が挿入され、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bにより両側から圧力が加えられることで、1回目の折りが実行される。
第1ニップN1を通過した用紙束は、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによって搬送され、第1の折り位置F1を先頭に搬送経路Pbを進行する。
図6(b)に示すように、用紙束の先頭(第1の折り位置F1)が、第3ニップN3に進入すると、一対の保持ローラー314a,314bは従動回転し、所定の位置に到達すると、第1折りローラー311a、第2折りローラー311bによる搬送停止により、用紙束の搬送が停止される。
つぎに、図6(c)に示すように、第2押込部材313aが一対の保持ローラー314a,314bによって挟持された用紙束に向って前進する。用紙束は、第2押込部材313aによって折り曲げられるようにして第2折りローラー311bと第3折りローラー311cの隙間に突き当てられる。これにより、第2押込部材313aが第2の折り位置F2に位置決めされる。
このようにして、第2押込部材313aが第2の折り位置F2に位置決めされると、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、圧接状態から離間状態へと切り替えられる。同様に、一対の保持ローラー314a,314bも、圧接状態から離間状態へと切り替えられる。
第2押込部材313aが前進を継続することで、第2ニップN2に用紙束が挿入される。そして、第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cにより両側から圧力が加えられることで、2回目の折りが実行される。第2ニップN2を通過して3つ折りにされた用紙束は第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cによって搬送され、第2の折り位置F2を先頭に搬送経路Pcを進行する。
このように本実施形態では、2回目の折りを行う場合に、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bと、一対の保持ローラー314a,314bとが、圧接状態から離間状態へと切り替えられている。
この構成によれば、2回目の折りを行う場合に、第2の折り位置F2を境に対称な搬送抵抗で用紙束が搬送されることとなる。両側の搬送抵抗がアンバランスな場合には、折り皺などが発生することが懸念されるが、本実施形態によれば、このような問題を解消することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る画像形成システム1について説明する。この第3の実施形態に係る画像形成システム1が、第1の実施形態のそれと相違する点は、用紙処理装置300の3つ折り部310の動作態様である。第1の実施形態と共通する内容については説明を省略し、以下、相違点を中心に説明を行う。ここで、図7は、第3の実施形態に係る3つ折り処理の手順を示す説明図である。
本実施形態において、一対の保持ローラー314a,314bは、動力機構(図示せず)を通じて回転動作することができる。例えば、動力機構は、一方の保持ローラー314aを直接的に駆動し、残余の保持ローラー314bが一方の保持ローラー314aの回転動作に伴って従動回転することで、各保持ローラー314a,314bを回転動作させる。動力機構による保持ローラー314aの回転動作は、正方向のみならず、逆方向にも動作するように構成されている。
図7(a)に示すように、所定枚数の用紙がスタッカー315aに集積されると、当該スタッカー315aは、第1押込部材312aの先端位置と用紙束の第1の折り位置F1とを合わせるように、用紙束を移動させる。そして、第1押込部材312aがスタッカー315aに保持された用紙束に向って進入する。これにより、第1ニップN1に用紙束が挿入され、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bにより両側から圧力が加えられることで、1回目の折りが実行される。
第1ニップN1を通過した用紙束は、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによって搬送され、第1の折り位置F1を先頭に搬送経路Pbを進行する。
図7(b)に示すように、用紙束の先頭(第1の折り位置F1)が、第3ニップN3に進入した後、所定の位置に到達すると、用紙束の搬送が停止される。一対の保持ローラー314a,314bは、用紙束の搬送が停止されるまで、用紙束の挿入方向に沿って回転動作される。
つぎに、図7(c)に示すように、第2押込部材313aが一対の保持ローラー314a,314bによって挟持された用紙束に向って前進する。用紙束は、第2押込部材313aによって折り曲げられるようにして第2折りローラー311bと第3折りローラー311cの隙間に突き当てられる。これにより、第2押込部材313aが第2の折り位置F2に位置決めされる。
このようにして、第2押込部材313aが第2の折り位置F2に位置決めされると、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、圧接状態から離間状態へと切り替えられる。また、一対の保持ローラー314a,314bは、用紙束の挿入時とは逆方向へと回転動作される。
第2押込部材313aが前進を継続することで、第2ニップN2に用紙束が挿入される。そして、第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cにより両側から圧力が加えられることで、2回目の折りが実行される。第2ニップN2を通過して3つ折りにされた用紙束は第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cによって搬送され、第2の折り位置F2を先頭に搬送経路Pcを進行する。
このように本実施形態において、一対の保持ローラー314a,314bは、正方向及び逆方向にそれぞれ回転可能に構成されている。
一対の保持ローラー314a,314bで挟持された用紙束は、2回目の折りに際し、第3ニップN3から引き抜かれることとなる。この際、一対の保持ローラー314a,314bが逆方向(挿入時の回転方向を基準としての逆方向)に回転することで、用紙束が第3ニップN3をスムーズに抜けることとなる。これにより、一対の保持ローラー314a,314bに用紙束の第1の折り位置F1が引っかかり、箱状に折れ曲がるといった不具合を抑制することができる。
なお、本実施形態では、一対の保持ローラー314a,314bが回転駆動する構成としたが、当該一対の保持ローラー314a,314bは従動ローラーであってもよい。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係る画像形成システム1について説明する。この第4の実施形態に係る画像形成システム1が、第1の実施形態のそれと相違する点は、用紙処理装置300の3つ折り部310の動作態様である。第1の実施形態と共通する内容については説明を省略し、以下、相違点を中心に説明を行う。ここで、図8は、第4の実施形態に係る3つ折り処理の手順を示す説明図である。
ここで、本実施形態において、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによって搬送される用紙束の搬送経路Pbは、湾曲しながら第3折りローラー311cから遠ざかる方向へと延在している。すなわち、1回目の折りがなされた用紙束は、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによって搬送されると、第3折りローラー311cから遠ざかる方向へと進路を変えて搬送される。この場合において、一対の保持ローラー314a,314bは、搬送経路Pb上に設けられており、この搬送経路Paに沿って往復動作可能に構成されている。
図8(a)に示すように、所定枚数の用紙がスタッカー315aに集積されると、当該スタッカー315aは、第1押込部材312aの先端位置と用紙束の第1の折り位置F1とを合わせるように、用紙束を移動させる。そして、第1押込部材312aがスタッカー315aに保持された用紙束に向って進入する。これにより、第1ニップN1に用紙束が挿入され、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bにより両側から圧力が加えられることで、1回目の折りが実行される。
第1ニップN1を通過した用紙束は、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bによって搬送され、第1の折り位置F1を先頭に搬送経路Pbを進行する。
図8(b)に示すように、用紙束の先頭(第1の折り位置F1)が、第3ニップN3に進入すると、一対の保持ローラー314a,314bは従動回転し、所定の位置に到達すると、第1折りローラー311a、第2折りローラー311bによる搬送停止により、用紙束の搬送が停止される。
つぎに、図8(c)に示すように、第2押込部材313aが一対の保持ローラー314a,314bによって挟持された用紙束に向って前進する。用紙束は、第2押込部材313aによって折り曲げられるようにして第2折りローラー311bと第3折りローラー311cの隙間に突き当てられる。これにより、第2押込部材313aが第2の折り位置F2に位置決めされる。
このようにして、第2押込部材313aが第2の折り位置F2に位置決めされると、第1折りローラー311a及び第2折りローラー311bは、圧接状態から離間状態へと切り替えられる。
第2押込部材313aが前進を継続することで、第2ニップN2に用紙束が挿入される。この際、一対の保持ローラー314a,314bは、搬送経路bに沿って第2ニップNへ近づく方向へと移動を開始する。この一対の保持ローラー314a,314bの移動は、第2ニップNの所定距離だけ手前へと到達した段階で終了する。
第2ニップN2に用紙束が挿入され、第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cにより両側から圧力が加えられることで、2回目の折りが実行される。第2ニップN2を通過して3つ折りにされた用紙束は第2折りローラー311b及び第3折りローラー311cによって搬送され、第2の折り位置F2を先頭に搬送経路Pcを進行する。
このように本実施形態において、一対の保持ローラー314a,314bは、第2ニップNに挿入される用紙束の搬送にあわせて用紙束の搬送方向に移動するように構成されている。
一対の保持ローラー314a,314bで挟持された用紙束は、2回目の折りに際し、第3ニップN3から引き抜かれることとなる。この場合、一対の保持ローラー314a,314bと、第1の折り位置F1との間の距離が長いと、第3ニップN3から用紙束を引き抜く際に、第1の折り位置F1が箱状に折れ易くなる傾向がある。一方で、第3ニップN3から用紙束が抜ける際には、その位置(第3ニップN3)が第2ニップN2に近い程、第2ニップN2へ挿入される用紙束の姿勢が安定する。
本実施形態によれば、2回目の折りにあわせて、一対の保持ローラー314a,314bを移動させる構成とすることで、第1の折り位置F1が箱状に折れ難くかつ第2ニップN2へ挿入される用紙束の姿勢が安定する。これにより、高品質な3つ折り処理を行うことができる。
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、巻き3つ折りについて説明したが、本発明は、外3つ折り(Z折り)においても適用可能である。
また、本実施形態では、第1折り部及び第2折り部として、押込部材を備える構成について説明した。しかしながら、押込部材を有しない、いわゆるバックル折りを行うものとして第1折り部及び第2折り部を構成してもよい。換言すれば、第1折り部及び第2折り部のそれぞれは、互いに圧接されて折りニップを構成する一対の折りローラーを有していればよい。
また、本実施形態に示す画像形成システムのみならず、用紙処理装置それ自体も本発明の一部として機能する。