JP6723425B2 - 遊間異常を有する橋梁の診断装置および診断方法 - Google Patents

遊間異常を有する橋梁の診断装置および診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、遊間異常を有する橋梁の診断装置、遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置および遊間異常を有する橋梁の診断方法に関する。
橋梁において、橋桁は、季節の温度差やコンクリートの乾燥による収縮などの要因により伸縮を繰り返すため、橋桁と橋台との接続部や橋桁と橋桁との継ぎ目においては、橋軸方向に適当な間隔をおいて略鉛直方向の遊間が設けられて、当該橋桁の伸縮による変位を吸収している。また、橋桁には、橋脚との接続部や橋台との接続部には支承が配設されており、橋桁を固定する支承と橋桁が可動な支承を組み合わせて配設することにより、橋桁に対し想定外の軸力が生じないように対応している。
しかしながら、橋桁の伸縮如何に関わらず、例えば、橋梁の初期の施工不良、橋台の傾斜、橋台の傾斜を伴うまたは伴わない変状、橋脚の傾斜、橋脚の傾斜を伴うまたは伴わない変状、支承や伸縮装置の損傷、直接基礎や杭基礎、ケーソン基礎の傾斜を伴う側方移動などにより、橋桁と橋台との接続部あるいは橋桁と橋桁との継ぎ目における遊間が失われて、橋桁と橋台、あるいは橋桁と橋桁が接触し、橋桁に想定外の軸力が発生している橋梁が散見される。また、失われた遊間を確保するために、安易に遊間部の橋桁を切断してしまった結果、再度、橋脚や橋台に変状や傾斜が生じてしまい、再度遊間を失うという事例も報告されている。
すなわち、遊間が失われている原因が、橋桁の伸縮によるものなのか、はたまた、橋梁の初期の施工不良、橋台の傾斜、橋台の傾斜を伴うまたは伴わない変状、橋脚の傾斜、橋脚の傾斜を伴うまたは伴わない変状、支承や伸縮装置の損傷、直接基礎や杭基礎、ケーソン基礎の傾斜を伴う側方移動などによるものなのかは、外観の目視では見分けがつかない。
一方、従来、橋桁と橋台あるいは橋桁と橋脚との間の橋軸方向移動変位と橋軸直角方向移動変位とを計測して、橋桁と橋台あるいは橋桁と橋脚との間の相対移動量を算出する橋梁監視システム(特許文献1)、橋梁の伸縮ジョイント部の遊間を画像や段差測定部の傾斜角度変化などを測定するとともに、周辺温度を測定して、伸縮ジョイント部の遊間距離に対する管理を行う橋梁新築ジョイント部遊間測定装置(特許文献2)、および、橋梁のフィンガージョイント部の遊間におけるフェイスプレートの先端の変位と付け根部のひずみを常時計測するためのひずみ計測センサを有する、交通荷重による伸縮継手と橋梁本体の健全度を評価して、適切な時期に橋梁本体と伸縮継手のメンテナンスや取替え等を行えるようにした橋梁用伸縮継手システム(特許文献3)が存在する。特許文献1に開示されている橋梁監視システムは、各橋桁の相対移動量と当該各橋桁の所定の基準点における絶対座標とを算出することにより、橋桁の変状を把握するシステムであり、特許文献2に開示されている橋梁新築ジョイント部遊間測定装置は、移動車両に伸縮ジョイント部遊間測定装備を装着することにより、移動車両を利用して橋梁道路を走行する方式で橋梁の伸縮ジョイント部遊間を測定する装置であり、特許文献3に開示されている橋梁用伸縮継手システムは、道路橋の床版部に設置された伸縮継手の変状を、ひずみ計測センサや監視カメラを用いてモニタリングを行い、交通荷重による伸縮継手と橋梁本体の健全度を評価して、適切な時期に橋梁本体と伸縮継手のメンテナンスや取替え、さらには橋梁本体の架け替えを行うシステムである。
特開2007−120178号公報 韓国登録特許第10−1872431号公報 特開2016−75090号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている橋梁監視システムは、そもそも遊間異常を有する橋梁を診断する、または当該診断に用いるシステムではないうえ、当該システムでは、遊間が失われている原因または遊間が繰り返し失われる原因が、橋桁の収縮によるものなのか、はたまた、橋梁の初期の施工不良、橋台の傾斜、橋台の傾斜を伴うまたは伴わない変状、橋脚の傾斜、橋脚の傾斜を伴うまたは伴わない変状、支承や伸縮装置の損傷、直接基礎や杭基礎、ケーソン基礎の傾斜を伴う側方移動などによるものなのかを診断することができない。また、上述した特許文献2に開示されている橋梁新築ジョイント部遊間測定装置もまた、そもそも遊間異常を有する橋梁を診断する、または当該診断に用いる装置ではないうえ、当該装置は、移動車両に装着した伸縮ジョイント部遊間測定装備と温度センサとを備えているものの、温度センサにより伸縮ジョイント部の周辺温度を測定し、伸縮ジョイント部の遊間距離に対する管理をどのように行うのかが明らかにされておらず、やはり、遊間が失われている原因または遊間が繰り返し失われる原因が、橋桁の収縮によるものなのか、はたまた、橋梁の初期の施工不良、橋台の傾斜、橋台の傾斜を伴うまたは伴わない変状、橋脚の傾斜、橋脚の傾斜を伴うまたは伴わない変状、支承や伸縮装置の損傷、直接基礎や杭基礎、ケーソン基礎の傾斜を伴う側方移動などによるものなのかを診断することができない。また、上述した特許文献3に開示されている橋梁用伸縮継手システムもまた、そもそも遊間異常を有する橋梁を診断する、または当該診断に用いるシステムではないうえ、当該システムでは、道路橋の床版部に設置された伸縮継手の変状をひずみ計測センサや監視カメラによってモニタリングすることができるにとどまり、やはり、遊間が失われている原因または遊間が繰り返し失われる原因が、橋桁の収縮によるものなのか、はたまた、橋梁の初期の施工不良、橋台の傾斜、橋台の傾斜を伴うまたは伴わない変状、橋脚の傾斜、橋脚の傾斜を伴うまたは伴わない変状、支承や伸縮装置の損傷、直接基礎や杭基礎、ケーソン基礎の傾斜を伴う側方移動などによるものなのかを診断することができない。
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、外観の目視では見分けがつかない、遊間が失われている損傷に対して、橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断、橋梁の橋台、橋台の杭基礎、橋台の直接基礎、橋脚のケーソン基礎、橋脚の杭基礎および/または橋脚の直接基礎が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、支承および/または伸縮装置において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うことができる、遊間異常を有する橋梁の診断装置、遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置および遊間異常を有する橋梁の診断方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測または算出した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部おいて設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量、および/または、前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量とを対比し、前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記それぞれの遊間の実測伸縮量との相関関係の有無に基づいて、前記橋梁の橋台および/または前記橋梁の橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、前記橋梁の橋台および/または前記橋梁の橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うことができ、さらには、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部における遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量、および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量を時系列に計測し、前記時系列に計測したそれぞれの遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量との比を算出して、または、前記それぞれの遊間の上部の幅と下部の幅を時系列に計測し、前記時系列に計測したそれぞれの遊間の上部の幅の値と下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量を算出するとともに、前記算出したそれぞれの遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量との比を算出して、前記橋梁の橋桁および前記橋梁の橋台における傾斜の有無を確認し、前記橋梁の橋台および/または前記橋梁の橋脚における傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の橋台、前記橋梁の橋台の杭基礎、前記橋梁の橋台の直接基礎、前記橋梁の橋脚のケーソン基礎、前記橋梁の橋脚の杭基礎および/または前記橋梁の橋脚の直接基礎が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、前記橋梁の支承および/または前記橋梁の伸縮装置において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うことができることを見出し、下記の各発明を完成した。
(1)遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量とを対比し、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測したそれぞれの遊間の実測伸縮量との相関関係の有無に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、前記橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、前記それぞれの遊間を跨ぐように配設されて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を時系列に計測する1の遊間幅計測部とを備える、前記装置。
(2)遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間の幅の値に基づいて算出した前記それぞれの遊間の実測伸縮量とを対比し、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量との相関関係の有無に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、前記橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、前記それぞれの遊間を跨ぐように配設されて前記それぞれの遊間の実測伸縮量または幅を時系列に計測する1の遊間幅計測部と、前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出するとともに、前記遊間幅計測部が前記それぞれの遊間の幅を時系列に計測する構成をとる場合に、前記計測したそれぞれの遊間の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出する1または複数の演算処理部とを備える、前記装置。
(3)橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間を跨ぐように配設されて、前記それぞれの遊間の実測伸縮量または幅を時系列に計測する1の遊間幅計測部と、前記時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出するとともに、前記遊間幅計測部が前記それぞれの遊間の幅を時系列に計測する構成をとる場合に、前記計測したそれぞれの遊間の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出する1または複数の演算処理部と、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量との対比を行い、それらの相関関係の有無を確認して、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行う1または複数の橋台・橋脚側方移動判定部と、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う1または複数の橋台・橋脚傾斜変状診断部とを備える、遊間異常を有する橋梁の診断装置または遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置。
(4)遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量とを対比し、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、前記計測したそれぞれの遊間の実測伸縮量との相関関係の有無に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うとともに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目におけるそれぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量を時系列に計測し、前記計測したそれぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量の比を算出して、前記算出した実測伸縮量の比に基づいて前記橋梁の橋桁および橋台における傾斜の有無を確認し、前記橋梁の橋台および/または橋脚における傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の橋台、前記橋台の杭基礎、前記橋台の直接基礎、前記橋脚のケーソン基礎、前記橋脚の杭基礎および/または前記橋脚の直接基礎が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、前記橋梁の支承および/または伸縮装置において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、前記橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部を跨ぐように配設されて、前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の実測伸縮量を時系列に計測する複数の遊間幅計測部とを備える、前記装置。
(5)遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間の幅の値に基づいて算出した前記それぞれの遊間の実測伸縮量とを対比し、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量との相関関係の有無に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うとともに、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目におけるそれぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間の上部と下部の幅の値に基づいて算出した前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量の比を算出して、前記算出した実測伸縮量の比に基づいて前記橋梁の橋桁および橋台における傾斜の有無を確認し、前記橋梁の橋台および/または橋脚における傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の橋台、前記橋台の杭基礎、前記橋台の直接基礎、前記橋脚のケーソン基礎、前記橋脚の杭基礎および/または前記橋脚の直接基礎が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、前記橋梁の支承および/または伸縮装置において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、前記橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部を跨ぐように配設されて、前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の実測伸縮量または幅を時系列に計測する複数の遊間幅計測部と、前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出し、かつ、前記遊間幅計測部が前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の幅を時系列に計測する構成をとる場合に、前記計測したそれぞれの遊間の少なくとも上部および下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出するとともに、前記計測したそれぞれの遊間の上部および下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の上部および下部の実測伸縮量を算出して、前記計測または算出したそれぞれの遊間の上部および下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量の比を算出する複数の演算処理部とを備える、前記装置。
(6)橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の少なくとも上部および下部を跨ぐように配設されて、前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の実測伸縮量または幅を時系列に計測する複数の遊間幅計測部と、前記計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出し、かつ、前記遊間幅計測部が前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の幅を時系列に計測する構成をとる場合に、前記計測したそれぞれの遊間の少なくとも上部および下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出するとともに、前記計測したそれぞれの遊間の上部および下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の上部および下部の実測伸縮量を算出して、前記計測または算出したそれぞれの遊間の上部および下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量の比を算出する複数の演算処理部と、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出した前記それぞれの遊間の実測伸縮量との対比を行い、それらの相関関係の有無を確認して、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行う1または複数の橋台・橋脚側方移動判定部と、前記算出した実測伸縮量の比に基づいて前記橋梁の橋桁および橋台における傾斜の有無を確認し、前記橋梁の橋台および/または橋脚における傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行う1または複数の傾斜変状等発生判定部と、前記それぞれの判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断、前記橋梁の橋台、前記橋台の杭基礎、前記橋台の直接基礎、前記橋脚のケーソン基礎、前記橋脚の杭基礎および/または前記橋脚の直接基礎が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、前記橋梁の支承および/または伸縮装置において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う1または複数の橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部とを備える、遊間異常を有する橋梁の診断装置または遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置。
(7)遊間異常を有する橋梁の診断方法であって、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測して温度変化量を算出する温度変化量算出工程と、前記算出した温度変化量と線膨張係数と前記橋梁の橋桁の伸縮桁長とに基づいて温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出する橋桁理論伸縮量算出工程と、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量または幅を時系列に計測するとともに、前記それぞれの遊間の幅を計測した場合には、前記計測したそれぞれの遊間の幅に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出する実測伸縮量計測・算出工程と、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量との対比を行い、前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量および前記それぞれの遊間の実測伸縮量の相関関係の有無を確認して、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行う橋台・橋脚側方移動判定工程と、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う橋台・橋脚傾斜変状診断工程とを有する、前記方法。
(8)遊間異常を有する橋梁の診断方法であって、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測して温度変化量を算出する温度変化量算出工程と、前記算出した温度変化量と線膨張係数と前記橋梁の橋桁の伸縮桁長とに基づいて温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出する橋桁理論伸縮量算出工程と、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量または幅を時系列に計測するとともに、前記それぞれの遊間の幅を計測した場合には、前記計測したそれぞれの遊間の幅に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出する実測伸縮量計測・算出工程と、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量との対比を行い、前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量および前記それぞれの遊間の実測伸縮量の相関関係の有無を確認して、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているか否かの判定を行う橋台・橋脚側方移動判定工程と、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量または幅を時系列に計測するとともに、前記それぞれの遊間の上部と下部の幅を計測した場合には、前記計測したそれぞれの遊間の上部と下部の幅の値に基づいて前記遊間の上部および下部の実測伸縮量を算出して、それぞれの遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量との比を算出し、前記算出した実測伸縮量の比に基づいて前記橋梁の橋桁および橋台における傾斜の有無を確認して、前記橋梁の橋台および/または橋脚における傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行う傾斜変状等発生判定工程と、前記それぞれの判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断、前記橋梁の橋台、前記橋台の杭基礎、前記橋台の直接基礎、前記橋脚のケーソン基礎、前記橋梁の橋脚の杭基礎および/または前記橋梁の橋脚の直接基礎が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、前記橋梁の支承および/または伸縮装置において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断工程とを有する、前記方法。
本発明に係る遊間異常を有する橋梁の診断装置、遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置および遊間異常を有する橋梁の診断方法によれば、橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、橋梁の橋台や橋脚において傾斜や変状が発生しているか否かの診断、橋梁の橋台や橋台の杭基礎、橋台の直接基礎、橋脚のケーソン基礎、橋脚の杭基礎、橋脚の直接基礎が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、橋梁の支承や伸縮装置の損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うことができ、特に、外観の目視では見分けがつかない橋梁の初期の施工不良、橋梁の橋台や橋脚における傾斜や変状の存否、橋梁の橋台や橋台の杭基礎、橋台の直接基礎、橋脚のケーソン基礎、橋脚の杭基礎、橋脚の直接基礎についての傾斜を伴う側方移動の存否、橋梁の支承や伸縮装置における損傷の存否についての診断を簡便かつ速やかに行うことができる。
橋梁3の橋桁31と橋台32との接続部において本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置された場合の構成(a)と、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置された場合の構成(b)を示す図である。 算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、計測または算出した「実測伸縮量ΔLa」との対比(a)を示すとともに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定(b)を示す図である。 橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置され、さらに1または複数の演算処理部13を備えた場合の構成(a)と、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置され、さらに1または複数の演算処理部13を備えた場合の構成(b)を示す図である。 橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置され、さらに1または複数の演算処理部13と、1または複数の橋台・橋脚側方移動判定部14と、1または複数の橋台・橋脚傾斜変状診断部15とを備えた場合の構成(a)と、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置され、さらに1または複数の演算処理部13と、1または複数の橋台・橋脚側方移動判定部14と、1または複数の橋台・橋脚傾斜変状診断部15とを備えた場合の構成(b)を示す図である。 橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置された場合の構成(a)と、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置された場合の構成(b)を示す図である。 橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置され、さらに1または複数の演算処理部13を備えた場合の構成(a)と、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置され、さらに1または複数の演算処理部13を備えた場合の構成(b)を示す図である。 算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」および計測または算出した「実測伸縮量ΔLa」の対比(a)を示すとともに、それらの相関関係の有無を確認して、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定(b)を示す図である。 橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置され、さらに1または複数の演算処理部13と、1または複数の橋台・橋脚側方移動判定部14と、1または複数の傾斜変状等発生判定部16と、1または複数の橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部17とを備えた場合の構成(a)と、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1が設置され、さらに1または複数の演算処理部13と、1または複数の橋台・橋脚側方移動判定部14と、1または複数の傾斜変状等発生判定部16と、1または複数の橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部17とを備えた場合の構成(b)を示す図である。 本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mの具体的な構成を示すステップ図である。 本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mの具体的な構成を示すステップ図である。 北海道のある橋梁3の構造を示す図である。
以下、本発明に係る遊間異常を有する橋梁の診断装置、遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置、および遊間異常を有する橋梁の診断方法の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。先ずは、本発明に係る遊間異常を有する橋梁の診断装置および遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置の第一実施形態の構成について説明する。本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1は、遊間異常を有する橋梁3において、時系列に計測した気温および/または橋梁3の橋桁31の温度の変化量に基づいて算出した、「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、時系列に計測した、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/もしくは橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間2の「実測伸縮量ΔLa」、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間2の幅に基づいて算出した前記それぞれの遊間2の「実測伸縮量ΔLa」とを対比し、前記算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と前記計測または算出したそれぞれの遊間2の「実測伸縮量ΔLa」との相関関係の有無に基づいて、橋梁3の橋台32および/または橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う装置および前記診断に用いる装置であって、図1(a)および(b)に示すように、1または複数の温度計測部11と、1の遊間幅計測部12とを備えている。以下、各構成について詳細に説明する。
本第一実施形態における温度計測部11は、1つまたは複数備えられて、図1(a)および(b)に示すように、橋梁3および/またはその近傍に配設されて、気温および/または橋梁3の橋桁31の温度を時系列に計測する。本第一実施形態における温度計測部11は、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されないが、気温または橋梁3の橋桁31の温度の時系列な計測が可能な温度計や温度センサを有している態様が好適である。
また、本第一実施形態における遊間幅計測部12は、1つ備えられて、図1(a)および(b)に示すように、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2を跨ぐように配設され(図1(a))、あるいは、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2を跨ぐように配設されて(図1(b))、それぞれ、遊間2の「実測伸縮量ΔLa」を時系列に計測する。本第一実施形態における遊間幅計測部12は、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されないが、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部における略鉛直方向の遊間2を跨ぐように配設可能、あるいは橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における略鉛直方向の遊間2を跨ぐように配設可能であって、かつ遊間2の「実測伸縮量ΔLa」の時系列な計測が可能なデジタル変位計などの各種変位計や変位センサを有している態様が好適である。
本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1または遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1を用いた、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断は、以下のように行う。
先ず、「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」を算出する。「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」は、例えば、温度計測部11において時系列に計測した気温および/または橋梁3の橋桁31の温度のデータに基づいて「温度変化量ΔT(℃)」を算出し、特に、時系列に計測した気温および/または橋梁3の橋桁31の温度のデータから選択した、低温傾向にある温度データに基づいて「温度変化量ΔT(℃)」を算出し、続いて、前記算出した「温度変化量ΔT(℃)」と「線膨張係数α」と「橋桁31の伸縮桁長L(mm)」とに基づいて算出する。そのような「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」は、下記の算出式に基づいて算出する。
ΔLt=ΔT×α×L
ΔLt:温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量
ΔT:温度変化量(℃)
α:線膨張係数
L:橋桁31の伸縮桁長(mm)
一方、遊間幅計測部12においては、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2の「実測伸縮量ΔLa」、あるいは橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の「実測伸縮量ΔLa」を、時系列に計測する。
続いて、図2(a)に示すように、前記算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、前記計測した「実測伸縮量ΔLa」との対比を行う。「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と「実測伸縮量ΔLa」とを対比した結果、それらに相関関係が認められない場合は、図2(b)に示すように、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているとの判定を行い、他方、「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と「実測伸縮量ΔLa」とを対比した結果、それらに相関関係が認められる場合は、図2(b)に示すように、橋梁3の橋台32および橋梁3の橋脚35の側方移動のいずれも発生していないとの判定を行う。
そして、図2(b)に示すように、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているとの判定をした場合は、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているとの診断を行い、他方、橋梁3の橋台32および橋梁3の橋脚35の側方移動のいずれも発生していないとの判定をした場合は、橋梁3の初期の施工不良であるとの診断を行う。
なお、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状の原因としては、基礎の変状(図示しない)、躯体の損傷(図示しない)、地盤の変動(図示しない)、地滑りの発生(図示しない)などを挙げることができる。
また、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1は、図3(a)および(b)に示すように、演算処理部13を1つまたは複数備えてもよい。本第一実施形態における演算処理部13は、図3(a)および(b)に示すように、1または複数の温度計測部11および1の遊間幅計測部12と電気接続して、「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」を算出するとともに、遊間幅計測部12が橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2の幅および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の幅を時系列に計測する構成をとる場合において、前記時系列に計測したそれぞれの遊間2の幅の値に基づいて「実測伸縮量ΔLa」を算出する。「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」は、例えば、温度計測部11において時系列に計測した気温および/または橋梁3の橋桁31の温度データに基づいて「温度変化量ΔT(℃)」を算出し、特に、時系列に計測した気温および/または橋梁3の橋桁31の温度のデータから選択した、低温傾向にある温度データに基づいて「温度変化量ΔT(℃)」を算出し、続いて、前記算出した「温度変化量ΔT(℃)」と「線膨張係数α」と「橋桁31の伸縮桁長L(mm)」とに基づいて算出する。一方、本第一実施形態における演算処理部13が、前述したような「実測伸縮量ΔLa」を計測する構成をとる場合、「実測伸縮量ΔLa」は、遊間幅計測部12において時系列に計測した、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2の幅、あるいは、遊間幅計測部12において時系列に計測した、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の幅に基づいて算出する。そのような演算処理部13は、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されないが、例えば、図3(a)および(b)に示すように、温度計測部11および遊間幅計測部12と電気接続する他、無線ネットワークを介して、遠隔地に設置されたコンピュータ(図示しない)として温度計測部11および遊間幅計測部12を制御自在に構成するとともに、温度計測部11および遊間幅計測部12から演算処理部13たる前記コンピュータへ随時データを転送するように構成することができ、また、演算処理部門を設けて人員を配置し、手作業で対応するように構成して演算処理部13とすることができる。
そして、図2(a)に示すように、前記算出した「温度変化による橋桁31の理論伸縮量ΔLt」および前記計測または算出した「実測伸縮量ΔLa」の対比を行い、それらの相関関係の有無を確認し、図2(b)に示すように、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う。
また、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1は、図4(a)および(b)に示すように、橋台・橋脚側方移動判定部14および橋台・橋脚傾斜変状診断部15を、それぞれ1つまたは複数備えてもよい。本第一実施形態における橋台・橋脚側方移動判定部14は、1つまたは複数備えられて、図2(a)に示すように、演算処理部13において算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、遊間幅計測部12において計測し、または、演算処理部13において算出した「実測伸縮量ΔLa」との対比を行い、それらの相関関係の有無を確認して、図2(b)に示すように、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定を行う。そのような本第一実施形態の橋台・橋脚側方移動判定部14は、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されないが、例えば、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13と電気接続する他、無線ネットワークを介して、遠隔地に設置されたコンピュータ(図示しない)として温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13を制御自在に構成するとともに、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13から橋台・橋脚側方移動判定部14たる前記コンピュータへ随時データを転送するように構成することができ、また、橋台・橋脚側方移動判定部門を設けて人員を配置し、手作業で対応するように構成して橋台・橋脚側方移動判定部14とすることができる。
本第一実施形態における橋台・橋脚傾斜変状診断部15は、1つまたは複数備えられて、橋台・橋脚側方移動判定部14における判定結果に基づいて、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う。そのような本第一実施形態の橋台・橋脚傾斜変状診断部15は、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されないが、例えば、図4(a)および(b)に示すように、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14と電気接続する他、無線ネットワークを介して、遠隔地に設置されたコンピュータ(図示しない)として温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14を制御自在に構成するとともに、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14から橋台・橋脚傾斜変状診断部15たる前記コンピュータへ随時データを転送するように構成することができ、また、橋台・橋脚傾斜変状診断部門を設けて人員を配置し、手作業で対応するように構成して橋台・橋脚傾斜変状診断部15とすることができる。
次に、本発明に係る遊間異常を有する橋梁の診断装置および遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置の第二実施形態の構成について説明する。なお、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1のうち、上述した第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略することがある。本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1は、遊間異常を有する橋梁3において、時系列に計測した気温および/または橋梁3の橋桁31の温度の変化量に基づいて算出した、「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、時系列に計測した、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/もしくは橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間2の「実測伸縮量ΔLa」、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間2の幅の値に基づいて算出した「実測伸縮量ΔLa」とを対比し、前記算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と前記計測または算出したそれぞれの遊間2の「実測伸縮量ΔLa」との相関関係の有無に基づいて、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うとともに、時系列に計測した、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目におけるそれぞれの遊間2の上部と下部の「実測伸縮量ΔLa」、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間2の上部と下部の幅の値に基づいて算出した前記それぞれの遊間2の上部と下部の「実測伸縮量ΔLa」に基づいて、前記それぞれの遊間2の上部と下部の「実測伸縮量ΔLa」の比を算出して、前記算出した「実測伸縮量ΔLa」の比に基づいて橋梁3の橋桁31および橋梁3の橋台32における傾斜の有無を確認し、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35における傾斜変状、ならびに、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、橋梁3の橋台32、橋梁3の橋台32の杭基礎(図示しない)、橋梁3の橋台32の直接基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35のケーソン基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35の杭基礎(図示しない)および/または橋梁3の橋脚35の直接基礎(図示しない)が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、橋梁3の支承34および/または橋梁3の伸縮装置(図示しない)において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、図5(a)および(b)に示すように、1または複数の温度計測部11と、複数の遊間幅計測部12とを備えている。
本第二実施形態における温度計測部11は、図5(a)および(b)に示すように、1つまたは複数備えられ、橋梁3および/またはその近傍に配設されて、気温および/または橋梁3の橋桁31の温度を時系列に計測する。そのような1または複数の温度計測部11は、本第一実施形態における1または複数の温度計測部11と同様に、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されない。
また、本第二実施形態における遊間幅計測部12は、複数備えられて、図5(a)および(b)に示すように、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2の少なくとも上部および下部のそれぞれを跨ぐように配設(図5(a))、および/または、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の少なくとも上部および下部のそれぞれを跨ぐように配設されて(図5(b))、それぞれ、遊間2の「実測伸縮量ΔLa」を時系列に計測する。なお、本第二実施形態における遊間幅計測部12は、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部の上部と下部においてそれぞれ1つずつ、あるいは、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目の上部と下部においてそれぞれ1つずつ、それぞれ略鉛直方向の遊間2を跨ぐように配設されているが、少なくとも橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部の上部と下部においてそれぞれ1つずつ、あるいは、少なくとも橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目の上部と下部においてそれぞれ1つずつ、それぞれ略鉛直方向の遊間2を跨ぐように配設されていればよく、そのような本第二実施形態の遊間幅計測部12は、本第一実施形態における遊間幅計測部11と同様に、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されない。
本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1を用いた、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断においても、第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1と同様、温度計測部11において時系列に計測した温度データ(ただし、低温傾向にある温度データに限られない。)に基づいて「温度変化量ΔT(℃)」を算出し、前記算出した「温度変化量ΔT(℃)」と「線膨張係数α」と「橋桁31の伸縮桁長L(mm)」とに基づいて「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」を算出した後、遊間幅計測部12において、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2の「実測伸縮量ΔLa」を時系列に計測し、あるいは、遊間幅計測部12において、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の「実測伸縮量ΔLa」を時系列に計測して、前記計測した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、前記計測した「実測伸縮量ΔLa」との対比を行い、それらに相関関係が認められない場合は、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているとの判定を行い、その結果、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているとの診断を行う。
しかしながら、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1においては、上述および図5(a)および(b)に示すように、遊間幅計測部12が、少なくとも橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部の上部と下部において1ずつ(図5(a))、あるいは、少なくとも橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目の上部と下部において1ずつ(図5(b))、それぞれ略鉛直方向の遊間2を跨ぐように複数配設されており、遊間幅計測部12において時系列に計測した、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部における遊間2の上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」、あるいは、遊間幅計測部12において時系列に計測した、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における遊間2の上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量La」に基づいて、それぞれの遊間2の上部と下部の「実測伸縮量ΔLa」の比を算出して、前記算出した「実測伸縮量ΔLa」の比に基づいて橋梁3の橋桁31および橋梁3の橋台32における傾斜の有無を確認し、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35における傾斜変状、ならびに、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行うことから、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1による診断と比較して、より踏み込んだ診断をすることができるといえる。
従って、前記算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、前記計測した「実測伸縮量ΔLa」とに相関関係が認められる場合であって、橋梁3の橋桁31および/または橋梁3の橋台32において傾斜が認められる場合には、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における部分接触が発生しているとの判定を行い、その結果、橋梁3の初期の施工不良であるとの診断、または、橋梁3の支承34および伸縮装置(図示しない)の少なくともいずれかにおいて損傷が発生しているとの診断を行う。
一方、前記算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、前記計測した「実測伸縮量ΔLa」とに相関関係が認められる場合であって、橋梁3の橋桁31および/または橋梁3の橋台32において傾斜が認められない場合には、橋梁3の橋台32および橋梁3の橋脚35の側方移動、ならびに、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における部分接触および接触の、いずれも発生していないとの判定を行い、その結果、橋梁3の初期の施工不良であるとの診断を行う。
他方、前記算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、前記計測した「実測伸縮量ΔLa」とに相関関係が認められない場合であって、橋梁3の橋桁31および/または橋梁3の橋台32において傾斜が認められる場合には、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動(この場合は前記傾斜が認められることから、傾斜を伴う側方移動)が発生しているとともに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜変状、ならびに、橋梁3の橋桁31と橋台32との接続部および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における部分接触(この場合は前記傾斜が認められることから、接触ではなく部分接触)の、少なくともいずれかが発生しているとの判定を行い、前記判定に基づいて、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているとの診断を行うとともに、橋梁3の橋台32、橋梁3の橋台32の杭基礎(図示しない)、橋梁3の橋台32の直接基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35のケーソン基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35の杭基礎(図示しない)および橋梁3の橋脚35の直接基礎(図示しない)の傾斜を伴う側方移動、ならびに、橋梁3の支承34および伸縮装置(図示しない)の損傷の、少なくともいずれかが発生しているとの診断を行う。
そして、前記算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、前記計測した「実測伸縮量ΔLa」とに相関関係が認められない場合であって、橋梁3の橋桁31および/または橋梁3の橋台32において傾斜が認められない場合には、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動(この場合は傾斜を伴わない側方移動、すなわち平行移動)が発生しているとともに、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において接触(この場合は前記傾斜が認められないことから、部分接触ではなく接触)が発生しているとの判定を行い、その結果、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の(傾斜を伴わない)変状が発生しているとの診断を行う。
なお、橋梁3の橋台32、橋梁3の橋台32の杭基礎(図示しない)、橋梁3の橋台32の直接基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35のケーソン基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35の杭基礎(図示しない)および橋梁3の橋脚35の直接基礎(図示しない)の少なくともいずれかの、傾斜を伴う側方移動の原因としては、基礎の変状(図示しない)、躯体の損傷(図示しない)、地盤の変動(図示しない)、地滑りの発生(図示しない)などを挙げることができる。
また、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1は、図6(a)および(b)に示すように、演算処理部13を1つまたは複数備えてもよい。本第二実施形態における演算処理部13は、図6(a)および(b)に示すように、温度計測部11および遊間幅計測部12と電気接続して、「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」を算出し、遊間幅計測部12が橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2の幅および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の少なくとも上部および下部の幅を時系列に計測する構成をとる場合において、それぞれの遊間2の少なくとも上部の「実測伸縮量ΔLa」および下部の「実測伸縮量ΔLa」を算出するとともに、それぞれの遊間2における上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」との比を算出する。「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」は、例えば、温度計測部11において時系列に計測した気温および/または橋梁3の橋桁31の温度データ(ただし、低温傾向にある温度データに限られない。)に基づいて「温度変化量ΔT(℃)」を算出し、前記算出した「温度変化量ΔT(℃)」と「線膨張係数α」と「橋桁31の伸縮桁長L(mm)」とに基づいて算出する。一方、本第二実施形態における演算処理部13が、上述したような、それぞれの遊間2の少なくとも上部および下部の幅を時系列に計測する構成をとる場合、それぞれの遊間2の少なくとも上部および下部の幅の値に基づいてそれぞれの遊間2の少なくとも上部および下部の「実測伸縮量ΔLa」を算出し、前記計測または算出したそれぞれの遊間2の少なくとも上部および下部の「実測伸縮量ΔLa」に基づいて、橋梁3の橋桁31と橋台32との接続部の遊間2における上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」との比、および/または、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目の遊間2における上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」との比を算出する。そのような本第二実施形態の演算処理部13は、本第一実施形態における演算処理部13と同様に、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されない。
そして、図2(a)に示すように、先ず、前記算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」および前記計測または算出した「実測伸縮量ΔLa」の対比を行い、それらの相関関係の有無を確認し、図2(b)に示すように、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うとともに、図7(a)に示すように、算出したそれぞれの遊間2の上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」との比に基づいて橋梁3の橋桁31および橋梁3の橋台32における傾斜の有無を確認し、図7(b)に示すように、例えば、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜変状、ならびに、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行い、前記判定に基づいて、橋梁3の橋台32、橋梁3の橋台32の杭基礎(図示しない)、橋梁3の橋台32の直接基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35のケーソン基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35の杭基礎(図示しない)および/または橋梁3の橋脚35の直接基礎(図示しない)が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、橋梁3の支承34および/または橋梁3の伸縮装置(図示しない)において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う。
次に、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1は、図8(a)および(b)に示すように、橋台・橋脚側方移動判定部14、傾斜変状等発生判定部16および橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部17を、それぞれ1つまたは複数備えてもよい。本第二実施形態における橋台・橋脚側方移動判定部14は、1つまたは複数備えられて、図2(a)に示すように、演算処理部13において算出した「温度変化による橋梁3の橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、遊間幅計測部12において計測し、または、演算処理部13において算出した「実測伸縮量ΔLa」との対比を行い、それらの相関関係の有無を確認して、図2(b)に示すように、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定を行う。そのような本第二実施形態の橋台・橋脚側方移動判定部14は、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されないが、例えば、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13と電気接続する他、無線ネットワークを介して、遠隔地に設置されたコンピュータ(図示しない)として温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13を制御自在に構成するとともに、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13から橋台・橋脚側方移動判定部14たる前記コンピュータへ随時データを転送するように構成することができ、また、橋台・橋脚側方移動判定部門を設けて人員を配置し、手作業で対応するように構成して橋台・橋脚側方移動判定部14とすることができる。
本第二実施形態における傾斜変状等発生判定部16は、1つまたは複数備えられて、図7(a)に示すように、遊間幅計測部12において計測し、または、演算処理部13において算出したそれぞれの遊間2の上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」との比に基づいて橋梁3の橋桁31および橋梁3の橋台32における傾斜の有無を確認し、図7(b)に示すように、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜変状、ならびに、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部および/または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行う。そのような本第二実施形態の傾斜変状等発生判定部16は、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されないが、例えば、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14と電気接続する他、無線ネットワークを介して、遠隔地に設置されたコンピュータ(図示しない)として温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14を制御自在に構成するとともに、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14から傾斜変状等発生判定部16たる前記コンピュータへ随時データを転送するように構成することができ、また、傾斜変状等発生判定部門を設けて人員を配置し、手作業で対応するように構成して傾斜変状等発生判定部16とすることができる。
本第二実施形態における橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部17は、1つまたは複数備えられて、橋台・橋脚側方移動判定部14における判定結果に基づいて、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行うとともに、傾斜変状等発生判定部16における判定に基づいて、橋梁3の橋台32、橋梁3の橋台32の杭基礎(図示しない)、橋梁3の橋台32の直接基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35のケーソン基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35の杭基礎(図示しない)および/または橋梁3の橋脚35の直接基礎(図示しない)が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、橋梁3の支承34および/または橋梁3の伸縮装置(図示しない)において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う。そのような橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部17は、本発明の特徴を損なわない範囲において適宜選択が可能であり、その構成は特に限定されないが、例えば、図8(a)および(b)に示すように、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14、傾斜変状等発生判定部16と電気接続する他、無線ネットワークを介して、遠隔地に設置されたコンピュータ(図示しない)として温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14、傾斜変状等発生判定部16を制御自在に構成するとともに、温度計測部11や遊間幅計測部12、演算処理部13、橋台・橋脚側方移動判定部14、傾斜変状等発生判定部16から橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部17たる前記コンピュータへ随時データを転送するように構成することができ、また、橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部門を設けて人員を配置し、手作業で対応するように構成して橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部17とすることができる。
次に、本発明に係る遊間異常を有する橋梁の診断方法の第一実施形態の構成について説明する。なお、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mのうち、上述した第一実施形態および第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1の各構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mは、図9に示すように、温度変化量算出工程S1と、橋桁理論伸縮量算出工程S2と、実測伸縮量計測・算出工程S3と、橋台・橋脚側方移動判定工程S4と、橋台・橋脚傾斜変状診断工程S5とを有する。
本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mにおける温度変化量算出工程S1は、気温および/または橋梁3の橋桁31の温度を時系列に計測して「温度変化量ΔT(℃)」を算出する工程、特に、時系列に計測した気温および/または橋梁3の橋桁31の温度のデータから選択した、低温傾向にある温度データに基づいて「温度変化量ΔT(℃)」を算出する工程であり、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mにおける橋桁理論伸縮量算出工程S2は、前記算出した「温度変化量ΔT(℃)」と「線膨張係数α」と「橋桁31の伸縮桁長L(mm)」とに基づいて「温度変化による橋梁3橋桁31の理論伸縮量ΔLt」を算出する工程であり、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mにおける実測伸縮量計測・算出工程S3は、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2の「実測伸縮量ΔLa」を時系列に計測するか、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の「実測伸縮量ΔLa」を時系列に計測するか、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2の幅を時系列に計測して前記時系列に計測した遊間2の幅の値に基づいて「実測伸縮量ΔLa」を算出するか、あるいは橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の幅を時系列に計測して前記時系列に計測した遊間2の幅の値に基づいて「実測伸縮量ΔLa」を算出する工程であり、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mにおける橋台・橋脚側方移動判定工程S4は、前記算出した「温度変化による橋梁3橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と、前記計測または算出したそれぞれの遊間2の「実測伸縮量ΔLa」との対比を行い、前記「温度変化による橋梁3橋桁31の理論伸縮量ΔLt」と前記それぞれの遊間2の「実測伸縮量ΔLa」との相関関係の有無を確認して、橋梁3の橋台32および/または橋梁3橋脚35の側方移動が発生しているか否かの判定を行う工程であり、本第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mにおける橋台・橋脚傾斜変状診断工程S5は、前記判定に基づいて、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、ならびに、橋梁3の橋台32および/または橋梁3橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う工程である。各工程S1〜S5の詳細な内容については、第一実施形態および第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1の各構成について述べた通りである。
次に、本発明に係る遊間異常を有する橋梁の診断方法の第二実施形態の構成について説明する。なお、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mのうち、上述した、第一実施形態および第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1の各構成、ならびに第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mの構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mは、図10に示すように、温度変化量算出工程S1と、橋桁理論伸縮量算出工程S2と、実測伸縮量計測・算出工程S3と、橋台・橋脚側方移動判定工程S4と、傾斜変状等発生判定工程S6と、橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断工程S7とを有する。
本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mにおける傾斜変状等発生判定工程S6は、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2における上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」を時系列に計測するか、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2における上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」を時系列に計測するか、橋梁3の橋桁31と橋梁3の橋台32との接続部において設けられた略鉛直方向の遊間2における上部の幅と下部の幅を時系列に計測して、前記計測した遊間2の上部の幅の値および下部の幅の値に基づいて前記遊間2の上部の「実測伸縮量ΔLa」および下部の「実測伸縮量ΔLa」を算出するか、あるいは、橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目において設けられた略鉛直方向の遊間2の上部の幅と下部の幅を時系列に計測して、前記計測した遊間2の上部の幅の値および下部の幅の値に基づいて前記遊間2の上部の「実測伸縮量ΔLa」および下部の「実測伸縮量ΔLa」を算出して、前記計測または算出したそれぞれの遊間2の上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」との比を算出し、前記算出したそれぞれの遊間2の上部の「実測伸縮量ΔLa」と下部の「実測伸縮量ΔLa」との比に基づいて橋梁3の橋桁31および橋台32における傾斜の有無を確認して、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜変状、ならびに、橋梁3の橋桁31と橋台32との接続部または橋梁3の橋桁31と橋桁31との継ぎ目における部分接触または接触の、少なくともいずれかが発生しているか否かの判定を行う工程であり、本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mにおける橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断工程S7は、前記それぞれの判定に基づいて、橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断、橋梁3の橋台32、橋梁3の橋台32の杭基礎(図示しない)、橋梁3の橋台32の直接基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35のケーソン基礎(図示しない)、橋梁3の橋脚35の杭基礎(図示しない)および/または橋梁3の橋脚35の直接基礎(図示しない)が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、橋梁3の支承34および/または橋梁3の伸縮装置(図示しない)において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を行う工程である。各工程S6およびS7の詳細な内容については、第一実施形態および第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1、ならびに、第一実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法の各構成について述べた通りである。
以上のような遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1の第一実施形態、遊間異常を有する橋梁3の診断装置1および遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1の第二実施形態、遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mの第一実施形態、ならびに、遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mの第二実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
1.橋梁3の初期の施工不良であるか否かの診断、橋梁3の橋台32および/または橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否かの診断、橋梁3の橋台32、橋梁3の橋台32の杭基礎、橋梁3の橋台32の直接基礎、橋梁3の橋脚35のケーソン基礎、橋梁3の橋脚35の杭基礎および/または橋梁3の橋脚35の直接基礎が傾斜を伴う側方移動を生じているか否かの診断、ならびに、橋梁3の支承34および/または伸縮装置において損傷が発生しているか否かの診断の、少なくともいずれかの診断を正確に行うことができる。
2.前記1.および2.の診断の結果、その原因として、基礎の変状、躯体の損傷、地盤の変動、地滑りの発生などを追求することができる。
3.本第一実施形態および本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断装置1、本第一実施形態および本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1、ならびに、本第一実施形態および本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mの構成がシンプルであるため、上述した診断を簡便に、速やかに、かつ正確に行うことができる。
なお、本発明に係る遊間異常を有する橋梁の診断装置、遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置および遊間異常を有する橋梁の診断方法は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない範囲において、適宜変更することができる。例えば、上述した各実施形態や構成以外の構成を、本発明の特徴を損なわない範囲において、適宜採用することができる。
以下、本発明に係る遊間異常を有する橋梁の診断装置、遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置および遊間異常を有する橋梁の診断方法について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例>北海道のある橋梁3に対し、本第一実施形態および本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の計測診断装置1、本第一実施形態および本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断に用いる装置1、ならびに、本第一実施形態および本第二実施形態の遊間異常を有する橋梁3の診断方法Mを用いて診断を実施した。なお、当該橋梁3の診断は、冬季に実施した。当該橋梁3の構造を図11に示す。図11中、「Fix」は「固定」を意味し、「Mov」は「可動」を意味する。その結果を下掲の表1に示す。
[表1]
表1に示すように、橋梁3のA1橋台32と橋梁3の橋桁31との遊間2についての診断により、橋梁3の橋台32、橋梁3の橋台32の杭基礎が傾斜を伴う側方移動を生じている、あるいは、橋梁3の支承34および/または橋梁3の伸縮装置において損傷が発生しているか否かが明らかとなり、橋梁3のP2橋脚35における橋梁3の橋桁31と橋桁31との遊間2についての診断により、橋梁3の初期の施工不良か否か、橋梁3の橋脚35の傾斜および/または変状が発生しているか否か、橋梁3の橋脚35のケーソン基礎が傾斜を伴う側方移動を生じている、あるいは、橋梁3の支承34および/または橋梁3の伸縮装置において損傷が発生しているか否かが明らかとなり、橋梁3のA2橋台32と橋梁3の橋桁31との遊間2についての診断により、橋梁3の初期の施工不良か否かが明らかとなった。
1 橋梁の診断装置または橋梁の診断に用いる装置
2 遊間
3 橋梁
11 温度計測部
12 遊間幅計測部
13 演算処理部
14 橋台・橋脚側方移動判定部
15 橋台・橋脚傾斜変状診断部
16 傾斜変状等発生判定部
17 橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部
31 橋桁
32 橋台
33 床版
34 支承
35 橋脚
M 橋梁の診断方法
S1 温度変化量算出工程
S2 橋桁理論伸縮量算出工程
S3 実測伸縮量計測・算出工程
S4 橋台・橋脚側方移動判定工程
S5 橋台・橋脚傾斜変状診断工程
S6 傾斜変状等発生判定工程
S7 橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断工程

Claims (8)

  1. 遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量とを対比し、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測したそれぞれの遊間の実測伸縮量相関関係が認められない場合は、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているの判定を行い、前記判定に基づいて前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているの診断を行い前記相関関係が認められる場合は、前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動のいずれも発生していないとの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるとの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、
    前記橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、
    前記それぞれの遊間を跨ぐように配設されて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を時系列に計測する1または複数の遊間幅計測部と
    を備える、前記装置。
  2. 遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間の幅の値に基づいて算出した前記それぞれの遊間の実測伸縮量とを対比し、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量相関関係が認められない場合は、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているの判定を行い、前記判定に基づいて前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているの診断を行い前記相関関係が認められる場合は、前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動のいずれも発生していないとの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるとの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、
    前記橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、
    前記それぞれの遊間を跨ぐように配設されて前記それぞれの遊間の実測伸縮量または幅を時系列に計測する1の遊間幅計測部と、
    前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出するとともに、前記遊間幅計測部が前記それぞれの遊間の幅を時系列に計測する構成をとる場合に、前記計測したそれぞれの遊間の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出する1または複数の演算処理部と
    を備える、前記装置。
  3. 橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、
    前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間を跨ぐように配設されて、前記それぞれの遊間の実測伸縮量または幅を時系列に計測する1の遊間幅計測部と、
    前記時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出するとともに、前記遊間幅計測部が前記それぞれの遊間の幅を時系列に計測する構成をとる場合に、前記計測したそれぞれの遊間の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出する1または複数の演算処理部と、
    前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量との対比を行い、それら相関関係が認められない場合は、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているの判定を行い、前記相関関係が認められる場合は、前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動のいずれも発生していないとの判定を行う1または複数の橋台・橋脚側方移動判定部と、
    前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとの判定に基づいて前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているの診断を行い前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動のいずれも発生していないとの判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるとの診断を行う1または複数の橋台・橋脚傾斜変状診断部と
    を備える、遊間異常を有する橋梁の診断装置または遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置。
  4. 遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量とを対比し、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、前記計測したそれぞれの遊間の実測伸縮量とに相関関係が認められる場合であって、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目におけるそれぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量を時系列に計測し、前記計測したそれぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量の比を算出して、前記算出した実測伸縮量の比に基づいて前記橋梁の橋桁および橋台において傾斜が認められる場合には、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触発生しているの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、または、前記橋梁の支承および/または伸縮装置において損傷が発生しているとの診断を行い、前記相関関係が認められる場合であって、前記傾斜が認められない場合には、前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触または接触の、いずれも発生していないとの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるとの診断を行い、前記相関関係が認められない場合であって、前記傾斜が認められる場合には、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとともに、前記橋梁の橋台および/または橋脚における傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触の、少なくともいずれかが発生しているとの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚における傾斜および/または変状が発生しているとの診断を行うとともに、前記橋梁の橋台、前記橋台の杭基礎、前記橋台の直接基礎、前記橋脚のケーソン基礎、前記橋脚の杭基礎および/または前記橋脚の直接基礎傾斜を伴う側方移動ならびに、前記橋梁の支承および/または伸縮装置における損傷の、少なくともいずれかが発生しているとの診断を行い、前記相関関係が認められない場合であって、前記傾斜が認められない場合には、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとともに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において接触が発生しているとの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の変状が発生しているとの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、
    前記橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、
    前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部を跨ぐように配設されて、前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の実測伸縮量を時系列に計測する複数の遊間幅計測部と
    を備える、前記装置。
  5. 遊間異常を有する橋梁において、時系列に計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて算出した、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間の幅の値に基づいて算出した前記それぞれの遊間の実測伸縮量とを対比し、前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と、前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量とに相関関係が認められる場合であって、時系列に計測した、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目におけるそれぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量、または、時系列に計測した前記それぞれの遊間の上部と下部の幅の値に基づいて算出した前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量の比を算出して、前記算出した実測伸縮量の比に基づいて前記橋梁の橋桁および橋台において傾斜が認められる場合には、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触発生しているの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるか否かの診断、または、前記橋梁の支承および/または伸縮装置において損傷が発生しているとの診断を行い、前記相関関係が認められる場合であって、前記傾斜が認められない場合には、前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触または接触の、いずれも発生していないとの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるとの診断を行い、前記相関関係が認められない場合であって、前記傾斜が認められる場合には、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとともに、前記橋梁の橋台および/または橋脚における傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触の、少なくともいずれかが発生しているとの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚における傾斜および/または変状が発生しているとの診断を行うとともに、前記橋梁の橋台、前記橋台の杭基礎、前記橋台の直接基礎、前記橋脚のケーソン基礎、前記橋脚の杭基礎および/または前記橋脚の直接基礎傾斜を伴う側方移動ならびに、前記橋梁の支承および/または伸縮装置における損傷の、少なくともいずれかが発生しているとの診断を行い、前記相関関係が認められない場合であって、前記傾斜が認められない場合には、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとともに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において接触が発生しているとの判定を行い、前記判定に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の変状が発生しているとの診断を行う装置または前記診断に用いる装置であって、
    前記橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、
    前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部を跨ぐように配設されて、前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の実測伸縮量または幅を時系列に計測する複数の遊間幅計測部と、前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出し、かつ、前記遊間幅計測部が前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の幅を時系列に計測する構成をとる場合に、前記計測したそれぞれの遊間の少なくとも上部および下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出するとともに、前記計測したそれぞれの遊間の上部および下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の上部および下部の実測伸縮量を算出して、前記計測または算出したそれぞれの遊間の上部および下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量の比を算出する複数の演算処理部と
    を備える、前記装置。
  6. 橋梁および/またはその近傍に配設されて、気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測する1または複数の温度計測部と、
    前記橋梁の橋桁と前記橋梁の橋台との接続部および/もしくは前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の少なくとも上部および下部を跨ぐように配設されて、前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の実測伸縮量または幅を時系列に計測する複数の遊間幅計測部と、
    前記計測した気温および/または前記橋梁の橋桁の温度の変化量に基づいて、温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出し、かつ、前記遊間幅計測部が前記それぞれの遊間の少なくとも上部および下部の幅を時系列に計測する構成をとる場合に、前記計測したそれぞれの遊間の少なくとも上部および下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出するとともに、前記計測したそれぞれの遊間の上部および下部の幅の値に基づいて前記それぞれの遊間の上部および下部の実測伸縮量を算出して、前記計測または算出したそれぞれの遊間の上部および下部の実測伸縮量に基づいて、前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量の比を算出する複数の演算処理部と、
    前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出した前記それぞれの遊間の実測伸縮量との対比を行い、それら相関関係が認められない場合は、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているの判定を行い、前記相関関係が認められる場合は、前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動のいずれも発生していないとの判定を行う1または複数の橋台・橋脚側方移動判定部と、
    前記算出した実測伸縮量の比に基づいて前記橋梁の橋桁および橋台において傾斜が認められる場合には、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において部分接触発生しているの判定を行い、前記傾斜が認められない場合には、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において、部分接触および接触のいずれも発生していないか、または、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において接触が発生しているとの判定を行う1または複数の傾斜変状等発生判定部と、
    前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触が発生しているとの判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるの診断、または、前記橋梁の支承および伸縮装置の少なくともいずれかにおいて損傷が発生しているの診断を行い前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触および接触の、いずれも発生していないとの判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるとの診断を行い、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとともに、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触の、少なくともいずれかが発生しているとの判定に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているとの診断と、前記橋梁の橋台、前記橋台の杭基礎、前記橋台の直接基礎、前記橋脚のケーソン基礎、前記橋脚の杭基礎および前記橋脚の直接基礎の傾斜を伴う側方移動、ならびに、前記橋梁の支承および伸縮装置の損傷の、少なくともいずれかが発生しているとの診断とを行い、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとともに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において接触が発生しているとの判定に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜を伴わない変状が発生しているとの診断を行う1または複数の橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断部と
    を備える、遊間異常を有する橋梁の診断装置または遊間異常を有する橋梁の診断に用いる装置。
  7. 遊間異常を有する橋梁の診断方法であって、
    気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測して温度変化量を算出する温度変化量算出工程と、
    前記算出した温度変化量と線膨張係数と前記橋梁の橋桁の伸縮桁長とに基づいて温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量を算出する橋桁理論伸縮量算出工程と、
    前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量または幅を時系列に計測するとともに、前記それぞれの遊間の幅を計測した場合には、前記計測したそれぞれの遊間の幅に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出する実測伸縮量計測・算出工程と、
    前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量との対比を行い、前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量および前記それぞれの遊間の実測伸縮量相関関係が認められない場合は、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているかの判定を行い、前記相関関係が認められる場合は、前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動のいずれも発生していないとの判定を行う橋台・橋脚側方移動判定工程と、
    前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとの判定に基づいて前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているの診断を行い前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動のいずれも発生していないとの判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるとの診断を行う橋台・橋脚傾斜変状診断工程と
    を有する、前記方法。
  8. 遊間異常を有する橋梁の診断方法であって、
    気温および/または前記橋梁の橋桁の温度を時系列に計測して温度変化量を算出する温度変化量算出工程と、
    前記算出した温度変化量と線膨張係数と前記橋梁の橋桁の伸縮桁長とに基づいて温度変化による前記橋桁の理論伸縮量を算出する橋桁理論伸縮量算出工程と、
    橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目においてそれぞれ設けられた略鉛直方向の遊間の実測伸縮量または幅を時系列に計測するとともに、前記それぞれの遊間の幅を計測した場合には、前記計測したそれぞれの遊間の幅に基づいて前記それぞれの遊間の実測伸縮量を算出する実測伸縮量計測・算出工程と、
    前記算出した温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量と前記計測または算出したそれぞれの遊間の実測伸縮量との対比を行い、前記温度変化による前記橋梁の橋桁の理論伸縮量および前記それぞれの遊間の実測伸縮量相関関係が認められない場合は、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているの判定を行い、前記相関関係が認められる場合は、前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動のいずれも発生していないとの判定を行う橋台・橋脚側方移動判定工程と、
    前記それぞれの遊間の上部と下部の実測伸縮量または幅を時系列に計測するとともに、前記それぞれの遊間の上部と下部の幅を計測した場合には、前記計測したそれぞれの遊間の上部と下部の幅の値に基づいて前記遊間の上部および下部の実測伸縮量を算出して、それぞれの遊間の上部の実測伸縮量と下部の実測伸縮量との比を算出し、前記算出した実測伸縮量の比に基づいて前記橋梁の橋桁および橋台において傾斜が認められる場合には、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において部分接触発生しているの判定を行い、前記傾斜が認められない場合には、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において、部分接触および接触のいずれも発生していないか、または、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において接触が発生しているとの判定を行う傾斜変状等発生判定工程と、
    前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触が発生しているとの判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるの診断、または、前記橋梁の支承および伸縮装置の少なくともいずれかにおいて損傷が発生しているの診断を行い前記橋梁の橋台および橋脚の側方移動、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触および接触の、いずれも発生していないとの判定に基づいて、前記橋梁の初期の施工不良であるとの診断を行い、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとともに、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜変状、ならびに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目における部分接触の、少なくともいずれかが発生しているとの判定に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜および/または変状が発生しているとの診断と、前記橋梁の橋台、前記橋台の杭基礎、前記橋台の直接基礎、前記橋脚のケーソン基礎、前記橋脚の杭基礎および前記橋脚の直接基礎の傾斜を伴う側方移動、ならびに、前記橋梁の支承および伸縮装置の損傷の、少なくともいずれかが発生しているとの診断とを行い、前記橋梁の橋台および/または橋脚の側方移動が発生しているとともに、前記橋梁の橋桁と橋台との接続部および/または前記橋梁の橋桁と橋桁との継ぎ目において接触が発生しているとの判定に基づいて、前記橋梁の橋台および/または橋脚の傾斜を伴わない変状が発生しているとの診断を行う橋台・橋脚傾斜変状/傾斜側方移動・損傷診断工程と
    を有する、前記方法。
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