JP6721934B2 - 積層造形用銅粉末、積層造形用銅粉末の製造方法、積層造形物の製造方法及び積層造形物 - Google Patents
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Description
機械的強度および高導電率が求められる部品には銅が多用されており、銅を用いた積層造形技術の開発が求められている。
特許文献1には、クロムまたはケイ素を含む積層造形用の銅合金粉末が開示されている。特許文献2には、表面にレーザ光を照射することで酸化膜が形成された積層造形用の銅粉末が開示されている。
しかし、銅粉末を用いた積層造形物は空隙が生じやすく機械的強度を向上させることが難しい。また、純銅の導電率に比較すると積層造形物では導電率はかなり低くなる。従って、銅粉末を用いた積層造形物の機械的強度および導電率を十分に向上させることは困難である。
及び、機械的強度及び導電率が十分に高い積層造形物及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明は、比表面積変化率が50%以下であってもよい。
本発明は、被膜剥離率が80%未満であってもよい。
積層造形用銅粉末の製造方法にかかる本発明において、前記工程において比表面積変化率が50%以下である粉末となるようにしてもよい。
積層造形用銅粉末の製造方法にかかる本発明において、被膜剥離率が80%未満であってもよい。
積層造形物の製造方法にかかる本発明において、前記積層造形用銅粉末の比表面積変化率が50%以下であってもよい。
積層造形物の製造方法にかかる本発明において積層造形用銅粉末の被膜剥離率が80%未満であってもよい。
積層造形物にかかる本発明において、酸化第一銅(Cu2O)を0.1質量%以上6.0質量%以下含んでいる。
積層造形物にかかる本発明において、導電率が60%IACS以上であってもよい。
また、本発明によれば、機械的強度および導電率が十分に高い積層造形物及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態の銅粉末は、平均粒子径が1μm以上150μm以下であって、酸化銅を単位表面積当たり0.10g/m2以上7.0g/m2以下、且つ単位質量当り0.5質量%以上9.4質量%以下含む積層造形用銅粉末である。
銅粉末の平均粒子径が上記範囲であることで、粉末の流動性を改善できると共に、積層造形物の密度及び導電率を向上させることができる。
尚、本実施形態において粉末の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により計測される粒子径分布から求められるメジアン径を意味する。
銅粉末の単位表面積当たりの酸化銅濃度が上記範囲であることで積層造形物の密度及び導電率を向上させることができる。
単位表面積当たりの酸化銅濃度とは、銅粉末表面の被膜中の酸化銅濃度(質量%)を銅粉末の比表面積(m2/g)及び100で割った値をいい、具体的には実施例で示す方法で測定される値をいう。
例えば、平均粒子径5μm未満の場合には、酸化銅濃度は0.10g/m2以上0.70g/m2以下、平均粒子径5μm以上15μm未満の場合には、酸化銅濃度は0.15g/m2以上1.3g/m2以下、平均粒子径15μm以上25μm未満の場合には、酸化銅濃度は0.3g/m2以上2.3g/m2以下、平均粒子径25μm以上60μm未満の場合には、酸化銅濃度は0.5g/m2以上4.8g/m2以下、平均粒子径60μm以上の場合には、酸化銅濃度は0.8g/m2以上7.0g/m2以下であること等が挙げられる。
尚、酸化銅濃度は、酸溶解法で測定(算出)される値をいい、具体的には実施例で示す方法で測定される値である。
酸化第一銅(Cu2O)を含む場合には0.5質量%以上9.4質量%以下、あるいは0.5質量%以上9.0質量%以下、あるいは0.5質量%以上8.0質量%以下、あるいは1.3質量%以上9.4質量%以下、あるいは、1.3質量%以上9.0質量%以下、あるいは1.3質量%以上8.0質量%以下含むことが挙げられる。
酸化銅として酸化第一銅(Cu2O)を上記濃度範囲含むことで、積層造形物の密度及び導電率を向上させることができる。
尚、酸化第一銅濃度は、酸溶解法で測定される値を基に算出される値であり、具体的には実施例で示す方法で測定される値である。
銅粉末の表面に酸化銅被膜が存在する場合には、銅粉末表面を改質することができ、その結果、積層造形物の密度を向上させて機械的強度を向上させうる。一方、銅粉末の内部には銅を高濃度で保持させておくことができ、その結果導電率が高い状態の積層造形物を形成することができる。
尚、酸化第二銅を含まないとは、後述する実施例に記載の方法で分析した場合にCuOが検出されないことを意味する。
本実施形態の積層造形用銅粉末は、酸化第一銅(Cu2O)の含有量が1.3質量%以上9.4質量%以下、且つ酸化第二銅(CuO)の含有量が1.7質量%以下であってもよい。
尚、本実施形態でいう波長とは、レーザ積層造形において主流となっているYb(イッテルビウム)ファイバーレーザ光の波長であることが好ましい。
比表面積変化率が上記範囲であることで、積層造形物の密度及び導電率を向上させることができる。
尚、本実施形態でいう比表面積変化率とは、銅粉末表面の酸化銅被膜を所定の方法で除去し、除去前の銅粉末の比表面積と、除去後の銅粉末の比表面積とを比較して、違いを変化率として%で表した値をいい、具体的には実施例で示す方法で測定される値をいう。
被膜剥離率が上記範囲であることで、積層造形物の密度及び導電率を向上させることができる。
尚、本実施形態でいう被膜剥離率は具体的には実施例で示す方法で測定される値をいう。
本実施形態の銅粉末の製造方法は特に限定されず、所定の組成を有する材料を粉末化してもよく、原料粉末に表面処理を施すことで調整してもよい。
原料銅粉末としては、機械的手法、化学的手法、アトマイズ法等により形成された銅粉末を制限なく使用できる。球状または略球状の粉末を得るためには、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法、プラズマ回転電極法、熱プラズマ法等が好ましい。一般には、表面処理の前後で粒子径はほとんど変化しないため、原料銅粉末としては、積層造形物用銅粉末の粒子径と同等の粒子径を有するものが好ましい。
以下、焼成による本発明にかかる積層造形物用銅粉末の製造方法について説明する。
また銅粉末の粒子径としても上述のとおり積層造形物用銅粉末の粒子径と同等の粒子径を有するものが好ましい。
本実施形態の製造方法は、かかる焼成条件の範囲の中から適宜調整することで、平均粒子径が1μm以上150μm以下であって、酸化銅を単位表面積当たり0.10g/m2以上7.0g/m2以下、且つ単位質量当り0.5質量%以上9.4質量%以下含む粉末となるようにする工程を含む。
比表面積変化率を上記範囲に調整する手法としては特に限定されるものではないが、例えば、銅粉末表面に酸化銅被膜を形成し、且つ、その量を調整すること等が挙げられる。より具体的な例としては、上記工程における焼成温度、焼成時間等を適宜調整することで、比表面積変化率を上記範囲に調整すること等が挙げられる。
あるいは、焼成時の粉末の分散状態を適宜調整することで、比表面積変化率を上記範囲に調整すること等も挙げられる。銅粉末同士が接触している状態と分散している状態とでは酸化銅被膜の形成プロセスが変化するため、例えば、焼成時にガスで分散させる等分散状態を調整することでも比表面積変化率を調整することができる。
被膜剥離率を上記範囲に調整する手段としては特に限定されるものではないが、例えば、上記工程における焼成温度、焼成時間、銅粉末の分散状態等を適宜調整することで、被膜剥離率を上記範囲に調整すること等が挙げられる。
本実施形態の銅粉末を用いて積層造形物を製造する方法について説明する。
銅粉末を用いた積層造形方法としては、金属粉末(銅粉末)を用いて積層造形物を製造する一般的な方法が採用できる。
例えば、金属粉末に高密度のエネルギーを付与して溶融固化させる方法が適している。金属粉末を溶融固化させるためのエネルギー源としては、レーザ、電子ビーム、プラズマ等が挙げられる。中でも、局所的に高密度のエネルギーを付与して金属粉末を溶融できることから、レーザを用いる方法が好ましい。レーザを用いた金属粉末の積層造形法としては、パウダーベッド方式およびメタルデポジション方式が挙げられる。
メタルデポジション方式では、レーザ等のエネルギーにより所定位置を加熱し、金属粉末を供給して所定位置で固化させることにより造形層を形成する。造形層の形成を繰り返すことにより三次元積層造形物を作製できる。特に、パウダーベッド方式は、加工精度が高く、高密度の造形物を形成可能であるとの利点を有する。
パウダーベッド方式は、試作品や唯一品の造形物を製造するのに適しており、メタルデポジション方式は既存の母材や部品の表面のコーティングや補修に適している。
以下ではパウダーベッド方式による積層造形方法について説明する。
昇降可能なテーブル上の所定領域に、上記の金属粉末を敷き詰め、所定の厚み(d)の粉末層を形成する。粉末層は、上記の金属粉末の他に、レーザ吸収剤等を含んでいてもよい。粉末層の表面は、必要に応じてスキージブレード等により平滑にしてもよい。
スライスデータに基づいて、粉末層の所定位置にエネルギーを照射する。前述のように、照射するエネルギーとしては、レーザ、電子ビーム、プラズマ等が挙げられ、特にレーザが好ましい。レーザ等によるエネルギー照射に先立ち、予め粉末層を加熱しておいてもよい。エネルギー照射領域の金属粉末は、溶融または焼結を経て固化し、造形層が形成される。エネルギーが照射されなかった領域の金属粉末は固化せずに粉末状態で残存する。
メタルデポジション方式による造形方法は、金属粉末を層状に配置して粉末層を形成する代わりに、ノズルから金属粉末を噴射すると同時にレーザ光を照射するなどして金属粉末を所定位置に供給しながら加熱溶融させ、固化させて造形する方法である。ノズル又は所定位置(積層物を形成するステージ等)を移動させながら噴射することで、所望の形状の造形物を得ることができる。
また、この方式では、各種既存の造形物(母材や部品)の所望の箇所に追加して造形物を形成して、コーティングしたり補修したりすることも容易にできるという利点がある。
例えば、本実施形態の積層造形物の製造方法としては平均粒子径が1μm以上150μm以下であって、酸化銅を単位表面積当たり0.10g/m2以上7.0g/m2以下、且つ単位質量当り0.5質量%以上9.4質量%以下含む積層造形用銅粉末の所定位置にエネルギーを照射して固化させて造形層を形成する造形工程と、前記造形工程を繰り返して行い前記造形層を積層する積層工程と、を含む積層造形物の製造方法が挙げられる。
本実施形態の積層造形物は、銅を90質量%以上含有し、相対密度が94%以上であり、導電率が50%IACS以上である。
積層造形により作製される造形物は、切削加工では実現できない複雑形状を有し得る。本発明では、銅粉末を積層造形材料として用いるため、得られる積層造形物は銅を主成分とする。
尚、積層造形物の組成は、原料の銅粉末と同一でもよく異なっていてもよい。
また、積層造形物における酸化銅の含有量は、銅粉末における含有量よりも小さくなる傾向がある。積層造形物は不可避不純物を含んでいてもよい。
銅の含有量が上記範囲であることで高い導電率とすることができる。
尚、本実施形態でいう相対密度とは、アルキメデス法により測定される相対密度であり、具体的には後述する実施例に記載の測定方法で測定される密度をいう。
積層造形物が電気材料として用いられる場合、導電率は高い方が好ましく、上記範囲であることで、電気材料として十分に使用可能な積層造形物となる。
また、導電率が上記範囲であることで、ウィーデマン・フランツの法則(κ/σ=LT、κ:熱伝導率、σ:導電率、T:絶対温度、L:ローレンツ数2.31×10−8Js−1ΩK−2)により、熱伝導材料としても十分に使用可能な積層造形物となる。
積層造形物の空隙率が小さいほど、機械的強度および導電率が向上する傾向がある。
積層造形物の材料として上述の本実施形態にかかる銅粉末を用いることにより、一般的な銅粉末を用いた場合よりも空隙率が小さく高密度の積層造形物を形成できる。
積層造形物の酸化第一銅濃度が上記範囲であることで高い導電率及び機械的強度が得られる。
[銅粉末の調製]
原料として、平均粒子径が異なる(10μm、20μm、46μm、80μm)純銅のアトマイズ粉末を準備し、それぞれの径の純銅粉末を焼成炉を用いて表1に示す焼成時間及び焼成温度で焼成して、各銅粉末を得た。
尚、それぞれ未処理の純銅粉末を未処理A〜Dとした。
10μm:未処理銅粉末A Cu-HWQ10(純銅)
20μm:未処理銅粉末B Cu-HWQ20(純銅)
46μm:未処理銅粉末C Cu-At-200At2(純銅)
80μm:未処理銅粉末D Cu-At-100(純銅)を目開き52μmと125μmのふるいで分級し、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製 SALD-2300)にて粒度分布測定を行いメジアン径80μmであることを確認したもの。
未処理銅粉末A、B及び、銅粉末1〜13を用いて積層造形物を作製した。
ドイツEOS製「EOSINT M280」を用い、窒素ガスフロー雰囲気(残留酸素濃度約0.5%)にて、下記の条件で、直径8mm、高さ約12mmの円柱形状の造形物を作製した。
レーザ出力:370W
走査速度:200〜1200mm/秒
走査ピッチ:0.1mm
積層厚さ:0.04mm
走査速度は、各表に示す速度で行った。
<積層造形物の相対密度>
積層造形物の相対密度はJIS Z2501:2000に準じて、液体として水を用いてアルキメデス法による測定を行い、銅の密度(8.94g/cm3)に対する比率を算出した。
得られた積層造形物(円柱:高さ12mm、直径8mm)をクロスセクションにより断面研磨する。断面(円の中心付近)を光学顕微鏡(倍率50倍)で観察し、VHX(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープ)付属の計測ソフトを用いて倍率50倍の画像を明度を基に二値化し、観察像内の空隙の面積から、
空隙率(%)=100×(空隙面積)÷(観察面積)
を算出した。
渦電流式導電率計を用いて、積層造形物の導電率(%IACS)を測定した。
得られた積層造形物の断面をX線回折装置(リガク社製、SmartLab9kW)にて、Cu管球、管電圧45kV、管電流200mA、走査速度20°/分、サンプリング間隔0.01°の条件で分析した。予め既知濃度のCu2Oを同X線回折装置で分析した結果を基に作成した検量線を用いて、銅粉末試料のCu2Oと濃度を算出する。
上記銅粉末に加えて未処理CおよびDを用いて、各測定を行った。
未処理の銅粉末A〜D、銅粉末1〜13の安息角を測定した。
黄銅製円柱試料台(高さ5mm、Φ10mm)にスパチュラを用いて各銅粉末を試料台からこぼれ落ちるまで静かに堆積させ、デジタルカメラで撮影した。その画像を画像解析ソフトImageJを用いて安息角を測定した。
まず、0.2mol/L塩酸と99.5%メタノールとを体積比1:1で混合した溶液200mlに、オクチルアミン0.1gを添加し、スターラーで撹拌しながら、窒素ガスで10分間脱酸素処理を行う。さらに、窒素ガスを流しながら銅粉末試料200mgを投入する。ろ液の銅濃度がサチレートするまで撹拌処理した後、アドバンテック製ろ紙4Aを用いてろ過する。ろ液を50倍希釈し、ICP発光分光分析装置(日立社製、PS3520UVDDII)にて銅濃度を測定する。
尚、各銅粉末は、X線回折装置(リガク社製、SmartLab9kW)にて、Cu管球、管電圧45kV、管電流200mA、走査速度20°/分、サンプリング間隔0.01°の条件で分析した。CuOが検出されなかった場合には測定された銅濃度はすべてCu2O由来の銅の濃度であるとして、酸化銅および酸素濃度を算出した。
銅粉末試料を上記のX線回折装置で分析し、Cu2Oに加えてCuOが検出された場合は、予めCu2OとCuOを既知の質量比で混合し、同X線回折装置で分析した結果を基に作成した検量線を用いて、銅粉末試料のCu2OとCuOの質量比を算出する。続いて、酸溶解法により測定した酸化銅濃度の測定結果とCuOの質量比率からCuO濃度を算出する。
尚、上記CuO濃度の測定方法において測定可能な濃度は1.7質量%を超える濃度であった。すなわち、あらかじめ濃度がわかっている試料(1.0質量%、1.2質量%、1.4質量%、1.5質量%、1,7質量%及び1.9質量%)を準備し、これらの試料を上記測定方法で測定したところ、1.9質量%の試料のみ濃度を測定することができ、他の試料はCuOが検出できなかった。よって、本実施例においてCuOの含有量1.7質量%以下であれば実質的にCuOが含まれていない、すなわちCuO濃度は0%の銅粉末であるとした。
各銅粉末の比表面積を測定した。
[酸化銅除去後の比表面積]
1.0mol/L塩酸と99.5%メタノールとを体積比3:1で混合した溶液2Lにオクチルアミン0.7gを添加し、スターラーで撹拌しながら、銅粉末試料を投入する。このときに投入する銅粉末試料量は、酸化銅濃度が4.0質量%未満のときは150g、4.0質量%以上のときは75gとする。前記<単位質量当りの酸化銅Cu2O濃度>の試料の調整方法において銅粉末試料を投入した後にサチレートしたときの銅濃度と同等になるまで撹拌処理した後、アドバンテック製ろ紙5Cを用いてろ過し、酸化銅被膜を除去した銅粉末を得る。尚、ろ過前の液の調整において、塩酸濃度とオクチルアミンの量は、酸化銅被膜を溶解でき、且つ、ろ液の銅濃度がサチレートするように調整して上記濃度及び量とした。得られた銅粉末を真空乾燥し、ふるいがけしたものを比表面積測定用の試料とした。メジアン径10μmの銅粉末は目開き40μm、メジアン径20μmの銅粉末は目開き90μm、メジアン径45μmと80μmの銅粉末は目開き125μmのふるいを使用した。ブレーン空気透過粉末度測定器(東京理化精機製作所製)にて比表面積測定を行った。
各銅粉末をふるいがけする。ふるいは、メジアン径10μmの銅粉末は目開き40μm、メジアン径20μmの銅粉末は目開き90μm、メジアン径45μmと80μmの銅粉末は目開き125μmのふるいを使用した。ブレーン空気透過粉末度測定器(東京理化精機製作所製)にて比表面積測定を行った。
各銅粉末の比表面積変化率は、以下の式で算出された。単位は、[%]である。
[(酸化銅除去前の比表面積÷酸化銅除去後の比表面積)−1]×100
各銅粉末の単位表面積当たりの酸化銅濃度は、以下の式で算出された。単位は、[g/m2]である。
Cu2O濃度÷比表面積÷100
各銅粉末の被膜剥離率を以下の方法で測定し、算出した。
銅粉末のSEM画像を撮影し、SEM画像を基に輪郭がすべて確認できる銅粉末100個のうち酸化銅被膜が剥離している粉末数をカウントし、酸化銅被膜が剥離している粉末の割合を算出する。単位は[%]である。
酸化銅被膜剥離率[%]=剥離粉末数/100個×100
結果を表17に示す。
波長1070nmの光に対する上記各銅粉末の反射率を紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所製、SolidSpec-3700)で測定した結果を表18に示す。
平均粒子径及び酸化銅の含有量(単位表面積当たり、単位質量当り)が所定の範囲である銅粉末を用いた積層造形物は、それ以外の銅粉末(未処理及び銅粉末6)に比べて空隙率が低く、あるいは相対密度が高く、且つ導電率が高い積層造形物を得られやすいことが明らかであった。
また、それらの銅粉末の安息角及び反射率も所定の範囲であることが示された。
Claims (16)
- 平均粒子径が1μm以上150μm以下であって、
酸化銅を単位表面積当たり0.10g/m2以上7.0g/m2以下、且つ単位質量当り1.3質量%以上9.4質量%以下含み、
酸化第一銅(Cu 2 O)の含有量が1.3質量%以上9.4質量%以下、且つ酸化第二銅(CuO)の含有量が1.7質量%以下である積層造形用銅粉末。 - 波長1070nmの光に対する反射率が65%以下である請求項1に記載の積層造形用銅粉末。
- 安息角が50度以下である請求項1又は2に記載の積層造形用銅粉末。
- 比表面積変化率が50%以下である請求項1乃至3の何れか一項に記載の積層造形用銅粉末。
- 被膜剥離率が80%未満である請求項1乃至4の何れか一項に記載の積層造形用銅粉末。
- 銅粉末を温度100℃以上500℃以下で0.1時間以上72時間以下焼成することで、平均粒子径が1μm以上150μm以下であって、酸化銅を単位表面積当たり0.10g/m2以上7.0g/m2以下、且つ単位質量当り1.3質量%以上9.4質量%以下含み、酸化第一銅(Cu 2 O)の含有量が1.3質量%以上9.4質量%以下、且つ酸化第二銅(CuO)の含有量が1.7質量%以下である粉末となるようにする工程を含む積層造形用銅粉末の製造方法。
- 前記工程において比表面積変化率が50%以下である粉末となるようにする請求項6に記載の積層造形用銅粉末の製造方法。
- 前記工程において被膜剥離率が80%未満である粉末となるようにする請求項6又は7に記載の積層造形用銅粉末の製造方法。
- 平均粒子径が1μm以上150μm以下であって、酸化銅を単位表面積当たり0.10g/m2以上7.0g/m2以下、且つ単位質量当り1.3質量%以上9.4質量%以下含み、酸化第一銅(Cu 2 O)の含有量が1.3質量%以上9.4質量%以下、且つ酸化第二銅(CuO)の含有量が1.7質量%以下である積層造形用銅粉末の所定位置にエネルギーを照射して固化させて造形層を形成する造形工程と、
前記造形工程を繰り返して行い前記造形層を積層する積層工程と、を含む積層造形物の製造方法。 - 平均粒子径が1μm以上150μm以下であって、酸化銅を単位表面積当たり0.10g/m2以上7.0g/m2以下、且つ単位質量当り1.3質量%以上9.4質量%以下含み、酸化第一銅(Cu 2 O)の含有量が1.3質量%以上9.4質量%以下、且つ酸化第二銅(CuO)の含有量が1.7質量%以下である積層造形用銅粉末を所定位置に供給しながら加熱溶融させ、固化させて造形層を形成する造形工程と、
前記造形工程を繰り返して行い前記造形層を積層する積層工程と、を含む積層造形物の製造方法。 - 銅粉末を温度100℃以上500℃以下で0.1時間以上72時間以下焼成して前記積層造形用銅粉末を作製する粉末作製工程を、さらに含む請求項9又は10に記載の積層造形物の製造方法。
- 前記積層造形用銅粉末の比表面積変化率が50%以下である請求項9乃至11の何れか一項に記載の積層造形物の製造方法。
- 前記積層造形用銅粉末の被膜剥離率が80%未満である請求項9乃至12の何れか一項に記載の積層造形物の製造方法。
- 銅を90質量%以上含有し、相対密度が94%以上であり、導電率が50%IACS以上であり、且つ、酸化第一銅(Cu 2 O)を0.1質量%以上6.0質量%以下含む積層造形物。
- 断面観察から求められる空隙率が15%以下である請求項14に記載の積層造形物。
- 導電率が60%IACS以上である請求項14又は15に記載の積層造形物。
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