図1は、本発明の第1実施形態に係る計測センサ用パッケージ1を示す平面図であり、図2は、図1の切断面線A−Aで切断した断面図であり、図3は、図1の切断面線B−Bで切断した断面図である。なお、図1の平面図では、蓋体3を省略して図示している。
計測センサ用パッケージ1は、基体2および蓋体3を含み、さらに表層接地導体層4、金属薄層5および導電性接合材6を含む。基体2は、発光素子および複数の受光素子を収容するものであり、基体本体20に、信号配線導体23と、外部接地端子24とが配設されている。
本実施形態の基体本体20は、矩形板状であって、複数の誘電体層が積層されて形成されている。また、この基体本体20には、少なくとも3つの凹部が設けられており、3つの凹部のうちの1つは、発光素子を収容する発光素子収容凹部20aであり、3つの凹部のうちの1つは、第1受光素子を収容する第1受光素子収容凹部20bであり、3つの凹部のうちの1つは、第2受光素子を収容する第2受光素子収容凹部20cである。発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cは、基体2の1つの面である一方主面21に開口するように設けられている。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1は、光のドップラー効果を利用して、血流等の流体の流れを計測する計測センサに好適に用いられる。特に、血流を計測する場合には、例えば手指等の身体の一部に外部から光を照射し、皮膚下の血管を流れる血液に含まれる血球細胞によって散乱された光を受光して、周波数の変化から血流を測定する。
光のドップラー効果によって血管内の血流を測定するために、計測センサは、生体内の被計測物である血管に光を照射する発光素子と、被計測物である血管によって散乱された光を受光する第1受光素子と、を備える。また、外部などから計測センサ内部に進入する電磁波によって第1受光素子で生じるノイズを見積もるために、外部からの入射光を受光しない第2受光素子を備える。第2受光素子が出力する信号は、計測センサ内部に進入してきた電磁波を、例えば、第2受光素子内部の信号配線、第2受光素子と計測センサ用パッケージ1の信号導体とを電気的に接続するボンディングワイヤなどがアンテナとして受信したことで生じるノイズ成分を含んでいる。この第2受光素子は、前記のとおり光を受光しないので、出力する信号は、不要な電磁波によるノイズ成分のみを含む信号である。一方、第1受光素子は、測定のために外部から入射する入射光を受光し、さらに第2受光素子と同様に計測センサ内部に進入してきた電磁波を受信する。第1受光素子が出力する信号は、散乱光の受光によって生じる信号成分と、不要な電磁波によるノイズ成分との両方を含む信号である。第1受光素子から出力される信号を、第2受光素子から出力される信号によって補正すれば、第1受光素子から出力される信号における不要な電磁波ノイズ成分の影響が低減され、散乱光の受光によって生じる信号成分が相対的に大きくなる。このような出力信号を用いることで、ノイズの影響が低減され、高精度の測定結果を得ることができる。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1は、第1受光素子が外部からの入射光を受光する一方で、第2受光素子が外部からの入射光を受光しないように構成される。計測センサ用パッケージ1は、蓋体3の、基体2の一方主面21に対向する面である対向面3aに第1金属薄層50および第2金属薄層51が設けられている。第1金属薄層50には、第1受光素子収容凹部20bに入射する光を規制する絞り孔5aが設けられている。すなわち、第1受光素子収容凹部20bに収容される第1受光素子は、絞り孔5aを通過した光(血流による散乱光)を受光することができる。第2金属薄層51は、第2受光素子収容凹部20cに入射する光を遮光する。すなわち、第2受光素子収容凹部20cに収容される第2受光素子は、血流による散乱光を含む外光を受光しない。
本実施形態では、第1金属薄層50と第2金属薄層51とは、連なって1つの金属薄層5を構成し、金属薄層5のうちの、第1受光素子収容凹部20bを覆う部分が第1金属薄層50に相当し、第2受光素子収容凹部20cを覆う部分が第2金属薄層51に相当する。
発光素子収容凹部20aの大きさ、第1受光素子収容凹部20bの大きさ、第2受光素子収容凹部20cの大きさは、収容しようとする発光素子および受光素子の大きさに応じて適宜設定すればよい。例えば、発光素子として、垂直共振器面発光レーザ素子(VCSEL)を用いる場合、発光素子収容凹部20aの開口は、その形状が、例えば矩形であっても正方形であってもよく、その大きさは、例えば、縦方向長さが0.3mm〜2.0mm、横方向長さが0.3mm〜2.0mmであり、深さは、0.3mm〜1.0mmである。また、第1受光素子および第2受光素子として、面入射フォトダイオードを用いる場合、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cの開口は、その形状が、例えば矩形であっても正方形であってもよく、その大きさは、例えば、縦方向長さが0.3mm〜2.0mm、横方向長さが0.3mm〜2.0mmであり、深さは、0.4mm〜1.5mmである。
第1受光素子収容凹部20bと第2受光素子収容凹部20cとは、平面視したときに、その配置位置は、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cが、平面視において、発光素子収容凹部20aの中心c0、第1受光素子収容凹部20bの中心c1および第2受光素子収容凹部20cの中心c2が、一直線上に並ぶように設けられていてもよい。このような配置とすることで、計測センサ用パッケージ1を小型化できる。
発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cは、開口形状が、例えば、円形状、正方形状、矩形状等であってもよく、その他の形状であってもよい。また、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cは、基体本体20の主面に平行な断面の断面形状が深さ方向に一様な形状であってもよいが、図3の断面図に示すように、所定の深さまでは、断面形状が開口形状と同じで一様であり、所定の深さ以降は、断面形状が小さくなって底部まで一様であるような、段差付きの凹部であってもよい。
発光素子収容凹部20aは、発光素子が載置される底面200を有し、発光素子収容凹部20aの内側面には、発光素子と電気的に接続される電極パッド23aが配設される段差面202を有する段差部201が設けられている。第1受光素子収容凹部20bは、第1受光素子が載置される第1底面203を有し、第1受光素子収容凹部20bの内側面には、第1受光素子と電気的に接続される電極パッド23aが配設される第1段差面205を有する第1段差部204が設けられている。また、第2受光素子収容凹部20cは、第2受光素子が載置される第2底面206を有し、第2受光素子収容凹部20cの内側面には、第2受光素子と電気的に接続される電極パッド23aが配設される第2段差面208を有する第2段差部207が設けられている。
本実施形態では、第1底面203と第2底面206とは、一方主面21から等距離にある。一方主面21は、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20b、第2受光素子収容凹部20cが開口する基体2の一方側の平坦面であり、同じく平坦面である第1底面203との間の距離と、同じく平坦面である第2底面206との間の距離とが等しい。すなわち、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cの深さが同じである。さらに、本実施形態では、第1段差面205および第2段差面208が、一方主面21から等距離にある。第1段差面205および第2段差面208も同じく平坦面であり、一方主面21と第1段差面205との間の距離、および一方主面21と第2段差面208との間の距離が等しい。すなわち、第1段差部204および第2段差部207の深さが同じである。ここで、2つの距離が等しいとは、2つの距離が一致するだけではなく、2つの距離の差が±10%以内であることも含む。
上記のように、第2受光素子32は、第1受光素子31が受けるであろう電磁波を見積もるための、電磁波ノイズキャンセル用受光素子であるので、第1受光素子31と第2受光素子32とは、計測センサ用パッケージ1内において類似の環境下で収容するのがよく、本実施形態では、第1受光素子31と第2受光素子32とを収容する第1受光素子収容凹部20bと第2受光素子収容凹部20cとは、その深さが等しく、段差部の深さも等しく構成されている。
本実施形態では、発光素子収容凹部20aからの距離が、第1受光素子収容凹部20bよりも第2受光素子収容凹部20cのほうが遠い。第1受光素子収容凹部20bと第2受光素子収容凹部20cとは、段差部の配置位置は、特に限定されないが、本実施形態のように、平面視において、第1段差部204が、第1受光素子収容凹部20bの中心c1を基準として発光素子収容凹部20aの側に設けられており、第2段差部207が、第2受光素子収容凹部20cの中心c2を基準として第1受光素子収容凹部20bとは反対の側に設けられていてもよい。これにより、第1底面203と第2底面206とが近づくので、収容される第1受光素子31と第2受光素子32との距離が近くなり、第1受光素子31と第2受光素子32とが、計測センサ用パッケージ1内において、より類似の環境下で収容される。
信号配線導体23は、発光素子、第1受光素子31または第2受光素子32と電気的に接続され、発光素子30に入力される電気信号が伝送され、受光素子30から出力される電気信号が伝送される。本実施形態における信号配線導体23は、発光素子30、第1受光素子31または第2受光素子32と接続する接続部材であるボンディングワイヤ33と、ボンディングワイヤ33が接続される電極パッド23aと、電極パッド23aに電気的に接続して電極パッド23aの直下から基体本体20を貫通し、第2面である他方主面22にまで延びる信号ビア導体23bと、他方主面22に配設され、信号ビア導体23bに電気的に接続する外部接続端子23cとから成る。外部接続端子23cは、基体本体20の他方主面22に設けられており、計測センサ用パッケージ1を備える計測センサが実装される外部実装基板の信号用接続端子とはんだ等の端子接続材料によって電気的に接続される。
外部接続端子23cおよび外部接地端子24は、はんだ等の接合材との濡れ性を向上させ、耐食性を向上させるために、例えば、厚さが0.5〜10μmのニッケル層と厚さが0.5〜5μmの金層とをめっき法によって順次被着させてもよい。
基体2は、発光素子、第1受光素子31および第2受光素子32を収容可能であり、信号配線導体23等の導体を備えるものであれば、基体本体20の誘電体層がセラミック絶縁材料からなり、信号配線導体23等が導体材料からなるセラミック配線基板であってもよく、誘電体層が樹脂絶縁材料からなる有機配線基板であってもよい。
基体2が、セラミック配線基板の場合、セラミック材料から成る誘電体層間に各導体が形成される。セラミック配線基板は、複数のセラミック誘電体層から構成される。
セラミック配線基板で用いられるセラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミックス焼結体等が挙げられる。
また、基体2が、有機配線基板の場合、有機材料から成る絶縁層間に配線導体が形成される。有機配線基板は、複数の有機誘電体層から形成される。
有機配線基板は、例えば、プリント配線基板、ビルドアップ配線基板またはフレキシブル配線基板等の誘電体層が有機材料から成るものであればよい。有機配線基板で用いられる有機材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が挙げられる。
蓋体3は、基体本体20の一方主面(基体2の第1面)21を覆い、導電性接合材6によって基体2の一方主面21に接合される。蓋体3によって、発光素子30、第1受光素子31および第2受光素子32が収容された発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cが塞がれて封止される。蓋体3は、絶縁材料からなる板状部材であり、発光素子収容凹部20aに収容される発光素子から出射される光が透過し、第1受光素子収容凹部20bに収容される第1受光素子31が受光する光が透過するような光透過性を有する材料で構成されていればよい。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1を備える計測センサでは、蓋体3の表面に、例えば被計測物である手指を当てた状態で発光素子から出射した光を手指に照射する。蓋体3が導電性を有する材料で構成されていると、蓋体3に手指を接触させたときに、手指に溜まった不要な電荷が手指から放出され、蓋体3を通して基体2に電荷が流れ込み、ノイズが発生する。蓋体3を絶縁材料で構成することにより、蓋体3を通して不要な電荷が流れ込むことを抑制することができる。
蓋体3は、被計測物への照射光および散乱光を透過する。照射光および散乱光の特性は、搭載する発光素子30によって決まるので、少なくとも搭載する発光素子30が出射する光が透過するように構成されていればよい。発光素子30から出射される光の波長に対して、当該波長の光の透過率が70%以上であればよく、90%以上の透過率を有する絶縁材料で蓋体3を構成してもよい。
蓋体3を構成する絶縁材料としては、例えばサファイア等の透明セラミック材料、ガラス材料または樹脂材料等を用いることができる。ガラス材料としては、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英、ソーダガラス等を用いることができる。樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
蓋体3は、手指等の被計測物が直接接触するため、所定の強度を要する。蓋体3の強度は、構成する材料の強度、板厚みによる。上記のように透明セラミック材料やガラス材料であれば、所定の厚み以上とすることで十分な強度が得られる。蓋体3の構成材料としてガラス材料を用いる場合は、例えば厚みを0.05mm〜5mmとすればよい。
表層接地導体層4は、基体本体20の一方主面21に配設されるメタライズ層であって、第1受光素子31および第2受光素子32が収容される第1受光素子収容凹部20bの開口および第2受光素子収容凹部20cの開口を取り囲むように設けられる。表層接地導体層4は、例えば、外形が、基体本体20の一方主面21の外形に沿うように矩形状であってもよく、それ以外の円形状、多角形状などであってもよい。本実施形態では、表層接地導体層4の外形状を矩形状としている。また、表層接地導体層4は、第1受光素子収容凹部20bの開口および第2受光素子収容凹部20cの開口を取り囲んでいるから、少なくとも2つの開口に外接するか、または2つの開口よりも大きな1つの貫通孔が設けられたメタライズ層である。
表層接地導体層4は、例えば、基体2に設けられた後述の導電性接合材6などと接続することで、接地電位が付与される。基体本体20の一方主面21に、表層接地導体層4を設けることで、基体2の表面に設置した表層接地導体層4は、下記の金属薄層5と導電性接合材6により電気的に接続される。その結果、金属薄層5にも接地電位を付与することができ、金属薄層5が外部帯電体(特に手指等の測定物)からの電気的シールドとして作用し、第1受光素子31および第2受光素子32へのノイズ混入を抑制できる。
上記のように、金属薄層5は、第1金属薄層50と第2金属薄層51とが連なって一体的に設けられたものである。第1金属薄層50において、絞り孔5aの大きさ、形状、絞り孔5aを設ける位置を適宜調整することによって、計測に必要な受光量を確保しつつ、外部から第1受光素子収容凹部20bへの不要な光の進入を低減することができる。受光すべき反射光、散乱光以外の外光など外部から進入する不要な光を第1受光素子31が受光してしまうと、第1受光素子31から出力される電気信号に、被計測物からの反射光による受光量に、不要光の受光量が加わることになり、光学的なノイズが発生してしまう。絞り孔5aによって、このような光学的ノイズを低減することができる。本実施形態では、絞り孔5aは、平面視で、第1受光素子収容凹部20bの第1底面203の中心に対応する位置、すなわち収容される第1受光素子の中心に対応する位置に設けられている。
さらに、金属薄層5は、外部から到来する電磁波(光を除く)のうち、蓋体3側から第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cに進入する電磁波を抑制するための電磁シールドとしても機能する。電磁波が第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cに進入すると、信号配線導体23、特にボンディングワイヤ33がアンテナとなって、進入した電磁波を受信してしまい電磁的ノイズの発生原因となる。蓋体3の対向面3aに、絞り孔5aを除いて金属材料からなる薄層を設けることで、外部からの電磁波の進入を抑制し、電磁的ノイズの発生を低減することができる。
このように、金属薄層5を設けることで、光学的および電磁的ノイズによる影響を抑制し、計測精度を向上させることができる。外部から到来する電磁波を完全にシールドすることは困難であり、特に基体2の側方など蓋体3側以外の方向に電磁シールドとなるような構成が無いと、電磁的ノイズによる影響を十分に低減することはできない。したがって、本実施形態では、光を受光しない第2受光素子32によって、第1受光素子31が受けるであろう電磁波ノイズを見積もることができ、信号値を補正することでさらに計測精度を向上させている。なお、金属薄層5は、表層接地導体層4と電気的に接続され、接地電位が付与されてもよい。また、本実施形態では、金属薄層5の外形と表層接地導体層4の外形とは同じ大きさであるが、異なっていてもよい。
金属薄層5は、透明セラミック材料またはガラス材料からなる蓋体3の表面に、例えば、Cr、Ti、Al、Cu、Co、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、Sn、Ta、Fe、In、Ni、Wなどの金属及びこれらの合金等の金属材料を蒸着、スパッタ、焼付け等によって形成することができる。金属薄層5の層厚みは、例えば、500Å〜4000Åである。
導電性接合材6は、基体2と蓋体3とを接合する。より詳細には、基体本体20の一方主面21と蓋体3の対向面3aとを、外周部分で接合する。導電性接合材6は、矩形状の一方主面21の四辺に沿って環状に設けられており、基体2の発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20c内の気密性および水密性を確保するためのシール材である。
発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cに収容される発光素子30、第1受光素子31および第2受光素子32は、いずれも水分等に弱く、外部からの水分の浸入を防止するために、導電性接合材6は、途切れの無い環状に設けられる。さらに、導電性接合材6は遮光性を有していてもよい。導電性接合材6が遮光性を有することで、外部からの光が、基体2と蓋体3との間を通って、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20c内に進入することを防止できる。
導電性接合材6が有する遮光性は、光の吸収による遮光性であってもよい。外部からの光の進入を防ぐ観点からは、反射による遮光性であってもよいが、計測センサの内部で発生した迷光が、導電性接合材6で反射してさらに第1受光素子31、第2受光素子32に受光されてしまうおそれがある。導電性接合材6が光を吸収するものであれば、外部からの光を吸収して進入を防ぐとともに、内部で発生した迷光も吸収することができる。
導電性接合材6は、このような光の吸収による遮光性を有する材料を含んで構成される。導電性接合材6は、例えば、基体2と蓋体3との接合性を有するエポキシ樹脂、導電性シリコン樹脂等の樹脂系接着剤に、光吸収性材料を分散させて得られる。光吸収材料としては、例えば、無機顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラックなどの炭素系顔料、チタンブラックなどの窒化物系顔料、Cr−Fe−Co系、Cu−Co−Mn系、Fe−Co−Mn系、Fe−Co−Ni−Cr系などの金属酸化物系顔料等を用いることができる。
本実施形態では、表層接地導体層4と金属薄層5とは、平面透視において、環状に設けられた導電性接合材6の外縁よりも内側の領域にそれぞれ配設される。すなわち、基体本体20の一方主面21と蓋体3の対向面3aとの間には、表層接地導体層4および金属薄層5の一部が介在されている。そして、導電性接合材6によって、蓋体3と基体2とが全周にわたり直接接合されている。なお、導電性接合材6は、表層接地導体層4や金属薄層5と一部が重なるように配設されていてもよい。
基体2と蓋体3との接合において、表層接地導体層4および金属薄層5が介在しない箇所では、基体2と蓋体3との接合強度を高くすることができ、蓋体3の剥離等を防止することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る計測センサ用パッケージ1Aを示す平面図であり、図5は、図4の切断面線C−Cで切断した断面図である。
第1実施形態の計測センサ用パッケージ1は、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cが、一直線上に並び、発光素子収容凹部20aからの距離が、第1受光素子収容凹部20bよりも第2受光素子収容凹部20cのほうが遠いのに対して、第2実施形態の計測センサ用パッケージ1Aは、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20dおよび第2受光素子収容凹部20eが、一直線上には並んでおらず、発光素子収容凹部20aからの距離が、第1受光素子収容凹部20dと第2受光素子収容凹部20eとで同じである。なお、その他については、第1実施形態と第2実施形態とで同様の構成であるので、同様の構成には計測センサ用パッケージ1と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
図4の平面図に示すように、発光素子収容凹部20aに対して、第1受光素子収容凹部20dおよび第2受光素子収容凹部20eが、矩形状の一方主面21の長辺方向一方側(紙面向かって右側)に位置し、第1受光素子収容凹部20dおよび第2受光素子収容凹部20eが、一方主面の短辺方向に並んで位置するように設けられている。
本実施形態では、図4に示すように、平面視において、第1受光素子収容凹部20dおよび第2受光素子収容凹部20eは、発光素子収容凹部20aの中心c0を通り、一方主面21の長辺に平行な方向の直線(一方主面21の短辺の二等分線)を対称軸とする線対称に設けられている。また、図5に示すように、第1受光素子収容凹部20dおよび第2受光素子収容凹部20eは、第1底面203と第2底面206とが、一方主面21から等距離にあり、第1段差面205および第2段差面208が、一方主面21から等距離にある。これにより、第1受光素子収容凹部20dおよび第2受光素子収容凹部20eは、発光素子収容凹部20aとの位置関係、基体2内における位置、例えば、基体2の側面からの距離や収容凹部の深さなどが同等となり、第1受光素子31で受信する電磁波によるノイズ成分と同等のノイズ成分を、第2受光素子32で受信することができる。
図6は、本発明の第3実施形態に係る計測センサ用パッケージ1Bを示す断面図であり、図7は、本発明の第4実施形態に係る計測センサ用パッケージ1Cを示す断面図である。第3実施形態の計測センサ用パッケージ1Bは、第1実施形態の計測センサ用パッケージ1の構成に、さらに遮光部材7を設けている点が異なっているだけで、その他については、第1実施形態と同様の構成であるので、同様の構成には計測センサ用パッケージ1と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
第2受光素子収容凹部20cには、光が進入しないことが望ましい。第1実施形態および第2実施形態では、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cとの間において、基体2の一方主面21と、蓋体3の対向面3aとの間に導電性接合材6の厚さ程度の僅かな隙間がある。外部からの入射光は、絞り孔5aによって規制されるので、この僅かな隙間を通過して第2受光素子収容凹部20cにまで達する可能性は低い。しかしながら、第1受光素子収容凹部20b内での反射などによって生じた迷光が隙間を通過して第2受光素子収容凹部20cに達すると、第2受光素子から出力される信号に、迷光の受光によって生じる信号成分が加わってしまい、光以外の電磁波によるノイズ成分が本来補正すべきものよりも大きくなってしまう。
このような迷光の第2受光素子収容凹部20cへの進入を抑制するために、本実施形態では、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cとの間の隔壁20fに遮光部材7を設けている。遮光部材7は、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cとの間であって、隔壁20fの上面から蓋体3の対向面3aまでの間を充填するように、例えば帯状の部材として設けられている。たとえ迷光が生じたとしても、隔壁20fの上面と蓋体3の対向面3aとの間の隙間には、遮光部材7が設けられているので、この隙間を通過して第2受光素子収容凹部20cに達する光を抑制することができる。
遮光部材7の材料は、上記の導電性接合材6と同様の材料を用いることができる。導電性接合材6と同様の材料を用いることで、遮光部材7が、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cとの間において、基体2と蓋体3とを接合し、接合強度を向上させることができる。
第4実施形態の計測センサ用パッケージ1Cは、第3実施形態の計測センサ用パッケージ1Bの構成において、第1金属薄層50と第2金属薄層51とが分離したもの、すなわち、第1金属薄層50と第2金属薄層51とが、それぞれ1つの金属薄層からなるものであり、その他については、第1実施形態および第3実施形態と同様の構成であるので、同様の構成には計測センサ用パッケージ1および計測センサ用パッケージ1Bと同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
第1金属薄層50と第2金属薄層51とは、第1実施形態〜第3実施形態のように、これらが連なった1つの金属薄層であってもよいが、本実施形態のように、第1金属薄層50が1つの金属薄層であり、第2金属薄層51が他の1つの金属薄層である構成であってもよい。このような構成では、第1金属薄層50と第2金属薄層51との間に隙間が生じる。第1金属薄層50は、第1受光素子収容凹部20bを覆い、第2金属薄層51は、第2受光素子収容凹部20cを覆うので、第1金属薄層50と第2金属薄層51との間の隙間は、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cとの間の隔壁20fの上方に生じることになる。蓋体3に入射した外光の一部が、この隙間を通過して第2受光素子収容凹部20cに達する可能性がある。このような入射光を防ぐためには、第3実施形態と同様に遮光部材7を設ければよい。平面視において、遮光部材7の幅を、第1金属薄層50と第2金属薄層51との間の隙間の幅と同じか、それ以上とすれば、遮光部材7によって第1金属薄層50と第2金属薄層51との間の隙間を塞ぐことができ、外光の第2受光素子収容凹部20cへの到達を抑制することができる。
計測センサ用パッケージ1の製造方法について説明する。まず、基体2を公知の多層配線基板の製造方法と同様にして作製する。基体2が、セラミック配線基板であり、セラミック材料がアルミナである場合は、まずアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状とし、これを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状に成形してセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得る。その後、グリーンシートを所定の外形状および凹部の形成のために打ち抜き加工するとともに、タングステン(W)とガラス材料等の原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して金属ペーストとし、電極パッド23a等の導体層は、金属ペーストをグリーンシート表面にスクリーン印刷等の印刷法でパターン印刷する。また、信号ビア導体23b等の貫通導体は、グリーンシートに貫通孔を設け、スクリーン印刷等によって金属ペーストを貫通孔に充填させる。また、表層接地導体層4となるメタライズ層は、金属ペーストによって最表面に形成される。こうして得られたグリーンシートを複数枚積層し、これを約1600℃の温度で同時焼成することによって基体2が作製される。
一方、ガラス材料を、切削、切断等により所定の形状に切り出した蓋体3を準備し、対向面3a上に、蒸着、スパッタ、焼付け等によって金属薄層5を形成する。このとき、フォトリソ(ウェットエッチング)法、ドライエッチング法等によって金属薄膜にパターン加工することにより、絞り孔5aを形成することができる。
次に、本発明の第5実施形態である計測センサ100について説明する。図8は、計測センサ100の構成を示す断面図である。計測センサ100は、上記の計測センサ用パッケージ1,1A,1B,1Cと、発光素子収容凹部20aに収容される発光素子30と、第1受光素子収容凹部20bに収容される第1受光素子31と、第2受光素子収容凹部20cに収容される第2受光素子32と、を含む。計測センサ100は、計測センサ用パッケージ1,1A,1B,1Cに発光素子30と、第1受光素子31と、第2受光素子32とを実装し、ボンディングワイヤ33で各素子と電極パッド23aと接続した後、蓋体3を導電性接合材6によって基体本体20に接合して得られる。
発光素子30は、VCSEL等の半導体レーザ素子を用いることができ、第1受光素子31および第2受光素子32は、シリコンフォトダイオード、GaAsフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、ゲルマニウムフォトダイオード等の各種フォトダイオードを用いることができる。発光素子30および第1受光素子31および第2受光素子32は、被計測物の種類、計測するパラメータの種類等により適宜選択すればよく、第1受光素子31および第2受光素子32は、同一種類のフォトダイオードを用いる。
血流を測定する場合は、例えば、光のドップラー効果を利用して測定するために、発光素子30であるVCSELとして波長が850nmのレーザ光を出射可能なものであればよい。その他の測定を行う場合は、測定目的に応じた波長のレーザ光を出射する発光素子30を選択すればよい。第1受光素子31は、受光する光が、発光素子30から出射されるレーザ光から波長の変化が無い場合、発光素子30の出射光を受光できるものであればよく、波長の変化が有る場合、変化後の波長の光を受光できるものであればよい。
発光素子30、第1受光素子31および第2受光素子32と電極パッド23aとは、本実施形態では、例えば、ボンディングワイヤ33によって電気的に接続されるが、フリップチップ接続、バンプ接続、異方性導電フィルムを用いた接続等他の接続方法であってもよい。第1受光素子31および第2受光素子32と電極パッド23aとは、同じ接続方法で接続すればよい。
計測センサ100は、外部実装基板に実装されて使用される。外部実装基板には、例えば、発光素子30の発光を制御する制御素子、第1受光素子31および第2受光素子32の出力信号から血流速度等を算出する演算素子等も実装される。
測定する場合には、被計測物として手指や手首などを蓋体3の表面に接触させた状態で、外部実装基板から外部接続端子23cを介して発光素子制御電流が計測センサ100に入力され、信号ビア導体23b、電極パッド23aを通って発光素子30に入力されて発光素子30から計測用の光が出射される。出射された光が、蓋体3を透過して照射されると、血管を流れる血液中の血球細胞で光が散乱される。蓋体3を透過し、第1絞り孔5aを通過した散乱光が、第1受光素子31で受光され、受光量に応じた電気信号が第1受光素子31から出力される。一方、第2受光素子32は、光を受光せず、受信した電磁波に応じた電気信号を、ノイズ成分として出力する。出力された信号は、電極パッド23a、信号ビア導体23bを通り、外部接続端子23cを介して計測センサ100から外部実装基板へと出力される。
外部実装基板では、計測センサ100から出力された信号が、演算素子に入力され、第1受光素子31から出力された電気信号と第2受光素子32から出力された電気信号との差分を算出することで、ノイズ成分がキャンセルされた信号値が得られる。得られた信号値に基づいて、血流速度を算出することができる。
なお、上記の各実施形態では、信号ビア導体23bは、基体本体20内で厚み方向に一直線状に配設される構成としているが、電極パッド23aの直下から他方主面22の外部接続端子23cまで電気的に接続されていれば、一直線状でなく、基体本体20内で、内層配線や内部接地導体層等によってずれて形成されていてもよい。