JP6717584B2 - 導電性塗液及び導電性塗膜 - Google Patents

導電性塗液及び導電性塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、導電性材料に関する。詳細には、本発明は、インジウム−スズ酸化物(ITO)に代表される無機導電膜材料の代替品として利用可能な導電性材料に関する。
近年、ディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の電極用途又は帯電防止用途として、透明導電膜を備えた透明基材が利用されている。代表的な透明導電膜材料は、インジウム−スズ酸化物(ITO)等の無機導電膜材料である。ディスプレイ等を備えた機器普及にともなって、透明導電膜材料であるITOの需要が増大している一方、所謂レアメタルであるインジウムの生産量不足や資源枯渇の問題が指摘されている。ITOと代替可能な透明導電膜材料が求められている。
ITO等の無機導電膜材料からなる透明導電膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等を用いて、透明基材の表面上に形成される。真空蒸着法等では、透明導電膜形成時に、基材が高温で加熱されるため、使用可能な透明基材の種類が限定される。また、高価な真空蒸着装置等を含む製造設備が必須であり、製造コストやメンテナンスコストがかさむという問題点も指摘されている。
高価かつ特殊な製造装置を要しない透明導電膜材料として、導電性高分子を含む有機導電膜塗料が提案されている。しかし、従来の有機導電膜塗料からなる透明導電膜は、柔軟ではあるが、硬度が低く、市場の要望を満足するものではない。
ITO等の無機導電膜材料の代替として検討された透明導電膜材料が、例えば、特開2007−324143号公報及び特開2012−102304号公報に開示されている。
特開2007−324143号公報 特開2012−102304公報
特開2007−324143号公報及び特開2012−102304号公報では、導電性高分子と有機シラン化合物とを含む導電性コーティング組成物から、柔軟な透明導電膜を形成する方法が試みられている。この透明導電膜は、有機シラン化合物からなる透明膜と、この膜中に分散された導電性高分子とを含む。特開2007−324143号公報及び特開2012−102304号公報で提案された透明導電膜は、柔軟ではあるが硬度に劣るため、ITO等の無機導電性材料に代替しうるものではない。
以上述べた通り、実用的に、ITO等の無機導電膜材料と代替可能な透明導電膜材料は、未だ提案されていない。本発明の目的は、ITO等の無機導電膜材料と同程度の硬度及び透明性を備えた透明導電膜を、温和な条件で容易に形成しうる導電性塗液の提供である。
本発明者等は、前述の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、導電性高分子と、バインダーと、溶媒とを含んでおり、このバインダーの主成分がシリカである導電性塗液を完成するに至った。
好ましくは、このシリカは、水溶性シリカオリゴマー、水分散性シリカ粒子又はこれらの混合物である。
好ましくは、この水分散性シリカ粒子の平均粒子径は、100nm以下である。好ましくは、この水分散性シリカ粒子の一次粒子径は、60nm以下である。
好ましくは、この導電性高分子は、ポリチオフェン系高分子及びポリピロール系高分子から選択される少なくとも1種である。好ましくは、この溶媒の主成分は水である。
好ましくは、この導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量は、10質量%以上99質量%以下である。好ましくは、このバインダー中のシリカの含有量は、50質量%以上である。
本発明にかかる導電性塗膜は、導電性高分子と、バインダーとを含んでおり、このバインダーの主成分はシリカである。
好ましくは、この導電性塗膜の、JIS K5600−5−4に準じて、無アルカリガラス上で測定された鉛筆硬度は、H以上である。
本発明にかかる導電性塗膜の製造方法は、
(1)導電性高分子と、バインダーと、溶媒とを配合して、導電性塗液を得る第一工程、
(2)この導電性塗液を基材の表面に塗布する第二工程、
及び
(3)この基剤に塗布された導電性塗液を乾燥させることにより、導電性塗膜を形成する第三工程とを有している。このバインダーの主成分はシリカである。第三工程における乾燥温度は、50℃以上200℃以下である。
本発明に係る導電性塗液を用いて得られる導電性塗膜は、硬度及び透明性に優れる。この導電性塗膜は、導電性塗液を基材に塗布し、乾燥させることにより容易に形成される。この導電性塗膜の形成に、高価かつ特殊な設備は不要である。本発明に係る導電性塗液及び導電性塗膜は、無機導電膜材料の代替材料として、市場の要望を満足する。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明されるが、この実施形態に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
本発明にかかる導電性塗液は、導電性高分子と、バインダーと、溶媒とを含んでいる。この導電性塗液を基材に塗布して乾燥させるとき、バインダーが、導電性高分子を基材に固着する。このバインダーの主成分は、シリカである。
本願明細書において、「シリカ」とは、実質的にケイ素(Si)と酸素(O)から構成され、SiOと表記される物質の総称として定義される。シリカは、シロキサン結合(−O−Si−O−)からなるオリゴマー及びポリマーを含む。本願明細書における「シリカ」の概念には、炭素−ケイ素結合を有する有機シラン化合物は含まれない。本発明の目的が達成される限り、シリカの製造方法は特に限定されず、例えばケイ酸塩をモノマーとする縮合反応等の既知の方法が用いられ得る。
バインダーが複数の成分を含む場合に、最も含有量が多い成分が、「主成分」と称される。本発明に係る導電性塗液において、バインダーの主成分は、シリカである。バインダー中のシリカの含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。バインダーがシリカのみから構成されてもよい。本発明の目的が達成される限り、バインダーは、シリカ以外に他の成分を含みうる。他の成分の例として、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の樹脂や、有機シラン化合物が挙げられる。
有機シラン化合物の例として、アミノシラン、ウレイドシラン、エポキシシラン、スルフィドシラン、メルカプトシラン、ケチミノシラン、アルキルシラン、アルコキシシラン、フェニルシラン、フロロシラン及びイソシアネート基含有シランが挙げられる。具体的には、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM303」、「KBM403」、「KBE402」、「KBM602」、「KBM603」、「KBE603」、「KBM903」、「KBE903」、「KBM573」、「KBM703」、「KBM803」、「KBE9007」、「KBM5103」及び「X−12−817H」並びに東レ・ダウコーニング株式会社製の商品名「Z−6011」、「Z−6020」、「Z−6023」、「Z−6026」、「Z−6032」、「Z−6050」、「Z−6094」、「Z−6610」、「Z−6883」、「AX−720」、「Z−6675」、「Z−6676」、「Z−6040」、「Z−6041」、「Z−6042」、「Z−6044」、「Z−6043」、「Z−6920」、「Z−6940」、「Z−6948」、「Z−6062」、「Z−6911」、「Z−6860」、「DC−5700」、「Z−6806」、「ACS−8」、「Z−2306」、「Z−6013」、「Z−6187」、「Z−6210」、「Z−6258」、「Z−6265」、「Z−6275」、「Z−6288」、「Z−6321」、「Z−6329」、「Z−6341」、「Z−6366」、「Z−6383」、「Z−6582」、「Z−6586」、「Z−6721」、「Z−6697」、「Z−6830」、「Z−6047」、「Z−6800」、「Z−6333」、「Z−1211」、「Z−1219」、「Z−1224」及び「Z−6079」が挙げられる。
本発明にかかる導電性塗液を基材に塗布して乾燥させることにより、導電性塗液から溶媒等の液体成分が除去される。基材上に残存した導電性塗液中の固形分から、導電性塗膜が形成される。基材の表面上に形成された導電性塗膜は、導電性高分子と、バインダーとを含んでいる。前述した通り、このバインダーの主成分はシリカである。メカニズムの詳細は未だ解明されていないが、この導電性塗膜では、シリカ間に形成されるシロキサン結合が、硬度等機械的物性の向上に寄与すると考えられる。この観点から、1又は2以上のシラノール基(−Si−OH)を有するシリカが好ましく、3以上のシラノール基を有するシリカがより好ましい。さらに、シリカがシラノール基を有する場合、このシラノール基と基材表面との相互作用によって、導電性塗膜と基材との密着性が向上すると推測される。
導電性塗液中の全固形分量に対するシリカの量は、得られる導電性塗膜の硬度に影響する。本願明細書において、導電性塗膜の硬度は、鉛筆硬度を指標として評価される。ITO等からなる無機導電膜材料の代替として要求される鉛筆硬度は、少なくともHである。この観点から、導電性塗膜の鉛筆硬度は、H以上が好ましく、3H以上がより好ましく、5H以上がさらに好ましく、8H以上が特に好ましい。鉛筆硬度の上限値は特に限定されない。本願明細書において、導電性塗膜の鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に準じて測定される。この測定方法により測定可能な鉛筆硬度の上限値は8Hである。
具体的には、長さ100mm×幅100mm×厚さ0.5mmの無アルカリガラスの表面に形成された導電性塗膜(200g/m)の鉛筆硬度を機械法により測定する。塗膜が傷つかない最も硬い硬度を、鉛筆硬度とする。
前述した通り、導電性塗膜の鉛筆硬度は、導電性塗液中の全固形分量に対するシリカの量によって調整される。適正な鉛筆硬度の導電性塗膜が得られるとの観点から、導電性塗液中の全固形分量に対するシリカの量は、10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。導電性塗液の安定性の観点から好ましいシリカの量は99質量%以下であり、95質量%以下がより好ましい。
本発明の一実施形態にかかる導電性塗液において、好ましいシリカは水溶性シリカオリゴマーである。本願明細書では、下記測定条件で粒度測定をおこなったとき、粒子状物質が検出されないシリカオリゴマーを「水溶性シリカオリゴマー」と称する。
[粒度測定]
一般に、試験液中の粒子の粒子径を、大塚電子株式会社製の濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000を用いて、光散乱法により20℃で測定する場合、減光フィルターの開光度(ND値)50%以下で、適正光量(15000−30000cps)となるように、試験液の濃度を調整する。試験液の濃度調整をおこない、ND値50%以上にしても、適正光量が得られない場合に、試験液中の物質が粒子状を呈していないものと判断する。後述する水溶性シリカオリゴマー(TOYO HC)では、この粒径測定において、粒子状物質が認められなかった。
好ましくは、水溶性シリカオリゴマーはシラノール基を含む。バインダーの主成分がシラノール基を含むシリカオリゴマーの場合、導電性塗液の乾燥中に、シラノール同士が反応して、シロキサン結合によるネットワーク構造が形成されると推測される。この導電性塗液から得られる導電性塗膜は、導電性高分子と、シリカオリゴマーの反応生成物との複合体であると考えられる。
得られる導電性塗膜の硬度の観点から、導電性塗液中の全固形分量に対する水溶性シリカオリゴマーの量は、10質量%以上が好ましい。この導電性塗膜では、シリカオリゴマーを主たる構成要素とするマトリックスに導電性高分子が分散した、所謂「海島構造」が形成されることにより、適正な硬度が得られると推測される。この観点から、全固形分量に対するシリカオリゴマーの量は、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。導電性塗液の安定性の観点から、全固形分量に対するシリカオリゴマーの量は、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
本発明の他の実施形態にかかる導電性塗液において、好ましいシリカは、シリカ粒子である。本願明細書において、「シリカ粒子」とは、シロキサン結合からなるネットワーク構造を有するシリカポリマーを意味する。このシリカポリマーは、水に均一に分散する。換言すれば、シリカ粒子は水分散性である。なお、[実施例]において後述する通り、本願明細書におけるシリカ粒子は、所謂コロイダルシリカとして知られる物質とは、物性が異なる。詳細は未だ解明されていないが、本願明細書におけるシリカ粒子の構造は、所謂コロイダルシリカとは異なっていると推測される。
水分散性シリカ粒子は、シラノール基を有していると考えられる。このシリカ粒子が水に分散された場合、親水基であるシラノール基は、シリカ粒子の表面に局在する。バインダーの主成分がシラノール基を含むシリカ粒子である場合、導電性塗液の乾燥中に、シリカ粒子表面のシラノール同士が反応して、シロキサン結合を形成すると考えられる。この導電性塗液から得られる導電性塗膜は、シロキサン結合により結合された複数のシリカ粒子の積層体と、導電性高分子との複合体である。
得られる導電性塗膜の硬度の観点から、水分散性シリカ粒子の一次粒子径は、60nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。導電性塗液の安定性の観点から、シリカ粒子の一次粒子径は、3nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。本願明細書において、一次粒子とは、後述する2次粒子を形成する前の最小単位を意味する。シリカ粒子の一次粒子径の測定には、日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡JEM−2010が用いられる。具体的には、水分散性シリカ粒子を固形分濃度で2.0質量%含む試験液を乾燥して得た塗膜が、試料片として透過型電子顕微鏡(TEM)観察に供される。得られたTEM画像において、無作為に選択した150nm角の領域に含まれる全粒子の直径を計測した後、上限及び下限各5%を除く最小値D(max)と最大値D(min)とを求めて、一次粒子径D(min)−D(max)と表記する。本願明細書において、「一次粒子径60nm以下」とは、上限及び下限各5%を除いた一次粒子の直径が60nm以下であることを意味する。
水又は導電性塗液に分散しているシリカ粒子(即ち、一次粒子)が、経時的に凝集して粒径の異なる2次粒子を形成する場合がある。2次粒子の粒径及び粒度分布は、導電性塗膜の硬度に影響する。適正な硬度の導電性塗膜が得られるとの観点から、水分散性シリカ粒子の2次粒子の重量平均粒子径(以下、「平均粒子径」とも称される)は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。理想的には、2次粒子を含まない導電性塗液が好ましい。この理想的な導電性塗液中のシリカ粒子の重量平均粒子径は、一次粒子径の平均粒子径と略同じである。本願明細書において、シリカ粒子の重量平均粒子径の測定には、大塚電子株式会社製の濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000が用いられる。具体的には、ND値50%以下で適正光量となるように固形分濃度が調整されたシリカ粒子の水分散液が、光散乱法(波長660nm)により20℃にて測定される。
得られる導電性塗膜の硬度の観点から、導電性塗液中の全固形分量に対する水分散性シリカ粒子の量は、10質量%以上が好ましい。この導電性塗膜では、シリカ粒子を主たる構成要素とするマトリックスに導電性高分子が分散した、所謂「海島構造」が形成されることにより、適正な硬度が得られると推測される。この観点から、全固形分量に対するシリカ粒子の量は、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。導電性塗液の安定性の観点から、全固形分量に対するシリカ粒子の量は、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
本発明のさらに他の実施形態において、シリカが、水溶性シリカオリゴマーと水分散性シリカ粒子との混合物とされても良い。水溶性シリカオリゴマーと水分散性シリカ粒子との混合比は、特に制限されず、得られる導電性塗膜の用途、物性等に応じて適宜調整されうる。
導電性塗膜の硬度の観点から、シリカ中の水溶性シリカオリゴマーの含有量が、50質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。水溶性シリカオリゴマーのみからなるシリカが特に好ましい。
本願明細書において、導電性高分子の種類は特に限定されない。ドーパントがドープされたポリチオフェン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリアセチレン系高分子、ポリフェニレン系高分子等のπ共役系高分子が例示される。2種以上の導電性高分子を組み合わせて用いてもよい。
導電性の観点から、ポリチオフェン系高分子、ポリピロール系高分子及びポリアニリン系高分子からなる群から選択される少なくとも1種の導電性高分子がより好ましい。安定性及び入手容易との観点から、ポリチオフェン系高分子及びポリピロール系高分子がさらに好ましい。
ポリチオフェン系高分子の具体例として、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジエチルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等が挙げられる。
ポリピロール系高分子の具体例として、ポリピロール、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)等が挙げられる。
ポリアニリン系高分子の具体例として、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−エチルアニリン)等が挙げられる。ポリアセチレン系高分子の具体例として、ポリアセチレン、ポリメチルアセチレン、ポリフェニルアセチレン等が挙げられる。ポリフェニレン系高分子の具体例として、ポリオルソフェニレン、ポリメタフェニレン、ポリパラフェニレン等が挙げられる。
代表的なドーパントは、ポリアニオンである。ポリアニオンの具体例として、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリアクリル酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)イオンが挙げられる。高い導電性が得られるとの観点から、ポリスチレンスルホン酸イオンが好適に用いられ得る。2種以上のドーパントを組み合わせて用いてもよい。
ドーパントがπ共役系高分子に配位することにより、導電性が向上する。π共役系高分子に対するドーパントの配合量は、導電性塗膜の用途に応じて適宜選択される。ドーパントによる効果が発揮されるとの観点から、好ましいドーパントの量は、π共役系高分子100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下である。
本発明にかかる導電性塗液において、好ましい溶媒は、水又は水を含む混合溶媒である。水又は水を含む混合溶媒は、導電性高分子及びバインダーを溶解又は分散する。均一な導電性塗液が得られるとの観点から、水を含む混合溶媒が好ましい。混合溶媒中の水の量は、20質量%以上が好ましく、30質量%がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。水を主成分として含む混合溶媒が特に好ましい。
水を含む混合溶媒は、水と混和可能な有機溶媒を含みうる。このような有機溶媒として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類及びN−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン類が例示される。2以上の有機溶媒を組み合わせて用いてもよい。導電性塗液の安定性及び乾燥効率の観点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びメチルエチルケトンが好適に用いられる。
本発明の目的が阻害されない限り、導電性塗液は、酸化チタン等の金属酸化物、コロイダルシリカ等の無機フィラー、ポリスチレンビーズ、ポリエチレンビーズ等の有機フィラーを含みうる。導電性塗液に、チクソ性付与剤、消泡剤、難燃剤、粘着付与剤、加水分解防止剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料等の添加剤が添加されてもよい。
本発明の目的が達成される限り、導電性塗液が無機又は有機の陽イオンを含んでもよい。無機陽イオンの例として、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等の金属イオンやアンモニウムイオンが挙げられる。有機陽イオンとして、ステアリルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン及び2−エチルヘキシルアンモニウムイオンのような1級アンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、ジヘキシルアンモニウムイオン、ジオクチルアンモニウムイオン、ジステアリルアンモニウムイオンのような2級アンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオンのような3級アンモニウムイオン並びにジオクチルジメチルアンモニウムイオン及びジステアリルジメチルアンモニウムイオンのような4級アンモニウムイオンが例示される。有機陽イオンが、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン等のアミン類の誘導体であってもよい。導電性塗液は、2種以上の陽イオンを含みうる。
本発明の目的が達成される限り、導電性塗液が、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤として、例えば、テトラブトキシジルコニウム、オクチル酸ジルコニル、ナフテン酸ジルコニル、ジルコニウムアセチルアセトン錯体等のジルコニウム化合物、ジブチルスズジアセテート、ビスアセチルスズアセテート、ビス(アセトキシジブチルスズ)オキサイド、ビス(ラウロキシジブチルスズ)オキサイド、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズビスマレイン酸モノブチルエステル、ジオクチルビスマレイン酸モノブチルエステルの様な有機スズ化合物が挙げられる。導電性塗液が、2種以上の硬化促進剤を含んでもよい。
本発明にかかる導電性塗膜は、第一工程、第二工程及び第三工程とを含む製造方法によって製造される。以下に各工程の詳細を説明する。
第一工程では、導電性高分子と、バインダーと、溶媒とが配合されることにより、導電性塗液が調整される。このバインダーの主成分は、シリカである。このシリカは、水溶性シリカオリゴマー、水分散性シリカ粒子又はこれらの混合物である。第一工程が、導電性高分子、バインダー及び溶媒を配合して得られる配合液を濾過する工程をさらに含んでも良い。この場合、濾過して得られるろ液が、導電性塗液とされる。
導電性高分子、バインダー及び溶媒を配合する方法は特に限定されず、公知の方法が用いられ得る。例えば、濃度既知の導電性高分子/溶媒分散液を準備し、この導電性高分子/溶媒分散液中に、攪拌下、予め準備された濃度既知のバインダー/溶媒分散液を添加することにより、導電性塗液が調製される。導電性塗液の安定性の観点から、5℃以上40℃以下の温度で調製されることが好ましい。
第二工程では、第一工程で調整された導電性塗液が、基材の表面に塗布される。
用いられる基材の種類及び大きさは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。ガラス、結晶性又は非晶性のポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が例示される。透明基材が好ましい。
第二工程において、導電性塗液を基材の表面に塗布する方法は、特に限定されず、既知の方法が選択されて用いられる。例えば、コーティング法、印刷法等が挙げられる。印刷法の例として、スクリーン印刷法、平版オフセット印刷法、インクジェット法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スタンピング法、ディスペンス法、スキージ印刷法等が挙げられる。コーティング法の例として、バーコート法、スピンコート法、フローコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法等が挙げられる。ディッピング法、スプレー法が用いられてもよい。
第二工程が、さらに基材の前処理工程を含んでも良い。前処理工程では、導電性塗液が塗布される前に、基材の塗布対象面が表面処理される。表面処理によって、導電性塗膜と基材との密着性が向上する。表面処理方法は、特に限定されず、プラズマ放電、コロナ放電といった既知の方法が用いられ得る。
第三工程では、第二工程で基材に塗布された導電性塗液が乾燥されることにより、導電性塗膜が形成される。導電性塗液の乾燥方法は特に限定されないが、得られる導電性塗膜の硬度及び乾燥効率の観点から、加熱乾燥法が好適に用いられる。
導電性塗液の乾燥条件は、導電性塗液の量や基材の種類によって、適宜選択される。得られる導電性塗膜の硬度の観点から、乾燥温度は50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、115℃以上が特に好ましい。導電性塗膜及び基材の耐熱性の観点から、好ましい乾燥温度は250℃以下である。導電性塗液が、大気下、真空雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、還元性ガス雰囲気下等で乾燥されてもよい。
第二工程において、基材に塗布された導電性塗液は、導電性高分子、バインダー及び溶媒を含む。第三工程において、この導電性塗液が加熱されることにより、溶媒が揮散され、導電性塗液が濃縮される。加熱され、濃縮された導電性塗液中で、バインダーの主成分であるシリカ間にシロキサン結合が形成されることにより、硬度が高く、基材への密着性に優れた導電性塗膜が形成されるものと推測される。
導電性塗膜の硬度及び密着性の観点から、導電性塗膜中のシリカ含量は、10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。導電性の観点から、好ましいシリカ含量は、95質量%以下である。
本発明に係る製造方法で得られる導電性塗膜の膜厚は、用途に応じて適宜選択される。第二工程において、基材の塗布対象面の面積、導電性塗液の固形分濃度、塗布対象面の面積に対する導電性塗液の塗布量等により調整されうる。
本発明に係る導電性塗液は、導電性塗膜の形成に、特殊な装置や設備を要しないため、製造コストが低減される。この導電性塗液は、導電性塗膜の形成に、250℃を超える高温処理を要しない。そのため、耐熱性の点で採用されなかった樹脂組成物を、透明基材の材料として選択することができる。さらに、本発明に係る導電性塗液から得られる導電性塗膜は、基材に密着する。この導電性塗膜は、従来あるITOからなる導電性塗膜と同等の透明性及び硬度を有する。
また、本発明に係る導電性塗液及び導電性塗膜は、選択される導電性高分子の種類や、バインダーの配合量により、種々の用途に適用されうる。例えば、電極のような高い導電性(低い抵抗値)が求められる低抵抗用途の場合、導電率500S/cmから1000S/cm程度の導電性高分子が選択される。一方、高い抵抗(低い導電性)が要求される帯電防止用途には、より低い導電率の導電性高分子が選択されうる。導電性高分子に対するバインダーの量が増加すると、抵抗が高い(導電性が低い)導電性塗膜が得られる。導電性高分子に対するバインダーの量が減少すると、抵抗が低い(導電性が高い)導電性塗膜が得られる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
5質量部のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の水分散液(ヘレウス社製、商品名「Clevious P」、固形分濃度1.3質量%)と、95質量部のシリカオリゴマー水溶液(東洋化学社製、商品名「TOYO HC」、固形分濃度3.0%)とを配合し、室温下で60分間攪拌することにより、実施例1の導電性塗液を得た。実施例1の導電性塗液は、バインダーとして、水溶性シリカオリゴマーを含む。この導電性塗液では、バインダー中のシリカ含量は、100質量%である。この導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量は、98質量%である。
次いで、基材である無アルカリガラス(幅100mm、長さ100mm、厚み0.5mm)を設置した。この基材の表面に、バーコーター(第一理化株式会社製)で、実施例1の導電性塗液を塗布し、115℃で、10分間乾燥させることにより厚さ200g/mの導電性塗膜を形成した。
[実施例2−7]
PEDOT/PSSの水分散液(前述の「Clevious P」)と、シリカオリゴマー水溶液(前述の「TOYO HC」)との配合を、下表1−2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−7の導電性塗液を得た。実施例2−7の導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量が、「固形分中のシリカ含量」として、下表1−2に示されている。実施例2−7の導電性塗液を用いて、実施例1と同様にして、導電性塗膜を形成した。得られた導電性塗膜の膜厚は、いずれも200g/mである。
[実施例8−10]
バインダーとして、下表2に示されるシリカ粒子の水分散液を使用した他は、実施例1と同様にして、実施例8−10の導電性塗液を得た。実施例8−10の導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量が、「固形分中のシリカ含量」として、下表2に示されている。実施例8−10の導電性塗液を用いて、実施例1と同様にして、導電性塗膜を形成した。得られた導電性塗膜の膜厚は、いずれも200g/mである。
[実施例11−14]
導電性高分子の種類及び配合を、下表3に示される通りとした他は、実施例1と同様にして、実施例11−14の導電性塗液を得た。実施例11−14の導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量が、「固形分中のシリカ含量」として、下表3に示されている。実施例11−14の導電性塗液を用いて、実施例1と同様にして、導電性塗膜を形成した。得られた導電性塗膜の膜厚は、いずれも200g/mである。
[実施例15−20]
バインダーの種類及び配合を下表4−5に示される通りとした他は、実施例1と同様にして、実施例15−20の導電性塗液を得た。実施例15−20の導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量が、「固形分中のシリカ含量」として、下表4−5に示されている。実施例18−20の導電性塗液中の全シリカの量に対する水溶性シリカオリゴマーの量が、「シリカ中のオリゴマー含量」として、下表5に示されている。実施例15−20の導電性塗液を用いて、実施例1と同様にして、導電性塗膜を形成した。得られた導電性塗膜の膜厚は、いずれも200g/mである。
[比較例1]
10質量部のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の水分散液(前述の「Clevious P」)に、0.8質量部のポリエステル(互応化学社製、商品名「プラスコート Z446」、固形分濃度25質量%)を添加して混合することにより、比較例1の導電性塗液を得た。比較例1の導電性塗液は、水溶性シリカオリゴマー及び水分散性シリカ粒子を含まない。この導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量は0質量%である。比較例1の導電性塗液を用いる以外は、実施例1と同様にして、基材上に導電性塗膜を形成した。
[比較例2]
10質量部のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の水分散液(前述の「Clevious P」)に、0.8質量部のポリエステル(互応化学社製、商品名「プラスコート Z561」、固形分濃度25質量%)を添加して混合することにより、比較例2の導電性塗液を得た。比較例2の導電性塗液は、水溶性シリカオリゴマー及び水分散性シリカ粒子を含まない。この導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量は0質量%である。比較例2の導電性塗液を用いる以外は、実施例1と同様にして、基材上に導電性塗膜を形成した。
[比較例3]
10質量部のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の水分散液(前述の「Clevious P」)と、6質量部のコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名「ST30」、固形分濃度30%)とを配合し、室温下で60分間攪拌することにより、比較例3の導電性塗液を得た。比較例3の導電性塗液は、水溶性シリカオリゴマー及び水分散性シリカ粒子を含まない。この導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量は0質量%である。比較例3の導電性塗液を用いる以外は、実施例1と同様にして、基材上に導電性塗膜を形成した。
[実施例21]
10質量部のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の水分散液(前述の「Clevious P」)に、バインダーとして、26質量部の水溶性シリカオリゴマー水溶液(前述の「TOYO HC」)及び2質量部のポリエステル(前述の「プラスコート Z446」)を添加して混合することにより、実施例21の導電性塗液を得た。この導電性塗液のバインダー中のシリカ含量は、61質量%である。この導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量は、55質量%である。実施例21の導電性塗液を用いる以外は、実施例1と同様にして、基材上に導電性塗膜を形成した。
[比較例4]
10質量部のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の水分散液(前述の「Clevious P」)に、バインダーとして、16質量部の水溶性シリカオリゴマー水溶液(前述の「TOYO HC」)及び3質量部のポリエステル(前述の「プラスコート Z446」)を添加して混合することにより、比較例4の導電性塗液を得た。この導電性塗液のバインダー中のシリカ含量は、39質量%である。この導電性塗液に含まれる全固形分量に対するシリカの量は、35質量%である。比較例4の導電性塗液を用いる以外は、実施例1と同様にして、基材上に導電性塗膜を形成した。
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表1−7に記載された化合物の詳細は、以下の通りである。
Clevious P:ヘレウス社の導電性ポリマー、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の水分散液、固形分濃度1.3質量%
Clevious PH500:ヘレウス社の導電性ポリマー、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の水分散液、固形分濃度1.3質量%
TOYO HC:東洋化学社のシリカオリゴマー水溶液、固形分濃度3.0質量%、粒径測定においてシリカ粒子は認められない。
TOYO HC10:東洋化学社のシリカ粒子の水分散液、固形分濃度3.0質量%、重量平均粒子径10nm、一次粒子径3−14nm
TOYO HC60:東洋化学社のシリカ粒子の水分散液、固形分濃度3.0質量%、重量平均粒子径60nm、一次粒子径20−40nm
TOYO HC100:東洋化学社のシリカ粒子の水分散液、固形分濃度3.0質量%、重量平均粒子径100nm、一次粒子径20−40nm
TOYO PY:東洋化学社の導電性ポリマー、ポリピロールの水分散液、固形分濃度9.0質量%
Z446:互応化学社のポリエステル水溶液、固形分濃度25質量%、分子量約16000
Z561:互応化学社のポリエステル水溶液、固形分濃度25質量%、分子量約27000
ST30:日産化学工業社のNa安定化シリカゾル、固形分濃度30質量%、粒子径10−15nm
[導電性塗液の安定性]
実施例1−21及び比較例1−4の導電性塗液を、25℃±5℃に設定された恒温装置に静置した。一週間経過後に、恒温装置から取り出した各導電性塗液を濾過した。濾紙上に残存したゲルの質量を測定し、導電性塗液の質量に対するゲルの質量の割合を算出した。下記基準に基づいて、導電性塗液の安定性を評価した。
A:0質量%(変化なし)
B:5質量%未満
C:5質量%以上
[鉛筆硬度の測定]
JIS K5600−5−4に記載された測定方法に準じて、実施例1−21び比較例1−4について得られた導電性塗膜の鉛筆硬度を測定した。硬度測定には鉛筆硬度試験器(TQC社製、加重750±10g)を使用した。塗膜に傷が生じない最も硬い鉛筆硬度が表1−7に示されている。
[抵抗率の測定]
高抵抗率計ハイレスターUP(三菱化学アナリテック社製)及び低抵抗率計ロレスタAXMCP−T370型(三菱化学アナリテック社製)を使用して、実施例1−21及び比較例1−4について得られた導電性塗膜の抵抗値を測定した。得られた評価結果が表1−7に示されている。
[透過率の測定]
JIS R 1635に記載の測定方法に準じて、日立製作所製分光光度計1U−4000型を使用して、実施例1−21及び比較例1−4について得られた導電性塗膜の、波長550nmにおける透過率(%)を測定した。得られた評価結果が表1−7に示されている。
表1−7に示されるように、実施例の導電性塗液から得られる導電性塗膜の評価は、比較例の導電性塗液から得られる導電性塗膜の評価より優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された導電性塗液及び導電性塗膜は、電磁波吸収体、センサー、コンデンサー用電極等種々の製品にも適用されうる。

Claims (8)

  1. 導電性高分子と、バインダーと、溶媒とを含んでおり、このバインダーの主成分が、実質的にケイ素(Si)と酸素(O)から構成されるシリカ(唯、炭素−ケイ素結合を有する有機シラン化合物を除く)であり、
    上記シリカが、水溶性シリカオリゴマー、水分散性シリカ粒子又はこれらの混合物であり、
    上記バインダー中のシリカの含有量が、60質量%以上であり、
    上記溶媒の主成分が水である導電性塗液。
  2. 上記水分散性シリカ粒子の平均粒子径が100nm以下である請求項に記載の導電性塗液。
  3. 上記水分散性シリカ粒子の一次粒子径が60nm以下である請求項1又は2に記載の導電性塗液。
  4. 上記導電性高分子が、ポリチオフェン系高分子及びポリピロール系高分子から選択される少なくとも1種である請求項1からのいずれかに記載の導電性塗液。
  5. 上記導電性塗液に含まれる全固形分量に対する上記シリカの量が、10質量%以上99質量%以下である請求項1からのいずれかに記載の導電性塗液。
  6. 導電性高分子と、バインダーとを含んでおり、このバインダーの主成分が、実質的にケイ素(Si)と酸素(O)から構成されるシリカ(唯、炭素−ケイ素結合を有する有機シラン化合物を除く)であり、
    上記シリカが、水溶性シリカオリゴマー、水分散性シリカ粒子又はこれらの混合物であり、
    上記バインダー中のシリカの含有量が、60質量%以上である導電性塗膜。
  7. 上記導電性塗膜の鉛筆硬度がH以上であり、この鉛筆硬度が、JIS K5600−5−4に準じて無アルカリガラス上で測定されたものである請求項に記載の導電性塗膜。
  8. 導電性高分子と、バインダーと、溶媒とを配合して、導電性塗液を得る第一工程と、
    上記導電性塗液を基材の表面に塗布する第二工程と、
    上記基剤に塗布された導電性塗液を乾燥させることにより、導電性塗膜を形成する第三工程とを有しており、
    上記バインダーの主成分が、実質的にケイ素(Si)と酸素(O)から構成されるシリカ(唯、炭素−ケイ素結合を有する有機シラン化合物を除く)であり、
    上記シリカが、水溶性シリカオリゴマー、水分散性シリカ粒子又はこれらの混合物であり、
    上記バインダー中のシリカの含有量が、60質量%以上であり、
    上記溶媒の主成分が水であり、
    上記第三工程における乾燥温度が50℃以上200℃以下である導電性塗膜の製造方法。
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