以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図3は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図2、3に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況、画像形成装置1の内部の情報等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、またはKを添えて示すこととする。図2では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置200、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
帯電装置414は、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置200は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置200は、現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム413に供給することによって感光体ドラム413の表面にトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421はA方向に一定速度で走行する。中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり、一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、バックアップローラー423Bに二次転写バイアスを印加し、用紙Sの表面側、つまり、中間転写ベルト421と当接する側にトナーと同極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。
定着部60は、用紙Sの定着面であるトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面である定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。
搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対等を有する。給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
次に、現像装置200の詳細について説明する。図4は、現像装置200を上から見た図であって、開閉部240を閉鎖状態としたときの図である。図5は、現像装置200を上から見た図であって、開閉部240を開放状態としたときの図である。
図4および図5に示すように、現像装置200は、B1サイズ等の軸方向に長い用紙に対応可能なサイズとなっており、現像スリーブ210と、現像剤筐体220と、現像剤排出部230とを有している。現像スリーブ210は、現像剤を担持する現像剤担持体であり、軸方向の長さが長い用紙に対応した長さとなっている。なお、本実施の形態における現像スリーブ210は、直径が25mmに設定されている。
現像剤筐体220は、現像スリーブ210に供給される現像剤を収容する。現像剤筐体220には、現像スリーブ210の軸方向における中央部に対応する部分に対して一方側の領域である第1領域221Aと、現像スリーブ210の軸方向における中央部に対応する部分に対して他方側の領域である第2領域221Bとの間に位置する開閉部240が設けられている。開閉部240は、本発明の「連通状態切替部」に対応する。なお、本実施の形態では、現像剤筐体220における収容可能な現像剤量は1200gである。
また、現像剤筐体220の第1領域221Aおよび第2領域221Bのそれぞれには、第1撹拌部材222と、第2撹拌部材223と、トナー濃度検出部224と、トナー補給部225と、液面高さ検出部226とが設けられている。第1領域221Aの第1撹拌部材222Aおよび第2撹拌部材223Aは、本発明の「第1撹拌部」に対応する。第2領域221Bの第1撹拌部材222Bおよび第2撹拌部材223Bは、本発明の「第2撹拌部」に対応する。
第1撹拌部材222は、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおける、第2撹拌部材223よりも現像スリーブ210から離れた部分に設けられている。
第2撹拌部材223は、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおける、現像スリーブ210に対向する部分に設けられている。
なお、本実施の形態における第1撹拌部材222および第2撹拌部材223は、直径が25mmに設定され、回転数が450rpmに設定されている。
また、第1領域221Aおよび第2領域221Bのそれぞれにおいて、第1撹拌部材222の領域と第2撹拌部材223の領域とが、仕切り板227により仕切られている。仕切り板227に仕切られることで、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおける第1撹拌部材222の領域と第2撹拌部材223の領域は、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の端部に対応する部分でつながっている。
第1撹拌部材222および第2撹拌部材223は、後述する開閉部240の状態に応じて、図4における矢印X1,X2の方向、または、図5における矢印X3の方向に現像剤が移動するように、第1領域221Aおよび第2領域221B内の現像剤を撹拌する。
トナー濃度検出部224は、第1領域221Aおよび第2領域221Bのトナーの濃度を検出する。トナー補給部225は、第1領域221Aおよび第2領域221Bのそれぞれにトナーを補給する。制御部100は、トナー濃度検出部224により検出された検出結果に基づいてトナー補給部225におけるトナーの補給量を制御する。
液面高さ検出部226は、例えば、発光部および受光部を有するON/OFFセンサーであり、現像剤筐体220内における現像剤の液面の高さを検出する。例えば、液面高さ検出部226は、現像剤の液面の高さが高くなって液面高さ検出部226の検出範囲内に入ったらONを出力する。また、液面高さ検出部226は、現像剤の液面の高さが低くなって液面高さ検出部226の検出範囲から外れたらOFFを出力する。なお、液面高さ検出部226は、透磁率型のトナー濃度検出部等でも良い。
現像剤の液面高さは、トナーの帯電性が目標帯電量(例えば、40μC/g)より大きい場合、比較的高い高さとなる。これは、トナーの帯電性が良好だとトナー同士が反発し合って現像剤の嵩密度が低くなるため、現像剤の液面高さが高くなりやすいことに起因する。
また、現像剤の液面高さは、トナーの帯電性が目標帯電量より小さい場合、比較的低い高さとなる。これは、トナーの帯電性が劣悪だとトナー同士が反発し合わず、現像剤の嵩密度が高くなるため、現像剤の液面高さが低くなりやすいことに起因する。
現像剤排出部230は、現像剤筐体220内の現像剤を排出する部分であり、現像剤筐体220における第2領域221Bに対応する部分に設けられている。現像剤排出部230は、通路部231と、スクリュー部材232と、排出部233とを有している。
通路部231は、現像剤筐体220および排出部233と連通する部分である。スクリュー部材232は、通路部231内に配置されており、第1撹拌部材222と同軸となっている。スクリュー部材232は、回転することで通路部231から現像剤筐体220内に向けて現像剤を移動させる流れを発生させる。このスクリュー部材232により、現像剤筐体220内の現像剤は、通路部231内に入り込まないようになっている。
そして、現像剤筐体220内の現像剤のうち、例えばキャリアーが劣化した場合、図示しないキャリアー補給部よりキャリアーが現像剤筐体220内に補給され、現像剤筐体220に収容可能な現像剤量を超えると、現像剤が現像剤筐体220から通路部231に移動して排出部233から排出される。
次に、開閉部240について説明する。図6は、開閉部240を閉鎖状態としたときを示す図である。図7は、開閉部240の動作を示す図である。図8は、開閉部240の動作を示す図である。図9は、開閉部240を開放状態としたときを示す図である。
開閉部240は、第1領域221Aと第2領域221Bとを開閉可能に構成されており、移動部材241と、軸受け部材242とを有している。
移動部材241は、板状部材で構成されており、第1領域221Aと第2領域221Bとを閉鎖できる程度の幅に構成されている(図6も参照)。移動部材241は、外部の駆動が伝達されることにより、第1領域221Aと第2領域221Bとを閉鎖する閉鎖状態の位置(図4の位置)と、第1領域221Aと第2領域221Bとを開放する開放状態の位置(図5の位置)との間を移動する。閉鎖状態は、本発明の「非連通状態」に対応し、開放状態は、本発明の「連通状態」に対応する。
移動部材241は、閉鎖状態の位置に位置するとき(図4参照)、第1領域221Aと第2領域221Bとの間における現像剤の移動を遮断する。移動部材241は、開放状態の位置に位置するとき(図5参照)、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおける各仕切り板227の間に位置する。このため、開放状態の位置に位置する移動部材241により、第1撹拌部材222に対応する領域と、第2撹拌部材223に対応する領域とを仕切り板227とともに仕切られる。
図6に示すように、軸受け部材242は、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の軸を受ける部分であり、現像剤筐体220の下壁の、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223のそれぞれに対応する位置から突出して設けられている。
また、移動部材241の下端部には、軸受け部材242と係合可能な係合部241Aが形成されている。軸受け部材242が移動部材241の係合部241Aに係合することで、閉鎖位置のときに第1領域221Aと第2領域221Bとが移動部材241および軸受け部材242により閉鎖される。
また、移動部材241の下端部には、移動部材241を上下に移動させるためのシャフト243が設けられている。シャフト243は、移動部材241の下端部から下方向に延びており、現像剤筐体220の底部を貫通している。シャフト243には、表面に螺旋状の溝が形成されている。
図7に示すように、現像剤筐体220の底部におけるシャフト243に対応する位置には、シャフト243の溝に係合する係合部材244が設けられている。係合部材244は、現像剤筐体220の底部から上方向に延びており、移動部材241が最も下の位置に位置するとき、移動部材241の内部に位置している。シャフト243が矢印H1の方向に回転すると、螺旋状の溝によって移動部材241が上方向に移動する。
また、移動部材241は、シャフト243とは独立して回転可能に構成されており、シャフト243が回転している際、シャフト243の回転につられることなく、上下に移動する。図8に示すように、移動部材241が最も上の位置に達した後、制御部100の制御により、移動部材241は、矢印H2の方向に90°回転する。これにより、開放状態の位置および閉鎖状態の位置に対応した向きに移動部材241の向きを変えることができる。
そして、図9に示すように、移動部材241の向きを変えた後、シャフト243が矢印H3の方向に回転すると、螺旋状の溝によって移動部材241が下方向に移動する。これにより、閉鎖状態の位置から開放状態の位置に移動部材241を移動させることができる。
また、前述した第1撹拌部材222および第2撹拌部材223は、第1領域221Aおよび第2領域221Bの各領域において、互いに独立して回転可能となっている。制御部100は、移動部材241の位置に応じて、第1領域221Aにおける第1撹拌部材222Aおよび第2撹拌部材223と、第2領域221Bにおける第1撹拌部材222Bおよび第2撹拌部材223Bとの回転方向をそれぞれ制御する。
まず、移動部材241が閉鎖状態の位置のときにおける第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転方向について説明する。
図4に示すように、制御部100は、移動部材241が閉鎖状態の位置のとき、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおいて、現像スリーブ210の軸方向における内側から外側に向けて現像剤が移動するように、第1領域221Aおよび第2領域221Bの第1撹拌部材222の回転方向を制御する。
制御部100は、移動部材241が閉鎖状態の位置のとき、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおいて、現像スリーブ210の軸方向における外側から内側に向けて現像剤が移動するように、第1領域221Aおよび第2領域221Bの第2撹拌部材223の回転方向を制御する。
このため、移動部材241が閉鎖状態の位置のとき、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223が回転することで、第1領域221Aおよび第2領域221B内を現像剤が矢印X1,X2の方向に移動する。
すなわち、現像剤筐体220における現像剤循環状態が、第1領域221A内および第2領域221B内のそれぞれにおいて現像剤循環路が形成された第1状態となる。具体的には、現像剤循環状態が第1状態である場合、第1撹拌部材222Aおよび第2撹拌部材223Aにより形成される、第1領域221A内における現像剤の循環方向(矢印X1)と、第1撹拌部材222Bおよび第2撹拌部材223Bにより形成される、第2領域221B内における現像剤の循環方向(矢印X2)とが異なるように制御される。
次に、移動部材241が開放状態の位置のときにおける第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転方向について説明する。
図5に示すように、制御部100は、移動部材241が開放状態の位置のとき、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおける第1撹拌部材222に対応する領域において、現像剤の移動方向が同じ方向となるように第1撹拌部材222の回転方向を制御する。図5の例では、現像剤の移動方向が左側から右側に向かう方向になるように第1撹拌部材222の回転方向が制御されている。つまり、第1領域221Aの第1撹拌部材222Aの回転方向が、第1状態と第2状態とで変更される。
このため、移動部材241が開放状態の位置のとき、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223が回転することで、第1領域221Aおよび第2領域221B内を現像剤が矢印X3の方向に移動する。
すなわち、現像剤筐体220における現像剤循環状態が、第1領域221Aと第2領域221B全体で1つの現像剤循環路が形成された第2状態となる。具体的には、現像剤循環状態が第2状態である場合、第1領域221Aおよび第2領域221B全体において、環状の現像剤循環路(矢印X3)が形成される。
なお、現像剤を矢印X3の方向とは反対側の方向に移動させる場合、第2領域221Bの第1撹拌部材222Bおよび第2撹拌部材223Bの回転方向を、第1状態と第2状態とで変更すればよい。
ところで、図10Aに示すように、現像剤循環状態が第1状態のとき、現像剤筐体220における第1領域221Aと第2領域221Bとで現像剤の嵩密度に差が生じた場合、第1領域221Aと第2領域221Bとを開放した際に、隣の領域に現像剤を渡す機構がないため、隣の領域に現像剤が移動しにくい。そのため、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおいて全ての現像剤が均一に混ざるには時間がかかる。
また、第1領域221Aと第2領域221Bとで現像剤の嵩密度に差が生じた場合、嵩密度の高い方の現像剤T1が嵩密度の低い方の現像剤T2の方に一方的に流れ込むので、現像剤の嵩密度の低い方の領域(図10Aでは、第1領域221A)側において現像剤が二層化してしまう場合も起こり得る。
そこで、本実施の形態では、制御部100は、第1領域221Aおよび第2領域221Bの現像剤の状態に応じて、第1状態と第2状態とを切り替える制御を行う。現像剤循環状態を第1状態から第2状態とすることにより、第1領域221Aにおける現像剤T2と第2領域221Bにおける現像剤T1が同じ現像剤循環路を流れるようになる。これにより、第1領域221Aおよび第2領域221B全体での均一に現像剤が混ざりやすくなるとともに、一方の領域における現像剤の二層化を抑制することができる。
また、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転方向は、実施の形態に応じて任意に設定しても良い。
例えば、図10Bに示すように、嵩密度の高い現像剤T1側から嵩密度の低い現像剤T2側に現像剤を循環させるような場合、嵩密度の低い現像剤T2の方が、流動性が良いので、嵩密度の高い現像剤T1よりも先に流れていく。そのため、現像剤が二層化することを抑制することができる。
また、図10Cに示すように、嵩密度の低い現像剤T2側から嵩密度の高い現像剤T1側に現像剤を循環させるような場合、嵩密度の低い現像剤T2の方が、液面が高く、かつ、流動性が良いため、嵩密度の高い現像剤T2側に乗り上げるように移動する。そして、第1撹拌部材222又は第2撹拌部材223により速やかに撹拌されるので、現像剤が二層化することを抑制することができる。
次に、現像剤循環状態を第1状態から第2状態に切り替える際の制御について説明する。
現像剤循環状態が第1状態のとき、例えば、図11に示すように、第1領域221Aに対応する部分S1のトナー量が、第2領域221Bに対応する部分S2のトナー量よりも極端に多いトナー像Tを連続で形成した場合、第1領域221Aにおいては、新しいトナーが補給されていくため、図12に示すように、トナーの帯電量が目標帯電量(例えば、40μC/g)に近い値に維持される(実線Y1参照)。
それに対し、第2領域221Bからはトナー消費がないため、現像剤筐体220から排出されずに第2領域221Bに止まるトナー量が多くなり、現像剤が劣化していく。そのため、第2領域221Bにおける現像剤はスペント、外添剤劣化、潤滑剤転移等が生じるので、トナーの帯電量が大きく低下してしまう(実線Y2参照)。
トナーの帯電量が第1領域221Aおよび第2領域221Bにおいて差が生じてしまうと、例えばハーフトーン画像を印刷する際、第1領域221Aと第2領域221Bとで濃度に段差が生じてしまい、画像品質に欠陥が生じる。トナーの帯電量が低下する大きな要因は、キャリアーの劣化であるので、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおけるトナーの帯電量を均一化するためには、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおけるキャリアーの状態を均一化する必要がある。
そこで、本実施の形態では、制御部100は、現像剤循環状態が第1状態である場合、液面高さ検出部226により検出された、第1領域221Aにおける液面高さと、第2領域221Bにおける液面高さとの差分に応じて、現像剤循環状態を第1状態から第2状態に切り替えるか否かについて決定する。
具体的に、制御部100は、第1領域221Aにおける液面高さと、第2領域221Bにおける液面高さとの差分が第1閾値(例えば、10mm)より大きい場合、現像剤循環状態を第1状態から第2状態にする。これにより、第1領域221Aと、第2領域221Bとが開放され、現像剤筐体220の全体において現像剤が混合されるので、キャリアーの状態、つまり、現像剤の状態が均一化され、ひいてはトナーの帯電量が均一化される。これにより、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおいて、トナーの帯電量に差が生じにくくなるので、現像剤の状態を効率よく均一化させ、ひいては画像品質を安定化することができる。
次に、現像剤循環状態を第2状態から第1状態に切り替える際の制御について説明する。
現像剤循環状態が第2状態のときにおいて、図11に示すようなトナー像Tを連続で形成した場合、第1領域221Aに対応する部分におけるトナー濃度が低下するという問題が生じる。
具体的には、図11に示すトナー像Tを連続で形成すると、第1領域221Aにおけるトナーの消費量のみが極端に増える。そのため、図13に示すように、第1領域221Aにおけるトナー濃度は、軸方向におけるトナー補給部225の位置から離れる、つまり、軸方向の左端部から中央に向かうほど小さくなる(実線Y3参照)。それに対し、第2領域221Bにおけるトナー濃度は、目標濃度(例えば、6.5%)と略同じ濃度のままとなる(実線Y4参照)。
このように第1領域221Aと第2領域221Bとが開放された場合、軸方向の片側半分にトナー量が集中した画像形成を行うと、軸方向におけるトナー濃度の偏差が大きくなってしまう。
そこで、本実施の形態では、制御部100は、現像剤循環状態が第2状態である場合、トナー濃度検出部224により検出された、第1領域221Aにおけるトナー濃度と、第2領域221Bにおけるトナー濃度との差分に応じて現像剤循環状態を第2状態から第1状態に切り替えるか否かについて決定する。
具体的には、制御部100は、第1領域221Aにおけるトナー濃度と第2領域221Bにおけるトナー濃度との差分が第2閾値(例えば、0.5%)より大きいとき、現像剤循環状態を第2状態から第1状態にする。そして、制御部100は、現像剤循環状態を第2状態から第1状態にした場合、第1領域221Aおよび第2領域221Bのうち、トナー消費量の多い方、つまり、トナー濃度が小さい方の領域に、トナー補給量を大きくするようにトナー補給部225を制御する。
例えば、図13の場合、第1領域221Aのみのトナー濃度が極端に低下しており、トナー濃度検出部224の位置で5%と検出する。それに対し、第2領域221Bにおけるトナー濃度は、トナー消費量がほとんどないため、軸方向において目標濃度と略同じ濃度となっている。そのため、第1領域221Aにおけるトナー濃度と第2領域221Bにおけるトナー濃度との差分が1.5%となるので、第2閾値以上となる。
この場合、制御部100は、現像剤循環状態を第1状態とし、第1領域221Aにトナー補給を行う。これにより、図14に示すように、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおける現像剤の状態を効率よく、かつ、速やかに均一化させることができ(実線Y5,Y6参照)、ひいては現像装置200の軸方向の全体における画像品質を安定化させることができる。
一方、第1領域221Aと第2領域221Bとが開放された構成の場合、時間が経過すると、第1領域221Aにおける現像剤と第2領域221Bにおける現像剤とが混ざり合うので、第1領域221Aにおけるトナー濃度の低下に起因して、全体的にトナー濃度が低下してしまう(破線Z1,Z2参照)。しかし、本実施の形態では、第1領域221Aと第2領域221Bとが閉鎖されるため、第1領域221Aおよび第2領域221Bの何れかに起因して、全体的にトナー濃度が低下することを抑制することができる。
また、制御部100は、現像剤循環状態を第1状態と第2状態との間で切り替える際に、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の動作を停止する。
具体的には、現像剤循環状態が第1状態のときにおいて(図15A参照)、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223は、それぞれの領域で矢印の回転方向に回転しているが、移動部材241を移動させる際、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転を停止する(図15B参照)。これは、移動部材241を上方に移動させた際に、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223を回転させたままにしていると、各領域における現像剤が現像剤筐体220の予期せぬ箇所に流れ込んでしまう可能性があるからである。
そして、移動部材241を回転させた後、移動部材241を下に下げて第1撹拌部材222および第2撹拌部材223を動作させる(図15C参照)。
また、制御部100は、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転数、つまり、回転速度を制御しても良い。具体的には、制御部100は、第1領域221Aの第1撹拌部材222Aおよび第2撹拌部材223Aの回転速度と、第2領域221Bの第1撹拌部材222Bおよび第2撹拌部材223Bの回転速度とを異ならせても良い。
例えば、第1領域221Aおよび第2領域221Bのうち、現像剤の液面高さが高い方の領域、つまり、トナーの帯電量が大きい方の領域における第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転速度を、現像剤の液面高さが低い方の領域、つまり、トナーの帯電量が小さい方の領域における第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転速度よりも大きくする制御を行う。
このようにすることで、現像剤の液面高さが高い方の領域にある現像剤を、現像剤の液面高さが低い方の領域側に速やかに移動させることができるので、トナーの帯電量を速やかに均一化させることができる。
また、制御部100は、第1領域221Aから現像スリーブ210に供給される現像剤量と、第2領域221Bから現像スリーブ210に供給される現像剤量との差分に応じて、第1状態と第2状態との間で現像剤循環状態を切り替える制御をしても良い。つまり、現像剤筐体220の第1領域221Aに対応するトナー像のカバレッジと、現像剤筐体220の第2領域221Bに対応するトナー像とのカバレッジとの差分に応じて、現像剤循環状態を切り替える制御を行うか否かを決定しても良い。
具体的には、制御部100は、カバレッジの差分が例えば50%より大きい場合、現像剤循環状態を切り替える制御を行う。第1領域221Aと第2領域221Bとでトナーの消費量に差がある場合、第1領域221Aにおける現像剤の状態と、第2領域221Bにおける現像剤の状態とに差が生じやすくなる。そのため、カバレッジの差分に応じて現像剤循環状態を切り替える制御の実行の有無を決定することにより、必用なときのみにおいて制御を行うので、効率よく制御を行うことができる。
また、制御部100は、後述する現像剤循環状態を第2状態とするとき、現像剤排出部230に向かうように第1撹拌部材222および第2撹拌部材223を制御することが望ましい。このようにすることで、第2状態における現像剤循環路の流れに沿って劣化した現像剤が現像剤排出部230に移動しやすくなるので、効率よく劣化した現像剤を現像剤筐体220から排出することができる。
次に、画像形成装置1における現像剤循環状態切替制御の動作例について説明する。図16は、画像形成装置1における現像剤循環状態切替制御の動作例の一例を示すフローチャートである。図16における処理は、印刷ジョブ中において適宜実行される。
図16に示すように、制御部100は、現像剤循環状態が第1状態であるか否かについて判定する(ステップS101)。判定の結果、現像剤循環状態が第1状態である場合(ステップS101、YES)、第1領域221Aおよび第2領域221Bの現像剤の液面高さの差分を算出する(ステップS102)。
次に、制御部100は、現像剤の液面高さの差分が第1閾値より大きいか否かについて判定する(ステップS103)。判定の結果、現像剤の液面高さの差分が第1閾値以下である場合(ステップS103、NO)、処理はステップS112に遷移する。一方、現像剤の液面高さの差分が第1閾値より大きい場合(ステップS103、YES)、制御部100は、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の動作を停止する(ステップS104)。
次に、制御部100は、現像剤循環状態を第1状態から第2状態に変更する(ステップS105)。その後、処理はステップS110に遷移する。
ステップS101の判定に戻って、現像剤循環状態が第2状態である場合(ステップS101、NO)、第1領域221Aおよび第2領域221Bのトナー濃度の差分を算出する(ステップS106)。
次に、制御部100は、トナー濃度の差分が第2閾値より大きいか否かについて判定する(ステップS107)。判定の結果、トナー濃度の差分が第2閾値以下である場合(ステップS107、NO)、処理はステップS112に遷移する。一方、トナー濃度の差分が第2閾値より大きい場合(ステップS107、YES)、制御部100は、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の動作を停止する(ステップS108)。
次に、制御部100は、現像剤循環状態を第2状態から第1状態に変更する(ステップS109)。ステップS105およびステップS109の後、制御部100は、第1領域221Aの第1撹拌部材222Aおよび第2撹拌部材223Aの回転方向を変更する(ステップS110)。なお、ステップS110においては、第2領域221Bの第1撹拌部材222Bおよび第2撹拌部材223Bの回転方向を変更するように制御しても良い。
次に、制御部100は、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の動作を開始する(ステップS111)。次に、制御部100は、印刷ジョブが終了したか否かについて判定する(ステップS112)。判定の結果、印刷ジョブが終了していない場合(ステップS112、NO)、処理はステップS101に戻り、印刷ジョブが終了した場合(ステップS112、YES)、制御部100は、本制御を終了する。
以上のように構成された本実施の形態によれば、第1領域221Aおよび第2領域221Bにおける現像剤の状態に応じて、現像剤循環状態を制御するので、現像装置200の軸方向全体における現像剤の状態を効率よく均一化させることができる。
また、現像剤循環状態を第1状態から第2状態にすることで、現像剤を積極的に隣の領域に移動させることができるので、現像装置200の軸方向全体における現像剤の状態を速やかに均一化させることができる。
次に、第1変形例について説明する。
図17Aおよび図17Bに示すように、第1変形例に係る移動部材241には、上記実施の形態のようなシャフト243が設けられておらず、外部の駆動が伝達される伝達ギヤー250の一部を噛み合うギヤー歯部241Bが形成されている。伝達ギヤー250が回転することにより、移動部材241が上下に移動する。移動部材241は、現像剤循環状態が第1状態の位置のとき、最も上側に位置し(図17A参照)、現像剤循環状態が第2状態の位置のとき、最も下側に位置する(図17B参照)。
また、第1変形例に係る移動部材241の下端部には、仕切り部材245が設けられている。仕切り部材245は、第1撹拌部材222が設けられた領域と、第2撹拌部材223が設けられた領域とを仕切る部材である。
仕切り部材245は、第1領域221Aにおける仕切り板227Aと、第2領域221Bにおける仕切り板227Bとの間に対応する位置に位置しており(図18A参照)、現像剤循環状態が第2状態のとき、現像剤筐体220内において、仕切り板227A,227Bの間に位置する(図18B参照)。これにより、第1撹拌部材222の領域と、第2撹拌部材223の領域とが完全に仕切られる。
このような構成によれば、上記実施の形態のように、現像剤循環状態を第1状態と第2状態との間で切り替える際、移動部材241を90°回転させる動作がないため、現像剤循環状態切替制御を簡素化することができる。
次に、第2変形例について説明する。
第1変形例では、移動部材241と仕切り部材245とが一体に構成されていたが、図19Aおよび図19Bに示すように、第2変形例では、移動部材241と仕切り部材246とが別体で構成されている。
仕切り部材246は、現像剤循環状態が第1状態のとき、例えば、現像剤筐体220の仕切り板227Bの位置に退避している。仕切り部材246は、現像剤循環状態が第2状態のとき、移動部材241が上側に移動する際に、仕切り板227Aの位置から軸方向にスライド移動して、仕切り板227A,227Bの間の位置に位置する。これにより、第1撹拌部材222の領域と、第2撹拌部材223の領域とが完全に仕切られる。なお、図19Aでは、仕切り部材246の図示を省略している。
このような構成であっても、上記実施の形態のように、移動部材241を90°回転させる動作がないため、現像剤循環状態切替制御を簡素化することができる。
次に、第3変形例について説明する。
第1変形例および第2変形例では、仕切り部材245,246が設けられていたが、図20Aおよび図20Bに示すように、仕切り部材245,246を設けない構成であっても良い。つまり、移動部材241は、第1領域221Aと第2領域221Bとを閉鎖する閉鎖位置(図20A参照)と、閉鎖位置の上方に退避した開放位置(図20B参照)とを移動する。これによれば、より簡易な構成とすることができる。
次に、第4変形例について説明する。
上記実施の形態では、移動部材241が設けられていたが、本発明はこれに限定されず、図21および図22に示すように、移動部材241を設けない構成であっても良い。つまり、第4変形例では、第1領域221Aと、第2領域221Bとが常時開放されており、第1領域221Aおよび第2領域221Bのそれぞれの第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転方向のみが制御される。
具体的には、図21に示すように、現像剤循環状態が第1状態のとき、現像剤の移動方向が矢印X1,X2となるように第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転方向が制御される。また、図22に示すように、現像剤循環状態が第2状態のとき、現像剤の移動方向が矢印X3となるように第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転方向が制御される。
このような構成によれば、現像剤循環状態を第1状態と第2状態との間で切り替える際、移動部材241を移動させる制御が必要なくなるため、現像剤循環状態切替制御を簡素化することができる。
次に、第5変形例について説明する。
上記実施の形態では、現像剤循環状態が第1状態のときにおいて、第1領域221Aにおける現像剤の循環方向と、第2領域221Bにおける現像剤の循環方向とが異なっていた。しかし、図23に示すように、第5変形例では、現像剤循環状態が第1状態のときにおいて、第1領域221Aの第1撹拌部材222Aおよび第2撹拌部材223Aにより形成される現像剤循環路の循環方向(矢印X1)と、第2領域221Bの第1撹拌部材222Bおよび第2撹拌部材223Bにより形成される現像剤循環路の循環方向(矢印X2)とが同じ方向(図示時計回り方向)になっている。
このため、図24に示すように、現像剤循環状態を第2状態としたとき、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の回転方向を制御する必要がなくなる。具体的には、図16におけるフローチャートにおいて、ステップS104,S108,S110,S111の制御が不要となる。つまり、移動部材241が移動する際においても、第1撹拌部材222および第2撹拌部材223の動作を停止することなく、スムーズに現像剤筐体220内の現像剤の撹拌動作を行うことができる。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、画像形成装置を含む複数のユニットで構成される画像形成システムに適用できる。複数のユニットには、例えば後処理装置、ネットワーク接続された制御装置等の外部装置が含まれる。
最後に、本実施の形態に係る画像形成装置1の評価実験について説明する。
まず、現像剤循環状態を第2状態とすることについての効果確認を行った。具体的には、図11に示すトナー像Tを連続で1000枚画像形成した後に、用紙全面にハーフトーンの画像形成を行った場合における画像濃度に段差の発生の有無を確認した。実施例としては現像剤循環状態を第2状態とし、比較例としては現像剤循環状態を第1状態とした。表1に実施例および比較例における実験結果を示す。
表1における「○」は、画像濃度に段差が発生しなかったことを示している。また、「×」は、画像濃度に段差が発生したことを示している。
表1に示すように、比較例においては、ハーフトーン画像濃度において段差が発生したことが確認された。それに対し、実施例では、ハーフトーン画像濃度において段差が発生することなく、良好な画像品質のものが得られたことを確認できた。
次に、現像剤循環状態を第1状態とすることについての効果確認を行った。具体的には、図11に示すトナー像Tを連続で1000枚画像形成した後に、用紙全面にハーフトーンの画像形成を行った場合における画像濃度に段差の発生の有無および、初期状態の濃度低下の有無を確認した。実施例としては現像剤循環状態を第1状態とし、比較例としては現像剤循環状態を第2状態とした。表1に実施例および比較例における実験結果を示す。
表2における「○」は、画像濃度に段差が発生しなかったこと、又は、初期状態の濃度低下が発生しなかったことを示している。また、「×」は、画像濃度に段差が発生したこと、又は、初期状態の濃度低下が発生したことを示している。
表2に示すように、比較例においては、ハーフトーン画像濃度において段差が発生し、かつ、初期状態から、画像全体において濃度低下が発生したことが確認された。それに対し、実施例では、ハーフトーン画像濃度において段差が発生することなく、かつ、初期状態から、画像全体において濃度低下が発生することなく良好な画像品質のものが得られたことを確認できた。