JP6716085B2 - 掘削装置、回転式掘削機、掘削方法および掘削ビット - Google Patents
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Description
(1)試作機93の稼働時において、掘削装置9の掘削側端に配置された掘削ビット930の各々は、個別に異なるタイミングで進退動作をする。つまり、退入状態と進出状態の各掘削ビット930が混在しており、その結果、各掘削ビット930に加わる荷重(自重による軸荷重、打撃による衝撃荷重)は、等分布せずに、進出状態の掘削ビット930に集中することになり、
(2)また、進出状態の掘削ビット930の打撃面931の縁、あるいは縁に近い部分が、平坦な他の部分より擦り減りやすく、特に角部933は先細りになっているので、先端に行くほど強度が弱い。加えて、角部とその近傍は、先細りになって他の部分よりも面積が狭いため、チップ934を他の部分と同様の密度で配置すると、植設可能なチップ934の数が少なく、
(3)前述の通り、進出状態の掘削ビット930に荷重が集中し、更に、進出状態の掘削ビット930のなかでも角部933に荷重が集中しやすいことを鑑みると、角部933に植設された少数のチップ934には他の部分のチップより大きな負荷が加わり、これによって、他の部分よりも早い段階でチップ934が摩滅するか、あるいはチップ934の脱落といった破損が生じ、
(4)チップ934の破損で角部933近傍の掘削力が著しく低下したことで、打撃面931の他の部分との掘削力に差が生じると共に、チップ934よりも強度が劣るベース部分で直接掘削する状態になって、角部933とその近傍はベース部分ごと摩損または塑性変形して更に掘削力が低下し、
(5)この結果、打撃面931の中で回転軸心9R近傍とその他の部分の掘削力の違いから、掘削穴H1の穴底面H3において外周よりも中央部が盛り上がった形状の中央凸部H6が形成され、
(6)更に、掘削作業中の試作機93の被掘削物側端には、自機の重量あるいは機外からの荷重による強い押圧力が生じており、この押圧状態下で、中央凸部H6に対し、前述の角部933近傍の打撃面931が当たりながら試作機93が回転し続けたことで、塑性変形あるいは偏摩耗が起き、打撃面931に中央変形部H7が発生した。
〔第1実施形態〕(掘削ビット群が第2配置構造である掘削装置2a)、
〔第2実施形態〕(掘削ビット群が第1配置構造である掘削装置2b)、
〔変形例1〕−〔変形例8〕、
の順序により行う。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。そして、後述する各実施形態および各変形例においては、作動流体としてエアを採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、各種気体、水やオイル等の液体等の他の流体を除外するものではない。
(掘削装置2a)
図1〜図10を参照する。掘削装置2aは、ケーシング3、ケーシング3に格納された駆動ユニット4、および、複数の掘削ビット6A1、6A2、6B1、6B2(以下、これら全ての説明の際には「6A1〜6B2」という)で構成された第2配置態様51である掘削ビット群5aを備えている。そして、掘削装置2aでは、エアタンク7(前述の貯留タンクに相当する)が、ケーシング3の掘削ビット群5aとは反対側となる位置に連設されている。
ケーシング3は、回転軸心3Rの軸周方向に回転可能に形成され、内部に駆動ユニット4を格納すると共に掘削ビット群5aを設けることができ、組み合わせて使用する回転駆動装置8が掘削装置2aの全体を回転させ、これによって、掘削ビット群5aが周方向3Cに回転しながら被掘削物H(本実施形態では地面)に打撃力を加えて行う掘削方法を実施することができる(図1参照)。
図1、図4および図6を主に参照する。駆動ユニット4は、ケーシング3に格納されており、掘削ビット群5aに駆動力を供給し、各掘削ビット6A1〜6B2を進退動させることができる。
図5および図7を参照する。掘削ビット群5aは、ケーシング3の被掘削物側に設けられ、駆動力を受けてケーシング3の軸方向に進退動可能な複数の掘削ビット6A1、6A2、6B1、6B2(以下、これら全ての説明の際には「6A1〜6B2」という)で構成され、掘削ビット6A1〜6B2の各打撃面65がケーシング3の回転軸心3Rの周りに配置されている。
図2、図3、図5、図6、図9、図10を主に参照する。本実施形態において、掘削装置2aは、駆動ユニット4に供給される作動流体(エア)を貯留するエアタンク7を設けている。エアタンク7は、外部から導入したエアを一時貯留して駆動ユニット4に供給することができる。
本実施の形態において、回転駆動装置8は、上下方向に貫通した挿通穴811が形成された回転テーブル81を有する本体部80と、本体部80を支持するアウトリガー構造の支持脚82を備えている。回転テーブル81は、油圧モータ、ギヤ装置等で構成される駆動部(図示省略)を有する。また、回転テーブル80の挿通穴811の内壁には、係止凸条部(図示省略)が挿通穴811の中心軸線に沿う方向に形成されている。
図11および図12に示す掘削装置2bは、前述の掘削装置2aに第1配置態様52である掘削ビット群5bを適用したものである。また、エアタンク7bは、胴部70の外面において、螺旋羽根に代えてフラットバー743を適用している。なお、掘削装置2bについても、前述の回転式掘削機1aにおける回転駆動装置8を使用可能であるが説明を省略する。加えて、回転式掘削機1aで説明した部分(ケーシング、駆動ユニット、掘削ビット)との共通部分には同じ符号を付してその構造および作用の説明を省略し、相違する点のみ説明する。
掘削装置2bは、ケーシング3b、ケーシング3bに搭載された駆動ユニット4、および、複数の掘削ビット6D1、6E1、6E2(以下、これら全ての説明の際には「6D1〜6E2」という)により構成された第1配置態様52を有する掘削ビット群5bを備えている。
本実施形態において、ケーシング3bのチャックガイド36に形成された掘削ビット嵌挿用の貫通穴は、周方向に略等間隔で合計3つ形成され、また、駆動ユニット4は、ケーシング3b内に格納された3本のピストン部材41により構成されている(図示省略)。なお、ピストン部材41は、各々異径で、内蔵するピストン(図示省略)の重量が相違するように設定してある(図12参照)。
図12を参照する。掘削ビット群5bは、ケーシング3bの被掘削物側に設けられ、駆動力を受けてケーシング3bの軸方向に進退動可能な複数の掘削ビット6D1〜6E2で構成され、各打撃面65bがケーシング3bの回転軸心3Rの周りに配置されている。
なお、本発明には、第1実施形態および第2実施形態(以下「第1・第2実施形態」と省略する)において説明した態様のほか、以下の変形例に記載した態様も含まれる。
(変形例1、変形例2、変形例3)
図13は図7に示した掘削ビット群5aの他の態様である変形例1、図14は図12に示した掘削ビット群5bの他の態様である変形例2、図15は図12に示した掘削ビット6D1の他の態様である変形例3である。図13〜図15を参照して変形例1〜3について説明する。
前述の各実施形態または各変形例において、掘削ビット群を構成する掘削ビットは3つ、または4つであるが、この数に限定するものではなく、例えば、図16に示す変形例4のように2つであってもよいし、5つ以上(図示省略)であってよい。
第1・第2実施形態において、平坦打撃部652の開口部653は各掘削ビットに1つであるが、これに限定するものではなく、例えば、図17に示す変形例5の掘削ビット6P1、あるいは、図18に示す変形例6の掘削ビット6N1のように、エアの流路をヘッド部内で分岐させ、平坦打撃部652に形成される開口部653を2以上にすることもできる。
(変形例7、変形例8)
第1・第2実施形態において、ケーシング3の胴部外面31に螺旋羽根321および補強リブ322を設けているが、これに限定するものではなく、例えば、図19(a)に示す変形例7の掘削装置2cのように、ケーシング3cの胴部外周の長手方向に亘って螺旋羽根321aを設ける態様、図19(b)に示す変形例8の掘削装置2dのように、ケーシング3bの胴部外周の長手方向に亘るケーシングの回転軸心と平行なフラットバー325を設ける態様、等の各種変形を除外するものではない。
第1・第2実施形態において、駆動ユニット4は、前述の通りケーシング内の3本又は4本のピストン部材41により構成されるが、これに限定するものではなく、例えば、図16に示す変形例4のように2本であってもよいし、5本以上であっても良く、掘削ビット毎に少なくとも1本のピストン部材が充てられることが好ましい。
前述の各実施形態または各変形例において、エア流通制御部材73は盃形状であるが、これに限定するものではなく、例えば、円周方向に所定間隔で穴が開いたディスク状の板体を貯留タンク内側の連結面表面沿って回動可能に取り付け、回転に伴って連結体に形成された前述の貫通穴を断続的に塞ぐようにした構造のもの、貯留タンクからピストン部材に至る各々の経路の長さに長短を設ける構造のもの等、貯留タンク内のエアが各ピストン部材に同じタイミングで流れ込まない形状又は構造であれば、特に限定されるものではない。
第1実施形態で示した回転駆動装置8は、掘削装置2aの自重により下降可能な状態で掘削装置2aに回転力を付与する態様であるが、これに限定するものではなく、例えば、回転駆動装置は取り付けた掘削装置を被掘削物側へ押し出す機構を有する態様であってもよく、その場合、特に岩壁等の壁状の被掘削物に対して好適に使用することができる。また、第1実施形態で示した回転駆動装置8は、テーブル状に設けられた態様であるが、これに限定するものではなく、例えば、掘削装置の胴部に取り付ける抱持部を有し、抱持部を介して掘削装置に回転力を付与する態様の回転駆動装置等、掘削装置に回転力を付与可能な装置であれば、特に限定されるものではない。
2a、2b、2c、2d 掘削装置
3、3b、3c、3d ケーシング
3R 回転軸心
3C 周方向
31 胴部外面
32 スクリュー部
321、321a 螺旋羽根
322 補強リブ
324 係合凹部
325 フラットバー
33 貯留タンク側蓋体
331 挿入穴
34 被掘削物側蓋体
341 挿入穴
35 チャックガイド
351 貫通穴
36 ドライブチャック
370 ボルト
371 ナット
3V 仮想面
3M ケーシングの最大径部分
4 駆動ユニット
41 ピストン部材
411 ピストン
412 シリンダー
5a、5b、5c、5d 掘削ビット群
51 第2配置態様
52 第1配置態様
6A1、6A2、6B1、6B2、6D1、6E1、6E2、6F1、6F2、6
G1、6G2、6H1、6K1、6K2、6L1、6M1、6N1、6P1 掘削ビット
Claims (8)
- 軸周方向に回転可能な筒状のケーシングと、
該ケーシングに格納され、駆動力を供給可能な駆動ユニットと、
前記ケーシングに設けられ、前記駆動力を受けて同ケーシングの軸方向に進退動可能な複数の掘削ビットを有し、該各掘削ビットの打撃面が前記ケーシングの前記回転軸心の周りに配置されると共に、前記打撃面の1つのみが前記回転軸心と重複して配置された第1配置態様、または、前記打撃面の前記回転軸心側に角部が形成され、同回転軸心を挟んで対向配置された一組の同打撃面の前記回転軸心側の縁部のみが同回転軸心と重複し、かつ、前記角部の先端が同回転軸心と重複しないように配置された第2配置態様、のいずれかによって、前記各打撃面の前記回転軸心側の縁部が同回転軸心の近傍で近接するように集合させた、掘削ビット群とを備え、
前記駆動ユニットが、前記第1配置態様において、前記打撃面が前記回転軸心と重複して配置された前記掘削ビット、または、前記第2配置態様において、前記打撃面が前記回転軸心側縁部のみ前記回転軸心と重複して配置された前記掘削ビットのいずれかに対し、前記掘削ビット群を構成する各掘削ビット中で最大の打撃力を付与するように設定されている
掘削装置。 - 前記掘削ビットが、回転軸心方向視で前記掘削ビット群の外周縁となる位置に沿って、前記打撃面から被掘削物側に突出する突条打撃部が形成されたものである
請求項1に記載の掘削装置。 - 前記駆動ユニットが作動流体により作動する構造であり、前記ケーシングの被掘削物側とは反対側に接続された前記作動流体を貯留可能な貯留タンクを備える
請求項1または請求項2に記載の接合具。 - 前記貯留タンクが、前記駆動ユニットによる前記掘削ビットへの駆動力供給のタイミングが各々相違するように前記作動流体を適宜分配する作動流体分配部を有する
請求項3に記載の掘削装置。 - 軸周方向に回転可能な筒状のケーシング、該ケーシングに格納され、駆動力を供給可能な駆動ユニット、および、前記ケーシングに設けられ、前記駆動力を受けて同ケーシングの軸方向に進退動可能な複数の掘削ビットを含み、該各掘削ビットの打撃面が前記ケーシングの前記回転軸心の周りに配置されると共に、前記打撃面の1つのみが前記回転軸心と重複して配置された第1配置態様、または、前記打撃面の前記回転軸心側に角部が形成され、同回転軸心を挟んで対向配置された一組の同打撃面の前記回転軸心側の縁部のみが同回転軸心と重複し、かつ、前記角部の先端が同回転軸心と重複しないように配置された第2配置態様、のいずれかによって、前記各打撃面の前記回転軸心側の縁部が同回転軸心の近傍で近接するように集合させた掘削ビット群、を有し、前記駆動ユニットが、前記第1配置態様において、前記打撃面が前記回転軸心と重複して配置された前記掘削ビット、または、前記第2配置態様において、前記打撃面が前記回転軸心側縁部のみ前記回転軸心と重複して配置された前記掘削ビットのいずれかに対し、前記掘削ビット群を構成する各掘削ビット中で最大の打撃力を付与するように設定されている掘削装置と、
該掘削装置に回転力を付与する回転駆動装置とを備える
回転式掘削機。 - ケーシング、該ケーシングに格納された駆動ユニット、および、前記ケーシングに設けられ、前記駆動ユニットからの駆動力を受けて同ケーシングの軸方向に進退動可能な複数の掘削ビットを含み、該各掘削ビットの打撃面が前記ケーシングの前記回転軸心の周りに配置されると共に、前記打撃面の1つのみが前記回転軸心と重複して配置された第1配置態様、または、前記打撃面の前記回転軸心側に角部が形成され、同回転軸心を挟んで対向配置された一組の同打撃面の前記回転軸心側の縁部のみが同回転軸心と重複し、かつ、前記角部の先端が同回転軸心と重複しないように配置された第2配置態様、のいずれかによって、前記各打撃面の前記回転軸心側の縁部が同回転軸心の近傍で近接するように集合させた掘削ビット群、を有し、前記駆動ユニットが、前記第1配置態様において、前記打撃面が前記回転軸心と重複して配置された前記掘削ビット、または、前記第2配置態様において、前記打撃面が前記回転軸心側縁部のみ前記回転軸心と重複して配置された前記掘削ビットのいずれかに対し、前記掘削ビット群を構成する各掘削ビット中で最大の打撃力を付与するように設定されている掘削装置と、該掘削装置に回転力を付与可能な回転駆動装置とからなる回転式掘削機を組み立て、被掘削物上に設置する第1工程と、
該第1工程により設置された前記回転駆動装置によって掘削装置に回転させながら、該掘削装置の前記掘削ビットを進退させ、前記打撃面によって前記被掘削物を打撃することで同被掘削物を掘削する第2工程とを備える
掘削方法。 - 掘削装置の駆動ユニットから供給される駆動力を受ける接続軸部と、
該接続軸部とは反対側に打撃面が設けられ、該打撃面が、前記掘削装置への取着状態で前記回転軸心側となる箇所に角部を有し、かつ、該角部を挟む両縁が異なる長さに設定されており、前記取着状態で角部の先端が同回転軸心と重複しないように構成されたヘッド部とを備える
掘削ビット。 - 前記掘削装置への取着状態で同掘削装置の外周縁に沿う位置に、前記打撃面から被掘削物側に突出する突条打撃部が形成されている
請求項7に記載の掘削ビット。
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