JP6702536B2 - 炭素短繊維強化フィルム及び炭素短繊維強化構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素短繊維強化フィルム及び炭素短繊維強化構造体の製造方法に関する。
炭素繊維と樹脂を複合化してなる炭素繊維強化樹脂複合体は、金属材料に匹敵する強度・弾性率を有しながら、金属材料よりも比重が小さいため、部材の軽量化を図ることができ、また、鉄などの金属板のように発錆の問題も無く、酸やアルカリにも強いという性質を有していることから、電子機器材料、電気機器材料、土木材料、建築材料、自動車材料、航空機材料、各種製造業で使用されるロボット、ロール等の製造部品等で使用されている。
炭素繊維強化樹脂複合体は、長繊維織布、開繊織物、一方向性ウェブ、短繊維不織布等の炭素繊維布帛と、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂とを複合させた複合体である。最も一般的な炭素繊維強化樹脂複合体には、長繊維織布と熱硬化性樹脂とを複合させた複合体であるが、設計が難しい、均質材料ではない、成形加工時間が長い、高価等の課題があった。
これらの課題を解決した炭素繊維強化樹脂複合体として、炭素短繊維を熱可塑性樹脂と混練し、複合体として射出成形用材料して用いる方法(例えば特許文献1)が知られているが、炭素繊維は混練時に破断しやすく繊維長が短くなり、充分な特性を得られないばかりか、数百ミクロン以下のフィルム状の構造体を得ることが難しいなどの問題があった。これに対して、予め炭素短繊維を含有してなる不織布(炭素短繊維不織布)を作製し、炭素短繊維不織布と熱可塑性樹脂を熱プレス成形法により複合させる方法が提案されているが(特許文献2〜7参照)、枚葉による加工法であるので、生産性が劣るという課題があった。また、真空成形法などに適した意匠性に優れたフィルムのようには取り扱えないという課題があった。
特開平07−156146号公報 特開2013−208791号公報 特開2013−202891号公報 特開2011−21303号公報 特開2004−43985号公報 特開2011−194852号公報 特開2014−224333号公報
本発明の課題は、生産性及び加工性の優れた、炭素短繊維強化フィルム及び炭素短繊維強化構造体の製造方法を提供することである。
上記課題は、下記発明によって解決することができる。
(1)炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化する炭素短繊維強化フィルムの製造方法において、該不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有することを特徴とする炭素短繊維強化フィルムの製造方法。
(2)炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化して炭素短繊維強化フィルムを製造し、さらに、該炭素短繊維強化フィルムを複数枚貼り合わせる炭素短繊維強化構造体の製造方法において、該不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有することを特徴とする炭素短繊維強化構造体の製造方法。
本発明によれば、連続した炭素短繊維強化フィルムが得られるために、そのまま単層で又は炭素短繊維強化フィルムを複数枚重ねて貼り合わせることにより、炭素短繊維の繊維長を損なうことなく、所定の厚み、物性及び加工性の優れた炭素短繊維強化構造体を得ることができる。
本発明における、炭素短繊維を含有してなる不織布(炭素短繊維不織布)としては、湿式法又は乾式法により製造される湿式不織布又は乾式不織布を用いることができる。そして、炭素短繊維不織布は、結着材として、熱可塑性短繊維、熱可塑性エマルジョン等を含むことができる。この結着材によって、炭素短繊維不織布に強度を容易に付与することができる。
炭素短繊維としては、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維、ピッチ類を原料とするピッチ系炭素短繊維が挙げられる。炭素短繊維の繊維径は3μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。また、炭素短繊維の繊維長は、湿式不織布の場合は、3mm以上40mm以下であることが好ましく、乾式不織布の場合は、20mm以上120mm以下であることが好ましい。
本発明において、炭素短繊維としてリサイクル炭素短繊維を用いることができる。一般的に用いられる炭素繊維プリプレグは、航空機用、スポーツ用をはじめ、エポキシ樹脂が含浸されており、炭素繊維をリサイクルするには、樹脂の除去が不可欠である。除去方法としては、アルゴン、窒素などの不活性ガス中又は水蒸気中で、焼結除去する方法が知られている。特に過熱水蒸気による焼結方法は、大気下で熱を奪われると、過熱水蒸気が水に戻ることから、安価で環境を汚染しない有効な方法である。炭素繊維プリプレグによる構造体はアングルプライ積層体など多様な形態をしており、通常は一定サイズに落としてから、焼結処理し、熱硬化性樹脂を除去して、裁断する。この場合、繊維長の異なるリサイクル炭素短繊維が得られる。
乾式不織布の製造方法を説明する。まず、大気中で解繊された炭素短繊維をウェッブに展開し、カード法などで分散さる。この時、結着材として熱可塑性短繊維を併用する場合は、炭素短繊維と一緒に解繊分散させて、熱処理を施す。また、結着材として熱可塑性エマルジョンを併用する場合には、炭素短繊維のウェッブに熱可塑性エマルジョンを付与して熱処理を施す。結着材によって、強度を持たせて、乾式不織布とする。
湿式不織布の製造方法を説明する。まず、水中で炭素短繊維を解繊し、次に、円網、短網、長網、傾斜短網などの抄紙網で漉き上げて、乾燥・加熱処理等を施して、湿式不織布とする。そして、乾式不織布と同様に、熱可塑性短繊維、熱可塑性エマルジョン等の結着材によって、強度を持たせて、湿式不織布とする。
本発明では、乾式不織布、湿式不織布のいずれの不織布も利用できるが、薄い不織布を利用する場合には、繊維の分散性が優れている湿式不織布を利用することが好ましい。また、厚い不織布を利用する場合には、製造方法の簡素で、厚みを持たせるのに有利な、乾式不織布を利用することが好ましい。
熱可塑性短繊維としては、非結晶性のポリビニルアルコール(ビニロン)短繊維、表面が低融点化されているポリエステル芯鞘短繊維、未延伸ポリエステル短繊維、ポリカーボネート(PC)短繊維、ポリオレフィン短繊維、表面が低融点化されているポリオレフィン芯鞘短繊維、表面が酸変性ポリオレフィンよりなるポリオレフィン短繊維、脂肪族ポリアミド短繊維、未延伸ポリフェニレンスルフィド短繊維、ポリエーテルケトンケトン短繊維等の熱可塑性を有する樹脂の短繊維が挙げられる。
熱可塑性エマルジョンとしては、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、酸変性されたポリオレフィン、酸変性されたαオレフィンを含むポリオレフィン、アイオノマー、塩素化ポリオレフィンなどの熱可塑性を有する樹脂のエマルジョンが用いられる。
熱可塑性を有する樹脂の融点は60℃以上260℃以下であることが好ましく、60℃以上230℃以下であることがより好ましく、60℃以上180℃以下であることがさらに好ましく、80℃以上160℃以下であることが特に好ましい。
熱可塑性短繊維の繊維径は3μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましい。また、熱可塑性短繊維の繊維長は1mm以上120mm以下であることが好ましく、3mm以上40mm以下であることがより好ましい。
炭素短繊維と結着材の含有比率(質量基準による、炭素短繊維:結着材)は、8.5:0.0〜5:4であることが好ましく、8.5:0.5〜5:4であることがより好ましく、8:1〜6:3であることが更に好ましい。結着材は必須成分では無いが、炭素短繊維と結着材の含有比率を上記範囲内とすることにより、炭素短繊維強化フィルム及び炭素短繊維強化構造体の強度を容易に高めることができる。
本発明の炭素短繊維強化フィルムの製造方法では、炭素短繊維不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化する。また、本発明の炭素短繊維強化構造体の製造方法では、炭素短繊維不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化して炭素短繊維強化フィルムを製造し、さらに、該炭素短繊維強化フィルムを複数枚貼り合わせる。これらの工程において、例えばPEEKを用いた場合、PEEKの融点が350℃近傍にあるため、400℃以上の過熱装置が必要となる。本発明では、炭素短繊維不織布が、ミクロフィブリル化セルロースを含有するため、加熱加圧処理時や炭素短繊維強化フィルムの貼り合わせ時に、炭素短繊維不織布内で炭素短繊維の分散性が崩れず、炭素短繊維が破断することがない。その結果、連続した炭素短繊維強化フィルムを生産性良く得ることができる。本発明で得られた炭素短繊維強化フィルムは、単層で炭素短繊維強化構造体として使用することもできる。さらに、炭素短繊維強化フィルムを複数枚重ねて貼り合わせることにより、炭素短繊維強化構造体を得ることもできる。本発明では、ミクロフィブリル化セルロースを含有することによって、この貼り合わせ時にも、炭素短繊維の繊維長を損なうことなく、所定の厚み、物性及び加工性の優れた炭素短繊維強化構造体を得ることができる。
ミクロフィブリル化セルロースとは、フィルム状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下であるセルロース繊維である。長さと幅のアスペクト比が20〜100000であることが好ましい。また、変法濾水度が0ml以上770ml以下であることが好ましく、0ml以上600ml以下であることがより好ましい。さらに、質量平均繊維長が0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。本発明における変法濾水度は、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの金網(PULP AND PAPER RESEARCH INSTITUTE OF CANADA製)を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121(1995年版)に準拠して測定した濾水度である。
ミクロフィブリル化セルロースのフィブリル化度合いは、低濃度での分散液粘度で把握することも可能である。粘度が高くなるほど、フィブリル化が進行しているが、粘度が高過ぎる場合は、繊維長が短くなり過ぎている可能性がある。ミクロフィブリル化セルロースの分散液(濃度0.5質量%)の粘度が、B型粘度計(ローターNo.2、ローター回転数60rpm、温度23℃以上25℃以下)を用いた場合、50cp以上200cp以下であることが好ましい。
ミクロフィブリル化セルロース繊維の含有量が少な過ぎると、炭素短繊維強化フィルム製造時又は炭素短繊維強化構造体製造時において、加熱温度が高過ぎた場合に、炭素短繊維の分散性が崩れることがある。逆に、ミクロフィブリル化セルロース繊維の含有量が多過ぎると、炭素短繊維不織布製造時に、ミクロフィブリル化セルロース同士が密な構造を形成して、フィルム状となり、炭素短繊維強化フィルム製造時又は炭素短繊維強化構造体製造時に、炭素短繊維不織布内へ熱可塑性フィルムが進入し難くなる。また、炭素短繊維強化フィルムに、ボイドが見られる場合がある。ミクロフィブリル化セルロースの含有量は、炭素短繊維不織布中の全繊維に対して、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
ミクロフィブリル化セルロース用のセルロース材料としては、植物パルプ、溶剤紡糸セルロース、半合成セルロース等が挙げられる。植物パルプとしては、広葉樹材(L材)や針葉樹材(N材)を用いたクラフトパルプ(KP)、溶解パルプ(DP)、溶解クラフトパルプ(DKP)などの木質系パルプが挙げられる。また、藁、麻、コットン、コットンリンターなどの非木質系パルプも挙げられる。市販品としては、セリッシュ(登録商標、ダイセルファインケム社製)が挙げられる。なお、セルロース材料の結晶形には、I型、II型、III型、IV型等があるが、耐熱性の観点から、I型、II型が好ましく、I型がより好ましい。I型のセルロース材料源としては、コットンパルプ、コットンリンターパルプ、麻パルプ、ケナフパルプなどの非木質系パルプで、リグニン及びヘミセルロースの含有量が低減されたパルプ、L材又はN材から得られる、リグニン及びヘミセルロースの含有量が低減されたKP、DP、DKPなどの木質系パルプが挙げられる。特に、コットン系材料が好ましい。
ミクロフィブリル化セルロースを得るためには、セルロース材料が、まず、水中で分散され、機械的に粉砕される。そして、セルロース材料の繊維が解繊されてミクロフィブリルが形成される。セルロース材料を解繊する装置としては、ディスクリファイナー、石臼型磨砕機、高圧ホモジナイザー、ボールミル、水中カウンターコリジョン法用装置、超音波破砕器等が挙げられる。これらの装置を適宜組み合わせて使用することもできる。
本発明の炭素短繊維強化フィルムの製造方法では、炭素短繊維不織布と、熱可塑性フィルムを貼り合わせて一体化することによって、炭素短繊維強化フィルムを製造する。
熱可塑性フィルムの熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリ1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂等のポリエステル系樹脂;6−ナイロン樹脂、6,6−ナイロン樹脂等のポリアミド(PA)樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリオキシメチレン(POM)樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリエーテルイミド(PEI)樹脂;ポリスルホン(PSF)樹脂;ポリエーテルスルホン(PES)樹脂;ポリケトン樹脂;ポリアリレート(PAR)樹脂;ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂;ポリエーテルケトン(PEK)樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂;ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂;ポリイミド(PI)樹脂;ポリアミドイミド(PAI)樹脂;フッ素(F)樹脂;液晶ポリエステル樹脂等の液晶ポリマー樹脂;ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー;又はこれらの共重合体樹脂や変性樹脂;アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中から、1種又は2種以上を用いることができる。燃焼性の観点から、PC、PPS、PEEK、PEI等が好ましい。
アイオノマー樹脂としては、エチレン−不飽和カルボン酸共重合樹脂のカルボキシル基の一部を金属イオンで中和してなるエチレン系アイオノマー樹脂が挙げられる。カルボキシル基の10モル%以上、好ましくは10モル%以上90モル%以下を金属イオンで中和したものが使用される。金属イオンとしては、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属のような多価金属イオンを挙げることができる。
炭素短繊維不織布と熱可塑性フィルムは、両面から連続的に加熱加圧処理されることにより、炭素短繊維強化フィルムとなる。連続的に加熱・加圧する方法としては、ロール法が優れている。加熱温度としては、熱可塑性フィルムの融点前後が適当であるが、動作中や加圧場所での温度の変化又は振れには注意が必要であって、温度の振れが大きくなると、炭素短繊維不織布や熱可塑性フィルムの断裂や、熱可塑性フィルムの炭素短繊維不織布への浸透性にムラが生ずるので、温度の振れは1℃以内であることが好ましく、0.5℃以内であることがより好ましい。加圧としては、線圧で10N/mm以上600N/mm以下であることが好ましい。速度としては、1m/min以上100m/min以下であることが好ましく、3m/min以上40m/min以下であることがより好ましい。これらの条件は、選択する材料によって適宜調整する必要がある。
ロールは、積層体の両面に対を成して配置されるが、単対でも良いし、複数対用いることもできる。また、スーパーエンジニアリング・プラスチック系の熱可塑性フィルムについては、予備加熱のための装置を設けることができる。積層体としては、1層の炭素短繊維不織布と1層の熱可塑性フィルムからなる積層体、1層の炭素短繊維不織布の両側に熱可塑性フィルムを配置する積層体、1層の熱可塑性フィルムの両側に炭素短繊維不織布を配置する積層体、複数の炭素短繊維不織布と複数の熱可塑性フィルムを交互に配置する積層体、複数の炭素短繊維不織布と複数の熱可塑性フィルムをランダムに配置する積層体等が挙げられる。しかし、製造された炭素短繊維強化フィルムの厚みが厚くなりすぎると、ロール状に巻き取ることが難しくなるので、炭素短繊維強化フィルムの厚みは、20μm以上500μm以下であることが好ましく、30μm以上250μm以下であることがより好ましい。
ロールとしては、ロール軸方向に表面温度が高い精度で保たれる必要があるので、ヒートパイプ機能を有するジャケット室と、ロール軸方向に多層加熱層を作ることが可能な、電磁誘導加熱方法を組み合わせたロールを用いることが好ましい。このようなロールとしては、連続生産の場合は、トクデン社製誘導発熱ジャケットロール(登録商標)が優れており、バッチ式や半バッチ式での生産の場合には、誘導発熱ジャケットロール(登録商標)と同じ原理の、トクデン社製誘導発熱ジャケットプレートが優れている。
本発明で得られた炭素短繊維強化フィルムは、単層で炭素短繊維強化構造体として使用することもできる。さらに、炭素短繊維強化フィルムを複数枚重ねて貼り合わせることにより、炭素短繊維強化構造体を得ることもできる。本発明で得られた炭素短繊維強化フィルムは、裁断して用いることも可能である。貼り合わせには、熱プレス成形や、真空成形などの成形加工を使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りの無い限り、すべて質量によるものである。
(ミクロフィブリル化セルロースの作製)
リンターパルプ(質量平均繊維長1.2mm)を、増幸産業社製マスコロイダー(登録商標、装置名:MKZA12)を用いて、磨砕処理を行い、ミクロフィブリル化セルロースを作製した。さらに高圧ホモジナイザー(BOS製MC2)を用い50MPaで4回処理した。ミクロフィブリル化セルロースの分散液(濃度0.5質量%)での粘度をB型粘度計(ローターNo.2、ローター回転数60rpm、温度23℃以上25℃以下)で測定したところ、170cpであった。
(炭素短繊維)
炭素短繊維:繊維径7μm、繊維長6mm
(熱可塑性短繊維)
熱可塑性短繊維:繊維径4.5μm、繊維長3mm、未延伸PET繊維
<実施例1〜4及び比較例1>
(炭素短繊維不織布の製造)
表1の繊維配合比率で、分散濃度0.2質量%で5分間、繊維を水に分散して、90メッシュの円網型抄紙機で、速度3m/minで漉き上げて、表面温度150℃のヤンキードライヤーにて10秒乾燥し、目付量25g/m、厚み150μm、幅40cm、長さ100mの炭素短繊維不織布を作製し、ロール状に巻き取った。
Figure 0006702536
(炭素短繊維強化フィルム1の製造)
炭素短繊維不織布と熱可塑性フィルム(樹脂:PEEK)100μmを、360℃に加熱したロール対で、速度5m/min、線圧150N/mmで挟み込み、厚み115μmの炭素短繊維強化フィルムを作製した。
(炭素短繊維強化フィルム2の製造)
炭素短繊維不織布2と熱可塑性フィルム(樹脂:無延伸PP、東洋紡製、トーヨータック(登録商標)E−100、融点160℃)100μmを、210℃に加熱したロール対で、速度5m/min、線圧80N/mmで挟み込み、厚み115μmの炭素短繊維強化フィルムを作製した。
(炭素短繊維強化樹脂複合体の製造)
得られた炭素短繊維強化フィルム1及び2を、それぞれ、裁断し、熱プレス法により貼り合わせ、厚み4mmの炭素短繊維強化構造体として、長さ80mm、幅10mm試験片を5本切り出し、これに150℃で3時間熱処理を施した後、冷却して、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)でその曲げ弾性率を測定した。平均値の結果を表2に示した。
<比較例2:PEEK射出成形体>
炭素短繊維とPEEK樹脂を質量比15/85で複合して、これを二軸延伸機で混練した後、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの試験片を、射出成形法によって作製し、これに280℃で3時間熱処理を施し、冷却後、実施例1と同様に曲げ弾性率を測定し、平均値を表2に示した。
<比較例3:PP射出成形体>
炭素短繊維とホモタイプPP樹脂を質量比20/80で複合して、これを二軸延伸機で混練した後、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの試験片を、射出成形法によって作製し、これに150℃、3時間熱処理を施し、冷却後、実施例1と同様に曲げ弾性率を測定し、平均値を表2に示した。
Figure 0006702536
炭素短繊維不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有していない比較例1では、炭素短繊維不織布は加熱加圧処理時に侵入してくる、熱可塑性フィルムの勢いに耐えきれず、熱可塑性短繊維を含有しているにもかかわらず、破断してしまい、炭素短繊維強化フィルムを製造できなかった。これに対し、炭素短繊維不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有している実施例1〜4では、熱可塑性短繊維の有無によること無く、炭素短繊維強化フィルムを製造することができた。
また、実施例1〜4で製造した炭素繊維強化樹脂複合体と炭素短繊維を含有する射出成形体(比較例2及び3)とを比較すると、実施例1〜4で製造された炭素短繊維強化樹脂複合体の方が曲げ弾性率が向上していることが判明した。
以上のように、実施例で得られた炭素短繊維強化フィルムは、ロールで巻き取ることが可能で、さらに貼り合わせて、炭素繊維強化樹脂構造体も製造することできるなど、加工性に優れ、かつ得られた炭素繊維強化樹脂複合体は優れた物性も有していた。
本発明で得られる炭素短繊維強化フィルム及び炭素短繊維強化構造体は、電子機器材料、電気機器材料、土木材料、建築材料、自動車材料、各種製造業で使用されるロボット、ロール等の製造部品等に利用可能である。

Claims (2)

  1. 炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化する炭素短繊維強化フィルムの製造方法において、該不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有することを特徴とする炭素短繊維強化フィルムの製造方法。
  2. 炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化して炭素短繊維強化フィルムを製造し、さらに、該炭素短繊維強化フィルムを複数枚貼り合わせる炭素短繊維強化構造体の製造方法において、該不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有することを特徴とする炭素短繊維強化構造体の製造方法。
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