JP6701946B2 - 電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置及びそれを搭載した車両 - Google Patents

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Description

本発明は、電流指令値に基づいてモータを駆動して操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置及びそれを搭載した車両に関し、特に車両条件により発生する運転者が感じる安定感の低減を補償し、通常操舵運転における操舵運転の負荷を軽減する電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置及びそれを搭載した車両に関する。
車両の操舵系をモータの回転力でアシスト制御する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力で減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力(アシスト力)を付与するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流指令値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティの調整で行っている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10及び操舵角θを検出する舵角センサ14が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)30には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー(IG)信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTsと車速センサ12で検出された車速Vとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによって、モータ20に供給する電流を制御する。
なお、舵角センサ14は必須のものではなく、配設されていなくても良く、また、モータ20に連結されたレゾルバ等の回転センサから操舵角を取得することも可能である。
コントロールユニット30には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)40が接続されており、車速VはCAN40から受信することも可能である。また、コントロールユニット30には、CAN40以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN41も接続可能である。
コントロールユニット30は主としてMCU(CPU、MPU等も含む)で構成されるが、そのMCU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図2のようになる。
図2を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTs及び車速センサ12で検出された(若しくはCAN40からの)車速Vは、電流指令値Iref1を演算する電流指令値演算部31に入力される。電流指令値演算部31は、入力された操舵トルクTs及び車速Vに基づいてアシストマップ等を用いて、モータ20に供給するモータ電流の制御目標値である電流指令値Iref1を演算する。電流指令値Iref1は加算部32Aを経て電流制限部33に入力され、最大電流を制限された電流指令値Irefmが減算部32Bに入力され、フィードバックされているモータ電流値Imとの偏差ΔI(=Irefm−Im)が演算され、その偏差ΔIが操舵動作の特性改善のためのPI(比例積分)制御部35に入力される。PI制御部35で特性改善された電圧制御指令値VrefがPWM制御部36に入力され、更に駆動部としてのインバータ37を介してモータ20がPWM駆動される。モータ20のモータ電流値Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bにフィードバックされる。インバータ37は駆動素子としてFET(電界効果トランジスタ)が用いられ、FETのブリッジ回路で構成されている。
加算部32Aには補償信号生成部34からの補償信号CMが加算されており、補償信号CMの加算によって操舵システム系の特性補償を行い、収れん性や慣性特性等を改善するようになっている。補償信号生成部34は、セルフアライニングトルク(SAT)34−3と慣性34−2を加算部34−4で加算し、その加算結果に更に収れん性34−1を加算部34−5で加算し、加算部34−5の加算結果を補償信号CMとしている。
このような電動パワーステアリング装置を運転支援制御装置として位置付け、操舵運転を支援し、操舵運転負荷を軽減するものとして活用することができる。
一般的な道路を普通に操舵運転している状態(通常操舵運転)での操舵運転負担軽減は、その効果は間接的ではあるが、事故回避技術と共に、交通安全上で重要な技術と位置付けられている。通常操舵運転における操舵運転とは、運転者が認識する目標軌道に追従する操舵制御のことであり、この場合の運転者の操舵運転行為は、認知、判断、行動によってなされる。よって、操舵運転負担軽減では、認知、判断、行動に対応し、(1)操舵行動に伴う身体的負担を軽減できるパワーアシスト特性、(2)操舵制御しやすい車両特性、(3)車両挙動を操舵情報(操舵トルク等の操舵に関連する情報)で把握しやすい操舵情報特性、という3つの特性(以下、総称して「操舵特性」とする)を対象として、それぞれの特性における目標特性と実現手段が議論されている。ここで、操舵情報特性とは、ヨーレート等の車両の挙動を表わす情報(車両挙動情報)から操舵情報までの特性を指す。
(1)の操舵行動に伴う身体的負担軽減については、多くの車両において電動パワーステアリング装置がその役割を果たしている。
(2)の操舵制御しやすい車両特性については、実舵角を入力とし車両挙動を出力とする伝達特性の極である特性方程式の安定性に基づいた議論がなされている。例えば、非特許文献1では、ヨーレートや横加速度の応答特性を1次遅れ特性で近似し、フィーリングの良い応答特性とするための時定数の条件や、フィーリングの良い操舵トルク特性の時定数と応答特性の時定数の関係を提示している。また、操舵制御しやすい車両特性の実現手段として、例えば、非特許文献2では、4WS(四輪操舵)を用いてタイヤとハンドルが機械的に結合されていることの拘束を回避した上で、ヨーレートと横加速度の操舵応答特性の観点から、状態フィードバックを用いた車両特性補償方法や規範モデルに制御を用いた補償方法が提示されている。
(3)の車両挙動を操舵情報で把握しやすい特性については、操舵トルクとヨーレートや横加速度の関係をリサージュ波形(リサジュー図形、リサジュー曲線等と呼ばれることもある)で表わし,その形状と主観的な操舵感評価との相関性に基づいた議論がなされている。例えば、非特許文献3では、操舵トルクと横加速度の関係をリサージュ波形で表わし、運転者の感覚を手応え感、ハンドル戻り感及び操舵トルクの位相遅れ感に分類し、それぞれの感覚に対応した特性値のあり方を提示している。車両挙動を操舵情報で把握しやすい特性の実現手段の議論においては、運転者は視覚情報のみならず操舵トルク情報でも車両挙動を認識しているということで、ヨーレートから操舵トルクまでの伝達特性を解析すると、車両の安定性に関わる車両特性の特性方程式が伝達特性に含まれないために、車両挙動が安定であっても運転者が安定感を感じられない車両条件が存在し、運転者が操舵トルク情報で車両挙動を把握しにくいという課題が予想されており、それを示唆する研究もある(例えば非特許文献4)。
藤波宏明、外2名、「操だ特性とドライバフィーリングの関係について」、自動車技術会学術講演会前刷集951、社団法人自動車技術会、1995年5月、p.181−184 安部正人、大沢洋編、「自動車の運動性能向上技術(普及版)」、朝倉書店、2008年8月、p.114−125 佐藤博文、外2名、「操舵感に関わる操舵応答特性の考察」、自動車技術会論文集、社団法人自動車技術会、1990年3月、第44巻、第3号、p.52−58 山田大介、外2名、「操舵トルクの特性が人間−自動車系に及ぼす影響」、自動車技術会論文集、社団法人自動車技術会、2013年3月、第44巻、第2号、p.459−465
しかしながら、非特許文献1及び非特許文献2では(2)の操舵制御しやすい車両特性に関する技術内容を、非特許文献3及び非特許文献4では(3)の車両挙動を操舵情報で把握しやすい特性に関する技術内容をそれぞれ提示しているが、(2)と(3)両方に対応できる技術とはなっていない。また、(3)における車両挙動が安定であっても運転者が安定感を感じられない車両条件が存在するという問題については、発生メカニズムが解析されておらず、具体的な対策が議論されていない。また、この問題は車両と運転者のインターフェースの問題であるため、本来ステアリングで補償すべき課題であると考えられるが、従来は車両設計の問題と捉えて対処されていたために、中小型車のように車両設計自由度が少ない車両では、本問題の影響が大きい。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、車両挙動が安定であっても運転者が安定感を感じられないという現象の発生メカニズムを解析し、車両条件により発生する運転者が感じる安定感の低減を補償し、通常操舵運転における操舵運転の負荷を軽減する電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置及びそれを搭載した車両を提供することにある。
本発明は、電流指令値に基づいてモータを駆動して操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置に関し、本発明の上記目的は、操舵角からヨーレートまでの車両特性が1次遅れ特性に近似するように前記電流指令値を補償する車両零点特性補償部と、車両挙動情報から操舵情報までの操舵情報特性の時定数が所望の値となるように前記電流指令値を補償する操舵情報特性補償部と、前記車両特性の減衰率が略1となるように、角度情報を用いて前記電流指令値を補償する車両減衰特性補償部とを備え、通常操舵運転における後輪コーナリングコンプライアンスCrが、ホイールベースL、前車軸重心点間距離Lf、後車軸重心点間距離Lr、重量M、ヨー慣性モーメントYm及び車速Vに対して、下記数1を満たす車両に対して、前記車両零点特性補償部、前記操舵情報特性補償部及び前記車両減衰特性補償部により前記電流指令値を補償することにより、前記車両の操舵運転の負担を軽減することにより達成される。
また、本発明の上記目的は、操舵角からヨーレートまでの車両特性が1次遅れ特性に近似するように前記電流指令値を補償する車両零点特性補償部と、車両挙動情報から操舵情報までの操舵情報特性の時定数が所望の値となるように前記電流指令値を補償する操舵情報特性補償部とを備え、通常操舵運転における後輪コーナリングコンプライアンスCrが、ホイールベースL、前車軸重心点間距離Lf、後車軸重心点間距離Lr、重量M、ヨー慣性モーメントYm及び車速Vに対して、上記数1を満たし、ニュートラルステア特性を有する車両に対して、前記車両零点特性補償部及び前記操舵情報特性補償部により前記電流指令値を補償することにより、前記車両の操舵運転の負担を軽減することにより達成される。
さらに、本発明の上記目的は、前記車両零点特性補償部は、トーションバー及び前記車両零点特性補償部による特性が、前記車両特性の零点を相殺する極を有し、前記車両特性の極と同等の零点を有するようにする極零相殺を行うことにより、前記車両特性を1次遅れ特性に近似させることにより、或いは前記車両挙動情報がヨーレートであり、前記操舵情報が操舵トルクであることにより、或いは前記操舵情報特性補償部は、セルフアライニングトルクを用いて前記電流指令値を補償することにより、或いは前記車両減衰特性補償部は、前記角度情報としてステアリング角を使用することにより、或いは操舵周波数が略0.5Hz以下の場合、前記通常操舵運転とすることにより、より効果的に達成される。
また、上記電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置を搭載した車両により上記目的は達成される。
本発明の電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置によれば、車両挙動が安定であっても運転者が安定感を感じられないという現象の発生メカニズムの解析結果を活かし、車両特性が略1の減衰率をもち、1次遅れ特性に近似するように、且つ操舵情報特性の時定数が所望の値になるように電流指令値を補償することにより、中小型車のように車両設計自由度が少ない車両においても、運転者が感じる安定感を向上させ、通常操舵運転における操舵運転の負荷を軽減することができる。また、上記運転支援制御装置を車両に搭載することにより、安定感が向上し、負荷が軽減された走行が可能となる。
電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置のコントロールユニット(ECU)の構成例を示すブロック図である。 操舵特性を再現可能なシミュレーションモデルを示すブロック図である。 シミュレーションモデルで使用するパワーアシスト特性を示す特性図である。 シミュレーションモデルを使用して操舵運転をシミュレーションしたときの操舵トルク特性を示すリサージュ波形である。(A)は車速が80km/時で操舵周波数が0.3Hzの場合、(B)は車速が80km/時で操舵周波数が0.5Hzの場合、(C)は車速が120km/時で操舵周波数が0.3Hzの場合、(D)は車速が120km/時で操舵周波数が0.5Hzの場合のリサージュ波形である。 操舵周波数に対するSAT伝達関数のゲイン及び位相の変化を示すボード線図である。(A)はゲインの変化を示すボード線図で、(B)は位相の変化を示すボード線図である。 本発明の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。 路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を示すイメージ図である。 ヨーレート減衰率を調整するための状態フィードバック制御の構成例を示すブロック図である。(A)はヨーレートをフィードバックする場合の構成例を示すブロック図で、(B)は(A)と等価な構成例を示すブロック図である。 SAT推定を行うための構成例を示すブロック図である。(A)は外部オブザーバを用いてSAT推定を行う場合の構成例を示すブロック図で、(B)はSAT推定値と実際のSATが一致する場合に(A)と等価な構成例を示すブロック図である。 本発明の動作例(第1実施形態)を示すフローチャートである。 本発明の効果を確認するために使用する走行コースを示す概略図である。 本発明の補償を行った場合と行わなかった場合のヨーレート及び操舵トルクの変化を示すグラフである。(A)は補償を行わなかった場合のグラフで、(B)は補償を行った場合のグラフである。 本発明の構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。 本発明の動作例(第2実施形態)を示すフローチャートである。 本発明の運転支援制御装置、4WS及び可変ギア比機構を搭載した車両の概要を示す構成図である。 本発明の構成例(第3実施形態)を示すブロック図である。
本発明では、操舵特性のうち、操舵行動に伴う身体的負担を軽減できるパワーアシスト特性は既に実現されているとの前提で、操舵制御しやすい車両特性及び車両挙動を操舵情報で把握しやすい操舵情報特性を電動パワーステアリング機構(EPS)を用いて実現している。このうち、操舵情報特性については、車両挙動の認識において、運転者は操舵トルク情報も使用しているので、車両挙動に対する操舵トルクの特性(以下、「操舵トルク特性」とする)を主対象としている。
上記の実現に当たり、通常操舵運転において運転者特性に適合する時定数をもつ1次伝達特性で近似できることを操舵トルク特性の目標特性としている。これは、通常操舵運転場面であるオンセンター領域及びオフセンター領域では操舵トルク情報が重要な役目を果たすが、オフセンター領域外ではパワーアシスト量を上げる調整がなされ、その結果、車両挙動に対する操舵トルク感度が低下し、視覚情報や操舵角情報に対して操舵トルク情報の相対的な重要性が低くなっていることと、操舵トルク特性は再現性があり、且つ車両挙動が理解し易い単純な関数であることが望ましいことから導き出されたものであり、運転者が操舵トルクを感じた後に予期したタイミングで予期した量の車両挙動が発生することを意味するので、目標として妥当であると推測される。車両挙動を表わす車両挙動情報としては、ヨーレートを使用する。また、車両特性として、操舵角に対するヨーレートの特性(以下、「ヨーレート伝達特性」とする)を使用している。なお、車両挙動情報として、ヨーレートではなく、横加速度を使用しても良い。
操舵トルク特性が上記目標特性を達成するためには、車両挙動が安定であっても運転者が安定感を感じられない車両条件が存在する問題への対策が必要である。そのために、操舵特性を再現可能なシミュレーションモデルを使用してヨーレートと操舵トルクのリサージュ波形を測定し、その解析結果を基に、運転者が安定感を感じられる条件を導き出している。以下、その条件の導出について説明する。
シミュレーションモデルは、車両モデル、ステアリング機構モデル及びEPS制御器を含めてモデル化され、図3に示されるような構成となっている。図3において、θdは操舵角、θgはステアリング角、θtは実舵角、γはヨーレート、Ttorは操舵トルク検出値、Tstgは操舵トルク、Tsatはセルフアライニングトルク(SAT)、Ktorはトーションバー剛性、STG(s)はステアリング動特性、gtotはトータルギア比、C(s)はEPS制御器のフィードフォワード特性、C(s)はEPS制御器のフィードバック特性、Gθ(s)は実舵角θtに対するヨーレートの特性(以下、「実舵角ヨーレート伝達特性」とする)、Gγ(s)はヨーレートγに対するSATの特性であり、シミュレーションモデルは、Ktorを有するトーションバー100、C(s)を有する特性部101、C(s)を有する特性部102、STG(s)を有する特性部103、1/gtotをゲインとするゲイン部104、Gθ(s)を有する特性部105、Gγ(s)を有する特性部106、加減算部108、減算部107及び109から構成される。特性部101は3次の位相補償器としての機能の他に、図4に示されるようなパワーアシスト特性を有しており、パワーアシスト特性により操舵トルク検出値Ttorをパワーアシストトルクに変換した後、位相補償を行う。パワーアシスト特性は、図2での電流指令値演算部31が使用するアシストマップに相当するが、ここでは車速には依存しない特性としている。
本シミュレーションで用いる車両モデルのパラメータは下記表1の通りで、同定を行った車両は、エンジン排気量が1.2リットルの小型乗用車で、スタビリティファクタが0.0017のアンダーステア特性をもつ車両である。
上記のシミュレーションモデルに対して、車速80km/時及び120km/時において、10°〜90°の範囲でスイープサイン波状に変化する操舵角θdを、操舵周波数が0.3Hz及び0.5Hzでそれぞれ入力した場合の操舵トルク特性(ヨーレートγに対する操舵トルクTstgの特性)のリサージュ波形を図5に示す。操舵周波数として0.3Hz及び0.5Hzを使用する理由は以下の通りである。即ち、通常操舵運転では目標軌道に追従するという操舵運転制御性が重要で、この目標軌道に対する追従制御には、運転者の能力適応による周波数特性上限があることが知られている。例えば、クロスオーバ理論では、運転者は車両動特性を補正し約0.6Hz程度の追従制御応答性に適応するとしており、他に0.4Hzとする報告もある。そこで、通常操舵運転での操舵周波数は略0.5Hz以下であると想定し、その範囲内である0.3Hz及び0.5Hzを使用する。
図5において、図5(A)は車速が80km/時で操舵周波数が0.3Hzの場合、図5(B)は車速が80km/時で操舵周波数が0.5Hzの場合、図5(C)は車速が120km/時で操舵周波数が0.3Hzの場合、図5(D)は車速が120km/時で操舵周波数が0.5Hzの場合のリサージュ波形をそれぞれ示している。図5(A)及び(B)からわかるように、車速80km/時では、操舵周波数0.3Hzより0.5Hzの方が、ヨーレートがゼロ付近でのヒステリシス幅が増加しており、その大きさはヨーレートの振幅に応じて更に増加している。オフセンター領域でのヨーレートは大体1〜15°/秒であるから、オフセンター領域内である±10°/秒の範囲でのヨーレートに対する操舵トルクゲインが、ヨーレートの振幅増加に伴い、低下しており、この結果より、操舵トルクでヨーレートが把握しにくくなっていると推測される。また、図5(C)及び(D)に示される車速120km/時でのシミュレーション結果を見ると、車速120km/時では、車速80km/時に比べて、ヨーレートがゼロ付近のヒステリシス幅が狭くなっており、ヨーレートの振幅及び操舵周波数の増加に応じてヒステリシス幅が更に狭くなっていることがわかる。高速になるとヒステリシス幅が狭くなり、頼りない操舵感になることは良く知られる現象であるが、本シミュレーションでのヨーレート減衰率は約0.7であり、安定と言える範疇である。つまり、車両特性が安定で、車両挙動が安定であっても、(a)ヨーレートの振幅又は操舵周波数に対してヒステリシス幅が変化する、(b)車速に応じてヨーレートのゼロ付近のヒステリシス幅が狭くなる、との現象が起こると、運転者が感じる安定感が失われる場合があることがわかる。そこで、この2つの現象の要因について説明する。
まず、ステアリングの動特性は一定であるとして、操舵トルクの代用特性としてSATを使用し、車両モデルとして線形タイヤモデルを用いた平面2輪モデルを用いる場合、ヨーレートγ(s)に対するSAT Tsat(s)の伝達関数(以下、「SAT伝達関数」とする)は下記数2となる。

ここで、ξはトレール(キャスタートレール)、Yf(s)は前タイヤ横力、θt(s)は実舵角、Mは車両重量、Ymはヨー慣性モーメント、Krは後タイヤコーナリングパワー、Lrは後車軸重心点間距離、Lはホイールベース、Crは後コーナリングコンプライアンス、Tは時定数、sはラプラス演算子である。数2は、平面2輪モデルの基礎式(例えば、安部正人、大沢洋編、「自動車の運動性能向上技術(普及版)」、朝倉書店、2008年8月、p.21−36参照)、に対して、横方向とヨー方向の運動方程式を近似的に表わした下記数3及び数4と、SATは前軸タイヤ横力にトレールを乗じたキングピン回りのモーメントということで、下記数5で表わしたものを適用して算出したものである。
ここで、α(s)は横加速度、Yr(s)は後タイヤ横力、Lfは前車軸重心点間距離である。数2のSAT伝達関数の零点の固有周波数ωzn、零点の減衰率ζ及び極の固有周波数ωpnはそれぞれ下記数6、数7及び数8で表わされる。
SAT伝達関数の数2をボード線図で表わすと図6のようになる。図6は車速60km/時、80km/時、100km/時及び120km/時において、操舵周波数を変化させた場合のSAT伝達関数のゲイン及び位相の変化を表わしたもので、図6(A)がゲインの変化を示し、図6(B)が位相の変化を示している。図6によると、操舵周波数0.5Hz以下の領域では、車速の増加に応じてSAT伝達関数のゲインが増加し、位相進み量が少なくなっている。そして、車速120km/時では、0.2〜1Hzの間で位相遅れ特性を示しており、結果として、図5(C)及び(D)で示されたようなヨーレートの振幅と操舵周波数に応じてヒステリシス幅が狭くなる現象が生じていると推測される。この位相遅れ特性は、数8で表わされる極の固有周波数ωpnが数6で表わされる零点の固有周波数ωznより低くなった結果として生じたものである。なぜならば、SAT伝達関数の車速による位相進み量の減少は、数7で表わされる零点の減衰率ζの車速に応じた低下でも起きるが、それが位相遅れ特性に繋がることはないからである。数6からわかるように、零点の固有周波数ωznは車両の諸元から求まる定数であり、後軸コーナリングコンプライアンスCrが小さいほど高くなる。また、数8からわかるように、極の固有周波数ωpnは後軸コーナリングコンプライアンスCrの逆数を係数とする車速の逆関数となっており、車速の増加に伴って低下し、後軸コーナリングコンプライアンスCrが大きいほど、低い車速で零点の固有周波数ωznより低い周波数になり、SAT伝達関数が部分的に位相遅れ特性になる。つまり、車両特性の安定性が確保されていても、ヒステリシス幅が車速に応じて狭くなり、前述の(a)及び(b)の状態になることを示している。よって、運転者が安定感を感じられるためには、通常操舵運転で下記数9を満たす必要があり、そのためには、後軸コーナリングコンプライアンスCrが下記数10を満たすような小さい値であることが必要になる。
運転者が安定感を感じられる条件として、後軸コーナリングコンプライアンスCrが満たす条件が導出されたので、この条件が成立するとして、前述の操舵トルク特性の目標特性である「操舵トルク特性が、通常操舵運転において運転者特性に適合する時定数をもつ1次伝達特性で近似できる」を達成するための条件について説明する。
まずは、車両がニュートラルステア特性であると仮定した場合の条件について説明する。ニュートラルステア特性とはヨーレート減衰率が車速に依存せずに略1になる特性であると定義することができ、その定義の下、実舵角θt(s)に対するヨーレートγ(s)の特性である実舵角ヨーレート伝達特性が、通常操舵運転(操舵周波数0.5Hz以下)において下記数11で表わされる1次遅れ特性に近似できるものとする(以下、この近似できるとの仮定を「仮定1」とする)。
ここで、τは極の時定数である。また、実舵角θt(s)に対する横加速度α(s)の伝達特性(以下、「実舵角横加速度伝達特性」とする)も、実舵角ヨーレート伝達特性と同様に、下記数12で表わされる1次位相特性に近似できるものとする(以下、この近似できるとの仮定を「仮定2」とする)。
ここで、ταは零点の時定数である。仮定1及び仮定2の下、数2、数5、数11及び数12よりSAT伝達関数を求めると、下記数13となり、SATで代用した操舵トルク特性が1次伝達特性となる。
ここで、τsat及びτは時定数であり、τsatは下記数14で求められる。
τは数13をプロパーな伝達関数(分子の次数が分母の次数以下である伝達関数)で表わすために設定された時定数であり、10Hzに相当する値が与えられる。
操舵トルク特性が1次伝達特性となれば、後は数14で示される時定数τsatを運転者特性に適合するように設定すれば(以下、この設定を「時定数設定」とする)、操舵トルク特性を目標特性にすることができる。
以上より、通常操舵運転における後軸コーナリングコンプライアンスCrが数10を満たすように十分小さい場合、ニュートラルステア特性のようにヨーレート減衰率が車速に依存せずに略1の特性である車両は、仮定1及び仮定2が成立し、時定数設定が行えれば、操舵トルク特性が目標特性になる。
車両がニュートラルステア特性の場合は上記の条件を満たせば、操舵トルク特性を目標特性にすることができるが、車両がアンダーステア特性の場合は、ヨーレート減衰率は車速により変化するので、数12を満たす車速が制限される。よって、アンダーステア特性の車両に対しては、ヨーレート減衰率が略1になるように補償する必要があるが、この補償(以下、「減衰率補償」とする)を車両の諸元の調整で行うのは困難である。なぜならば、スタビリティファクタKを後軸コーナリングコンプライアンスCrの関数で表わすと、下記数15のようになるが、数15からわかるように、後軸コーナリングコンプライアンスCrを小さく設定するとスタビリティファクタKが大きくなり、アンダーステア特性が強まるからである。
ここで、Kfは前タイヤコーナリングパワー、Cfは前輪コーナリングコンプライアンスである。一方、前輪コーナリングコンプライアンスCfを小さくすると、一般車両ではシミーやブレーキジャダに対して敏感になるという問題が生じるので、この方法でも減衰率補償を行うのは困難である。そこで、ステアリング機能を用いて減衰率補償を行う。
ステアリング機能では、減衰率補償の他に、仮定1及び仮定2が成立するような補償(以下、「1次近似補償」とする)及び時定数設定のための補償(以下、「時定数補償」とする)も実施する。つまり、ステアリング機能によって、車両がアンダーステア特性を持つ場合は減衰率補償、1次近似補償及び時定数補償を行い、車両がニュートラルステア特性を持つ場合は1次近似補償及び時定数補償を行う。これらの補償を行うことにより、操舵トルク特性が目標の特性になると共に、実舵角ヨーレート伝達特性が、減衰率が略1で1次遅れ特性に近似した単純な特性となり、実舵角と連動して変化する操舵角に対するヨーレートの特性であるヨーレート伝達特性も単純な特性となるので、操舵制御しやすい車両特性となる。
本発明では、上記3つの補償(減衰率補償、1次近似補償、時定数補償)に対して、各補償のための補償部を用意している。具体的には、減衰率補償用として車両減衰特性補償部を、1次近似補償用として車両零点特性補償部を、時定数補償用として操舵情報特性補償部をそれぞれ用意している。但し、車両がニュートラルステア特性の場合は、車両減衰特性補償部は不要である。各補償は、電流指令値を補償することにより行われる。このような補償を行うことにより、通常操舵運転における後軸コーナリングコンプライアンスCrが小さい場合、操舵制御しやすい車両特性及び車両挙動を操舵情報で把握しやすい操舵情報特性が実現され、中小型車のように車両設計自由度が少ない車両においても、運転者が感じる安定感を向上させ、操舵運転の負荷を軽減することができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、対象とする車両は、通常操舵運転における後軸コーナリングコンプライアンスCrが小さく、数10を満たしているものとする。
まず、アンダーステア特性の車両を対象とした場合の実施形態(第1実施形態)について説明する。
図7は第1実施形態の構成例を示している。図7には、本発明に係る運転支援制御装置の構成例の一部を示しており、減算部151から出力される補償電流指令値Irefaは、例えば、図2に示されている加算部32Aに入力され、以降の構成は図2に示されている構成と同じである。電流指令値演算部31も、図2に示されている電流指令値演算部31と同一構成である。図2と同一構成については説明を省略する。
SAT推定部110は、操舵トルクTs、アシストトルクTm、モータ角速度ωm及びモータ角加速度αmよりSAT Tsatを推定し、SAT推定値Tseとして出力する。車両零点特性補償部120は、電流指令値Iref1を入力し、1次近似補償を行い、補償電流指令値Irefzを出力する。操舵情報特性補償部130は、SAT推定値 Tseを用いて時定数補償のための補償信号Cs1を出力する。車両減衰特性補償部140は、ステアリング角θgを用いて減衰率補償のための補償信号Cs2を出力する。補償電流指令値Irefzは、加算部150及び減算部151にて補償信号Cs1及びCs2によりそれぞれ補償され、補償信号Irefaとして出力される。
各部について詳細に説明する。
SAT推定部110は、例えば特許第4192442号公報に示されている処理と同様の処理により、SAT Tsatを推定する。その処理の概略を説明する。
路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子は図8に示されるようになっており、運転者がハンドルを操舵することによって操舵トルクTsが発生し、その操舵トルクTsに従ってモータがアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪が転舵され、反力としてSATが発生する。その際、モータの慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってハンドル操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いから、下記数16のような運動方程式が得られる。
ここで、上記数16を初期値ゼロとしてラプラス変換し、Tsatについて解くと下記数17が得られる。
上記数17からわかるように、モータの慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm、アシストトルクTm及び操舵トルクTsよりSAT Tsatを推定することができる。モータ角速度ωm及びモータ角加速度αmは、モータ20にレゾルバ等の回転角センサ(図示せず)を連結し、回転角センサが検出する回転角より算出することができる。
なお、推定されたSATをそのままフィードバックした場合、ステアリングが重くなり過ぎ、操舵感覚を向上することができない場合があるので、周波数特性を有するフィルタを用いてSAT推定値Tseを信号処理し、操舵感覚を向上するのに必要十分な情報のみを出力するようにしても良い。また、本方法以外の方法で、SATを推定しても良い。
車両減衰特性補償部140は減衰率補償、即ちヨーレート減衰率を略1とする補償を行うための補償信号Cs2を算出する。
アンダーステア特性の車両のヨーレート減衰率の調整は、図9(A)に示されるように、ヨーレートγ(s)を検出し、実舵角θt(s)に帰還する状態フィードバック制御により行うことができる。図9(A)において、KSTGはトーションバーを除くステアリング系剛性で、Cγ(s)は状態フィードバック制御の特性である。この制御をEPSの機能により実現するために、図9(A)に示される構成を図9(B)に示されるEPSの制御による構成に等価交換するフィードバック特性C(s)を使用する。図9(B)の構成は、STG(s)=1/KSTGとして、図3に示されるシミュレーションモデルの一部と同じ構成となっている。
状態フィードバック制御が加わる前の実舵角ヨーレート伝達特性Gθ(s)は、下記数18で表わされる。
ここで、ζはヨーレート減衰率である。Tyrは時定数で、下記数19で求められる。
ヨーレート減衰率を与える状態フィードバック制御の特性Cγ(s)は、下記数20で与えられる。
ここで、Kdはフィードバックゲインである。
数18〜20より、図9(A)に示される構成での特性は下記数21となり、数21からわかるように、フィードバックゲインKdに相当する減衰率が付加されることになるので、数21が下記数22のような近似式となるようなフィードバックゲインKdを定めることにより、ヨーレート減衰率を略1とすることができる。
図9(A)に示される構成と等価な特性を与えるフィードバック特性C(s)は、図9(A)及び(B)で示される各構成から求められる下記数23及び数24が等しいという条件から導かれる下記数25より、下記数26として求められる。
よって、数26中のフィードバックゲインKdとして、上記数22の近似式を成立させるようなフィードバックゲインKdを使用することにより、ヨーレート減衰率を略1とすることができる。このフィードバック特性C(s)を用いて、車両減衰特性補償部140は、ステアリング角θgより補償信号Cs2を算出する。
車両零点特性補償部120は1次近似補償、即ち仮定1及び仮定2が成立するような補償を行うが、仮定2の「実舵角横加速度伝達特性が1次位相特性に近似できる」という仮定は、通常操舵運転に相当する操舵周波数0.5Hz以下においては妥当な仮定であると推測されるので、車両零点特性補償部120は仮定1が成立する補償を行う。実舵角横加速度伝達特性の零点の固有周波数は車速に依存せずに極より大きい2Hz付近にあるため、1次位相特性に近似するというのは、0.5Hz以下で2次である極の位相遅れ量を減らす方向に働くので、妥当な近似であると推測されるからである。また、仮定1についても、実舵角ヨーレート伝達特性が1次遅れ特性に近似するというのは、実舵角と連動して変化する操舵角に対するヨーレートの特性であるヨーレート伝達特性(つまり、車両特性)が1次遅れ特性に近似するということと等価であるから、ヨーレート伝達特性を1次遅れ特性に近似させることにより成立させる。
ヨーレート伝達特性の1次遅れ特性への近似は、零点の固有周波数を極零相殺することにより行う。これは、ヨーレート伝達特性の零点を相殺する極をもち、ヨーレート伝達特性の極と同じ時定数となる零点をもつフィードフォワード制御器を使用することにより行うことができる。そして、EPSの構成においては、図3に示されるシミュレーションモデルでのトーションバー100及び特性部101を含む閉ループの特性がフィードフォワード制御器の役割を果たしている。よって、ステアリング角θgと操舵トルクTstgが0.5Hz以下で比例すると仮定し、その比例係数をKsatとすると、下記数27を満たすように下記数28のフィードフォワード特性C(s)の時定数T及びTを求めることにより、極零相殺を行うことができる。
ここで、Kは定常ゲイン、Katはパワーアシストゲインであり、図3においてSTG(s)=1/KSTGとなっている。なお、上記の仮定は、実舵角とSATが0.5Hz以下で比例すると仮定することに相当するので、妥当な仮定であると推測される。
ヨーレート伝達特性を数22及び数28から求めると、下記数29のように1次遅れ特性となり、目的が達成されることがわかる。

フィードフォワード特性C(s)を用いて、車両零点特性補償部120は、電流指令値Iref1を補償する。
操舵情報特性補償部130は時定数補償、即ち数14で示される時定数τsatを運転者特性に適合するように設定するための補償を行うための補償信号Cs1を算出する。これは、SAT推定値にフィルタ処理を行うことにより実現される。
SAT推定は外部オブザーバを用いて行うことができ、外部オブザーバを用いてSAT推定を行う場合の構成は図10(A)のようになる。図10(A)において、C(s)はトーションバーを含んだ制御系の特性、F(s)はフィルタ特性、Q(s)は外乱オブザーバ補償器の特性、STGn(s)はノミナル動特性である。図10(A)におけるSAT推定値Tseと実際のSAT Tsatが一致する場合、図10(A)に示される構成は図10(B)に示される構成に等価交換できる。そして、時定数τsatが運転者特性に適合するような所望の時定数τとなるためのフィルタ特性F(s)の条件は下記数30となり、数30に数13を代入すると、フィルタ特性F(s)は下記数31となる。

また、外乱推定値は約10Hz以下の範囲で一致すれば良いので、10Hz以下で外乱オブザーバ補償器の特性Q(s)は略1となるようにする。よって、操舵情報特性補償部130は、フィルタ特性F(s)を用いて、SAT推定値Tseより補償信号Cs1を算出する。
以上の構成において、第1実施形態の動作例を図11のフローチャートを参照して説明する。
動作が開始すると、車速V、操舵トルクTs、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm、アシストトルクTm及びステアリング角θgが入力される(ステップS10)。このうち、車速Vは電流指令値演算部31に、操舵トルクTsは電流指令値演算部31及びSAT推定部110に、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm及びアシストトルクTmはSAT推定部110に、ステアリング角θgは車両減衰特性補償部140にそれぞれ入力される。なお、モータ角加速度αmはモータ角速度ωmを微分することにより算出される。
電流指令値演算部31は、図2に示される構成の場合と同様に、車速V及び操舵トルクTsより電流指令値Iref1を演算し(ステップS20)、車両零点特性補償部120に出力する。
SAT推定部110は、操舵トルクTs、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm及びアシストトルクTmを用いて数17よりSAT Tsatの推定値であるSAT推定値Tseを算出し(ステップS30)、SAT推定値Tseは、操舵情報特性補償部130に入力される。なお、電流指令値演算部31及びSAT推定部110の動作は、順番が入れ替わっても、並行して実行されても良い。
電流指令値Iref1を入力した車両零点特性補償部120は、数26を用いて電流指令値Iref1を変換し、補償電流指令値Irefzとして出力する(ステップS40)。数26におけるパワーアシストゲインKatには予め適切な値が設定されており、時定数T及びTには数25を満たすように予め調整された値が設定されている。補償電流指令値Irefzは加算部150に入力される。
SAT推定値Tseを入力した操舵情報特性補償部130は、数29を用いてSAT推定値Tseを変換し、補償信号Cs1を出力する(ステップS50)。数29における時定数τsatには予め求められた値が設定されており、時定数τには予め所望の値が設定されている。補償信号Cs1は加算部150に入力される。なお、車両零点特性補償部120及び操舵情報特性補償部130の動作は、順番が入れ替わっても、並行して実行されても良い。
加算部150に入力された補償電流指令値Irefzは、補償信号Cs1を加算されることにより補償され(ステップS60)、補償電流指令値Ireftとして出力される。補償電流指令値Ireftは減算部151に加算入力される。
ステアリング角θgを入力した車両減衰特性補償部140は、数24を用いてステアリング角θgを変換し、補償信号Cs2を出力する(ステップS70)。数24におけるGθ(0)、KSTG、時定数τ、ヨーレート減衰率ζには予め求められた値が設定されており、フィードバックゲインKdには数22の近似式が成立するように予め調整された値が設定されている。補償信号Cs2は減算部151に減算入力される。
減算部151に入力された補償電流指令値Ireftは、補償信号Cs2を減算されることにより補償され(ステップS80)、補償電流指令値Irefaとして出力される。
なお、ステアリング角とモータ角には比例関係があるので、車両減衰特性補償部140はステアリング角の代わりにモータ角を使用しても良い。また、操舵情報特性補償部130はSAT推定値の代わりに操舵トルクを使用しても良い。この場合、ステアリングの動特性を考慮した変換を行う必要がある。
ここで、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態で行っている3つの補償(減衰率補償、1次近似補償、時定数補償)の効果を確認するために、本実施形態の運動支援制御装置を搭載したアンダーステア特性の車両を用いて、静的なパワーアシスト特性を変えずに補償有無の違いのみでレーン変更運転を行い、目標軌道に対する収束性を比較した。レーン変更時の収束性については、収束性が悪くオーバーシュートを起こすほど、操舵運転負荷が増すことが知られていることから、このような比較を行った。使用した車両の諸元は下記表2の通りで、オフセンター領域内で最も高い15°/秒程度のヨーレートが現れる車速80km/時でのレーン変更走行を行い、目標軌道に対する収束性の代用特性としてヨーレートのオーバーシュートを、図12に示されるコース制約条件を与えて、評価した。
なお、走行運転するに当たり、運転者には事前に評価趣旨のインフォームドコンセントを行った。
評価結果を図13に示す。図13(A)は補償を行わなかった場合の結果で、図13(B)は補償を行った場合の結果である。縦軸がヨーレート及び操舵トルクで、横軸が時間である。図13から、補償を行わなかった場合はヨーレートが収束する直前でオーバーシュートが観察されるが、補償を行った場合はオーバーシュートが発生していないことがわかる。これは、ヨーレートに対する操舵トルクの位相特性が影響しているからであると推測される。補償を行わなかった場合は、ヨーレートと操舵トルクの位相差が操舵状態によって変化するため、操舵トルク情報でヨーレートを認識することが困難で、必要以上の操舵を行い、オーバーシュートの発生に至ったものと推測される。一方、補償を行った場合は、操舵時の操舵トルクとヨーレートとの位相関係はほぼ一定であり、運転者は操舵トルク情報でヨーレートを制御できた結果、オーバーシュートが発生しなかったものと推測される。このように、本実施形態による3つの補償により、ヨーレートのオーバーシュートが抑えられ、操舵運転負荷が軽減できたことが確認された。
次に、ニュートラルステア特性を持つ車両を対象とした場合の実施形態(第2実施形態)について説明する。
図14は第2実施形態の構成例を示している。図14には、図7の場合と同様に、本発明に係る運転支援制御装置の構成例の一部を示している。前述のように、ニュートラルステア特性を持つ車両ではヨーレート減衰率が略1であり、減衰率補償を行う必要がないので、第2実施形態は、図7に示される第1実施形態と比べると、車両減衰特性補償部140がない構成となっている。よって、ステアリング角θgは入力せず、補償電流指令値Irefaではなく、加算部150から出力される補償電流指令値Ireftが、図2に示されている加算部32Aに入力されることになる。
第2実施形態の動作例を図15に示す。図11に示される第1実施形態の動作例と比べると、車両減衰特性補償部140での動作(ステップS70)と、その動作結果である補償信号Cs2による減衰率補償(ステップS80)が不要となっている。その他の動作は、第1実施形態の動作例と同じである。
上述の実施形態(第1実施形態、第2実施形態)では、全ての補償を、EPSを用いて実行しているが、車両に搭載される他のシステムや機構が幾つかの補償を実行し、残りの補償をEPSが実行するような形態も可能である。例えば、減衰率補償及び1次近似補償は4WS(四輪操舵)、可変ギア比機構、SBW(Steer By Wire)等で実行可能であり、時定数補償はSBW等で実行可能である。4WSは、車両の方向を変えるときに前二輪だけでなく、後二輪も向きを変えて操舵するシステムであり、ヨーレート応答での位相の変化を抑制すること等が可能であるから、減衰率補償及び1次近似補償を実行することができる。可変ギア比機構は車速に応じて操舵ギア比を適切に制御する機構であり、EPSと組み合わせて使用することにより、車両特性であるヨーレート伝達特性を自動的に調整することが可能となり、減衰率補償及び1次近似補償を実行することができる。SBWはステアリングホイールの操作を電気信号で伝えるシステムであり、自由度の高いステアリング系制御を行うことが可能であるから、減衰率補償、1次近似補償及び時定数補償を実行することができる。但し、一般的にSBWはEPSの代用として使用されるので、EPSと併用する場合は、SBWが分担する補償のみを実行するような構成とする。例えば、図16に示されるように、本発明に係る運転支援制御装置70の他に、前輪操舵ギアボックス50及び後輪操舵ギアボックス51の中に4WSの機構が組み込まれており、可変ギア比機構60がモータ20に隣接して設置されている車両において、減衰率補償及び1次近似補償を可変ギア比機構60又は4WSが実行し、運転支援制御装置70は時定数補償のみを実行するということが可能である。この場合の本発明の実施形態の構成例(第3実施形態)は図17のようになり、図7に示される第1実施形態と比べると、車両零点特性補償部120及び車両減衰特性補償部140がない構成となる。そして、電流指令値演算部31から出力される電流指令値Iref1が、加算部152において、操舵情報特性補償部130から出力される補正信号Cs1を加算されることにより補償され、補償電流指令値Ireft’として出力され、補償電流指令値Ireft’が図2に示されている加算部32Aに入力される。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
12 車速センサ
20 モータ
30 コントロールユニット(ECU)
31 電流指令値演算部
110 SAT推定部
120 車両零点特性補償部
130 操舵情報特性補償部
140 車両減衰特性補償部

Claims (8)

  1. 電流指令値に基づいてモータを駆動して操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置において、
    操舵角からヨーレートまでの車両特性が1次遅れ特性に近似するように前記電流指令値を補償する車両零点特性補償部と、
    車両挙動情報から操舵情報までの操舵情報特性の時定数が所望の値となるように前記電流指令値を補償する操舵情報特性補償部と、
    前記車両特性の減衰率が略1となるように、角度情報を用いて前記電流指令値を補償する車両減衰特性補償部とを備え、
    通常操舵運転における後輪コーナリングコンプライアンスCrが、ホイールベースL、前車軸重心点間距離Lf、後車軸重心点間距離Lr、重量M、ヨー慣性モーメントYm及び車速Vに対して、
    を満たす車両に対して、前記車両零点特性補償部、前記操舵情報特性補償部及び前記車両減衰特性補償部により前記電流指令値を補償することにより、前記車両の操舵運転の負担を軽減することを特徴とする電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置。
  2. 電流指令値に基づいてモータを駆動して操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置において、
    操舵角からヨーレートまでの車両特性が1次遅れ特性に近似するように前記電流指令値を補償する車両零点特性補償部と、
    車両挙動情報から操舵情報までの操舵情報特性の時定数が所望の値となるように前記電流指令値を補償する操舵情報特性補償部とを備え、
    通常操舵運転における後輪コーナリングコンプライアンスCrが、ホイールベースL、前車軸重心点間距離Lf、後車軸重心点間距離Lr、重量M、ヨー慣性モーメントYm及び車速Vに対して、
    を満たし、ニュートラルステア特性を有する車両に対して、前記車両零点特性補償部及び前記操舵情報特性補償部により前記電流指令値を補償することにより、前記車両の操舵運転の負担を軽減することを特徴とする電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置。
  3. 前記車両零点特性補償部は、
    トーションバー及び前記車両零点特性補償部による特性が、前記車両特性の零点を相殺する極を有し、前記車両特性の極と同等の零点を有するようにする極零相殺を行うことにより、
    前記車両特性を1次遅れ特性に近似させる請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置。
  4. 前記車両挙動情報がヨーレートであり、
    前記操舵情報が操舵トルクである請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置。
  5. 前記操舵情報特性補償部は、セルフアライニングトルクを用いて前記電流指令値を補償する請求項4に記載の電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置。
  6. 前記車両減衰特性補償部は、前記角度情報としてステアリング角を使用する請求項1に記載の電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置。
  7. 操舵周波数が略0.5Hz以下の場合、前記通常操舵運転とする請求項1乃至のいずれかに記載の電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の電動パワーステアリング機構を用いた運転支援制御装置を搭載した車両。
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