JP6699354B2 - コイル部品 - Google Patents

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Description

この発明は、巻線型のコイル部品に関するもので、特に、一方の端部から他方の端部に向かって径がより小さくなる錐体形状部分を含む巻芯部を備える、コイル部品に関するものである。
この発明にとって興味あるコイル部品であって、錐体形状部分を含む巻芯部を備えるものが、たとえば特開2004−6696号公報(特許文献1)に記載されている。
特許文献1に記載されるコイル部品は、より具体的には、巻線型インダクタであって、円錐状の巻芯部の両端に、直方体状の鍔部を形成してなるコアと、コアにおける巻芯部の外周面に巻回される巻線と、コアおよび巻線を被覆する直方体形状の外装体と、を備えている。そして、外装体の両側面の下方位置に2つの外部電極端子が被着形成され、これら外部電極端子と、巻線の両端に形成された端子部とが、それぞれ、接続されている。
上述のように、錐体形状部分を含む巻芯部を備えるコイル部品によれば、巻芯部の径が一定であるコイル部品と比較して、巻芯部上の巻線の巻回径を変えることができるので、複数の自己共振周波数を持つことができ、よって、広い周波数域で使用することができると、特許文献1に記載されている。
特開2004−6696号公報
上述したような使用可能な周波数を広帯域化するための技術に従えば、巻芯部における大径部と小径部と間での径の差が大きいほど、より広帯域化(高周波化)が可能であるといえる。そのため、巻芯部の大径部側では径をより大きくし、他方、小径部側では径をより小さくすることが有効であると考えられる。
しかしながら、巻芯部の大径部の径をより大きくすると、部品の小型化を阻害する。他方、巻芯部の小径部の径をより小さくすると、巻芯部とその端部に形成される鍔部との間の連結部分の強度が低下する。そのため、巻芯部の大径部の径を大きくすることにも、小径部の径を小さくすることにも、限界があり、結果として、巻芯部の径の大小を操作することによる使用可能な帯域の高周波化(広帯域化)には限界がある。
そこで、この発明の目的は、巻芯部における大径部と小径部と間での径の差による、高周波化に加えて、これとは別の手段を採用することによって、一層の高周波化(広帯域化)を図ることが可能とされた、コイル部品を提供しようとすることである。
この発明は、一方の端部から他方の端部に向かって径がより小さくなる錐体形状部分を含む巻芯部を有する、コアと、巻芯部の外周面に沿って螺旋状に巻回された、巻線と、を備える、コイル部品に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、巻線は、ワイヤ状の中心導体と、中心導体の周面を覆う外層部分と、を有し、外層部分は、直列共振時のQを下げるためのもので、中心導体の周面に接する磁性体層と、磁性体層を覆う絶縁被覆層と、を含むことを特徴としている。
本件発明者は、コイル部品の高周波域での特性を向上させる手段として、Q(Quality Factor)を低くすることに着目した。これによって、共振をなだらかにし、インピーダンスの急峻な低下を抑えることで、高周波域での特性向上を図ることができる。そこで、Qを低くする方法として、巻線におけるワイヤ状の中心導体の近くに高周波域で損失を発生させる材料(たとえば、フェライトなどの磁性体や金属などの導電体)を配置する方法が考えられる。この場合、損失材料は、それが配置される位置が巻線の中心導体に対してより近いほど、Qをより低下させることができる。
しかしながら、通常の構成では、巻線の中心導体のまわりに絶縁被覆層が存在するため、損失材料を巻線の中心導体の近くに配置することができない。これに対して、この発明では、巻線における中心導体の周面に接するように、すなわち、中心導体のごく近くに、磁性体層が配置されているので、Qを効果的に下げることができる。
上記磁性体層は、フェライト系磁性体よりも、金属系磁性体からなることが好ましい。フェライト系磁性体には、(1)導電率が非常に低いため、電気抵抗成分による高周波域でのロスがほとんど発生しない;(2)フェライトの電気抵抗成分以外で発生する損失(複素透磁率μ″やヒステリシスカーブによる損失)は10GHz以上の周波数域では失われてしまう;という問題がある。これに対して、金属系磁性体の場合、発生している損失の多くは、フェライトのような複素透磁率μ″によるものではなく、マクロ的な導電率によって発生している。ここで、マクロ的な導電率とは、金属系磁性体の各粒子の導電率をミクロ的な導電率とした場合に対する、磁性体層全体の導電率を意味する。マクロ的導電率は、金属系磁性体の粒子径の調整により、比表面積を変え、電気抵抗の比較的高い粒子間隔の割合を調整することで、その大きさを調整できる上、フェライトのように、ある周波数以上では損失が消失してしまうようなことがない。そのため、巻線における中心導体の周面に接するように配置する磁性体としては、フェライト系よりも金属系の方がより高周波まで対応することができる。
また、巻線の中心導体は銅からなることが好ましい。銅は、良好な導電性を示し、また、比較的安価で入手容易である。
この発明において、巻芯部はフェライトまたはアルミナなどの磁性体からなることが好ましい。これによって、使用可能な帯域をさらに高周波化することができる。
この発明に係るコイル部品において、好ましくは、コアは、巻芯部の一方の端部および他方の端部にそれぞれ設けられた第1および第2の鍔部を有し、これら第1および第2の鍔部の各々の周面の互いに同じ側に、第1および第2の端子電極がそれぞれ設けられ、巻線の一方端および他方端がそれぞれ第1および第2の端子電極に接続される。この構成によれば、コイル部品を表面実装型のものとすることができる。
上述した好ましい構成において、巻線の外側周囲の、少なくとも第1および第2の端子電極が設けられた側とは反対側を覆うように、樹脂を含む外装材が配置されることがより好ましい。この外装材は、コイル部品のマウント工程において、コイル部品を真空吸引チャックによってピックアップする際、真空吸着面を与えるように機能し得る。
この発明によれば、巻線における中心導体の周面に接する磁性体層の存在により、Qを低下させることができる。そのため、自己共振周波数を超えた帯域での自己共振を目立たなくし(減衰特性をフラットにし)、使用可能な帯域を高周波化できる。すなわち、Qの向上を目指すことが一般的であるコイル部品の技術分野においては、Qを下げることは不都合な事象であるが、この発明では、Qの低下を逆に利用しようとしている。
この発明の一実施形態によるコイル部品1を示す正面図である。 図1に示したコイル部品1に備える巻線9を拡大して示す断面図である。 この発明の完成に至る過程を説明するためのもので、(A)は、インダクタンスLに対して抵抗Rが直列に入った場合を示す等価回路図であり、(B)は、この場合におけるQの周波数特性を示す図である。 この発明の完成に至る過程を説明するためのもので、(A)は、インダクタンスLに対して抵抗Rが並列に入った場合を示す等価回路図であり、(B)は、この場合におけるQの周波数特性を示す図である。 この発明の完成に至る過程を説明するためのもので、(A)は、LC直列共振回路図であり、(B)は、LC直列共振でCが理想的なコンデンサである場合に、共振回路のQによって共振時のインピーダンスがどのように変化するかを表わした図である。 インピーダンスの周波数特性を、この発明の範囲内の実施例と範囲外の比較例とで比較して示す図である。
図1および図2を参照して、この発明の一実施形態によるコイル部品1について説明する。コイル部品1は、自立可能なチップタイプのものである。
コイル部品1は、まず、コア2を備える。コア2は、一方の端部から他方の端部に向かって径がより小さくなる錐体形状部分3を含む巻芯部4を有する。この実施形態では、錐体形状部分3を含むコア2全体が、断面四角形をなしている。錐体形状部分3は、図1に示した正面図に現れる輪郭がテーパ面となっている。なお、図示しないが、平面図および底面図に現れる輪郭については、テーパ面となっていても、あるいは、平行面となる形状を有していてもよい。
錐体形状部分3の形状は、他の角錐形状であっても、角錐形状以外の形状、たとえば円錐形状であってもよい。また、この実施形態では、巻芯部4の全体が、実質的に錐体形状部分3で構成されるが、巻芯部の一部のみが錐体形状部分で構成され、巻芯部の残りの部分が角柱または円柱形状のような均一な径を有する形状部分で構成されてもよい。
コア2は、また、巻芯部4の一方の端部および他方の端部にそれぞれ設けられた第1および第2の鍔部5および6を有する。鍔部5および6は、たとえば断面四角形をなしている。
第1および第2の鍔部5および6には、それぞれ、第1および第2の端子電極7および8が設けられている。コイル部品1を表面実装可能な電子部品とするため、これら第1および第2の端子電極7および8は、第1および第2の鍔部5および6の各々の周面の互いに同じ側に向く面、すなわち、断面四角形状の第1および第2の鍔部5および6の各々の図1による下面にそれぞれ設けられている。端子電極7および8は、導電性ペーストの焼付け、導電性金属のめっき、導電性金属片の貼付け等によって形成される。
コイル部品1は、巻芯部4の外周面に沿って螺旋状に巻回された巻線9を備える。巻線9は、図2によく示されているように、たとえば銅からなるワイヤ状の中心導体10と、中心導体10の周面を覆う外層部分11と、を有する。そして、外層部分11は、中心導体の周面に接する磁性体層12と、磁性体層12を覆う絶縁被覆層13と、を有する。
磁性体層12は、たとえば、鉄粉、ニッケル粉のような磁性体金属粉を樹脂に分散させてなる金属系磁性体からなることが好ましい。磁性体層12は、自己共振周波数を超えた周波数域(数GHz以上)でQを低下させる損失材料として機能するものである。前述したように、磁性体層12を構成する磁性体として、金属系磁性体が用いられると、フェライト系磁性体が用いられる場合に比べて、より高周波域まで損失材料として機能させることができる。
絶縁被覆層13は、たとえば、ポリウレタン、ポリエステルイミド、ポリアミドイミドのような樹脂から構成される。
巻線9、より具体的には、中心導体10の一方端および他方端は、それぞれ、第1および第2の端子電極7および8に電気的に接続される。巻線9と端子電極7および8との接続には、たとえば、熱圧着が適用される。
以上のように構成されたコイル部品1において、巻線9の中心導体10の周面に接する磁性体層12は、巻線9によるインダクタンス成分に対して並列に接続される抵抗として作用する。その結果、後で詳述するように、コイル部品1の高周波域でのQを下げることができる。Qの向上を目指すことが一般的であるインダクタの技術分野においては、Qを下げることは不都合な事象であるが、この実施形態では、Qの低下を逆に利用しようとしている。すなわち、この実施形態では、上述したような高周波域でのコイル部品1のQの低下により、直列共振が発生する際もコイル部品1のQを下げることができ、よって、直列共振によるインピーダンス低下量を低減することができる。したがって、この実施形態によれば、より高周波域まで比較的フラットな電気的特性を持つコイル部品1を得ることができる。
なお、使用可能な周波数域をさらに高周波化するためには、巻芯部4を、たとえばフェライトまたはアルミナなどの磁性体から構成することが好ましい。
また、この実施形態では、図1に示すように、巻芯部4上での巻線9の巻き密度が一定ではない。より具体的には、巻芯部4の径がより小さい側ほど、巻き密度が低くされている。このように、巻き密度を変化させることにより、巻線9の各ターン間で生じる線間容量を、場所によって異ならせることができる。このことは、コイル部品1が与える容量の調整を可能にする。
コイル部品1には、巻線9の外側周囲の、少なくとも第1および第2の端子電極7および8が設けられた側とは反対側を覆うように、たとえば樹脂を主成分とする外装材14が配置されている。なお、ここでいう巻線9の外側周囲とは、巻芯部4に巻回された巻線9全体形状の外側周囲を意味し、たとえば巻線9の横断面における外側周囲のことではないことに留意すべきである。
外装材14は、その上面に平坦な面を形成している。この平坦な面は、コイル部品1のマウント工程において、コイル部品1を真空吸引チャックによってピックアップする際、真空吸引チャックが適用される真空吸着面となり得る。したがって、マウント工程の確実性および信頼性を高めることができる。
以下、この発明を完成させるにあたり、本件発明者が進めた思考について記載する。
巻芯部4において錐体形状部分3を備えることで、その周囲に沿って螺旋状に巻かれた巻線9の各ターンが持つインダクタンス、ならびに各ターンとその隣のターンとが持つ浮遊容量が少しずつ変化する。そのため、各ターンが持つ共振周波数が少しずつずれる。特に、巻芯部4の直径が小さくなると、共振周波数は高周波側にずれ、そのずれ量は巻芯部4の直径に相関する。よって、図1に示したコイル部品1のように、巻芯部4の直径を漸減させると、その周囲に巻かれた巻線9の各ターンが持つ共振周波数は高周波側にずれ、かつ互いにわずかにずれる。したがって、このような構成では、隣り合う共振点が互いに非常に近く、大量に発生する。
ここでの“共振周波数”は、並列共振の共振周波数のことであり、並列共振時はインピーダンスの上昇がもたらされ、インダクタとしての性能に関しては問題とはならない。問題は、並列共振と並列共振との間の周波数には必ず直列共振が発生することである(これは電気回路理論における“リアクタンス2端子網”という理論で確立されている。)。直列共振時は、並列共振時の場合とは異なり、インピーダンスの低下がもたらされ、インダクタとしての性能に関して問題となる。これに対し、図1に示したコイル部品1が有する構成では、隣り合う並列共振点が互いに非常に近く、大量に発生する。このような場合、直列共振の周波数と並列共振の周波数とが非常に近くなるため、インピーダンスの上昇と低下とが相殺され、本来発生しているはずの直列共振が近くの並列共振にマスクされるような形となり、共振点が目立たなくなる。このため、錐体形状部分3を備える巻芯部4の周囲に沿って巻線9を巻き付けた場合には、広帯域でハイインピーダンスが得られているように見える。
一方、この方法で、より高周波域においてインピーダンスを確保しようとすると、巻芯部4の直径をより小さくする必要がある。しかし、図1に示したコイル部品1のように、巻芯部4が錐体形状部分3を備える構成では、巻芯部4の直径を小さくすると、コア2の強度、特に鍔部5および6と巻芯部4との接合部における強度が保てなくなる。すなわち、上記の方法では、小型かつ自立可能なコア強度と、より高周波域におけるインピーダンスの確保とを両立させることに課題がある。
上述したような共振点を目立たなくするには、もう一つ方法がある。それは、共振回路(コイル部品1が与える等価回路)のQを下げることにより、直列共振によるインピーダンスの低下量を低減することである。特に、高周波域における直列共振時の共振回路のQを下げることができれば、広帯域化が達成できるということに本件発明者は着目した。
共振回路のQを下げるには、キャパシタンス成分の損失を増やす、インダクタンス成分の損失を増やす、といった2つの方法がある。しかし、キャパシタンスで高周波ロスが多いものというのは実際にはなかなか存在しない。よって、インダクタンス成分の損失を増やす方がより現実的である。
インダクタンス成分の損失を増やそうと考えた場合、よく考え付くのは中心導体自身の損失を増やすことであるが、これは得策ではない。なぜなら、中心導体に導電率の低いものを使用すると直流抵抗成分が増えてしまうし、何よりも中心導体のQの周波数特性を考えると、高周波になればなるほどQが上がるためである。
このことは、巻線自身の抵抗成分を含めてモデル化した図3(A)のように、コイル部品1をインダクタンスLに対して直列に抵抗Rが入った回路として、当該回路のQを考えると理解しやすい。当該回路のQはjωL/Rで表され、周波数が上がると基本的に当該回路のQは上昇する。分母であるRの部分は、実際には表皮効果と呼ばれる効果があり、R自身が周波数特性を持つが、それは周波数の平方根に比例して上昇する。一方の分子側のjωLは、周波数に比例する。そのため、図3(A)の回路におけるQの周波数特性を表わす図3(B)に示すように、当該回路のQは高周波で非常に高くなる。なお、図3(B)は、一例として、Lを5nHに固定し、Rを1Ωに固定した場合のQの具体値を示しているが、絶対値を除いたQの傾向はどのようなL、Rの値でも同様である。よって、巻線9における中心導体10自身の損失を増やす方法では、高周波でQを低下させることが難しい。
そこで、本件発明者は、たとえば磁性体層12を、巻線9における中心導体10の周面に接するように配置することで、インダクタンス成分の損失を増やす方法に着目した。この構成によると、図4(A)に示すように、コイル部品1をインダクタンスLに対して並列に抵抗Rが入った回路として見なすことができる。当該回路のQはR/jωLで表されるため、図3(B)とは逆に、図4(B)に示すように、回路のQは低周波域で高く、高周波域で低くなる。なお、図4(B)は、一例として、Lを5nHに固定し、Rを2kΩに固定した場合のQの具体値を示しているが、絶対値を除いたQの傾向はどのようなL、Rの値でも同様である。
一方で、LC直列共振時に高いインピーダンスを維持しなければならない広帯域チョークでは、直列共振時のインピーダンスの低下量をより低減するために直列共振時のQは非常に小さな値でなければならない。図5(A)は、LC直列共振回路を示し、図5(B)は、LC直列共振で、Cが理想的なコンデンサである場合に、共振回路のQによって共振時のインピーダンスがどのように変化するのかを表わした図である。なお、図5(B)は、Lを5nHに固定し、Cを0.01pFに固定した場合を示している。
図5(B)に示すように、Qがおよそ1以下の非常にQの低いインダクタが実現できれば、共振を抑えることができる。しかし、インピーダンスの目標値としては通常数百Ω以上必要なため、実際には、このQを下げる手法だけではインピーダンスは目標値には届かない。図5(B)を参照すれば、たとえばQ=1/5というようにQが非常に低い値であっても、インピーダンスは数百Ωには届かないことがわかる。そこで、本件発明者は、さらに上記のQを下げる手法に、錐体形状部分3を有する巻芯部4の周囲に沿って巻線9を巻き付けることによって直列共振時のインピーダンスの低下を防ぐ手法を組み合わせることで目標値を達成することに想到した。
上記の組み合わせを行なうため、実際には、図5(B)で示したようなQ=1ほどまではQが低くなくてもよいが、いずれにしても、並列抵抗が共振を抑えるのに適していることは明らかである。特に、本件発明者は、並列抵抗として、中心導体10の周面に接する磁性体層12を用いることが好ましいことを発見した。
図6には、この発明の実施例としての磁性体層を備える巻線を巻回したコイル部品(実線)と、比較例としての磁性体層を備えない巻線を巻回したコイル部品(点線)との各々のインピーダンスの周波数特性が示されている。なお、実施例および比較例のいずれについても、巻線の中心導体は銅線から構成した。また、実施例において、巻線として、古河電工製の磁性めっき線「2−UEFPW 10.7」を用いた。
特に、10GHzを超える周波数域において比較すると、磁性体層を備えない巻線を巻回した比較例では、図6において点線で示すように、インピーダンスの急峻な低下が何箇所かで現れている。これに対して、磁性体層を備える巻線を巻回した実施例では、図6において実線で示すように、インピーダンスの急峻な低下が抑えられている。このことから、磁性体層を備える巻線を巻回したコイル部品によれば、巻芯部の径の漸減(互いに非常に近くかつ大量の並列共振点)によって直列共振を目立たなくする効果と、直列共振が発生する高周波での共振回路のQを下げることにより直列共振におけるインピーダンス低下量を低減する効果とを組み合わせることで、直列共振によるインピーダンス低下を防ぐことができ、その結果、10GHzを超える高い周波数域まで良好な、すなわちフラットな電気的特性を実現できることがわかる。
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、図示した実施形態は、例示的なものであり、図示したもの以外の変形例も可能であることを指摘しておく。
1 コイル部品
2 コア
3 錐体形状部分
4 巻芯部
5,6 鍔部
7,8 端子電極
9 巻線
10 中心導体
11 外層部分
12 磁性体層
13 絶縁被覆層

Claims (6)

  1. 一方の端部から他方の端部に向かって径がより小さくなる錐体形状部分を含む巻芯部を有する、コアと、
    前記巻芯部の外周面に沿って螺旋状に巻回された、巻線と、
    を備え、
    前記巻線は、ワイヤ状の中心導体と、前記中心導体の周面を覆う外層部分と、を有し、
    前記外層部分は、直列共振時のQを下げるためのもので、前記中心導体の周面に接する磁性体層と、前記磁性体層を覆う絶縁被覆層と、を含む、
    コイル部品。
  2. 前記磁性体層は金属系磁性体からなる、請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記中心導体は銅からなる、請求項1または2に記載のコイル部品。
  4. 前記巻芯部は磁性体からなる、請求項1ないし3のいずれかに記載のコイル部品。
  5. 前記コアは、前記巻芯部の前記一方の端部および前記他方の端部にそれぞれ設けられた第1および第2の鍔部を有し、
    前記第1および第2の鍔部の各々の周面の互いに同じ側にそれぞれ設けられ、前記巻線の一方端および他方端がそれぞれ接続された、第1および第2の端子電極をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに記載のコイル部品。
  6. 前記巻線の外側周囲の、少なくとも前記第1および第2の端子電極が設けられた側とは反対側を覆うように配置された、樹脂を含む外装材をさらに備える、請求項5に記載のコイル部品。
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