JP6696260B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電写真法等に用いられるトナーの製造方法に関する。
一般に電子写真法は、光導電性感光体上に種々の方法にて静電潜像を形成させ、次いで静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略記する)を用いて潜像を可視化した後、紙等の転写材にトナー可視像を転写し、加熱や加圧等によりトナー像を定着させる工程を有する。これらの工程としては様々な方法が知られており、それぞれの画像形成プロセスに適したものが採用されている。
トナーの代表的な製造方法の一つとして、バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤等の種々の材料を溶融混合し、粉砕・分級して微粉末とする粉砕法があり、比較的簡便に品質の良いトナーが得られることから、カラーやモノクロ、種々の現像方式問わず、一般に広く採用されている。また、近年の電子写真に対する一層の高速化、高画質化の要求に応えるべく、重合トナーの研究開発が盛んである。重合トナーは粉砕トナーに比べて粒子径の制御が容易であることから、高画質化に適した小粒径のトナー母粒子を得ることができる。更に、粒子構造制御によりトナーをカプセル化することも可能であることから、耐熱性や低温定着性に優れたトナーが得られるといったメリットがある。また比較的丸めの形状をしており連続実写時にかかるストレスが緩和されるため、特に大型のコピー機プリンタに要求されるプロセスの高速化、高耐刷化にも比較的対応が容易である。
前述したようなトナーの重合トナーの特徴に加えて、更にストレスのかかりやすいプロセスで安定した高画質を得るための種々の検討がなされている。例えば、特定の帯電量や粒径を有する無機微粒子を外添させて、安定した帯電量と高画質を得る技術が知られている。それらに使用される無機微粒子としては一般的にシリカ微粒子が使用されている。その製法によって、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法シリカ(ヒュームドシリカ)、金属ケイ素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法シリカ、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式シリカ、珪酸ナトリウムからイオン交換樹脂で脱ナトリウムとして得られた酸性珪酸をアルカリ性にして重合することで得られるコロイダルシリカ、ヒドロカルビルオキシシランの加水分解によって得られるゾルゲル法シリカなどに大別される。
疎水化処理方法としては、シリカ微粒子に、疎水化剤、例えば界面活性剤、シリコーンオイル、又はアルキルハロゲンシラン、アルキルアルコキシシラン、アルキルジシラザンなどのシリル化剤の気体を接触させ疎水化処理する方法、水と親水性有機混合溶媒中でシリル化剤に接触させ疎水化処理する方法などがある。
そのような疎水化表面処理をしたシリカ微粒子が、電子写真用トナーの外添剤で好適に用いられているが、特に問題となるのはトナー帯電量の環境安定性であり、高温高湿下或いは低温低湿下でも帯電量の変化の少ない外添剤が求められている。
一方、トナーの帯電が低い、あるいは帯電立ち上がりが悪いと、白地であるべき背景部に帯電不良トナーが付着する、カブリと言われる画像欠陥の原因となる。また、帯電性は温湿度の影響を敏感に受け、特に高温高湿の環境下ではトナーが帯電低下し、更なるカブリの悪化を招く。これを防ぐため、様々な帯電性の向上検討がなされている。その中の一つとして、負帯電性トナーの表面に正帯電性の粒子を付着させる技術が知られている。これはトナーが摩擦帯電する際に正帯電性の粒子が系内に少量存在することでトナーの負帯電性を向上させる、いわゆるマイクロキャリアとして使用されるもので、無機、有機を問わず種々の材料が検討されてきた。
例えば、特許文献1では、体積基準メジアン経で0.01〜5μmの、シラン化合物またはその部分加水分解生成物が分散している親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解を行う事によって親水性球状シリカ微粒子の混合分散液を生成し、該混合分散液中にシラン化合物またはその部分加水分解生成物でシリカ微粒子の表面を処理することによって疎水化球状シリカ微粒子を生成し、トナー外添剤として使用する事によって、環境安定性の優れたトナー帯電量を得られる事が報告されている。
また、特許文献2では、体積平均粒径が5nm〜100nmであるシリカ粒子にシランカップリング剤とオルガノシラザンを特定の範囲にする事で、樹脂に対する親和性と粒子同士の凝集抑制の効果を両立させ、高い流動性を保持したまま樹脂組成物に対して小粒径シリカ粒子を良好に分散性させる技術が開示されている。
また、特許文献3では、強い正帯電性を示すメラミン系樹脂粒子をトナーの外添剤として使用し、負帯電性トナーの表面に付着させることでトナーの帯電性を改善することが報告している。
特開2014−114175号公報 特開2012−214554号公報 特開2015−14806号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるようなコロイダルシリカはヒュームドシリカを代表とする乾式シリカに比べて50nm以上と比較的粒子径の大きい物が使用されることが多く、乾式シリカに比べて高温高湿下での帯電安定性は向上するものの、添加量に対する流動性や帯電性の付与効果は低く、それだけでは十分なトナー性能を与える事が出来ない。そのため、一般的には平均粒子20nm以下の疎水化処理を施した小粒径乾式シリカ粒子を併用して添加する事で、流動性や帯電性を良好にできるが、粒径の小さい乾式シリカは凝集性が強く、トナー母粒子表面で凝集が発生してしまうと十分な流動性と帯電性を付与する事が出来ない。
一方、特許文献3に記載されるような帯電性改善させるメラミン系樹脂粒子は、トナーの帯電性を向上させるメリットと同時に、トナー流動性を著しく低下させる事に加えて、現像槽内の部材を汚染しやすいといったデメリットがある。近年、電子写真には画質の高精細化、マシンの高速化、現像剤の長寿命化といった要求が一層高まりを見せているが、これらはいずれも部材汚染を助長する方向である。さらに、非磁性一成分現像法は、二成分現像法と比べて、シンプルな構造ゆえに装置の小型化やメンテナンス性に有利である一方で、トナー層規制部材などからトナーへのストレスが厳しく、流動性が低いトナーは現像槽内部でトナーの凝集が発生し画質不良に繋がる。そのため、メラミン系樹脂粒子を用いたトナーを使用すると、トナーの流動性低下に伴い、上記凝集を進行させることに加えて感光体表面の汚染に伴う残像などの画像欠陥が発生し、二成分方式よりも更に使い込みが難しくなる。非磁性一成分現像法ではトナーの帯電立ち上がりが特に重要であるが、このために多量のメラミン系樹脂粒子を添加すると、トナーの凝集や部材汚染がさらに悪化してしまうというトレードオフに陥っている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、非磁性一成分現像法に用いられる場合であっても帯電の立ち上がりが良く、十分な流動性を有し、かつ長期の連続印字ストレス下での画像性能が安定するトナーが静電荷像現像用トナーを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を重ねた結果、特定方法にて表面を疎水化処理したコロイダルシリカと共に、メラミン系樹脂粒子を外添工程にてトナー母粒子表面に付着又は固着させることにより、帯電の立ち上がりが良く、十分な流動性を有し、かつ長期の連続印字ストレス下での性能が安定するトナーが得られることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
<1>少なくとも2種以上の外添剤をトナー母粒子の表面に有する静電荷像現像用トナーであって、前記2種以上の外添剤のうち1種は、シランカップリング剤及びオルガノシラザンを用いて疎水化処理されたコロイダルシリカ微粒子であり、他の1種はメラミン系樹脂粒子であり、前記コロイダルシリカ微粒子の体積平均粒径が20nm以下であることを特徴とする、静電荷像現像用トナー。

<2> 前記トナー母粒子100部に対する前記コロイダルシリカ微粒子の添加部数が0.6部以上1.0部以下であることを特徴とする、<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3> 前記トナー母粒子100部に対する前記メラミン系樹脂微粒子の添加部数が0.005部以上0.100部以下であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4>前記トナー母粒子100部に対する前記メラミン系樹脂微粒子の添加部数が0.010部以上0.035部以下であることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<5>前記トナーの母粒子の下記式(1)で表されるSF2が120以下であることを特徴とする、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用正帯電トナー。

式(1):SF2=(T2/S)×(1/4π)×100

(上式(1)において、Sは粒子の投影面積を表し、Tは粒子投影像の周囲長を表す。)
<6>前記トナー母粒子は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
本発明によれば、流動性が高く画像欠陥が発生せず、帯電性に優れてカブリが良好であり、高速・長寿命のマシンでの使用に適した静電荷像現像用トナーを提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。以下、「静電荷像現像用正帯電トナー」を単に「トナー」と、略記する場合がある。また、外添剤を固着又は付着させる前のトナーを「トナー母粒子」と称する。
<本発明のトナーの構成>
本発明のトナーは、少なくとも2種以上の外添剤をトナー母粒子の表面に有する静電荷像現像用トナーである。前記2種以上の外添剤のうち1種は、シランカップリング剤及びオルガノシラザンを用いて疎水化処理されたコロイダルシリカ微粒子であり、他の1種はメラミン系樹脂粒子であり、前記コロイダルシリカ微粒子の体積平均粒径が20nm以下である。
<シランカップリング剤及びオルガノシラザンで表面を疎水化処理されたコロイダルシリカ微粒子について>
トナーの帯電不良に伴うカブリを抑制し、トナーの凝集に伴うカスレやムラといった画質不良を改善するために、シランカップリング剤及びオルガノシラザンで表面を疎水化処理された体積平均一次粒径が20nm以下のコロイダルシリカ微粒子を用いる事を必須とする。乾式シリカ粒子に比べ、コロイダルシリカ微粒子はトナーに外添した際、スペーサー効果を付与してトナーに対するストレスを軽減するだけでなく、高温高湿や低温低湿環境下での帯電安定性を向上させる事が出来る。一方、コロイダルシリカ微粒子は液相媒体中にて生成されるが、溶媒除去工程において乾燥した際にコロイダルシリカ微粒子同士の凝集を誘発させ、シリカ微粒子の粒径が小さくなると凝集力増加に伴う粒子凝集をさらに助長させてしまう。したがって、トナーにコロイダルシリカ微粒子を外添する際、シリカ微粒子の凝集体を十分に分散する事が出来ないと、流動性や帯電性に対して十分な効果が発揮されない。そのため、シランカップリング剤及びオルガノシラザンにて表面を処理することによって、小粒径シリカ粒子であっても粒子同士の凝集を抑制し、トナーに外添した際に、流動性および帯電性に対して高い付与効果を発揮する事が可能となる。
シランカップリング剤として、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
オルガノシラザンとして、具体的にはテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。
その中でも、式(2):−OSiX123 で表される官能基と、式(3):−OSiY123 で表される官能基とがシリカ粒子表面に結合している事が好ましい。なお、上記式(2)、(3)中;X1はフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり、X2、X3はそれぞれ独立して−OSiR3又は−OSiY456を表し、Y4はRであり、Y5及びY6はそれぞれ独立してR又は−OSiR3を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。炭素数1〜3のアルキル基同士の反発力によって、シリカ粒子同士の凝集を抑制する事が出来る。
コロイダルシリカ微粒子は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されないが、下記(i)〜(iii)の何れかを備えるのが好ましく、(i)〜(iii)の複数を備えるのがより好ましい。
(i)前記式(2)で表される官能基と前記式(3)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60である。
(ii)前記X1は前記コロイダルシリカ微粒子の単位表面積(nm2)あたり0.5〜2.5個である。
(iii)前記Rは前記コロイダルシリカ微粒子の単位表面積(nm2)あたり1〜10個である。
コロイダルシリカ微粒子の表面処理方法は、水を含む液状媒体中でシランカップリング剤およびオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する表面処理工程を持ち、該シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、該シランカップリング剤と該オルガノシラザンとのモル比は該シランカップリング剤:該オルガノシラザン=1:2〜1:10であることを特徴とする。上式(2)で表されるシランカップリング剤由来の官能基と、上式(3)で表されるオルガノシラザン由来の官能基とを、シリカ粒子表面に結合することができる。そして、シランカップリング剤とオルガノシラザンのモル比が1:2〜1:10の範囲内であれば、上式(2)で表される官能基と上式(3)で表される官能基とを、コロイダルシリカ微粒子の表面にバランス良く存在させ得る。これによって、トナーに外添剤した際のトナーの帯電性と流動性を両立したコロイダルシリカ微粒子を得ることが出来る。
コロイダルシリカ微粒子は、流動性が向上するため、新球度が高い方が好ましい。新球度としては0.8以上にすることが好ましく、0.9以上にすることがより好ましい。真球度の測定は、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から算出される値であり、画像処理装置(シスメックス株式会社:FPIA−3000)を用いて、無作為に抽出した100個の粒子について測定した平均値を採用する。また、前記コロイダルシリカ微粒子は、例えば、特開2012−214554に記載の方法で製造できる。
前記コロイダルシリカ微粒子の体積平均一次粒径は、20nm以下であり、下限が、通常5nm以上であり、トナー母粒子に対する外添剤の埋没抑制の観点から好ましくは10nm以上である。前記コロイダルシリカ微粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対して、通常0.2質量部以上であり、帯電性不足によるカブリの観点から0.6質量部以上が好ましい。一方、通常1.4質量部以下であり、トナー母粒子より遊離したシリカが現像槽内の部材を汚染し画質不良を発生させてしまう観点から1.0質量部以下が好ましい。
<メラミン系樹脂粒子について>
本発明で用いられるメラミン系樹脂粒子は円相当径(体積基準)が1μm以下であることが好ましい。また、0.05μm以上が好ましい。大きすぎると、メラミン系樹脂粒子をトナー表面に付着させた際に凝集体のまま残りやすく、耐刷での部材汚染を引き起こす傾向があり、小さすぎると、トナー表面への付着性が強くなりすぎ、かえってトナー帯電量を下げてしまうことで、カブリを悪化させてしまう傾向がある。
メラミン系樹脂粒子に用いられる樹脂としては、いわゆるメラミン・ホルムアルデヒド縮合樹脂の外、メラミンを主成分とする限り、メラミン・ユリア・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、メラミン・ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド共縮合樹脂等も対象とし得る。これらの中で、本発明においては、メラミン・ホルムアルデヒド縮合樹脂が、円相当径(体積基準)が小さい、或いはその標準偏差が小さいものが得られやすいことから好ましい。
前記メラミン樹脂粒子について、円相当径(体積基準)が小さい、或いはその標準偏差が小さいものが外添時に解れやすいことの理由は必ずしも明確ではないが、次のように推測される。
円相当径が小さくなるということは、メラミン樹脂粒子表面に、製造時などの残存電解質が多いことが考えられ、これが外添時の撹拌でメラミン樹脂粒子が過度に帯電することによる凝集体の発生を防ぐことができ、従ってトナーに対して分散性が良くなると考えられる。また、円相当径が揃っているということは、メラミン樹脂粒子の凝集体同士の間に空間があると考えられ、このため外添時に解れやすくなると考えられる。
前記メラミン系樹脂粒子の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、カブリやカスレ抑制の観点から、0.005質量部以上が好ましく、0.100質量部以上が特に好ましい。また、部材汚染抑制の観点から、0.010質量部以下が好ましく、0.035質量部以下が特に好ましい
<その他の外添剤について>
その他、外添剤としては、一般によく知られているトナー用外添剤を一種類、あるいは複数併用することができる。外添剤の例としては、無機粒子として、シリカ粒子、チタニア粒子、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ハイドロタルサイト等が挙げられ、有機粒子として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の有機酸塩粒子、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子等の有機樹脂粒子等が挙げられる。
本発明においては、上記外添剤以外に外添工程に供される外添剤として、前記コロイダルシリカ微粒子とは異なるシリカ粒子を用いることが好ましい。具体的には、環境安定性の観点から、表面に疎水化処理が施されているシリカ粒子が好ましい。疎水化処理剤および処理方法は特に限定されず、それぞれ公知のものが用いられるが、より高い疎水性が付与できることから、シリコーン化合物又はシリコーン系の処理剤にて処理され、例えばヘキサメチルジシラザン、ジメチルポリシロキサン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルシラン、等が挙げられる。より高い疎水性が付与できることから、ヘキサメチルジシラザン及びジメチルポリシロキサンが好ましく、特にジメチルポリシロキサンが好ましい。
<外添工程について>
外添剤の外添工程は少なくとも2以上の外添工程を有する。外添工程において、前記コロイダルシリカ微粒子と前記メラミン系樹脂粒子をトナー母粒子の表面に付着又は固着させる。
外添工程に用いる手法は特に限定はなく、各外添工程には、一般にトナーの製造に用いられる混合機を使用することができる。具体的には、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、レディゲミキサー、Q−ミキサー等の混合機により攪拌、混合することによりなされる。外添工程の数は、特に限定されないが、通常、5回以下であり、外添剤のトナー母粒子への埋没やトナーへのストレス軽減の観点から、好ましくは3回以下である。
<トナー母粒子の構成及び製造方法>
本発明の製造方法に用いられるトナー母粒子の体積中位径は、特に限定されないが、通常、3μm以上であり、4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、通常、10μm以下であり、8μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがさらに好ましい。トナーの体積中位径が大きすぎると、単位質量当たりの帯電量が小さくなり、かぶりやトナー飛散が発生する可能性が高くなる場合があり、小さすぎると、単位質量当たりの帯電量が過剰となりやすく、極度な画像濃度低下などの不具合を発生しやすくなる場合がある。体積中位径は、実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明は、トナー母粒子の形が球形である時その効果が最も発現される。
具体的には下記式(1)で表されるトナーのSF2が120以下であるときにその効果が最も発現される。

式(1):SF2=(T2/S)×(1/4π)×100

ただし、上式(1)において、Sは粒子の投影面積を表し、Tは粒子投影像の周囲長を表す。

SF2が120より大きい、すなわち粒子凹凸の多いが複雑な形状を有していると外添剤がその添加時にトナーの凹部に埋没してしまいトナー表面に出ないため、本外添処方の効果が発現しにくい。前記SF2は、実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明のトナーの構成材料は特に限定されず、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じ、帯電制御剤、ワックス、その他の添加剤等を含む。
本発明のトナー母粒子の製造方法は限定されず、粉砕法、湿式法、機械的衝撃力や熱処理等によってトナーを球形化する方法など従来用いられている方法を用いることができる。湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、エステル伸張法などの方法が挙げられる。
粉砕法では、結着樹脂、着色剤と、必要に応じてその他成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
次に、上記配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。練り機は1軸または2軸押出機が用いられ、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が挙げられる。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する工程を経て冷却物となる。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、トナー母粒子を得る。本発明の製造方法は母粒子のSF2が120以下の時に特に好適に作用するので、上記の工程からさらに所望のSF2を得るために、従来用いられている方法、例えばメテオレインボー、ファカルティ等の球形化装置を用いてトナーを球形化してもよい。
トナー母粒子を得た後、外添剤を添加する処理工程と必要に応じてその他の処理工程を経て、トナーを得ることができる。
湿式法としては、乳化重合凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられ、何れの方法で製造してもよく、特に限定されない。
乳化重合凝集法によりトナー母粒子を製造する場合、通常、重合体粒子を重合して重合体粒子分散液を得る重合工程、重合体粒子分散液と着色剤粒子分散液などを混合する混合工程、混合したものに凝集剤を加えて所定粒径まで凝集さて粒子凝集体(凝集粒子)を得る凝集工程、凝集粒子を過熱、融着させて融着粒子とする融着工程、以降、ろ過・洗浄・乾燥工程などのトナー母粒子として取り出す工程とを有する。
本発明において、懸濁重合トナーの製造方法としては、上述の結着樹脂のモノマー中に着色剤、重合開始剤、そして必要に応じてワックス、極性樹脂、荷電制御剤や架橋剤などの添加剤を加え、均一に溶解又は分散させたモノマー組成物を調製する。このモノマー組成物を、分散安定剤等を含有する水系媒体中に分散させる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行い、重合を行う。これらを洗浄・ろ過により収集し、乾燥することによりトナー母粒子を得ることができる。トナー母粒子を得た後、外添剤を添加する処理工程と必要に応じてその他の処理工程を経て、トナーを得ることができる。
溶解懸濁法は結着樹脂を有機溶剤に溶解し、着色剤などを添加分散して得られる溶液相を、分散剤等を含有した水相において機械的な剪断力で分散し液滴を形成し、液滴から有機溶剤を除去してトナー粒子を製造する方法である。
エステル伸張重合法はワックス・ポリエステル樹脂・顔料などを分散した油相と、粒径制御剤および界面活性剤の添加された水相中を混合、乳化して油滴を作成し、その油滴を収斂させると同時に伸張反応によりトナー油滴表面に高分子樹脂成分を形成させ、油滴内部の溶剤を除去してトナー粒子を製造する方法である。
本発明において、トナーに含有される結着樹脂としては、従来トナーの結着樹脂として用いられている樹脂類を適宜用いることができる。
トナー母粒子を粉砕方法で製造する場合に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン置換体の単重合体、スチレン系共重合体、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
トナー母粒子を重合法で製造する場合に用いられる結着樹脂としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が挙げられる。例えば、スチレン、スチレン誘導体、アクリル系重合性単量体、メタクリル系重合性単量体、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、2種類以上混合して使用しても良い。
単量体としては、酸性基を有する重合性単量体(以下、単に酸性単量体と称すことがある)、塩基性基を有する重合性単量体(以下、単に塩基性単量体と称することがある)、酸性基も塩基性基も有さない重合性単量体(以下、その他の単量体と称することがある)のいずれの重合性単量体も使用することができる。
上記にあげた重合法のうち、乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合、乳化重合工程では、通常、乳化剤の存在下、水系媒体中で重合性単量体を重合するが、この際、反応系に重合性単量体を供給するにあたって、各単量体は別々に加えても、予め複数種類の単量体を混合しておいて同時に添加しても良い。また、単量体はそのまま添加しても良いし、予め水や乳化剤などと混合、調整した乳化液として添加することもできる。
酸性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性単量体、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性単量体等が挙げられる。また、塩基性単量体としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら酸性単量体及び塩基性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。中でも、酸性単量体を用いるのが好ましく、より好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸であるのがよい。
結着樹脂を構成する全重合性単量体100質量部中に占める酸性単量体および塩基性単量体の合計量は、通常0.05質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1.0質量部以上である。また、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下であることが好ましい。
その他の重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド等が挙げられ、重合性単量体は、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
更に、結着樹脂を架橋樹脂とする場合、上述の重合性単量体と共にラジカル重合性を有する多官能性単量体が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有する重合性単量体、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性重合性単量体が好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性重合性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよい。
結着樹脂を乳化重合凝集法で重合する場合、乳化剤として公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる一種又は二種以上の界面活性剤を併用して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合の乳化剤の使用量は、特に限定されないが、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下が好ましい。また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
乳化重合凝集法により得られる重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上である。また、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下であることが好ましい。粒径が小さすぎると、凝集工程において凝集速度の制御が困難となる場合があり、大きすぎると、凝集して得られるトナー粒子の粒径が大きくなり易く、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合、必要に応じて公知の重合開始剤を用いることができ、重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用する事ができる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、等の過硫酸塩、及び、これら過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、過酸化水素、4,4‘−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロペーオキサイド、等の水溶性重合開始剤、及び、これら水溶性重合性開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤と組み合わせたレドックス開始剤系、過酸化ベンゾイル、2,2‘−アゾビス−イソブチロニトリル、等が用いられる。これら重合開始剤はモノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせても良い。
乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができ、具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等があげられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して0〜5質量%用いられる。
また、乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合、必要に応じて公知の懸濁安定剤を使用することができる。懸濁安定剤の具体的な例としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは、一種或いは二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記懸濁安定剤は、通常重合性単量体100質量部に対して1質量部以上、10質量部以下の量で用いられる。
重合開始剤および懸濁安定剤は、何れも、重合性単量体添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
その他、反応系には、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
本発明のトナーには、離型性付与のため、ワックスを含有させてもよい。ワックスとしては、離型性を有するものであればいかなるものも使用可能である。
具体的には、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基を有するシリコーン、ステアリン酸等の高級脂肪酸、エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、又は部分エステル、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、低分子量ポリエステル等が挙げられる。
これらのワックスの中で、定着性を改善するためには、ワックスの融点は通常30℃以上であり、40℃以上が好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、通常100℃以下であり、90℃以下がより好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出し、べたつきを生じる場合があり、一方、融点が高すぎると低温での定着性が劣る場合がある。
また、ワックスの化合物種としては、高級脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。高級脂肪酸エステル系ワックスとしては、具体的には、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリド等の、炭素数15〜30の脂肪酸と1〜5価のアルコールとのエステルが好ましい。また、エステルを構成するアルコール成分としては、1価アルコールの場合は炭素数10〜30のものが好ましく、多価アルコールの場合には炭素数3〜10のものが好ましい。上記ワックスは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。また、トナーを定着する定着温度により、ワックス化合物の融点を適宜選択することができる。
本発明において、ワックスを含有させる場合、ワックスの量は特に限定はないが、トナー100質量部中に対して、通常、1質量部以上であり、好ましくは2質量部以上、特に好ましくは5質量部以上である。また、通常、40質量部以下であり、好ましくは35質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。トナー中のワックス含有量が少なすぎると、高温オフセット性等の性能が十分でない場合があり、一方多すぎると、耐ブロッキング性が十分でなかったり、ワックスがトナーから漏出することにより装置を汚染したりする場合がある。
本発明の着色剤としては公知の着色剤を任意に用いることができる。着色剤の具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤は、重合体一次粒子100質量部に対して3質量部以上、20質量部以下となるように用いることが好ましい。
乳化重合凝集法における着色剤の配合は、通常、凝集工程で行われる。重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子の分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。着色剤は、乳化剤の存在下で水中に分散した状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径が通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上である。また通常3μm以下、好ましくは1μmである。
本発明においては、必要に応じて帯電制御剤を用いてもよい。帯電制御剤を用いる場合には、公知の任意のものを単独ないしは併用して用いることができ、例えば、正帯電性帯電制御剤として4級アンモニウム塩、ニグロシン、加工ニグロシン、アルキルニグロシンなどのアジン系黒色染料、加工ニグロシン化合物、グアニシン化合物、トリフェニルスルホニウム化合物、樹脂系帯電制御剤、アミド基含有化合物、塩基性・電子供与性の金属物質が挙げられ、負帯電性帯電制御剤として芳香族オキシカルボン酸系、芳香族ダイカルボン酸の金属キレート類、モノアゾ含金錯体化合物、有機酸の金属塩、含金属染料、ジフェニルヒドロキシ錯体化合物、含鉄アゾ化合物、乳化重合用家電制御剤、オキシカルボン酸各種金属錯体化合物、カリックスアレン化合物、フェノール化合物、樹脂系帯電制御剤、ナフトール化合物及びそれらの金属塩、ウレタン結合含有化合物、酸性もしくは電子吸引性の有機物質が挙げられる。
また、本発明のトナーをカラートナー又はフルカラートナーにおける黒色トナー以外のトナーとして使用する場合には、無色ないしは淡色でトナーへの色調障害がない帯電制御剤を用いることが好ましく、例えば、正帯電性帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物が、負帯電性帯電制御剤としてはサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸の亜鉛、アルミニウムなどとの金属塩、金属錯体や、ベンジル酸の金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4’−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕等のヒドロキシナフタレン化合物が好ましい。
本発明のトナーにおいて、乳化重合凝集法を用いてトナー中に帯電制御剤を含有させる場合は、乳化重合時に重合性単量体等とともに帯電制御剤を添加するか、重合体一次粒子及び着色剤等とともに凝集工程で添加するか、重合体一次粒子及び着色剤等を凝集させてほぼ目的とする粒径となった後に添加する等の方法によって配合することができる。これらのうち、帯電制御剤を界面活性剤を用いて水中で分散させ、体積平均粒径0.01μm以上、3μm以下の分散液として凝集工程に添加することが好ましい。
乳化重合凝集法において、凝集は通常、攪拌装置を備えた槽内で行われるが、加熱する方法、電解質を加える方法と、これらを組み合わせる方法とがある。重合体一次粒子を攪拌下に凝集して目的とする大きさの粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか、或いは電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。本発明において、電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩のいずれでも良いが、具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3COONa、C65SO3Na等が挙げられる。これらのうち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
本発明のトナーにおいて、電解質の添加量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、通常0.05質量部以上であり、0.1質量部以上が好ましい。また、通常25質量部以下であり、15質量部以下が好ましく、特に10質量部以下が好ましい。添加量が少なすぎると、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残る、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しないなどの問題を生じる場合があり、一方多すぎると、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた凝集粒子中に粗粉や不定形のものが含まれるなどの問題を生じる場合がある。電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、通常20℃以上、好ましくは30℃以上である。また通常70℃以下、好ましくは60℃以下である。電解質を用いないで加熱のみによって凝集を行う場合の凝集温度は、重合体一次粒子のガラス転移温度をTgとすると、通常(Tg−20)℃以上であり、(Tg−10)℃以上が好ましい。また、通常Tg以下であり、(Tg−5)℃以下である。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナーの粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが好ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂粒子を付着または固着した粒子を形成することも出来る。粒子凝集体表面に性状を制御した樹脂粒子を付着または固着することにより、得られるトナーの帯電性や耐熱性を向上できる場合があり、さらには、本発明の効果を一層顕著とすることができる。
樹脂粒子として重合体一次粒子のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する樹脂粒子を用いた場合、定着性を損なうことなく、耐ブロッキング性の一層の向上が実現できるので好ましい。該樹脂粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上であり、0.05μm以上が好ましい。また、通常3μm以下であり、1.5μm以下が好ましい。樹脂粒子としては、前述の重合体一次粒子に用いられる重合性単量体と同様なモノマーを乳化重合して得られたもの等を用いることができる。樹脂粒子は、通常、界面活性剤により水または水を主体とする液中に分散した分散液として用いるが、帯電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に帯電制御剤を加えた後に樹脂粒子を加えることが好ましい。
凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において凝集粒子内の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、通常重合体一次粒子のTg以上、好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、通常Tgより80℃高い温度以下、好ましくはTgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、重合体一次粒子のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが好ましい。
なお、凝集工程以降、好ましくは熟成工程以前又は熟成工程中の段階で、界面活性剤を添加するか、pH値を上げることが好ましい。ここで用いられる界面活性剤としては、重合体一次粒子を製造する際に用いることのできる乳化剤から一種以上を選択して用いることができるが、特に重合体一次粒子を製造した際に用いた乳化剤と同じものを用いることが好ましい。界面活性剤を添加する場合の添加量は限定されないが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、特に好ましくは3質量部以上である。また、通常20質量部以下、好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に界面活性剤を添加するか、pH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後の粗大粒子生成を抑制できる場合がある。
熟成工程での加熱処理により、凝集体における重合体一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのトナー粒子形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、重合体一次粒子の静電的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、重合体一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
得られた粒子は、公知の方法にて固液分離し、粒子を回収し、必要に応じて洗浄、乾燥することで目的とするトナー母粒子を得ることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「質量部」を意味し、「%」とあるのは「質量%」を意味する。
<シリカ粒径の測定方法について>
ゾルゲルシリカ粒子の体積平均径(Mv)及び個数平均径(Mn)、体積中位径、個数中位径は、日機装社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.−019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を分散媒に用い、それぞれ、下記の条件で又は下記の条件を入力し、取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :透過
・形状 :真球形
・密度 :1.04
<トナー粒子の体積中位径(Dv50)の測定方法>
ベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)(以下、「マルチサイザー」と略記する)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定した。測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)とした。
<SF2の測定方法>
トナー粒子の倍率×1000での電子顕微鏡写真について、Luzex−F(ニレコ社製)で画像解析を行い、粒子の投影面積(S)、トナー投影像周囲長(T)を求める。SF2は以下の式(1)で求められる。
式(1):SF2=(T2/S)×(1/4π)×100
<ワックス分散液A1の調製>
ワックス1(HiMic−1090(日本精蝋社製)、融点87℃) 29.7部、デカグリセリンデカベヘネート(酸価3.2 水酸基価27)0.3部、20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20D、以下20%DBS水溶液と略す)水溶液2.8部、脱塩水67.3部を加えて100℃に加熱し、加圧循環ライン付きのホモジナイザー(ゴーリン社製、LAB60−10TBS型)を用いて10MPaの加圧条件で1次循環乳化を行った。LA950で粒子径を数分おきに測定し、メジアン径が500nm前後まで下がったら更に圧力条件を25MPaに上げて引き続き2次循環乳化を行う。メジアン径が230nm以下になるまで分散してワックス分散液A1を作製した。
ワックス分散体の体積中位径は、215nmであった。
<ワックス分散液A2の調製>
パラフィンワックス(HNP9:日本精蝋製 融点77℃)20質量部を、アニオン性界面活性剤20質量%水溶液(ネオゲンS−20D:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液 第一工業製薬製、以下、「20%DBS水溶液」と略す)1.44質量部と共に、イオン交換水50質量部に加えて、高圧剪断下で乳化することにより、ワックス分散液A2を作製した。
ワックス分散体の体積中位径は250μmであった。
<重合体一次粒子分散液B1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、上記ワックス分散液A1を36.3部、脱塩水231部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、上記液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等−1」と「乳化剤水溶液−1」との混合物を5時間かけて添加した。この混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、下記の「開始剤水溶液−1」を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から、下記の「追加開始剤水溶液−1」を2時間かけて添加し、更に攪拌を続けたまま内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等−1]
スチレン 75.9部
アクリル酸ブチル 24.1部
アクリル酸 1.2部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.6部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液−1]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 66.9部
[開始剤水溶液−1]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液−1]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部

重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B1を得た。マイクロトラックUPAを用いて測定した体積平均径(Mv)は239nmであり、固形分濃度は22.3質量%であった。
<重合体一次粒子分散液B2の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、上記ワックスエマルジョンA2を36.1質量部、イオン交換水259質量部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、上記液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等−2」と「乳化剤水溶液−2」との混合物を5時間かけて添加した。前記混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、「重合開始」の30分後から、前記の操作と併行して[開始剤水溶液−2]を4.5時間かけて添加した。前記混合物と[開始剤水溶液−2]の添加が終了後、[追加開始剤水溶液−2]を2時間かけて添加した。[開始剤水溶液−2]の添加が終了した後も更に攪拌を続け、内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等−2]
スチレン 76.75質量部
アクリル酸ブチル 23.25質量部
アクリル酸 1.5質量部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7質量部
トリクロロブロモメタン 1.0質量部
[乳化剤水溶液−2]
20%DBS水溶液 1.0質量部
イオン交換水 67.1質量部
[開始剤水溶液−2]
8質量%過酸化水素水溶液 15.52質量部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.52質量部
[追加開始剤水溶液−2]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.21質量部

重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子エマルジョンB2を得た。マイクロトラックUPAを用いて測定した体積平均粒径(Mv)は258nmであり、固形分濃度は20.4質量%であった。
<トナー母粒子Aの製造>
重合体一次粒子分散液B1(コア用) 固形分として80部
重合体一次粒子分散液B2(シェル用) 固形分として20部
シアン顔料分散液(大日精化社製EP750) 着色剤 固形分として4.4部
20%DBS水溶液 固形分として0.1部
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナー母粒子Aを製造した。
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12リットル、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1(コア用)と20%DBS水溶液を仕込み、内温12℃で5分間均一に混合した。続いて内温12℃で攪拌を続けながら第一硫酸鉄の5%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.52部を5分かけて添加してからブラック着色剤分散液を5分かけて添加し、内温12℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5%硫酸アルミニウム水溶液を滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後75分かけて内温53℃に昇温して、更に170分かけて56℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定したところ6.7μmであった。その後、重合体一次粒子分散液B2(シェル用)を3分かけて添加してそのまま60分保持し、続いて20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加してから30分かけて95℃に昇温し、120分かけて平均円形度が0.970になるまで撹拌を続けた。その後、30分かけて30℃まで冷却し、スラリーを得た。このとき、粒子のDv50は7.2μm、平均円形度は0.971であった。
このスラリーを、5種C(東洋濾紙株式会社製 No5C)のろ紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。ろ紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積10Lのステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgを加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。その後、再度5種C(東洋濾紙株式会社製 No5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をし、再度ろ紙上に残った固形物を攪拌機(プロペラ翼)を備え電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgの入った内容積10Lの容器に移し、50rpmで攪拌する事により均一に分散させ30分間攪拌したままとした。この工程を5回繰り返したところ、ろ液の電気伝導度は2μS/cmとなった。
ここで得られたケーキをステンレス製バッドに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子Cを得た。
〔実施例1〕
<トナーAの製造>
母粒子A(100部)に対し、シリカ粒子A(コロイダルシリカ、体積平均一次粒径10nm、シランカップリング剤とオルガノシラザンとで表面を疎水化処理)を1部、メラミン樹脂粒子A(体積平均一次粒径200nm)を0.05部、シリカ粒子B(コロイダルシリカ、体積平均一次粒径110nm、ヘキサメチルジシラザン処理)を0.8部、シリカ粒子C(ヒュームドシリカ、体積平均一次粒径80nm、シリコーンオイル表面処理)を0.8部添加し、ヘンシェルミキサーにて1500rpmで15分間攪拌・混合しトナーAを得た。
〔実施例2〕
<トナーBの製造>
実施例1において、シリカ粒子Aの添加部数を0.8部とし、メラミン樹脂粒子Aの添加部数を0.02部とした以外は実施例1と同様にしてトナーBを得た。
〔実施例3〕
<トナーCの製造>
実施例2において、チタニア粒子a(体積平均一次粒径14nm)を0.26部添加した以外は実施例2と同様にしてトナーCを得た。
〔実施例4〕
<トナーDの製造>
実施例2において、シリカ粒子Aの添加部数を0.6部とし、メラミン樹脂粒子Aの添加部数を0.05部とした以外は実施例2と同様にしてトナーDを得た。
〔実施例5〕
<トナーEの製造>
実施例4において、シリカ粒子Aの添加部数を1.2部とした以外は実施例4と同様にしてトナーDを得た。
〔実施例6〕
<トナーFの製造>
実施例4において、シリカ粒子Aの添加部数を0.8部とした以外は実施例4と同様にしてトナーFを得た。
〔比較例1〕
<トナーGの製造>
実施例1において、メラミン樹脂粒子Aの添加部数を0部とした以外は実施例1と同様にしてトナーGを得た。
〔比較例2〕
<トナーHの製造>
比較例1において、シリカ微粒子Aの添加部数を0.8部とした以外は比較例1と同様にしてトナーHを得た。
〔比較例3〕
<トナーIの製造>
比較例2において、チタニア粒子aを0.26部添加した以外は比較例2と同様にしてトナーIを得た。
〔比較例4〕
<トナーJの製造>
比較例3において、シリカ粒子Aの添加部数を0部とし、メラミン樹脂粒子を0.2部、シリカ粒子D(ヒュームドシリカ、体積平均一次粒径12nm、シリコーンオイル処理)を0.44部添加した以外は比較例3と同様にしてトナーJを得た。
〔比較例5〕
<トナーKの製造>
比較例4において、シリカ粒子Bの添加部数を1.6部、シリカ粒子Cの添加部数を0部、シリカ粒子Dの添加部数を0.585部とした以外は比較例4と同様にしてトナーKを得た。
〔比較例6〕
<トナーLの製造>
実施例1において、シリカ粒子Aの添加部数を0部とし、シリカ粒子E(ヒュームドシリカ、体積平均一次粒径7nm、シリコーンオイル処理)を0.8部添加した以外は実施例1と同様にしてトナーLを得た。
〔比較例7〕
<トナーMの製造>
比較例6において、メラミン樹脂粒子の添加部数を0.02部とし、シリカ粒子F(コロイダルシリカ、体積平均一次粒径10nm、ヘキサメチルジシラザン処理)を0.8部添加した以外は比較例6と同様にしてトナーMを得た。
〔比較例8〕
<トナーNの製造>
比較例7において、メラミン樹脂粒子Aの添加部数を0.05部とした以外は比較例7と同様にしてトナーNを得た。
〔比較例9〕
<トナーOの製造>
比較例7において、メラミン樹脂粒子Aの添加部数を0.1部とした以外は比較例7と同様にしてトナーOを得た。
<実写テストによるトナーの評価方法>
得られたトナーを、非磁性一成分(有機感光体使用)で、ローラー(PCR)帯電、ゴム現像ローラー接触現像方式、現像速度164mm/秒、タンデム方式、ベルト搬送方式、直接転写方式、ブレードドラムクリーニング方式で、5%印字率での保証寿命枚数30000枚の、600dpiフルカラープリンターにて実写を行った。
<カブリの評価方法>
25℃50%の環境下にて、1%印字率チャートを3枚間欠で10,000枚まで印刷後、プリンター28℃80%の環境に1昼夜放置した。その後次のように印字を行い、カブリの評価を行った。印字の際の、紙への転写工程前の感光体ドラムにおける白地部分に付着したトナーをメンディングテープ(住友スリーエム株式会社製)にて写し取り、80g/m2の印刷用紙上に貼り付けた。さらに比較用としてメンディングテープをそのまま同じ用紙上に貼り付けた後、両者の色差ΔEを分光測色濃度計X−Rite939(X−Rite社製)にて測定し、カブリの評価とした。判断基準は以下の通りとした。
◎ : ΔEが1未満
○ : ΔEが1以上、2未満
× : ΔEが2以上
<スジの評価方法>
25℃50%の環境下にて、1%印字率チャートを3枚間欠で10,000枚まで印刷後、100%印字率ベタ画像チャートを印刷し、印刷方向に白線等の画像不良発生有無を評価した。判断基準は以下の通りとした。
○ : 白線などの画像不良が無く、画質良好。
× : 画像上に白線などのスジが見られ、画像欠陥が発生している。
<残像の評価方法>
25℃50%の環境下にて、1%印字率チャートを3枚間欠で10,000枚まで印刷後、印刷方向先端部に特定の画像が作像され、該画像以降はベタ画像と白紙画像がそれぞれ印刷方向に対して帯状に印字される専用画像を使用し、印刷方向に対して先端部の画像が残像としてベタ画像もしくは白紙部に発生していないか評価した。
○ : 残像の発生なく、画質良好。
× : チャート後端部に先端部の残像が見られ、画像欠陥が発生している。
<流動性の評価方法>
25℃50%の環境下にて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用いてトナー流動性の評価を行った。篩は目開き150μm、75μm、45μmをそれぞれセットし、トナー4gを篩上に乗せ、振動時間15秒/振幅0.2mmの条件で測定を開始する。振動停止後、各篩上に残ったトナーを秤量し、以下の式(4)〜(8)により凝集度から流動性を求める。

式(4):(a)=(上段の篩上残トナー質量/4g)×100

式(5):(b)=(中段の篩上残トナー質量/4g)×100×0.6

式(6):(c)=(上段の篩上残トナー質量/4g)×100×0.2

式(7):凝集度=(a)+(b)+(c)

式(8):流動性=100−凝集度

求めた流動性の数値から、以下の判定基準に従い優劣を判定した。
○ :61%以上
△ :51%以上、60%未満
× :50%未満
Figure 0006696260
この結果から、特定のコロイダルシリカ微粒子とメラミン系樹脂粒子を用いた場合にのみすべての特性を満足することがわかった。

Claims (6)

  1. 少なくとも2種以上の外添剤をトナー母粒子の表面に有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記2種以上の外添剤のうち1種は、シランカップリング剤及びオルガノシラザンを用いて疎水化処理されたコロイダルシリカ微粒子であり、他の1種はメラミン系樹脂粒子であり、
    前記コロイダルシリカ微粒子の体積平均粒径が20nm以下であることを特徴とする、静電荷像現像用トナー。
  2. 前記トナー母粒子100部に対する前記コロイダルシリカ微粒子の添加部数が0.6部以上1.0部以下であることを特徴とする、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナー母粒子100部に対する前記メラミン系樹脂微粒子の添加部数が0.005部以上0.100部以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記トナー母粒子100部に対する前記メラミン系樹脂微粒子の添加部数が0.010部以上0.035部以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記トナーの母粒子の下記式(1)で表されるSF2が120以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用正帯電トナー。

    式(1):SF2=(T2/S)×(1/4π)×100

    (上式(1)において、Sは粒子の投影面積を表し、Tは粒子投影像の周囲長を表す。)
  6. 前記トナー母粒子は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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