JP6694662B1 - 濾過装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】濾過膜の表面に付着した付着物を除去しやすいプリーツフィルタを有する濾過装置を提供すること。【解決手段】本発明に係る濾過装置は、平坦な濾材を蛇腹状に折り曲げて複数の襞2を形成しつつ、筒状に形成したプリーツフィルタ12を有し、前記プリーツフィルタ12の軸方向両側のうちの少なくとも片側において、前記襞2の外側の空間であって、隣接する前記襞の間の空間2nが封鎖されていない構成である。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の襞を有するプリーツフィルタを備えた濾過装置に関する。
プリーツフィルタを用いて被処理物を濾過する濾過装置が知られている。このような濾過装置としては、例えば下記特許文献1に記載したものがある。この発明は濾過集塵機用フィルタの除塵装置に係るものであり、フィルタの濾材の表面にセメント状に付着した微粉塵を容易かつ効率よく除去することを課題にしている。この課題を解決するために、フィルタの内部から外周方向にガスを通過させてガス中の粉塵を濾過し、フィルタの内部に設けた上下移動体から放射状かつ櫛歯状に多数形成した突出部をフィルタの蛇腹の襞部の間に侵入させた状態で、上下移動体を上下に移動させることで、突出部がフィルタの内部表面に付着した粉塵を除去する構成である。
特開2000−157820号公報
前記特許文献1に開示されたフィルタは、上フランジや下フランジによって、濾材の上端部及び下端部が封じられている。そのため、濾材と上フランジの接続部分や濾材と下フランジの接続部分に付着物が溜まりやすい(特に、文献1のようなプリーツフィルタは複数の襞を有するため、この襞の奥まった部分に溜まりやすい傾向がある)。前記接続部分に溜まった付着物はブレードによって掻き取りにくく、時間の経過とともに硬化して、より掻き取りにくくなる。このように、濾材の表面に付着物が長い間堆積すると、菌などが繁殖して濾過膜を損傷させ、フィルタの寿命を縮めてしまうという問題がある。定期的に除塵装置の内部からフィルタを取り出し、前記接続部分に付着した付着物を人力によって掻き取る方法も考えられるが、除塵操作を止めなければならないため効率が悪い。また、硬化した付着物は人力によっても掻き取りにくく、無理に掻き取ろうとして濾過フィルタを痛めてしまうおそれもある。
そこで、本発明が解決しようとする主たる課題は、濾過膜の表面に付着した付着物を除去しやすいプリーツフィルタを有する濾過装置を提供することにある。
この課題を解決するための態様は、次の通りである。
[第1の態様]
被処理物の供給口と処理物の排出口を有する濾過容器と、
前記濾過容器の内部に設けられ、外面が濾過面であり内部が処理物の通路である筒状の濾過フィルタと、を有する濾過装置であって、
前記濾過フィルタは、平坦な濾材を蛇腹状に折り曲げて複数の襞を形成しつつ、筒状に形成したプリーツフィルタであって、
前記プリーツフィルタの軸方向両側のうちの少なくとも片側において、
前記襞の外側の空間であって、隣接する前記襞の間の空間が封鎖されていないことを特徴とする濾過装置。
(作用効果)
第1の態様は、プリーツフィルタの軸方向両側のうちの少なくとも片側の構成に特徴がある。すなわち、両側の構成に特徴を持たせてもよいし、いずれか片側の構成に特徴を持たせてもよい。その特徴とは、プリーツフィルタの襞の外側の空間(プリーツフィルタの襞の外面と濾過容器の内壁面との間の空間)であって、隣接する襞と襞の間の空間が封鎖されていないことを特徴とする。
前記特許文献1に開示されたフィルタは、濾材の上端を上から覆う上フランジが設けられるとともに、濾材の下端を下から覆う下フランジが設けられている。言い換えるならば、プリーツフィルタの襞の外側の空間であって、隣接する襞と襞の間の空間が上方および下方からフランジという蓋体によって封じられた状態になっている。従来のフィルタは、この文献に開示されたものが一般的である。このようなフィルタは、濾材の上端と上フランジの接続部分(濾材の上端と上フランジが接触している角の部分)や、濾材の下端と下フランジの接続部分(濾材の下端と下フランジが接触している角の部分)に付着物が溜まりやすい。当該部分に付着物が溜まることによって濾材の衛生面が悪化し、濾材の寿命が短くなってしまう傾向がある。
そこで本発明では、襞の外側の空間であって、隣接する襞と襞の間の空間(以下、「外側襞間空間」という。)を封じず、開放状態にした。例えば、特許文献1に開示された上フランジや下フランジのような蓋として機能する部材(「蓋体」という。以下同じ。)を設けないことで、この開放状態を実現することができる。前記蓋体を設ける場合は、前記外側襞間空間と重複する部分に切り欠きを設けることにより、この開放状態を実現してもよい。なお、プリーツフィルタの軸方向両側のうち、少なくとも片側を開放状態にする場合は、その片側の外側襞間空間に埋込物が存在しないことも重要である。埋込物が設けられている場合、その埋込物が蓋体と同様の効果(当該空間を封鎖する効果)を奏するからである。
なお、襞の外面に付着した付着物をスクレーパによって掻き取る構成にする場合は、なおさら外側襞間空間を開放状態にすることが好ましい。外側襞間空間に蓋体や埋込物を設けた場合は、スクレーパがプリーツフィルタの軸方向に移動することを蓋体や埋込物が邪魔するため、襞の外表面に付着した付着物を十分に掻き落とすことが難しくなるが、開放状態にすることで、このような不具合の発生を防ぐことができる。
[第2の態様]
前記プリーツフィルタの軸方向両側のうちの少なくとも片側において、
前記襞の内側の空間が封鎖されており、前記襞の外側の空間であって、隣接する前記襞の間の空間が封鎖されていない、前記第1の態様の濾過装置。
(作用効果)
襞の外側の空間であって、隣接する襞と襞の間の空間が封鎖されていないことの作用効果は、前記第1の態様と同様である。そのため以下では、襞の内側の空間が封鎖されていることの作用効果について述べることにする。
襞の内側の空間を封鎖させる形態としては、プリーツフィルタの一端側端部や他端側端部に、特許文献1に開示されたようなフランジ(蓋体)を設ける形態や、埋込物を設ける形態を例示することができる。プリーツフィルタの内部は濾過された処理物(「濾過物」ともいう。)の通路になっており、この濾過物の通路に対して、濾過容器の外に処理物を排出するための排出管が接続されることがある。この排出管として用いる管は費用の観点から既製品が好ましく、その結果必然的に円筒形や角筒形となり、プリーツフィルタの端部の蛇腹形状と合致するような蛇腹形状の管を用いることは困難である。
例えば、プリーツフィルタを縦置きに配置し、そのプリーツフィルタの内側の下端部に円筒状や角筒状の排出管を接続する場合、プリーツフィルタの襞の内側部分と排出管の外面と間に隙間が生じ、その隙間部分から下方へ処理物が漏れ出てしまうおそれがある。そこで、プリーツフィルタの下端部の襞の内側部分を蓋体や埋込物などで封鎖することにより、濾過物が排出管の外に漏出することを防ぎながら、濾過物を排出管の内部に移動させることができる。このとき、プリーツフィルタの上端部の襞の内側部分を蓋体や埋込物などで封鎖してもよい。濾過物の量が多い場合、濾過物がプリーツフィルタの上端部から漏れ出るおそれがあるが、プリーツフィルタの上端部の内側部分を封鎖することにより、このような漏出を抑えることができる。なお、プリーツフィルタの上端部の中央部分にも上蓋を設けることにより、プリーツフィルタの上端部からの漏れをより一層防止することができる。なお、前記の説明において、プリーツフィルタを縦置きに配置するとは、プリーツフィルタの軸が地面に対して略垂直(完全に垂直ではなくてもよい)になるように配置することをいい、例えば、垂直状態を0度と仮定した場合、0度〜30度程度、斜めに傾斜させて配置してもよい。また、プリーツフィルタの下端部や上端部を封鎖する手段としては、蓋体や埋込物を例示したが、これに限られるものではなく、例えば接着剤によって封鎖してもよい。封鎖手段については、下記のようにプリーツフィルタを横置きする場合も同様である。
また、例えば、プリーツフィルタを横置きに配置し、プリーツフィルタの軸方向の一端側端部に円筒状や角筒状の排出管を配置する場合も、プリーツフィルタの襞の内側部分と排出管の外面と間に隙間が生じ、その隙間部分から下方へ処理物が漏れ出てしまうおそれがある。したがって、このように横置きにして配置する場合も、一端側端部を蓋体や埋込物などで封鎖することが好ましい。同様に、プリーツフィルタの軸方向の他端側端部も封鎖しないと、この部分からも処理物が漏れ出てしまうおそれがある。そのため、この他端側端部も蓋体や埋込物などで封鎖することが好ましい。なお、前記の説明において、プリーツフィルタを横置きに配置するとは、プリーツフィルタの軸が地面に対して略水平(完全に水平ではなくてもよい)になるように配置することをいい、例えば、水平状態を0度と仮定した場合、0度〜30度程度、斜めに傾斜させて配置してもよい。
[第3の態様]
前記襞の内側の空間は、その空間に埋め込まれた樹脂によって封鎖されている前記第2の態様の濾過装置。
(作用効果)
襞の内側の空間に樹脂を埋め込みことで、当該空間を封鎖することが好ましい。プリーツフィルタの軸方向の一端または両端に一枚の板材などを取り付けて、襞内の空間を封鎖しても良いが、プリーツフィルタの端縁と板材の接合部分に隙間が生じて、その隙間から処理物が漏れ出るおそれがある。襞の内側の空間に樹脂を埋め込むことにより、このような隙間が生じにくくなり、処理物の漏れを防止しやすい。なお、前記樹脂としては、エポキシ樹脂やシリコンシーラントなどを用いることができる。例えば、襞の内側の空間にこれらの樹脂を埋め込んだ後、硬化させることが好ましい。
[第4の態様]
前記濾過装置は、複数の凸部を備えたスクレーパを有し、
前記襞の外側の空間であって、隣接する前記襞の間に、前記スクレーパの前記凸部を挿入した状態で、前記スクレーパを前記濾過フィルタの軸方向に移動させることにより、前記濾過フィルタの外面に付着した付着物を前記スクレーパが掻き取る構成である前記第1〜第3のいずれか1つの態様の濾過装置。
(作用効果)
濾過フィルタの軸方向両側のうちの少なくとも片側であって、襞の外側の空間、かつ隣接する襞と襞の間の空間を開放状態(封鎖されていない状態)にしているため、濾過膜の外面に付着した付着物をスクレーパで掻き取る際に、その開放状態になった部分に付着した付着物を掻き取りやすいという利点がある。例えば、濾過膜と蓋体の接続部分(特に隅の部分)にある付着物は取りにくい傾向があるが、蓋体を無くすことで、このような付着物の取りにくい部分が無くなるからである。したがって、濾過フィルタの軸方向両側のうちの少なくとも片側であって、襞の外側の空間、かつ隣接する襞と襞の間の空間を開放状態にする構成は、特に、濾過膜の外側の付着物をスクレーパで掻き取る際に利点が多い。
[第5の態様]
前記スクレーパは、その中央部に、厚み方向に貫通する貫通孔を設けた板材であり、
前記スクレーパの前記貫通孔の周縁部には、前記貫通孔の中心側へ向かって突出する複数の前記凸部が全周にわたって形成されている前記第4の態様の濾過装置。
(作用効果)
複数の凸部が全周にわたって形成されたスクレーパを用いることで、濾過フィルタの襞の外面に形成されたケーキを効率良く掻き取ることができる。すなわち、濾過フィルタの全周に亘って形成されたケーキを前記スクレーパで万遍なく掻き取ることにより、掻き取り時間が短くなるため、濾過への悪影響を最小限に留めることができる。
本態様では、濾過フィルタの軸方向両側のうちの少なくとも片側であって、襞の外側の空間、かつ隣接する襞と襞の間の空間を開放状態(封鎖されていない状態)にしている。通常、隣接する襞と襞の間の空間が複数個存在する。本態様においては、その一部の空間のみを開放状態にするのでなく、濾過フィルタの全周にわたって、隣接する襞と襞の間の空間を開放状態にすることが好ましい。濾過フィルタの全周にわたって開放状態になっている襞間の空間を、前記スクレーパによって一気に綺麗な状態(付着物が少ない状態)にできるからである。
[第6の態様]
前記濾過フィルタの前記襞の内部には、
複数の貫通孔が設けられた平坦な板材を蛇腹状に折り曲げたスペーサーが設けられており、
前記スペーサーは、前記襞の基端側から先端側へ向かって、ジグザグに折り曲がりながら延在している前記第1〜第5のいずれかの態様の濾過装置。
(作用効果)
濾過フィルタの襞の内部に蛇腹状のスペーサーを設けることで、濾過フィルタの襞に弾性力が付与される。
濾過する前、濾過フィルタの襞はスペーサーの弾性力によって外方に少し膨らんだ状態にある。襞が膨らみ、襞の内部に空間が形成されていることにより、襞の内部空間を濾液が移動しやすいという利点がある。
被処理液の濾過が始まると、被処理液が濾過フィルタの襞の膜壁を外側から内側へ向かって通過する。この濾過によって、濾過フィルタの襞の外面に被処理液中の粒子が堆積し、ケーキが形成される。すると、このケーキや被処理液によって襞の両側壁が内側へ向かって押圧され、襞が潰れて扁平形状になる。ケーキが所定以上の厚みになった段階でケーキを掻き落とすが、このとき濾過フィルタの襞が扁平形状になっているため、スクレーパが襞に接触しにくくなる。その結果、襞とスクレーパが接触して襞の膜壁が痛むことを抑止でき、フィルタの長寿命化を図ることができる。特に、プリーツフィルタの襞を周方向に等間隔で形成することは難しいため、ケーキを掻き取る際に襞を扁平形状にして、スクレーパとの接触を積極的に防止することは有益である。
また、ケーキの掻き取りを進めるにつれて、濾過フィルタの襞を外方から押圧する押圧力が小さくなる。その結果、スペーサーによって濾過フィルタの襞が再び外側へ膨らんだ状態になる。このような状態で、さらにスクレーパを動かすと、スクレーパの凸部の側壁と濾過フィルタの襞の側壁の間の距離が短いため、襞の外壁に形成されたわずかなケーキも除去することが可能になる。ただし、濾過フィルタの襞が再び外側へ膨らんだ状態でスクレーパを移動させると、スクレーパの凸部と濾過フィルタの襞が接触し、濾過フィルタの襞の膜壁を痛めるおそれがあるため、このような状態でのスクレーパの移動は最小限度に留めることが好ましい。
なお、前記の説明ではスクレーパを用いて付着物を掻き落とす例を示したが、第6の態様では、スクレーパを用いる形態に限定されない。スクレーパが代表的であるが、これ以外に硬質ナイロンブラシやワイヤブラシなどを用いてもよい。
また、製品状態で、前記濾過フィルタの前記襞の側壁と、前記スクレーパの前記凸部の側壁とのクリアランスが0.1mm〜0.3mmであり、濾過状態で、前記濾過フィルタの前記襞の側壁と、前記スクレーパの前記凸部の側壁とのクリアランスが、0.2mm〜0.5mmとなるようにすることが好ましい。
製品状態で、濾過フィルタの襞の側壁とスクレーパの凸部の側壁とのクリアランス(側壁間の距離。以下、同じ。)が僅かであっても、濾過状態では、そのクリアランスが大きくなる構成である。すなわち、濾過状態での前記クリアランスが、製品状態での前記クリアランスよりも大きくなる(距離が長くなる)構成であり、例えば、製品状態でのクリアランスを約0.2mmにした場合、濾過状態でのクリアランスが約0.3mmに広がる構成にすることができる。そのため、濾過中に濾過フィルタの外壁に形成されたケーキをスクレーパで掻き取る際、スクレーパと襞が接触し、それによって襞の濾過膜が摩耗したり損傷したりすることを積極的に防止することができる。特に、プリーツフィルタの襞を周方向に等間隔で形成することは難しいため、濾過状態における前記クリアランスを大きくして、スクレーパとの接触を積極的に防止することは有益である。また、濾過状態での前記クリアランスを大きくしすぎないことにより、掻き取りを行った後に濾過膜の表面に残るケーキの量を少なくすることができる。具体的には、濾過状態における前記クリアランスを0.5mm以内に抑えることが好ましい。
[第7の態様]
前記濾過フィルタの前記襞の内部には、
複数の貫通孔が設けられた平坦な板材を蛇腹状に折り曲げたスペーサーが設けられており、
前記スペーサーは、前記襞の基端側から先端側へ向かって、ジグザグに折り曲がりながら延在しており、
前記襞の内側の空間のうち、封鎖された部分に前記スペーサーが存在せず、封鎖されていない部分に前記スペーサーが存在する第2または第3の態様の濾過装置。
(作用効果)
スペーサーを設ける利点は、前記第6の態様の説明の欄に記載したとおりである。
このスペーサーは、襞の内側の空間のうち、封鎖された部分に設けないことが好ましい。例えば、襞の内部に埋込物を埋め込むことによって、襞の内部空間を封鎖状態にする場合、その襞の内部にスペーサーがあると、スペーサーの弾性作用によって、襞の内部空間の大きさが変動することになる。そうすると、時間の経過に伴って、襞の内部に埋め込んだ埋込物が襞の内部空間を封鎖できなくなる事態の発生が懸念される。具体的には、襞の内壁と埋込物の外面の間に隙間が生じたり、埋込物に透過孔が生じたりする可能性があり、それらの隙間や透過孔を通過して、処理物が外部に流出するおそれがある。このような不具合の発生の可能性は、埋込物が硬化しているときにより顕著となる。そこで、襞の内部を封鎖する場合は、その内部にスペーサーを設けないようにすることが好ましい。
以上の説明では、襞の内部に埋込物を埋め込むことによって、襞の内部空間を封鎖状態にする場合について述べた。本態様はこれに限定されず、襞の外側から蓋体を被せることによって内部空間を封鎖する場合も、蓋体の近傍にある襞の内部空間にスペーサーを設けないことが好ましい。蓋体の近傍に位置する襞の内部空間にスペーサーを設けると、その襞の内部空間の大きさが変動することになり、その結果、襞と蓋体の接触部分が動いてしまうおそれがあるからである。具体的な蓋体の近傍の位置とは、蓋体と襞の接触部分を起点(0mm)と仮定したときに、襞の軸方向中央側へ向かって20mm以内の部分が好ましく、15mm以内の部分が好ましい。本態様において、前述の「襞の内側の空間のうち、封鎖された部分」の文言には、この蓋体の近傍の位置も含まれるものとする。
なお、襞の内部空間のうち、封鎖された部分以外には、スペーサーを設けることが好ましい。スペーサーの存在によって、前記第6の態様で述べた効果が奏されるからである。
本発明によれば、濾過膜の表面に付着した付着物を除去しやすいプリーツフィルタを有する濾過装置を提供することができる。
第1実施例に係る濾過装置の構造説明図である。 図1のX−X部分の濾過フィルタの横断面図である。 図2のY部分の拡大図である。 図3のZ部分の拡大図である。 (5A)スクレーパとスクレーパ保持部の平面図である。(5B)図5AのM部分の拡大図である。 スクレーパの保持部の拡大図(平面図)である。 スクレーパの保持部の拡大図(側面図)である。 他の実施形態に係るスクレーパの平面図である。 スクレーパの凸部の側壁と濾過フィルタの外表面の側壁の離間距離の変化を示す図である。図9Aは濾過前であり、図9Bは濾過中を示す。 図1のQ−Q部分の濾過フィルタの横断面図である。 (11A)図10のP部分の拡大図である。(11B)図11AのR部分の拡大図である。 従来の蓋体を示す横断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の一実施形態を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきでない。
(被処理物A)
本発明に係る濾過装置10によって濾過される被処理物Aとしては、例えば、トンネル構内排水、吹付け用生コンプラント排水、ダイスライム回収排水、バッチャープラント排水、河川工事ドライピット排水、深礎工事排水、グラウト工事排水、シールド工事排水、シールド余剰泥水、浚渫埋立排水、ケイソン工事排水、場所打杭排水、床面洗浄排水、ウェルポイント工事排水、基礎工事ヤード排水、タイヤ洗浄排水、コアボーリング排水、ダイヤモンドカッター排水、土壌汚染掘削ヤード排水、VOC分解洗浄排水、焼却炉解体洗浄排水、放射能除染工事排水、ワイヤーソー切断工事排水、ウォータージェット切断工事排水、製紙工場プロセス排水、パルプ工場プロセス排水、食品工場洗浄排水、生コン工場洗浄排水、コンクリート二次製品工場排水、砕石工場ヤード排水、ガス洗浄スクラバ排水、ゴミ焼却炉急冷塔排水、転炉ガス洗浄排水、アーク炉ガス洗浄排水、銀回収工程排水、洗砂装置排水、水洗中和排水、バレル研磨排水、電界研磨排水、ガラス研磨排水、ウェットブラスト排水、吹付塗装ブース排水、カチオン塗装排水、ステンレス酸洗排水、原料ヤード排水、原料コンベア洗浄排水、堆積ダスト湿式回収排水、工場ヤード排水、連鋳排水、圧延冷却排水、除湿ドレン排水、浸漬切断ヤード排水、鉱さいヤード排水、船舶底部ビルジ排水、造船ドッグ排水、除貝排水、冷却塔ブロー排水、染色工場排水、ミルクプラント洗浄排水、トンネル壁面洗浄排水、建物外壁洗浄排水、洗車排水、ゴルフ場排水、産業処分場浸出水、等の排水を挙げることができる。そのほかの被処理物Aとして、オイルやジャムを例示することもできる。
なお、被処理物Aは、前記に例示した液体に限られるものではなく、気体や固体であっても良い。例えば、圧延加工や絞り加工、切削加工、バイオディーゼル生成等に際して飛散した油煙や油滴等の塵埃によって汚染された空気を被処理物Aとしても良い。そして、濾過フィルタ12によって捕捉される塵埃としては、例えば、ダイスオイルミストやタービンオイルミスト、コンプレッサーオイルミスト、油拡散真空ポンプ排気油煙、食品フライヤーヒューム、油焼入れ・熱処理煙、メッキヒュームなどを挙げることができる。なお、この捕捉対象となる塵埃は、その発生場所や由来等が特に限定されず、例えば、切削油(水溶性切削油、鉱物油切削油等)や潤滑剤・離型剤(高温プレス用等)などの液体由来の塵埃であっても良い。
また、ゴムやスポンジ等の弾性や圧縮性を有する粉体や流体を被処理物Aとしても良い。
以下では、被処理物Aとして液体のものを例に挙げて説明することにする。したがって、被処理物Aを被処理液Aと記載し、処理物Bを処理液Bと記載し、濃縮物Cを濃縮液Cと記載する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る濾過装置10は、密閉された濾過容器11内で、被処理液A(例えばスラリー)を濾過フィルタ12で濾過し、処理液B(例えば濾液)や、ケーキKを含む濃縮液Cを排出する全量濾過(デッドエンド濾過)型の装置である。この濾過装置10では、スクレーパ5によって濾過フィルタ12からケーキKを剥離し、落下させて、剥離したケーキKを濃縮液排出口19pから排出するフローになっている。このフローについては後で詳述することにして、まずは濾過装置10の構成について説明する。
(濾過容器11)
濾過装置10は濾過容器11を有している。この濾過容器11の下部にはケーキ排出シュート11Sが設けられ、ケーキ排出シュート11Sから上方に筒状の濾過フィルタ収納部11Uが連続する形状になっている。この濾過容器11の形状は、前記の形状に限られるものではなく、ケーキ排出シュート11Sがない形状など、任意の形状に変更しても良い。
(筒状体12s)
濾過容器11内には、壁面に濾液Bの透過孔が形成され、内部に濾液Bが通る濾液通路12rが形成された筒状体12sが設けられる。筒状体12sの形状や姿勢は特に限定されないが、図示した一例では円筒形状であって、その中心軸が濾過容器11の上下方向に沿う姿勢で、濾過容器11内に配されている。そのほか、筒状体12sの形状を角筒形などの任意の公知形状に変更しても良いし、筒状体12sの姿勢を筒状体12sの中心軸が斜めに傾斜するように濾過容器11内に設置しても良い。なお、図示した筒状体12sは、パンチングメタルなどの透過孔を有する平板を円筒状に成形したものである。
(濾過膜12m)
筒状体12sの壁面の外側には、濾過膜12mが形成されている。この濾過膜12mとしては、表面積(濾過面積)が広いことから、平坦な濾材をジグザグに折り曲げつつ、筒状体12sの外周面に巻き付けて、筒状(図2の態様では、円筒状にしているが、これに限定されず、角柱状や楕円状等にしてもよい)に形成したプリーツフィルタを好適に用いることができる。前記のようにジグザグに折り曲げることで、筒状体12sの周囲に(図示形態では筒状体12sの全周に)、複数の襞2が形成される。平坦な濾材を折り曲げる際は、折り目がつくように折り曲げてもよいし、折り目がつかないように曲線(緩やかな曲線、急な曲線など)を描くように折り曲げても良い。また、襞2の上端および下端は、水平方向に配置した不織布12mT、12mDによって覆われている。
濾過膜12mは単層または多層にすることができる。図示形態では単層の濾過膜12mを用いている。また、濾過膜12mの素材(濾材)は特に限定されない。具体的な素材としては、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ステンレス、ナイロン等を例示することができる。この濾過膜12mの素材には、ぬれ性の良いもの(親水性のもの)を用いることが好ましい。ぬれ性は、固体表面と液滴の接線の間の接触角θを測定することによって示され、固体/気体間の界面張力γVS、液体/気体間の界面張力γLV、液体/固体間の界面張力γLSによって決定する。この接触角と界面張力の関係は、下記の式1(ヤングの式)によって表すことができる。
γVS=γLS+γLV cosθ ・・・式1
なお、撥水性の素材(接触角θが90度以上の素材)に対して、プラズマを照射する方法、紫外線(UV)を照射する方法、薬品処理する方法などにより、素材の表面を親水性にすることも可能である。しかし、このような素材は大気中に置くと再び疎水性に戻ってしまい、親水性を維持できる期間が短い。したがって、もとから親水性の素材(接触角θが90度未満の素材)を用いることが好ましい。特に、超親水性の素材(接触角θが5度未満の素材)を用いることが好ましい。
前記濾過膜12mの具体的な素材としては、例えば、東レ株式会社のポリエステル長繊維不織布「アクスター」(登録商標)のG2260-1S BK0を用いることができる。
濾過膜12mの膜厚は、好ましくは0.3〜0.7mm、より好ましくは0.6mmである。また、濾材の繊維径(投影面積円相当径、Heywood径をいう。以下、同じ。)は、好ましくは0.5〜20μmであり、より好ましくは7μmである。繊維径が0.5μmより細い繊維を用いると、濾過時の抵抗が大きくなるとともに、見かけの表面積が狭くなる。また、繊維径が20μmよりも太い繊維を用いると、懸濁粒子(濾過対象物)が濾過膜12mを透過してしまい、ケーキKを形成できなくなる。
したがって、繊維径が0.5〜20μmの濾材を用いて、ある程度の目の粗さを持つ濾過膜12mを形成することが好ましい。このようなある程度の目の粗さを持つ濾過膜12mによって、濾過時には、濾過膜12mの目に懸濁粒子が食い込んでコーティング層が形成されるため、そのコーティング層を新たな濾過フィルタ12として利用することができる。
濾過膜12mの長手方向の長さは、例えば300mm〜2000mmにすることができる。
本形態において、濾過膜12mの表面12fとは、濾過容器11側を向いている面をいい、濾過前の被処理液Aが接する面をいう。一方、濾過膜12mの裏面12bとは、筒状体12s側を向いている面をいい、被処理液Aが濾過膜12m内を通過し、濾液Bとして排出される面をいう。また、ケーキKの表面Kfとは、濾過容器11側を向いている面をいい、濾過前の被処理液Aと接する面をいう。一方、ケーキKの裏面Kbとは、筒状体12s側を向いている面をいい、濾過膜12mの表面12fと接する面をいう。
濾過膜12mの交換頻度を減らし、ランニングコストを削減するため、所定の強度以上の濾過膜12mを用いることが好ましい。例えば、JIS L‐1906の測定方法において、引張強度(N/5cm)タテ:1200、ヨコ:700、破裂強力(kgf/cm2)タテ:25のものを用いると良い。
なお、本態様においては、濾過フィルタ12の外面12fから裏面12bへ向かって被処理液Aが流れる。この場合、濾過フィルタ12の外面12fが濾過面になる。前記先行技術文献のように、濾過フィルタ12の裏面12bを濾過面にした場合と比べて、濾過時の耐圧が向上し、濾過面積が大きくなり、ケーキKが排出しやすくなるという利点がある。
(プレコーティング層)
被処理液Aに含まれる懸濁粒子(濾過対象物)の粒径が濾材の目の大きさよりも小さい場合は、濾過精度が悪くなる。また、ゲル状、コロイド状などになっている付着性が強いスラリー(例えば、ベントナイトスラリー、凝結剤を使用したときのスラリー、藻や海苔のスラリー)の場合は、濾材が目詰まりしやすい。したがって、このような場合は、不具合を防ぐため、珪藻土、ゼオライトなどからなるプレコーティング層を形成することが好ましい。
(凝集剤)
プレコーティング層の形成に代えて、懸濁粒子を凝集させる凝集剤(凝集沈降剤)を使用することもできる。凝集剤によって懸濁粒子が凝集するため、濾材12mの目が懸濁粒子より大きかったとしても、懸濁粒子と濾液Bを分離することができる。この凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、高塩基性塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄、硫酸アルミニウムなどを用いることができる。なお、凝集剤を使用するとランニングコストがかかるため、費用削減を重視する場合は使用を避けた方が良い。
(スペーサー3)
襞2の内部に、複数の穴が開けられた平坦な板材(ハニカムメッシュや金網等)を蛇腹状(この蛇腹状には、波状のものも含まれる)に折り曲げたスペーサー3を設けることが好ましい。スペーサー3は、襞2の基端側(筒状体12s側)から先端側(濾過容器11側)へ向かって、ジグザグに折り曲がりながら延在している。図示形態では、各襞2にスペーサー3が一枚ずつ設けられ、そのスペーサー3の一端側端部は筒状体12sの外面と0.1mm〜0.5mm程度離れ(筒状体12sと接触していてもよい)、他端側端部は襞2の先端側端部に位置している。スペーサー3の厚み方向両端部に形成された屈曲部3C、3Cは、濾過膜12mの裏面12bと接触している。図示形態のスペーサー3は、平面視で濾過膜12mと点状に接触しており、この接触部分が屈曲部3C、3Cになっている。スペーサー3は襞2の内部空間2Sを保持する機能を有し、被処理液Aが濾過膜12mの表面12fから裏面12bへ向かって流れる圧力や、濾過膜12mの表面12fにケーキKが積層して襞2を押し潰そうとする圧力に抗って、内部空間2Sが完全に潰れてしまうことを防いでいる。襞2の内部空間2Sがなくなることを「閉塞」といい、この閉塞を防ぐことにより、濾液Bが内部空間2Sを先端側から基端側へ向かって移動しやすくなる。図4Aは被処理液Aを濾過する前の状態を示し、図4Bは被処理液Aを濾過している最中の状態を示す。これらの図面に示すように、襞2が被処理液Aによって外側から押されると、押される前と比べて、スペーサー3の厚みが薄くなり(厚み方向の長さが短くなり)、平面視におけるスペーサー3の形状が平坦に近いものになる。このような場合であっても、ケーキKの堆積量が多くなければ(例えば、ケーキKが1〜2mm程度堆積した状態では)、スペーサー3は完全に平坦にならず、内部空間2Sが完全に潰れて閉塞してしまうことはほとんどない。
図示した形態では、平面視で、濾過膜12mとスペーサー3が屈折部3Cで接触しており、この接触部Tcは、スペーサー3の延在方向に沿って、所定の間隔を空けながら、厚み方向に交互に点状に存在している。すなわち、平面視で、濾過膜12mとスペーサー3が面状に接触していない形態である。
以上のように、スペーサー3を蛇腹形状にすることにより、襞2に対して、厚み方向に伸縮する弾性力を付与することができる。濾過膜12mの表面12fに形成されたケーキKを掻き取る際に、襞2が厚み方向に収縮していることにより、スクレーパ5と襞2が直接接触して、襞2の濾過膜12mを傷つけることを防ぐことができる。その結果、濾過フィルタ12が長寿命化し、ランニングコストの低減を図ることができる。
スペーサー3の素材としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンなど(単体でも用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い)を用いることができる。特に、弾性力や耐水性などが要求されることから、ポリプロピレンやポリエステルを用いることが好ましい。
例えば、スペーサー3として、プラスチック繊維(他の繊維でもよい)からなるメッシュ構造の板材を波付け加工して弾性体にしたものを用いることができる。このときのメッシュ構造は、例えば1.5mm〜2mm程度のメッシュにすることができる。この波付け弾性体であるスペーサー3は、被処理液Aの濾過圧力によって、濾過膜12mの外側から内側へ向かって押し付けられるが、メッシュの結節部は線径の倍の厚さ(約0.32〜0.4mm)があり、襞の内部空間2S内の濾液Bが筒状体12Sの方向へ流れる通液性を確保している。
(開放空間)
第1実施形態では、図1などに示すように、プリーツフィルタ12の軸方向両側(一端側と他端側の両方)の構成に特徴を有している。具体的には、図10や図11Aに示すように、プリーツフィルタ12の襞2の外側の空間17であって、隣接する襞2と襞2の間の空間2n(「外側襞間空間」や「隣接襞間空間」ともいう。本明細書において、他の段落においても同じ。)が封鎖されていないという特徴がある。すなわち、外側襞間空間2nが開放空間(「非封鎖空間」ともいう)になっている。図10では外側襞間空間2nの1つに網掛けを付した。この図10では、図面の視認性を良くするために、1個の外側襞間空間2nにのみ網掛けを付しているが、図10に示すようにプリーツフィルタ12の全周にわたって多数の襞2が形成されており、プリーツフィルタ12の外側であって、隣接する襞2と襞2の間の空間は、すべて外側襞間空間2nとなる。この外側襞間空間2nは、隣接する襞2と襞2の外表面12fによって囲まれた部分(外表面12fによって区画された部分)をいい、この外側襞間空間2nの基端は襞2の基端部2bと接しており、外側襞間空間2nの先端は隣接する襞2、2の先端部2p、2pの間を繋げた仮想線ALによって区画される。
図12に示すように、従来のプリーツフィルタは、この外側襞間空間2nを覆うように外側から蓋体21が被せられており、これによって外側襞間空間2nが封鎖された状態になっている。例えば、図12Bのようにプリーツフィルタを縦置きした場合、そのプリーツフィルタの上端部に蓋体21が設けられ、プリーツフィルタの内部の処理物が、意図せずに外部(図示形態では上方)に漏れ出ることを防いでいる。なお、図12Bでは、プリーツフィルタの上方部分のみを例示しているが、プリーツフィルタの下端部にも蓋体21を設けられることが一般的である。図12Bに示すように蓋体21を設けたプリーツフィルタは、濾過膜12mの上端と蓋体21の接続部22や、濾過膜12mの下端と蓋体21の接続部22に付着物が溜まりやすい。当該接続部22に付着物が溜まることによって、この接続部22の濾材や、接続部22の周囲の濾材の衛生環境が悪化して、濾材の寿命が短くなるおそれがある。
そこで本実施形態1では、プリーツフィルタ12の軸方向両側において、外側襞間空間2nを蓋体21などで封じず、開放状態にした。変形例として、プリーツフィルタ12の軸方向片側のみにおいて、外側襞間空間2nを蓋体21などで封じず、開放状態にしてもよい。また、プリーツフィルタ12の軸方向片側または両側に蓋体21を設けても良いが、この蓋体21を設ける場合は、蓋体21のうち外側襞間空間2nと重なる部分に切り欠きを設けるなどして、外側襞間空間2nを開放状態にすることが好ましい。
なお、プリーツフィルタ12の軸方向両側または片側において、外側襞間空間2nを開放状態にする場合は、蓋体21以外にも埋込物などを設けないことが重要である。埋込物を設けると、開放状態にならないからである。
また、プリーツフィルタ12の軸方向両側または片側において、外側襞間空間2nを開放状態にすることにより、後述のスクレーパ5などによって、襞2の外面に付着した付着物を掻き取りやすくなり、濾過膜12mの衛生状態を良好に保ちやすいという利点がある。すなわち、図12Bに記載するような蓋体21を設けた場合は、スクレーパ5が蓋体21に突っかかり、付着物が溜まりやすい接続部22の汚れが落としづらいが、蓋体21を設けないことによってスクレーパ5の可動範囲が広がるため、濾過膜12mの衛生状態の改善を図ることができる。
前記の説明において、隣接襞間空間2nを開放状態にする旨を記載した。この隣接襞間空間2nを完全に開放状態にすることが最も好ましいが、必ずしもこのような形態に限定されるものではなく、隣接襞間空間2nの一部が閉鎖されていても良い。肝心なことは、濾過膜12mの外表面に付着した付着物を取り除きやすくすることであるため、少なくとも濾過膜12mの近傍(例えば、濾過膜12mの外表面12fから0.5mm程度離間した部分、好ましくは0.3mm程度離間した部分)を開放状態にしていればよい。
(閉鎖空間)
図1や図11に示すように、プリーツフィルタ12の軸方向両側において、襞2の内側の空間を封鎖することが好ましい。襞2の内側の空間とは、図4に示すような襞2の内部空間2Sを含む概念である。図11Aおよび図11Bでは、襞2の相対する濾過膜12ma、12mbに挟まれた空間(襞2の内部空間2S)が封鎖されており(閉じられており)、いわゆる閉鎖空間16Cになっている。閉鎖空間16Cにする方法は特に限定されないが、例えば、対面する濾過膜12ma、12mbの内壁面同士を超音波もしくはヒーターで加熱して溶着する方法を挙げることができる。そのほか、前記内壁面同士を接着剤で接着したり、濾過膜12ma、12mbの間に樹脂を埋め込んだりしてもよい。
プリーツフィルタ12の内部に筒状体12sを設ける場合は、襞2の内側の空間という概念に、濾過膜12mと筒状体12sの間の空間22(図11Aの網掛け部分)(以下、「膜筒間空間」という。)を含ませてもよい。図11Aの例では、この膜筒間空間22に樹脂を埋め込むことによって閉鎖空間16Cにしているが、この態様に限られるものではなく、例えば濾過膜12mと筒状体12sの間を接着剤によって接着するなどしてもよい。
以上の説明において、閉鎖空間16Cを形成するために、接着剤や埋込物を用いる形態を説明した。接着剤の種類は特に限定されないが、耐水性や接着力に優れることから、例えばエポキシ樹脂接着剤やゴム系接着剤などを用いることが好ましい。埋込物の種類も特に限定されないが、封止性が高いことから、例えばエポキシ樹脂系やシリコンゴムシーラントなどを用いることが好ましい。埋込物は、埋め込んだ後に硬化する樹脂(例えば、エポキシ樹脂系やフェノール系など)を用いることが好ましい。樹脂が硬化しない場合、剥離するおそれがあるからである。
また、接着剤や埋込物以外のものを用いて閉鎖空間16Cを形成してもよい。例えば、閉鎖空間16Cを形成したい部分に蓋体を設けても良い。この蓋体としては、例えば一枚の板材から構成することができる。複数枚の板材を用いるとシール性が向上するが、部材点数が多くなって管理が大変であるとともに、コストが高くなるので、一枚の板材が好ましい。板材の素材としては、例えばステンレス、アルミ、プラスチックなどを用いることができる。
この板材を用いる位置は、プリーツフィルタ12の一端側端部や他端側端部であれば、いずれの部分であってもよい。すなわち、必ずしもプリーツフィルタ12の一端側端縁や他端側端縁に設けなくてもよく、例えば、プリーツフィルタ12の襞2の内部空間2Sにこの板材を埋め込むようにしてもよい。
なお、閉鎖空間16Cを設ける位置は、図1に示すように、プリーツフィルタ12の軸方向の一端側端部および他端側端部の少なくともいずれか一方である。
図1では、一端側端部(上側端部)の軸方向の長さ12Uを10mm〜20mmにすることが好ましく、13mm〜17mmにすることがより好ましく、15mmにすることがさらに好ましい。前記軸方向の長さ12Uが10mmよりも短いと、一端側端部で必要とする接着強度が保持できないおそれがある。他方、前記軸方向の長さ12Uが20mmよりも長いと、濾過フィルタ12のうちの実質的に濾過する部分(濾過フィルタ12の中間部12m)の長さが短くなるため、濾過効率が低下してしまうおそれがある。
他方、他端側端部(下側端部)の軸方向の長さ12Dを15mm〜25mmにすることが好ましく、18mm〜22mmにすることがより好ましく、20mmにすることがさらに好ましい。前記軸方向の長さ12Dが15mmよりも短いと、他端側端部で必要とする溶着強度が保持できないおそれがある。他方、前記軸方向の長さ12Dが25mmよりも長いと、濾過フィルタ12のうちの実質的に濾過する部分(濾過フィルタ12の中間部12m)の長さが短くなるため、濾過効率が低下するおそれがある。
なお、図1の実施例では、一端側端部と他端側端部に閉鎖空間16Cを形成するために、エポキシ樹脂を用いている。
以上のように、襞2の内側の空間を封鎖することによって、襞2の内側の空間に存在する処理物Bが、プリーツフィルタ12の軸方向端部から外部へ漏れ出ることを防ぐことができる。その結果、処理物Bが襞2の内側の空間から処理物の通路12rへと移動することになる。なお、処理物Bがプリーツフィルタ12の軸方向端部から外部(濾過容器の内壁とプリーツフィルタの外面の間の空間。本明細書において同じ)へ漏れ出た場合、この漏れ出た処理物Bは濃縮物Dとして外部に排出される。図1の実施形態では、漏れ出た濾過液Bが濃縮液Dとして排出されることになるため、濃縮液Dの水分率が高くなってしまうという不具合がある。また、濾過液Bをすべて回収できていないことになるため、濾過効率が低下するという問題もある。
処理物の通路12rとは、筒状体12sが設けられた場合では、筒状体12sの内側の空間をいう。筒状体12sが設けられていない場合では、襞2の基端部2bよりも内側の空間をいう。図1の実施形態では、この筒状体12sの上端部は、図示しない蓋体で覆われている。上端部を蓋体で覆うことによって、処理物Bが上端部から外部へ漏れ出ることを防ぐことができる。また、筒状体の12sの下端部には、筒状体12sの直径と同じ直径を備えた排出管14が接続されている。処理物Bは、重力によって、処理物通路12rから排出管14へ移行し、その後、排出管14を通って濾過容器11の外へ排出される。なお、筒状体12sの上端部に設けた蓋体や下端部に設けた排出管14の形態については、随時変更することができる。
なお、襞2の内側の空間を封鎖する場合は、完全に封鎖することが好ましい。一部に隙間が生じていると、その隙間から外部へ処理物Bが漏れ出るおそれがあるからである。すなわち、襞2の内側の空間を接着剤で接着する場合は、例えば、対面する濾過膜12ma、12mbの間を密閉することが好ましい。また、襞2の内側の空間を埋込物で封鎖する場合は、埋込物の内部に細かな貫通孔などが発生しないようにするととともに、例えば濾過膜12mと埋込物の間や、筒状体12sと埋込物の間に隙間が生じないように密閉することが好ましい。同様に、襞2の内側の空間を蓋体で封鎖する場合は、濾過膜12mと蓋体の間や、筒状体12sと蓋体の間に隙間が生じないように密閉することが好ましい。
プリーツフィルタ12の軸方向両端部12U、12D以外の部分、すなわちプリーツフィルタの軸方向中間部12Mについては、襞2の内側の空間を封鎖しないことが好ましい。処理物Bがその空間を通過して、処理物通路12rへと流れ込むことができるようにするためである。
また、前述のスペーサー3は、襞2の内側の空間のうち、封鎖部分16Cに設けないことが好ましい。封鎖部分16Cの内部にスペーサー3があると、スペーサー3の弾性作用によって、襞2の内部空間2Sの大きさが変動することになるため、例えば、濾過膜12maと12mbを接着剤で接着している場合、その接着が取れやすくなるからである。また、襞2の内部空間2Sを埋込物で封鎖している場合、濾過膜12mの内壁面と埋込物の外面との間に隙間が生じやすくなり、襞2の内部空間2Sを蓋体によって封じている場合、蓋体と濾過膜12mの間に隙間が生じやすくなったりする。
(供給口、排出口)
濾過容器11には、被処理液Aの供給管13が取り付けられている。被処理物Aを貯留する図示しない貯留槽と前記濾過容器11の間は、この供給管13によって繋がれており、被処理液Aは図示しない圧送ポンプによって貯留槽から濾過容器11へ送られる。なお、被処理液Aの供給管13と濾過容器11の接触部分を、被処理液Aの供給口13pという。
被処理液Aの供給口13pは、濾過容器11の上部11Uに設けることが好ましい。被処理液Aが濾過容器11の上方から下方へ向かって円滑に流れるからである。特に、後述する往復運動装置6よりも上方の位置に設けることがより好ましい。供給口13pから濾過容器11の内部に導入された被処理液Aが、直ぐに往復運動装置6に衝突して、乱流が生じることを防ぐことができるからである。被処理液Aに乱流が生じると、濾過膜12mの外面12fに形成されるケーキKの厚さにバラツキが生じる(例えば、濾過膜12mの周方向においてケーキKの厚みが異なる。例えば、濾過膜12mの軸方向においてケーキKの厚みが異なる)ため、濾過効率が低下するというデメリットがある。なお、被処理液Aの乱流を防ぐとともに、濾過フィルタ12の一部分ではなく全体を用いて濾過させるため、濾過容器11の内壁の接線方向に供給口13pを設け、被処理液Aが濾過容器11の内壁に沿って、濾過フィルタ12の外周を周回して流れるようにすることが好ましい。
被処理液Aの供給口13pは、濾過容器11の中間部11M(濾過容器11の上部11Uと下部11Dの間の部分)に設けることもできる。ただし、濾過容器11の中間部11Mに供給口13pを設けた場合、被処理液Aが濾過容器11の中間から上方へ向かって流れたり、中間から下方へ向かって流れたりして、被処理液Aの流れが複雑化し、濾過容器11の内部の被処理液Aの流れに乱流が生じやすいからである。特に、濾過容器11の中間から上方へ向かって被処理液Aが流れると、濾過容器11の下方に堆積したケーキが上昇し、濾過フィルタ12に再度付着しまうおそれがあるため、好ましくない。
被処理液Aの供給口13pは、濾過容器11の下部11Dに設けることは好ましくない。供給口13pを下部11Dに設けた場合、被処理液Aは濾過容器11の下方から上方へ向かって流れることになるが、濾過容器11の下部11Dに堆積したケーキKが、被処理液Aの上昇流とともに舞い上がり、濾過フィルタ12に再度付着してしまうおそれがあるからである。そのため、濾過容器11のケーキKが堆積する部分よりも上方に、被処理液Aの供給口13pを設けることが好ましい。配管設計の制約によって、供給口13pを濾過容器11の下部11Dに接続しなければならない場合は、濾過容器11の内部に邪魔板(図示しない)を設け、供給口13pから供給された被処理液Aが、濾過容器11の下部11Dに堆積したケーキKと衝突しないようにすることが好ましい。
図示形態では、濾過容器11の下部に排出シュート11Sを設けており、この排出シュート11Sの内部にケーキKを堆積する形態となっている。よって、図1に点線で供給口13pを描いたように、排出シュート11Sよりも少し上方の位置に、供給口13pを設けても良い。図1においては、排出シュート11Sが濾過容器11の下部11Dに相当するため、前記点線の供給口13pを設けた位置は、濾過容器11の中間部11Mに相当する。
仮に排出シュート11Sを設けなかった場合は、前記点線の供給口13pを設けた部分が、濾過容器11の下部11Dに相当する。このような場合、濾過容器11の下部11DにケーキKが堆積しており、点線の供給口13pを表した部分から被処理液Aを供給すると、堆積したケーキKを舞い上げてしまうおそれがあるため、この部分には供給口13pを設けないようにすることが好ましい。
濾過容器11には、濾過容器11の外に濾液Bを排出する濾液排出管14も設けられている。濾液排出管14は濾過フィルタ12の濾液通路12rの下端開口から濾過容器11外へ導かれ、後段の装置に接続されている。なお、濾過容器11の外方に突出した濾液排出管14の端部を、濾液Bの排出口14pという。
(濃縮液排出口)
濃縮液排出シュート11Sの下端部には、濃縮液排出管19が設けられている。濾過容器11の外方に突出した濃縮液排出管19の端部を、濃縮液Kの排出口19pという。この濃縮液排出管19の内部には、図示しない濃縮液排出弁(例えば、バタフライバルブ)が設けられており、この濃縮液排出弁の開閉により濃縮液排出状態と、密閉状態とが切り替え可能となっている。
(スクレーパ)
濾過装置10を用いて濾過を行うにつれて、濾過フィルタ12の外面12fにケーキKが堆積する。ケーキKが堆積すると濾過能力が低下するため、このケーキKを定期的に剥離・除去する必要がある。この剥離・除去を行う器具として、本発明ではスクレーパ5を設けている。このスクレーパ7は、濾過装置10の一部品として製造しても良いし、濾過装置10とは別製品として製造し、濾過装置10に後付けしても良い。スクレーパ7の素材としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、硬質のポリテトラフルオロエチレンなど(単体でも用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い)を用いることができる。特に、ケーキKを掻き取るために十分な強度や耐摩耗性が要求されることから、ステンレスやアルミニウムを用いることが好ましい。
図5にスクレーパ5の一例を示した。このスクレーパ5は、一枚の板材からなり(複数枚の板材を積層したものに代えてもよい)、円盤の中心部に貫通孔5hが空けられており、円盤の外周部分に位置する胴部5bから、円盤の中心へ向かって突出する複数の凸部5tが設けられている。言い換えるならば、スクレーパ5の凸部5tを同心円に櫛歯状に設けている。図5Bに、胴部5b(斜線部分)と凸部5t(菱形の網掛け部分)の詳細を示した。なお、胴部5bと凸部5tの形状を説明するために、便宜的に胴部5bと凸部5tの境界に点線を付した。胴部5bはリングの形状であり、凸部5tは、スクレーパ5の外側から中心側へ向かって次第に窄まる略三角形状であり、凸部5tの先端部5p(スクレーパ5の中心に最も近い部分)の端縁は、R状に湾曲した曲線になっている。隣接する凸部5t、5tの間にも貫通孔5haが設けられており、この凸部5t、5tの間隙に設けられた貫通孔(間隙貫通孔)5haは、スクレーパ5の中央に設けられた円形状の貫通孔(中央貫通孔)5hbと連続しており、両貫通孔5ha、5hbを合わせて、スクレーパ5全体に設けられた貫通孔(全貫通孔)5hという。間隙貫通孔5haの幅5wは、スクレーパ5の中心側から外側へ向かってほとんど変化しておらず、この間隙貫通孔5haの先端部5hap(スクレーパ5の外側に最も近い部分)の端縁も、R状に湾曲した曲線になっている。
濾過フィルタ12の表面12fに形成されたケーキKを掻き取る際、濾過フィルタ12の隣接する襞2、2の間にスクレーパ5の凸部5tを挿入する。襞2、2間に凸部5tを挿入した状態を図6に示す。この図6に示すように、濾過フィルタ12の襞2とスクレーパ6の凸部5tは互いに噛み合った状態になっており、スクレーパ5の隣接する凸部5t、5t間の間隙貫通孔5haに、濾過フィルタ12の襞2が位置している。
スクレーパ5の形状は、図5に示したものに限定されない。例えば、図8に示すように、図5の円盤状のスクレーパ5を3分割し、分割した各スクレーパ5を連結具60(例えば、板材、ボルト、ナットから構成される)で連結した形態にしてもよい。各スクレーパ5を連結具60で連結するとスクレーパ5が一体化するため、往復移動装置6によってすべてのスクレーパ5を同時に同一方向に同距離移動させることが容易である。なお、図8の態様では、分割した各スクレーパ5に、それぞれ別々の往復運動装置6が備え付けられているため、連結具60を必ず用いる必要はない。連結具60を用いない場合は、各往復運動装置6によって、各スクレーパ5が別々に移動することになる。ただし、往復運動装置6が備え付けられていないスクレーパ5がある場合は、そのスクレーパ5は、連結具60によって、隣接するスクレーパ5(往復運動装置6が備え付けられたスクレーパ5)と連結する必要がある。
平面視で、スクレーパ5の外縁の形状を円状にする(図5の形態)のではなく、四角形等の多角形や、楕円形などの他の形状にしてもよい。また、スクレーパ5の凸部5tの形状は、濾過フィルタ12の襞2の形状に応じて、任意に変更することが好ましい。図5の態様では、襞2の形状が濾過フィルタ12の基端側から先端側へ向かって略直線状に延在するものであるため、スクレーパ5の凸部5t、5t間に形成された間隙貫通孔5haの形状が、スクレーパ5の外側から中心側へ向かって略直線状に延在するような形状にしている。すなわち、ケーキKを欠き落とす際に、襞2が間隙貫通孔5ha内に入るため、襞2と間隙貫通孔5haの形状を同じ形にすることが好ましい。このとき、襞2の幅2wが間隙貫通孔5haの幅5wよりも長いと、濾過フィルタ12の襞2の側壁とスクレーパ5の凸部5tの側壁が当たり、スクレーパ5を動かしたときに、スクレーパ5が濾過フィルタ12の濾過膜12mを擦って痛める原因となる。したがって、襞2の幅2wは間隙貫通孔5haの幅5wよりも短くすることが好ましい。
なお、襞2はスペーサー3の弾性力によって幅方向に伸縮する。そのため、襞2の濾過膜12mの側壁と、スペーサー3の凸部5tの側壁との間の距離は、襞2の伸縮度合を考慮する必要がある。
製品状態(濾過を行う前の状態)では、襞2に対して外部から何ら押圧力がかからないため、襞2は幅方向に最も伸長した状態となる(図4A、図9Aの状態)。この状態において、襞2の濾過膜12mの側壁と、隣接するスクレーパ5の凸部5tの側壁との間の距離SP(クリアランスともいう。以下同じ。)を0.1mm〜0.3mmにすることが好ましく、0.15mm〜0.2mmにすることがより好ましい。0.1mmよりも短くなると、スクレーパ5に振動が加わるなどした際に、両端縁が接触する可能性がある。また、現実的な問題として、濾過フィルタ12の複数の襞2を周方向に正確に同じピッチで形成することは難しく、複数の襞2の延在方向の長さを全て同じにすることも難しい。そのため、襞2のピッチや延在方向の長さに多少の相違が生じる可能性を考慮して、前記の離間距離SPを0.1mmよりも長くすることが好ましい。他方、前記の離間距離SPが0.3mmよりも長いと、後にケーキKを掻き取る際に、ケーキKの掻き残りが多くなる。
濾過状態では、被処理液Aの供給圧によって、襞2に対して外部から押圧力がかかる。そのため、襞2は幅方向に収縮した状態になる(図4B、図9Bの状態)。この状態において、襞2の濾過膜12mの側壁と、隣接するスクレーパ5の凸部5tの側壁との間の距離を0.2mm〜0.5mmにすることが好ましく、0.2〜0.3mmにすることがより好ましい。前記の離間距離SPが0.2mmよりも短いと、濾過フィルタ12mの外面12fの側壁とスクレーパ5の側壁が接触し、濾過膜12mが摩耗したり、損傷したりするおそれがある。他方、前記の離間距離SPが0.5mmよりも長くなると、襞2の基端部2bに形成されたケーキKを十分に掻き落とすことができず、濾過効率が落ちる。
なお、被処理液Aを濾過容器11に供給する際の流速や、濾過膜12mの外面12fの側壁に形成されたケーキKの堆積量によって、襞2の幅方向への収縮度合(襞2の幅方向の長さ)が変化する。そして、襞2の収縮度合によって、襞2の側壁と隣接する凸部5tの側壁との間の距離も変化する。そのため、「濾過状態における、襞2の濾過膜12mの側壁と、隣接するスペーサー3の凸部5tの側壁との間の好ましい距離」は、被処理液Aを供給する際の流速や、濾過膜12mの外面12fの側壁に形成されたケーキKの平均堆積量(ケーキKの平均的な厚み)を特定した上で、定める必要がある。そこで、本発明においては、被処理液Aを流速約100LMHで供給するとともに、濾過膜12mの外面12fの側壁にケーキKが平均約1mm堆積した状態を仮定し、このときの状態を濾過状態とする。
同様に、スクレーパ5と濾過膜12mが接触して濾過膜12mを痛めてしまうことを防ぐため、スクレーパ5の凸部5tの先端部5pと襞2の基端部2bが接触しないように、両者5p、2bの間に隙間を空けることが好ましく、スクレーパ5の凸部5tの基端部5tbと襞2の先端部2pが接触しないように、両者5tb、2pの間に隙間を空けることが好ましい。
スクレーパ5の凸部5tの先端部5pの端縁と襞2の基端部2bの端縁の距離は、特に限定されないが、1mm〜3mmにすることが好ましく、1.5mm〜2.5mmにすることがより好ましい。1mmよりも短くなると、スクレーパ5に振動が加わるなどした際に、両端縁が接触する可能性がある。また、前述のとおり、襞2のピッチや延在方向の長さに多少の相違が生じる可能性を考慮して、前記距離を1mmよりも長くすることが好ましい。他方、3mmよりも長くなると、襞2の基端部2bに形成されたケーキKを十分に掻き落とすことができない。
スクレーパ5の凸部5tの基端部5tbの端縁と襞2の先端部2pの端縁の距離も、特に限定されないが、1mm〜3mmにすることが好ましく、1.5mm〜2.5mmにすることがより好ましい。1mmよりも短くなると、スクレーパ5に振動が加わるなどした際に、両端縁が接触する可能性がある。また、前述のとおり、襞2のピッチや延在方向の長さに多少の相違が生じる可能性を考慮して、前記距離を1mmよりも長くすることが好ましい。他方、3mmよりも長くなると、襞2の先端部2pの外表面12fに形成されたケーキKを十分に掻き落とすことができない。
なお、襞2はスペーサー3の弾性力によって幅方向に伸縮するが、延在方向には伸縮しない。そのため、スクレーパ5の凸部5tの先端部5pの端縁と襞2の基端部2bの端縁の間の距離を定める際や、スクレーパ5の凸部5tの基端部5tbの端縁と襞2の先端部2pの端縁の間の距離を定める際に、襞2の伸縮を考慮する必要はない。
スクレーパ5の凸部5tの数は、任意に定めることができるが、スクレーパ5の凸部5tが、濾過フィルタ12のすべての襞2、2…の間に形成されたすべての隙間2n、2n…に挿入されるようにすることが好ましい。そのような構造のスクレーパ5を濾過フィルタ12の軸方向に沿って一回移動させるだけで(往復移動ではなく、片道移動でよい)、すべての襞2、2…の表面12fに形成されたケーキKを一度に掻き取ることができるという利点があるからである。例えば、濾過フィルタ12に襞2が合計30個形成されている場合、隣接する襞2、2の間に形成された空隙2nの数も合計30個となる。そのため、空隙2nに挿入するスクレーパ5の凸部5tの数も合計30個設けることが好ましい。すなわち、襞2と凸部5tの数を同じにすることが好ましい。仮に、空隙2nの数が合計30個あり、スクレーパ5の凸部5tの数が合計15個ある場合、スクレーパ5を片道移動させても、15個分の空隙2nのケーキKを掻き取ることができない。したがって、そのような場合は、スクレーパ5を濾過フィルタ12の一端側へ移動させた後、スクレーパ5を周方向に所定の角度回転させ、まだ掻き取られていないケーキKを掻き取るべく、スクレーパ5を濾過フィルタ12の他端側へ再度移動させるなどしなければならず、ケーキKの除去効率が悪いというデメリットがある。このような除去効率の悪化を防ぐため、凸部5tを計15個形成したスクレーパ5を2個用いて、それぞれのスクレーパ5が異なる空隙2nのケーキKを掻き取るようにするという方法もある。しかし、この場合は、スクレーパ5の数が増えるとともに、各スクレーパ5、5を移動させるための移動体7の数も増えるため、設備コストが高くなるというデメリットがある。
図6、図7を参照しながら、スクレーパ5の固定方法の一例を説明する。濾過容器11の内部かつ濾過フィルタ12の外側に、スクレーパ5を配置している。このスクレーパ5の基端部5bは、複数の固定治具8によって支持されている。図示形態の固定治具8は立方体であるが、立法八面体、円柱形状など、他の形態にしてもよい。各固定治具8の高さ方向中間部のうち、濾過フィルタ12と対面する部分には、スクレーパガイド9(切り欠き部)が設けられており、このスクレーパガイド9の内部にスクレーパ5の基端部5bの一部分を挿入されることで、スクレーパ7を保持する構造になっている。図示形態のスクレーパガイド9は、水平方向に延在する切り欠き部になっているが、必ずしも水平方向に限定されるものではない。例えば、図7に点線で示したように、ロッドレスシリンダーの延在方向と略直行する方向として、上方又は下方へ向かって緩やかに傾いた(図7では、水平な場合が完全に直行な場合に該当し、これを0度と仮定したときに、ここから20度以内が好ましく、10度以内がより好ましく、2度以内がさらに好ましい)切り欠き部を設け、この切り欠き部をスクレーパガイド9として用いてもよい。
スクレーパガイド9の内部にスクレーパ5を挿入してスクレーパ5を保持する際には、スクレーパ5の外壁とスクレーパガイド9の内壁との間に空間9Sを設けるようにすることが好ましい。スクレーパガイド9の側壁9pとスクレーパ5の側壁5pの間の距離9W
は、特に限定されないが、1mm〜3mmにすることが好ましく、1.5mm〜2.5mmにすることがより好ましい。前述の距離9Wとは、図6に示すように、スクレーパ5の側壁5pが曲線形である場合、スクレーパガイド9の側壁9pとスクレーパ5の側壁5pの間のうち、最も短い部分の距離を指す。また、スクレーパガイド9の上壁9qとスクレーパ5の上壁5qの間の距離9Hは、0.2mm〜0.5mmにすることが好ましく、0.4mm〜0.5mmにすることがより好ましい。以上のように所定の空間9Sを設けることで、スクレーパ5がスクレーパガイド9の内部を僅かに動くことができる(スクレーパ5がスクレーパガイド9の内部をガタガタと動くことができる)。このとき、スクレーパ5は、スクレーパ5の胴部5bの下面と、スクレーパガイド9の下壁の摩擦力によって支持されている。前述のように、濾過フィルタ12の複数の襞2を周方向に均等なピッチで、かつ均等な大きさで設けることは、現実的には非常に困難であることが多い。また、スクレーパ5を製缶で作る場合は、スクレーパ5の精度が必ずしも高くない。そのため、スクレーパ5の凸部5tが濾過フィルタ12の襞2、2間の間隙2nに入らずに、襞2に当たってしまう可能性がある。スクレーパ5がスクレーパガイド9に完全に固定されている(スクレーパ5が微動だにしないように固定されている)場合、スクレーパ5を濾過容器11の内部に備え付ける際に、凸部5tと間隙2nの位置合わせの労力が甚大であるが、このような空間9Sを設けることにより、スクレーパ5がフレキシブルに動くため、位置合わせの労力を低減させることができる。また、濾過によって襞2の表面12fにケーキKが形成されるが、このケーキKの堆積状況によっては、スクレーパ5が濾過フィルタ12の軸方向に沿って移動するときに、このケーキKが邪魔をして移動しづらくなる可能性がある。このとき、スクレーパ5の位置がフレキシブルに多少動くことができるため、完全に固定した場合と比べて、スクレーパ5を移動させやすいという利点がある。さらに、複数の往復移動装置6の複数の移動体7の位置が上下方向に異なる場合や、複数の往復移動装置6が同心円上状に配置されていない場合であっても、前記空間9Sを設けることにより、スクレーパ5の位置がフレキシブルに動くため、スクレーパ5が水平に近い状態になりやすいという利点がある。
(往復運動装置6)
固定治具8は、往復運動装置6の移動体7と連結されている。往復運動装置6の移動体7は、濾過フィルタ12の軸方向に往復運動する。往復運動装置6は、特に限定されないが、例えばシリンダやボールねじを用いることができる。特に、濾過容器11を小型化することができるため、ロッドシリンダーよりもロッドレスシリンダーが好ましい。また、ロッドレスシリンダーとしては、移動体7を気体の圧力で動かすエアー式ロッドレスシリンダーがある。しかし、エアー式ロッドレスシリンダーの移動体7は、ケーキKがあまり堆積していない部分を素早く通過する一方、ケーキKがたくさん堆積している部分をなかなか通過しないという性質がある。そのため、ケーキKが濾過フィルタ12の周方向にムラを生じさせながら堆積しているとともに、周方向に複数のエアー式ロッドレスシリンダーを設けた場合は、複数の移動体7の移動速度がバラバラとなるため、移動体7と連結しているスクレーパ5に傾きが生じ、濾過フィルタ12の襞2に突っかかって動かなくなってしまうおそれがある。そのため、このような移動体7の移動速度にバラツキが生じにくい油圧式ロッドレスシリンダーを用いることが好ましい。図1や図7には、往復運動装置6として、油圧式ロッドレスシリンダーを用いた例を示している。この油圧式ロッドレスシリンダーは、上端部と下端部にそれぞれ供給口(図示しない)が設けられており、この供給口に機械油が供給され、この機械油の油圧によって移動体7が押されることによって、軸部4に沿って移動体7が高さ方向に往復移動する形態になっている。なお、油圧式ロッドレスシリンダー6は、図示しない固定具によって、濾過容器11の内壁に固定することができる。
前記往復運動装置6は、濾過容器11の内部に複数個設けることが好ましい。2個設ける場合は、周方向に約180度離した位置に設けることが好ましい。往復運動装置6の移動体7は固定治具8と連結されており、固定治具8はスクレーパ5を保持している。そのため、往復運動装置6を周方向に約180度離した位置に設けるということは、スクレーパ5を周方向に約180度離れた位置で支えるということになる。そのため、スクレーパ5を濾過フィルタ12の軸方向へ移動させる際に、スクレーパ5が傾きにくくなるという利点がある。しかし、2つの往復運動装置6を周方向に約180度離した位置に配置する場合であっても、スクレーパ5の左右の傾きを防止することは困難である。そのため、できれば3つ以上の往復運動装置6を設け、それらの往復運動装置6を周方向に略均等に配置することが好ましい。図5Aの例では、3つの往復運動装置6を設け、それらの往復運動装置6を周方向に約120度ずつずらした位置に配置している。すなわち、図5Aにおいて、スクレーパ5の中心部と往復運動装置6の軸部4の中心部をそれぞれ結んだ3本の仮想線の間の角度αはそれぞれ120度となっている。同様に、例えば4つの往復運動装置6を設けた場合は、それらの往復運動装置6を周方向に約90度ずつずらした位置に配置することが好ましい。以上のように、複数個の往復運動装置6は、スクレーパ5の周方向に沿って略均等に配置することが好ましいが、完全に均等に配置しなくても良い。例えば、完全に均等となる状態を基準(0度と仮定)として、そこから多少ズレた位置に設けてもよい。ここで、多少ズレた位置とは、基準値(0度)から約20度以内の範囲をいう。往復運動装置6を略均等に配置するのは、スクレーパ5が移動する際に、スクレーパ5が傾くことを防止するためであるため、その目的が達成できるのであれば、多少のズレがあったとしても許容される。また、スクレーパ5が多少傾くこと(例えば、完全に水平な状態を基準(0度と仮定)として、そこから多少傾けること。ここで、多少傾けるとは、基準値(0度)から約2度以内の範囲をいう。)も当然に許容される。
(その他の手段)
濾過フィルタ12のケーキ付着面12fにおけるケーキ厚を計測する手段を設けることが好ましい(図示略)。ケーキ厚を計測する手段としては、実際のケーキ厚を計測する装置のほか、被処理液Aに含まれる粒子濃度、被処理液Aの供給速度、濾過時間を計測し、これらの各値からケーキ厚を推定する装置を用いても良い。
(濾過工程)
次に、濾過装置10による濾過工程の一例について説明する。
まず、被処理液の供給管13を介して、被処理液Aを濾過容器11内に加圧供給する。被処理液Aを供給する速度は遅い方が好ましく、例えば10LMH〜100LMH程度にすることができる。被処理液Aの供給速度を遅くすることによって、被処理液Aの濾過速度が遅くなるため、濾過フィルタ12の表面に多少ケーキKが存在していたとしても、濾過を行うことができる。したがって、濾過フィルタ12の表面12fに形成されたケーキKを掻き取った後、濾過フィルタ12の表面12fにケーキKが多少残っていたとしても、引き続き濾過することができる。その結果、濾過フィルタ12の表面12fにスクレーパ5の凸部5tを接触しなくても良くなるため、濾過フィルタ12を長寿命化することができる。本発明者が試算したところでは、濾過フィルタ12の表面12fにスクレーパ5の凸部5tを接触させて掻き取る場合、濾過フィルタ12を半年程度で交換しなければならないが、本発明のように濾過フィルタ12の表面12fとスクレーパ5の凸部5tが直接接触しない場合は、濾過フィルタ12の交換頻度が2年〜4年に1回とすることができる。
濾過容器11内に供給された被処理液Aは、濾過フィルタ12によって濾過される。このとき、被処理液供給バルブ(図示しない)の開度を調節すること等によって、被処理液Aの供給量は調節することができる。そして、濾過容器11内に供給された被処理液Aのうち、液分は濾過膜12mを通って襞2の内部空間2Sに排出され、濾液Bとして、濾液通路12rおよび濾液排出管14を順に通り、濾過容器11外へ排出される。このとき、濾液Bの排出量は、濾液排出バルブ(図示しない)の開度を調節することなどによって調整する。また、被処理液A中の懸濁粒子は濾過膜12mの表面12fに付着し、積層していく。積層した懸濁粒子は、濾過膜12mの表面12fに形成されたケーキKとなる。
ケーキKの厚さを計測する手段(図示しない)によって、濾過膜12mの表面12f上に堆積(積層)した懸濁粒子の厚さ(ケーキ厚)を計測する。このケーキ厚が所定レベルまで成長する(例えば、ケーキ厚が約1mm〜2mmになる)と、濾過効率が悪くなる。そのため、この段階でスクレーパ5を濾過フィルタ12の軸方向へ移動させ、濾過フィルタ12の外表面12fに形成されたケーキKを掻き取る。具体的には、スクレーパ5の凸部5tを濾過フィルタ12の襞2、2の間の隙間2nに挿入した状態で、スクレーパ5を濾過フィルタ12の軸方向へ移動させる。図1の形態では、往復運動装置6の移動体7が軸部4の上を上下動することにより、スクレーパ5も上下動させることができる。このとき、複数の往復運動装置6の移動体7は、同じ速度で同じ距離移動させることが好ましく、その結果、スクレーパ5が略水平となった状態を常に維持させつつ、移動させることが好ましい。移動体7の移動速度は4mm/sec〜50mm/secとし、遅くすることが好ましい。移動体7の移動速度を遅くすることで、スクレーパ5の略水平状態が保ちやすいという利点がある。また、前述のケーキKの掻き取りは、濾過容器11と濾過フィルタ12の間の間隙50に被処理液Aが溜まっている状態で行われる。すなわち、ケーキKの掻き取りが水中で行われる。そのため、スクレーパ5の移動速度が速いと、間隙50内を流れる被処理液Aの流れが乱れやすいが、クレーパ5の移動速度を遅くすることにより、このような乱流の発生を抑えることができる。
なお、前述のとおり、濾過フィルタ12が痛むことを防止するため、ケーキKを掻き取る際に、スクレーパ5の凸部5tが濾過フィルタ12mの表面12fに当たらないようにすることが好ましい。例えば、往復運動装置6の移動体7を片道移動または往復移動させ、濾過フィルタ12の表面12fに形成されたケーキKの厚みが0.3mm以下になった時点で、スクレーパ7の移動を停止せる。また、例えば、スクレーパ7を5分〜10分の間隔で移動させることができる。この時、スクレーパ7を1回だけ片道移動させても良いが、1回程度往復させることが好ましい。
また、ケーキKの掻き取りを行っている間も、被処理液Aの濾過を継続させることが好ましい。被処理液Aの濾過を停止しないことで、濾過効率を高めることができる。
掻き取られたケーキKは、濾過容器11の下部(図1の形態では濃縮液排出シュート11S)に堆積する。そのため、このケーキKと被処理液Aが混合した液(濃縮液D)を濃縮液排出管19から定期的に排出する。この濃縮液Dの排出は、例えばバルブ機構を介して連続的に排出することができる。このときのバルブ機構としては、ロータリーバルブ、チューブポンプ、二段ダンパ、スクリューポンプなどを例示することができる。
なお、濾過容器11に被処理液Aを供給することにより、濾過容器11の下部に内圧がかかる。前述の濃縮液Dの排出はこの内圧を用いて行ってもよい。
(縦型脱水乾燥装置と横型脱水乾燥装置)
図1では、濾過フィルタ12を縦に配置した縦型濾過装置10について説明した。本発明はこのような形態に限られるものでなく、濾過フィルタ12を横に配置した横型濾過装置10にしてもよい。
(複数の濾過フィルタ)
図1では、濾過フィルタ12を一つ備えた濾過装置10について説明してきたが、これに限られるものではなく、複数の濾過フィルタ12を備えた濾過装置10にしてもよい。
(効果)
本発明に係る濾過装置10によれば、以下に掲げる効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)高精度のプリーツフィルタ(例えば、親水性ポリテトラフルオロエチレンやポリエステルスパンボンド)を用いることにより、濾過装置10は濃縮効率を高めることができる。例えば、親水性ポリテトラフルオロエチレンのプリーツフィルタを搭載した濾過装置10に約2〜3VOL%の被処理液Aを供給した場合、約60〜70VOL%の濃縮液Dを得ることができる。以上のように、含水率の低い濃縮液Dを得ることにより、後段の脱水工程や乾燥工程の負荷を減らすことができる。また、前記プリーツフィルタと空気圧を用いて脱水することも可能であり、その場合は45VOL%程度のより低い含水率の濃縮液Dを得ることができる。
(2)プリーツフィルタを用いているため、プリーツのない平坦なフィルタを用いた場合よりも、大量の被処理液Aを濾過処理することができる。
(3)従来の濾過装置は、ケーキKを除去する際に、例えば、濾過作業を中止し、濾過容器11と濾過フィルタ12の間の間隙50の被処理液Aを濾過容器11外に排出し、ケーキKを乾燥させた後、洗浄水や洗浄空気を噴射してケーキKを剥離していた。本発明においては、濾過処理中にケーキKの掻き取りを行うことにより、濾過処理を停止しなくてもよい。そのため、濾液Bや濃縮液Dを連続して生産することができる。すなわち、濾過作業を停止するロスがなくなる。
(4)従来、河川工事、ダム工事、基礎工事、浚渫工事などの大量の高濃度濁水が発生する現場では、無機凝集剤や高分子凝集剤を大量に添加して脱水処理を行い、その脱水ケーキを産業廃棄物として埋め立てる等するため、高額な費用を要していた。
そこで、本発明に係る濾過装置10を用いて、土木作業現場で生じた被処理液Aを濾過した後、濃縮液D(濁水濃縮スラリー)にセメントを混ぜて一般土とすることにより、その一般土を運搬することなく、現場で処分する(例えば散布する)ことが可能となる。その結果、大幅なコストダウンを図ることができる。
(5)従来技術で述べたように、金属メッシュフィルタを搭載した濾過装置は、凝集剤の使用が不可欠である。本発明に係る濾過装置10では、必ずしも凝集剤を使用する必要はない。そのため、ランニングコストの大幅な低減を図ることができる。
(6)プリーツフィルタを用いることにより、平坦なフィルタを用いた場合よりも、濾過装置10の濾過容器11を小型化することができる。濾過装置10を小型化することにより、フットプリントを小さくすることも可能となる。本発明者の試算によれば、本発明に係る濾過装置10は、平膜フィルタを搭載した従来品の1/5程度の大きさにすることが可能である。
(7)本発明の濾過対象物は、気体でなく液体である。そのため、濾過フィルタ11の表面に多少粒子が付着しても、引き続き濾過を行うことが可能である。特に、被処理液Aの供給速度を遅くする(例えば、10LMH〜100LMH)と、ケーキKの厚さが1mm程度になっても濾過が可能である。その結果、ケーキKを掻き取る際に、スクレーパ5と濾過フィルタ12を直接接触させる必要がなくなり、濾過フィルタ12が痛みにくい。特に、スクレーパ5の移動速度を遅くすると、濾過フィルタ12への負荷をさらに減らすことができる。その結果、濾過フィルタ12を長寿命化することができ、フィルタ交換のメンテナンスも容易となる。
(8)隣接襞間空間2nを開放状態にすることで、濾過膜12mの外面に付着した付着物を除去することができ、濾過膜12mの衛生状態を保つことができる。その結果、プリーツフィルタ12の寿命を延ばすことができる。
(9)襞2の内側の空間を閉鎖状態にすることで、処理物Bがプリーツフィルタ12の外部へ漏れ出ることを防ぐことができる。その結果、濃縮物Dの濃度が低くなることを防ぐことができる。また、処理物Bを漏れなく回収することができるため、全体として濾過効率が向上する。
2…襞、2S…(襞の)内部空間、3…スペーサー、4…軸部、5…スクレーパ、5b…胴部、5h…貫通孔(全貫通孔)、5ha…間隙貫通孔、5hb…中央貫通孔、5s…(胴部と凸部の)境界線、5t…凸部、6…往復運動装置(例:ロッドレスシリンダー)、7…移動体、7s…移動体の移動方向、8…固定治具、9…切り欠き部(スクレーパガイド)、10…濾過装置、11…濾過容器、11S…濃縮液排出シュート、11U…フィルタ収納部、12…濾過フィルタ、12b…濾過膜の裏面(濾過フィルタの内面)、12f…濾過膜の表面(濾過フィルタの外面)、12m…濾過膜、12r…濾液通路、12s…筒状体、13…被処理液供給管、14…濾液排出管、16C…閉鎖空間、16N…開放空間(非閉鎖空間)、19…濃縮液排出管、19p…濃縮液排出口、50…(濾過容器と濾過フィルタの間の)間隙、60…連結具、A…被処理液、B…濾液、D…濃縮液、K…ケーキ、Kb…ケーキの裏面、Kf…ケーキの表面

Claims (4)

  1. 被処理物の供給口と処理物の排出口を有する濾過容器と、
    前記濾過容器の内部に設けられ、外面が濾過面であり内部が処理物の通路である筒状の濾過フィルタと、を有する濾過装置であって、
    前記濾過フィルタは、平坦な濾材を蛇腹状に折り曲げて複数の襞を形成しつつ、筒状に形成したプリーツフィルタであって、
    前記プリーツフィルタの軸方向両側のうちの少なくとも片側において、
    前記襞の内側の空間が封鎖されており、前記襞の外側の空間であって、隣接する前記襞の間の空間が封鎖されておらず、
    前記濾過フィルタの前記襞の内部には、
    複数の貫通孔が設けられた平坦な板材を蛇腹状に折り曲げたスペーサーが設けられており、
    前記スペーサーは、前記襞の基端側から先端側へ向かって、ジグザグに折り曲がりながら延在しており、
    前記襞の内側の空間のうち、封鎖された部分に前記スペーサーが存在せず、封鎖されていない部分に前記スペーサーが存在することを特徴とする濾過装置。
  2. 前記襞の内側の空間は、その空間に埋め込まれた樹脂によって封鎖されている請求項1記載の濾過装置。
  3. 前記濾過装置は、複数の凸部を備えたスクレーパを有し、
    前記襞の外側の空間であって、隣接する前記襞の間に、前記スクレーパの前記凸部を挿入した状態で、前記スクレーパを前記濾過フィルタの軸方向に移動させることにより、前記濾過フィルタの外面に付着した付着物を前記スクレーパが掻き取る構成である請求項1または2に記載の濾過装置。
  4. 前記スクレーパは、その中央部に、厚み方向に貫通する貫通孔を設けた板材であり、
    前記スクレーパの前記貫通孔の周縁部には、前記貫通孔の中心側へ向かって突出する複数の前記凸部が全周にわたって形成されている請求項に記載の濾過装置。
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