JP6683738B2 - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents

鋼管用ねじ継手 Download PDF

Info

Publication number
JP6683738B2
JP6683738B2 JP2017563398A JP2017563398A JP6683738B2 JP 6683738 B2 JP6683738 B2 JP 6683738B2 JP 2017563398 A JP2017563398 A JP 2017563398A JP 2017563398 A JP2017563398 A JP 2017563398A JP 6683738 B2 JP6683738 B2 JP 6683738B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thread
male
threaded
female
screw portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017563398A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2017130234A1 (ja
Inventor
景太 井瀬
景太 井瀬
正明 杉野
正明 杉野
文雄 太田
文雄 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Vallourec Oil and Gas France SAS
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Vallourec Oil and Gas France SAS
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Vallourec Oil and Gas France SAS, Nippon Steel Corp filed Critical Vallourec Oil and Gas France SAS
Publication of JPWO2017130234A1 publication Critical patent/JPWO2017130234A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6683738B2 publication Critical patent/JP6683738B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E21EARTH OR ROCK DRILLING; MINING
    • E21BEARTH OR ROCK DRILLING; OBTAINING OIL, GAS, WATER, SOLUBLE OR MELTABLE MATERIALS OR A SLURRY OF MINERALS FROM WELLS
    • E21B17/00Drilling rods or pipes; Flexible drill strings; Kellies; Drill collars; Sucker rods; Cables; Casings; Tubings
    • E21B17/02Couplings; joints
    • E21B17/04Couplings; joints between rod or the like and bit or between rod and rod or the like
    • E21B17/042Threaded
    • E21B17/0423Threaded with plural threaded sections, e.g. with two-step threads
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L15/00Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints
    • F16L15/04Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with additional sealings
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E21EARTH OR ROCK DRILLING; MINING
    • E21BEARTH OR ROCK DRILLING; OBTAINING OIL, GAS, WATER, SOLUBLE OR MELTABLE MATERIALS OR A SLURRY OF MINERALS FROM WELLS
    • E21B17/00Drilling rods or pipes; Flexible drill strings; Kellies; Drill collars; Sucker rods; Cables; Casings; Tubings
    • E21B17/02Couplings; joints
    • E21B17/08Casing joints
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L15/00Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints
    • F16L15/001Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads
    • F16L15/002Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads with more then one threaded section
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L15/00Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints
    • F16L15/001Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads
    • F16L15/004Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads with axial sealings having at least one plastically deformable sealing surface
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L15/00Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints
    • F16L15/06Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints characterised by the shape of the screw-thread

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Geology (AREA)
  • Mining & Mineral Resources (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Fluid Mechanics (AREA)
  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Non-Disconnectible Joints And Screw-Threaded Joints (AREA)

Description

本発明は、鋼管の連結に用いられるねじ継手に関する。
油井、天然ガス井等(以下、総称して「油井」ともいう)においては、地下資源を採掘するためにケーシング、チュービング等の油井管(OCTG:Oil Country Tubular Goods)と呼ばれる鋼管が使用される。鋼管は順次連結され、その連結にねじ継手が用いられる。
鋼管用ねじ継手の形式は、カップリング型とインテグラル型に大別される。カップリング型の場合、連結対象の一対の管材のうち、一方の管材が鋼管であり、他方の管材がカップリングである。この場合、鋼管の両端部の外周に雄ねじ部が形成され、カップリングの両端部の内周に雌ねじ部が形成される。そして、鋼管とカップリングが連結される。インテグラル型の場合、連結対象の一対の管材がともに鋼管であり、別個のカップリングを用いない。この場合、鋼管の一端部の外周に雄ねじ部が形成され、他端部の内周に雌ねじ部が形成される。そして、一方の鋼管と他方の鋼管が連結される。
一般に、雄ねじ部が形成された管端部の継手部分は、雌ねじ部に挿入される要素を含むことから、ピンと称される。一方、雌ねじ部が形成された管端部の継手部分は、雄ねじ部を受け入れる要素を含むことから、ボックスと称される。これらのピンとボックスは、管材の端部であるため、いずれも管状である。
近年、油井の高深度化及び超深海化が進展し、これに伴い、油井環境は高温・高圧で高腐食という過酷な環境になっている。このような過酷な環境に対応するため、油井管として厚肉の鋼管が使用されることが多くなっている。これらの鋼管を接続するねじ継手には、内部からの圧力(以下、「内圧」ともいう)及び外部からの圧力(以下、「外圧」ともいう)に対し、優れた密封性能が要求される。
厚肉鋼管のねじ継手について密封性能の向上を図る従来技術としては、下記のものがある。国際公開第WO01/029476号(特許文献1)は、面接触によるシール部を2箇所備えたねじ継手を開示する。この特許文献1の技術では、ピンは、ピンの先端側から管本体側に向けて順に、ショルダー面、第1シール面、第1雄ねじ部、第2シール面、及び第2雄ねじ部を備える。ボックスは、ピンの上記各部のそれぞれに対応して、ショルダー面、第1シール面、第1雌ねじ部、第2シール面、及び第2雌ねじ部を備える。第1雄ねじ部と第1雌ねじ部とで構成される第1ねじ部は、テーパねじの台形ねじである。第2雄ねじ部と第2雌ねじ部とで構成される第2ねじ部も同様である。
第1ねじ部及び第2ねじ部は、それぞれ、締結が完了した状態で嵌め合い密着し、締まりばめの状態となる。第1シール面同士及び第2シール面同士は、それぞれ、ピンのねじ込みに伴って互いに接触し、締結が完了した状態では嵌め合い密着して締まりばめの状態となる。ショルダー面同士は、ピンのねじ込みに伴って互いに接触して押し付けられ、ピンのねじ込みを制限するストッパの役割を担う。ショルダー面は、ストッパの役割とともに、締結が完了した状態では、第1ねじ部及び第2ねじ部それぞれのピンの荷重フランク面に、いわゆるねじの締め付け軸力を付与する役割を担う。
特許文献1に開示された第1ねじ部及び第2ねじ部の場合、締結が完了した状態において、ピン及びボックスの荷重フランク面同士が接触するとともに、ピンのねじ谷底面とボックスのねじ山頂面が接触し、更にピンのねじ山頂面とボックスのねじ谷底面も接触する。
このような構成の特許文献1のねじ継手では、第1ねじ部の嵌め合い密着及び第2ねじ部の嵌め合い密着により、強固なねじ結合が確保される。これに加え、第1シール面同士の嵌め合い密着により、面接触による内部寄りのシール部が形成され、主に内圧に対しての密封性能が確保される。また、第2シール面同士の嵌め合い密着により、面接触による外部寄りのシール部が形成され、主に外圧に対しての密封性能が確保される。
国際公開第WO01/029476号
近年の過酷な環境で用いられるねじ継手、特に厚肉鋼管のねじ継手には、内圧及び外圧に対し、更なる密封性能の向上が要求される。
本発明の目的は、下記の特性を有する鋼管用ねじ継手を提供することである:
内圧に対する密封性能を維持しつつ、外圧に対する密封性能を向上させること。
本発明の一実施形態による鋼管用ねじ継手は、管状のピンと、管状のボックスとから構成され、前記ピンが前記ボックスにねじ込まれて前記ピンと前記ボックスが締結されるねじ継手である。
前記ピンは、先端側から順に、ショルダー面、第1シール面、テーパねじの第1雄ねじ部、第2シール面、及びテーパねじの第2雄ねじ部を備える。
前記ボックスは、管本体側から先端側に向けて順に、ショルダー面、第1シール面、テーパねじの第1雌ねじ部、第2シール面、及びテーパねじの第2雌ねじ部を備える。
前記第1雄ねじ部は、ねじ山頂面、ねじ谷底面、挿入フランク面、及び荷重フランク面を有する。
前記第1雌ねじ部は、前記第1雄ねじ部の前記ねじ山頂面に対向するねじ谷底面、前記第1雄ねじ部の前記ねじ谷底面に対向するねじ山頂面、前記第1雄ねじ部の前記挿入フランク面に対向する挿入フランク面、及び前記第1雄ねじ部の前記荷重フランク面に対向する荷重フランク面を有する。
前記第1雄ねじ部及び前記第1雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面のフランク角が0°未満である。
前記第1雄ねじ部は、前記第2シール面に近い側から順に、不完全ねじ部領域、及び完全ねじ部領域に区分される。
前記不完全ねじ部領域は、管軸に沿う長さが前記第1雄ねじ部のねじピッチの3倍以上であって、ねじ高さが前記完全ねじ部領域のねじ高さよりも低くなっている。
締結が完了した状態において、
前記完全ねじ部領域では、前記第1雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ谷底面が接触するとともに、前記第1雄ねじ部及び前記第1雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面同士が接触し、前記第1雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ山頂面との間に隙間が形成されるとともに、前記第1雄ねじ部及び前記第1雌ねじ部それぞれの前記挿入フランク面同士の間に隙間が形成され、
前記不完全ねじ部領域では、前記第1雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ谷底面との間に隙間が形成される。
上記のねじ継手において、前記不完全ねじ部領域の管軸に沿う長さが前記第1雄ねじ部のねじピッチの8倍以下である構成とすることが好ましい。
上記のねじ継手において、前記ピンは、前記第1雄ねじ部と前記第2シール面との間に、締結が完了した状態で前記ボックスと接触しない環状部を備える構成とすることが好ましい。このねじ継手の場合、前記環状部の管軸に沿う長さが前記第1雄ねじ部のねじピッチの3倍以下であることが好ましい。
上記のねじ継手において、前記第1雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ山頂面との隙間が0.05mm以上である構成とすることが好ましい。
上記のねじ継手において、下記の構成を採用することが好ましい。
前記第2雄ねじ部は、ねじ山頂面、ねじ谷底面、挿入フランク面、及び荷重フランク面を有する。
前記第2雌ねじ部は、前記第2雄ねじ部の前記ねじ山頂面に対向するねじ谷底面、前記第2雄ねじ部の前記ねじ谷底面に対向するねじ山頂面、前記第2雄ねじ部の前記挿入フランク面に対向する挿入フランク面、及び前記第2雄ねじ部の前記荷重フランク面に対向する荷重フランク面を有する。
前記第2雄ねじ部及び前記第2雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面のフランク角が0°未満である。
締結が完了した状態において、前記第2雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記第2雌ねじ部の前記ねじ山頂面が接触するとともに、前記第2雄ねじ部及び前記第2雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面同士が接触し、前記第2雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記第2雌ねじ部の前記ねじ谷底面との間に隙間が形成されるとともに、前記第2雄ねじ部及び前記第2雌ねじ部それぞれの前記挿入フランク面同士の間に隙間が形成される。
本発明の鋼管用ねじ継手は、下記の顕著な効果を有する:
内圧に対する密封性能を維持しつつ、外圧に対する密封性能を向上できること。
図1は、第1実施形態による鋼管用ねじ継手を示す縦断面図である。 図2は、図1に示す鋼管用ねじ継手における第2シール部付近を拡大した縦断面図である。 図3は、第2実施形態による鋼管用ねじ継手を示す縦断面図である。 図4は、図3に示す鋼管用ねじ継手における第2シール部付近を拡大した縦断面図である。
本発明者らは、上記目的を達成するため、面接触によるシール部を2箇所備えるねじ継手に着目し、個々のシール部による密封性能を最大限に発揮できる構成について鋭意検討を重ねた。そのねじ継手の主な構成は、以下のとおりである。ピンの先端にショルダー面が設けられる。ねじ部は、内部寄りの第1ねじ部(以下、「内ねじ部」ともいう)と、外部寄りの第2ねじ部(以下、「外ねじ部」ともいう)との2つに分割され、第1ねじ部及び第2ねじ部のいずれもテーパねじの台形ねじである。ショルダー面と第1ねじ部との間に、第1シール面同士の面接触による第1シール部(以下、「内シール部」ともいう)が設けられる。第1ねじ部と第2ねじ部との間に、第2シール面同士の面接触による第2シール部(以下、「中間シール部」ともいう)が設けられる。内シール部は、主に内圧に対しての密封性能に寄与する。中間シール部は、主に外圧に対しての密封性能に寄与する。検討の結果、先ず下記の知見を得た。
外圧に対する密封性能を向上させる手法として、以下の手法が考えられる。第1の手法は、中間シール部での嵌め合い代(干渉量)を大きくすることである。中間シール部においてシール面同士の接触面圧が高まるからである。
第1の手法では、ピンをボックスに挿入する際に、ピンの第1雄ねじ部とボックスの第2シール面との接触、及びピンの第2シール面とボックスの第2雌ねじ部との接触を避ける必要がある。このため、ピンの第2シール面の最大径がボックスの第2雌ねじ部の最小径よりも小さく、ボックスの第2シール面の最小径がピンの第1雄ねじ部の最大径よりも大きくなるように、寸法を設計しなければならない。中間シール部での干渉量を大きくするためには、第1ねじ部及び第2ねじ部のねじテーパを急勾配にする方法がある。その他に、ピンの第1雄ねじ部及びボックスの第2雌ねじ部の領域のうちの中間シール部に近い領域に、ねじ高さが完全ねじ部よりも低い不完全ねじ部を設置する方法がある。
ただし、ねじテーパをあまりにも急勾配にした場合、ピン先端に設置したショルダー面の面積が減少し、耐圧縮性能が低下する。しかもその場合は、ねじ部のかみ合い長さが短くなり、ジャンプアウト(ピンがボックスから不用意に引き抜ける事態)が生じる危険性が増す。これらの問題から、ねじテーパを急勾配にすることには限界がある。また、第1の手法において、あまりにも干渉量を大きくしすぎると、ピンとボックスを締結する際に焼付きが発生するおそれがある。このため、干渉量を大きくすることには限界がある。
第2の手法は、ピンの中間シール部の領域を厚肉化することである。その理由は以下のとおりである。ねじ継手への外圧の負荷に伴いピンが縮径変形し、中間シール部のシール面同士の接触が緩まる。この点、ピンの厚肉化により縮径抵抗が高まる。ただし、ピンの内径はAPI(American Petroleum Institute(アメリカ石油協会))の規格で規定され、ピンの外径の拡大は油井の構造上の制約から有限である。このため、ピンの中間シール部の領域を厚肉化することには限界がある。
したがって、外圧に対して密封性能を向上させる手法として、上記の第1及び第2の手法だけでは限界がある。
そこで、本発明者らは、ねじ継手に高い外圧が負荷されたとき、ボックスの中間シール部の領域を縮径させることが可能になれば、中間シール部のシール面同士の接触面圧を増幅できるのではないかと考えた。鋭意検討の結果、以下の構成が有効であることを見出した。
中間シール部(第2シール部)を間に挟む内ねじ部(第1ねじ部)及び外ねじ部(第2ねじ部)のうちの内ねじ部において、互いに噛み合うピンの雄ねじ部とボックスの雌ねじ部のうち、ピンの雄ねじ部のねじ高さを中間シール部に近い領域で低くする。このような構成にすれば、ねじ高さが低くなった不完全ねじ部領域でねじの嵌め合い密着が緩和する。これにより、ねじ継手に高い外圧が負荷されたとき、ボックスは、内ねじ部の不完全ねじ部領域及びこの不完全ねじ部領域に連なる中間シール部の領域が縮径するようになる。その結果、中間シール部においてシール面同士の接触面圧が増幅し、外圧に対する密封性能が向上する。
ただし、以下の点に留意が必要である。先ず、内ねじ部の荷重フランク面のフランク角が0°よりも大きい正角であると、外圧の負荷に伴ってボックスが縮径しようとしても、ピン(雄ねじ部)の荷重フランク面から反力を受けるため、ボックスの縮径が阻害される。したがって、ボックスの縮径を許容できるように、内ねじ部の荷重フランク面のフランク角は0°未満の負角とする。
更に、上記特許文献1のねじ継手のように、締結が完了した状態でピンのねじ谷底面とボックスのねじ山頂面が接触するような内ねじ部を採用した場合、中間シール部に近い領域でピン(雄ねじ部)のねじ高さを低くしても、その不完全ねじ部領域でピンのねじ谷底面とボックスのねじ山頂面との接触状態は維持される。このため、外圧の負荷に伴うボックスの縮径が阻害される。また、上記特許文献1のねじ継手において、ボックスの第1雌ねじ部のねじ高さを中間シール部に近い領域で低くすると、荷重フランク面同士の接触面積が減少する。これにより、ねじ継手に引張荷重及び圧縮荷重が負荷されたとき、内ねじ部に作用する応力が相対的に高くなり、内ねじ部が塑性変形するおそれがある。その上、ジャンプアウトが生じるおそれがある。したがって、ボックスの縮径を許容できるように、ピンのねじ山頂面とボックスのねじ谷底面が接触するような内ねじ部を採用する。
本発明の鋼管用ねじ継手は、以上の知見に基づいて完成されたものである。以下に、本発明の鋼管用ねじ継手の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による鋼管用ねじ継手を示す縦断面図である。図2は、その鋼管用ねじ継手における第2シール部付近を拡大した縦断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態のねじ継手は、カップリング型のねじ継手であり、ピン10とボックス20とから構成される。
ピン10は、ピン10の先端側から管本体側に向けて順に、ショルダー面11、第1シール面12、第1雄ねじ部13、第2シール面14、及び第2雄ねじ部15を備える。第1シール面12及び第2シール面14はいずれもテーパ状である。厳密には、第1シール面12及び第2シール面14は、それぞれ、ピン10の先端側ほど直径が縮小した円錐台の周面に相当する面から成る形状、又はその円錐台の周面と、円弧等の曲線を管軸CL周りに回転して得られる回転体の周面に相当する面とを組み合わせた形状をしている。
ショルダー面11は、管軸CLにほぼ垂直な環状面である。厳密には、ショルダー面11は、管軸CLに対し垂直な面からピン10のねじ込み進行方向に傾倒した環状面であり、その外周側ほどピン10の先端側に向けて傾倒している。
一方、ボックス20は、ボックス20の管本体側から先端側に向けて順に、ショルダー面21、第1シール面22、第1雌ねじ部23、第2シール面24、及び第2雌ねじ部25を備える。これらのボックス20のショルダー面21、第1シール面22、第1雌ねじ部23、第2シール面24、及び第2雌ねじ部25は、それぞれ、ピン10のショルダー面11、第1シール面12、第1雄ねじ部13、第2シール面14、及び第2雄ねじ部15に対応して設けられている。
ピン10の第1雄ねじ部13とボックス20の第1雌ねじ部23は、互いに噛み合うテーパねじの台形ねじであり、内部寄りの第1ねじ部(内ねじ部)を構成する。ピン10の第2雄ねじ部15とボックス20の第2雌ねじ部25も、互いに噛み合うテーパねじの台形ねじであり、外部寄りの第2ねじ部(外ねじ部)を構成する。第1実施形態のねじ継手の場合、第1ねじ部と第2ねじ部との間に単に第2シール面14、24が追加されていることから、第1ねじ部のテーパ面と第2ねじ部のテーパ面は一致する。
図2に示すように、内ねじ部に関し、ピン10の第1雄ねじ部13は、ねじ山頂面13a、ねじ谷底面13b、ねじ込みで先行する挿入フランク面13c、及びその挿入フランク面13cとは反対側の荷重フランク面13dを有する。一方、ボックス20の第1雌ねじ部23は、第1雄ねじ部13のねじ谷底面13bに対向するねじ山頂面23a、第1雄ねじ部13のねじ山頂面13aに対向するねじ谷底面23b、第1雄ねじ部13の挿入フランク面13cに対向する挿入フランク面23c、及び第1雄ねじ部13の荷重フランク面13dに対向する荷重フランク面23dを備える。
外ねじ部に関し、ピン10の第2雄ねじ部15は、ねじ山頂面15a、ねじ谷底面15b、ねじ込みで先行する挿入フランク面15c、及びその挿入フランク面15cとは反対側の荷重フランク面15dを有する。一方、ボックス20の第2雌ねじ部25は、第2雄ねじ部15のねじ谷底面15bに対向するねじ山頂面25a、第2雄ねじ部15のねじ山頂面15aに対向するねじ谷底面25b、第2雄ねじ部15の挿入フランク面15cに対向する挿入フランク面25c、及び第2雄ねじ部15の荷重フランク面15dに対向する荷重フランク面25dを備える。
本実施形態における第1ねじ部のテーパねじは、バットレス型のテーパねじであり、荷重フランク面13d、23dのフランク角が0°未満の負角である。ここでいうフランク角とは、管軸CLに直角な面とフランク面とのなす角度のことであり、ここでは時計回りを正とする(図2参照)。第2ねじ部のテーパねじも同様である。
ここで、内ねじ部に関し、ピン10の第1雄ねじ部13は、第2シール面14に近い側から順に、不完全ねじ部領域31b及び完全ねじ部領域31aに区分されている。この不完全ねじ部領域31bの管軸CLに沿う長さは、第1雄ねじ部13のねじピッチの3倍以上である。更に、第1雄ねじ部13において、不完全ねじ部領域31bのねじ高さは、完全ねじ部領域31aのねじ高さよりも低くなっている。第1雄ねじ部13における不完全ねじ部領域31bのねじ谷底面13bは、完全ねじ部領域31aのねじ谷底面13bと同一のテーパ面上にある。第1雄ねじ部13における不完全ねじ部領域31bのねじ山頂面13aは、完全ねじ部領域31aと不完全ねじ部領域31bとの境界から管軸CLに平行な円筒面上にある。
外ねじ部に関し、ボックス20の第2雌ねじ部25は、第2シール面24に近い側から順に、不完全ねじ部領域32b及び完全ねじ部領域32aに区分されている。この不完全ねじ部領域32bの管軸CLに沿う長さは、特に問わないが、実用的には、第2雌ねじ部25のねじピッチの3〜8倍程度である。更に、不完全ねじ部領域32bにおいて、第2雌ねじ部25のねじ高さは、完全ねじ部領域32aのねじ高さよりも低くなっている。第2雌ねじ部25における不完全ねじ部領域32bのねじ谷底面25bは、完全ねじ部領域32aのねじ谷底面25bと同一のテーパ面上にある。
第1雄ねじ部13のねじ谷底面13bは、第2雄ねじ部15のねじ谷底面15bのテーパの延長面上にある。
第1雄ねじ部13と第1雌ねじ部23(内ねじ部)及び第2雄ねじ部15と第2雌ねじ部25(外ねじ部)は、それぞれ互いのねじ込みを可能にし、締結が完了した状態では互いに嵌め合い密着し、締まりばめの状態となる。第1シール面12、22同士及び第2シール面14、24同士は、それぞれ、ピン10のねじ込みに伴って互いに接触し、締結が完了した状態では嵌め合い密着して締まりばめの状態となり、面接触による第1シール部(内シール部)及び第2シール部(中間シール部)を形成する。ショルダー面11、21同士は、ピン10のねじ込みに伴って互いに接触して押し付けられ、締結が完了した状態では、ピン10の荷重フランク面13d、15dに締め付け軸力を付与する。
締結が完了した状態の内ねじ部に関し、完全ねじ部領域31a及び不完全ねじ部領域31bのいずれでも、下記の状態になる。第1雄ねじ部13の荷重フランク面13dと第1雌ねじ部23の荷重フランク面23dが互いに接触している。第1雄ねじ部13のねじ谷底面13bと第1雌ねじ部23のねじ山頂面23aとの間に隙間が形成されている。第1雄ねじ部13の挿入フランク面13cと第1雌ねじ部23の挿入フランク面23cの間に隙間が形成されている。ただし、完全ねじ部領域31aでは、第1雄ねじ部13のねじ山頂面13aと第1雌ねじ部23のねじ谷底面23bが互いに接触した状態になる。これに対し、第2シール面14、24(中間シール部)に近い不完全ねじ部領域31bでは、第1雄ねじ部13のねじ山頂面13aと第1雌ねじ部23のねじ谷底面23bとの間に隙間が形成され、第1ねじ部の嵌め合い密着が緩和されている。
締結が完了した状態の外ねじ部に関し、完全ねじ部領域32a及び不完全ねじ部領域32bのいずれでも、下記の状態になる。第2雄ねじ部15の荷重フランク面15dと第2雌ねじ部25の荷重フランク面25dが互いに接触している。第2雄ねじ部15のねじ山頂面15aと第2雌ねじ部25のねじ谷底面25bとの間に隙間が形成されている。第2雄ねじ部15の挿入フランク面15cと第2雌ねじ部25の挿入フランク面25cの間に隙間が形成されている。ただし、完全ねじ部領域32aでは、第2雄ねじ部15のねじ谷底面15bと第2雌ねじ部25のねじ山頂面25aが互いに接触した状態になる。これに対し、第2シール面14、24(中間シール部)に近い不完全ねじ部領域32bでは、第2雄ねじ部15のねじ谷底面15bと第2雌ねじ部25のねじ山頂面25aとの間に隙間が形成され、第2ねじ部の嵌め合い密着が緩和されている。
もっとも、締結が完了した状態の外ねじ部に関しては、上記の態様とは逆に、完全ねじ部領域32a及び不完全ねじ部領域32bのいずれでも、第2雄ねじ部15のねじ山頂面15aと第2雌ねじ部25のねじ谷底面25bが接触する態様であっても構わない。この場合、第2雄ねじ部15のねじ谷底面15bと第2雌ねじ部25のねじ山頂面25aは、完全ねじ部領域32a及び不完全ねじ部領域32bのいずれでも、互いに接触することなく、両者の間に隙間が形成される。
このような構成の第1実施形態のねじ継手では、第1ねじ部(内ねじ部)の荷重フランク面13d、23dのフランク角が0°未満である。その第1ねじ部の不完全ねじ部領域31bにおいて、第1ねじ部の嵌め合い密着が緩和される。これにより、ねじ継手に高い外圧が負荷されたとき、ボックス20は、第1ねじ部の不完全ねじ部領域31b、及びこの不完全ねじ部領域31bに連なる中間シール部である第2シール面24の領域が縮径するようになる。その結果、第2シール面14、24面同士の接触面圧が増幅し、外圧に対する密封性能が向上する。
内圧に対する密封性能は、内シール部である第1シール面12、22同士の面接触によって維持される。
なお、第1ねじ部の不完全ねじ部領域31bでは、第1雄ねじ部13と第1雌ねじ部23の接触領域が荷重フランク面13d、23dのみとなる。この場合、一見すると、第1ねじ部の噛み合い面積が減少することから、締結状態が不安定になるかもしれない。しかし、実際には、第1ねじ部の外側に第2ねじ部が配置されているので、この第2ねじ部の噛み合いによって締結状態が安定する。
以下に、主要な部位の好適な態様を補足する。
第1ねじ部の不完全ねじ部領域31b及び完全ねじ部領域31aにおいて、第1雄ねじ部13のねじ谷底面13bと第1雌ねじ部23のねじ山頂面23aとの間に隙間は、外圧負荷時にボックス20の縮径が阻害されないように設定される。例えば、その隙間は0.05mm以上であることが好ましい。その隙間の上限は特に規定しないが、その隙間があまりに大きいと、第1ねじ部の噛み合い面積の減少が著しくなる。これにより、ねじ継手に引張荷重及び圧縮荷重が負荷されたとき、第1ねじ部に作用する応力が相対的に高くなり、第1ねじ部が塑性変形するおそれがある。その上、ピン10がボックス20から不用意に引き抜ける事態(ジャンプアウト)が生じるおそれがある。したがって、実用性を踏まえ、その隙間の上限は0.25mm程度とすることが好ましい。
第1ねじ部の不完全ねじ部領域31bの長さが短すぎると、外圧負荷時にボックス20が有効に縮径しなくなる。したがって、不完全ねじ部領域31bの長さの下限は、第1雄ねじ部13のねじピッチの3倍とする。不完全ねじ部領域31bの長さのより好ましい下限は、第1雄ねじ部13のねじピッチの4倍である。
一方、第1ねじ部の不完全ねじ部領域31bの長さが長すぎると、下記の不都合がある。外圧負荷によるボックス20の縮径に伴う密封性能の向上効果が飽和する。また、第1ねじ部の噛み合い面積の減少が著しくなる。これにより、ねじ継手に引張荷重及び圧縮荷重が負荷されたとき、第1ねじ部が塑性変形したり、ジャンプアウトが生じたりするおそれがある。したがって、不完全ねじ部領域31bの長さの上限は、第1雄ねじ部13のねじピッチの8倍とするのが好ましい。不完全ねじ部領域31bの長さのより好ましい上限は、第1雄ねじ部13のねじピッチの7倍である。
第1ねじ部(内ねじ部)の荷重フランク面13d、23dのフランク角の下限は、特に規定しない。荷重フランク面13d、23dのフランク角が0°未満の負角であれば外圧負荷時にボックス20の縮径を阻害しないからである。ただし、ねじ切り加工の実用性を踏まえると、荷重フランク面13d、23dのフランク角の下限は、−(マイナス)15°とするのが好ましい。そのフランク角のより好ましい下限は、−10°である。
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態による鋼管用ねじ継手を示す縦断面図である。図4は、その鋼管用ねじ継手における第2シール部付近を拡大した縦断面図である。図3及び図4に示す第2実施形態のねじ継手は、前記図1及び図2に示す第1実施形態のねじ継手を変形したものであり、第1実施形態と重複する説明は適宜省略する。
図3及び図4に示すように、ピン10は、第1雄ねじ部13と第2シール面14との間に、環状部16を備える。一方、ボックス20は、第1雌ねじ部23と第2シール面24との間に環状溝が形成され、この環状溝の形成によって造形された環状部26を備える。ボックス20の環状部26は、ピン10の環状部16に対応して設けられ、締結が完了した状態でピン10の環状部16に接触しない。すなわち、締結が完了した状態では、ピン10の環状部16とボックス20の環状部26と間に隙間が形成される。締結時に塗布された余剰の潤滑剤(以下、「ドープ」ともいう)をその隙間に収容できるため、ドープの圧力上昇による第2シール面14、24同士の接触面圧の不用意な低下が避けられる。
ここで、ピン10の環状部16の管軸CLに沿う長さがあまりに長いと、下記の不都合がある。ねじ継手の全長を一定とした場合に、第1ねじ部及び第2ねじ部の全体の長さが実質的に短くなる。これにより、ねじ継手に引張荷重及び圧縮荷重が負荷されたとき、第1ねじ部及び第2ねじ部に作用する応力が相対的に高くなり、第1ねじ部及び第2ねじ部が塑性変形するおそれがある。その上、ジャンプアウトが生じるおそれがある。したがって、環状部16の長さは、第1雄ねじ部13のねじピッチの3倍以下であることが好ましい。
第2実施形態のねじ継手によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、第1雄ねじ部13における不完全ねじ部領域31bのねじ山頂面13aは、管軸CLに平行な円筒面上にあるが、管軸CLに対して傾斜したテーパ面上にあってもよい。また、上記の実施形態では、第1雄ねじ部13のねじ谷底面13bは、第2雄ねじ部15のねじ谷底面15bのテーパの延長面上にあるが、その延長面と、その延長面より第2雄ねじ部15のねじ高さの2倍分外径が小さいテーパ面との間にあっても構わない。
また、上記の実施形態のねじ継手は、インテグラル型及びカップリング型のいずれにも適用することができる。
本発明による効果を確認するため、弾塑性有限要素法による数値シミュレーション解析を実施した。
<試験条件>
FEM解析では、カップリング型の油井管用ねじ継手のモデルを複数作製した。これらのモデルについて、第1ねじ部の荷重フランク面のフランク角、第1ねじ部における隙間の形成箇所及びその隙間寸法、第2ねじ部における隙間の形成箇所、第1ねじ部における不完全ねじ部領域の長さ、並びに環状部の長さを種々変更した。
共通の条件は下記のとおりである。
・鋼管の寸法:10−1/8[inch]×0.8[inch](外径257.2mm、肉厚20.3mm)、カップリングの外径:276.6mm
・鋼管及びカップリングのグレード:API規格のQ125(降伏応力が125[ksi]の炭素鋼)
・ねじ形状(第1ねじ部及び第2ねじ部):テーパが1/10、ねじ高さ(完全ねじ部領域)が1.575[mm]、ねじピッチが5.08[mm]、挿入フランク面のフランク角が10°、挿入フランク面同士の隙間が0.15[mm]
FEM解析では、材料を等方硬化の弾塑性体とし、弾性係数が210[GPa]、0.2%耐力としての公称降伏強度が125[ksi](=862[MPa])になるようにモデル化したものを使用した。締め付けは、ピンとボックスのショルダー面が接触してから更に1.5/100回転した状態まで行った。
変更した条件は下記の表1のとおりである。
Figure 0006683738
試験No.1、3、4及び11は、本発明で規定する条件を満たさない比較例である。そのうちの試験No.1、3及び11は、第1ねじ部の完全ねじ部領域において、雄ねじ部(ピン)のねじ山頂面と雌ねじ部(ボックス)のねじ谷底面との間に隙間があり、不完全ねじ部領域が設けられていない。試験No.4は、荷重フランク面のフランク角が3°の正角である。一方、試験No.2、5〜10は、本発明で規定する条件を満たす本発明例である。そのうちの試験No.2は、前記図1及び図2に示す第1実施形態のねじ継手に基づくものである。試験No.5〜10は、前記図3及び図4に示す第2実施形態のねじ継手に基づくものである。
<評価方法>
FEM解析では、締結が完了した状態のモデルにISO13679 2011年版のSeries A試験を模擬した荷重を順次負荷した。その荷重における第2シール部(中間シール部)の接触力[N/mm]、すなわち「シール面同士の平均接触面圧」×「接触幅」の最小値を比較することにより、外圧に対する密封性能を評価した。接触力の値が高いほどシール部の密封性能が良いことを意味する。同様に、第1シール部(内シール部)でも接触力を比較することにより、内圧に対する密封性能を評価した。密封性能の評価は、試験No.1における内圧に対する密封性能及び外圧に対する密封性能をそれぞれ1とし、この試験No.1に対する比率を指標として行った。
密封性能の評価は、以下の4水準で行った。
・◎:優。外圧に対する中間シール部の密封性能が1.15以上、且つ内圧に対する内シール部の密封性能が1.0以上。
・○:良。外圧に対する中間シール部の密封性能が1.10以上、且つ内圧に対する内シール部の密封性能が1.0以上。
・△:可。外圧に対する中間シール部の密封性能が1.05以上、且つ内圧に対する内シール部の密封性能が1.0以上。
・×:不可。外圧に対する中間シール部の密封性能が1.05未満、又は内圧に対する内シール部の密封性能が1.0未満。
<試験結果>
試験結果を上記の表1に示す。
比較例の試験No.1及び3では、第1ねじ部の不完全ねじ部領域の長さが短いことに起因し、ボックスの縮径が制限されたため、外圧に対する密封性能の改善が認められなかった。
比較例の試験No.4では、第1ねじ部の荷重フランク面のフランク角が正角であることに起因し、ボックスの縮径が制限されたため、外圧に対する密封性能の改善が認められなかった。
比較例の試験No.11では、第1ねじ部の不完全ねじ部領域の長さが短いものの、外圧に対する密封性能の改善が認められた。これは、長い環状部が設けられたことに起因し、ボックスの縮径が実質的に許容されたためである。しかし、長い環状部の設置により、第1ねじ部の噛み合い面積の低下が著しくなったため、内圧に対する密封性能が低下した。
本発明例の試験No.2、5〜10では、第1ねじ部の不完全ねじ部領域の長さが十分に長く、これに起因してボックスが有効に縮径したため、外圧に対する密封性能の改善が認められ、内圧に対する密封性能も維持された。その中でも、試験No.5、7及び9では、不完全ねじ部領域の長さが雄ねじ部のねじピッチの4倍以上7倍以下であり、外圧に対する密封性能の向上が顕著であった。
なお、本発明例の試験No.8では、第2ねじ部(外ねじ部)の干渉が中間シール部の近傍まで起こっていたことに起因し、中間シール部の実質的な干渉量が低くなったため、外圧に対する密封性能の向上の度合いが比較的小さかった。
以上の結果から、本発明の鋼管用ねじ継手を採用することにより、内圧に対する密封性能を維持しつつ、外圧に対する密封性能を向上できることが実証できた。
本発明のねじ継手は、過酷な環境で油井管として用いられる厚肉鋼管の連結に有効に利用できる。
10:ピン、 11:ショルダー面、 12:第1シール面、
13:第1雄ねじ部、
13a:第1雄ねじ部のねじ山頂面、
13b:第1雄ねじ部のねじ谷底面、
13c:第1雄ねじ部の挿入フランク面、
13d:第1雄ねじ部の荷重フランク面、
14:第2シール面、
15:第2雄ねじ部、
15a:第2雄ねじ部のねじ山頂面、
15b:第2雄ねじ部のねじ谷底面、
15c:第2雄ねじ部の挿入フランク面、
15d:第2雄ねじ部の荷重フランク面、
16:環状部、
20:ボックス、 21:ショルダー面、 22:第1シール面、
23:第1雌ねじ部、
23a:第1雌ねじ部のねじ山頂面、
23b:第1雌ねじ部のねじ谷底面、
23c:第1雌ねじ部の挿入フランク面、
23d:第1雌ねじ部の荷重フランク面、
24:第2シール面、
25:第2雌ねじ部、
25a:第2雌ねじ部のねじ山頂面、
25b:第2雌ねじ部のねじ谷底面、
25c:第2雌ねじ部の挿入フランク面、
25d:第2雌ねじ部の荷重フランク面、
26:環状部、
31a:第1ねじ部の完全ねじ部領域、
31b:第1ねじ部の不完全ねじ部領域、
32a:第2ねじ部の完全ねじ部領域、
32b:第2ねじ部の不完全ねじ部領域、
CL:管軸

Claims (6)

  1. 管状のピンと、管状のボックスとから構成され、前記ピンが前記ボックスにねじ込まれて前記ピンと前記ボックスが締結される鋼管用ねじ継手であって、
    前記ピンは、前記ピンの先端側から順に、ショルダー面、第1シール面、テーパねじの第1雄ねじ部、第2シール面、及びテーパねじの第2雄ねじ部を備え、
    前記ボックスは、前記ボックスの管本体側から先端側に向けて順に、ショルダー面、第1シール面、テーパねじの第1雌ねじ部、第2シール面、及びテーパねじの第2雌ねじ部を備え、
    前記第1雄ねじ部は、ねじ山頂面、ねじ谷底面、挿入フランク面、及び荷重フランク面を有し、
    前記第1雌ねじ部は、前記第1雄ねじ部の前記ねじ山頂面に対向するねじ谷底面、前記第1雄ねじ部の前記ねじ谷底面に対向するねじ山頂面、前記第1雄ねじ部の前記挿入フランク面に対向する挿入フランク面、及び前記第1雄ねじ部の前記荷重フランク面に対向する荷重フランク面を有し、
    前記第1雄ねじ部及び前記第1雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面のフランク角が0°未満であり、
    前記第1雄ねじ部は、前記第2シール面に近い側から順に、不完全ねじ部領域、及び完全ねじ部領域に区分され、
    前記不完全ねじ部領域は、管軸に沿う長さが前記第1雄ねじ部のねじピッチの3倍以上であって、ねじ高さが前記完全ねじ部領域のねじ高さよりも低くなっており、
    締結が完了した状態において、
    前記完全ねじ部領域では、前記第1雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ谷底面が接触するとともに、前記第1雄ねじ部及び前記第1雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面同士が接触し、前記第1雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ山頂面との間に隙間が形成されるとともに、前記第1雄ねじ部及び前記第1雌ねじ部それぞれの前記挿入フランク面同士の間に隙間が形成され、
    前記不完全ねじ部領域では、前記第1雄ねじ部及び前記第1雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面同士が接触し、前記第1雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ山頂面との間に隙間が形成され、前記第1雄ねじ部及び前記第1雌ねじ部それぞれの前記挿入フランク面同士の間に隙間が形成され、前記第1雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ谷底面との間に隙間が形成される、鋼管用ねじ継手。
  2. 請求項1に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記不完全ねじ部領域の管軸に沿う長さが前記第1雄ねじ部のねじピッチの8倍以下である、鋼管用ねじ継手。
  3. 請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記ピンは、前記第1雄ねじ部と前記第2シール面との間に、締結が完了した状態で前記ボックスと接触しない環状部を備える、鋼管用ねじ継手。
  4. 請求項3に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記環状部の管軸に沿う長さが前記第1雄ねじ部のねじピッチの3倍以下である、鋼管用ねじ継手。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記第1雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記第1雌ねじ部の前記ねじ山頂面との隙間が0.05mm以上である、鋼管用ねじ継手。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記第2雄ねじ部は、ねじ山頂面、ねじ谷底面、挿入フランク面、及び荷重フランク面を有し、
    前記第2雌ねじ部は、前記第2雄ねじ部の前記ねじ山頂面に対向するねじ谷底面、前記第2雄ねじ部の前記ねじ谷底面に対向するねじ山頂面、前記第2雄ねじ部の前記挿入フランク面に対向する挿入フランク面、及び前記第2雄ねじ部の前記荷重フランク面に対向する荷重フランク面を有し、
    前記第2雄ねじ部及び前記第2雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面のフランク角が0°未満であり、
    締結が完了した状態において、前記第2雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記第2雌ねじ部の前記ねじ山頂面が接触するとともに、前記第2雄ねじ部及び前記第2雌ねじ部それぞれの前記荷重フランク面同士が接触し、前記第2雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記第2雌ねじ部の前記ねじ谷底面との間に隙間が形成されるとともに、前記第2雄ねじ部及び前記第2雌ねじ部それぞれの前記挿入フランク面同士の間に隙間が形成される、鋼管用ねじ継手。
JP2017563398A 2016-01-25 2016-01-25 鋼管用ねじ継手 Active JP6683738B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2016/000341 WO2017130234A1 (ja) 2016-01-25 2016-01-25 鋼管用ねじ継手

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017130234A1 JPWO2017130234A1 (ja) 2018-10-25
JP6683738B2 true JP6683738B2 (ja) 2020-04-22

Family

ID=59397555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017563398A Active JP6683738B2 (ja) 2016-01-25 2016-01-25 鋼管用ねじ継手

Country Status (10)

Country Link
US (1) US10774958B2 (ja)
EP (1) EP3409991B1 (ja)
JP (1) JP6683738B2 (ja)
CN (1) CN108474504B (ja)
BR (1) BR112018013662B1 (ja)
CA (1) CA3011204C (ja)
MX (1) MX2018008993A (ja)
RU (1) RU2694698C1 (ja)
SA (1) SA518392086B1 (ja)
WO (1) WO2017130234A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PL3572612T3 (pl) * 2018-05-25 2021-04-19 Vallourec Oil And Gas France Gwintowane połączenie rurowe
PL3572611T3 (pl) 2018-05-25 2021-07-05 Vallourec Oil And Gas France Gwintowane połączenie rurowe
EP3904745B1 (en) * 2018-12-25 2023-09-06 Nippon Steel Corporation Threaded connection for steel pipe
FR3098878B1 (fr) * 2019-07-19 2021-07-30 Vallourec Oil & Gas France Joint fileté pour colonne de cuvelage de puits de pétrole
CN114761722B (zh) * 2020-01-17 2024-01-02 日本制铁株式会社 管用螺纹接头
US11448345B2 (en) * 2020-11-20 2022-09-20 Precision Couplings LLC Coupling
EP4215716A1 (en) * 2022-01-19 2023-07-26 Tenaris Connections B.V. A threaded pipe connection

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4373754A (en) 1978-08-09 1983-02-15 Hydril Company Threaded connector
US4600224A (en) * 1983-12-23 1986-07-15 Interlock Technologies Corporation Tubular connection having a chevron wedge thread
US4753460A (en) * 1985-04-26 1988-06-28 The Hydril Company Tubular connection having two thread sets with multiple interengaging characteristics
JPS62196486A (ja) * 1986-02-24 1987-08-29 住友金属工業株式会社 油井管用管継手
US5462315A (en) * 1992-03-09 1995-10-31 Marubeni Tubulars, Inc. Stabilized center-shoulder-sealed tubular connection
US5415442A (en) * 1992-03-09 1995-05-16 Marubeni Tubulars, Inc. Stabilized center-shoulder-sealed tubular connection
JP2705505B2 (ja) 1993-03-24 1998-01-28 住友金属工業株式会社 油井管用ねじ継手
FR2800150B1 (fr) 1999-10-21 2001-12-07 Vallourec Mannesmann Oil & Gas Joint tubulaire filette etanche a la pression exterieure
JP3740993B2 (ja) * 2001-03-28 2006-02-01 住友金属工業株式会社 管のねじ継手
JP2005351324A (ja) 2004-06-09 2005-12-22 Metal One Corp 油井管用ネジ継手
JP2007205361A (ja) * 2004-08-27 2007-08-16 Sumitomo Metal Ind Ltd 鋼管用ねじ継手
CA2701417C (en) * 2007-10-03 2013-07-16 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Threaded joint having a contactless region with a tapered surface portion
US10215314B2 (en) * 2010-08-23 2019-02-26 Vallourec Oil And Gas France Tubular threaded connection
US8931809B2 (en) * 2012-09-21 2015-01-13 Vallourec Oil And Gas France Tubular threaded connection
FR3006029B1 (fr) * 2013-05-23 2015-11-13 Vallourec Mannesmann Oil & Gas Ensemble pour la realisation d'un joint filete pour le forage et l'exploitation des puits d'hydrocarbures et joint filete resultant
US11493154B2 (en) * 2015-12-11 2022-11-08 Vallourec Oil And Gas France Threaded connection including an intermediate shoulder
JP6776372B2 (ja) * 2017-01-18 2020-10-28 日本製鉄株式会社 鋼管用ねじ継手

Also Published As

Publication number Publication date
MX2018008993A (es) 2018-11-19
EP3409991B1 (en) 2020-05-20
US20190032820A1 (en) 2019-01-31
CA3011204A1 (en) 2017-08-03
BR112018013662B1 (pt) 2021-11-16
SA518392086B1 (ar) 2022-03-08
EP3409991A4 (en) 2019-08-21
WO2017130234A1 (ja) 2017-08-03
EP3409991A1 (en) 2018-12-05
CN108474504A (zh) 2018-08-31
CA3011204C (en) 2020-08-18
BR112018013662A2 (pt) 2019-01-22
RU2694698C1 (ru) 2019-07-16
US10774958B2 (en) 2020-09-15
JPWO2017130234A1 (ja) 2018-10-25
CN108474504B (zh) 2021-01-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6683738B2 (ja) 鋼管用ねじ継手
EP3159591B1 (en) Threaded joint for steel pipes
EP3093543B1 (en) Threaded joint for steel pipe
JP6577654B2 (ja) 鋼管用ねじ継手
CA3080311C (en) Threaded connection for steel pipe
JP7182010B2 (ja) 鋼管用ねじ継手
AU2016373923A1 (en) Threaded joint for steel pipe
CA3061450C (en) Threaded connection for steel pipes
EP4174354A1 (en) Threaded joint for steel pipe
US12018777B2 (en) Threaded connection for steel pipe
OA21386A (en) Threaded joint for steel pipe.
OA18698A (en) Threaded joint for steel pipe
OA18135A (en) Screw joint for steel piping

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200303

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200326

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6683738

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250