JP6681007B2 - 過酸化水素の安定化剤を含有するエポキシ化合物の製造方法 - Google Patents

過酸化水素の安定化剤を含有するエポキシ化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6681007B2
JP6681007B2 JP2016544186A JP2016544186A JP6681007B2 JP 6681007 B2 JP6681007 B2 JP 6681007B2 JP 2016544186 A JP2016544186 A JP 2016544186A JP 2016544186 A JP2016544186 A JP 2016544186A JP 6681007 B2 JP6681007 B2 JP 6681007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
hydrogen peroxide
reaction
aqueous solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016544186A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016027735A1 (ja
Inventor
一樹 平佐田
一樹 平佐田
悠太朗 津田
悠太朗 津田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Chemical Corp filed Critical Nissan Chemical Corp
Publication of JPWO2016027735A1 publication Critical patent/JPWO2016027735A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6681007B2 publication Critical patent/JP6681007B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D251/00Heterocyclic compounds containing 1,3,5-triazine rings
    • C07D251/02Heterocyclic compounds containing 1,3,5-triazine rings not condensed with other rings
    • C07D251/12Heterocyclic compounds containing 1,3,5-triazine rings not condensed with other rings having three double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • C07D251/26Heterocyclic compounds containing 1,3,5-triazine rings not condensed with other rings having three double bonds between ring members or between ring members and non-ring members with only hetero atoms directly attached to ring carbon atoms
    • C07D251/30Only oxygen atoms
    • C07D251/34Cyanuric or isocyanuric esters
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D201/00Preparation, separation, purification or stabilisation of unsubstituted lactams
    • C07D201/16Separation or purification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D251/00Heterocyclic compounds containing 1,3,5-triazine rings
    • C07D251/02Heterocyclic compounds containing 1,3,5-triazine rings not condensed with other rings
    • C07D251/04Heterocyclic compounds containing 1,3,5-triazine rings not condensed with other rings having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D301/00Preparation of oxiranes
    • C07D301/02Synthesis of the oxirane ring
    • C07D301/03Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds
    • C07D301/12Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with hydrogen peroxide or inorganic peroxides or peracids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D303/00Compounds containing three-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom
    • C07D303/02Compounds containing oxirane rings
    • C07D303/04Compounds containing oxirane rings containing only hydrogen and carbon atoms in addition to the ring oxygen atoms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D405/00Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom
    • C07D405/14Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing three or more hetero rings

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明はオレフィン化合物からエポキシ化合物を製造する方法に関する。更には、本発明は、特定構造のオレフィン化合物に過酸化水素、ニトリル化合物、アルカリ性物質を溶剤中で反応させることにより効率的にエポキシ化合物を製造する方法に関するものである。
一般的に結晶性のエポキシ樹脂は主鎖骨格が剛直であったり、多官能であるため耐熱性が高く、電気電子分野など耐熱的な信頼性が要求される分野で使用されている。
しかしながら、使用する用途によってはキャスティング成型など液状組成物でないと成型できない分野もあり、結晶性であるエポキシ樹脂はトランスファー成型など固形材料を使用する用途に限られ、そのため使用範囲が限定されている。
また、従来、キャスティング成型など液状成型に使用されるエポキシ樹脂は液状のエポキシ樹脂であり、昨今の接着、注型、封止、成型、積層等の分野で要求が厳しくなっている耐熱性等の硬化物性向上の要求には十分に満足できない。そこで高い耐熱性を有する硬化物性を与える結晶性の多官能エポキシ樹脂を液状化させる要求が高まっている。
この様なエポキシ化合物を製造する方法として、オレフィン置換イソシアヌレートに酸化剤として過酸化水素を用い、触媒としてタングステン酸塩又はモリブデン酸塩と、界面活性剤(第4級アンモニウム塩を相関移動触媒として使用)と、リン酸類又はホスホン酸類を含む混合触媒を用いて、酸性媒体でオレフィンをエポキシ化する方法(特許文献1参照)が提案されている。
また、エポキシ化能を有するタングステン化合物を触媒として、過酸化水素水溶液とオレフィン化合物とを酸性媒体で反応させるエポキシ化合物の製造方法が開示されており、助触媒としてアミノメチルホスホン酸が用いられている(特許文献2を参照)。
さらに、オレフィン化合物、過酸化水素、ニトリル化合物、及びアルカリ性物質を溶剤中で反応させるエポキシ化合物の製造方法が開示されている(特許文献3を参照)。
特開2012−025688号公報 特開2009−256217号公報 国際公開2014/065239号パンフレット
オレフィン化合物と過酸化水素を反応させてエポキシ化合物を製造する場合、オレフィン化合物に対して過剰の過酸化水素が添加される。このとき過酸化水素から酸素ガスが発生するので、プロセスの安全面から反応容器内の酸素ガス濃度を爆発下限濃度まで低下させる必要がある。
そこで、反応容器内で過酸化水素から発生した酸素ガスを、安全な濃度まで低下させる方法として、窒素ガスのフローによる反応容器外への排気が考えられる。
しかし、小量スケールの反応であれば、窒素ガスのフローによる反応容器内の酸素ガス低下は有効な手段であるが、大量スケールの反応では、窒素ガスのフローにも限界があり、何らかの対策が求められていた。
そこで、本発明はオレフィン化合物と過酸化水素を反応させてエポキシ化合物を製造する方法において、過酸化水素から発生する酸素ガスを低減させるための過酸化水素安定化剤を用いて、安定的に安全にエポキシ化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は第1観点として、オレフィン化合物と過酸化水素を反応させてエポキシ化合物を製造する方法において、該反応が有機リン化合物の存在下、7.5を超え12.0未満の範囲のpHに維持された反応媒体中で行われるエポキシ化合物の製造方法、
第2観点として、前記オレフィン化合物が、1,3,5−トリス−(アルケニル)−イソシアヌレートである、第1観点に記載の製造方法、
第3観点として、前記オレフィン化合物におけるアルケニル基が、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、又は7−オクテニル基である、第2観点に記載の製造方法、
第4観点として、前記エポキシ化合物が、1,3,5−トリス−(エポキシアルキル)−イソシアヌレートである、第1観点に記載の製造方法、
第5観点として、前記エポキシ化合物におけるエポキシアルキル基が、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基、6,7−エポキシヘプチル基、又は7,8−エポキシオクチル基である、第4観点に記載の製造方法、
第6観点として、前記反応媒体が8.0乃至10.5の範囲のpHに維持された反応媒体である、第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の製造方法、
第7観点として、前記有機リン化合物がアルキルホスホン酸又はその塩である、第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の製造方法、
第8観点として、前記反応媒体がニトリル化合物を含む、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の製造方法、
第9観点として、前記ニトリル化合物がアセトニトリルである、第8観点に記載の製造方法、
第10観点として、前記pHの維持が、前記有機リン化合物を含むアルカリ性水溶液の添加により行われる、第1観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の製造方法、及び
第11観点として、前記有機リン化合物の添加量が1,3,5−トリス−(アルケニル)−イソシアヌレートに対して0.0001乃至1.0質量%の割合である、第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載の製造方法である。
本発明によれば、過酸化水素の分解による酸素ガスの発生を低減することができるので、安定的かつ安全にエポキシ化合物を製造することができる。従って、大量スケールでのエポキシ化合物の製造が可能である。
オレフィン化合物と過酸化水素を反応させてエポキシ化合物を製造する方法において、アルカリ性条件下(例えば水酸化ナトリウム)でニトリル化合物(例えばアセトニトリル)を存在させることがある。このとき過酸化水素とアルカリ性物質とニトリル化合物から酸化活性種が生成し、オレフィン化合物からエポキシ化合物が生成する。
過酸化水素は一般的にアルカリ性条件下で、微量(例えば数十ppb)の重金属が存在すると自己分解を起こし、酸素ガスが発生する。
この自己分解は酸性条件下では発生しないため、酸性条件下での反応では問題にならなかった。
これらの重金属はアルカリ水溶液(例えばNaOH水溶液)に微量含まれていると考えられる。そして、反応が進行するにつれて、反応系内に重金属が蓄積され、全反応時間の後半に過酸化水素の分解が促進され、酸素ガスの発生が増大し、プロセス面から問題があった。
そこで、本発明者らは、この様な重金属が過酸化水素を分解することによる酸素ガスの発生を低減するために、自己分解の原因と考えられる重金属をキレートするような添加剤が、過酸化水素の分解を抑制し、酸素ガスの発生を低減すると考え、そして、有機リン化合物の添加が有効であることを見出し、本発明を完成した。
本発明はオレフィン化合物と過酸化水素を反応させてエポキシ化合物を製造する方法において、該反応が有機リン化合物の存在下、7.5を超え12.0未満の範囲のpHに維持された反応媒体中で行われるエポキシ化合物の製造方法である。
原料であるオレフィン化合物としては、例えば、1,3,5−トリス−(アルケニル)−イソシアヌレートである。そして、1,3,5−トリス−(アルケニル)−イソシアヌレートにおけるアルケニル基としては、例えば、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、又は7−オクテニル基を用いることができ、好ましくは3−ブテニル基、4−ペンテニル基、又は5−ヘキセニル基を用いることができる。
そして、生成物のエポキシ化合物としては、例えば、1,3,5−トリス−(エポキシアルキル)−イソシアヌレートである。そして、1,3,5−トリス−(エポキシアルキル)−イソシアヌレートにおけるエポキシアルキル基としては、例えば、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基、6,7−エポキシヘプチル基、又は7,8−エポキシオクチル基とすることができ、好ましくは3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、又は5,6−エポキシヘキシル基とすることができる。
上記オレフィン化合物は例えば式(1)で示される。
Figure 0006681007
式(1)中、R1乃至R9はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、n1乃至n3はそれぞれ独立に1乃至6の整数である。好ましくはR1乃至R9はそれぞれ独立に水素原子であり、n1乃至n3はそれぞれ独立に2乃至6、又は2乃至4の整数である。
エポキシ化合物は例えば式(2)で示される。
Figure 0006681007
式(2)中、R1乃至R9はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、n1乃至n3はそれぞれ独立に1乃至6の整数である。好ましくはR1乃至R9はそれぞれ独立に水素原子であり、n1乃至n3はそれぞれ独立に2乃至6、又は2乃至4の整数である。
オレフィン化合物からエポキシ化合物を得る時に用いられる過酸化水素の使用量は、オレフィン化合物中の二重結合の1当量に対して、0.5乃至50当量、又は0.5乃至30当量、又は1乃至10当量である。過酸化水素は例えば35質量%の過酸化水素水として反応系内に添加する。
過酸化水素の添加は一度に添加することも可能だが、所定の添加量を少量で連続的に添加することができる。ここでの過酸化水素水の添加は滴下法で行われ、全反応時間に亘り少量ずつ連続的に添加することができる。
オレフィン化合物からエポキシ化合物を製造する時に用いられるニトリル化合物としては、例えば脂肪族ニトリル化合物、芳香族ニトリルが挙げられる。芳香族ニトリルとしては、例えばベンゾニトリル等が挙げられ、また脂肪族ニトリルとしては、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。特に脂肪族ニトリルが好ましく、アセトニトリルが好ましく用いられる。ニトリル化合物の使用量は、オレフィン化合物中の二重結合の1当量に対して、0.5乃至50当量、又は1乃至30当量、又は3乃至10当量である。
本発明において、オレフィン化合物からエポキシ化合物を製造する時に用いられるアルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸塩系化合物として炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ性物質の添加量はオレフィン化合物中の二重結合の1当量に対して、0.01乃至10当量、又は0.01乃至2当量である。
本発明に用いられる有機リン化合物としては、過酸化水素の安定化剤として機能するものであり、例えばアルキルホスホン酸又はその塩が挙げられる。
アルキルホスホン酸のアルキル基は、ヒドロキシ基やアミノ基によって置換された構造を有することができる。また、二量体化したジ(アルキルホスホン酸)又はその塩や、三量体化したトリ(アルキルホスホン酸)又はその塩を用いることができる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
上記アルキルホスホン酸としては、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、メチレンジホスホン酸、アミノメチルホスホン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
本発明では反応媒体のpHが7.5を超え12.0未満の範囲に維持される。好ましくはpHが8.0乃至10.5の範囲に維持される。
このようなpHに維持するために、上記有機リン化合物を含むアルカリ性水溶液を、所定量、全反応時間に亘り連続的に添加する方法が挙げられる。なお、アルカリ性水溶液とは、上記アルカリ性物質の水溶液である。これらの有機リン化合物を含むアルカリ性水溶液の添加は、過酸化水素の添加に沿って添加することが好ましく、例えば全反応時間にわたって添加することもできるし、過酸化水素を添加する時間に合わせて添加することもできる。
濃度0.1乃至60質量%、又は0.1乃至30質量%、又は1乃至10質量%のアルカリ性水溶液(例えばNaOH水溶液)中に、上記有機リン化合物を1乃至10000ppm、又は10乃至1000ppm、又は50乃至600ppm程度の濃度で含有した混合液を反応系内に添加することができる。
上記有機リン化合物とアルカリ性水溶液の添加は、有機リン化合物を含むアルカリ性水溶液として添加することができるが、有機リン化合物とアルカリ性水溶液を上記割合で別々に添加することもできる。
上記有機リン化合物の添加量は、1,3,5−トリス−(アルケニル)−イソシアヌレートに対して、例えば0.0001乃至10質量%、又は0.0001乃至1.0質量%の割合である。
オレフィン化合物からエポキシ化合物を得る時の反応に用いられる溶媒は、アルコール系溶剤が用いられる。このアルコール系溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−アミルアルコール、シクロヘキサノール等の直鎖、分岐、環状のアルコールが用いられる。特にメタノールは好ましく用いることができる。また、このアルコール系溶剤にトルエン等の非アルコール系溶剤を混合することもできる。
オレフィン化合物からエポキシ化合物を得る反応は、5乃至60℃(典型的には、20℃の室温)の反応温度で、5乃至50時間の反応時間で行うことができる。
反応後の溶液は必要により無機塩をろ過し、水を加えた後、溶剤やニトリル化合物を減圧蒸留で取り除き、水層にクロロホルム等を加え抽出し得られた有機層に、1乃至5質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液、酸性水溶液(例えば、0.1乃至2Nのリン酸水溶液)と純水を交互に加えて洗浄することができる。そして乾燥を行って生成物を得ることができる。
オレフィン化合物における二重結合からエポキシ基への転換率は60%以上、例えば75%以上、又は90%以上である。
上記オレフィン化合物から得られるエポキシ化合物は例えば以下に例示される。
Figure 0006681007
Figure 0006681007
本発明で得られるエポキシ化合物は、例えばトリアジントリオン環に置換したエポキシ基との間の側鎖を長くすることによって、性状的には分子間水素結合の減少によるトリアジンスタッキング障害が発生し液状化が達成される。これらのエポキシ化合物では、エポキシ基の硬化反応の完結性を向上させることによって、該エポキシ化合物の硬化物のガラス転移温度の安定化が計られ、それによって加熱環境においても架橋密度が安定であり強靱性を維持できる。またエポキシ基の硬化反応が硬化初期に完結しているため、硬化物の曲げ強度、弾性率が安定する。そして未反応エポキシ基が加水分解して生成するヒドロキシ基や未反応酸無水物(硬化剤)が加水分解して生成するカルボン酸による吸水を低減できるので、吸水率変化が少ない硬化物が得られる。
これらの効果は、上記の長鎖アルキレン基を介したエポキシ環は自由度が大きく、反応性が高いため、エポキシ基がすべて反応に関与して靱性の高い硬化物に変化したためと考えられる。
これらの長鎖アルキレン基を有する液状エポキシ化合物を光酸発生剤又は熱酸発生剤を用いて、光硬化又は熱硬化させることもできる。
本発明で得られる液状エポキシ化合物を用いた光硬化材料は速硬性、透明性、硬化収縮が小さい等の特徴を持ち、電子部品、光学部品、精密機構部品の被覆や接着に用いることができる。例えば携帯電話機やカメラのレンズ、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)などの光学素子、液晶パネル、バイオチップ、カメラのレンズやプリズムなどの部品、パソコンなどのハードディスクの磁気部品、CD、DVDプレヤーのピックアップ(ディスクから反射してくる光情報を取り込む部分)、スピーカーのコーンとコイル、モーターの磁石、回路基板、電子部品、自動車などのエンジン内部の部品等の接着に用いることができる。
また、本発明で得られるエポキシ化合物は、自動車ボディー、ランプや電化製品、建材、プラスチックなどの表面保護のためのハードコート材向けとしては、例えば自動車、バイクのボディー、ヘッドライトのレンズやミラー、メガネのプラスチックレンズ、携帯電話機、ゲーム機、光学フィルム、IDカード等への適用ができる。
さらに、本発明で得られるエポキシ化合物は、アルミニウム等の金属、プラスチックなどに印刷するインキ材料向けとして、例えばクレジットカード、会員証などのカード類、電化製品やOA機器のスイッチ、キーボードへの印刷用インキ、CD、DVD等へのインクジェットプリンター用インキへの適用が挙げられる。
また、本発明で得られるエポキシ化合物は、3次元CADと組み合わせて樹脂を硬化し複雑な立体物をつくる技術や、工業製品のモデル製作等の光造形への適用、光ファイバーのコーティング、接着、光導波路、厚膜レジスト(MEMS用)などへの適用が挙げられる。
本発明に用いられるオレフィン化合物は、シアヌル酸又はシアヌル酸塩と炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールとを溶剤中で反応させて得ることができる。この反応にはアルカリ性物質を用いることができる。不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールは、炭素原子数4乃至6とすることができる。
上記反応に用いられるアルカリ性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン等が挙げられる。これらアルカリ性物質はシアヌル酸又はシアヌル酸塩の1モルに対して、1乃至10モルの割合で用いることができる。
この反応に用いられる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記シアヌル酸塩としては、例えばシアヌル酸から誘導されるシアヌル酸三ナトリウム、シアヌル酸三カリウム等が挙げられる。
上記反応においてシアヌル酸又はシアヌル酸塩と、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールとは、シアヌル酸又はシアヌル酸塩の1モルに対して、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールを例えば0.3乃至9モルの割合、又は0.3乃至27モルの割合で反応させることができる。更に、大過剰の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールを用いることも可能である。
しかし、比較的高価な不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールをむだなく反応に関与させて選択的にトリス体を得るために、不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールを当量比から外れた範囲に主点をおいて反応させることができる。
即ち、上記反応においてシアヌル酸又はシアヌル酸塩と、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールとは、シアヌル酸又はシアヌル酸塩の1モルに対して、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールを0.3乃至5モルの割合で反応させることができる。
例えば、シアヌル酸が1モルと、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールが1乃至5モル、又は2乃至5モルの割合で反応することができる。そして、シアヌル酸塩が1モルと、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールが0.3乃至1モル、又は0.3乃至2モルの割合で反応することができる。
従って、シアヌル酸塩を用いることにより、当量比以下の、比較的高価な不飽和アルコールで選択的にトリス体を製造することができる。
これは以下のように考えられる。シアヌル酸及びシアヌル酸塩は溶剤への溶解性が低い。特に、シアヌル酸塩はシアヌル酸よりも溶剤への溶解性が低い。例えば1モルのシアヌル酸塩(1分子中に3つのN−Na基が存在)と1モルの不飽和アルコール又はヒドロキシキ基を保護した該不飽和アルコールの反応を考えると、反応過程で先ずシアヌル酸の1分子中の一つのN−Na基が上記不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールと反応し、シアヌル酸に一つのアルケニル基が置換した中間体が生成する。これにより、その分子(中間体)は溶剤への溶解性が向上すると考えられる。溶剤への溶解性が向上した中間体は他のシアヌル酸塩(未置換体)に比べて反応性が向上し、二つ目のアルケニル基の置換、三つ目のアルケニル基の置換が起こり、トリオレフィンイソシアヌレートが合成されると考えられる。このような傾向はシアヌル酸でも起こるが、より溶解性の低いシアヌル酸塩の方が顕著に進むと考えられる。
また、これらの反応では添加剤として臭化カリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化金属を用いることができる。ハロゲン化金属はイソシアヌル酸の1モルに対して、0.01乃至1モルの割合で使用することができる。特にイソシアヌル酸と不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールとの反応においては上記添加剤の添加は好ましい。
これらの反応は20乃至100℃の温度で、1乃至20時間行うことができる。
上記トリオレフィン化合物を合成するための不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールは、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はそれらのアルコールのヒドロキシ基を保護基で保護した不飽和アルコールが挙げられる。上記炭素原子数3乃至9とは、保護基を除く不飽和炭化水素基の炭素原子数を示す。
上記保護基としては、例えばp−トルエンスルホニル基、o−ニトロベンゼンスルホニル基、及びメタンスルホニル基が挙げられる。p−トルエンスルホニル基、及びメタンスルホニル基が好ましく、特にメタンスルホニル基を用いることが得られるオレフィン化合物の収率が高く好ましい。
これらの不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールは以下に例示される直鎖又は分岐不飽和アルコールである。下記式中でX1は水素原子、p−トルエンスルホニル基、o−ニトロベンゼンスルホニル基、又はメタンスルホニル基を示す。
Figure 0006681007
上記ヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールは、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコールと、p−トルエンスルホニルハライド、o−ニトロベンゼンスルホニルハライド、又はメタンスルホニルハライドとをアルカリ性物質の存在下に溶剤中で反応させることにより得られる。このハライドにはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン化物質が用いられる。
上記反応に用いられるアルカリ性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン等が挙げられる。
この反応に用いられる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、トルエン等が挙げられる。
シアヌル酸又はシアヌル酸塩と、炭素原子数3乃至9の不飽和アルコール又はヒドロキシ基を保護した該不飽和アルコールとの反応は以下に示される。下記式中でX1は水素原子、p−トルエンスルホニル基、o−ニトロベンゼンスルホニル基、又はメタンスルホニル基を示し、X2は水素原子、ナトリウム、又はカリウムを示す。
Figure 0006681007
Figure 0006681007
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例において、試料の分析に用いた装置は以下の通りである。
[HPLC(高速液体クロマトグラフィー)]
装置:Agilent Technologies社製、1200Series
[GC(ガスクロマトグラフィー)]
装置:Agilent Technologies社製、7890A
<実施例1>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を濃度170ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を、反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は37mLであった。
得られた溶液をHPLCで分析したところ、1,3,5−トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレートの収率は83%であることが確認された。
<実施例2>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)を濃度340ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を、反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は30mLであった。
得られた溶液をHPLCで分析したところ、1,3,5−トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレートの収率は84%であることが確認された。
<実施例3>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)を濃度340ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を、反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は31mLであった。
得られた溶液をHPLCで分析したところ、1,3,5−トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレートの収率は84%であることが確認された。
<実施例4>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、メチレンジホスホン酸を濃度340ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を、反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は110mLであった。
得られた溶液をHPLCで分析したところ、1,3,5−トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレートの収率は84%であることが確認された。
<実施例5>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム塩を濃度340ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を、反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は17mLであった。
得られた溶液をHPLCで分析したところ、1,3,5−トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレートの収率は84%であることが確認された。
<実施例6>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、アミノメチルホスホン酸を濃度340ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を、反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は78mLであった。
得られた溶液をHPLCで分析したところ、1,3,5−トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレートの収率は85%であることが確認された。
<実施例7>
1,3,5−トリス−(3−ブテニル)−イソシアヌレート(15.7g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(47g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を濃度170ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を、反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は86mLであった。
得られた溶液を精製、単離したところ、1,3,5−トリス−(3,4−エポキシブチル)−イソシアヌレートの収率は60%であることが確認された。
<実施例8>
1,3,5−トリス−(5−ヘキセニル)−イソシアヌレート(20.3g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(61g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間にわたり、複数回に分けて添加した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を濃度170ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を、反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間かけて滴下した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は24mLであった。
得られた溶液を精製、単離したところ、1,3,5−トリス−(5,6−エポキシヘキシル)−イソシアヌレートの収率は93%であることが確認された。
<比較例1>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、8質量%水酸化ナトリウム水溶液を反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は148mLであった。
得られた溶液をHPLCで分析したところ、1,3,5−トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレートの収率は84%であることが確認された。
<比較例2>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を濃度170ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を反応媒体がpH=6.5乃至7.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は3%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は5mLであった。
<比較例3>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を濃度170ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を反応媒体がpH=2.0乃至3.0に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は0%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は0mLであった。
<比較例4>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を濃度170ppmで含有した8質量%水酸化ナトリウム水溶液を反応媒体がpH=12.0乃至13.0に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は0%であった。また滴下した35質量%の過酸化水素水溶液はすべて分解し、大量の酸素ガスが発生した。
<比較例5>
1,3,5−トリス−(4−ペンテニル)−イソシアヌレート(18.0g、54.0mmol)、アセトニトリル(22.1g、540mmol)、メタノール(54g)、60質量%の1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸水溶液(16.3mg)を混合し、温度を20℃とした後に、35質量%の過酸化水素水溶液(37.1mL、432mmol)を20時間かけて滴下した。35質量%の過酸化水素水溶液の滴下開始と同時に、8質量%水酸化ナトリウム水溶液を反応媒体がpH=8.5乃至10.5に維持するように30時間にわたり、複数回に分けて添加した。30時間反応後、反応媒体をGCで分析したところ、オレフィン化合物における二重結合のエポキシ基への転化率は99%であった。また反応中に発生した酸素ガス量は355mLであった。
得られた溶液をHPLCで分析したところ、1,3,5−トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレートの収率は84%であることが確認された。
本発明はオレフィン化合物と過酸化水素を反応させてエポキシ化合物を製造する方法において、過酸化水素の分解による酸素の発生を低減するための過酸化水素安定化剤を用いることにより、安定的に安全にエポキシ化合物を製造することができるため、大量スケール(大スケール)でのエポキシ化合物の製造が可能である。

Claims (9)

  1. オレフィン化合物である1,3,5−トリス−(アルケニル)−イソシアヌレートと過酸化水素を反応させてエポキシ化合物を製造する方法において、
    該反応が有機リン化合物であるアルキルホスホン酸又はその塩の存在下、7.5を超え12.0未満の範囲のpHに維持された反応媒体中で行われるエポキシ化合物の製造方法。
  2. 前記オレフィン化合物におけるアルケニル基が、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、又は7−オクテニル基である、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記エポキシ化合物が、1,3,5−トリス−(エポキシアルキル)−イソシアヌレートである、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記エポキシ化合物におけるエポキシアルキル基が、3,4−エポキシブチ
    ル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基、6,7−エポキシヘプチル基、又は7,8−エポキシオクチル基である、請求項に記載の製造方法。
  5. 前記反応媒体が8.0乃至10.5の範囲のpHに維持された反応媒体である、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記反応媒体がニトリル化合物を含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記ニトリル化合物がアセトニトリルである、請求項に記載の製造方法。
  8. 前記pHの維持が、前記アルキルホスホン酸又はその塩を含むアルカリ性水溶液の添加により行われる、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記アルキルホスホン酸又はその塩の添加量が1,3,5−トリス−(アルケニル)−イソシアヌレートに対して0.0001乃至1.0質量%の割合である、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の製造方法。

JP2016544186A 2014-08-20 2015-08-11 過酸化水素の安定化剤を含有するエポキシ化合物の製造方法 Active JP6681007B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014167244 2014-08-20
JP2014167244 2014-08-20
PCT/JP2015/072765 WO2016027735A1 (ja) 2014-08-20 2015-08-11 過酸化水素の安定化剤を含有するエポキシ化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016027735A1 JPWO2016027735A1 (ja) 2017-06-01
JP6681007B2 true JP6681007B2 (ja) 2020-04-15

Family

ID=55350680

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016544186A Active JP6681007B2 (ja) 2014-08-20 2015-08-11 過酸化水素の安定化剤を含有するエポキシ化合物の製造方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10005742B2 (ja)
JP (1) JP6681007B2 (ja)
KR (1) KR102411424B1 (ja)
CN (1) CN106536492B (ja)
TW (1) TWI680966B (ja)
WO (1) WO2016027735A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108350146B (zh) * 2015-11-10 2021-03-16 日产化学工业株式会社 含长链伸烷基的环氧树脂组合物
CA3043589A1 (en) 2016-11-21 2018-05-24 Virox Technologies Inc. Novel peroxide stabilizers
CN115521296A (zh) * 2022-10-26 2022-12-27 东华大学 一种环氧化合物的制备方法

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3264774D1 (en) * 1981-09-04 1985-08-22 Mitsubishi Gas Chemical Co Catalytic epoxidation of olefins
JPS5839676A (ja) * 1981-09-04 1983-03-08 Mitsubishi Gas Chem Co Inc オレフインオキシドの製造法
IT1170254B (it) * 1983-11-28 1987-06-03 Montedison Spa Processo per la preparazione di ossido di perfluoropropene
US6015884A (en) * 1996-03-28 2000-01-18 The Johns Hopkins University Soluble divalent and multivalent heterodimeric analogs of proteins
DE19944839A1 (de) * 1999-09-18 2001-03-22 Degussa Verfahren zur Herstellung von Epoxiden aus Olefinen
EP1122249A1 (fr) * 2000-02-02 2001-08-08 SOLVAY (Société Anonyme) Procédé de fabrication d'un oxiranne
US6646195B1 (en) * 2000-04-12 2003-11-11 Microsoft Corporation Kernel-mode audio processing modules
TWI236377B (en) * 2000-09-28 2005-07-21 Novartis Ag Stabilized hydrogen peroxide solutions
DE10146594A1 (de) * 2001-09-21 2003-04-10 Solvay Interox Gmbh Stabilisiertes Wasserstoffperoxid
US7528269B2 (en) * 2005-12-20 2009-05-05 Lyondell Chemical Technology, L.P. Process for oxidizing organic compounds
JP2009256217A (ja) 2008-04-14 2009-11-05 Showa Denko Kk エポキシ化合物の製造方法
JP2012025688A (ja) 2010-07-22 2012-02-09 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology エポキシ化合物の製造方法
WO2014065239A1 (ja) * 2012-10-25 2014-05-01 日産化学工業株式会社 エポキシ化合物の製造方法
KR101496969B1 (ko) 2012-11-21 2015-03-05 주식회사 한진레이저 건물용 비상탈출장치

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016027735A1 (ja) 2016-02-25
KR102411424B1 (ko) 2022-06-22
CN106536492B (zh) 2020-04-03
TW201623267A (zh) 2016-07-01
CN106536492A (zh) 2017-03-22
US20170275258A1 (en) 2017-09-28
US10005742B2 (en) 2018-06-26
TWI680966B (zh) 2020-01-01
JPWO2016027735A1 (ja) 2017-06-01
KR20170042507A (ko) 2017-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2913331B1 (en) Method for producing epoxy compound
JP6681007B2 (ja) 過酸化水素の安定化剤を含有するエポキシ化合物の製造方法
CN101910240B (zh) 潜在性固化剂、含有该潜在性固化剂的环氧树脂组合物、密封剂以及有机el显示器
JP2011195483A (ja) トリエポキシエチルシクロヘキサン及びエポキシ樹脂の製造方法
JPWO2015093370A1 (ja) 高溶解性変性エポキシ樹脂組成物
JP3368680B2 (ja) 新規エポキシ化合物及びその製造方法
KR20210034125A (ko) 고용해성 트리스-(2,3-에폭시프로필)-이소시아누레이트 및 제조방법
EP3702356B1 (en) Epoxy-oxetane compound, method for synthesizing same, and use of said compound
JP5090107B2 (ja) テトラキス(アリルオキシフェニル)炭化水素化合物の製造方法
KR20080013902A (ko) 에폭시 수지, 그 제조 방법 및 그 용도
JP2012188379A (ja) チイラン化合物及びその硬化物
JP2016199486A (ja) ジエポキシ化合物の製造方法
JP2021024791A (ja) アリルイソシアヌレート化合物およびその合成方法
KR102191326B1 (ko) 함질소환상 화합물 및 그 제조방법
JP2018027908A (ja) 新規アミン化合物およびその製造方法並びにその製造方法により得られる中間体
JP2007119544A (ja) リン含有エポキシ樹脂の製造方法
JP2018168137A (ja) 新規なイオン性化合物及び該イオン性化合物を含有する紫外線吸収剤
JP2011241238A (ja) 取り扱い容易なエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造法
JP2012201611A (ja) スルホニウム化合物
JP2018184549A (ja) エポキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂組成物及び成形品
JP2017002176A (ja) ビナフタレン骨格を有する低着色エポキシ樹脂の製造方法
JP2013087093A (ja) イソシアヌレート化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190605

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200303

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6681007

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151