JP6675204B2 - 柱主筋の定着構造 - Google Patents
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特に、柱が鉄筋コンクリート(以下、RCと呼称する)で梁が鉄骨の最上階柱頭部における柱主筋のプレート定着は、地震時に柱に生じる曲げ応力に起因する鉄筋に作用する引張力(鉛直下方への力)に対する抵抗要素として有効に働く機能を有する他に、梁に生じる曲げ応力に起因する柱内部での鉛直上方に働く力を、柱主筋にて確実に抵抗させる機能を持たせる必要がある。
中間階の柱梁接合部では、図10(a)に示すように梁端部に生じた曲げモーメントと連動して、柱頭部には上方側に力が生じようとするが、上階の柱が接続されているために、上階の重量によって、その力を抑え込むことができる。しかし、最上階の柱梁接合部では、図10(b)に示すように柱頭部の上方側には柱はなく、柱頭部上方に生じる力により柱側面にひびわれが生じ、梁の曲げ抵抗が十分に発揮されない惧れがある。
柱と梁がともに同じ構造種別、すなわち、柱と梁がともに鉄筋コンクリート、あるいはともに鉄骨、もしくは鉄骨鉄筋コンクリートの場合は、梁の曲げモーメントが柱にスムーズに伝達できるが、柱が鉄筋コンクリートで梁が鉄骨であると、梁の応力が柱へ伝達する機構が希薄なため、それを解決するためにいくつかの柱梁接合部に関する構法が開発されている。その中でもRCの柱の中にH鋼の梁が挿し込まれただけの機構は、その伝達力が最も乏しい。
従来、最上階の柱梁接合部における柱主筋の定着構造は、鉄筋コンクリート柱(以下、RC柱と呼称する)201の柱頭部201aにおいて、鉄骨梁202が挿通されて、柱梁接合部200が形成されている。鉄骨梁202の上部フランジ202a上面には、プレート203が設けられている。プレート203は、RC柱201の断面形状よりも少し小さな矩形形状の外周203aと、外周203aよりも更に小さな矩形形状の内周203bにより形成される、ロ字形状の鋼板である。鉛直方向に延在する柱201の柱主筋204は、先端部204aが下方から、プレート203に開設された図示されない孔を挿通し、プレート203の上方からナット205が螺着されることにより、固定されている。このように、最上階の柱主筋204は、柱主筋204を固定するために定着金物203を設けて、下向きに生じる引張応力に抵抗出来るように設計されている。
従来の柱主筋の定着構造は、図11に示すように、柱主筋204はプレート203に対して垂直に取り付けられている。プレート203は一枚の鋼板であるため、地震時等に、柱主筋204に作用する引張力の大きさによっては、プレート203の板厚を大幅に厚くする対応が必要となる。
そこで、プレート定着板は、厚板や高強度化を行い、鉛直抵抗力を高めることで面外方向への変形が防止されていた。しかしながら、従来の方法では鋼材費が嵩むという問題があった。
このような構成によれば、建物最上階において、柱主筋の上端部が定着手段に固着されており、定着手段は鉛直部を備えているため、地震時等に、柱主筋に引張力が作用した場合においても、この鉛直部が定着手段の面外剛性を高めることによって、定着手段の変形を防止することができる。また、定着手段は、柱梁接合部のコンクリートを面材として押し込み、コンクリートの支圧効果を高めることができる。これにより、定着破壊を防止可能な、強固な柱主筋の定着構造を実現することが可能となる。
また、上記のように、定着手段によって、柱主筋を柱梁接合部に強固に定着することが可能となるため、最上階の柱の柱頭部をふかしたり、鋼製梁上に設けられる屋根スラブが厚くなるように増し打ちしたり、あるいは、鋼製梁の梁端部をピン接合として曲げモーメントの影響を受けないように設計する等の処置が不要である。鋼製梁の梁端部をピン接合とする必要がないために、鋼製梁を長スパン化することも可能である。したがって、設計、施工、及び材料費等を低減し、かつ、広い室内空間を実現することが可能である。
また、本発明の定着手段は、鉛直部を備えるという構造的な特徴によって、引張力に抵抗して変形を防ぐものであるため、定着手段の柱主筋が接合される部分の強度を極度に高める必要がない。したがって、比較的安価に定着手段(プレート定着板)を製作することが可能となり、材料費を更に低減することができる。
このような構成によれば、プレート定着板は水平鋼板と鉛直鋼板が接合されて形成されているため、柱主筋に作用する引張力に対して、一体となって抵抗することができる。また、柱主筋の上端部が前記水平鋼板上にナットで緊締されているため、柱主筋に作用する引張力を、水平鋼板直下のコンクリートの反作用力で抵抗させることができる。すなわち、柱主筋に作用する引張力に抵抗しうる強固な構造となる。
このような構成によれば、プレート定着板の水平鋼板を、鋼製梁の上部フランジを跨いだ上部フランジ上に設置されているため、プレート定着板を形成する鉛直鋼板とともに、鋼製梁が、水平鋼板の変形に抵抗することが可能となる。したがって、更に強固な構造を実現することが可能となる。
このような構成によれば、建物の最上階の柱頭部を上方に延伸させたり、屋上スラブを増し打ちしたり、或いは、高価な定着金物を使用することなく、最上階の柱梁接合部における柱主筋の定着性能が確保された建物を提供することができる。
鉛直投影面からコンクリートを打設する際に、図11に示す従来の柱主筋の定着構造ではコンクリート面が少ないことにより、施工時に上方からコンクリートを打設する場合に充填不足の可能性が高くなる。本発明では、コンクリート面積が広く改善されたことによりコンクリートの充填度に対する信頼性が高まり、躯体としての品質の向上が期待できる。
具体的には、本発明によるプレート定着板の第1実施形態は、鋼製梁の上部フランジを跨いだ前記上部フランジ上に設置された水平鋼板と、当該水平鋼板の下部側に鉛直鋼板が接合されたものであり、第2実施形態は、鋼製梁の上部フランジを跨ぐことなく、柱主筋の最上端部が締結されたものであり、第3実施形態は、プレート定着板が鋼製梁の上部フランジを跨いで設置され、そのプレート定着板同士は一部重なり部があり、四方に配筋される柱主筋を覆う様にロ型状に設置されたものである。
また、第4実施形態は、第3実施形態と同様に、プレート定着板がロ型状に設置されるとともに、鋼製梁にL形鋼材が接合されたものであり、第5実施形態は、第3、4実施形態と同様に、プレート定着板がロ型状に設置されるとともに、鋼製梁の上下フランジに鉛直鋼板が接合されたものである。
第6実施形態は、柱主筋群を1枚のプレート定着板にて締結するものであり、第7実施形態は、第3〜5実施形態と同様に、プレート定着板がロ型状に設置されるとともに、当該プレート定着板は溝型状の鋼材である。
定着手段は、水平鋼板、または鉛直部と水平部が予め溝型状に一体化された鋼材で形成される。また、鉛直部は、鉛直鋼板または棒状材で形成される。
以下、実施形態ごとに構成と、その作用効果を述べる。
まず、図1から図3を用いて、第1の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による柱主筋の定着構造の水平断面図である。図1は、RC柱に、鋼製梁が一方向(図では側面方向)架設させた柱梁接合部であり、地震力が作用する場合の柱主筋の定着部分の発明である。正面方向は、ピン接合の梁が取付く場合を相当している。また、図2は柱主筋の定着構造の縦断面図であり、図2(a)は正面縦断面図で、図2(b)は側面縦断面図である。図2(a)、(b)のA−A´断面図が、図1となる。図3は、第1の実施形態の柱主筋の定着構造を構成するプレート定着板であり、図3(a)は斜視図で、図3(b)は正面図である。
図1、図2に示されるように、本第1の実施形態における柱主筋の定着構造1を備える、建物の構造躯体は、柱2と梁3で構成されている。柱2は、図示しない基礎や床スラブ等の上に立設された、コンクリート造柱2である。コンクリート造柱2の柱頭部2aには、鋼製梁3が直交して挿通されて、固定されている。本実施形態においては、コンクリート造柱2はRC柱2であり、鋼製梁3は鉄骨梁3、より具体的にはH形鋼である。鉄骨梁3は、上部フランジ3a、下部フランジ3b、及びウェブ3cを備えている。本第1の実施形態においては、鉄骨梁3はRC柱2に対して、図1における左右方向である第1の方向Xの両側から接続されている。
鉄骨梁3のウェブ3cの、RC柱2内に埋設された部分には、ウェブ3cの厚さを増すように、図示しないダブラープレートが溶接により接合されている。また、RC柱2の外表面2bの、鉄骨梁3のウェブ3cが突出している部位には、フェイスベアリングプレート5が、RC柱2の外表面2b上に外表面2bと平行に、かつ、鉄骨梁3のウェブ3cと垂直になるように、接合されて設けられている。
RC柱2内には、複数の柱主筋6が、鉛直方向Zに延在して設けられている。また、柱主筋6の外側を水平方向に囲うように、帯筋7が配筋されている。鉄骨梁3のウェブ3cには、複数の孔3dが開設されており、鉄骨梁3が埋設されている高さ位置においては、この孔3dに帯筋7が挿通されている。
鉛直鋼板12は、上端12aから下方の特定の高さ位置まで、長さ方向X1の長さは水平鋼板11の長さ方向X1の長さと略同等の長さを備えている。この特定の高さ位置において、鉛直鋼板12は、その両側辺12bが斜め内側方向に向けて屈曲する形状を備えており、これにより、この特定の高さより低い高さ位置においては、下方に向かうにつれ鉛直鋼板12の長さが漸次小さくなるように形成されている。
第2のスリット12eは、鉛直鋼板12の上端12aが、長さ方向X1における略中央の位置から長さ方向X1の両端に向かって水平に、一定の長さだけ削り取られるように形成されている。鉛直鋼板12の上側には水平鋼板11が接合されているため、第2のスリット12eの上側は、水平鋼板11の下面11bによって塞がれている。第2のスリット12eは、第2のスリット12eの長さ方向X1における中央位置に第1のスリット12dが位置して第1のスリット12dと連通するように、かつ、第2のスリット12eの長さ方向X1の長さが鉄骨梁3の上部フランジ3aの幅と略同等となるように形成されている。また、第2のスリット12eの高さ方向Z1の高さは、鉄骨梁3の上部フランジ3aの厚さと略同等となるように形成されている。
プレート定着板10はRC柱2内部の、鉄骨梁3の延在する方向、すなわち第1の方向Xにおいて、柱主筋6の位置する外表面2bに近い位置に設けられている。本第1の実施形態においては、鉄骨梁3は、第1の方向XにおいてRC柱2の互いに反対側の2つの外表面2bから突出するように設けられているため、プレート定着板10はRC柱2の両側の、計2か所に設けられている。
柱主筋6、帯筋7、プレート定着板10の周囲にはコンクリートが打設されて、RC柱2が形成されることにより、これらの部材がコンクリート内に埋設されている。
先ず始めに、最上階より下方階の床スラブ上に、RC柱を形成するための柱型枠を組み立てる。
次に、柱型枠内に、柱主筋6と帯筋7を配筋する。
その後、プレート定着板10を鉄骨梁3に接合し、支保工などにより、プレート定着板10が設けられた鉄骨梁3を設置する。
次に、柱主筋6の上端部6aを、水平鋼板11に開設された孔11c内に挿通させて、上端部6aにナット8を螺着させることにより緊締する。
その後、型枠内にコンクリートを打設して、RC柱2を製作する。
最後に型枠、支保工を撤去する。
また、プレート定着板10の水平鋼板11を、鉄骨梁3の上部フランジ3aを跨いだ上部フランジ3a上に設置されているため、プレート定着板10を形成する鉛直鋼板12とともに、鉄骨梁3が、水平鋼板11の変形に抵抗することが可能となる。したがって、更に強固な構造を実現することが可能となる。
次に、図4を用いて、柱主筋の定着構造の第2の実施形態を説明する。図4は、第2の実施形態による柱主筋の定着構造を構成するプレート定着板であり、図4(a)は上面図で、図4(b)は正面図で、図4(c)は設置状況の説明図である。第2の実施形態のプレート定着板(定着手段)20は、第1の実施形態のプレート定着板10と比べると、鉛直鋼板(鉛直部)22の形状と、プレート定着板20が鉄骨梁とは接合されない点が異なっている。
図4(c)に示されるように、上記のようなプレート定着板20に対して、第1の実施形態におけるプレート定着板10と同様に、柱主筋6が、水平鋼板21に開設された孔21c内に挿通されるとともに、水平鋼板21の上方に突出する柱主筋6の上端部6aにナット8が螺着され緊締されている。プレート定着板20は、鉄骨梁に対して接合されない状態で、RC柱2のコンクリートに埋設されて、固定されている。
本第2の実施形態が、上記第1の実施形態と同様に、定着破壊を防止可能な、強固な柱主筋の定着構造を実現することが可能となる、設計、施工、及び材料費等を低減し、かつ、広い室内空間を実現することが可能である、柱主筋6に作用する引張力に抵抗しうる強固な構造を実現することが可能となる等の効果を奏することはいうまでもない。
次に、図5を用いて、柱主筋の定着構造の第3の実施形態を説明する。図5は、本発明の第3の実施形態による柱主筋の定着構造であり、図5(a)は水平断面図で、図5(b)は図5(a)の正面縦断面図(B−B´)である。第3の実施形態のプレート定着板(定着手段)30は、第1の実施形態のプレート定着板10と比べると、鉛直鋼板(鉛直部)32の形状と、プレート定着板30の設置構造が異なっている。
鉄骨梁3Aと鉄骨梁3BはXY平面内で直交しており、また、鉄骨梁3A、3Bと、これらに対応するプレート定着板30A、30Bの各々は、第1の実施形態において記載した要領で、直交して交差するように接合されている。したがって、鉄骨梁3Aに設けられたプレート定着板30Aと、鉄骨梁3Bに設けられたプレート定着板30Bは、互いに直交するように位置している。プレート定着板30Aとプレート定着板30Bは、各々の水平鋼板31の端部において、互いに接合されて、これにより、4個のプレート定着板30の、4枚の水平鋼板31がロ字形状を成している。各プレート定着板30同士は、ロ型状の四隅において、其々重なり部分が設けられている。
RC柱2の柱主筋6は、第1の実施形態と同様に、水平鋼板31に開設された孔31c内に挿通されるとともに、水平鋼板31の上方に突出する柱主筋6の上端部6aにナット8が螺着され緊締されている。
本第3の実施形態が、上記第1の実施形態と同様に、設計、施工、及び材料費等を低減し、かつ、広い室内空間を実現することが可能である、柱主筋に作用する引張力に抵抗しうる強固な構造を実現することが可能となる等の効果を奏することはいうまでもない。
次に、図6を用いて、柱主筋の定着構造の第4の実施形態を説明する。図6は、本発明の第4の実施形態による柱主筋の定着構造であり、図6(a)は水平断面図で、図6(b)は図6(a)の正面縦断面図(C−C´)である。第4の実施形態のプレート定着板(定着手段)40(40A、40B)は、第1の実施形態のプレート定着板10と比べると、2個のプレート定着板40A、40Bを備えていること、及び、各プレート定着板40A、40Bは、鉄骨梁3に挿通されるのではなく、側方から鉄骨梁3に接合されている点が異なっている。本実施形態では、プレート定着板40の水平鋼板41は鉄骨梁3の上部フランジ3aと同一レベルであるために、鉄骨梁3とプレート定着板40の接合方法は複雑となる。しかし、プレート定着板40が上部フランジ3aの上面に設置されないために、柱主筋6の頭部側については、コンクリートの被り厚さを容易に確保することができる。
プレート定着板40Aは、鉄骨梁3の図6(b)における右方向から、上記欠落部内に鉄骨梁の上部フランジ3aが位置するように設けられる。すなわち、水平鋼板41Aの欠落部側の側辺41aが上部フランジ3aの側辺3fと、鉛直鋼板42Aの欠落部における上端辺42aが上部フランジ3aの下面と、及び、鉛直鋼板42Aの側端辺42bがウェブ3cの側面と、それぞれ接するようにプレート定着板40Aが配されて、これらの接触部位において溶接されることで、プレート定着板40Aは鉄骨梁3に接合されている。
プレート定着板40Aの、欠落部とは反対側の端部、すなわち図6(b)における右端には、孔41bが形成されている。柱主筋6は、第1の実施形態と同様に、水平鋼板41Aに開設された孔41b内に挿通されるとともに、水平鋼板41Aの上方に突出する柱主筋6の上端部6aにナット8が螺着され緊締されている。
また、上記のように、コンクリートの被り厚さを容易に確保することができる。
本第4の実施形態が、上記第1の実施形態と同様に、定着破壊を防止可能な、強固な柱主筋の定着構造を実現することが可能となる、設計、施工、及び材料費等を低減し、かつ、広い室内空間を実現することが可能である、柱主筋6に作用する引張力に抵抗しうる強固な構造を実現することが可能となる等の効果を奏することはいうまでもない。
次に、図7を用いて、柱主筋の定着構造の第5の実施形態を説明する。図7は、本発明の第5の実施形態による柱主筋の定着構造であり、図7(a)は水平断面図で、図7(b)は図7(a)の正面縦断面図(D−D´)である。第5の実施形態のプレート定着板(定着手段)50(50A、50B)は、第4の実施形態のプレート定着板40(40A、40B)と同様に、2個のプレート定着板50A、50Bを備えており、各プレート定着板50A、50Bは、鉄骨梁3の側方から接合されている。プレート定着板50は、第4の実施形態におけるプレート定着板40とは、鉛直鋼板(鉛直部)52の形状が異なっている点を除いて、同じ形状を備えており、プレート定着板40(40A、40B)と同様な要領で鉄骨梁3に接合されている。
柱主筋6は、第4の実施形態において上記した要領で、プレート定着板50A、50Bの水平鋼板51A、51Bに固定されている。
本第5の実施形態が、上記第1の実施形態と同様に、定着破壊を防止可能な、強固な柱主筋の定着構造を実現することが可能となる、設計、施工、及び材料費等を低減し、かつ、広い室内空間を実現することが可能である、柱主筋に作用する引張力に抵抗しうる強固な構造を実現することが可能となる等の効果を奏することはいうまでもない。
次に、図8を用いて、柱主筋の定着構造の第6の実施形態を説明する。図8は本発明の第6の実施形態による柱主筋の定着構造のプレート定着板であり、図8(a)は水平断面図、図8(b)は斜視図、図8(c)は設置状況の説明図である。第6の実施形態のプレート定着板(定着手段)60は、第1の実施形態のプレート定着板10と比べると、水平鋼板61及び鉛直鋼板(鉛直部)62の形状と、プレート定着板60が鉄骨梁とは接合されない点において異なっている。本第6実施形態では、図4に示す第2実施形態と同様に、水平鋼板61が、鉄骨梁3のフランジ面を上面から抑える構造ではないので、柱主筋6を介して水平鋼板61が下方に抑え込むことになる。しかし、一方では、プレート定着板60は、鉄骨梁3の位置に依存せずに、柱主筋6の位置のみを考慮して配置できるために、設計自由度が向上できる面もある。
水平鋼板61の下面には、3枚の鉛直鋼板62が、水平鋼板61に対して垂直になるように溶接されている。3枚の鉛直鋼板62は、各鉛直鋼板62の一方の側辺が向かい合って溶接され、他方の側辺が放射状に、互いに外方を向くように設けられることにより、水平断面視した際にY字形状となるように形成されている。
プレート定着板60は、第2の実施形態として図4(c)を用いて説明したプレート定着板20と同様に、鉄骨梁3に対して接合されない状態で、RC柱2のコンクリートに埋設されて、固定される。
また、柱主筋6は、水平鋼板61に形成されたスリット61d内に挿通させて固定することが可能である。すなわち、柱主筋6の上端部を水平鋼板61に固定する際に、上端部の位置を、スリット61dが形成された方向にスリット61dに沿って、スリット61dの長さ分だけ、移動させて調整することが可能である。これにより、対応可能な配筋形式が増えるため、設計自由度が更に向上する。
また、プレート定着板60は、複数の柱主筋6を1枚のプレート定着板60で定着させるものであり、四隅位置の柱主筋6に隣接する其々の柱主筋6はスリット61dに挿入させ、固定するものであり、多様な柱主筋6の配筋位置であっても本プレート定着板60で対応可能である。
本第6の実施形態が、上記第1の実施形態と同様に、定着破壊を防止可能な、強固な柱主筋の定着構造を実現することが可能となる、設計、施工、及び材料費等を低減し、かつ、広い室内空間を実現することが可能である、柱主筋に作用する引張力に抵抗しうる強固な構造を実現することが可能となる等の効果を奏することはいうまでもない。
次に、図9を用いて、柱主筋の定着構造の第7の実施形態を説明する。図9は第7の実施形態による柱主筋の定着構造を構成するプレート定着板であり、図9(a)は斜視図で、図9(b)、(c)は設置状況の説明図である。第7の実施形態のプレート定着板(定着手段)70は、第1の実施形態のプレート定着板10と比べると、プレート定着板70の形状と設置構造が異なっている。
プレート定着板70の水平鋼板71上面の、柱主筋が定着される位置には、鋼板である支圧板74が固定されており、水平鋼板71と支圧板74の双方を貫通するように孔75が開設されている。
本第7の実施形態が、上記第1の実施形態と同様に、設計、施工、及び材料費等を低減し、かつ、広い室内空間を実現することが可能である、柱主筋に作用する引張力に抵抗しうる強固な構造を実現することが可能となる等の効果を奏することはいうまでもない。
また、第4及び第7の実施形態においては、プレート定着板を複数の鋼板を溶接して製作するのではなく、L形鋼やCチャンネル等の、市販のロール材を適宜切削して作成しても構わない。これにより、プレート定着板の製作が更に容易となる。
2 RC柱(コンクリート造柱)
3 鉄骨梁(鋼製梁) 3a 上部フランジ(フランジ)
3b 下部フランジ(フランジ) 3c ウェブ
6 柱主筋 6a 上端部
8 ナット
10、20、30、40、50、60、70 定着手段(プレート定着板)
11、21,31、41、51、61、71 水平鋼板
11c、21c、31c、41b、61c、75 孔
12、22、32、42、52、62、72 鉛直部(鉛直鋼板)
Claims (4)
- コンクリート造柱と鋼製梁で構成された建物の最上階の柱梁接合部における柱主筋の定着構造であって、
前記柱主筋の上端部は、鉛直部を有する定着手段に固着され、
前記定着手段は、水平鋼板と前記鉛直部を構成する鉛直鋼板が接合されたプレート定着板であり、前記鉛直鋼板は、前記コンクリート造柱を構成するコンクリート内に埋設されていることを特徴とする柱主筋の定着構造。 - 前記柱主筋は、前記水平鋼板に開設された孔内に挿通されるとともに、該柱主筋の上端部が前記水平鋼板上にナットで緊締されていることを特徴とする請求項1に記載の柱主筋の定着構造。
- 前記鋼製梁は、上部フランジ、下部フランジ、及びウェブを備え、
前記水平鋼板は、前記鋼製梁の上部フランジを跨いで該上部フランジ上に設置され、
前記鉛直鋼板は、前記水平鋼板の下面から下方に延在し、前記ウェブの両側に接合されて、下端が前記下部フランジの上面の高さに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の柱主筋の定着構造。 - 前記定着手段は、前記鋼製梁から離間して位置づけられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の柱主筋の定着構造。
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