JP6674771B2 - 紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、各種食品、化粧品、点滴用調剤、アンプル、注射器等の医薬品の軟包装フィルムパッケージ材に用いる紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキの製造方法に関する。詳しくは、中身が透けて見えて、尚且つ紫外線を遮断するフィルムパッケージに用いる紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法に関する。
食品、医薬品等の包装パッケージには、紫外線による内容物の劣化を防ぐためにアルミ蒸着フィルムを用いることが多いが、中身が一目で確認できる安心・安全の観点から、内容物が見えて尚且つ紫外線を遮断するフィルムパッケージの要求が出てきている。
一方で、酸化亜鉛は紫外線を吸収し、他顔料に比べ透明度を有することから、紫外線遮蔽効果のある酸化亜鉛を用いた紫外線遮蔽コーティング組成物の発明が成されている(例えば、特開2011−252120)。
しかし、市場では更なる透明性を有し、尚且つ紫外線遮蔽率の高いフィルムが要求されている。酸化亜鉛を微粒子化することにより、フィルム塗布時の透明度が向上するが、現行の分散練肉による製造方法では透明度に限界がある。また、酸化亜鉛の添加量を変化させることにより透明度も変動するが、紫外線遮蔽率は酸化亜鉛の含有量が下がると劣る傾向にあり、透明性と紫外線遮蔽率の両立が望まれる。本発明は、現状のフィルムへの密着性、塗膜のスクラッチ性と言った基本性能に加えて、高い遮断性を保持しつつ、可視光に対してより透明性の高い包材用途向けフィルムパッケージに用いる紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法に関するものである。
特開2011−252120号公報
本発明は、フィルムへの密着性、塗膜のスクラッチ性と言った基本性能に加えて、紫外線に対しては高い遮断性を保持しつつ、可視光に対してはより高い透明性を持つ食品、化粧品、医薬品等の包材用途向けフィルムパッケージに用いる紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法に関する。
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリウレタン樹脂、塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛、無処理酸化亜鉛、及び芳香有機溶剤を除く有機溶剤の混合物に対する練肉方法を工夫することで、課題解決に有効であることを見出した。
即ち、本発明は、ポリウレタン樹脂、塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛、無処理酸化亜鉛、及び芳香有機溶剤を除く有機溶剤の混合物を、高せん断力を与えることで練肉、分散した後小片化させることを特徴とする紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、高せん断力を与える手段として、2本ロール練肉機を用いる請求項1に記載の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、使用するポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000〜100,000、ガラス転移点(Tg)−45〜−10℃、である紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法に関する。
加えて、本発明は、使用する塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の水酸基価が、50〜200mgKOH/gであり、且つ共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有率が80〜95質量部である紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法に関する。
従来は、高い紫外線遮蔽性を保持すると可視光の透明性が低下してしまうのに対し、本発明により、フィルムへの密着性、塗膜のスクラッチ性と言った基本性能に加えて、紫外線に対しては高い遮断性を保持しつつ、可視光に対してはより高い透明性を持つフィルムパッケージ向け紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法を提供する。
本発明について詳細に説明する。なお以下の説明で用いる「インキ組成物」とは全て「紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示す。
本発明は、ポリウレタン樹脂、塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛、無処理酸化亜鉛、及び芳香有機溶剤を除く有機溶剤の混合物を、高せん断力を与えることで練肉、分散した後小片化させることを特徴とする紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法に関する発明である。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法では、具体的には前記ポリウレタン樹脂、塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛、無処理酸化亜鉛、及び芳香有機溶剤を除く有機溶剤の混合物を、高せん断力を与えることで練肉、分散した後小片化させたチップ配合物であるインキ組成物を予め作製し、このチップ配合物に更にウレタン樹脂、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアセテート、メチルエチルケトンなど各種有機溶剤に溶解させ、消泡剤等各種添加剤を添加し練肉することで十分分散された紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキを得ることができる。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法で使用するポリウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオールを原料とするポリウレタン樹脂であり、ポリエーテルポリオールの含有比率が、ポリウレタン樹脂100質量部に対して、数平均分子量100〜3500のポリエーテルポリオールが1〜30質量部の範囲であることが好ましい。詳細は後述するが、ポリエーテルポリオール樹脂としては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール樹脂、ポリプロピレングリコール樹脂、ポリテトラメチレングリコール樹脂など公知汎用のものでよい。ポリエーテル樹脂を上記の範囲で含有することにより、特にフィルムへの密着性が大幅に向上し、結果として耐ブロッキング性、ラミネート強度が優れるようになる。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法で使用するポリウレタン樹脂の構成成分であるポリエーテルポリオール樹脂の数平均分子量が100より小さいと、ポリウレタン樹脂の皮膜が硬くなる傾向にあり、特にポリエステルフィルムへの接着性が悪くなる。数平均分子量が3500より大きい場合、ポリウレタン樹脂の皮膜が脆弱になる傾向にありインキ皮膜の耐ブロッキング性が悪くなる。ポリウレタン樹脂100質量部に対してポリエーテルポリオールの比率が1質量部未満であると、該ウレタン樹脂のケトン、エステル、アルコール系溶剤への溶解性が悪くなる。またインキ皮膜の該溶剤への再溶解性が悪くなり、印刷物の調子再現性が劣る。また30質量部を超えると、耐ブロッキングが劣る傾向がある。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法で使用するポリウレタン樹脂に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2―プロパンジオール、1,3―プロパンジオール、2メチル−1,3プロパンジオール、2エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
なお、前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法におけるポリウレタン樹脂に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5―ナフチレンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’―ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3―フェニレンジイソシアネート、1,4―フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン―1,4―ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン―1,4―ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジイソシアネート、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、mーテトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法におけるポリウレタン樹脂に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジアミンなどの他、2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジーnーブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法で使用するポリウレタン樹脂は、例えば、ポリプロピレングリコールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、ノントルエン系グラビアインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリプロピレングリコールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9〜1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。
このようにして得られるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、15,000〜100,000の範囲内で且つラミネートインキ組成物のフィルム基材への密着性、耐スクラッチ性を得る点からガラス転移点(Tg)−45〜−10℃であることが好ましく、より好ましくは重量平均分子量20,000〜60,000の範囲である。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000未満の場合には、得られるインキの組成物の耐ブロッキング性、印刷被膜の強度や耐油性などが低くなる傾向があり、100,000を超える場合には、得られるインキ組成物の粘度が高くなり、印刷被膜表面の平滑性が低下し、光沢が低くなる傾向がある。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法で使用するポリウレタン樹脂の含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点から、最終的に溶剤類で調整されたラミネートインキ総質量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、更には6〜15質量%の範囲が好ましい。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法で用いるポリウレタン樹脂は、前述の組成であれば特に制限なく用いることができるが、これらの中でも、ウレタン樹脂中に活性水素含有官能基、例えば、水酸基、一級、又は二級のアミノ基等を含有しているものが、ウレタン樹脂とブロックイソシアネートの架橋が円滑に進行して、得られる印刷インキ層が強固になることから好ましい。なお、前記ウレタン樹脂中に活性水素含有官能基が含まれていなくても、インキ層を高温で加熱すれば、活性水素を含有したウレタン樹脂を用いた場合と同様な結果が得られる。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法では、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
本製造方法で作製した紫外線遮蔽軟包装用ラミネート用インキ組成物として使用する場合、接着性、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性、印刷適性等全ての性能を満足する必要があるため、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は適正なモノマー比率が存在する。即ち、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂100質量部に対し、塩化ビニルは80〜95質量部が好ましい。80質量部未満だと樹脂被膜の強靭さ劣り、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性が低下する。95質量部を超えると樹脂被膜が硬くなりすぎ、接着性が低下する。また、ビニルアルコールから得られる水酸基価は50〜200mgKOH/gが好ましい。50mgKOH/g未満だと極性溶媒への溶解性が劣り、印刷適性が不良となる。200mgKOH/gを超えると耐水性が低下する傾向にある。
本製造方法で使用する塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の添加量は、仕上がったラミネート用インキ組成物の塗膜の強靭さ、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性の観点からラミネート用インキ組成物全量の0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%であればより好ましい。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法では、ハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を必須とする。
本発明の製造方法で使用する酸化亜鉛としては、平均粒子径が5〜50nm、好ましくは15〜40nmのものを使用できる。酸化亜鉛をハイドロゲンジメチコン処理する場合、無処理の酸化亜鉛に対して直にハイドロゲンジメチコン処理したものと、粒子の不活性化を目的に酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカ層をコーティングすることで、粒子表面を一旦高密度シリカ覆った上で、更にハイドロゲンジメチコン処理したものに大別できるが、本発明の製造方法で使用する酸化亜鉛としては、前者の無処理の酸化亜鉛に対して直にハイドロゲンジメチコン処理したものがより好ましい。その理由としては、後者の酸化亜鉛粒子表面を高密度シリカ層で覆い不活性化させ、酸化亜鉛の凝集力を弱める手法では、前記高密度シリカ層が含水性シリカであるため、本発明の製造方法によるインキ組成物の練肉工程で欲する疎水性を妨げ、混合する樹脂成分や溶剤との高分散性が低下する傾向にあることが挙げられる。
また、前記した無処理の酸化亜鉛に対して直にハイドロゲンジメチコン処理する場合、酸化亜鉛粒子表面を均一に且つ完全にシリコーンが覆い尽くし、粒子を粉砕しても活性面が露出しない湿式処理よりも、酸化亜鉛粒子表面の一部が露出し、活性面が露出した乾式処理をしたものの方が結果的にインキ組成物の分散性が向上しより好ましい。
本発明の製造方法で使用する酸化亜鉛に施すハイドロゲンジメチコン処理に用いられるシリコーンとしては、例えばメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体等の各種シリコーン油を挙げることができる。中でも、メチルハイドロゲンポリシロキサンやメチルポリシロキサンが好ましい。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法で使用する酸化亜鉛は、最終的に溶剤類で調整されたラミネートインキ総質量に対して5〜30質量%が好ましく、うち無処理の酸化亜鉛に直にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛の添加量は、酸化亜鉛全量の1〜10質量%であり、好ましくは2〜7質量%であり、より好ましくは3〜5質量%である。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法で使用する有機溶剤は、芳香族有機溶剤を除く有機溶剤を使用することができる。例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、イノプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150といった芳香族系溶剤を用いないことが望ましい。中でもポリウレタン樹脂への溶解性の観点から、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアセテート、メチルエチルケトンの混合液がより好ましい。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法では、高煎断力を与えることで練肉、分散した後小片化させることを特徴とする。一般的に軟包装用ラミネートインキでは、小煎断力のビーズミル分散機を使用するが一般的であるが、本発明では高煎断力による分散を必須とし、具体的には練肉時に高い煎断力が得られる2本ロールミルが最も好ましい。2本ロールミルの練肉装置としては、例えばロールは金属(鋼鉄)製であり、ロール外径50cm〜2m、ロールの重量0.5〜7トン、ロール間が0.3〜30mm、ロールの回転数が30〜300回転/分、ロール温度50〜95℃にて、30〜360分連続連肉できれば良い。練肉が進行するに従い溶剤分が揮発し、練肉完了後常温(25℃)に冷却した段階で固化し、最終的にはチップ状の小片の顔料樹脂固形物となり、この固形物を再度、樹脂、溶剤類に溶かし紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキを作製する。
本発明の製造方法では更に必要に応じて、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による数平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
また、ガラス転移温度(Tg)の測定は、示差雰囲気下、冷却装置を用い温度範囲−80〜450℃、昇温温度10℃/分の条件で走査を実施した。
調整例1〜6に従い、本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法によるベースインキA〜Fを調製した。
ベースインキA〜Fの配合比率は次の通りである。
ベースインキEについては、ハイドロゲンジメチコン処理してない酸化亜鉛を使用した。
ベースインキGについては、分散剤を削除した。

ポリウレタン樹脂 33.0部
水酸基を有する塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂 3.0部
各種酸化亜鉛 60.0部
分散剤 4.0部
合 計 100.0部
〔調整例1:ベースインキAの作製〕
日立化成(株)製ポリウレタン樹脂TA24−542D(Tg:−28℃、Mw:39,000)を33部、日信化学工業(株)製 塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂ソルバインAを3部、堺化学工業(株)製FINEX−50S−LP2(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の4重量%含む)を60部、ルーブリゾール社製ε−カプロラクトン系高分子分散剤ソルスパース24000を4部混合した後、これを2本鋼鉄ロール練肉機に次の条件下で120分間連続練肉した後、25℃に冷却するまで放置し、固化したベースインキを練肉機から回収し、チップ状に小片化させたベースインキAを作製した。鋼鉄ロール径1m、ロール重量3トン、ロールのニップ間:2mm、回転数200rpm、ロール温度:80℃
〔調整例2:ベースインキBの作製〕
ベースインキAの日立化成(株)製ポリウレタン樹脂TA24−542D代わりに、三洋化成(株)製ポリウレタン樹脂IB−501(Tg:−26℃、Mw:25,000)を同量33部添加する他は、全て同じ配合、同じ手順にてベースインキBを作製した。
〔調整例3:ベースインキCの作製〕
ベースインキAの堺化学工業(株)製FINEX−50S−LP2の代わりに、同社製
FINEX−50−LPT(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の7重量%含む)を同量60部添加する他は、全て同じ配合、同じ手順にてベースインキCを作製した。
〔調整例4:ベースインキDの作製〕
ベースインキAの堺化学工業(株)製FINEX−50S−LP2の代わりに、同社製
FINEX−50W−LP2(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の4重量%と、高密度シリカ層をコーティングした酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の21重量%含む)を同量60部添加する他は、全て同じ配合、同じ手順にてベースインキDを作製した。
〔調整例5:ベースインキEの作製〕
ベースインキAの堺化学工業(株)製FINEX−50S−LP2の代わりに、同社製
FINEX−H50(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)に高密度シリカ層をコーティング、ハイドロゲンジメチコン処理共にされていない酸化亜鉛)を同量60部添加する他は、全て同じ配合、同じ手順にてベースインキEを作製した。
〔調整例6:ベースインキFの作製〕
ベースインキAからの塩酢ビニル酢酸ビニル共重合樹脂ソルバインA 3部を削除し、日立化成(株)製ポリウレタン樹脂TA24−542Dを33部、堺化学工業(株)製FINEX−50S−LP2(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の4質量%含む)を60部、ルーブリゾール社製ε−カプロラクトン系高分子分散剤ソルスパース24000を4部混合した他は、全て同じ手順にてベースインキFを作製した。
〔調整例7:ベースインキGの作製〕
ベースインキAからルーブリゾール社製ε−カプロラクトン系高分子分散剤ソルスパース24000の4部を削除した他は、全て同じ手順にてベースインキGを作製した。
上記、ベースインキA〜Fで使用する酸化亜鉛を列記すると次の通りである。
表1には、各酸化亜鉛の構成を質量比率(%)で示す。平均粒子径は全て20nmである。
・ベースインキA、B
:a)FINEX−50S−LP2(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の4質量%含む)
・べースインキC
:b)FINEX−50−LPT(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の7質量%含む)
・ベースインキD
:c)FINEX−50W−LP2(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の4質量%と、高密度シリカ層をコーティングした酸化亜鉛(平均粒子径20nm)にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛を酸化亜鉛全量の21質量%含む)
・ベースインキE
:d)FINEX−H50(無処理の酸化亜鉛(平均粒子径20nm)に高密度シリカ層をコーティング、ハイドロゲンジメチコン処理共にされていない酸化亜鉛)
Figure 0006674771
調整例8〜14に従い、従来からの分散方法であるビーズミルによるベースインキH〜Nについて、ジルコニアビーズミルを用いて調製した。尚、ジルコニアビーズミルによる練肉では必ず溶剤分の添加が必要である事から、ベースインキを希釈して最終的に紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキとする際に使用する溶剤である、ノルマルプロピルアセテート及びイソプロピルアルコールを各々4部ずつ、練肉に最小限の必要な量を添加し練肉調製した。
〔調整例8:ベースインキHの作製〕
ベースインキAと同様の構成に、更にノルマルプロピルアセテート4部、イソプロピルアルコール4部を混合した後、直径5mmのジルコニアビーズを200g入れ、ペイントコンディショナーにて60分間練肉し、ベースインキHを作製した。
〔調整例9〜14:ベースインキI〜Nの作製〕
ベースインキB〜Gの配合各々に対して、ベースインキHと同様にノルマルプロピルアセテート4部、イソプロピルアルコール4部を混合した後、ベースインキHと同様に直径5mmのジルコニアビーズを200g入れ、ペイントコンディショナーにて60分間練肉し、ベースインキI〜Nを作製した。
高煎断性練肉(2本ロール)によるベースインキA〜Gの配合を表2に、ジルコニアビーズミ練肉によるベースH〜Nの配合を表3に示す。
Figure 0006674771
Figure 0006674771
[実施例1]
ベースインキAを33.3部、ウレタン樹脂IB−915(三洋化成(株)社製)を7部、ロジンニスR624−501(江南化成(株)社製)を1部、添加剤スーパークロン341Eトルエン(塩素化ポリプロピレン系、日本製紙(株)社製)を1.6部、酢酸エチル7部、ノルマルプロピルアセテート14部、イソプロピルアルコール14部、消泡剤SN−353を0.1部加え練肉し、紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキを作製した。
仕上がったラミネートインキ全量中の酸化亜鉛は20質量%を含有する。
得られたラミネートインキの粘度をメチルエチルケトン、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶液(重量比40:40:20)で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により
2軸延伸ポリプロピレンOPPフィルム(東洋紡社製 P2161、厚み20μm)とPETフィルム(東洋紡社製 E5100、 厚み12μ)のフィルム2種にベタ刷り印刷して45℃で乾燥し、印刷物を得た。
[実施例2〜5、及び比較例1〜9]
実施例2〜5についてベースインキA〜D、及びG、比較例1、2についてベースインE、Fを用いて、実施例1と同様の配合にてラミネートインキを作成し、同じ作製手順にて印刷物を作製した。尚、ジルコニアビーズミ練肉による比較例3〜9については、最終的に作製した紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ全量中の酸化亜鉛の量を実施例1と同様20質量%とすべく、例えば比較例3については、ベースインキHを36.6部、ウレタン樹脂IB−915(三洋化成(株)社製)を7部、ロジンニスR624−501(江南化成(株)社製)を1部、添加剤スーパークロン341Eトルエン(塩素化ポリプロピレン系、日本製紙(株)社製)を1.6部、酢酸エチル7部とした他、溶剤総量を合せるべくノルマルプロピルアセテート10部、イソプロピルアルコール10部、消泡剤SN−353を0.1部加えジルコニアビーズミにて練肉し、紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキを作製した。得られたラミネートインキの粘度を実施例1と同様にメチルエチルケトン、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶液(質量比40:40:20)で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により実施例1と同様にフィルム2種に印刷して45℃で乾燥し、印刷物を得た。比較例3と同様の要領にて、比較例4〜9についてラミネートインキを作製し同様の手順にて印刷物を得た。
得られた印刷物について、ポリプロピレンOPPフィルム、及びPETフィルム各々への密着性、スクラッチ性、透明度、紫外線透過率について評価した。また、最終的に仕上がった紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキの酸化亜鉛の粒度分布について、粒度分布測定装置によるレーザー解析により調査した。その結果を表4、5に示す。尚、評価は下記の試験方法にて行った。
1)密着性
紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキをベタ刷りしたポリプロピレンOPPフィルム、及びPETフィルム各々を100℃にて10秒間オーブン加熱した後、常温(25℃)で1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、これを急速に剥がしたときのレジスト印刷皮膜の外観の状態を目視判定した。なお判定基準は次の5段階とした。
5:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
4:印刷皮膜の70%以上〜90%がフィルムに残った。
3:印刷皮膜の50%以上〜70%未満がフィルムに残った。
2:印刷皮膜の30%以上〜50%未満がフィルムに残った。
1:印刷皮膜の30%以下がフィルムに残った。
2)耐スクラッチ性
爪によりOPPフィルム、及びPETフィルム各々の印刷皮膜を擦った際の外観の状態を目視判定した。なお判定基準は次の5段階とした。
5:10回以上擦っても皮膜が剥がれない
4:10回の擦れでわずかに皮膜が剥がれる
3:4〜5回の擦れで皮膜が剥がれる
2:2〜3回の擦れで皮膜が剥がれる
1:1回の擦れで皮膜が容易に剥がれる
3)透明度(ヘイズ)
日本電色社製(NDH5000)濁度計を用い、OPPフィルム及びPETフィルム各々の印刷部の透明度を計測した。数値が小さい程、透明度が高い。尚、印刷していない因みに、2軸延伸ポリプロピレンOPPフィルム(東洋紡社製、厚み20μm)の透明度は2.8であった。また、PETフィルム(東洋紡社製 厚み12μ)の透明度は2.6であった。
4)紫外線透過率(%)
日本分光社製UV/VIS SPECTROMETER(V−570DS)を用い、OPP及びPETフィルム印刷部の紫外線透過率を測定した。 紫外線透過率は360nmのところの透過率(%)を表記し、数値が小さい程、紫外線を遮断しており、数値が大きい程、紫外線が透過している。
5)粒度分布
日機装(株)社製マイクロトラック(Microtrac)粒度分布測定装置MT3300EXIIによるレーザー解析により、最終的に仕上がった紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキの酸化亜鉛の粒度分布について調査した所、下記1,2の区分に分布状況が大別された。

1:酸化亜鉛全量の95質量%が0.5nm以上1.15nm未満に分布し、
分布の極大値を0.95〜1.05nmの範囲に有する。
2:酸化亜鉛全量の95質量%が1.15nm以上14nm未満に分布する。
Figure 0006674771
Figure 0006674771
実施例の製造方法では、密着性・耐スクラッチ性、紫外線に対しては高い遮断性を保持しつつ、可視光に対してはより高い透明性を再現できる。
本発明の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法では、可視光に対しては高い透明性を持ち、尚且つ紫外線に対しては高い遮断性を併せて発現し、食品、医薬品、コスメ、電子部品等のフィルム包材用途向けに幅広く展開し得る。

Claims (3)

  1. ポリウレタン樹脂、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、無処理酸化亜鉛に対して直にハイドロゲンジメチコン処理した酸化亜鉛、無処理酸化亜鉛、及び芳香有機溶剤を除く有機溶剤の混合物を、2本ロール練肉機による高せん断力を与えることで練肉、分散した後小片化させることを特徴とする紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法。
  2. 前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000〜100,000、ガラス転移点(Tg)−45〜−10℃である請求項1に記載の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法。
  3. 前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の水酸基価が、50〜200mgKOH/gであり、且つ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有率が80〜95質量部である請求項1又は2に記載の紫外線遮蔽軟包装用ラミネートインキ組成物の製造方法。
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