JP6673798B2 - カペシタビンを有効成分とするフィルムコート医薬製剤 - Google Patents

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本発明は、カペシタビンを有効成分として含有するフィルムコート医薬製剤であって、フィルムコーティングによるカペシタビンの溶出遅延を抑制するフィルムコート医薬製剤に関する。
カペシタビンは、化学名を5’−デオキシ−5−フルオロ−N−[(ペンチルオキシ)−カルボニル]−シチジンとする、一般式(1)で示される構造を有する化合物である。
カペシタビンは、フルオロシチジン誘導体であり、体内で段階的にフルオロウラシル(5−FU)に変換されることにより、全身の暴露を最小限に抑え、腫瘍選択的に5−FUを供給することを目的とした経口の抗悪性腫瘍剤である。カペシタビンは、ゼローダ(Xeloda)(登録商標)の商標名で市販されており、本邦においては、手術不能又は再発乳癌、結腸・直腸癌、胃癌の治療剤として承認されている。
カペシタビンの医薬製剤が報告されている。特許文献1には、カペシタビン、乳糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスポビドン等を含むフィルムコートされている医薬組成物が記載されている。特許文献2には、カペシタビン、マンニトール、クロスポビドン、ポリ酢酸ビニルの製剤からなる少なくとも1つの崩壊剤を含むフィルムコート医薬組成物が開示されている。
特許5330248号公報 特表2012−512142号公報
本発明の目的は、カペシタビンを有効成分とするフィルムコート医薬製剤であって、フィルムコーティングによる溶出遅延を抑制するフィルムコート医薬製剤を提供することを目的とする。
本発明者は、有効成分としてカペシタビンを用い、20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むフィルムコート医薬製剤とすることで、フィルムコーティングによる溶出遅延を抑制するフィルムコート医薬製剤を提供できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]〜[4]を要旨とする。
[1] カペシタビンを有効成分とするフィルムコート医薬製剤であって、20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むフィルムコート医薬製剤。
[2] フィルムコート医薬製剤のコーティング層に20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、[1]に記載のフィルムコート医薬製剤。
[3] フィルムコート医薬製剤のコーティング層に含まれているヒドロキシプロピルメチルセルロースのフィルムコート医薬製剤全体における含有率が0.5質量%〜3.0質量%である、[2]に記載のフィルムコート医薬製剤。
[4] フィルムコート医薬製剤の内核部に、有効成分であるカペシタビンが30質量部〜90質量部、賦形剤が5質量部〜50質量部、崩壊剤が1質量部〜20質量部、結合剤が0.1質量部〜25質量部、滑沢剤が0.1質量部〜5質量部で含まれている、[1]〜[3]の何れか一項に記載のフィルムコート医薬製剤。
本発明のカペシタビンを有効成分とするフィルムコート医薬製剤は、フィルムコーティングによる溶出遅延を抑制するフィルムコート医薬製剤を提供することができる。
本発明は、カペシタビンを有効成分とするフィルムコート医薬製剤であって、20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むフィルムコート医薬製剤であることを特徴とする。以下にその詳細について説明する。
本発明は、有効成分としてカペシタビンを用いる。カペシタビンの化学名は5’−デオキシ−5−フルオロ−N−[(ペンチルオキシ)−カルボニル]−シチジンである。当該化合物は、特許第2501297号にて開示されており、それに記載の方法により合成することができる。カペシタビンは医薬品として認容できる品質であることが好ましい。
本発明のフィルムコート医薬製剤は、20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことを特徴とする。
本発明は、20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースであれば特に限定されずに適用することができる。20℃における2%水溶液粘度が5〜10mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることがより好ましい。
20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースは、市販品を用いても良い。例えば、商品名TC−5M、TC−5R、TC−5S(信越化学工業(株)製)等のヒドロキシプロピルメチルセルロース等を挙げることができ、TC−5Rが好ましい。
本明細書における「20℃における2%水溶液粘度」とは、日本薬局方に記載されている粘度測定法により測定された粘度のことである。粘度測定法には、毛細管粘度計法と回転粘度計法がある。ウベローデ型粘度計を用いた毛細管粘度計法で測定した粘度であることが望ましい。
本発明のフィルムコート医薬製剤は、前述したカペシタビン及び20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースの他に、本発明の効果を妨げない範囲で医薬品製剤を調製するために通常用いられる他の添加剤を含んでいても良い。例えば、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、賦形剤、隠蔽剤や着色剤等の、医薬製剤を調製するための通常の医薬製剤用添加剤を用いても良い。
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬組成物又は医薬製剤を調製する際に、任意に使用される。
本発明において崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。
本発明において結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。本発明において結合剤として内核に使用するヒドロキシプロピルメチルセルロースの20℃における2%水溶液粘度は特に限定されない。
本発明において滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられる。
本発明において賦形剤としては、乳糖、マルトース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等、上記の結合剤、崩壊剤、可溶化剤、滑沢剤に該当しない添加剤が含まれる。
本発明において隠蔽剤や着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
本発明はフィルムコート医薬製剤である、カペシタビンを有効成分とする医薬製剤を包含する。カペシタビンは経口的に投与されて悪性腫瘍の治療に提供されることから、経口用製剤であることが好ましい。経口用の製剤形としては、錠剤タイプ、顆粒剤タイプ、カプセル剤タイプ等が挙げられる。錠剤タイプとしては、例えば、錠剤、分散錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤等が挙げられる。顆粒剤タイプとしては、例えば、顆粒剤、散剤、丸剤等が挙げられる。カプセル剤タイプとしては、例えば、硬カプセル剤、軟カプセル剤等が挙げられる。本発明の医薬製剤としては、錠剤タイプあることが好ましく、錠剤であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムコート医薬製剤は、(1)20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する前記内核を被覆するコーティング層と、(2)カペシタビンを含有する内核、を包含するフィルムコート医薬製剤を好ましい様態として包含する。
本発明は、前記コーティング層に20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことが望ましい。コーティング層に含まれるヒドロキシプロピルメチルセルロースのフィルムコート医薬製剤全体における含有率が0.5質量%〜3.0質量%であることが好ましく、1.0質量%〜2.5質量%であることがより好ましい。
内核となる素錠に被覆する「20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するコーティング層」とは、20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する水溶液を調製し、これを前記素錠の表面に噴霧等の操作により均一に付着させて、これを乾燥することで当該コーティング層を設けることができる。
20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する水溶液とは、20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースの水又はエタノールやアセトン等の水と任意に混和する有機溶剤を含有する水性溶剤による溶液である。この水溶液には、隠蔽剤や着色剤、分散剤等の医薬製剤のコーティング剤に用いられる任意の添加剤が含まれていても良い。なお、隠蔽剤や着色剤等は当該水性溶液に溶解していても、懸濁状態で用いても良い。コーティング剤に用いる隠蔽剤や着色剤、分散剤は、前述と同義である。
20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するコーティング層は、前記20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを60〜100質量部、隠蔽剤及び/又は着色剤を0〜40質量部で含有する処方の組成物であることが好ましい。好ましくは、20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースが70〜99質量部、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、無水二酸化ケイ酸、酸化マグネシウム、タルクからなる群から選択される1種又はその組み合せである、隠蔽剤及び/又は着色剤を1〜30質量部を含有する処方のコーティング層組成物である。
前記コーティング層組成物は、水又は水と任意の割合で混合し得る有機溶剤を含む水性溶剤を20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースが充分に溶解し得る濃度にて水性溶液を調製することで、コーティング層を設けるためのコーティング剤として用いることができる。
内核となる素錠に20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するコーティング層で被覆する方法としては、前記20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する水性溶液を、内核となる素錠が入ったコーティングパンの中へ注入またはスプレーし、錠剤表面に熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、素錠表面に当該20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを均一に付着させ、その後、乾燥することでコーティング層を設けることができる。乾燥工程は、室温〜80℃程度で行うことが好ましい。減圧下で行うことで水性溶剤を揮発させて乾燥しても良い。
本発明のフィルムコート医薬製剤はコーティング層に可塑剤を含まないことが望ましい。本発明における可塑剤とは、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、分子量300〜6000のポリエチレングリコール、ヒマシ油等のトリグリセリド、ジエチルフタレート等を挙がることができる。
前記カペシタビンを含有す内核とは、有効成分であるカペシタビン及び結合剤、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤等の任意の医薬製剤用添加剤を配合して、任意に顆粒体を調製した後、これを圧縮成型して調製される素錠を示す。内核成分に用いる結合剤、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤は、前述と同義である。
内核となる前記素錠は、カペシタビンとして30〜90質量部、結合剤を0.1〜25質量部、崩壊剤を1〜20質量部、滑沢剤を0.1〜5質量部、賦形剤を5〜50質量部で含有する処方による医薬組成物を混合し、任意に水、エタノール、メタノール等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒を添加して造粒して顆粒体を調製し、これを圧縮成型することで内核となる素錠を調製することができる。好ましくは、カペシタビンとして50〜85質量部、結合剤を1〜15質量部、崩壊剤を1〜10質量部、滑沢剤を0.1〜5質量部、賦形剤を5〜40質量部を含有する処方による医薬組成物である。
なお医薬組成物を圧縮成型する前に、造粒化操作を行い、顆粒体を調製することが好ましい。造粒化操作としては、当該医薬組成物に適当な機械的圧力を付加して造粒する乾式造粒であっても良く、水又は有機溶剤を適当量添加して混合等の機械的圧力を付加して造粒する湿式造粒であっても良い。本発明品を調製するにあたっては、この湿式造粒を選択することがより好ましい。
この造粒物を、打錠成型等により錠剤形に成型することにより、内核である素錠を調製することができる。
本発明のフィルムコート医薬製剤は、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験において、試験溶液が900mLの水である時、試験開始から15分で70%以上の溶出率であり、試験溶液が900mLのpH6.8液である時、試験開始から15分で50%以上の溶出率であることを特徴とする。
また、試験溶液が水である時、試験開始10分から30分後の溶出率の低下率が5%以下であることを特徴とする。
前記溶出性試験におけるpH6.8の水性溶液は、塩酸、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、クエン酸、水酸化ナトリウム等を用いて適宜pH調整した水溶液を用いることが好ましい。しかしながら、当該試験水性溶液は、日本薬局方や厚生労働省通知に記載又は準拠した試験溶液を用いることが好ましい。すなわち、日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8、0.2mol/Lリン酸二水素カリウム試液250mLに、0.2mol/L水酸化ナトリウム試液118mL及び水を加えて1000mLとした溶液を、2倍希釈した溶液)が挙げられる。
前記のpH調整した試験溶液又は水900mLを用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明のフィルムコート医薬製剤から有効成分であるカペシタビンを試験溶液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液へのカペシタビンの溶出率を評価することで、本発明のフィルムコート医薬製剤の特徴であるフィルムコートによる溶出遅延を抑制する特性を有する医薬製剤であることを確認することができる。
本明細書における「溶出率の低下率」とは、各測定時点におけるフィルムコーティング前医薬製剤の溶出率に対するフィルムコート医薬製剤の溶出率の低下率である。
本発明のフィルムコート医薬製剤を用いた医薬品の用途は、カペシタビンにより治療効果を奏する疾病であれば特に限定されるものではない。例えば、悪性腫瘍の治療に適用することができる。より具体的には、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、直腸癌、膵癌、肝細胞癌、グリオーマ等を挙げることができる。これらの疾患に限定されるものではないが、適用する好ましい疾患として挙げることができる。
本発明の医薬製剤を用いた医薬品の投与量は、患者の性別、年齢、生理的状態、病態等により当然変更されうるが、例えば成人1日当たり、カペシタビンとして500mg〜10gの範囲の薬剤を投与する。この投与量に限定されるものではないが、適用する好ましい投与量として挙げることができる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1]素錠の調製
カペシタビン900g、無水乳糖(DFEファルマ社製)76.5g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)45g、クロスカルメロース(DFEファルマ社製)45gを流動層造粒機(FL−LABO、フロイント産業株式会社製)で混合した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製)22.5gを精製水750gに溶かした造粒液で造粒を行った.造粒後は,同機にて顆粒乾燥を行った。
造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)21.0gを混和し、打錠用顆粒を得た。
この打錠用顆粒を打錠機にて錠剤長径13.3mm、錠剤短径7.0mm、厚み約4.70mm、質量約370mg、硬度60N以上のカペシタビンの素錠(内核錠剤)を製造した。
表1に内核錠剤の調製の処方をまとめた。
[実施例1]20℃における2%水溶液粘度が5.2〜7.0mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いたフィルムコーティング錠剤の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5R、信越化学工業株式会社製)160g、タルク(小堺製薬株式会社製)20g、酸化チタン(高純度酸化チタン、東邦チタニウム株式会社製)20gを精製水約1800mLに分散させ、コーティング液とした。
表2にコーティング液の処方をまとめた。
このコーティング液を、コーティング機(フロイント産業株式会社:HCT−30N)を用いて先に調製した素錠(内核錠剤)へ噴霧し、噴霧後の錠剤質量が約380mgとなるようにコーティングを行い、フィルムコーティング錠剤を調製した。
得られたフィルムコーティング錠剤は、有効成分としてカペシタビン300mg、賦形剤として無水乳糖25.5mg、結晶セルロース15.0mg、崩壊剤としてクロスカルメロース15.0mg、結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース7.5mg、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム7.0mg、コーティング剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5R)8mg含有する総質量380mgのフィルムコーティング錠であった。
* 20℃における2%水溶液粘度:5.2〜7.0mPa・s
[比較例1]20℃における2%水溶液粘度が2.5〜3.5mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いたフィルムコーティング錠剤の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5E、信越化学工業株式会社製)160g、タルク(小堺製薬株式会社製)20g、酸化チタン(高純度酸化チタン、東邦チタニウム株式会社製)20gを精製水約1800mLに分散させ、コーティング液とした。
表3にコーティング剤の処方をまとめた。
このコーティング液を用いて、コーティング機(フロイント産業株式会社:HCT−30N)を用いて先に調製した素錠(内核錠剤)へ噴霧し、噴霧後の錠剤質量が約380mgとなるようにコーティングを行い、フィルムコーティング錠剤を調製した。コーティング剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5E)8mg含有する総質量380mgのフィルムコーティング錠を得た。
** 20℃における2%水溶液粘度:2.5〜3.5mPa・s
[試験例1]溶出試験
製造例1で得られた内核錠剤及び実施例1、比較例1で得られたフィルムコーティング錠剤を、日本薬局方に記載される方法で調製した水とpH6.8の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験条件詳細は以下のように設定した。
・溶出試験器 :NTR−6200A、富山産業株式会社製
・試験液量 :900mL
・試験液温 :37±0.5℃
・パドル回転数:50rpm
・分析機器 :紫外可視分光度計(UV−1700、島津製作所製)
・測定波長 :300nm
定量分析用の標準溶液試料として、各試験溶液を使用してカペシタビン溶液を任意の濃度で調製し、波長300nmでの吸光度を測定、これを各試験溶液における標準値とした。溶出試験においては、各経時点の溶液の吸光度を測定することで、各経時点における溶液中のカペシタビン濃度を計算し溶出率を算出した。水での結果を表4に、pH6.8の試験溶液での結果を表5に示す。
表4の結果より、水試験液において実施例1は製造例1の溶出率と比較して試験開始10分から30分後のカペシタビン溶出率の低下率が1.46%から4.57%となった。これに対し、比較例1の溶出率を製造例1の溶出率と比較した結果,試験開始10分から30分後のカペシタビン溶出率の低下率が4.27%から18.81%であった。また表5の結果より、pH6.8試験溶液においても製造例1と比較して、実施例1のカペシタビン溶出率の低下率が小さく、比較例1の方が大きい結果となった。なお、溶出率の低下率は各測定時点における製造例1の溶出率に対する実施例1及び比較例1の溶出率の低下率である。
したがって、実施例1は、フィルムコーティング後の有効成分であるカペシタビンの溶出遅延が少なく、経口投与した際の溶出性が確保され、吸収性に優れた医薬製剤であることが示された。一般的に、粘度が高いヒドロキシプロピルメチルセルロースをフィルムコーティング剤に使用すると、粘度の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用したものと比べ、溶出率が低下することが考えられる。しかし、本発明のフィルムコート医薬製剤は、粘度が高いヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用した実施例1の方が比較例1よりも溶出率の低下が抑えられていた。
このことより本発明によって、フィルムコーティングによる溶出遅延を抑制した溶出特性を有するフィルムコート医薬製剤を提供できることが示された。

Claims (3)

  1. カペシタビンを有効成分とするフィルムコート医薬製剤であって、フィルムコート医薬製剤のコーティング層に20℃における2%水溶液粘度が5〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、フィルムコート医薬製剤。
  2. フィルムコート医薬製剤のコーティング層に含まれているヒドロキシプロピルメチルセルロースのフィルムコート医薬製剤全体における含有率が0.5質量%〜3.0質量%である、請求項に記載のフィルムコート医薬製剤。
  3. フィルムコート医薬製剤の内核部に、有効成分であるカペシタビンが30質量部〜90質量部、賦形剤が5質量部〜50質量部、崩壊剤が1質量部〜20質量部、結合剤が0.1質量部〜25質量部、滑沢剤が0.1質量部〜5質量部で含まれている、請求項1又は2に記載のフィルムコート医薬製剤。

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