以下、打込機の一実施形態を図面を参照して説明する。本開示の打込機は、止具を2回打撃することで、被打込材に対する止具の打ち込みを完了する。
図1及び図2に示す打込機10は、ハウジング11、打撃子12、マガジン13、電動モータ14、駆動機構15、制御基板16、電池パック17及びウェイト18を有する。ハウジング11は、金属及び合成樹脂で構成されており、ハウジング11は、筒形状の本体部19と、本体部19に接続されたハンドル20と、本体部19に接続されたモータケース21と、を有する。装着部22がハンドル20及びモータケース21に接続されている。
射出部23が本体部19の外に設けられ、射出部23が本体部19に固定されている。接触部材24が射出部23に取り付けられている。射出部23及び接触部材24に亘って射出路25が設けられている。接触部材24の先端は、被打込材W1に押し付けられる。
マガジン13は、ハウジング11及び射出部23により支持されている。マガジン13は、止具26を複数収容する。止具26は釘を含み、止具26の材質は、金属、非鉄金属、鋼を含む。止具26同士は接続要素で互いに接続されている。接続要素は、ワイヤ、接着剤、樹脂の何れでもよい。止具26は棒形状である。マガジン13はフィーダを有する。フィーダは、マガジン13に収容された止具26を射出路25に送る。接触部材24は、止具26の打ち込み位置、止具26の姿勢、止具26の打ち込み方向をガイドする。
打撃子12は、本体部19の内外に亘って設けられている。打撃子12は、本体部19内に配置された金属製のプランジャ27と、プランジャ27に固定された金属製のドライバブレード28と、を有する。プランジャシャフト29が本体部19内に設けられている。トップホルダ30及びボトムホルダ31が、ハウジング11内に固定して設けられている。プランジャシャフト29は、トップホルダ30及びボトムホルダ31により支持されている。このように、打撃子12は、プランジャシャフト29、トップホルダ30及びボトムホルダ31を介して、ハウジング11により支持されている。
プランジャ27はプランジャシャフト29に取り付けられており、プランジャ27は、プランジャシャフト29の中心線A1に沿って移動可能である。ドライバブレード28は、プランジャ27と共に中心線A1に対して平行に移動可能であり、かつ、本体部19内及び射出路25内で移動する。ドライバブレード28は、射出部23及び接触部材24により移動方向がガイドされる。
ウェイト18は、ハウジング11が受ける反動を抑制する。ウェイト18の材質は、金属、非鉄金属、鋼、セラミックの何れでもよい。ウェイト18は筒形状であり、プランジャシャフト29に取り付けられている。ウェイト18はプランジャシャフト29に対して中心線A1に沿って移動可能である。プランジャシャフト29は、ウェイト18及びプランジャ27の移動方向を規制する要素である。
スプリング32が本体部19内に配置され、スプリング32は、中心線A1に沿った方向でプランジャ27とウェイト18との間に配置されている。スプリング32は圧縮コイルスプリングであり、中心線A1に沿った方向に伸縮可能である。スプリング32の材質としては、金属、非鉄金属、セラミックを用いることができる。スプリング32は、中心線A1方向の圧縮力を受けて弾性エネルギを蓄積する。スプリング32は、打込機10に設ける第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例1に相当する。
本体部19内にウェイトバンパ33及びプランジャバンパ34が設けられている。ウェイトバンパ33はトップホルダ30とウェイト18との間に配置され、プランジャバンパ34は、ボトムホルダ31とプランジャ27との間に配置されている。ウェイトバンパ33及びプランジャバンパ34は、共に合成ゴム製である。
プランジャ27は、中心線A1に沿った方向でボトムホルダ31に近づく第1方向B1の付勢力を、スプリング32から受ける。ウェイト18は、中心線A1に沿った方向でトップホルダ30に近づく第2方向B2の付勢力を、スプリング32から受ける。第1方向B1と第2方向B2とは互いに逆向きであり、第1方向B1及び第2方向B2は、中心線A1と平行である。
図1に示す打込機10は、中心線A1が鉛直線と平行な状態である例を示す。図1において、打撃子12またはプランジャ27またはウェイト18が、第1方向B1に移動することを下降と呼ぶ。図1において、打撃子12またはプランジャ27またはウェイト18が、第2方向B2に移動することを上昇と呼ぶ。
電池パック17は、装着部22に対して取り付け及び取り外し可能であり、電池パック17は、収容ケース35と、収容ケース35内に収容した複数の電池セルとを有する。電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。電池パック17は直流電源であり、電池パック17の電力は電動モータ14に供給される。本体側端子36が装着部22に設けられており、電池側端子が電池パック17に設けられている。電池パック17を装着部22に取り付けると、本体側端子36と電池側端子とが電気的に接続される。
制御基板16は装着部22内に設けられており、制御基板16には、図4に示すコントローラ37、インバータ回路38が設けられている。コントローラ37は、入力ポート、出力ポート及び記憶部を有するマイクロコンピュータである。インバータ回路38は、電池パック17と電動モータ14との間に形成された電気回路を接続及び遮断する。インバータ回路38は、スイッチング素子を有する。
トリガ39及びトリガスイッチ40がハンドル20に設けられており、作業者がトリガ39に操作力を加えるとトリガスイッチ40がオンし、トリガ39に加えた操作力を解除するとトリガスイッチ40がオフする。本体部19内に位置検出センサ64が設けられている。位置検出センサ64は、中心線A1方向におけるウェイト18の位置を検出して信号を出力する。コントローラ37は、トリガスイッチ40の信号、位置検出センサ64の信号を受信し、かつ、インバータ回路67を制御する。
電動モータ14は、ロータ及びステータを有し、駆動軸41がロータに連結されている。電動モータ14は、電池パック17から電力が供給されると駆動軸41が回転する。減速機42がモータケース21内に配置されている。減速機42は、遊星歯車機構、入力要素43及び出力要素44を有し、入力要素43は駆動軸41に連結されている。駆動軸41の回転力が減速機42に伝達されると、減速機42は、出力要素44の回転速度が入力要素43の回転速度よりも低速となる。電動モータ14及び減速機42は、中心線A2を中心として同心状に配置されている。打込機10を側面視した図1において、中心線A1と中心線A2とは直角に交差する。
駆動機構15は、出力要素44の回転力を打撃子12の移動力に変換し、かつ、出力要素44の回転力をウェイト18の移動力に変換する。駆動機構15は、第1ギヤ45、第2ギヤ46、第3ギヤ47、プランジャアーム部48及びウェイトアーム部49を有する。第1ギヤ45は出力要素44に固定されている。第2ギヤ46は第1支持軸50により回転可能に支持されている。第3ギヤ47は第2支持軸51により回転可能に支持されている。ギヤホルダ52がハウジング11内に固定して設けられ、第1支持軸50及び第2支持軸51はギヤホルダ52に取り付けられている。中心線A2、第1支持軸50の中心線A3、第2支持軸51の中心線A4は、互いに平行である。
第1支持軸50は、中心線A1に沿った方向で出力要素44と第2支持軸51との間に配置されている。第2ギヤ46は第1ギヤ45及び第3ギヤ47に噛み合っている。図3に示すように、第1カムローラ53、第2カムローラ54、第3カムローラ55及び第4カムローラ56が、第2ギヤ46に設けられている。第1カムローラ53、第2カムローラ54、第3カムローラ55及び第4カムローラ56は、第2ギヤ46の回転方向に間隔をおいて配置されている。
第5カムローラ57、第6カムローラ58及び第7カムローラ59が、第3ギヤ47に設けられている。第5カムローラ57、第6カムローラ58及び第7カムローラ59は、第3ギヤ47の回転方向に間隔をおいて配置されている。
本実施形態では、電動モータ14の駆動軸41が正回転すると、駆動軸41の回転力が減速機42を介して第1ギヤ45に伝達され、第1ギヤ45は図3で反時計回りに回転するものとする。
プランジャアーム部48はプランジャ27に設けられている。プランジャアーム部48は、プランジャ27と共に中心線A1方向に移動可能である。プランジャアーム部48は金属製であり、プランジャアーム部48は、第1係合部65、第2係合部60及び第3係合部61を有する。第1係合部65、第2係合部60及び第3係合部61は、中心線A1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。第2係合部60は、中心線A1方向で第1係合部65と第3係合部61との間に配置されている。
ウェイトアーム部49はウェイト18に設けられている。ウェイトアーム部49は、ウェイト18と共に中心線A1方向に移動可能である。ウェイトアーム部49は金属製であり、ウェイトアーム部49は、第4係合部62及び第5係合部63を有する。第4係合部62及び第5係合部63は、中心線A1方向で異なる位置に配置されている。第5係合部63は、ウェイト18の位置に関わりなく、中心線A1に沿った方向で第4係合部62とウェイトバンパ33との間に位置する。
図2に示すように、回転規制機構66が、モータケース21内に設けられている。回転規制機構66は、図3で第2ギヤ46から第1ギヤ45に対して時計回りの回転力が伝達された場合に、その回転力で電動モータ14の駆動軸41が逆回転することを防止する。
次に、打込機10の使用例を説明する。トリガスイッチ40がオフされていると、電動モータ14に電力は供給されず、駆動軸41は停止している。具体的には、図5に示すように、第2カムローラ54が第2係合部60に係合し、かつ、第5カムローラ57が第4係合部62に係合した状態で電動モータ14が停止している。
コントローラ37は、位置検出センサ64の信号を処理することにより、プランジャ27及びウェイト18の中心線A1方向の位置を推定しており、プランジャ27がプランジャバンパ34から離れ、かつ、ウェイト18がウェイトバンパ33から離れている状態で、電動モータ14を停止している。図5のように、プランジャ27がプランジャバンパ34から離れて停止している位置、及びウェイト18がウェイトバンパ33から離れて停止している位置を、それぞれ待機位置と呼ぶ。
スプリング32は、プランジャ27とウェイト18との間に挟まれ、中心線A1方向の圧縮荷重を受けている。プランジャ27は、スプリング32から第1方向B1の付勢力を受け、ウェイト18は、スプリング32から第2方向B2の付勢力を受ける。プランジャ27が受けた第1方向B1の付勢力は、プランジャアーム部48を介して第2ギヤ46に伝達され、第2ギヤ46は、図5で反時計回りの回転力を受ける。
ウェイト18が受けた第2方向B2の付勢力は、ウェイトアーム部49を介して第3ギヤ47に伝達され、第3ギヤ47は、図5で時計回りの回転力を受ける。第3ギヤ47が受けた回転力は、第2ギヤ46を反時計回りに回転させる向きの回転力となる。
このように、第2ギヤ46が反時計回りの回転力を受けると、その回転力は第1ギヤ45に伝達され、第1ギヤ45は図5で時計回りの回転力を受ける。回転規制機構66は、電動モータ14の駆動軸41が逆回転することを防止する。このため、第1ギヤ45は停止した状態に維持される。したがって、プランジャ27及びウェイト18は、図5に示す待機位置にそれぞれ保持される。
次に、作業者が接触部材24の先端を被打込材W1に押し付けた状態で打込機10を使用する例を説明する。トリガスイッチ40がオンすると、コントローラ37は電動モータ14に電力を供給し、駆動軸41が正回転する。駆動軸41の回転力は、減速機42で増幅されて出力要素44に伝達され、第1ギヤ45が図5で反時計回りに回転する。
第1ギヤ45が反時計回りに回転すると、第2ギヤ46は時計回りに回転し、プランジャ27は、スプリング32の付勢力に抗して第2方向B2で移動する。つまり、打撃子12は上昇する。第2ギヤ46が図5で時計回りに回転することに伴い、第2カムローラ54が第2係合部60に係合している間に、第3カムローラ55が第3係合部61に係合し、打撃子12は第2方向B2の移動が継続される。第3カムローラ55が第3係合部61に係合した後、第2カムローラ54は、図6のように第2係合部60から解放される。第2ギヤ46が更に時計回りに回転し、打撃子12は図7のように更に上昇する。
一方、第2ギヤ46が図5で時計回りに回転すると、第3ギヤ47は図5で反時計回りに回転し、ウェイト18は図5で第1方向B1に移動する。つまり、ウェイト18は下降する。第5カムローラ57が第4係合部62に係合している間に、第6カムローラ58が第5係合部63に係合し、ウェイト18が更に下降する。このように、プランジャ27が図5で上昇し、かつ、ウェイト18が下降することでスプリング32が更に圧縮され、スプリング32に弾性エネルギが蓄積される。
さらに、第3ギヤ47が反時計方向に更に回転すると、図6のように、第5カムローラ57が第4係合部62から解放される。第3ギヤ47は、図6で反時計回りに更に回転し、図7のようにウェイト18が更に下降する。
そして、第2ギヤ46が図7で更に時計方向に回転すると、第3カムローラ55が第3係合部61から解放される。すると、プランジャ27はスプリング32の弾性エネルギで第1方向B1で付勢される。つまり、打撃子12が下降し、ドライバブレード28が止具26を打撃する。このようにして、打撃子12が第1回目の打撃を行う。
一方、第3カムローラ55が第3係合部61から解放されると同時に、第6カムローラ58が第5係合部63から解放される。このため、ウェイト18は、スプリング32の弾性エネルギで第2方向B2で付勢される。つまり、打撃子12が下降すると同時にウェイト18が上昇し、打撃子12が第1回目の打撃を行う際の反動を受ける。
第3カムローラ55が第3係合部61から解放された後、図8のように、第4カムローラ56が第3係合部61に係合する。また、第4カムローラ56が第3係合部61に係合すると同時に、第7カムローラ59が第5係合部63に係合する。このように、打撃子12が第1回目の打撃を行うと、止具26は中心線A1方向に移動量L1移動し、射出路25に位置する1本の止具26が、他の止具26から分離される。
打撃子12が第1回目の打撃を行った後も、第2ギヤ46は図8で時計回りに更に回転し、かつ、第3ギヤ47は反時計回りに更に回転する。このため、打撃子12は、図9に示すように再度上昇して止具26から離れ、かつ、ウェイト18は再度下降する。打撃子12が再度上昇する際、他の止具26が射出路25に送られることは無い。
第2ギヤ46は図9で更に時計回りに回転し、第4カムローラ56が第3係合部61から解放されると、打撃子12はスプリング32の弾性エネルギで下降する。このため、打撃子12が止具26を再度打撃、つまり、第2回目の打撃を行い、止具26は被打込材W1に打ち込まれる。
一方、第3ギヤ47は図9で更に反時計回りに回転し、第4カムローラ56が第3係合部61から解放されると同時に、第7カムローラ59が第5係合部63から解放される。このため、打撃子12が下降して第2回目の打撃を行うと同時に、ウェイト18はスプリング32の弾性エネルギで上昇し、ハウジング11が受ける反動を抑制する。
このように、打撃子12が止具26に対して第2回目の打撃を行った後、プランジャ27は、図10のようにプランジャバンパ34に衝突し、打撃子12が下死点で停止する。プランジャバンパ34は、打撃子12の移動エネルギの一部を吸収し、ハウジング11の振動を抑制する。また、第7カムローラ59が第5係合部63から解放された後、ウェイト18は図10のようにウェイトバンパ33に衝突し、上死点で停止する。ウェイトバンパ33はウェイト18の移動エネルギの一部を吸収し、ハウジング11の振動を抑制する。
止具26を被打込材W1に打ち込んだ後に、作業者が接触部材24を被打込材W1から離し、かつ、トリガスイッチ40がオフした後も、コントローラ37は電動モータ14を正回転している。そして、図3のように、第1カムローラ53が第1係合部65に係合すると、打撃子12が下死点から上昇する。また、第5カムローラ57が第4係合部62に係合すると、ウェイト18が上死点から下降する。そして、コントローラ37は、プランジャ27及びウェイト18が図5のように待機位置に到達したことを検出すると、電動モータ14を停止する。
本実施形態の打込機10は、接触部材24が被打込材W1に押し付けられている状態で使用すると、止具26を2回打撃することが可能である。つまり、打撃子12が止具26に対して第1回目の打撃を行い、その止具26と他の止具26とを分離する。その後、打撃子12を再度上昇及び下降して、止具26に第2回目の打撃を行い、止具26を被打込材W1に打ち込む。このため、打撃子12が止具26を被打込材W1に打ち込む際の打撃エネルギが、止具26同士を分離することに消費されることを防止できる。したがって、打撃子12が止具26を被打込材W1に打ち込む際に必要な打撃エネルギの増加を抑制できる。このため、長さの大きい止具26であっても、打撃エネルギ不足を回避できる。
打撃子12が止具26に与える打撃エネルギは、スプリング32の弾性力、ばね定数、寸法、打撃子12の移動量等により定まる。本実施形態では、打撃子12が止具26を被打込材W1に打ち込む際の打撃エネルギの低下を抑制できる。言い換えれば、スプリング32の弾性力、ばね定数、寸法を大きくせずに済む。したがって、ハウジング11の大型化を抑制でき、また、スプリング32の寿命低下を抑制できる。さらに、打撃子12が止具26を被打込材W1に打ち込む際、プランジャバンパ34がプランジャ27から受ける荷重の増加を抑制できる。したがって、プランジャバンパ34の寿命が低下することを抑制できる。
また、図7のように、第3カムローラ55が第3係合部61に係合している状態から、第2ギヤ46が時計回りに回転し、第3カムローラ55が第3係合部61から離れて打撃子12が下降して第1回目の打撃を行う際に、コントローラ37は、電動モータ14に対する電力の供給を一旦遮断することも可能である。コントローラ37は、位置検出センサ64の信号を処理して、打撃子12が第1回目の打撃を行うタイミングを検出する。コントローラ37が電動モータ14に対する電力の供給を一旦遮断すると、打撃子12が下降した際の打撃エネルギの一部を、回転規制機構66で受けることができ、第4カムローラ56が受ける荷重を低減できる。したがって、第4カムローラ56の寿命が低下することを抑制できる。
打込機10に設ける第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例2を、図1、図11〜図13を参照して説明する。図11に示すアーム68が、図1に示すハウジング11内に固定して設けられている。アーム68は、中心線A1と平行に配置されている。環状のガイド69がアーム68に固定されている。プランジャ27は、中心線A1に沿った方向でガイド69とプランジャバンパ34との間に配置されている。プランジャ27とガイド69との間にスプリング70が配置されている。スプリング70は、金属製の圧縮スプリングであり、中心線A1方向に伸縮可能である。
ガイド69を中心線A1方向に貫通する孔71が設けられ、打撃シリンダ72が孔71内に配置されている。打撃シリンダ72は、ガイド69に対して中心線A1方向に移動可能である。打撃シリンダ72は筒形状であり、打撃シリンダ72の中心線A1に沿った方向の第1端部は開口され、中心線A1に沿った方向の第2端部は底板73で塞がれている。打撃シリンダ72の外面に、係合ローラ81が設けられている。プランジャ27にバンパ74が取り付けられている。図13に示す打撃子12は、プランジャ27、ドライバブレード28及び打撃シリンダ72を含む。
固定シリンダ75がトップホルダ30に固定されている。固定シリンダ75は円筒形状であり、中心線A1を中心として配置されている。固定シリンダ75の中心線A1方向の一部は打撃シリンダ72の内部に配置されている。打撃シリンダ72は固定シリンダ75に対して中心線A1方向に移動可能である。固定シリンダ75の外周面にシール部材76が取り付けられ、シール部材76は、固定シリンダ75の外周面と、打撃シリンダ72の内周面との間を気密にシールする。
固定シリンダ75の内周面に環状のリブ77が設けられ、リブ77により通路78が形成されている。固定シリンダ75内に蓄圧室79が形成され、通路78は、蓄圧室79と、打撃シリンダ72の内部80とをつないでいる。蓄圧室79及び内部80内に、圧縮性の気体が封入されている。気体は、空気、不活性ガスを含む。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、希ガスを用いることができる。本開示では、蓄圧室79及び内部80内に空気が封入されているものとする。第1ギヤ45は、第1カムローラ82、第2カムローラ83及び第3カムローラ84を有する。第3ギヤ47は、第4カムローラ85を有する。
次に、第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例2の作用を説明する。先ず、接触部材24が被打込材W1から離れ、かつ、トリガスイッチ40がオフされていると、電動モータ14が停止している。第2カムローラ83は第2係合部60と係合しており、プランジャ27はスプリング70の弾性エネルギで第1方向B1で付勢されている。このため、第1ギヤ45に時計回りの回転力が伝達されるが、回転規制機構66が駆動軸41の回転を規制している。このため、プランジャ27は、プランジャバンパ34から離れた待機位置で停止している。また、打撃シリンダ72は、内部80の空気圧で第1方向B1で付勢され、底板73がバンパ74に押し付けられている。
接触部材24が被打込材W1に押し付けられ、かつ、トリガスイッチ40がオンして電動モータ14が回転すると、第1ギヤ45は反時計回りに回転する。また、第2ギヤ46は時計回りに回転し、かつ、第3ギヤ47は反時計回りに回転する。すると、プランジャ27は、スプリング70の付勢力及び空気圧に抗して上昇し、かつ、打撃シリンダ72は空気圧に抗して上昇する。そして、第2カムローラ83が第2係合部60に係合している間に、第3カムローラ84が第3係合部61と係合する。第1ギヤ45が更に反時計回りに回転すると、第2カムローラ83が第2係合部60から解放される。
第1ギヤ45が更に反時計回りに回転すると、打撃シリンダ72が上死点に到達する前に、第4カムローラ85が係合ローラ81に係合される。第1ギヤ45が更に回転して図15の位相になると、プランジャ27は図14のように上死点に到達する。また、プランジャ27が上死点に到達すると同時に、打撃シリンダ72も上死点に到達する。
さらに、第1ギヤ45が図15で反時計回りに回転して図17の位相になると、第3カムローラ84が第3係合部61から解放され、プランジャ27はスプリング70の付勢力で図16のように下降する。このため、打撃子12は止具26に対して第1回目の打撃を行い、打撃された止具26は、他の止具26から分離される。すなわち、止具26に対して1回目の打撃が行われると、被打込材W1に向かって下降し、止具26は、次の2つの状態の何れかになる。第1の状態は、止具26の先端が射出路25の下端部において被打込材W1の表面に当接した時点で、止具26が停止することである。第2の状態は、止具26の一部が被打込材W1に打込まれ、かつ、止具26の全体は被打込材W1に打ち込まれること無く保持されることである。なお、打撃子12が第1回目の打撃を行う時点で、第4カムローラ85は係合ローラ81に係合しているため、打撃シリンダ72は上死点で停止している。
そして、プランジャ27が下死点に到達する前に、第3ギヤ47が図19の位相に到達すると、第4カムローラ85が係合ローラ81から解放される。すると、打撃シリンダ72は蓄圧室79の空気圧で下降し、図18のようにバンパ74を介してプランジャ27に打撃力を加える。このため、打撃子12は止具26に対して第2回目の打撃を行い、所定の深さまで止具26は被打込材W1に打ち込まれる。つまり、止具26の全体が被打込材W1に打ち込まれる。
打撃子12が止具26に対して第2回目の打撃を行った後、図11及び図12のようにプランジャ27がプランジャバンパ34に衝突し、打撃子12及び打撃シリンダ72が下死点で停止する。打撃子12が止具26に対して第2回目の打撃を行った後も、電動モータ14は回転しており、第1ギヤ45が図13で反時計回りに回転している。そして、第1カムローラ82が第1係合部65に係合すると、プランジャ27は、スプリング70の付勢力及び空気圧に抗して下死点から上昇する。打撃シリンダ72は、プランジャ27と共に空気圧に抗して上昇する。そして、プランジャ27及び打撃シリンダ72が待機位置に到達すると、電動モータ14が停止し、プランジャ27及び打撃シリンダ72は待機位置に停止する。
第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例2では、図4に示す位置検出センサ64が打撃シリンダ72の位置を検出して信号を出力し、コントローラ37は位置検出センサ64の信号を処理して、プランジャ27及び打撃シリンダ72が待機位置に到達したことを検出する。
第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例2を有する打込機10は、接触部材24を被打込材W1に押し付けて使用すると、同一の止具26を2回打撃することが可能である。つまり、打撃子12で止具26を第1回目に打撃することで、止具26同士を分離し、第2回目の打撃で止具26を被打込材W1に打ち込む。したがって、第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例2を有する打込機10は、第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例1を有する打込機10と同じ効果を得ることができる。
第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例2では、固定シリンダ75に補充バルブを設けることも可能である。補充バルブは蓄圧室79に接続される。作業者は、ハウジング11の外部から補充バルブを介して蓄圧室79に圧縮性の気体を補充すること、または、蓄圧室79の気体を補充バルブを介して蓄圧室79から排出することで、蓄圧室79の空気圧を調整可能である。蓄圧室79の空気圧を調整することで、打撃子12が止具26を第2回目に打撃する際の打撃エネルギを調整できる。したがって、打撃子12が止具26を第2回目の打撃する際の打撃エネルギを増加する場合でも、打込機10の大型化を抑制できる。さらに、バンパ74は、打撃シリンダ72の外に配置されている。したがって、バンパ74の交換を容易に行うことができる。さらに、打撃子12が第1回目の打撃を行った後、打撃子12は再度上昇することなく、打撃シリンダ72が下降して第2回目の打撃を行う。このため、止具26に対する第1回目の打撃を行った時点から、止具26に対する第2回目の打撃を行うまでの時間を、極力短く、例えば、500ミリ秒以下、さらに好ましくは100ミリ秒以下とすることができる。したがって、打込機10の応答性が向上し、作業性が向上する。
打込機10に設けることの可能な第1付勢機構及び第2付勢機構の他の具体例3を、図20、図21を参照して説明する。固定シリンダ75の内部86から、打撃シリンダ72の内部80に亘って、スプリング87が配置されている。スプリング87は金属製の圧縮コイルスプリングであり、中心線A1方向に伸縮可能である。スプリング87は、打撃シリンダ72をプランジャ27に近づける向きで付勢する。打撃シリンダ72がバンパ74に押し付けられていると、スプリング87の付勢力は、打撃シリンダ72、バンパ74を介してプランジャ27に加わる。図20に示す固定シリンダ75は、蓄圧室79、通路78及びシール部材76を備えていない。図20、図21におけるその他の構成は、図11〜図13に示す構成と同じである。
次に、第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例3の作用を説明する。接触部材24が被打込材W1から離れ、かつ、トリガスイッチ40がオフされていると、電動モータ14が停止している。また、第2カムローラ83は第2係合部60と係合しており、プランジャ27はスプリング70,87の弾性エネルギで第1方向B1で付勢されている。このため、第1ギヤ45に時計回りの回転力が伝達されるが、回転規制機構66が駆動軸41の回転を規制している。このため、プランジャ27は、プランジャバンパ34から離れた待機位置で停止している。また、打撃シリンダ72は、スプリング87の付勢力で第1方向B1で付勢され、底板73がバンパ74に押し付けられている。
接触部材24が被打込材W1に押し付けられ、かつ、トリガスイッチ40がオンして電動モータ14が回転すると、第1ギヤ45は反時計回りに回転する。また、第2ギヤ46は時計回りに回転し、かつ、第3ギヤ47は反時計回りに回転する。すると、プランジャ27は、スプリング70,87の付勢力に抗して上昇し、かつ、打撃シリンダ72はスプリング87の付勢力に抗して上昇する。そして、第2カムローラ83が第2係合部60に係合している間に、第3カムローラ84が第3係合部61と係合する。第1ギヤ45が更に反時計回りに回転すると、第2カムローラ83が第2係合部60から解放される。
第1ギヤ45が更に反時計回りに回転すると、打撃シリンダ72が上死点に到達する前に、第4カムローラ85が係合ローラ81に係合される。第1ギヤ45が更に回転して図15の位相になると、プランジャ27は図22のように上死点に到達する。また、プランジャ27が上死点に到達すると同時に、打撃シリンダ72も上死点に到達する。
さらに、第1ギヤ45が図15で反時計回りに回転して図17の位相になると、第3カムローラ84が第3係合部61から解放され、プランジャ27はスプリング70,87の付勢力で図23のように下降する。このため、打撃子12は止具26に対して第1回目の打撃を行い、打撃された止具26は、他の止具26から分離される。すなわち、止具26に対して1回目の打撃が行われると、止具26は、前述した第1の状態及び第2の状態の何れかになる。なお、打撃子12が第1回目の打撃を行う時点で、図17及び図23のように、第4カムローラ85は係合ローラ81に係合しているため、打撃シリンダ72は上死点で停止している。
そして、プランジャ27が下死点に到達する前に、第3ギヤ47が図19の位相に到達すると、第4カムローラ85が係合ローラ81から解放される。すると、打撃シリンダ72はスプリング87の付勢力で下降し、図24のようにバンパ74を介してプランジャ27に打撃力を加える。このため、打撃子12は止具26に対して第2回目の打撃を行い、止具26は被打込材W1に打ち込まれる。
打撃子12が止具26に対して第2回目の打撃を行った後、図20及び図21のようにプランジャ27がプランジャバンパ34に衝突し、打撃子12及び打撃シリンダ72が下死点で停止する。打撃子12が止具26に対して第2回目の打撃を行った後も、電動モータ14は回転しており、第1ギヤ45が図13で反時計回りに回転している。そして、第1カムローラ82が第1係合部65に係合すると、プランジャ27は、スプリング70,87の付勢力に抗して下死点から上昇する。打撃シリンダ72は、プランジャ27と共にスプリング87の付勢力に抗して上昇する。そして、プランジャ27及び打撃シリンダ72が待機位置に到達すると、電動モータ14が停止し、プランジャ27及び打撃シリンダ72は待機位置に停止する。
第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例3を有する打込機10は、接触部材24を被打込材W1に押し付けて使用すると、同一の止具26を2回打撃することが可能であり、第1付勢機構及び第2付勢機構の付勢機構の具体例2を有する打込機10と同じ効果を得ることができる。また、第1付勢機構及び第2付勢機構の具体例3において、プランジャ27が下死点で停止している状態を、それぞれ待機位置として把握することも可能である。
実施形態の打込機10は、トリガスイッチ40がオフされて電動モータ14が停止していると、プランジャ27がプランジャバンパ34に押し付けられて下死点に停止するものでもよい。この場合、プランジャ27がプランジャバンパ34に押し付けられて下死点に停止している状態を待機位置と呼ぶ。
本開示において、同一の止具26に対する2回の打撃は、当該打込機10が有する複数の止具26を連続して打込む間隔よりも十分に短い時間であり、きわめて短時間、例えば、500ミリ秒以下で連続して行われる。
ここで、被打込材W1が下地材に重ねて置かれ、被打込材W1に節穴や欠落部等がある場合を説明する。このような場合、止具26は被打込材W1の節穴や欠落部を通過するため、前述した第1の状態及び第2の状態の何れにもならず、止具26が下地材の表面に当接して止具が停止する第3の状態、または、止具26の一部が下地材に打ち込まれて停止する第4の状態となる可能性がある。第1回目の打撃が行われた止具26が、第3の状態または第4の状態になり、打撃された止具26は打込機10の射出路25に留まらなかった場合には、同一の止具26に対して第2回目の打撃エネルギが加わることは無い。
ここで、実施の形態に記載された要素の概念を説明する。スプリング32は、弾性部材の一例であり、スプリング32は、第1付勢機構及び第2付勢機構を兼ねる。スプリング70は、第1付勢機構の一例である。スプリング70及び蓄圧室79は第2付勢機構の一例である。スプリング70,87は第2付勢機構の一例である。スプリング70は第1弾性部材の一例であり、スプリング87は第2弾性部材の一例である。
電動モータ14、第1ギヤ45及び第2ギヤ46は、移動機構の一例であり、ウェイト18は質量体の一例である。プランジャ27は第1打撃部の一例であり、打撃シリンダ72は第2打撃部の一例である。電動モータ14はモータの一例である。第1ギヤ45、第2ギヤ46、第1カムローラ53,82、第2カムローラ54,83、第3カムローラ55,84及び第4カムローラ56は、変換機構の一例である。電池パック17は電源部の一例である。
打撃子12、第1付勢機構及び第2付勢機構は、打撃部の一例である。図1に示すドライバブレード28及びプランジャ27は、第1打撃要素及び第2打撃要素を兼ねる。図12及び図21に示すドライバブレード28及びプランジャ27は第1打撃要素であり、図12及び図21に示す打撃シリンダ72は、第2打撃要素の一例である。
打込機は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、電動モータに電力を供給する電源は、直流電源または交流電源の何れでもよい。付勢機構は、単数のスプリングを備えているもの、複数のスプリングを備えているものを含む。付勢機構の具体例は、圧縮スプリングの他、引っ張りスプリングを含む。要素が受ける付勢力の方向に応じて、引っ張りスプリングを配置する位置を設定する。また、付勢機構の具体例である圧縮スプリングは、コイルスプリングの他、渦巻きスプリング、リーフスプリング、ねじりスプリングを含む。
さらに、打込機は、気体圧縮機で圧縮された圧縮性気体が、ホースを介してハウジング内に供給される打込機にも適用可能である。そして、打撃子は、圧縮性気体の圧力で第1方向に付勢され、弾性部材の力または圧縮性気体の圧力で第2方向に付勢される。
さらに、モータは、電動モータの他、油圧モータ、空気圧モータ、エンジンを含む。止具は、頭部の有る釘、頭部の無い釘の何れでもよい。止具は、棒形状の釘の他、ステープルを含む。図1に示す打込機は、中心線A1と鉛直線とが交差する状態で使用することも可能である。被打込材の材質は、コンクリート、木材、タイル、石膏、金属、非鉄金属の何れでもよい。