JP6669024B2 - 高炉内の溶銑の流速推定方法および高炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉内の最も炉底レンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速推定方法、および、炉底レンガの侵食の伸展を抑制するための高炉の操業方法に関するものである。
高炉の炉底レンガは、溶融銑鉄(以下溶銑と記す)の流動に晒されており、長期間の操業の過程で徐々に侵食されていく。一方、高炉の炉底は、一旦火入れにより操業が開始されると、その後の操業期間に積替などの補修を行うことは、技術的に困難である。このため、高炉の炉底の延命を図るには、炉底レンガの侵食の伸展を抑制できるような操業を行うという対処法に限られる。一方、高炉の炉壁に関しては、ステーブ等による冷却技術および稼働中における減尺補修技術の進展により、炉壁の損耗が高炉の寿命を決めることはなくなった。
近年、高炉の寿命(操業期間)は20年以上に及んでいる。さらにそれ以上の寿命を達成するためには、高炉の炉底の一段の長寿命化を計ることがより重要になってきている。具体的には、侵食ラインを精度よく推定することや、推定結果に基づいて侵食の伸展を効果的に抑制できる操業方法を実施することである。
従来、炉底レンガの損耗量を推定する方法の一つとして、例えば特許文献1には、耐火レンガ内の2点に埋め込んだ熱電対の計測温度に基づいて、2点間の温度と距離およびそのレンガの熱伝導率から熱流束を計算し、炉内稼動面の温度を溶銑の凝固する温度に仮定してレンガの残存厚みを推定する方法が開示されている。
また、炉底レンガの損耗量を推定する他の方法として、特許文献2には、宇宙線ミューオンを利用して高炉炉底レンガの残存厚を計測する方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、炉底流れ計算に基づいて炉底レンガの平衡損耗ラインを精度よく予測し、炉底レンガの構造を適切に設計する方法が提案されている。
特開2002−266011号公報 特開平08−261741号公報 特開2011−236474号公報
「高炉炉床部における液流れの3次元数学モデル」、鉄と鋼、一般社団法人日本鉄鋼協会、2006年、Vol.92、No.12、p.967−975
しかしながら、上記特許文献1に記載された熱電対を用いた高炉の炉内状況推定方法、特許文献2に記載されたミューオン計測による高炉耐火物厚さ測定方法のいずれにおいても、レンガの残存厚を推定することはできても、レンガの侵食の伸展を効果的に抑制できる操業方法は記載されていない。また、上記特許文献3に記載された、炉底レンガの平衡損耗ラインを精度よく予測し、炉底レンガの構造を適切に設計する方法においては、与えられた操業条件において長期稼働が可能な炉底レンガ構造を設計することを目的としており、既に稼働中の高炉に対して耐火物の侵食の伸展を効果的に抑制できる操業方法を提供するものではない。
本発明は、このような観点に鑑みてなされたものであり、稼働中の高炉に対して、炉底レンガの侵食の伸展を効果的に抑制することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、高炉の炉底部に内張りされた炉底レンガの、最も侵食が進んでいる部位の溶銑の流速を推定する方法であって、高炉の炉底部に内張りされた炉底レンガの構造から、計算格子を生成し、前記炉底レンガ内に、1組当たり2点の熱電対を埋め込んで、前記2点の熱電対の計測温度に基づいて、2点間の温度と距離および前記炉底レンガの熱伝導率から熱流束を計算し、前記炉底レンガの稼動面の温度を仮定して前記炉底レンガの残存厚みを算出し、この計算を複数組の熱電対について行い前記炉底レンガの稼働面の形状を求め、現状の操業条件を設定し、炉内の炉芯コークスの下端レベルおよび形状を、前記操業条件および前記炉底レンガの損耗状況から力学的バランスに基づいて算出し、炉内の通液抵抗として反映させ、炉内に溶銑、スラグおよびコークス充填層が存在するとした場合の物質収支式、運動量収支式、および、エネルギー収支式に基づいて、炉底部における溶銑、スラグ、コークス充填層の温度分布と、溶銑およびスラグの流速分布を算出し、前記溶銑の流速分布から、最も炉底レンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速を推定することを特徴とする、高炉内の溶銑の流速推定方法を提供する。
また、本発明は、上記高炉内の溶銑の流速推定方法を用いて高炉の操業条件を決定する高炉の操業方法であって、複数の異なる操業条件を設定し、前記現状の操業条件と同様の手順で溶銑の流速分布を算出し、前記複数の異なる操業条件のうち、前記最も炉底レンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速が最も小さくなるものを、新しい操業条件とすることを特徴とする、高炉の操業方法を提供する。
前記高炉の操業方法において、前記複数の異なる操業条件は、出銑口深度、出銑時のラップ時間、マッドの溶損速度、およびコークスフリースペースの有無について、いずれか単独の、または2つ以上を組み合わせた条件でもよい。
本発明によれば、最もレンガの侵食が進んでいる部位の溶銑の流速を推定することができ、その推定結果を用いて、溶銑の流速を低減できる操業方法を選択することで、炉底レンガの侵食の伸展を効果的に抑制できる。
本発明の実施形態に係る計算手順を示す流れ図である。 炉底レンガの構造に基づいて生成した計算格子の例を示す図である。 炉底に埋設する熱電対の配置例を示す平面図である。 炉底レンガの残厚分布の例を示す平面図である。 炉底レンガ稼働面と炉芯コークス下面との位置関係を示す図である。
本発明者等は、種々の実験や高炉の解体調査を通して、高炉の炉底レンガの侵食を効果的に食い止める手段について検討を重ねた。その結果、最もレンガの侵食が進行している部位の溶銑の流速を下げることにより、稼働中の高炉に対して炉底レンガの侵食の伸展を効果的に抑制できることを見出した。本発明の骨子は、最もレンガの侵食が進行している部位の溶銑の流速を求めるとともに、種々の考えうる操業条件の中から、最もレンガの侵食が進行している部位の溶銑の流速が最も低減される条件を採択することである。
以下、本発明の実施形態に係る、炉底レンガの侵食の伸展を効果的に抑制する操業方法の計算手順を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る計算手順の流れ図である。
まず、現状の高炉炉底において最もレンガの侵食が激しい箇所の溶銑の流速を、以下の手順で推定する。
ステップS1
高炉の炉底部に内張りされた炉底レンガの構造から、計算格子を生成する。計算格子のサイズ等は、所望する精度や計算可能な容量等に応じて適宜決めればよい。
ステップS2
炉底レンガ内に埋め込んだ異なる2点の熱電対の計測温度に基づいて、2点間の温度差と距離およびその炉底レンガの熱伝導率から熱流束を計算し、レンガ稼動面の温度を仮定(例えば1150℃)して、炉底レンガの残存厚みを算出する。熱電対を、2点1組をユニットとして、径方向、高さ方向の適宜位置に配置し、複数組の熱電対ユニットを対象として、炉底レンガの残存厚みを算出することにより、レンガ稼働面の形状を求めることができる。この計算は、従来公知の例えば上記特許文献1に記載された方法で行うことができるが、計算方法はこれに限定しない。
ステップS3
現状の操業条件を設定する。具体的には、後述のステップS4において炉芯コークス沈下レベルおよび形状計算を行う際に必要な操業条件(送風量、送風温度、酸素富化流量、送風湿分、コークス比、微粉炭比、炉頂装入物のO/C分布等)、ステップS5において炉下部における溶銑・スラグの流速分布を求める際に必要となる操業条件(ラップ時間、出銑口深度、マッドの溶損速度等)を設定する。
ステップS4
高炉の操業条件(S3)と炉底レンガの構造(S1)に対して、炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を計算し、炉底流動における通液抵抗の条件として設定する。これは、例えば、剛塑性力学に基づく公知のモデル(ISIJ
int.,49(2009),470頁参照)により、以下のように計算できる。ここで、剛塑性力学に基づくモデルの支配方程式を、式(1)〜(4)に示す。なお、式(1)は連続の式であり、式(2)は運動方程式であり、式(3)はDrucker−Pragerの降伏条件式であり、式(4)は構成方程式である。
ここで、
である。
上記式(1)〜式(4)を用いて、FEM(有限要素法)により、炉内応力分布を計算することによって、炉芯コークスの沈下レベルおよび形状が計算できる。上記の方法によれば、DEM(離散要素法)を用いるよりも、計算負荷を大きく軽減することが可能である。
ステップS5
上記S2で求めた炉底レンガ稼働面の形状、S3で設定した操業条件、S4で求めた炉芯コークスの沈下レベルに基づき設定された炉下部通液抵抗分布を用いて、高炉の内部に溶銑、スラグを収容したときの物質収支式、運動量収支式、エネルギー収支式に基づいて、高炉炉下部におけるコークス充填層、溶銑およびスラグの温度分布、および、溶銑およびスラグの流速分布を算出する。なお、S5では、高炉炉下部におけるコークス充填層、溶銑およびスラグの温度分布、溶銑およびスラグの流速分布を求めることが望ましいが、本発明では、レンガ稼働面近傍の溶銑の流速を求めることが最も重要であるので、必ずしもスラグの流速分布や炉底の温度分布を計算する必要は無い。
本ステップS5は、例えば上記非特許文献1に記載された公知のモデル等を使用して行なえる。すなわち、高炉の炉底部は、構造体であるレンガと、内容物である溶銑、スラグおよびコークス充填層とからなるものとする。そして、溶銑およびスラグの物質収支式(8)、運動量収支式(9)、およびエネルギー収支式(10)は、以下の通りである。
ここで、
である。
また、コークスのエネルギー収支式(14)は、以下の通りである。
ただし、上記式(8)〜(14)において、
U:速度ベクトル、ρ:密度、S:生成量(滴下量)、p:圧力、μ:粘度、β:体積膨張係数、g:重力加速度、Cp:比熱、T:温度、T:基準温度、Tcoke:コークスの温度、Tliq:溶銑および/もしくはスラグの温度、λ:熱伝導度、ε:空隙率、φ:粒子形状係数、dp:粒子径、F:通液抵抗、ε:空隙率、h:対流伝熱係数、A:コークス充填層の比表面積
である。
上記(8)〜(14)式を連立して解けば、溶銑およびスラグの流動と温度の時間推移を求めることができる。
ステップS6
S5で求められた溶銑の流速分布から、最もレンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速を求める。ここで、「近傍」とは、最も侵食している箇所を含むメッシュが最も好ましい。また、前記メッシュから、隣接する熱電対ユニットの間隔(図2の21d)の1/2の距離の範囲内のメッシュであってもよい。
炉下部レンガの侵食は、主として、レンガ稼働面の温度が上昇することにより進行する。レンガの温度上昇は、主として、溶銑からレンガへの対流伝熱により引き起こされる。対流伝熱により溶銑からレンガに供給される熱量が、レンガ近傍の溶銑の流速の低下とともに減少することは公知の事実である。よって、最もレンガの侵食を抑制可能な操業条件を決定するには、非定常計算によりレンガの侵食挙動を求める必要は無く、所定位置のレンガ近傍の溶銑の流速が最も小さくなる操業条件を決定すれば十分である。
なお、S5で非定常計算を行った場合は、最もレンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速は、例えば、出銑スケジュールの1周期に相当する時間における平均速度として与えれば良い。
以上により、現状の高炉炉底において最もレンガの侵食が激しい箇所の溶銑の流速が推定される。
次に、この推定方法を用いて、最もレンガの侵食が激しい箇所のレンガの侵食の伸展を効果的に抑制できる操業方法を決める手順を説明する。
ステップS7
所定位置の溶銑の流速を低減させるために考えられる複数の対策案(操業条件)を実施した場合において、最もレンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速を、それぞれ上記ステップS3〜S6の手順で計算する。すなわち、事前に想定した全ての操業条件の計算が終了していない場合はS3に戻り、操業条件を変更した後、その操業条件においてS4〜S6の処理を行い、操業条件毎に計算を繰り返して、それぞれの操業条件の場合の、最もレンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速を推定する。
複数の対策案としては、例えば出銑口深度、出銑時のラップ時間、マッドの溶損速度、およびコークスフリースペースの有無等が考えられ、これら全てを単独でまたは組み合わせて、或いは実現可能ないずれかの対策案について計算を行う。なお、出銑口深度は、レンガを含めた炉壁部分と出銑口の炉内側に設けられる不定形耐火物からなるマッド部とを合わせた出銑口の全長を指す。また、ラップ時間は、複数の出銑口からの出銑の重複時間を指す。
ステップS8
事前に想定した全ての操業条件について計算が終了すると、計算を実施した各操業条件の、最もレンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速の推定値から、当該位置の溶銑の流速が最も小さくなる対策案を選択する。これにより、炉底レンガの侵食の伸展を最も効果的に抑制できる高炉の操業方法を決定することができる。
以上のように、炉底レンガ面の推定法、炉芯コークスの下面位置および下面形状の推定法、および炉底での溶銑・溶滓流の推定法の3つの技術を合わせることによって、最もレンガの侵食が進んでいる部位の溶銑流速の推定が可能となる。そして、種々の対策案の中から、最も溶銑の流速が低くなる操業条件を採択することで、高炉の操業を停止することなく、炉底レンガの侵食の伸展を効果的に抑制できる。また、従来、耐火物の侵食を抑制するために、炉底部を冷却する冷却水を制御する等の対策が行われていたが、本発明によれば、このような冷却水を制御する装置等を設ける必要もない。
以下、本発明の実施例を説明する。
炉容積1850mの高炉について、本発明を適用し、炉底レンガの侵食の伸展を最も効果的に抑制できる操業方法について検討した。
まず、高炉の炉底構造に基づいて計算格子を生成した。図2は、本実施例で検討する高炉11の炉底部を示し、2本の出銑口12a、12bを通る断面における計算格子の例である。高炉11の炉底部は、構造体であるレンガ13を有し、内部に溶銑14およびスラグ15が堆積している。
図3は、炉底部に埋設した熱電対21の平面配置例を示す。本実施例では、高炉11の炉底部の3方向に出銑口12a、12b、12cを有し、炉の中心から外周に向けて半径方向の距離1P、2P、3P、方位NE、SE、SW、NWに、それぞれ熱電対21が設置されている。これらの熱電対21は、それぞれ高さ方向に3段のレベルに設置されている(図2参照)。
図4は、炉底レンガ(中埋レンガ)の残厚分布を、上段と中段に配置された熱電対による温度測定値とレンガの物性値に基づいて求めた結果を示す。なお、図中の数字はレンガの残厚(mm)を示している。図4に示すように、半径位置:2P(図3参照)、方位:NEにおけるレンガの残厚が最も薄く、残厚が約100mmまで侵食されている。
次に、直近の操業条件に基づき、炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を剛塑性力学に基づく公知のモデル(ISIJ int.,49(2009),470頁参照)により計算した。図5の実線が、その計算結果から得られた炉心コークス下面を示す。さらに、炉底のレンガ残厚の計算結果(レンガ稼働面)を破線で示す。図5より、中埋レンガ1段目の多くは既に消失しており、レンガの侵食は、中埋レンガ2段目に到達していることがわかる。
炉芯コークス下面より上方の領域については、コークス充填層が存在する領域であるため、上記式(11)〜(13)により、式(9)の通液抵抗Fを設定した。炉芯コークス下面と中埋レンガ稼働面とで挟まれた領域は、コークスフリースペースであり、充填層が存在しないので、式(9)の通液抵抗をF=0とした。
現状の操業状態における、最もレンガ残厚が薄い2P−NE近傍の溶銑の流速に対して、出銑口深度、ラップ時間、マッドの溶損速度、炉芯の沈下レベル(コークスフリースペースの有無)の4種類の操業条件を単独であるいは組み合わせて変化させた場合の、2P−NE近傍の溶銑の流速の低下割合を算出した結果を、表1に示す。
ケース1は現状の操業状態であり、出銑口深度が2m、出銑口のラップ時間は0である。ケース2は、マッド22を厚くして出銑口深度dを3mに変更した場合であり、2P−NE近傍の溶銑の流速がケース1よりも5.6%低下した。ケース3は、2箇所の出銑口12a、12bを同時に開口させるラップ時間を30分としてラップ出銑を実施した場合であり、2P−NE近傍の溶銑の流速が15%低下することがわかった。さらに、ラップ時間を30分としてラップ出銑を実施し、かつ、出銑口深度dを3mに変更したケース4は、2P−NE近傍の溶銑の流速を20%低下させ、その結果、レンガの侵食の伸展を抑制できた。
これに対して、マッド22の改良を行って溶損速度を低下させたケース5は、2P−NE近傍の溶銑流速の低下効果が5.6%であり、マッド素材の開発に要する時間やコストと効果とを考慮すると、ラップ時間の変更のみ、もしくはラップ時間および出銑口深度dの変更を行う方が、効率よく溶銑の流速を低下させられることがわかった。更に、出銑口深度dを2mから3mに変更し、かつ、炉芯を完全に炉底に着床させコークスフリースペースを消失させたケース6では、2P−NE近傍の溶銑の流速を約60%低下させることができ、最も大きな効果が得られることがわかった。なお、ケース6では、コークス比を320kg/t(ケース1)から350kg/tに増加することにより、コークスフリースペースの消失を図った。コークスフリースペースを消失させる手段はこれに限らず、例えば通気性やガス組成の調整を行ってもよい。
以上の結果に基づき、対象高炉にて、出銑口深度dを2mから3mに変更するとともに、コークス比を増加することにより炉内の通気性を確保して炉芯を炉底に完全に着床させた。これにより、2P−NEにおけるレンガの侵食が抑制され、安定的な高炉操業を実施することができた。
従来は、過去の経験に基づき、炉底レンガの侵食を抑制すると考えられる全ての手段を実施していたが、本発明により、炉底レンガの侵食に対して最も効果のある手段を効率よく用いることができるようになった。
本発明は、高炉の炉底部において、レンガの侵食の伸展を抑制する方法として適用できる。
11 高炉
12a、12b、12c 出銑口
13 レンガ
14 溶銑
15 スラグ
21 熱電対(ユニット)
22 マッド

Claims (3)

  1. 高炉の炉底部に内張りされた炉底レンガの、最も侵食が進んでいる部位の溶銑の流速を推定する方法であって、
    高炉の炉底部に内張りされた炉底レンガの構造から、計算格子を生成し、
    前記炉底レンガ内に、1組当たり2点の熱電対を埋め込んで、前記2点の熱電対の計測温度に基づいて、2点間の温度と距離および前記炉底レンガの熱伝導率から熱流束を計算し、前記炉底レンガの稼動面の温度を仮定して前記炉底レンガの残存厚みを算出し、この計算を複数組の熱電対について行い前記炉底レンガの稼働面の形状を求め、
    現状の操業条件を設定し、
    炉内の炉芯コークスの下端レベルおよび形状を、前記操業条件および前記炉底レンガの損耗状況から力学的バランスに基づいて算出し、炉内の通液抵抗として反映させ、
    炉内に溶銑、スラグおよびコークス充填層が存在するとした場合の物質収支式、運動量収支式、および、エネルギー収支式に基づいて、炉底部における溶銑、スラグ、コークス充填層の温度分布と、溶銑およびスラグの流速分布を算出し、
    前記溶銑の流速分布から、最も炉底レンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速を推定することを特徴とする、高炉内の溶銑の流速推定方法。
  2. 請求項1に記載の高炉内の溶銑の流速推定方法を用いて高炉の操業条件を決定する高炉の操業方法であって、
    複数の異なる操業条件を設定し、前記現状の操業条件と同様の手順で溶銑の流速分布を算出し、
    前記複数の異なる操業条件のうち、前記最も炉底レンガの侵食が進んでいる部位近傍の溶銑の流速が最も小さくなるものを、新しい操業条件とすることを特徴とする、高炉の操業方法。
  3. 前記複数の異なる操業条件は、出銑口深度、出銑時のラップ時間、マッドの溶損速度、およびコークスフリースペースの有無について、いずれか単独の、または2つ以上を組み合わせた条件であることを特徴とする、請求項2に記載の高炉の操業方法。
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