以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。以下に説明する実施例1は、優先順位の高いパケットに対し、訂正性能の高い符号にて誤り訂正を行うと共に、再送処理を少ない数に抑え、優先順位の低いパケットに対し、訂正性能の低い符号にて誤り訂正を行うことを特徴とする。
また、実施例2は、全てのパケットに対し、所定の符号にて誤り訂正を行い、優先順位の高いパケットに対し、再送処理を少ない数に抑え、優先順位の低いパケットについて、ヘッダ及びデータと所定数のパリティビットとに分割し、分割単位で伝送を行うことを特徴とする。
〔実施例1〕
まず、実施例1について説明する。前述のとおり、実施例1は、優先順位の高いパケットに対し、訂正性能の高い符号にて誤り訂正を行うと共に、再送処理を少ない数に抑え、優先順位の低いパケットに対し、訂正性能の低い符号にて誤り訂正を行うことを特徴とする。この実施例1の送信機及び受信機にて、FEC(誤り訂正符号)の処理とARQ(自動再送要求)の処理とを組み合わせたハイブリッドARQ(HARQ)の処理を実現する。
〔送信機/実施例1〕
実施例1の送信機について説明する。図1は、実施例1の送信機の構成例を示すブロック図である。この送信機1−1は、振分格納部10、バッファ11−1,11−2、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1,12−2、バッファ13−1,13−2、フレーム生成部14、送信部15及び受信部16を備えている。送信機1−1は、映像、音声、コンピュータ用ファイル等を、無線区間を介して送信する装置であり、例えば放送事業者が用いるFPU(Field Pick-up Unit)に設けられる。後述する実施例2の送信機1−2も同様である。
送信機1−1は、外部に設けられた図示しない符号器のパケット生成部からパケットを入力する。図2は、パケット生成部の処理例を説明する図である。パケット生成部は、映像、音声、コンピュータファイル等のデータを入力し(ステップS201)、データを任意のサイズ(一定長または可変長)に分割する(ステップS202)。
パケット生成部は、分割したデータ毎に、優先順位、パケット順序等を設定し、これらの情報をヘッダに格納し、当該データにヘッダを付与することでパケットを生成する(ステップS203)。そして、パケット生成部は、ヘッダ及びデータからなるパケットを、送信機1へ出力する(ステップS204)。
優先順位は、データを伝送する際の当該パケットの緊急度等の順位を示し、パケット順序は、パケットを送受信する順番を示し、優先順位の同じパケット毎に設定される。例えば、パケット生成部へ入力される分割前のデータがIPパケットにより構成されている場合、IPパケットヘッダのDSCP(Differentiated Services Code Point)等に格納されている優先順位の指標を用いて、分割後パケットの優先順位を設定する。
このように、符号化器のパケット生成部により生成されたパケットは、そのヘッダに優先順位、パケット順序等が格納された状態で、送信機1−1へ出力される。
図1に戻って、送信機1−1の振分格納部10は、図示しない符号化器のパケット生成部からパケットを入力し、優先順位に応じてパケットを振り分け、振り分けたパケットをバッファ11−1,11−2に格納する。
図3は、振分格納部10の処理例を説明する図である。振分格納部10は、ヘッダ及びデータからなるパケットを入力し(ステップS301)、パケットのヘッダから優先順位を取り出し、優先順位に基づいて、優先順位が高いパケットと優先順位が低いパケットとに振り分ける(ステップS302)。そして、振分格納部10は、優先順位の高いパケットをバッファ11−1に格納し、優先順位の低いパケットをバッファ11−2に格納する(ステップS303)。
例えば、優先順位が数値として設定されている場合、振分格納部10は、パケットのヘッダから取り出した優先順位の数値と、予め設定された閾値とを比較する。振分格納部10は、優先順位の数値が閾値以上であると判定した場合、当該パケットを優先順位の高いパケットとしてバッファ11−1に格納する。一方、振分格納部10は、優先順位の数値が閾値よりも小さいと判定した場合、当該パケットを優先順位の低いパケットとしてバッファ11−2に格納する。このように、図1において、バッファ11−1は、優先順位の高いパケットが格納される記憶部として、バッファ11−2は、優先順位の低いパケットが格納される記憶部として用いられる。
尚、優先順位を3以上に区分するために、複数の異なる閾値を用いるようにしてもよい。この場合、振分格納部10は、パケットのヘッダから取り出した優先順位の数値と、予め設定された複数の異なる閾値とに基づいて、パケットを、優先順位の異なる3以上のグループに分ける。そして、振分格納部10は、グループ分けしたパケットを、グループ毎に備えたバッファに格納する。送信機1−1は、優先順位の区分に応じたバッファ、誤り検出及び誤り訂正符号化部を備える。後述する受信機2−1及び実施例2の送信機1−2及び受信機2−2についても同様である。
図1に戻って、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1,12−2は、バッファ11−1,11−2からパケットを読みだし、異なる誤り検出及び誤り訂正符号を用いて誤り検出及び誤り符号化を行い、符号化後のパケットをバッファ13−1,13−2に格納する。
図4は、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1,12−2の処理例を説明する図である。誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1は、バッファ11−1から優先順位の高いパケットを読み出し(ステップS401a)、パケットに対し、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−2よりも高い訂正性能の誤り検出及び誤り訂正符号を用いて、誤り検出及び誤り訂正符号化を行い(ステップS402a)、パリティビットを生成し、パケットのヘッダ及びデータにパリティビットを付加する(ステップS403a)。そして、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1は、符号化後の優先順位の高いパケット(ヘッダ及びデータ並びにパリティビットからなるパケット)をバッファ13−1に格納する。尚、図4における誤り訂正符号は、組織符号(符号化前の情報系列とパリティ系列を明確に区別できる符号:ハミング符号、リード・ソロモン符号等)を例としているが、非組織符号(符号化前の情報系列とパリティ系列が明確に区別できない符号:符号器を通らない系列を含まない畳込み符号等)でも同様である。
誤り検出及び誤り訂正符号化部12−2は、バッファ11−2から優先順位の低いパケットを読み出し(ステップS401b)、パケットに対し、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1よりも低い訂正性能の誤り検出及び誤り訂正符号を用いて、誤り検出及び誤り訂正符号化を行い(ステップS402b)、パリティビットを生成し、パケットのヘッダ及びデータにパリティビットを付加する(ステップS403b)。そして、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−2は、符号化後の優先順位の低いパケット(ヘッダ及びデータ並びにパリティビットからなるパケット)をバッファ13−2に格納する。誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1により生成されるパリティビットの量は、一般的に誤り訂正性能に依存するため、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−2により生成されるパリティビットよりも多い。
誤り検出及び誤り訂正符号は、復号側において誤り訂正復号を行い、さらに誤り検出を行うことが可能な符号である。誤り検出及び誤り訂正符号として、例えばリード・ソロモン符号(RS符号)のように、誤り訂正及び誤り検出の機能を兼ね備えた符号が用いられる。また、誤り検出及び誤り訂正符号化部が3以上の場合、優先順位の高いパケットほど訂正性能の高い誤り検出及び誤り訂正符号が用いられ、優先順位の低いパケットほど訂正性能の低い誤り検出及び誤り訂正符号が用いられる。
これにより、優先順位の高いパケットほど、高性能の誤り訂正符号を用いることで、伝送誤りに強くなる。また、優先順位の高いパケットほど、再送制限回数を小さくすることで、低遅延を実現することができる。
図1に戻って、フレーム生成部14は、バッファ13−1,13−2からパケットを読み出し、バッファ13−1から読み出した優先順位の高いパケットが所定速度の伝送レートにて送信されることで一定の伝送レートを確保するように、バッファ13−1から読み出した所定量のパケットを、優先的にフレームに格納する。また、フレーム生成部14は、バッファ13−2から読み出したパケットを、フレームの残りの箇所に格納する。そして、フレーム生成部14は、バッファ13−1,13−2から読み出したパケットを格納したフレームを生成し、フレームを送信部15に出力する。
尚、フレーム生成部14は、予め設定された位置情報に基づいて、バッファ13−1から読み出した優先順位の高いパケットを、フレームの所定位置に格納し、バッファ13−2から読み出した優先順位の低いパケットを、フレームの所定位置に格納するようにしてもよい。予め設定された位置情報には、バッファ13−1から読み出した優先順位の高いパケットが所定速度の伝送レートにて送信されることで一定の伝送レートを確保するように、優先順位の高いパケット及び優先順位の低いパケットをフレームのどの位置に格納するかを示す情報が定義されている。
フレーム生成部14は、受信部16から送り返しフレームを入力し、送り返しフレームに含まれるACKまたは再送要求(NACK)を取り出す。フレーム生成部14は、ACKを取り出した場合、当該ACKに対応するパケットについては再送しない。
一方、フレーム生成部14は、再送要求を取り出した場合、当該再送要求に対応するパケットについて、再送回数が予め設定された再送制限回数以下のときに、再送のために、新たな再送回数をヘッダに格納し、当該再送要求に対応するパケットをフレームに格納する。また、フレーム生成部14は、再送回数が予め設定された再送制限回数を超えているとき、所定のエラー処理を行う。
ここで、再送制限回数には、優先順位の高いパケットほど少ない数が予め設定され、優先順位の低いパケットほど多い数が予め設定されている。つまり、優先順位の高いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の低いパケットよりも少なく、優先順位の低いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の高いパケットよりも多い。再送制限回数は、後述する受信機2−1がパケットを正しく復号することができなかったときに、当該送信機1−1にて再送可能な最大の回数を示す。優先順位の高いパケットに対する再送制限回数は、0が設定されてもよい。
一般に、双方向性を持つ無線区間では、パケット伝送の際に誤りが発生した場合、後述する受信機2−1において、パケットの再送要求がなされてパケット誤りを回復することができる。しかし、劣悪な環境の無線区間では、送信機1−1が何度再送してもパケット誤りを回復できない可能性がある。この場合、再送制限回数を設定することにより、パケット遅延時間を保証することができる。前述のとおり、優先順位の高いパケットに対しては再送制限回数を小さくすることにより、上位レイヤに波及する遅延が少なくなるようにする。再送制限回数内でパケットが再送されたとしてもパケット誤りが残る場合は、エラー処理として、アプリケーション等の上位レイヤに判断が委ねられる。
図5は、フレームの構成例を示す図である。フレーム生成部14により生成されたフレームは無線フレームとして、複信方式に応じて決められたタイミングで送出される。図5に示すように、フレームは、時間及び周波数の次元を持ち、そのサイズは、周波数帯域及び変調方式等に応じて決定される。
図5に示すフレームの構成例では、フレーム生成部14は、バッファ13−1から読み出した4個の優先順位の高いパケット、及び、バッファ13−2から読み出した8個の優先順位の低いパケットを、所定の時間及び周波数の位置に対応するようにフレームに格納する。
バッファ13−1から読み出された優先順位の高いパケットは、訂正性能の高い誤り訂正符号化が行われているから、一般的に多量のパリティビットが付加されている。一方、バッファ13−2から読み出された優先順位の低いパケットは、訂正性能の低い誤り訂正符号化が行われているから、一般的に少量のパリティビットが付加されている。
尚、図5では、4個の優先順位の高いパケット、及び8個の優先順位の低いパケットがフレームに格納されるが、各優先順位のパケットに対し、予め設定された伝送レートの指定によって、優先順位の高いパケットのみがフレームに格納されることもあり得る。
また、フレーム生成部14は、バッファ13−1,13−2から読み出したパケットを、フレームにそのまま格納しているが、周波数または/及び時間等のインタリーブを行った後のパケットを、フレームに格納するようにしてもよい。また、後述する送信部15にて一定基準の適応変調機能(無線区間の状況に適応して変調方式を変更する機能)を用いる場合には、無線フレームのサイズは変動する。
図1に戻って、送信部15は、フレーム生成部14からフレームを入力し、図示しない変調部による変調処理、図示しない周波数変換部による周波数変換処理、図示しない高周波部による高周波変換処理等を行い、無線フレームとして、図示しない送信アンテナから無線区間を介して、後述する受信機2−1へ送信する。
このように、送信機1−1から無線フレームが送信され、無線フレームには以下の2種類のパケットが含まれる。第1のパケットは、優先順位が高く、再送回数が少なく、多量のパリティビットが付加されたパケットである。第2のパケットは、優先順位が低く、再送回数が多く、少量のパリティビットが付加されたパケットである。
受信部16は、後述する受信機2−1から送信された無線送り返しフレームを、無線区間を介して図示しない受信アンテナにて受信することで、無線送り返しフレームを入力する。そして、受信部16は、後述する受信機2−1の送信部21の逆の処理を行う。具体的には、受信部16は、図示しない高周波部による高周波変換処理、図示しない周波数変換部による周波数変換処理、図示しない復調部による復調処理等を行い、送り返しフレームをフレーム生成部14に出力する。
以上のように、実施例1の送信機1−1によれば、振分格納部10は、優先順位等が設定されたパケットを入力し、優先順位に基づいて振り分ける。誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1は、優先順位の高いパケットに対し、訂正性能の高い誤り検出及び誤り訂正符号を用いて誤り検出及び誤り訂正符号化を行い、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−2は、優先順位の低いパケットに対し、訂正性能の低い誤り検出及び誤り訂正符号を用いて誤り検出及び誤り訂正符号化を行う。
フレーム生成部14は、優先順位の高いパケットが所定速度の伝送レートにて送信されるように、所定量の優先順位の高いパケットをフレームに格納すると共に、優先順位の低いパケットを、フレームの残りの箇所に格納することで、フレームを生成する。また、フレーム生成部14は、再送の際に、再送回数が予め設定された再送制限回数以下の場合、再送対象のパケットをフレームに格納する。優先順位の高いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の低いパケットよりも少ない数が予め設定され、優先順位の低いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の高いパケットよりも多い数が予め設定されている。そして、フレームは、無線フレームとして無線区間を介して、後述の受信機2−1へ送信される。
これにより、優先順位の高いパケットは、優先順位の低いパケットよりも再送回数が少なくなると共に、無線区間において誤りが発生した場合、優先順位の低いパケットよりも、誤り訂正により正しく復号され易くなる。つまり、優先順位の高いパケットを、低遅延で破綻なく確実に伝送することができる。一方で、優先順位の低いパケットは、訂正性能の低い誤り訂正が行われるが、再送回数は多くなる。
したがって、周波数帯域等が制限され、伝搬環境が比較的安定しない無線区間を介して、緊急中継の映像及び音声等のような重要度の高いコンテンツを優先的に伝送し、及び緊急性を要しないが極力早期に伝送したい大容量のファイル等を伝送する伝送システムにおいて、パケット全体として、簡易な構成にて優先順位に応じてバランスのとれた効率的な伝送を実現することができる。
〔受信機/実施例1〕
次に、実施例1の受信機について説明する。図6は、実施例1の受信機の構成例を示すブロック図である。この受信機2−1は、受信部20、送信部21、パケット取出部22、振分格納部23、バッファ24−1,24−2、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2、送り返しフレーム生成部26及び並べ替え部27を備えている。受信機2−1は、図1に示した送信機1−1から無線区間を介して、映像、音声、コンピュータ用ファイル等を受信する装置であり、例えば放送事業者が用いるFPUに設けられる。後述する実施例2の受信機2−2も同様である。
受信機2−1は、送信機1−1から送信された無線フレームを、無線区間を介して受信アンテナにて受信する。受信機2−1の受信部20は、図1に示した送信部15の逆の処理を行う。具体的には、受信部20は、受信アンテナにて受信した無線フレームを入力し、図示しない高周波部による高周波変換処理、図示しない周波数変換部による周波数変換処理、図示しない復調部による復調処理等を行い、フレームをパケット取出部22に出力する。
パケット取出部22は、受信部20からフレームを入力し、フレームからパケットを取り出し、パケットをパケット取出部22に出力する。振分格納部23は、パケット取出部22からパケットを入力し、図1に示した振分格納部10と同様の処理を行い、優先順位に応じてパケットを振り分け、振り分けたパケットをバッファ24−1,24−2に格納する。具体的には、振分格納部23は、パケットのヘッダから優先順位を取り出し、優先順位に基づいて、優先順位の高いパケットと優先順位の低いパケットとに振り分け、優先順位の高いパケットをバッファ24−1に格納し、優先順位の低いパケットをバッファ24−2に格納する。
尚、パケット取出部22及び振分格納部23は、受信部20から入力したフレームに対し、予め設定された位置情報に基づいて、優先順位の高いパケットが格納されているフレーム内の位置から、優先順位の高いパケットを取り出してバッファ24−1に格納し、優先順位の低いパケットが格納されているフレーム内の位置から、優先順位の低いパケットを取り出してバッファ24−2に格納するようにしてもよい。予め設定された位置情報には、優先順位の高いパケット及び優先順位の低いパケットがフレームでどの位置に格納されているかを示す情報が定義されており、送信機1−1と同じ情報が設定されている。
誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2は、対応するバッファ24−1,24−2からパケットを読み出し、パケットに対し、異なる誤り訂正復号を行い、パケット誤りの有無を判定する。誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2は、パケット誤りがないことを示すOK信号、またはパケット誤りがあることを示すNG信号を送り返しフレーム生成部26に出力する。また、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2は、パケット誤りがない場合、誤り訂正復号したパケット(ヘッダ及びデータからなるパケット)を並べ替え部27に出力する。
図7は、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2の処理例を説明する図である。誤り訂正復号及び誤り検出部25−1は、バッファ24−1から優先順位の高いパケットを読み出し(ステップS701a)、パケットに対し、図1に示した誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1に対応した誤り訂正復号であって、誤り訂正復号及び誤り検出部25−2よりも高い訂正性能の誤り検出及び誤り訂正符号を用いて、誤り訂正復号を行い、パケット誤りの有無を判定する(ステップS702a)。
誤り訂正復号及び誤り検出部25−1は、パケット誤りがないと判定した場合、復号後のパケットを並べ替え部27に出力する(ステップS703a)。また、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1は、当該パケットについて復号が正しく行われたことを示すOK信号を生成して送り返しフレーム生成部26に出力する(ステップS704a)。これにより、ACKを含む送り返しフレームが生成される。
一方、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1は、パケット誤りがあると判定した場合、パケットのヘッダから再送回数を取り出し、再送回数が予め設定された再送制限回数以下であるとき、当該パケットについて復号が正しく行われていないことを示すNG信号を生成して送り返しフレーム生成部26に出力する(ステップS704a)。これにより、再送要求を含む送り返しフレームが生成される。また、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1は、再送回数が予め設定された再送制限回数を超えているとき、所定のエラー処理を行う。
誤り訂正復号及び誤り検出部25−2は、バッファ24−2から優先順位の低いパケットを読み出し(ステップS701b)、パケットに対し、図1に示した誤り検出及び誤り訂正符号化部12−2に対応した誤り訂正復号であって、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1よりも低い訂正性能の誤り検出及び誤り訂正符号を用いて、誤り訂正復号を行い、パケット誤りの有無を判定する(ステップS702b)。誤り訂正復号及び誤り検出部25−2は、パケット誤りがないと判定した場合、前述のステップS703a及びステップS704aと同様の処理を行う(ステップS703b,ステップS704b)。
一方、誤り訂正復号及び誤り検出部25−2は、パケット誤りがあると判定した場合、前述のステップS704aと同様の処理を行い(ステップS704b)、再送回数が予め設定された再送制限回数を超えているとき、所定のエラー処理を行う。
ここで、送信機1−1と同様に、優先順位の高いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の低いパケットよりも少ない数が予め設定され、優先順位の低いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の高いパケットよりも多い数が予め設定されているものとし、送信機1−1と同じ回数が設定されている。
図7に示した例では、優先順位の高いパケットのパリティビットの量が多く、優先順位の低いパケットのパリティビットの量が少ない。このようなパケットが同一環境の無線区間を介して送信された場合、一般的に優先順位の低いパケットの再送回数が多くなる。
図6に戻って、送り返しフレーム生成部26は、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2からOK信号またはNG信号を入力し、OK信号を入力した場合、当該OK信号に対応するパケットのACKを生成する。また、送り返しフレーム生成部26は、NG信号を入力した場合、当該NG信号に対応するパケットの再送要求を生成する。そして、送り返しフレーム生成部26は、ACKまたは再送要求をパケット毎に送り返しフレームに格納し、送り返しフレームを送信部21に出力する。
送信部21は、送り返しフレーム生成部26から送り返しフレームを入力し、図示しない変調部による変調処理、図示しない周波数変換部による周波数変換処理、図示しない高周波部による高周波変換処理等を行い、無線送り返しフレームとして、図示しない送信アンテナから無線区間を介して、送信機1−1へ送信する。
このように、受信機2−1から無線送り返しフレームが送信され、無線送り返しフレームにはACK及び再送要求が含まれる。
尚、ACK及び再送要求を含む無線送り返しフレームが無線区間を介して送信されるようにしたが、ACK及び再送要求に対応するパケットを識別することができれば、どのようなフレームを用いてもよい。
並べ替え部27は、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2からパケットを入力し、パケットをバッファ(図示せず)に格納し、パケットのヘッダからパケット順序を取り出し、パケット順序に基づいて、パケットを並べ替え、並べ替えたパケットを、図6には図示しない復号器のデータ復元部へ出力する。
ARQ方式として、例えば選択再送(Selective-Repeat)を用いている場合には、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2から出力されるパケットの順序が入れ替わる可能性がある。そこで、並べ替え部27は、このような順序が入れ替わったパケットを、元の順序に戻す処理を行う。これにより、パケットの順序は、バッファ24−1,24−2毎に管理され、並べ替え部27は、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2から入力されたパケットに対し、順序どおりのパケットが揃ったときに、その順序にてパケットを出力する。
図6には図示しないデータ復元部(受信機2−1の外部に設けられた復号器のデータ復元部)は、受信機2−1の並べ替え部27からパケットを入力し、パケットからデータを取り出し、取り出したデータを結合して映像、音声、コンピュータファイル等のデータを生成し、元の映像、音声、コンピュータファイル等のデータとして出力する。
以上のように、実施例1の受信機2−1によれば、送信機1−1から受信した無線フレームを受信処理してフレームを生成し、パケット取出部22は、フレームからパケットを取り出し、振分格納部23は、優先順位に応じてパケットを振り分ける。
誤り訂正復号及び誤り検出部25−1は、優先順位の高いパケットに対し、高い訂正性能の誤り検出及び誤り訂正符号を用いて誤り訂正復号を行い、パケット誤りの有無を判定する。誤り訂正復号及び誤り検出部25−2は、優先順位の低いパケットに対し、低い訂正性能の誤り検出及び誤り訂正符号を用いて誤り訂正復号を行い、パケット誤りの有無を判定する。誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2は、パケット誤りがないと判定した場合、OK信号を生成し、パケット誤りがあると判定した場合、再送回数が再送制限回数以下であるとき、NG信号を生成する。優先順位の高いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の低いパケットよりも少ない数が予め設定され、優先順位の低いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の高いパケットよりも多い数が予め設定されている。
送り返しフレーム生成部26は、OK信号に対応するパケットのACKを生成し、NG信号に対応するパケットの再送要求を生成し、これらを送り返しフレームに格納する。そして、送り返しフレームは、無線送り返しフレームとして無線区間を介して送信機1−1へ送信される。また、並べ替え部27は、復号されたパケットを、パケット順序に基づいて並べ替え、並べ替えたパケットを出力する。そして、パケットは、復号器のデータ復元部により元の映像、音声、コンピュータファイル等のデータに復元される。
これにより、優先順位の高いパケットは、優先順位の低いパケットよりも再送回数が少なくなり、無線区間において誤りが発生した場合、優先順位の低いパケットよりも、誤り訂正により正しく復号され易くなる。つまり、優先順位の高いパケットを、低遅延で破綻なく確実に伝送することができる。一方で、優先順位の低いパケットは、訂正性能の低い誤り訂正が行われ、再送回数は多くなる可能性があるが、より多くの情報を無線区間に格納することが可能となる。
したがって、周波数帯域等が制限され、伝搬環境が比較的安定しない無線区間を介して、緊急中継の映像及び音声等のような重要度の高いコンテンツを優先的に伝送し、及び緊急性を要しないが極力早期に伝送したい大容量のファイル等を伝送する伝送システムにおいて、パケット全体として、簡易な構成にて優先順位に応じてバランスのとれた効率的な伝送を実現することができる。
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。前述のとおり、実施例2は、全てのパケットに対し、所定の符号にて誤り訂正を行い、優先順位の高いパケットについて、再送処理を少ない数に抑え、優先順位の低いパケットについて、ヘッダ及びデータと所定数のパリティビットとに分割し、分割単位で伝送を行うことを特徴とする。この実施例2の送信機及び受信機にて、FEC(誤り訂正符号)の処理とARQ(自動再送要求)の処理とを組み合わせたハイブリッドARQ(HARQ)の処理を実現する。
〔送信機/実施例2〕
まず、実施例2の送信機について説明する。図8は、実施例2の送信機の構成例を示すブロック図である。この送信機1−2は、誤り検出及び誤り訂正符号化部30、振分部31、格納部32、分割格納部33、バッファ34−1,34−2、フレーム生成部35、送信部36及び受信部37を備えている。
送信機1−2は、図1に示した送信機1−1と同様に、図示しない外部に設けられた符号器のパケット生成部からパケットを入力する。
誤り検出及び誤り訂正符号化部30は、図示しない符号化器のパケット生成部からパケットを入力し、パケットに対し、所定の誤り検出及び誤り訂正符号を用いて誤り検出及び誤り訂正符号化を行い、パリティビットを生成し、パケットのヘッダ及びデータにパリティビットを付加する。そして、誤り検出及び誤り訂正符号化部30は、誤り検出及び誤り訂正符号化後のパケット(ヘッダ及びデータ並びにパリティビットからなるパケット)を振分部31に出力する。
誤り検出及び誤り訂正符号として、例えばRS−CC連接符号が用いられる。誤り検出及び誤り訂正符号化部30は、RS−CC連接符号では初めにリード・ソロモン符号化を行い、さらに畳込み符号化を行う。
前述のとおり、誤り検出及び誤り訂正符号は、復号側において誤り訂正復号を行い、さらに誤り検出を行うことが可能な符号である。誤り検出及び誤り検出符号として、例えばRS符号が用いられる。また、誤り訂正符号として、後述する分割格納部33においてパリティビットを分割することで符号化率を調整可能な伝送を可能とするために、例えば可変符号化率符号が用いられる。可変符号化率符号の一種として、RCPC(Rate Compatible Punctured Convolutional)符号、RCPT(Rate Compatible Punctured Turbo)符号等がある。
振分部31は、誤り検出及び誤り訂正符号化部30から符号化されたパケットを入力し、パケットのヘッダから優先順位を取り出し、優先順位に基づいて、優先順位の高いパケットと優先順位の低いパケットとに振り分ける。そして、振分部31は、優先順位の高いパケットを格納部32に出力し、優先順位の低いパケットを分割格納部33に出力する。
格納部32は、振分部31から優先順位の高いパケットを入力し、パケットに含まれるパリティビットを分割することなく、入力したパケットをそのままバッファ34−1に格納する。
これにより、バッファ34−1には、優先順位の高いパケットが格納される。また、優先順位の高いパケットは、間引かれる(パンクチャされる)ことなく、または比較的少量のパンクチャにより、後段のフレーム生成部35及び送信部36から送信される。つまり、誤り検出及び誤り訂正符号化部30により決定される所定の符号化率(固定の符号化率)のパケットとして送信される。
分割格納部33は、振分部31から優先順位の低いパケットを入力し、入力したパケットについて、ヘッダ及びデータとパリティビットに分割すると共に、パリティビットを所定数(の分割パリティビット)に分割する。例えば、分割格納部33は、誤り検出及び誤り訂正符号化部30にてRCPC符号が用いられた場合、RCPC符号に用いるパンクチャ行列に沿った形で、パリティビットを所定数(の分割パリティビット)に分割する。そして、分割格納部33は、ヘッダ及びデータ、分割した1以上のパリティビット(分割パリティビット)をバッファ34−2に格納する。
これにより、バッファ34−2には、優先順位の低いパケットが分割された状態で格納される。また、優先順位の低いパケットは、間引かれた(パンクチャされた)状態で、後段のフレーム生成部35及び送信部36により送信される。つまり、誤り検出及び誤り訂正符号化部30により決定される所定の符号化率のパケットとして送信されるのではなく、所定の符号化率よりも高い複数の符号化率及び所定の符号化率を実現するパケットとして送信される。また、後述する受信機2−2から再送要求(送信要求)を受信する毎に、分割されたパリティビットが送信されるから、再送要求(送信要求)毎に、符号化率は低くなる。
尚、格納部32は、優先順位の高いパケットのパリティビットを分割することなく、そのままバッファ34−1に格納する。バッファ34−1に格納される優先順位の高いパケットは、誤り検出及び誤り訂正符号化部30により決定される所定の符号化率のパケットである。これに対し、格納部32は、分割格納部33と同様に分割機能も備え、無線区間の伝搬環境及び使用条件に応じて、パケットのヘッダ及びデータとパリティビットとを分割すると共に、パリティビットを所定数(分割格納部33よりも少ない数の所定数)に分割するようにしてもよい。そして、格納部32は、分割格納部33と同様に、ヘッダ及びデータ、分割した1以上のパリティビットをバッファ34−1に格納する。バッファ34−1に格納される優先順位の高いパケットのヘッダ及びデータ等は、無線区間の伝搬環境及び使用条件に応じて、符号化率が調整されたパケットとして送信される。
図9は、振分部31、格納部32及び分割格納部33の処理例を説明する図である。振分部31は、パケットのヘッダに格納された優先順位に基づいて、優先順位の高いパケットと優先順位の低いパケットとに振り分ける(ステップS901)。尚、図9における誤り訂正符号は、組織符号(符号化前の情報系列とパリティ系列を明確に区別できる符号:ハミング符号、リード・ソロモン符号等)を例としているが、非組織符号(符号化前の情報系列とパリティ系列が明確に区別できない符号:符号器を通らない系列を含まない畳込み符号等)でも同様である。
格納部32は、優先順位の高いパケットをそのままバッファ34−1に格納する(ステップS902)。これにより、バッファ34−1には、ヘッダ及びデータにパリティビットが付加されたパケットが格納される。
分割格納部33は、優先順位の低いパケットを、ヘッダ及びデータ、所定数(図9の例では、分割パリティビットの数は3)のパリティビットに分割し、ヘッダ及びデータと、分割した3個のパリティビットをバッファ34−2に格納する(ステップS903)。これにより、バッファ34−1には、ヘッダ及びデータ(A)と3個のパリティビット(B,C,D)が格納される。
図8に戻って、フレーム生成部35は、バッファ34−1から優先順位の高いパケットを読み出すと共に、バッファ34−2から優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ(再送時には分割されたパリティビット)を読み出し、バッファ34−1から読み出したパケットが所定速度の伝送レートにて送信されることで一定の伝送レートを確保するように、バッファ34−1から読み出した所定量のパケットを、優先的にフレームに格納する。また、フレーム生成部35は、バッファ34−2から読み出したヘッダ及びデータ(再送時には分割されたパリティビット)を、フレームの残りの箇所に格納する。そして、フレーム生成部35は、フレームを生成して送信部36に出力する。
尚、フレーム生成部35は、予め設定された位置情報に基づいて、バッファ34−1から読み出した優先順位の高いパケットを、フレームの所定位置に格納し、バッファ34−2から読み出した優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ(再送時には分割されたパリティビット)を、フレームの所定位置に格納するようにしてもよい。予め設定された位置情報には、バッファ34−1から読み出した優先順位の高いパケットが所定速度の伝送レートにて送信されることで一定の伝送レートを確保するように、優先順位の高いパケット、及び優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ(再送時には分割されたパリティビット)をフレームのどの位置に格納するかを示す情報が定義されている。
フレーム生成部35は、受信部37から送り返しフレームを入力し、送り返しフレームに含まれるACK、再送要求(送信要求)を取り出し、ACKについては再送処理を行わず、再送要求(送信要求)については再送処理(送信処理)を行う。
フレーム生成部35は、優先順位の高いパケットの再送処理において、再送回数が予め設定された再送制限回数以下のときに、再送のために、新たな再送回数をヘッダに格納し、当該再送要求に対応するパケットをフレームに格納する。また、フレーム生成部35は、再送回数が予め設定された再送制限回数を超えているとき、所定のエラー処理を行う。
また、フレーム生成部35は、優先順位の低いパケットの再送処理(送信処理)において、再送回数(送信回数)が予め設定された再送制限回数(送信制限回数)以下のときに、新たな再送回数(送信回数)をヘッダに格納し、再送要求(送信要求)に対応する最初に送信したヘッダ及びデータの代わりに、分割したパリティビットをフレームに格納する。
図9の例では、バッファ34−2には、ヘッダ及びデータ(A)、分割されたパリティビット(B,C,D)が格納されている。フレーム生成部35は、まず、バッファ34−2からヘッダ及びデータ(A)を読み出してフレームに格納し、最初の再送(送信)時に、バッファ34−2からパリティビット(B)を読み出してフレームに格納し、次の再送(送信)時に、バッファ34−2からパリティビット(C)を読み出してフレームに格納し、次の再送(送信)時に、バッファ34−2からパリティビット(D)を読み出してフレームに格納する。
後述する受信機2−2により、まず、ヘッダ及びデータ(A)のみを用いて復号処理が行われる。実際は、ヘッダ及びデータ(A)に少量のパリティビットが含まれており、このパリティビットも用いて復号が行われる。そして、再送(送信)が行われる毎に、受信機2−2により、ヘッダ及びデータ(A)並びにパリティビット(B)を用いて復号処理が行われ、次に、ヘッダ及びデータ(A)並びにパリティビット(B,C)を用いて復号処理が行われ、次に、ヘッダ及びデータ(A)並びにパリティビット(B,C,D)を用いて復号処理が行われる。
受信機2−2において、ヘッダ及びデータ(A)のみを用いて復号処理が行われ、再送(送信)の必要がない場合には、当該パケットのパリティビット(B,C,D)の送信を省くことができるから、無線区間のパリティ送信量を削減することができる。また、ヘッダ及びデータ(A)並びにパリティビット(B)にて復号処理が行われ、再送(送信)の必要がない場合には、当該パケットのパリティビット(C,D)の送信を省くことができ、へッダ及びデータ(A)並びにパリティビット(B,C)にて復号処理が行われ、再送(送信)の必要がない場合には、当該パケットのパリティビット(D)の送信を省くことができるから、無線区間のパリティ送信量を削減することができる。
ここで、再送制限回数は、実施例1と同様に、優先順位の高いパケットほど少ない数に予め設定され、優先順位の低いパケットほど多い数(分割されたパリティビットの数に応じた数)に予め設定されているものとする。再送制限回数は、後述する受信機2−2がパケットを正しく復号することができなかったときに、当該送信機1−2にて再送可能な最大の回数を示す。送信制限回数も再送制限回数と同様に、送信可能な最大の回数を示す。優先順位の高いパケットに対する再送制限回数は、0が設定されてもよい。
送信部36及び受信部37は、図1に示した送信部15及び受信部16と同様であるから、ここでは説明を省略する。
このように、送信機1−2から無線フレームが送信され、無線フレームには、以下の第1のパケットと、第2のパケットが分割された分割データとが含まれる。第1のパケットは、優先順位が高く、ヘッダ及びデータ並びにパリティビットからなり、再送回数が少ない。分割データには、優先順位の低いパケットが分割されたヘッダ及びデータと、所定数に分割されたパリティビットとがあり、再送回数が多い。所定数に分割されたパリティビットは、誤り訂正符号化により生成されたパリティビットが所定数に分割された分割パリティビットである。
以上のように、実施例2の送信機1−2によれば、誤り検出及び誤り訂正符号化部30は、優先順位等が設定されたパケットを入力し、所定の符号にて誤り検出及び誤り訂正符号化を行い、振分部31は、符号化されたパケットを優先順位に基づいて振り分ける。分割格納部33は、優先順位の低いパケットを、ヘッダ及びデータと、所定数のパリティビットとに分割する。
フレーム生成部35は、優先順位の高いパケットが所定速度の伝送レートにて送信されるように、所定量の優先順位の高いパケットをフレームに格納すると共に、優先順位の低いパケットについては、最初にヘッダ及びデータのみをフレームの残りの箇所に格納することで、フレームを生成する。また、フレーム生成部35は、優先順位の低いパケットについては、再送(送信)時に、ヘッダ及びデータの代わりに、分割された所定数のパリティビットのうち1番目のパリティビットをフレームに格納し、次の再送(送信)時に、2番目のパリティビットをフレーム格納する。つまり、再送(送信)毎に、分割された所定数のパリティビットのうち1つのパリティビットをフレームに格納する。そして、フレームは、無線フレームとして無線区間を介して、後述の受信機2−2へ送信される。
これにより、優先順位の高いパケットは、優先順位の低いパケットよりも再送回数が少なくなる。また、優先順位の高いパケットには、1回の送信にて、優先順位の低いパケットに比べ多くのパリティビットが付加されているから、無線区間において誤りが発生した場合、優先順位の低いパケットよりも、誤り訂正により正しく復号され易くなる。つまり、優先順位の高いパケットを、低遅延で破綻なく確実に伝送することができる。
また、優先順位の低いパケットは、最初にヘッダ及びデータのみが送信され、パリティビットが間引かれているから、無線区間の伝搬環境が良い場合、無線フレームにおけるパリティビットによるオーバーヘッドを削減することができる。一方で、無線区間の伝搬環境が悪化し、誤りが発生した場合、パリティビットの一部を追加送信することにより、符号化率を低下させる。パリティビットの送信によって遅延は生じるが、環境に応じた最小限のパリティビットを用いた復号処理を実現することができる。また、同じ伝搬環境であれば、優先順位の低いパケットは、優先順位の高いパケットよりも再送回数が多くなる。
したがって、周波数帯域等が制限され、伝搬環境が比較的安定しない無線区間を介して、緊急中継の映像及び音声等のような重要度の高いコンテンツを優先的に伝送し、及び緊急性を要しないが極力早期に伝送したい大容量のファイル等を伝送する伝送システムにおいて、パケット全体として、簡易な構成にて優先順位に応じてバランスのとれた効率的な伝送を実現することができる。
また、送信機1−2において、優先順位の高いパケット及び優先順位の低いパケットの処理の差に関わることなく、同一の符号器を用いることができ、後述する受信機2−2において、同一の符号器に対応する同一の復号器を用いることができる。これにより、ハードウェア設計における省力化を見込むことができる。
〔受信機/実施例2〕
次に、実施例2の受信機について説明する。図10は、実施例2の受信機の構成例を示すブロック図である。この受信機2−2は、受信部40、送信部41、パケット取出部42、振分格納部43、バッファ44−1,44−2、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1,45−2、送り返しフレーム生成部46及び並べ替え部47を備えている。
受信機2−2は、送信機1−2から送信された無線フレームを、無線区間を介して受信アンテナにて受信する。受信機2−2の受信部40は、図8に示した送信部36の逆の処理を行う。受信部40は、図6に示した受信部20と同様であるから、ここでは説明を省略する。
パケット取出部42は、受信部40からフレームを入力し、フレームから優先順位の高いパケットを取り出すと共に、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ、優先順位の低いパケットの分割されたパリティビットを取り出す。そして、パケット取出部42は、優先順位の高いパケット、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ、及び、優先順位の低いパケットの分割されたパリティビットを振分格納部43に出力する。
振分格納部43は、パケット取出部42からパケット等を入力し、優先順位に応じてパケット等を振り分け、振り分けたパケット等をバッファ44−1,44−2に格納する。具体的には、振分格納部43は、パケットを入力した場合、パケットのヘッダから優先順位を取り出し、優先順位に基づいて、当該パケットが優先順位の高いパケットであることを確認し、当該パケットをバッファ44−1に格納する。これにより、バッファ44−1には、優先順位の高いパケットが、ヘッダ及びデータにパリティビットが付加された状態で格納される。
振分格納部43は、ヘッダ及びデータを入力した場合、ヘッダから優先順位を取り出し、優先順位に基づいて、当該ヘッダ及びデータが優先順位の低いパケットにおけるヘッダ及びデータであることを確認し、当該ヘッダ及びデータをバッファ44−2に格納する。また、振分格納部43は、パリティビットを入力した場合、当該パリティビットが優先順位の低いパケットにおけるパリティビットの一部であるとして、当該パリティビットをバッファ44−2に格納する。これにより、バッファ44−2には、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータが格納され、再送(送信)時毎に、当該優先順位の低いパケットの分割されたパリティビットが格納される。
尚、パケット取出部42及び振分格納部43は、受信部40から入力したフレームに対し、予め設定された位置情報に基づいて、優先順位の高いパケットが格納されているフレーム内の位置から、優先順位の高いパケットを取り出してバッファ44−1に格納し、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ等が格納されているフレーム内の位置から、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ、または優先順位の低いパケットの分割されたパリティビットを取り出してバッファ44−2に格納するようにしてもよい。予め設定された位置情報には、優先順位の高いパケット、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ等がフレーム内でどの位置に格納されているかを示す情報が定義されており、送信機1−2と同じ情報が設定されている。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、図8に示した誤り検出及び誤り訂正符号化部30に対応した誤り訂正復号及び誤り検出処理であって、図6に示した誤り訂正復号及び誤り検出部25−1と同様の処理を行う。具体的には、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、バッファ44−1から優先順位の高いパケットを読み出し、パケットに対して誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定し、パケット誤りがない場合、OK信号を生成して送り返しフレーム生成部46に出力し、復号後のパケット(ヘッダ及びデータからなるパケット)を並べ替え部47に出力する。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、パケット誤りがある場合、ヘッダから取り出した再送回数が予め設定された再送制限回数以下であるとき、NG信号を生成して送り返しフレーム生成部46に出力する。また、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、再送回数が再送制限回数を超えているとき、所定のエラー処理を行う。
例えば、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、図8に示した誤り検出及び誤り訂正符号化部30により、RS−CC連接符号としてリード・ソロモン符号化及び畳込み符号化が行われた場合、ビタビ復号及びリード・ソロモン符号の復号を行う。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、バッファ44−2から優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ、または優先順位の低いパケットの分割されたパリティビットを読み出す。そして、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、ヘッダ及びデータを読み出した場合、当該ヘッダ及びデータに対して誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定する。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、パリティビットを読み出した場合、既に読み出したヘッダ及びデータに、今回読み出したパリティビットを結合し、結合データを生成する。また、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、既に結合データが存在する場合、当該結合データに、今回読み出したパリティビットを結合し、新たな結合データを生成する。そして、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、結合データに対して誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定する。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、パケット誤りがないと判定した場合、OK信号を生成して送り返しフレーム生成部46に出力し、誤り訂正復号したパケット(ヘッダ及びデータからなるパケット)を並べ替え部47に出力する。一方、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、パケット誤りがあると判定した場合、ヘッダから取り出した再送回数が予め設定された再送制限回数以下であるとき、NG信号を生成して送り返しフレーム生成部46に出力する。また、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、再送回数が再送制限回数を超えているとき、所定のエラー処理を行う。
図11は、振分格納部43、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1,45−2の処理例を説明する図である。振分格納部43は、パケット取出部22からパケット等を入力して振り分け、優先順位の高いパケットをバッファ44−1に格納すると共に、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータとパリティビットとをバッファ44−2に格納する(ステップS1101)。
送信機1−2において、優先順位の低いパケットが、ヘッダ及びデータ、所定数(図11の例では3であり、図9に対応している。)のパリティビットに分割された場合を想定する。振分格納部43は、1回目にヘッダ及びデータ(A)をバッファ44−2に格納し、2回目に(最初の再送(送信)時に)パリティビット(B)をバッファ44−2に格納し、3回目に(次の再送(送信)時に)パリティビット(C)をバッファ44−2に格納し、4回目に(次の再送(送信)時に)パリティビット(D)をバッファ44−2に格納する。
尚、ヘッダ及びデータ(A)、パリティビット(B,C,D)のそれぞれを識別するための情報は、フレームのヘッダに格納されており、パケット取出部42は、これらを取り出す際に識別する。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、バッファ44−1からパケットを読み出し(ステップS1102)、パケットに対して誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定し、OK信号またはNG信号を生成する(ステップS1103)。パケット誤りがない場合、送り返しフレーム生成部46により、OK信号に基づいて、ACKを含む送り返しフレームが生成され、パケット誤りがある場合、NG信号(当該パケットを再送させるためのNG信号)に基づいて、再送要求を含むフレームが生成される。そして、無線送り返しフレームとして送信機1−2へ送信される。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、1回目に、バッファ44−2からヘッダ及びデータ(A)を読み出し、ヘッダ及びデータ(A)に、例えばビット尤度0を設定したパリティビット(パリティビットB,C,Dに対応する領域にビット尤度0を設定したパリティビット)を結合し、結合データを生成する(ステップS1104)。そして、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、結合データに対して誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定する(ステップS1105)。実際は、ヘッダ及びデータ(A)に少量のパリティビットが含まれており、このパリティビットにより復号が行われる。
パケット誤りがない場合、送り返しフレーム生成部46により、OK信号に基づいて、ACKを含む送り返しフレームが生成され、パケット誤りがある場合、NG信号(当該パケットのパリティビット(B)を送信させるためのNG信号)に基づいて、再送要求(当該パケットのパリティビット(B)を送信させるための送信要求)を含むフレームが生成される。そして、無線送り返しフレームとして送信機1−2へ送信される。再送要求(送信要求)の場合は、送信機1−2からパリティビット(B)が送信される。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、2回目に(当該パケットについて2回目の送信時に)、バッファ44−2からパリティビット(B)を読み出し、既に読み出したヘッダ及びデータ(A)にパリティビット(B)を結合し、さらに、例えばビット尤度0を設定したパリティビット(パリティビットC,Dに対応する領域にビット尤度0を設定したパリティビット)を結合し、結合データを生成する(ステップS1104)。そして、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、結合データに対して誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定する(ステップS1105)。
パケット誤りがない場合及びパケット誤りがある場合の処理は、前述のとおりであり、再送要求(当該パケットのパリティビット(C)を送信させるための送信要求)の場合は、送信機1−2からパリティビット(C)が送信される。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、3回目に(当該パケットについて3回目の送信時に)、バッファ44−2からパリティビット(C)を読み出し、既に生成した結合データ(ヘッダ及びデータ(A)にパリティビット(B)が結合した結合データ)にパリティビット(C)を結合し、さらに、例えばビット尤度0を設定したパリティビット(パリティビットDに対応する領域にビット尤度0を設定したパリティビット)を結合し、結合データを生成する(ステップS1104)。そして、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、結合データに対して誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定する(ステップS1105)。
パケット誤りがない場合及びパケット誤りがある場合の処理は、前述のとおりであり、再送要求(当該パケットのパリティビット(D)を送信させるための送信要求)の場合は、送信機1−2からパリティビット(D)が送信される。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、4回目に(当該パケットについて4回目の送信時に)、バッファ44−2からパリティビット(D)を読み出し、既に生成した結合データ(ヘッダ及びデータ(A)にパリティビット(B,C)が結合した結合データ)にパリティビット(D)を結合し、結合データを生成する(ステップS1104)。そして、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、結合データに対して誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定する(ステップS1105)。パケット誤りがある場合、所定のエラー処理が行われる。
このように、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2により、送信回数に応じて結合データが生成され、復号処理が行われる。結合データの生成の際には、例えばRCPC符号のパンクチャ行列に従って、ビット単位の尤度を足し合わせる処理等が行われる。
尚、図11では、送信回数を4回として説明したが、送信回数を5回以上または3回以下としてもよい。とし、例えば、送信回数が5回以上の場合、送信機1−2から、既に送信済みの同じヘッダ及びデータ(A)、パリティビット(B,C,D)、または他の振り分けにより生成された送信済みのビット列(例えばAの一部)がそれぞれ再送されるようにしてもよい。この場合、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、4回目に、バッファ44−2からパリティビット(D)を読み出して処理を行い、パケット誤りがあると判定した場合、例えばヘッダ及びデータ(A)を再送させるためのNG信号を生成する。また、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、5回目に、バッファ44−2から、再送されたヘッダ及びデータ(A)を読み出して処理を行い、パケット誤りがあると判定した場合、パリティビット(B)を再送させるためのNG信号を生成する。
また、パケット取出部42、振分格納部43、バッファ44−1及び誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、優先順位の高いパケットについて、優先順位の高いパケットの符号化率を基準とした処理を行うようにしている。これに対し、図8に示した送信機1−2の格納部32が分割機能も備え、パケットをヘッダ及びデータと所定数のパリティビットとに分割した場合、受信機2−2のパケット取出部42、振分格納部43、バッファ44−1及び誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、優先順位の高いパケットのヘッダ及びデータ、所定数のパリティビットのそれぞれについて、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ等と同じ処理を行うようにしてもよい。この場合、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1,45−2は同じ構成とすることができ、ハードウェア設計を簡易にすることが可能である。尚、優先順位の高いパケットにおける分割されたパリティビットの所定数は、優先順位の低いパケットの所定数よりも少ない数である。
また、送信機1−2と同様に、優先順位の高いパケットに対する再送制限回数は、優先順位の低いパケットよりも少ない数が予め設定され、優先順位の低いパケットに対する再送制限回数(送信制限回数)は、優先順位の高いパケットよりも多い数(分割されたパリティビットの数に応じた数)が予め設定されているものとする。再送制限回数は、後述する受信機2−2がパケットを正しく復号することができなかったときに、当該送信機1−2にて再送可能な最大の回数を示す。送信制限回数も再送制限回数と同様に、送信可能な最大の回数を示す。優先順位の高いパケットに対する再送制限回数は、0が設定されてもよい。
図10に戻って、送り返しフレーム生成部46は、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1からOK信号及びNG信号を入力し、図6に示した送り返しフレーム生成部26と同様の処理を行う。具体的には、送り返しフレーム生成部46は、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1からOK信号を入力した場合、当該OK信号に対応するパケットのACKを生成し、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1からNG信号を入力した場合、当該NG信号に対応するパケットの再送要求を生成する。
送り返しフレーム生成部46は、誤り訂正復号及び誤り検出部45−2からOK信号及びNG信号を入力し、ACK及び送信要求を生成する。具体的には、送り返しフレーム生成部46は、OK信号を入力した場合、当該OK信号に対応するパケットのヘッダ及びデータ、またはパリティビットのACKを生成する。また、送り返しフレーム生成部46は、NG信号を入力した場合、NG信号に対応するパケットにおける他の(次の)パリティビットの送信要求を生成する。そして、送り返しフレーム生成部46は、ACK、再送要求または送信要求をパケット毎に送り返しフレームに格納し、送り返しフレームを送信部41に出力する。
並べ替え部47は、図6に示した並べ替え部27と同様であるから、ここでは説明を省略する。また、図10には図示しないデータ復元部(受信機2−2の外部に設けられた復号器のデータ復元部)は、受信機2−2の並べ替え部47からパケットを入力し、パケットからデータを取り出し、取り出したデータを結合して映像、音声、コンピュータファイル等のデータを生成し、元の映像、音声、コンピュータファイル等のデータとして出力する。
以上のように、実施例2の受信機2−2によれば、送信機1−2から受信した無線フレームを受信処理してフレームを生成し、パケット取出部42は、フレームからパケット、ヘッダ及びデータ、パリティデータを取り出し、振分格納部43は、パケット等を振り分ける。誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、優先順位の高いパケットに対し、図8に示した誤り検出及び誤り訂正符号化部30に対応した誤り訂正復号を行い、パケット誤りの有無を判定する。そして、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1は、パケット誤りがないと判定した場合、OK信号を生成し、パケット誤りがあると判定した場合、再送回数が再送制限回数以下であるとき、同じパケットを再送させるためのNG信号を生成する。
誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、優先順位の低いパケットのヘッダ及びデータ、またはヘッダ及びデータにパリティビットを結合した結合データに対し、図8に示した誤り検出及び誤り訂正符号化部30に対応した誤り訂正復号を行い、パケットの誤りの有無を判定する。誤り訂正復号及び誤り検出部45−2は、パケット誤りがないと判定した場合、OK信号を生成し、パケット誤りがあると判定した場合、再送回数が再送制限回数以下であるとき、他のパリティビットを送信させるためのNG信号を生成する。
送り返しフレーム生成部46は、優先順位の高いパケットについて、OK信号に対応するパケットのACKを生成し、NG信号に対応するパケットの再送要求を生成し、優先順位の低いパケットについて、OK信号に対応するパケットのヘッダ及びデータ、またはパリティビットのACKを生成し、NG信号に対応するパケットにおける他のパリティビットの送信要求を生成し、これらを送り返しフレームに格納する。そして、送り返しフレームは、無線送り返しフレームとして無線区間を介して送信機1−2へ送信される。また、並べ替え部47は、復号されたパケット(ヘッダ及びデータからなるパケット)を、パケット順序に基づいて並べ替え、並べ替えたパケットを出力する。そして、パケットは、復号器のデータ復元部により元の映像、音声、コンピュータファイル等のデータに復元される。
これにより、優先順位の高いパケットは、優先順位の低いパケットよりも再送回数が少なくなる。また、優先順位の高いパケットには、1回の送信にて、優先順位の低いパケットに比べ多くのパリティビットが付加されているから、無線区間において誤りが発生した場合、優先順位の低いパケットよりも、誤り訂正により正しく復号され易くなる。つまり、優先順位の高いパケットを、低遅延で破綻なく確実に伝送することができる。
また、優先順位の低いパケットは、最初にヘッダ及びデータのみが送信され、パリティビットが間引かれているから、無線区間の伝搬環境が良い場合、無線フレームにおけるパリティビットによるオーバーヘッドを削減することができる。一方で、無線区間の伝搬環境が悪化し、誤りが発生した場合、パリティビットの一部を追加送信することにより、符号化率を低下させる。パリティビットの送信によって遅延は生じるが、環境に応じた最小限のパリティビットを用いた復号処理を実現することができる。また、同じ伝搬環境であれば、優先順位の低いパケットは、優先順位の高いパケットよりも再送回数が多くなる。
したがって、周波数帯域等が制限され、伝搬環境が比較的安定しない無線区間を介して、緊急中継の映像及び音声等のような重要度の高いコンテンツを優先的に伝送し、及び緊急性を要しないが極力早期に伝送したい大容量のファイル等を伝送する伝送システムにおいて、パケット全体として、簡易な構成にて優先順位に応じてバランスのとれた効率的な伝送を実現することができる。
また、受信機2−2において、優先順位の高いパケット及び優先順位の低いパケットの処理の差に関わることなく、送信機1−2における同一の符号器に対応した同一の復号器を用いることができる。これにより、ハードウェア設計における省力化を見込むことができる。
以上、実施例1,2を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1,2に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施例1は、送信機1−1及び受信機2−1からなる伝送システムを対象とし、前記実施例2は、送信機1−2及び受信機2−2からなる伝送システムを対象として説明したが、本発明は、送信機1−1の機能及び受信機2−1の機能を備えた送受信機、並びに送信機1−2の機能及び受信機2−2の機能を備えた送受信機にも適用がある。
具体的には、実施例1に対応する送受信機は、振分格納部10、バッファ11−1,11−2、誤り検出及び誤り訂正符号化部12−1,12−2、バッファ13−1,13−2、フレーム生成部14、送信部15及び受信部16を備えた送信処理部と、受信部20、送信部21、パケット取出部22、振分格納部23、バッファ24−1,24−2、誤り訂正復号及び誤り検出部25−1,25−2、送り返しフレーム生成部26及び並べ替え部27を備えた受信処理部と、を備えている。例えば、実施例1に対応する2台の送受信機により、伝送システムが構成される。
また、実施例2に対応する送受信機は、誤り検出及び誤り訂正符号化部30、振分部31、格納部32、分割格納部33、バッファ34−1,34−2、フレーム生成部35、送信部36及び受信部37を備えた送信処理部と、受信部40、送信部41、パケット取出部42、振分格納部43、バッファ44−1,44−2、誤り訂正復号及び誤り検出部45−1,45−2、送り返しフレーム生成部46及び並べ替え部47を備えた受信処理部と、を備えている。例えば、実施例2に対応する2台の送受信機により、伝送システムが構成される。
また、前記実施例1,2において、再送制御には双方向通信を行うための複信方式が必要であるが、本発明はこれを限定するものではなく、時分割複信、周波数分割複信等どの方式を用いてもよく、その周波数帯域についても問わない。
また、前記実施例1,2において、送信機1−1,1−2は、無線フレームを、無線区間を介して受信機2−1,2−2へ送信し、受信機2−1,2−2は、送り返し無線フレームを、無線区間を介して送信機1−1,1−2へ送信するようにしている。本発明は、無線区間の通信路に適用があるだけでなく、有線区間の通信路にも適用がある。つまり、送信機1−1,1−2は、フレームを、有線区間を介して受信機2−1,2−2へ送信し、受信機2−1,2−2は、送り返しフレームを、有線区間を介して送信機1−1,1−2へ送信してもよい。
また、送信機1−1,1−2は、無線フレームを、無線区間を介して受信機2−1,2−2へ送信し、受信機2−1,2−2は、送り返しフレームを、有線区間を介して送信機1−1,1−2へ送信するようにしてもよい。また、送信機1−1,1−2は、フレームを、有線区間を介して受信機2−1,2−2へ送信し、受信機2−1,2−2は、無線送り返しフレームを、無線区間を介して送信機1−1,1−2へ送信するようにしてもよい。
また、前記実施例2において、図9及び図11では、ヘッダ及びデータに付加されたパリティビットの分割数を3として説明したが、これは一例であり、パリティビットの分割数は1以上であればよい。パリティビットの分割数が1の場合は、パリティビットは分割されない。つまり、図9において、ヘッダ及びデータ並びにパリティビットからなるパケットは、ヘッダ及びデータと1個のパリティビットとに分割される。
また、前記実施例1,2は、送信機1−1,1−2及び受信機2−1,2−2により、FEC(誤り訂正符号)の処理とARQ(自動再送要求)の処理とを組み合わせたハイブリッドARQ(HARQ)の処理を実現するようにしたが、これは一例であり、他の処理を用いるようにしてもよい。
また、前記実施例1,2において、パケット等の再送回数が定義される再送制限回数は、送信機1−1,1−2及び受信機2−1,2−2にて予め設定されているものとして説明した。これに対し、送信機1−1,1−2は、再送制限回数を設定してパケットのヘッダに格納する再送制限回数設定部を備え、受信機2−1,2−2は、パケットのヘッダから再送制限回数を取り出す再送制限回数取出部を備えるようにしてもよい。
送信機1−1,1−2の再送制限回数設定部は、優先順位の高いパケットについて、優先順位の低いパケットよりも少ない数の再送制限回数を設定し、再送制限回数をそのヘッダに格納し、優先順位の低いパケットについて、優先順位の高いパケットよりも多い数の再送制限回数を設定し、再送制限回数をそのヘッダに格納する。また、受信機2−1,2−2の再送制限回数取出部は、優先順位の高いパケットのヘッダから、優先順位の低いパケットよりも少ない数の再送制限回数を取り出し、優先順位の低いパケットのヘッダから、優先順位の高いパケットよりも多い数の再送制限回数を取り出す。この場合、符号化器が再送制限回数設定部を備えるようにしてもよい。