JP6666107B2 - 蓄電池用電極の製造方法、及び蓄電池用電極 - Google Patents

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Description

本発明の一態様は、蓄電池用電極、及びその製造方法、蓄電池、並びに電子機器に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様は、物、方法、又は製造方法に関する。本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、又は、それらの製造方法を一例として挙げることができる。
近年の携帯電話、スマートフォン、電子書籍端末(電子ブック)、携帯型ゲーム機等の携帯型電子機器の著しい普及に伴い、その駆動電源である二次電池の小型化・大容量化の要求が高まっている。携帯型電子機器に用いられる二次電池として、高いエネルギー密度、大容量といった利点を有するリチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池が広く利用されている。
リチウムイオン二次電池は、非水系二次電池の中でも高エネルギー密度を有することで広く普及している。リチウムイオン二次電池は、コバルト酸リチウム(LiCoO)やリン酸鉄リチウム(LiFePO)などの活物質を含む正極と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な黒鉛等の活物質を含む負極と、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートなどの有機溶媒に、LiBFやLiPF等のリチウム塩からなる電解質を溶解させた非水電解液などにより構成される。リチウムイオン二次電池の充放電は、二次電池中のリチウムイオンが非水電解液を介して正極−負極間を移動し、正極負極の活物質にリチウムイオンが挿入脱離することにより行われる。
正極又は負極には、活物質と活物質、及び活物質層と集電体とを結着させるために、結着剤(バインダともいう。)を混入する。結着剤は、絶縁性のポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の高分子有機化合物が一般的であるため電気伝導性が極めて低い。このため、活物質量に対して結着剤の割合を増加させると、電極中の活物質量の割合が相対的に低下するため、結果として二次電池の放電容量が低下してしまう。
そこで、アセチレンブラック(AB)やグラファイト(黒鉛)粒子などの導電助剤を混合することで活物質間又は活物質層−集電体間の電気伝導性を向上させている。これにより電気伝導性の高い活物質層の提供を可能としている(特許文献1参照)。
また、グラフェンを導電助剤として含む電極が開発されている。特許文献2には、酸化グラフェン(GO(Graphene Oxideの略記)ともいう。)、活物質、および結着剤を混合した後に、GOを還元する工程を有する電極の製造方法が開示されている。この製造方法により、少量の導電助剤で高い電気伝導性を有する活物質層を提供することができる。
特開2002−110162号公報 特開2014−7141号公報
グラフェンを導電助剤として含む電極を有する蓄電池の性能を向上させるために、十分に酸化グラフェンを還元することのできる電極の製造方法の開発が求められている。
そこで、本発明の一態様は、酸化グラフェンを還元する反応の反応効率を高めることを課題とする。また、本発明の一態様は、内部抵抗の小さい蓄電池用電極の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明の一態様は、穏和な反応条件で酸化グラフェンを還元することを課題とする。また、本発明の一態様は、還元反応による活物質層の損傷を低減することを課題とする。
また、本発明の一態様は、蓄電池の放電容量を増加させることを課題とする。また、本発明の一態様は、蓄電池のサイクル特性を向上させることを課題とする。また、本発明の一態様は蓄電池のレート特性を向上させることを課題とする。
または、本発明の一態様は、新規な電極、新規な電極の製造方法、または、新規な蓄電装置などを提供することを課題とするものである。なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はない。また、本発明の一態様では、上記課題の少なくとも一を解決するものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、活物質と、結着剤と、酸化グラフェンと、溶媒と、を有するペーストを作製し、該ペーストを集電体に塗布し、該ペーストに含まれる溶媒を蒸発させて活物質層を形成し、該活物質層を、アルコールを有する液に含浸させ、該活物質層を、該液から取り出し、加熱する蓄電池用電極の製造方法である。
または、本発明の一態様は、活物質と、結着剤と、酸化グラフェンと、導電助剤と、溶媒と、を有するペーストを作製し、該ペーストを集電体に塗布し、該ペーストに含まれる溶媒を蒸発させて活物質層を形成し、該活物質層を、アルコールを有する液に含浸させ、該活物質層を、該液から取り出し、加熱する蓄電池用電極の製造方法である。
また、本発明の一態様は、上記各構成において、アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、又はtert−ブチルアルコールである蓄電池用電極の製造方法であることが好ましい。
また、本発明の一態様は、集電体と、活物質層と、を有し、活物質層は、集電体と接し、活物質層は、活物質と、結着剤と、グラフェンと、第2の導電助剤と、を有する蓄電池用電極である。
また、本発明の一態様は、第1の電極と、第2の電極と、を有し、第1の電極は、上記構成の蓄電池用電極であり、第1の電極は、正極又は負極の一方として動作させることができる機能を有し、第2の電極は、正極又は負極の他方として動作させることができる機能を有する蓄電池である。
また、本発明の一態様は、上記構成の蓄電池と、表示パネル、操作キー、スピーカ、またはマイクと、を搭載することを特徴とする電子機器である。
本発明の一態様により、酸化グラフェンを還元する反応の反応効率を高めることができる。また、本発明の一態様により、内部抵抗の小さい蓄電池用電極の製造方法を提供することができる。
また、本発明の一態様により、穏和な反応条件で酸化グラフェンを還元することができる。また、本発明の一態様により、還元反応による活物質層の損傷を低減することができる。
また、本発明の一態様により、蓄電池のサイクル特性を向上させることができる。また、本発明の一態様により蓄電池のレート特性を向上させることができる。
また、本発明の一態様により、新規な電極、新規な電極の作製方法、または、新規な蓄電装置などを提供することができる。なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
蓄電池用電極の製造方法を説明する図。 蓄電池用電極を説明する図。 蓄電池用電極を説明する図。 コイン型蓄電池を説明する図。 ラミネート型蓄電池を説明する図。 ラミネート型蓄電池を説明する図。 円筒型蓄電池を説明する図。 電気機器の一例を説明する図。 電気機器の一例を説明する図。 電気機器の一例を説明する図。 本発明の一態様を説明するブロック図。 本発明の一態様を説明する概念図。 本発明の一態様を説明する回路図。 本発明の一態様を説明する回路図。 本発明の一態様を説明する概念図。 本発明の一態様を説明するブロック図。 本発明の一態様を説明するフローチャート。 ハーフセルのサイクル特性を説明する図。 ハーフセルのレート特性を説明する図。 ハーフセルのレート特性を説明する図。 フルセルのサイクル特性を説明する図。 酸化グラフェンの13C NMRスペクトル。 電極の断面SEM像。 電極の断面SEM像。 ハーフセルのレート特性を説明する図。 ハーフセルのサイクル特性を説明する図。 フルセルのサイクル特性を説明する図。
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、膜や層、基板などの厚さや領域等の各構成要素の大きさは、個々に説明の明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしも各構成要素はその大きさに限定されず、また各構成要素間での相対的な大きさに限定されない。
なお、本明細書等において、第1、第2などとして付される序数詞は、便宜上用いるものであって工程の順番や積層の順番などを示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蓄電池用電極について、図2及び図3を用いて説明する。図2(A)に電極の斜視図を、図2(B)に活物質層の平面図を、図2(C)及び図3に、活物質層の縦断面図を示す。
図2(A)は、電極200の斜視図である。図2(A)では電極200を矩形のシート形状で示しているが、電極200の形状はこれに限らず、任意の形状を適宜選択することができる。図2(A)においては、活物質層202は集電体201の一方の面にのみ形成しているが、活物質層202は集電体201の両面に形成してもよい。また、活物質層202は集電体201の全面に形成する必要はなく、タブと接続するための領域等、非塗布領域を適宜設ける。
集電体201には、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、アルミニウム、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。集電体201は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体201は、厚みが10μm以上30μm以下のものを用いるとよい。また、集電体201の表面に、グラファイトなどを用いてアンダーコート層を設けてもよい。
図2(B)及び図2(C)は、活物質層202の上面及び縦断面をそれぞれ示した模式図である。活物質層202は、導電助剤としてのグラフェン204と、粒状の活物質203と、結着剤(バインダともいう。図示せず)と、を含む。活物質層202は、グラフェン以外の導電助剤(第2の導電助剤ともいう。図示せず)を有していてもよい。
図2(B)に示す活物質層202の上面図のように、複数の粒状の活物質203は、複数のグラフェン204によって被覆されている。一枚のシート状のグラフェン204は、複数の粒状の活物質203と接続する。特に、グラフェン204がシート状であるため、粒状の活物質203の表面の一部を包むように面接触することができる。活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフェン204は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、導電助剤の量を増加させることなく、粒状の活物質203とグラフェン204との電気伝導性を向上させることができる。
また、複数のグラフェン204どうしも面接触している。これはグラフェン204の形成に、極性溶媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを用いるためである。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散液から溶媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元してグラフェンとするため、活物質層202に残留するグラフェン204は部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に分散していることで電気伝導の経路を形成している。
図2(B)に示す活物質層202の上面図において、グラフェン204は必ずしも活物質層202の表面でのみ他のグラフェンと重なり合うものではなく、グラフェン204の一部は活物質層202の間に設けられる。また、グラフェン204は炭素分子の単層又はこれらの積層で構成される極めて薄い膜(シート)であるため、個々の粒状の活物質203の表面をなぞるようにその表面の一部を覆って接触しており、活物質203と接していない部分は複数の粒状の活物質203の間で撓み、皺となり、あるいは引き延ばされて張った状態を呈する。
活物質層202の縦断面においては、図2(C)に示すように、活物質層202の内部において概略均一にシート状のグラフェン204が分散する。図2(C)においてはグラフェン204を模式的に太線で表しているが、実際には炭素分子の単層又は多層の厚みを有する薄膜である。活物質層202の上面についての説明と同様に、複数のグラフェン204は、複数の粒状の活物質203を包むように、あるいは覆うように形成されているため、互いに面接触している。また、グラフェン204どうしも互いに面接触することで複数のグラフェン204により電気伝導のネットワークを形成している。図2(C)をさらに拡大した模式図が図3である。複数の粒状の活物質203の表面上に張り付くようにグラフェン204が被覆するとともに、グラフェン204どうしもまた接触してネットワークを形成している。
図2(B)、図2(C)及び図3で示したように、シート状の複数のグラフェン204は活物質層202の内部において三次元的に分散しており、これらが互いに面接触することで、三次元の電気伝導性のネットワークを形成している。また、それぞれのグラフェン204は、複数の粒状の活物質203を被覆し面接触している。
グラフェン204は、実施の形態2で説明する蓄電池用電極の製造方法において、加熱によって酸化グラフェンを還元することで形成される。
本明細書において、グラフェンは単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の多層グラフェンを含むものである。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化合物のことをいう。なお、酸化グラフェンを還元してグラフェンを形成する場合、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素はグラフェンに残存してもよい。実施の形態2で説明する蓄電池用電極の製造方法により、酸化グラフェンを高い反応効率で還元することができる。なお、グラフェンに酸素が含まれる場合、酸素の割合は、XPS(X−ray photoelectron spectroscopy)で測定した場合にグラフェン全体の1atomic%以上20atomic%以下、好ましくは3atomic%以上10atomic%以下である。上記に述べたように、シート状の複数のグラフェン204は活物質層202の内部において三次元的に分散しており、これらが互いに面接触することで、三次元の電気伝導性のネットワークを形成している。従って、酸化グラフェンを高い反応効率で還元することにより、活物質層202及び電極200の内部抵抗を小さくすることができる。これによって、電極200を用いた蓄電池においては、レート特性を向上させることができる。
酸化グラフェンは、Hummers法と呼ばれる酸化法を用いて作製することができる。Hummers法は、グラファイト粉末に、過マンガン酸カリウムの硫酸溶液、過酸化水素水等を加えて酸化反応させて酸化グラファイトを含む混合液を作製する。酸化グラファイトの炭素には、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の官能基が結合する。このため、複数のグラフェンの層間距離がグラファイトと比較して長くなり、層間の分離による薄片化が容易となる。次に、酸化グラファイトを含む混合液に、超音波振動を加えることで、層間距離が長い酸化グラファイトを劈開し、酸化グラフェンを分離するとともに、酸化グラフェンを含む混合液を作製することができる。そして、酸化グラフェンを含む混合液から溶媒を取り除くことで、粉末状の酸化グラフェンを得ることができる。
酸化グラフェンは、過マンガン酸カリウム等の酸化剤の量を適宜調整することで形成してもよい。例えば、グラファイト粉末に対して酸化剤の量を増加させることで、酸化グラフェンの酸化度(炭素に対する酸素の原子数比)を高めることができる。従って、製造する酸化グラフェンの量に合わせて、原料となるグラファイト粉末に対する酸化剤の量を決定すればよい。
なお、酸化グラフェンの作製は過マンガン酸カリウムの硫酸溶液を用いたHummers法に限られず、例えば硝酸、塩素酸カリウム、又は硝酸ナトリウム等を使用するHummers法、又はHummers法以外の酸化グラフェンの作製方法を適宜用いてもよい。
また、酸化グラファイトの薄片化は、超音波振動の付加の他、マイクロ波やラジオ波、又は熱プラズマの照射や、物理的応力の付加により行ってもよい。
作製した酸化グラフェンは、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等を有する。酸化グラフェンはNMP(N−メチルピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどともいう。)に代表される極性溶媒中においては、官能基の酸素がマイナスに帯電するため、極性溶媒と相互作用する一方で異なる酸化グラフェンどうしは反発し、凝集しにくい。このため、極性溶媒中においては、酸化グラフェンが均一に分散しやすい。
また、酸化グラフェンの一辺の長さ(フレークサイズともいう。)は50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下である。酸化グラフェンのフレークサイズを調製することで、活物質層中のグラフェンのフレークサイズを制御することができる。グラフェンのフレークサイズが粒状の活物質203の平均粒径よりも小さい場合、複数の活物質203との面接触がしにくくなるとともに、グラフェン相互の接続が難しくなるため、活物質層202の電気伝導性を向上させることが困難となる。
結着剤(バインダ)は、活物質層202においてネットワークを構築し、活物質203と活物質203、活物質203とグラフェン204、グラフェン204とグラフェン204、及び活物質層202と集電体201を結着させる機能を有する。実施の形態2で説明する電極の製造方法を用いて製造すると、結着剤が構築するネットワークをより強固なものとすることができる。従って、活物質203と活物質203、活物質203とグラフェン204、グラフェン204とグラフェン204、及び活物質層202と集電体201の結着をより強くすることができる。
結着剤は、電極200を電解液に浸け、充放電を繰り返すと、電解液を吸収して膨張することがある。これによって、活物質層202全体が膨張する、又は変形することがある。これらの現象は、活物質層202における結着剤のネットワークが、電極の製造工程において損傷を受けている場合には顕著になる。上記の通り、活物質層202の内部においてはシート状のグラフェン204が三次元的に分散しており、これらが互いに面接触することで三次元の電気伝導性のネットワークを形成している。また、それぞれのグラフェン204は、複数の粒状の活物質203を被覆し面接触している。このような活物質層202において、膨張又は変形等が発生すると、接触していた複数のグラフェン204、又は接触していたグラフェン204と活物質203が剥離する、離間する、又は接触面積が小さくなる可能性がある。また、グラフェン204又は活物質203が、ひび割れる、又は砕ける可能性がある。これらの要因によって、活物質層202において構成されていた三次元の電気伝導性のネットワークの一部が切れ、電極200の性能が低下すると、充放電の繰り返しにより、電池の放電容量が低下する、又は電位が低下する等の問題につながる。
一方、本発明の一態様である電極200の活物質層202においては、上記の通り、強固な結着剤のネットワークが構築されている。従って、結着剤が電解液を吸収し、膨らんでも、活物質層202全体は膨張しにくい、又は変形しにくい。従って、電極200を電解液に浸け、電池の充放電を繰り返しても、活物質層202において、複数のグラフェン204、及び接触しているグラフェン204と活物質203は、剥離しにくい、離間しにくい、又は接触面積が小さくなりにくい。また、グラフェン204及び活物質203は、ひび割れにくい、又は砕けにくい。従って、三次元の電気伝導性のネットワークが切断されにくく、電極200の性能が低下しにくい。よって、電極200を用いた電池は、充放電を繰り返しても、放電容量が低下しにくく、電位が低下しにくい。つまり、蓄電池のサイクル特性を向上させることができる。
結着剤には、代表的なポリフッ化ビニリデン(PVdF)の他、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を用いることができる。
活物質203は、原料化合物を所定の比率で混合し焼成した焼成物を、適当な手段により粉砕、造粒及び分級した、平均粒径や粒径分布を有する二次粒子からなる粒状の活物質である。このため、図2(B)及び図2(C)においては、活物質203を模式的に球で示しているが、この形状に限られるものではない。
電極200を蓄電池の正極として用いる場合には、活物質203としては、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な材料を用いることができる。例えば、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、又はスピネル型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物等が挙げられる。
オリビン型構造のリチウム含有複合リン酸塩としては、例えば、一般式LiMPO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上)が挙げられる。一般式LiMPOの代表例としては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnPO、LiFeNiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO、LiNiCoPO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNiMnPO、LiNiCoMnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等が挙げられる。
特にLiFePOは、安全性、安定性、高容量密度、高電位、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、活物質に求められる事項をバランスよく満たしているため、好ましい。
層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム含有複合ケイ酸塩としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMnO、LiNi0.8Co0.2等のNiCo系(一般式は、LiNiCo1−x(0<x<1))、LiNi0.5Mn0.5等のNiMn系(一般式は、LiNiMn1−x(0<x<1))、LiNi1/3Mn1/3Co1/3等のNiMnCo系(NMCともいう。一般式は、LiNiMnCo1−x−y(x>0、y>0、x+y<1))が挙げられる。さらに、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O、LiMnO−LiMO(M=Co、Ni、Mn)等も挙げられる。
特に、LiCoOは、容量が大きい、LiNiOに比べて大気中で安定である、LiNiOに比べて熱的に安定である等の利点があるため、好ましい。
スピネル型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、LiMn、Li1+xMn2−x(0<x<2)、LiMn2−xAl(0<x<2)、LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
LiMn等のスピネル型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiOやLiNi1−x(0<x<1)(M=Co、Al等))を混合すると、マンガンの溶出を抑制する、電解液の分解を抑制する等の利点があり好ましい。
また、正極活物質として、一般式Li(2−j)MSiO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、jは0以上2以下)で表される複合酸化物を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiOの代表例としては、Li(2−j)FeSiO、Li(2−j)NiSiO、Li(2−j)CoSiO、Li(2−j)MnSiO、Li(2−j)FeNiSiO、Li(2−j)FeCoSiO、Li(2−j)FeMnSiO、Li(2−j)NiCoSiO、Li(2−j)NiMnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FeNiCoSiO、Li(2−j)FeNiMnSiO、Li(2−j)NiCoMnSiO(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FeNiCoMnSiO(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等が挙げられる。
また、正極活物質として、A(XO(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe(MnO、Fe(SO、LiFe(PO等が挙げられる。また、正極活物質として、LiMPOF、LiMP、LiMO(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物、FeF等のペロブスカイト型フッ化物、TiS、MoS等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO等の逆スピネル型の結晶構造を有するリチウムバナジウム含有複合酸化物、バナジウム酸化物系化合物(V、V13、LiV等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
正極活物質の粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。
また、正極活物質として、組成式LiMnで表されるリチウムマンガン複合酸化物を用いることもできる。ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外から選ばれた金属元素、またはシリコン、リンを用いることが好ましく、ニッケルであるとより好ましい。また、x/(y+z)は0以上2未満、かつzは0より大きく、かつ(y+z)/wは0.26以上0.5未満を満たすことが好ましい。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくともリチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、及びリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。また、リチウムマンガン複合酸化物は、層状岩塩型の結晶構造を有するものであることが好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物は、層状岩塩型の結晶構造及びスピネル型の結晶構造を有するものであってもよい。また、リチウムマンガン複合酸化物は、例えば、平均粒子径が、5nm以上50μm以下であることが好ましい。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、やアルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質として、上記リチウム化合物及びリチウムマンガン複合酸化物において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)、を用いてもよい。
また、製造する蓄電池用電極を蓄電池の負極として用いる場合には、活物質203として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な材料を用いることができる。
リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な材料として、例えば、炭素系材料が挙げられる。炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1以上0.3V以下 vs.Li/Li)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
また、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な材料として、例えば、Ga、Si、Al、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、In等のうち少なくとも一つを含む材料が挙げられる。このような元素は炭素と比べて容量が大きく、特に、シリコンは理論容量が4200mAh/gと高い。このような元素を用いた材料としては、例えば、MgSi、MgGe、MgSn、SnS、VSn、FeSn、CoSn、NiSn、CuSn、AgSn、AgSb、NiMnSb、CeSb、LaSn、LaCoSn、CoSb、InSb、SbSn等がある。
また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO、二酸化チタン、リチウムチタン酸化物、リチウム−黒鉛層間化合物、五酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化モリブデン等の酸化物を用いることができる。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、LiN型構造をもつLi3−xN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4Nを用いたリチウムイオン二次電池は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm)を示すため、好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV、Cr等の材料と組み合わせることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉄等の、リチウムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe、CuO、CuO、RuO、Cr等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn、CuN、Ge等の窒化物、NiP、FeP、CoP等のリン化物、FeF、BiF等のフッ化物を用いることもできる。
粒状の活物質203は、一次粒子の平均粒径が、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置で測定した場合に、500nm以下、好ましくは50nm以上500nm以下のものを用いるとよい。この粒状の活物質203の複数と面接触するために、グラフェン204は一辺の長さが50nm以上100μm以下、より好ましくは800nm以上20μm以下であるとよい。
また、活物質層202は第2の導電助剤を有してもよい。グラフェンは、薄片状の形状を有し、活物質層202においては、集電体201の表面と略平行な向きで配置されやすい。活物質層202がグラフェンと、第2の導電助剤を有する場合、活物質とグラフェンが構築する電気伝導の三次元のネットワークを補強し、より複雑な形状にすることができる。これにより、蓄電装置の使用中に活物質層202中の電気伝導経路が切断するのを抑制することができる。また、活物質層202の厚みを増加させても、電気伝導経路が切断しにくくすることができる。
第2の導電助剤としては、例えば、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。また、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。また、炭素繊維として、気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor−Grown Carbon Fiber)(登録商標)を用いることができる。VGCF(登録商標)の代表値は、繊維径150nm、繊維長10μm以上20μm以下、真密度2g/cm、比表面積13m/gである。なお、繊維径とは、SEM(Scanning Electron Microscope)で観察して、二次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に外接する真円の径のことを指す。また、真密度とは、物質自身が占める体積だけを密度算定用の体積とする密度のことを指す。また、比表面積とは、対象物について単位質量あたりの表面積または単位体積あたりの表面積のことである。
針状の形状を有するVGCF(登録商標)は、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び高い機械的強度を有するという優れた物理特性を有する。そのため、VGCF(登録商標)を導電助剤として用いることにより、活物質同士の電気的な接触点や、接触面積を増大させることができる。
また、導電助剤として粒状の材料を用いることもできる。粒状の材料としては、代表的には直径3nm以上500nm以下のアセチレンブラックや、ケッチェンブラック(登録商標)などのカーボンブラックを用いることができる。
薄片状や、針状、繊維状の導電助剤は、活物質どうしをつなぐ役目を果たし、電池の劣化を抑制する。また、これらの材料は、活物質層202の形状を維持する構造体、或いは緩衝材としても機能する。活物質層202の形状を維持する構造体、或いは緩衝材としても機能するということは、活物質の膨張、収縮が繰り返される場合や、二次電池を曲げた時などで、集電体と活物質との間で剥がれが生じにくくなる。また、上記材料に代えてアセチレンブラックや、ケッチェンブラック(登録商標)などのカーボンブラックを用いてもよいが、VGCF(登録商標)を用いると、活物質層202の形状を維持するための強度が大きくできるため、好ましい。活物質層202の形状を維持するための強度が大きくできると、二次電池の曲げなどの変形による劣化を防止することができる。
以上に示した活物質層202は、活物質層202の総重量に対して、活物質203を80wt%以上95wt%以下、グラフェンを0.1wt%以上8wt%以下、結着剤を1wt%以上10wt%以下の割合で含有することが好ましい。また、活物質層202が、第2の導電助剤を有する場合は、グラフェンと第2の導電助剤を合計した重量が、活物質層202の総重量に対して、0.1wt%以上8wt%以下であると好ましい。
本実施の形態に示すように、粒状の活物質203の平均粒径よりも大きいグラフェン204が、活物質層202中において、隣接する他のグラフェン204の一以上と互いに面接触する程度に分散し、粒状の活物質203の表面の一部を包むように面接触していることで、少量の導電助剤で、充填量が高く高密度化された活物質層を含む蓄電池用電極を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で例示した活物質、導電助剤、結着剤を用いて、活物質層202を含む電極200を製造する方法について、図1を参照して説明する。
まず、活物質、結着剤、酸化グラフェン、及び溶媒を有するペーストを作製する(ステップS101)。該ペーストは第2の導電助剤を含んでいてもよい。以下、該ペーストの作製方法の一例を示す。まず、酸化グラフェンを溶媒に分散させる。ペースト(活物質、酸化グラフェン、及び結着剤の総重量)に対して、酸化グラフェンの重量が0.2wt%未満であると、活物質層202が形成された際に導電性が低下する。また、酸化グラフェンの重量が16wt%を超えると、活物質の粒径にもよるが、ペーストの粘度が高くなる。また、ペーストを集電体201に塗布した後、ペーストに含まれる溶媒を蒸発させる工程の際に、加熱によりペースト中で対流が生じ、軽くて薄い酸化グラフェンが移動、又は凝集することで、活物質層202がひび割れたり、活物質層202が集電体201から剥がれたりするおそれがある。したがって、酸化グラフェンの重量は、ペーストに対して0.2wt%以上16wt%以下とするとよい。なお、酸化グラフェンは、後の熱処理工程によって還元されてグラフェンとなり重量がほぼ半減するため、活物質層202中のグラフェンの重量比は0.1wt%以上8wt%以下となる。
溶媒としては、極性溶媒を用いることができる。例えば、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれか一種又は二種以上の混合液を用いることができる。特にNMPは、酸化グラフェンをよく分散させることができるため、好ましい。
次に、活物質を添加する。活物質の一次粒子の平均粒径は、50nm以上500nm以下のものを用いるとよい。
次に、これらの混合物に固練り(高粘度の状態で混練)を行うことで、酸化グラフェン及び活物質の凝集をほどくことができる。また、酸化グラフェンは、極性溶媒中においては、官能基の酸素がマイナスに帯電するため、異なる酸化グラフェンどうしで凝集しにくい。また、酸化グラフェンは、活物質との相互作用が強い。このため、活物質層中に酸化グラフェンをより均一に分散させることができる。
次に、これらの混合物に、結着剤を添加する。結着剤の量は、酸化グラフェン及び活物質の量によって設定すればよく、ペーストに対して、1wt%以上5wt%以下添加すればよい。酸化グラフェンが、複数の活物質粒子と面接触するように均一に分散されている状態で、結着剤を添加することにより、分散状態を維持したまま、活物質と酸化グラフェンとを結着することができる。また、活物質と酸化グラフェンの割合によっては、結着剤を添加しなくてもよいが、結着剤を添加した場合には電極の強度を向上させることができる。
次に、これらの混合物に、所定の粘度になるまで溶媒を添加し、混練することでペーストを作製することができる。以上の工程で、ペーストを作製することによって、酸化グラフェン、活物質、及び結着剤の混練状態が均一なペーストを作製することができる。
次に、集電体201の片面又は両面に、ペーストを塗布する(ステップS102)。集電体にペーストを塗布する方法としては、アプリケータロールなどのロールコート法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スピンコート法、バーコート法等の塗布方法を適用することができる。
次に、集電体201に塗布されたペーストに含まれる溶媒を蒸発させて活物質層を形成する(ステップS103)。40℃以上170℃以下、好ましくは60℃以上100℃以下の温度で、1分以上10時間以下加熱することにより、溶媒を蒸発させる。ペーストと共に集電体201を加熱してもよい。なお、雰囲気は特に限定されない。
ペーストに含まれる溶媒を蒸発させることで作製した活物質層において、結着剤は、活物質と酸化グラフェンを結着するネットワーク構造を構築している。
次に、活物質層を、アルコールを有する液に浸す(ステップS104)。活物質層と共に集電体を液に浸してもよい。該液の温度は、アルコールを有する液の融点以上沸点以下が好ましく、40℃以上70℃以下であるとより好ましい。時間は1分以上1時間以下とするとよい。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、又はtert−ブチルアルコール等が挙げられる。沸点が低いアルコールを用いると、蒸発しやすくなるため、好ましい。また、還元性の高いアルコールを用いると、酸化グラフェンの還元が容易になり、好ましい。従って、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール等を使用すると、より好ましい。
アルコールを有する液に、水、又は安定剤等が含まれていてもよい。また、該液は、二種以上のアルコールの混合液であってもよく、またはアルコール以外の有機溶媒との混合液であってもよい。
このとき、活物質層を、還元剤を有する溶液(還元液ともいう。)に浸すと、本ステップにおいて酸化グラフェンを還元することができる。還元剤としては、アスコルビン酸、ヒドラジン、ジメチルヒドラジン、ヒドロキノン、水素化硼素ナトリウム(NaBH)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、又はN,N−ジエチルヒドロキシルアミン等が挙げられる。
還元液の溶媒には、極性溶媒を用いることができる。例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれか一種又は二種以上の混合液を用いることができる。
しかし、還元液を使用して酸化グラフェンを還元する場合、活物質層に予期せぬ損傷が与えられる可能性がある。例えば、還元剤は、活物質層に含まれる酸化グラフェン以外の材料と反応する可能性がある。また、溶媒が還元剤によって還元されて生成した化合物が、活物質層に含まれる材料と反応する可能性がある。
また、還元液を使用する場合、還元剤の性質によっては、溶液が酸性又は塩基性になる。従って、pH調整剤を添加して、溶液のpHを調製する必要が生じるが、工程が煩雑となる。また、溶液のpHを一定に保つのが困難となる場合がある。また、溶液のpHを一定に保つことができないと、活物質層に含まれる材料が損傷する場合がある。例えば、還元液が酸性であると、活物質層が酸に対して不安定な材料、又は酸と反応しやすい材料を含む場合に、損傷を受けやすい。また例えば、還元液が塩基性であると、活物質層が塩基に対して不安定な材料、又は塩基と反応しやすい材料を含む場合に、損傷を受けやすい。また、それ以外にも、上記に挙げたような強い還元剤を用いることで、活物質層において、予期せぬ反応や、損傷が生じる可能性がある。なお、酸に対して不安定な活物質としては、例えば、正極活物質が挙げられる。また、塩基と反応しやすい結着剤としては、例えば、PVdF等が挙げられる。
また、活物質層を還元液に浸すと、活物質層に含まれる結着剤は、溶媒を吸収して膨張する、又は変形する。還元液の溶媒が水であると、分子が小さいため結着剤に吸収されやすい。また、溶媒がNMP等の非プロトン性極性溶媒であると、PVdF等の結着剤との親和性が高いため、結着剤に吸収されやすい。従って、還元液の溶媒が、水、又はNMP等であると、結着剤が膨張する、又は変形する現象は顕著となる。結着剤が膨張又は変形すると、活物質層内で活物質と酸化グラフェンを結着していた結着剤のネットワーク構造が切断又は破壊されることがある。また、このとき結着剤が膨張又は変形するのに伴い、活物質層が膨張することがある。活物質層が膨張した状態で、酸化グラフェンを還元すると、活物質層中に電気伝導の三次元のネットワークを構築することが難しくなる場合がある。または、活物質層が膨潤した状態で、酸化グラフェンを還元し、活物質層中に電気伝導の三次元のネットワークが構築されても、続く溶媒を蒸発させる工程において、活物質層が収縮するため、電気伝導のネットワーク構造が損傷を受ける可能性がある。
以上に説明した要因によって、損傷を受けた活物質層を電解液等に浸すと、活物質層は膨張又は変形するため、活物質層中で形成されていた電気伝導のネットワークが切断されやすくなる。
一方、上記のステップS104では、活物質層を、アルコールを有する液に浸した後に加熱することにより酸化グラフェンを還元するため、活物質層を、還元液に浸ける必要はない。アルコールは、還元されやすい物質である酸化グラフェンに対しては、その還元を促進することができるが、活物質、結着剤等に用いる材料に対しては、還元を促進する、反応を引き起こす等の働きをしにくい。従って、活物質層は損傷を受けにくい。また、アルコールは中性であるため、活物質層に酸又は塩基に対して不安定な材料、又は酸又は塩基と反応しやすい材料が含まれる場合でも、活物質層は、酸や塩基による損傷を受けにくい。また、アルコールを有する液に対して、pH調整等を行う必要はないため、ステップS104は簡便であるといえる。
また、結着剤はアルコールを吸収しにくい、又はアルコールを吸収しても膨張しにくい。従って、結着剤が溶媒を吸収して膨張することを防ぐことができる。これによって、酸化グラフェンを還元する前に、結着剤が構築するネットワーク構造が切断される、又は破壊されるのを防ぐことができる。また、酸化グラフェン還元の前後に、活物質層が膨張又は収縮することを防ぐことができる。これによって、グラフェンによって構築される電気伝導の三次元のネットワークが活物質層の膨張又は収縮に伴い破壊されるのを防ぐことができる。
次に、活物質層を、アルコールを有する液から取り出し、加熱して、酸化グラフェンを還元する(ステップS105)。このとき、活物質層と共に集電体を加熱してもよい。雰囲気は特に限定しない。温度を室温以上200℃以下、好ましくは60℃以上170℃以下、より好ましくは、80℃以上150℃以下とし、1時間以上30時間以下加熱することにより、酸化グラフェンを還元し、活物質層に含まれるアルコールを蒸発させる。このステップにおいて、アルコールが、加熱による酸化グラフェンの還元を促進するため、酸化グラフェンを還元する反応の反応効率を高めることができる。それによって、内部抵抗が小さい電極を作製することができる。
本実施の形態に示したように、本発明の一態様により、活物質層に対して、還元液に浸ける処理を行わなくても、酸化グラフェンを還元することができる。つまり、穏和な反応条件によって、酸化グラフェンを還元することができる。従って、還元反応による活物質層の損傷を低減することができる。これによって、電解液に浸しても電気の伝導経路が切断されにくい電極を作製することができる。また、加熱による酸化グラフェンの還元をアルコールが促進するため、加熱によって酸化グラフェンを還元する反応の反応効率を高めることができる。これによって、内部抵抗の小さい電極を製造することができる。従って、本実施の形態で説明した電極の製造方法を用いて、蓄電池を作製することにより、蓄電池のサイクル特性を向上させることができる。また、蓄電池のレート特性を向上させることができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、グラフェンを蓄電池用電極に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、グラフェンまたは酸化グラフェンは、容量が非常に大きいキャパシタであるスーパーキャパシタのための電極として用いたり、酸素還元電極触媒として用いたり、潤滑油より低摩擦な分散液の材料として用いたり、表示装置や太陽電池などのための透明電極として用いたり、ガスバリア材として用いたり、機械的強度が高くて軽量なポリマー材料として用いたり、放射能汚染水に含まれるウランやプルトニウムを検出するための高感度ナノセンサの材料として用いたり、放射性物質を取りのぞくための材料として用いたり、することができる。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様として、グラフェンを蓄電池用電極に適用しなくてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した製造方法により製造した蓄電池用電極を用いた蓄電池の構造について、図4乃至図7を参照して説明する。
(コイン型蓄電池)
図4(A)は、コイン型(単層偏平型)の蓄電池の外観図であり、図4(B)は、その断面図である。
コイン型の蓄電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306により形成される。また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質層309により形成される。正極活物質層306と負極活物質層309との間には、セパレータ310と、電解液(図示せず)とを有する。
正極304又は負極307の少なくとも一方には、実施の形態2で示した本発明の一形態に係る蓄電池用電極の製造方法を用いて作製することができる。
正極304又は負極307のいずれか一方に、実施の形態2で示した蓄電池用電極の製造方法を用いない場合の、正極活物質層306又は負極活物質層309の構成を示す。
正極活物質層306は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、正極活物質層306の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
正極活物質、結着剤、及び導電助剤としては、実施の形態1で説明した材料を用いることができる。
負極活物質層309は、負極活物質の他、負極活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、負極活物質層309の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
負極活物質、結着剤、及び導電助剤としては、実施の形態1で説明した材料を用いることができる。
また、負極活物質層309の表面に、酸化物等の被膜を形成してもよい。充電時において電解液の分解等により形成される被膜は、その形成時に消費された電荷量を放出することができず、不可逆容量を形成する。これに対し、酸化物等の被膜をあらかじめ負極活物質層309の表面に設けておくことで、不可逆容量の発生を抑制又は防止することができる。
このような負極活物質層309を被覆する被膜には、ニオブ、チタン、バナジウム、タンタル、タングステン、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、クロム、アルミニウム若しくはシリコンのいずれか一の酸化膜、又はこれら元素のいずれか一とリチウムとを含む酸化膜を用いることができる。このような被膜は、従来の電解液の分解生成物により負極表面に形成される被膜に比べ、十分緻密な膜である。
例えば、五酸化ニオブ(Nb)は、電気伝導度が10−9S/cmと低く、高い絶縁性を示す。このため、酸化ニオブ膜は、充電時に、負極活物質と電解液とが接触することにより起きる電解液等の電気化学的な分解反応を阻害する。一方で、酸化ニオブのリチウム拡散係数は10−9cm/secであり、高いリチウムイオン伝導性を有する。このため、リチウムイオンを透過させることが可能である。また、酸化シリコンや酸化アルミニウムを用いてもよい。
負極活物質層309を被覆する被膜の形成には、例えばゾル−ゲル法を用いることができる。ゾル−ゲル法とは、金属アルコキシドや金属塩等からなる溶液を、加水分解反応、又は重縮合反応により流動性を失ったゲルとし、このゲルを焼成して薄膜を形成する方法である。ゾル−ゲル法は液相から薄膜を形成する方法であるから、原料を分子レベルで均質に混合することができる。このため、溶液の段階の金属酸化膜の原料に、黒鉛等の負極活物質を加えることで、容易にゲル中に活物質を分散させることができる。このようにして、負極活物質層309の表面に被膜を形成することができる。当該被膜を用いることで、蓄電体の容量の低下を防止することができる。
セパレータ310は、セルロース(紙)、またはポリプロピレン、ポリエチレン等の、空孔を有する絶縁体を用いることができる。
電解液として、支持電解質を含む電解液の他、固体電解質や、電解液の一部をゲル化させたゲル電解質を用いる事が出来る。
支持電解質としてキャリアイオンを有する材料を用いる事が出来る。支持電解質の代表例としては、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等のリチウム塩がある。これらの電解質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの場合、電解質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えばナトリウムやカリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。
また、電解液の溶媒としては、キャリアイオンが移動可能な材料を用いる事が出来る。電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、蓄電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等がある。また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(特に常温溶融塩)を一つまたは複数用いることで、蓄電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電池の破裂や発火等を防ぐ事が出来る。イオン液体は、カチオンとアニオンからなる。イオン液体を構成する有機カチオンとして、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、及び四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオンや、イミダゾリウムカチオン及びピリジニウムカチオンといった芳香族カチオンが挙げられる。また、イオン液体を構成するアニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート、パーフルオロアルキルボレート、ヘキサフルオロホスフェート、またはパーフルオロアルキルホスフェートが挙げられる。
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、電池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
正極缶301、負極缶302には、二次電池の充放電時において電解液などの液体に対して耐腐食性を有するニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、当該金属の合金、当該金属と他の金属との合金(例えば、ステンレスなど)、当該金属の積層、当該金属と前掲した合金との積層(例えば、ステンレス\アルミニウムなど)、当該金属と他の金属との積層(例えば、ニッケル\鉄\ニッケルなど)を用いることができる。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307とそれぞれ電気的に接続する。
これら負極307、正極304及びセパレータ310を電解質に含浸させ、図4(B)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン型の蓄電池300を製造する。
(ラミネート型蓄電池)
図5はラミネート型の蓄電池500の外観図を示す。また、図6(A)及び図6(B)は、図5に一点鎖線で示すA1−A2断面及びB1−B2断面を示す。ラミネート型の蓄電池500は、正極集電体501及び正極活物質層502を有する正極503と、負極集電体504及び負極活物質層505を有する負極506と、セパレータ507と、電解液508と、外装体509と、を有する。正極503と負極506との間にセパレータ507が設置されている。また、外装体509で囲まれた領域内には電解液508が注入されている。
図5に示すラミネート型の蓄電池500において、正極集電体501及び負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役割も兼ねている。そのため、正極集電体501及び負極集電体504の一部は、外装体509から外側に露出するように配置される。
ラミネート型の蓄電池500において、外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のラミネートフィルムを用いることができる。このような三層構造とすることで、電解液や気体の透過を遮断するとともに、絶縁性を確保し、併せて耐電解液性を有する。
(円筒型蓄電池)
次に、円筒型の蓄電池の一例について、図7を参照して説明する。円筒型の蓄電池600は図7(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面及び底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
図7(B)は、円筒型の蓄電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、二次電池の充放電時において電解液などの液体に対して耐腐食性を有するニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、当該金属の合金、当該金属と他の金属との合金(例えば、ステンレスなど)、当該金属の積層、当該金属と前掲した合金との積層(例えば、ステンレス\アルミニウムなど)、当該金属と他の金属との積層(例えば、ニッケル\鉄\ニッケルなど)を用いることができる。電池缶602の内側において、正極、負極及びセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型やラミネート型の蓄電池と同様のものを用いることができる。
正極604及び負極606は、上述したコイン型の蓄電池の正極及び負極と同様に製造すればよいが、円筒型の蓄電池に用いる正極及び負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成する点において異なる。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603及び負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO)系半導体セラミックス等を用いることができる。
なお、本実施の形態では、蓄電池として、コイン型、ラミネート型及び円筒型の蓄電池を示したが、その他の封止型蓄電池、角型蓄電池等様々な形状の蓄電池を用いることができる。また、正極、負極、及びセパレータが複数積層された構造、正極、負極、及びセパレータが捲回された構造であってもよい。
本実施の形態で示すコイン型の蓄電池300、蓄電池500、蓄電池600の正極又は負極には、本発明の一態様に係る蓄電池用電極の製造方法により作製された電極が用いられている。そのため、コイン型の蓄電池300、蓄電池500、蓄電池600の放電容量を高めることができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、リチウムイオン二次電池に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、様々な二次電池、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、もしくは、酸化銀・亜鉛蓄電池、一次電池、キャパシタ、または、リチウムイオンキャパシタ、などに適用してもよい。また、固体電池または空気電池等に適用してもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、リチウムイオン二次電池に適用しなくてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池は、電力により駆動する様々な電気機器の電源として用いることができる。
本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を用いた電気機器の具体例として、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型あるいはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、置き時計、壁掛け時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍端末、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、玩具、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、エアコンディショナ、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソー等の電動工具、煙感知器、透析装置等の医療機器などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置等の産業機器が挙げられる。また、蓄電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
なお、上記電気機器は、消費電力の殆ど全てを賄うための主電源として、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を用いる事が出来る。あるいは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電気機器への電力の供給を行なう事が出来る無停電電源として、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を用いる事が出来る。あるいは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電気機器への電力の供給と並行して、電気機器への電力の供給を行なうための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を用いる事が出来る。
図8に、上記電気機器の具体的な構成を示す。図8において、表示装置700は、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池704を用いた電気機器の一例である。具体的に、表示装置700は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体701、表示部702、スピーカ部703、蓄電池704等を有する。本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池704は、筐体701の内部に設けられている。表示装置700は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電池704に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池704を無停電電源として用いることで、表示装置700の利用が可能となる。
表示部702には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図8において、据え付け型の照明装置710は、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池713を用いた電気機器の一例である。具体的には、照明装置710は筐体711、光源712、蓄電池713等を有する。図8では、蓄電池713が、筐体711及び光源712が据え付けられた天井714の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電池713は、筐体711の内部に設けられていても良い。照明装置710は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電池713に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池713を無停電電源として用いることで、照明装置710の利用が可能となる。
なお、図8では天井714に設けられた据え付け型の照明装置710を例示しているが、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池は、天井714以外、例えば側壁715、床716、窓717等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源712には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図8において、室内機720及び室外機724を有するエアコンディショナは、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池723を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機720は、筐体721、送風口722、蓄電池723等を有する。図8では、蓄電池723が、室内機720に設けられている場合を例示しているが、蓄電池723は室外機724に設けられていても良い。あるいは、室内機720と室外機724の両方に、蓄電池723が設けられていても良い。エアコンディショナは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電池723に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機720と室外機724の両方に蓄電池723が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池723を無停電電源として用いることで、エアコンディショナの利用が可能となる。
なお、図8では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナに、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を用いる事も出来る。
図8において、電気冷凍冷蔵庫730は、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池734を用いた電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫730は、筐体731、冷蔵室用扉732、冷凍室用扉733、蓄電池734等を有する。図8では、蓄電池734が、筐体731の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫730は、商用電源から電力の供給を受ける事も出来るし、蓄電池734に蓄積された電力を用いる事も出来る。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池734を無停電電源として用いる事で、電気冷凍冷蔵庫730の利用が可能となる。
なお、上述した電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電気機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を用いる事で、電気機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐ事が出来る。
また、電気機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電池に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑える事が出来る。例えば、電気冷凍冷蔵庫730の場合、気温が低く、冷蔵室用扉732、冷凍室用扉733の開閉が行われない夜間において、蓄電池734に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉732、冷凍室用扉733の開閉が行われる昼間において、蓄電池734を補助電源として用いる事で、昼間の電力使用率を低く抑える事が出来る。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施する事が可能である。
(実施の形態5)
次に、電気機器の一例である携帯情報端末について、図9を用いて説明する。
図9(A)及び図9(B)に2つ折り可能なタブレット型端末800を示す。図9(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末800は、筐体801、表示部802a、表示部802b、表示モード切り替えスイッチ803、電源スイッチ804、省電力モード切り替えスイッチ805、操作スイッチ807、を有する。
表示部802aは、一部をタッチパネルの領域808aとすることができ、表示された操作キー809にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部802aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部802aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部802aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部802bを表示画面として用いることができる。
また、表示部802bにおいても表示部802aと同様に、表示部802bの一部をタッチパネルの領域808bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン810が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部802bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域808aとタッチパネルの領域808bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ803は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ805は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図9(A)では表示部802bと表示部802aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図9(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末800は、筐体801、太陽電池811、充放電制御回路850、バッテリー851、DCDCコンバータ852を有する。なお、図9(B)では充放電制御回路850の一例としてバッテリー851、DCDCコンバータ852を有する構成について示しており、バッテリー851は、上記実施の形態で説明した本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を有している。
なお、タブレット型端末800は2つ折り可能なため、未使用時に筐体801を閉じた状態にすることができる。従って、表示部802a、表示部802bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末800を提供することができる。
また、この他にも図9(A)及び図9(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池811によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池811は、筐体801の片面又は両面に設けることができ、バッテリー851の充電を効率的に行なう構成とすることができる。
また、図9(B)に示す充放電制御回路850の構成、及び動作について図9(C)に示したブロック図を用いて説明する。図9(C)には、太陽電池811、バッテリー851、DCDCコンバータ852、コンバータ853、スイッチSW1乃至SW3、表示部802について示しており、バッテリー851、DCDCコンバータ852、コンバータ853、スイッチSW1乃至SW3が、図9(B)に示す充放電制御回路850に対応する箇所となる。
まず、外光により太陽電池811により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー851を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ852で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部802の動作に太陽電池811からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ853で表示部802に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部802での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー851の充電を行なう構成とすればよい。
なお、太陽電池811については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー851の充電を行なう構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行なう構成としてもよい。
また、上記実施の形態で説明した本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を具備していれば、図9に示した電気機器に特に限定されない事は言うまでもない。
(実施の形態6)
さらに、電気機器の一例である移動体の例について、図10を用いて説明する。
先の実施の形態で説明した蓄電池を制御用のバッテリーに用いる事が出来る。制御用のバッテリーは、プラグイン技術や非接触給電による外部からの電力供給により充電をする事が出来る。なお、移動体が鉄道用電気車両の場合、架線や導電レールからの電力供給により充電をする事が出来る。
図10(A)及び(B)は、電気自動車の一例を示している。電気自動車860には、バッテリー861が搭載されている。バッテリー861の電力は、制御回路862により出力が調整されて、駆動装置863に供給される。制御回路862は、図示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置864によって制御される。
駆動装置863は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。処理装置864は、電気自動車860の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路862に制御信号を出力する。制御回路862は、処理装置864の制御信号により、バッテリー861から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置863の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
バッテリー861は、プラグイン技術による外部からの電力供給により充電することができる。例えば、商用電源から電源プラグを通じてバッテリー861に充電する。充電は、AC/DCコンバータ等の変換装置を介して、一定の電圧値を有する直流定電圧に変換して行なうことができる。バッテリー861として、本発明の一態様に係る蓄電池用電極を用いた蓄電池を搭載することで、電池の高容量化などに寄与することができ、利便性を向上させることができる。また、バッテリー861の特性の向上により、バッテリー861自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、燃費を向上させる事が出来る。
なお、本発明の一態様の蓄電池を具備していれば、上記で示した電気機器に特に限定されない事は言うまでもない。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施する事が可能である。
(実施の形態7)
上記実施の形態で説明した材料を含む電池セルと組み合わせて用いることができる電池制御ユニット(Battery Management Unit:BMU)、及び該電池制御ユニットを構成する回路に適したトランジスタについて、図11乃至図17を参照して説明する。本実施の形態では、特に直列に接続された電池セルを有する蓄電装置の電池制御ユニットについて説明する。
直列に接続された複数の電池セルに対して充放電を繰り返していくと、電池セル間の特性のばらつきに応じて、容量(出力電圧)が異なってくる。直列に接続された電池セルでは、全体の放電時の容量が、容量の小さい電池セルに依存する。容量にばらつきがあると放電時の容量が小さくなる。また、容量が小さい電池セルを基準にして充電を行うと、充電不足となる虞がある。また、容量の大きい電池セルを基準にして充電を行うと、過充電となる虞がある。
そのため、直列に接続された電池セルを有する蓄電装置の電池制御ユニットは、充電不足や、過充電の原因となる、電池セル間の容量のばらつきを揃える機能を有する。電池セル間の容量のばらつきを揃える回路構成には、抵抗方式、キャパシタ方式、あるいはインダクタ方式等あるが、ここではオフ電流の小さいトランジスタを利用して容量のばらつきを揃えることのできる回路構成を一例として挙げて説明する。
オフ電流の小さいトランジスタとしては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(OSトランジスタ)が好ましい。オフ電流の小さいOSトランジスタを蓄電装置の電池制御ユニットの回路構成に用いることで、電池セルから漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。
チャネル形成領域に用いる酸化物半導体は、In−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、またはNd)を用いる。酸化物半導体膜を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとすると/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z/yを1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。
ここで、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
なお、OSトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(Siトランジスタ)に比べてバンドギャップが大きいため、高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。直列に電池セルを接続する場合、数100Vの電圧が生じることになるが、蓄電装置においてこのような電池セルに適用される電池制御ユニットの回路構成には、前述のOSトランジスタで構成することが適している。
図11には、蓄電装置のブロック図の一例を示す。図11に示す蓄電装置1000は、端子対1001と、端子対1002と、切り替え制御回路1003と、切り替え回路1004と、切り替え回路1005と、変圧制御回路1006と、変圧回路1007と、直列に接続された複数の電池セル1009を含む電池部1008と、を有する。
また、図11の蓄電装置1000において、端子対1001と、端子対1002と、切り替え制御回路1003と、切り替え回路1004と、切り替え回路1005と、変圧制御回路1006と、変圧回路1007とにより構成される部分を、電池制御ユニットと呼ぶことができる。
切り替え制御回路1003は、切り替え回路1004及び切り替え回路1005の動作を制御する。具体的には、切り替え制御回路1003は、電池セル1009毎に測定された電圧に基づいて、放電する電池セル(放電電池セル群)、及び充電する電池セル(充電電池セル群)を決定する。
さらに、切り替え制御回路1003は、当該決定された放電電池セル群及び充電電池セル群に基づいて、制御信号S1及び制御信号S2を出力する。制御信号S1は、切り替え回路1004へ出力される。この制御信号S1は、端子対1001と放電電池セル群とを接続させるように切り替え回路1004を制御する信号である。また、制御信号S2は、切り替え回路1005へ出力される。この制御信号S2は、端子対1002と充電電池セル群とを接続させるように切り替え回路1005を制御する信号である。
また、切り替え制御回路1003は、切り替え回路1004、切り替え回路1005、及び変圧回路1007の構成を踏まえ、端子対1001と放電電池セル群との間、または端子対1002と充電電池セル群との間で、同じ極性の端子同士が接続されるように、制御信号S1及び制御信号S2を生成する。
切り替え制御回路1003の動作の詳細について述べる。
まず、切り替え制御回路1003は、複数の電池セル1009毎の電圧を測定する。そして、切り替え制御回路1003は、例えば、所定の閾値以上の電圧の電池セル1009を高電圧の電池セル(高電圧セル)、所定の閾値未満の電圧の電池セル1009を低電圧の電池セル(低電圧セル)と判断する。
なお、高電圧セル及び低電圧セルを判断する方法については、様々な方法を用いることができる。例えば、切り替え制御回路1003は、複数の電池セル1009の中で、最も電圧の高い、又は最も電圧の低い電池セル1009の電圧を基準として、各電池セル1009が高電圧セルか低電圧セルかを判断してもよい。この場合、切り替え制御回路1003は、各電池セル1009の電圧が基準となる電圧に対して所定の割合以上か否かを判定する等して、各電池セル1009が高電圧セルか低電圧セルかを判断することができる。そして、切り替え制御回路1003は、この判断結果に基づいて、放電電池セル群と充電電池セル群とを決定する。
なお、複数の電池セル1009の中には、高電圧セルと低電圧セルが様々な状態で混在し得る。例えば、切り替え制御回路1003は、高電圧セルと低電圧セルが混在する中で、高電圧セルが最も多く連続して直列に接続された部分を放電電池セル群とする。また、切り替え制御回路1003は、低電圧セルが最も多く連続して直列に接続された部分を充電電池セル群とする。また、切り替え制御回路1003は、過充電又は過放電に近い電池セル1009を、放電電池セル群又は充電電池セル群として優先的に選択するようにしてもよい。
ここで、本実施の形態における切り替え制御回路1003の動作例を、図12を用いて説明する。図12は、切り替え制御回路1003の動作例を説明するための図である。なお、説明の便宜上、図12では4個の電池セル1009が直列に接続されている場合を例に説明する。
まず、図12(A)の例では、電池セルa乃至dの電圧を電圧Va乃至電圧Vdとすると、Va=Vb=Vc>Vdの関係にある場合を示している。つまり、連続する3つの高電圧セルa乃至cと、1つの低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路1003は、連続する3つの高電圧セルa乃至cを放電電池セル群として決定する。また、切り替え制御回路1003は、低電圧セルdを充電電池セル群として決定する。
次に、図12(B)の例では、Vc>Va=Vb>>Vdの関係にある場合を示している。つまり、連続する2つの低電圧セルa、bと、1つの高電圧セルcと、1つの過放電間近の低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路1003は、高電圧セルcを放電電池セル群として決定する。また、切り替え制御回路1003は、低電圧セルdが過放電間近であるため、連続する2つの低電圧セルa及びbではなく、低電圧セルdを充電電池セル群として優先的に決定する。
最後に、図12(C)の例では、Va>Vb=Vc=Vdの関係にある場合を示している。つまり、1つの高電圧セルaと、連続する3つの低電圧セルb乃至dとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路1003は、高電圧セルaを放電電池セル群と決定する。また、切り替え制御回路1003は、連続する3つの低電圧セルb乃至dを充電電池セル群として決定する。
切り替え制御回路1003は、上記図12(A)乃至(C)の例のように決定された結果に基づいて、切り替え回路1004の接続先である放電電池セル群を示す情報が設定された制御信号S1と、切り替え回路1005の接続先である充電電池セル群を示す情報が設定された制御信号S2を、切り替え回路1004及び切り替え回路1005に対してそれぞれ出力する。
以上が、切り替え制御回路1003の動作の詳細に関する説明である。
切り替え回路1004は、切り替え制御回路1003から出力される制御信号S1に応じて、端子対1001の接続先を、切り替え制御回路1003により決定された放電電池セル群に設定する。
端子対1001は、対を成す端子A1及びA2により構成される。切り替え回路1004は、この端子A1及びA2のうち、いずれか一方を放電電池セル群の中で最も上流(高電位側)に位置する電池セル1009の正極端子と接続し、他方を放電電池セル群の中で最も下流(低電位側)に位置する電池セル1009の負極端子と接続することにより、端子対1001の接続先を設定する。なお、切り替え回路1004は、制御信号S1に設定された情報を用いて放電電池セル群の位置を認識することができる。
切り替え回路1005は、切り替え制御回路1003から出力される制御信号S2に応じて、端子対1002の接続先を、切り替え制御回路1003により決定された充電電池セル群に設定する。
端子対1002は、対を成す端子B1及びB2により構成される。切り替え回路1005は、この端子B1及びB2のうち、いずれか一方を充電電池セル群の中で最も上流(高電位側)に位置する電池セル1009の正極端子と接続し、他方を充電電池セル群の中で最も下流(低電位側)に位置する電池セル1009の負極端子と接続することにより、端子対1002の接続先を設定する。なお、切り替え回路1005は、制御信号S2に設定された情報を用いて充電電池セル群の位置を認識することができる。
切り替え回路1004及び切り替え回路1005の構成例を示す回路図を図13及び図14に示す。
図13では、切り替え回路1004は、複数のトランジスタ1010と、バス1011及び1012とを有する。バス1011は、端子A1と接続されている。また、バス1012は、端子A2と接続されている。複数のトランジスタ1010のソース又はドレインの一方は、それぞれ1つおきに交互に、バス1011及び1012と接続されている。また、複数のトランジスタ1010のソース又はドレインの他方は、それぞれ隣接する2つの電池セル1009の間に接続されている。
なお、複数のトランジスタ1010のうち、最上流に位置するトランジスタ1010のソース又はドレインの他方は、電池部1008の最上流に位置する電池セル1009の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタ1010のうち、最下流に位置するトランジスタ1010のソース又はドレインの他方は、電池部1008の最下流に位置する電池セル1009の負極端子と接続されている。
切り替え回路1004は、複数のトランジスタ1010のゲートに与える制御信号S1に応じて、バス1011に接続される複数のトランジスタ1010のうちの1つと、バス1012に接続される複数のトランジスタ1010のうちの1つとをそれぞれ導通状態にすることにより、放電電池セル群と端子対1001とを接続する。これにより、放電電池セル群の中で最も上流に位置する電池セル1009の正極端子は、端子対の端子A1及びA2のいずれか一方と接続される。また、放電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セル1009の負極端子は、端子対の端子A1及びA2のいずれか他方、すなわち正極端子と接続されていない方の端子に接続される。
トランジスタ1010には、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタはオフ電流が小さいため、放電電池セル群に属しない電池セルから漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。またOSトランジスタは高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。そのため、放電電池セル群の出力電圧が大きくても、非導通状態とするトランジスタ1010が接続された電池セル1009と端子対1001とを絶縁状態とすることができる。
また、図13では、切り替え回路1005は、複数のトランジスタ1013と、電流制御スイッチ1014と、バス1015と、バス1016とを有する。バス1015及び1016は、複数のトランジスタ1013と、電流制御スイッチ1014との間に配置される。複数のトランジスタ1013のソース又はドレインの一方は、それぞれ1つおきに交互に、バス1015及び1016と接続されている。また、複数のトランジスタ1013のソース又はドレインの他方は、それぞれ隣接する2つの電池セル1009の間に接続されている。
なお、複数のトランジスタ1013のうち、最上流に位置するトランジスタ1013のソース又はドレインの他方は、電池部1008の最上流に位置する電池セル1009の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタ1013のうち、最下流に位置するトランジスタ1013のソース又はドレインの他方は、電池部1008の最下流に位置する電池セル1009の負極端子と接続されている。
トランジスタ1013には、トランジスタ1010と同様に、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタはオフ電流が小さいため、充電電池セル群に属しない電池セルから漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。またOSトランジスタは高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。そのため、充電電池セル群を充電するための電圧が大きくても、非導通状態とするトランジスタ1013が接続された電池セル1009と端子対1002とを絶縁状態とすることができる。
電流制御スイッチ1014は、スイッチ対1017とスイッチ対1018とを有する。スイッチ対1017の一端は、端子B1に接続されている。また、スイッチ対1017の他端は2つのスイッチで分岐しており、一方のスイッチはバス1015に接続され、他方のスイッチはバス1016に接続されている。スイッチ対1018の一端は、端子B2に接続されている。また、スイッチ対1018の他端は2つのスイッチで分岐しており、一方のスイッチはバス1015に接続され、他方のスイッチはバス1016に接続されている。
スイッチ対1017及びスイッチ対1018が有するスイッチは、トランジスタ1010及びトランジスタ1013と同様に、OSトランジスタを用いることが好ましい。
切り替え回路1005は、制御信号S2に応じて、トランジスタ1013、及び電流制御スイッチ1014のオン/オフ状態の組み合わせを制御することにより、充電電池セル群と端子対1002とを接続する。
切り替え回路1005は、一例として、以下のようにして充電電池セル群と端子対1002とを接続する。
切り替え回路1005は、複数のトランジスタ1013のゲートに与える制御信号S2に応じて、充電電池セル群の中で最も上流に位置する電池セル1009の正極端子と接続されているトランジスタ1013を導通状態にする。また、切り替え回路1005は、複数のトランジスタ1013のゲートに与える制御信号S2に応じて、充電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セル1009の負極端子に接続されているトランジスタ1013を導通状態にする。
端子対1002に印加される電圧の極性は、端子対1001と接続される放電電池セル群、及び変圧回路1007の構成によって変わり得る。また、充電電池セル群を充電する方向に電流を流すためには、端子対1002と充電電池セル群との間で、同じ極性の端子同士を接続する必要がある。そこで、電流制御スイッチ1014は、制御信号S2により、端子対1002に印加される電圧の極性に応じてスイッチ対1017及びスイッチ対1018の接続先をそれぞれ切り替えるように制御される。
一例として、端子B1が正極、端子B2が負極となるような電圧が端子対1002に印加されている状態を挙げて説明する。この時、電池部1008の最下流の電池セル1009が充電電池セル群である場合、スイッチ対1017は、制御信号S2により、当該電池セル1009の正極端子と接続されるように制御される。すなわち、スイッチ対1017のバス1016に接続されるスイッチがオン状態となり、スイッチ対1017のバス1015に接続されるスイッチがオフ状態となる。一方、スイッチ対1018は、制御信号S2により、当該電池セル1009の負極端子と接続されるように制御される。すなわち、スイッチ対1018のバス1015に接続されるスイッチがオン状態となり、スイッチ対1018のバス1016に接続されるスイッチがオフ状態となる。このようにして、端子対1002と充電電池セル群との間で、同じ極性をもつ端子同士が接続される。そして、端子対1002から流れる電流の方向が、充電電池セル群を充電する方向となるように制御される。
また、電流制御スイッチ1014は、切り替え回路1005ではなく、切り替え回路1004に含まれていてもよい。この場合、電流制御スイッチ1014は、制御信号S1に応じて、端子対1001に印加される電圧の極性を制御することにより、端子対1002に印加される電圧の極性を制御する。そして、電流制御スイッチ1014は、端子対1002から充電電池セル群に流れる電流の向きを制御する。
図14は、図13とは異なる、切り替え回路1004及び切り替え回路1005の構成例を示す回路図である。
図14では、切り替え回路1004は、複数のトランジスタ対1021と、バス1024及びバス1025とを有する。バス1024は、端子A1と接続されている。また、バス1025は、端子A2と接続されている。複数のトランジスタ対1021の一端は、それぞれトランジスタ1022とトランジスタ1023とにより分岐している。トランジスタ1022のソース又はドレインの一方は、バス1024と接続されている。また、トランジスタ1023のソース又はドレインの一方は、バス1025と接続されている。また、複数のトランジスタ対の他端は、それぞれ隣接する2つの電池セル1009の間に接続されている。なお、複数のトランジスタ対1021のうち、最上流に位置するトランジスタ対1021の他端は、電池部1008の最上流に位置する電池セル1009の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタ対1021のうち、最下流に位置するトランジスタ対1021の他端は、電池部1008の最下流に位置する電池セル1009の負極端子と接続されている。
切り替え回路1004は、制御信号S1に応じてトランジスタ1022及びトランジスタ1023の導通/非導通状態を切り換えることにより、当該トランジスタ対1021の接続先を、端子A1又は端子A2のいずれか一方に切り替える。詳細には、トランジスタ1022が導通状態であれば、トランジスタ1023は非導通状態となり、トランジスタ対1021の接続先は端子A1になる。一方、トランジスタ1023が導通状態であれば、トランジスタ1022は非導通状態となり、トランジスタ対1021の接続先は端子A2になる。トランジスタ1022及びトランジスタ1023のどちらが導通状態になるかは、制御信号S1によって決定される。
端子対1001と放電電池セル群とを接続するには、2つのトランジスタ対1021が用いられる。詳細には、制御信号S1に基づいて、2つのトランジスタ対1021の接続先がそれぞれ決定されることにより、放電電池セル群と端子対1001とが接続される。2つのトランジスタ対1021のそれぞれの接続先は、一方が端子A1となり、他方が端子A2となるように、制御信号S1によって制御される。
切り替え回路1005は、複数のトランジスタ対1031と、バス1034及びバス1035とを有する。バス1034は、端子B1と接続されている。また、バス1035は、端子B2と接続されている。複数のトランジスタ対1031の一端は、それぞれトランジスタ1032とトランジスタ1033とにより分岐している。トランジスタ1032のソース又はドレインの一方は、バス1034と接続されている。また、トランジスタ1033のソース又はドレインの一方は、バス1035と接続されている。また、複数のトランジスタ対1031の他端は、それぞれ隣接する2つの電池セル1009の間に接続されている。なお、複数のトランジスタ対1031のうち、最下流に位置するトランジスタ対1031の他端は、電池部1008の最下流に位置する電池セル1009の負極端子と接続され、複数のトランジスタ対1031のうち、最上流に位置するトランジスタ対1031の他端は、電池部1008の最上流に位置する電池セル1009の負極端子と接続されている。
切り替え回路1005は、制御信号S2に応じてトランジスタ1032及びトランジスタ1033の導通/非導通状態を切り換えることにより、当該トランジスタ対1031の接続先を、端子B1又は端子B2のいずれか一方に切り替える。詳細には、トランジスタ1032が導通状態であれば、トランジスタ1033は非導通状態となり、トランジスタ対1031接続先は端子B1になる。逆に、トランジスタ1033が導通状態であれば、トランジスタ1032は非導通状態となり、トランジスタ対1031接続先は端子B2になる。トランジスタ1032及びトランジスタ1033のどちらが導通状態となるかは、制御信号S2によって決定される。
端子対1002と充電電池セル群とを接続するには、2つのトランジスタ対1031が用いられる。詳細には、制御信号S2に基づいて、2つのトランジスタ対1031の接続先がそれぞれ決定されることにより、充電電池セル群と端子対1002とが接続される。2つのトランジスタ対1031のそれぞれの接続先は、一方が端子B1となり、他方が端子B2となるように、制御信号S2によって制御される。
また、2つのトランジスタ対1031のそれぞれの接続先は、端子対1002に印加される電圧の極性によって決定される。具体的には、端子B1が正極、端子B2が負極となるような電圧が端子対1002に印加されている場合、上流側のトランジスタ対1031は、トランジスタ1032が導通状態となり、トランジスタ1033が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。一方、下流側のトランジスタ対1031は、トランジスタ1033が導通状態、トランジスタ1032が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。また、端子B1が負極、端子B2が正極となるような電圧が端子対1002に印加されている場合は、上流側のトランジスタ対1031は、トランジスタ1033が導通状態となり、トランジスタ1032が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。一方、下流側のトランジスタ対1031は、トランジスタ1032が導通状態、トランジスタ1033が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。このようにして、端子対1002と充電電池セル群との間で、同じ極性をもつ端子同士が接続される。そして、端子対1002から流れる電流の方向が、充電電池セル群を充電する方向となるように制御される。
変圧制御回路1006は、変圧回路1007の動作を制御する。変圧制御回路1006は、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数と、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数とに基づいて、変圧回路1007の動作を制御する変圧信号S3を生成し、変圧回路1007へ出力する。
なお、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数が充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数よりも多い場合は、充電電池セル群に対して過剰に大きな充電電圧が印加されることを防止する必要がある。そのため、変圧制御回路1006は、充電電池セル群を充電できる範囲で放電電圧(Vdis)を降圧させるように変圧回路1007を制御する変圧信号S3を出力する。
また、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数以下である場合は、充電電池セル群を充電するために必要な充電電圧を確保する必要がある。そのため、変圧制御回路1006は、充電電池セル群に過剰な充電電圧が印加されない範囲で放電電圧(Vdis)を昇圧させるように変圧回路1007を制御する変圧信号S3を出力する。
なお、過剰な充電電圧とする電圧値は、電池部1008で使用される電池セル1009の製品仕様等に鑑みて決定することができる。また、変圧回路1007により昇圧及び降圧された電圧は、充電電圧(Vcha)として端子対1002に印加される。
ここで、本実施の形態における変圧制御回路1006の動作例を、図15(A)乃至(C)を用いて説明する。図15(A)乃至(C)は、図12(A)乃至(C)で説明した放電電池セル群及び充電電池セル群に対応させた、変圧制御回路1006の動作例を説明するための概念図である。なお図15(A)乃至(C)は、電池制御ユニット1041を図示している。電池制御ユニット1041は、端子対1001と、端子対1002と、切り替え制御回路1003と、切り替え回路1004と、切り替え回路1005と、変圧制御回路1006と、変圧回路1007とにより構成される。
図15(A)に示される例では、図12(A)で説明したように、連続する3つの高電圧セルa乃至cと、1つの低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、図12(A)を用いて説明したように、切り替え制御回路1003は、高電圧セルa乃至cを放電電池セル群として決定し、低電圧セルdを充電電池セル群として決定する。そして、変圧制御回路1006は、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数の比に基づいて、放電電圧(Vdis)から充電電圧(Vcha)への変換比Nを算出する。
なお放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数よりも多い場合に、放電電圧を変圧せずに端子対1002にそのまま印加すると、充電電池セル群に含まれる電池セル1009に、端子対1002を介して過剰な電圧が印加される可能性がある。そのため、図15(A)に示されるような場合では、端子対1002に印加される充電電圧(Vcha)を、放電電圧よりも降圧させる必要がある。さらに、充電電池セル群を充電するためには、充電電圧は、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の合計電圧より大きい必要がある。そのため、変圧制御回路1006は、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数の比よりも、変換比Nを大きく設定する。
変圧制御回路1006は、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数の比に対して、変換比Nを1乃至10%程度大きくするのが好ましい。この時、充電電圧は充電電池セル群の電圧よりも大きくなるが、実際には充電電圧は充電電池セル群の電圧と等しくなる。ただし、変圧制御回路1006は変換比Nに従い充電電池セル群の電圧を充電電圧と等しくするために、充電電池セル群を充電する電流を流すこととなる。この電流は変圧制御回路1006に設定された値となる。
図15(A)に示される例では、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数が3個で、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の数が1個であるため、変圧制御回路1006は、1/3より少し大きい値を変換比Nとして算出する。そして、変圧制御回路1006は、放電電圧を当該変換比Nに応じて降圧し、充電電圧に変換する変圧信号S3を変圧回路1007に出力する。そして、変圧回路1007は、変圧信号S3に応じて変圧された充電電圧を、端子対1002に印加する。そして、端子対1002に印加される充電電圧によって、充電電池セル群に含まれる電池セル1009が充電される。
また、図15(B)や図15(C)に示される例でも、図15(A)と同様に、変換比Nが算出される。図15(B)や図15(C)に示される例では、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数以下であるため、変換比Nは1より大きくなる。よって、この場合は、変圧制御回路1006は、放電電圧を昇圧して充電電圧に変換する変圧信号S3を出力する。
変圧回路1007は、変圧信号S3に基づいて、端子対1001に印加される放電電圧を充電電圧に変換する。そして、変圧回路1007は、変換された充電電圧を端子対1002に印加する。ここで、変圧回路1007は、端子対1001と端子対1002との間を電気的に絶縁している。これにより、変圧回路1007は、放電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セル1009の負極端子の絶対電圧と、充電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セル1009の負極端子の絶対電圧との差異による短絡を防止する。さらに、変圧回路1007は、上述したように、変圧信号S3に基づいて放電電池セル群の合計電圧である放電電圧を充電電圧に変換する。
また、変圧回路1007は、例えば絶縁型DC(Direct Current)−DCコンバータ等を用いることができる。この場合、変圧制御回路1006は、絶縁型DC−DCコンバータのオン/オフ比(デューティー比)を制御する信号を変圧信号S3として出力することにより、変圧回路1007で変換される充電電圧を制御する。
なお、絶縁型DC−DCコンバータには、フライバック方式、フォワード方式、RCC(Ringing Choke Converter)方式、プッシュプル方式、ハーフブリッジ方式、及びフルブリッジ方式等が存在するが、目的とする出力電圧の大きさに応じて適切な方式が選択される。
絶縁型DC−DCコンバータを用いた変圧回路1007の構成を図16に示す。絶縁型DC−DCコンバータ1051は、スイッチ部1052とトランス部1053とを有する。スイッチ部1052は、絶縁型DC−DCコンバータの動作のオン/オフを切り替えるスイッチであり、例えば、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)やバイポーラ型トランジスタ等を用いて実現される。また、スイッチ部1052は、変圧制御回路1006から出力される、オン/オフ比を制御する変圧信号S3に基づいて、絶縁型DC−DCコンバータ1051のオン状態とオフ状態を周期的に切り替える。なお、スイッチ部1052は、使用される絶縁型DC−DCコンバータの方式によって様々な構成を取り得る。トランス部1053は、端子対1001から印加される放電電圧を充電電圧に変換する。詳細には、トランス部1053は、スイッチ部1052のオン/オフ状態と連動して動作し、そのオン/オフ比に応じて放電電圧を充電電圧に変換する。この充電電圧は、スイッチ部1052のスイッチング周期において、オン状態となる時間が長いほど大きくなる。なお、絶縁型DC−DCコンバータを用いる場合、トランス部1053の内部で、端子対1001と端子対1002は互いに絶縁することができる。
本実施の形態における蓄電装置1000の処理の流れを、図17を用いて説明する。図17は、蓄電装置1000の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、蓄電装置1000は、複数の電池セル1009毎に測定された電圧を取得する(ステップS1101)。そして、蓄電装置1000は、複数の電池セル1009の電圧を揃える動作の開始条件を満たすか否かを判定する(ステップS1102)。この開始条件は、例えば、複数の電池セル1009毎に測定された電圧の最大値と最小値との差分が、所定の閾値以上か否か等とすることができる。この開始条件を満たさない場合は(ステップS1102:NO)、各電池セル1009の電圧のバランスが取れている状態であるため、蓄電装置1000は、以降の処理を実行しない。一方、開始条件を満たす場合は(ステップS1102:YES)、蓄電装置1000は、各電池セル1009の電圧を揃える処理を実行する。この処理において、蓄電装置1000は、測定されたセル毎の電圧に基づいて、各電池セル1009が高電圧セルか低電圧セルかを判定する(ステップS1103)。そして、蓄電装置1000は、判定結果に基づいて、放電電池セル群及び充電電池セル群を決定する(ステップS1104)。さらに、蓄電装置1000は、決定された放電電池セル群を端子対1001の接続先に設定する制御信号S1、及び決定された充電電池セル群を端子対1002の接続先に設定する制御信号S2を生成する(ステップS1105)。蓄電装置1000は、生成された制御信号S1及び制御信号S2を、切り替え回路1004及び切り替え回路1005へそれぞれ出力する。そして、切り替え回路1004により、端子対1001と放電電池セル群とが接続され、切り替え回路1005により、端子対1002と放電電池セル群とが接続される(ステップS1106)。また、蓄電装置1000は、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数と、充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数とに基づいて、変圧信号S3を生成する(ステップS1107)。そして、蓄電装置1000は、変圧信号S3に基づいて、端子対1001に印加される放電電圧を充電電圧に変換し、端子対1002に印加する(ステップS1108)。これにより、放電電池セル群の電荷が充電電池セル群へ移動される。
また、図17のフローチャートでは、複数のステップが順番に記載されているが、各ステップの実行順序は、その記載の順番に制限されない。
以上、本実施の形態によれば、放電電池セル群から充電電池セル群へ電荷を移動させる際、キャパシタ方式のように、放電電池セル群からの電荷を一旦蓄積し、その後充電電池セル群へ放出させるような構成を必要としない。これにより、単位時間あたりの電荷移動効率を向上させることができる。また、切り替え回路1004及び切り替え回路1005により、放電電池セル群及び充電電池セル群のうち、変圧回路と接続する電池セルを、個別に切り替えられる。
さらに、変圧回路1007により、放電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数と充電電池セル群に含まれる電池セル1009の個数とに基づいて、端子対1001に印加される放電電圧が充電電圧に変換され、端子対1002に印加される。これにより、放電側及び充電側の電池セル1009がどのように選択されても、問題なく電荷の移動を実現できる。
さらに、トランジスタ1010及びトランジスタ1013にOSトランジスタを用いることにより、充電電池セル群及び放電電池セル群に属しない電池セル1009から漏洩する電荷量を減らすことができる。これにより、充電及び放電に寄与しない電池セル1009の容量の低下を抑制することができる。また、OSトランジスタは、Siトランジスタに比べて熱に対する特性の変動が小さい。これにより、電池セル1009の温度が上昇しても、制御信号S1、S2に応じた導通状態と非導通状態の切り替えといった、正常な動作をさせることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施する事が可能である。
以下、本発明の一態様について実施例を用いて具体的に説明する。本実施例では、実施の形態2で示した方法により、正極を作製した結果について説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(活物質層の作製)
活物質層の作製には、活物質としてLiFePO、導電助剤の原料として酸化グラフェン、結着剤としてPVdF、溶媒としてNMPを用いた。まず、LiFePOに酸化グラフェンを加えたものに、溶媒としてNMPを添加して固練りを行った。次に、その酸化グラフェンとLiFePOの混合物に、バインダ溶液としてPVdF(株式会社クレハ製No.7300)のNMP溶液を添加した後、極性溶媒としてNMPをさらに添加して混練することでペーストを作製した。それぞれの配合比は、LiFePO:酸化グラフェン:PVdF=94.2:0.8:5(重量比)とした。上記の方法で作製したペーストを集電体に塗布し、減圧下、65℃で15分、75℃で15分加熱することにより、ペーストに含まれる極性溶媒を蒸発させて、活物質層を形成した。集電体は膜厚20μmのアルミニウムに、カーボンブラックが約1μmコートされたものを用いた。集電体に対するペーストの担持量は、約9mg/cmとした。以下、この活物質層に対してそれぞれ異なる還元処理を行うことにより、電極A〜D、及び比較例E、Fを作製した方法を示す。
(電極Aの作製)
まず、上記の手順で作製した活物質層及び集電体を、60℃に熱したエタノール(99.5%)に10分間浸けた。エタノールから取り出した活物質層及び集電体を、減圧下、100℃で10時間、加熱することにより酸化グラフェンを還元し、電極Aを作製した。
(電極Bの作製)
電極Aの作製と同様に、活物質層及び集電体を、60℃のエタノールに浸けた後、150℃で10時間、加熱することにより酸化グラフェンを還元し、電極Bを作製した。
(電極Cの作製)
電極A、Bの作製と同様に、活物質層及び集電体を、60℃のエタノールに浸けた後、170℃で10時間、加熱することにより酸化グラフェンを還元し、電極Cを作製した。
(電極Dの作製)
電極A、B、Cの作製と異なり、活物質層及び集電体を、室温(25℃)のエタノールに10分浸けた後、減圧下、100℃で10時間、加熱することにより電極Dを作製した。
(比較例Eの作製)
比較として、活物質層をエタノールに浸ける操作をせず、加熱のみにより酸化グラフェンを還元する正極を作製した。活物質層及び集電体を170℃で10時間、加熱することにより作製した正極を作製し、比較例Eとした。
(比較例Fの作製)
比較として、活物質層を、還元剤を含む溶液に浸けることにより、酸化グラフェンを還元する正極を作製することとした。還元剤を含む溶液には、還元剤としてL−アスコルビン酸を、pH調整剤として水酸化リチウムを用いた。まず、L−アスコルビン酸と水酸化リチウムを、濃度がそれぞれ77mM、73mMとなるように水−NMP混合液(水:NMP=1:9(体積比))に溶解させ、溶液を作製した。この溶液に、活物質層及び集電体を浸け、60℃に加熱して1時間反応させた後、洗浄し、減圧下、170℃に加熱することにより溶媒を蒸発させて、比較例Fを作製した。
(活物質層断面の観察)
作製した電極Aについて、クロスセクションポリッシャで研磨した断面のSEM観察を行った。図23に、電極Aの活物質層の30000倍の断面SEM像を示す。
図23に示すように、電極Aの活物質層内において、シート状のグラフェン902は、粒状の活物質901を被覆するように、又は覆うように接触している。また、強調して表示しないが、グラフェンどうしも接触している。従って、電極Aの活物質層においては、三次元の電気伝導性のネットワークが形成されていることがわかった。また、活物質層の内部に、特に損傷は見られなかった。このことから、活物質層および集電体をエタノールに浸けた後、取り出して加熱することによって、活物質層に損傷が少ない電極を作製することができるとわかった。
(ハーフセルの作製)
電極A、D及び比較例E、Fを正極としてハーフセルに組み込み、それぞれのセルの充放電特性を測定した。なおハーフセルとは、正極にLi金属以外の活物質を用い、負極にLi金属を用いたリチウムイオン二次電池のセルを示す。負極にはリチウム金属を用い、セパレータにはポリプロピレン(PP)を用い、電解液はエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で1:1の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いた。
(ハーフセルのサイクル特性の評価)
電極A、D及び比較例E、Fを用いたハーフセルについて、25℃における充放電サイクル時の放電容量を測定した結果を図18に示す。図18において、縦軸を容量(mAh/g)、横軸をサイクル数とした。充放電条件は、サイクル1〜6回において、定電流定電圧充電、充電レート0.2C、定電流放電、放電レート0.2Cであった。サイクル7〜36回において、充放電条件は、定電流充電、充電レート1C、定電流放電、放電レート1Cであった。
ここで充電レート及び放電レートについて説明する。充電レート1Cとは、容量X(Ah)のセルを定電流充電して、ちょうど1時間で充電終了となる電流値のことである。1C=I(A)であるとすると、充電レート0.2CとはI/5(A)のことであり、すなわちちょうど5時間で充電終了となる電流値を意味する。同様に、放電レート1Cとは、容量X(Ah)のセルを定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値のことである。また、放電レート0.2Cとは、I/5(A)のことであり、すなわちちょうど5時間で放電終了となる電流値を意味する。
図18より、電極A、Dを用いたハーフセルは、放電容量がほぼ等しく、もっとも放電容量が高いことがわかった。また、電極A、Dを用いたハーフセルの次に、比較例Eを用いたハーフセルの放電容量が高く、比較例Fを用いたハーフセルは最も放電容量が小さいことがわかった。ここで、電極A、Dはエタノールに浸けてから加熱することにより酸化グラフェンを還元した電極であり、比較例Eは、エタノールに浸けずに、加熱することにより酸化グラフェンを還元し、作製した電極である。また、比較例Fは、L−アスコルビン酸を含む溶液に浸けることにより、酸化グラフェンを還元し、作製した電極である。従って、加熱により酸化グラフェンを還元した電極を用いると、L−アスコルビン酸を含む溶液に浸けて酸化グラフェンを還元した電極を用いる場合よりも、放電容量の大きいハーフセルとなることがわかった。また、加熱の前にエタノールに浸ける操作を行うことで、ハーフセルの放電容量を大きくすることができるとわかった。
また、比較例Fを用いたハーフセルはサイクル数の増加によって放電容量が低下したが、電極A、Dを用いたハーフセルにおいては放電容量の低下が抑えられていることがわかった。この結果より、電極A、Dを用いるとハーフセルのサイクル特性が向上することが明らかとなった。従って、電極A、Dは、活物質層に損傷が少ない電極であり、膨張や変形をしにくいために、活物質層内の電気の伝導経路が切れにくくなっているとわかった。
(レート特性の評価)
図19及び図20に、電極A、D及び比較例E、Fを用いたハーフセルについて、25℃における充放電レートを変えて測定した放電曲線を示す。縦軸に電圧(V)、横軸に放電容量(mAh/g(正極重量))を示す。充電条件は、定電流定電圧充電、充電レート0.2Cであり、放電条件は、定電流放電、放電レートは、0.2C、1C、2C、5C、10Cである。図19(A)に、電極Aを用いたハーフセルの放電曲線を示す。また、図19(B)に、電極Dを用いたハーフセルの放電曲線を示す。また、図20(A)に、比較例Eを用いたハーフセルの放電曲線を示す。また、図20(B)に、比較例Fを用いたハーフセルの放電曲線を示す。
図19(A)、(B)及び図20(A)、(B)を比較するとわかるように、図20(B)に示す比較例Fを用いたハーフセルの放電曲線の末端(放電末)付近の傾きは、他のハーフセルよりも大きかった。
この結果より、電極の導電性が最も高い、つまり酸化グラフェンを最も反応効率よく還元することができた電極は、比較例Fであり、次に電極A、及び電極Dの導電性が高く、比較例Eは導電性が最も低いことがわかった。このことから、活物質層をL−アスコルビン酸を含む溶液に浸けて、取り出した後に加熱することにより、最も効率よく酸化グラフェンを還元することができるとわかった。また、活物質層をエタノールに浸けて、取り出した後に加熱することによっても、酸化グラフェンを還元する反応の効率を高めることができると示された。
(電流休止法抵抗の測定)
次に、電流休止法抵抗の測定を行うことにより電極A及び比較例Eを評価した。ここで、電流休止法抵抗について説明する。電池の充電の際、充電を休止すると、電圧が降下する挙動が見られる。この電圧降下の原因として、電池の有する内部抵抗が挙げられる。{(休止直後の電圧)−(休止3秒後の電圧)}/電流という計算式により、電極Aを組み込んだハーフセルと、比較例Eを組み込んだハーフセルの内部抵抗のオーム成分を求めることができる。充電条件は、定電流定電圧充電、充電レート0.2Cである。充電の休止は、8.5mAh/g充電する毎に行うこととした。25℃において、電池が59.5−102mAh/g充電する間に充電の休止を行い、この間に算出された内部抵抗のオーム成分の平均値を求めた。
電極Aを用いたハーフセル、及び比較例Eを用いたハーフセルの内部抵抗オーム成分は、それぞれ32.6Ω、58.0Ωであった。この結果より、電極Aは、比較例Eよりも内部抵抗オーム成分が小さいことが明らかとなった。従って、活物質層をエタノールに浸けた後、取り出して加熱することによって、酸化グラフェンを還元する反応の効率を高めることができ、内部抵抗オーム成分の小さい電極を作製できると示唆された。
(フルセルの作製)
次に、電極B、C、及び比較例Eをそれぞれフルセルに組み込み、それぞれのセルの充放電特性を測定した。なお、フルセルとは、正極材料、及び負極材料ともに、Li金属以外の活物質を用いたリチウムイオン二次電池のセルを示す。負極には黒鉛を活物質とした電極を用い、セパレータにはポリプロピレン(PP)を用い、電解液はエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で1:1の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いた。
(フルセルのサイクル特性の評価)
次に、電極B、C、及び比較例Eを用いたフルセルの放電曲線を図21に示す。充放電条件は、サイクル数1回のときに、定電流定電圧充電、充電レート0.2C、定電流放電、放電レート0.2Cであり、サイクル数2回以降において、定電流充電、充電レート0.5C、定電流放電、放電レート0.5Cであった。図21(A)において、横軸はサイクル数(回)を示し、縦軸は二次電池の放電容量(mAh/g(正極重量))を示す。図21(B)において、横軸はサイクル数(回)を示し、縦軸は二次電池の放電容量維持率(%)を示す。ここで放電容量維持率とは、2サイクル目の放電容量に対する放電容量(放電容量÷2サイクル目の放電容量×100[%])とする。なお便宜上、図21においては、電極Bを用いたフルセル、電極Cを用いたフルセル、比較例Eを用いたフルセルの結果を、それぞれB、C、Eと示す。
図21(A)より、電極Cを用いたフルセルの放電容量が最も大きく、次に、電極Bを用いたフルセルの放電容量が大きいことがわかった。比較例Eを用いたフルセルは最も放電容量が小さかった。このことから、正極の作製において酸化グラフェンを還元するための加熱の温度が高いほど、フルセルの放電容量を向上させることができるとわかった。一方で、図21(B)より、サイクル数が増加しても、最も放電容量維持率が低下しにくいのは電極Bを用いたフルセルであり、次に電極Cを用いたフルセルの放電容量維持率が低下しにくく、最も放電容量維持率が低いのは比較例Eであることがわかった。従って、正極の作製において加熱の温度が低いほど、フルセルのサイクル特性を向上させられることがわかった。このことから、穏和な反応条件で酸化グラフェンを還元することにより、活物質層の損傷を防ぐことができたとわかった。
本実施例では、酸化グラフェンの還元がアルコールにより促進されることを説明するため、様々な条件で酸化グラフェンを加熱したサンプルを作製し、還元の度合いを比較した。
試料1は、酸化グラフェンをエタノールに分散させ、100℃で加熱して溶媒を蒸発させることにより作製した。また、比較例2は、酸化グラフェンを減圧下、30℃で加熱することにより作製した。また、比較例3は、酸化グラフェンを100℃に加熱することにより作製した。
比較例2、比較例3及び試料1の固体13C NMRスペクトルを図22に示す。試料1のスペクトルにおいて、80ppmから50ppmの付近のピークは、比較例2、3と比較して大幅に減少した。80ppmから50ppmの付近のピークは、酸化グラフェンのエポキシ基の炭素と、水酸基が結合している炭素に由来する。このことから、試料1は、比較例2、3よりもエポキシ基及び水酸基が少ないことがわかった。よって、試料1は、炭素−炭素二重結合を多く含むグラフェンであることが示唆された。以上により、酸化グラフェンの還元がアルコールにより促進されることがわかった。
本実施例では、実施の形態2で示した第2の導電助剤を用いる方法により正極を作製した結果について説明する。
(電極G及び電極Hの作製)
活物質層の作製には、活物質としてLiFePO、導電助剤の原料として酸化グラフェン(GO)、第2の導電助剤として、アセチレンブラック(AB)またはVGCF(登録商標)、結着剤としてPVdF、溶媒としてNMPを用いた。まず、LiFePO、GO及び第2の導電助剤に、NMPを添加して固練りを行い、混合物を作製した。次に、該混合物に、PVdF(株式会社クレハ製No.7300)のNMP溶液及び第2の導電助剤を添加した後、NMPをさらに添加して混練することでペーストを作製した。
ペースト作製時の材料の配合比は、LiFePO:GO:第2の導電助剤:PVdF=93.4:0.6:1:5(重量比)とした。上記の方法で作製したペーストを集電体に塗布し、減圧下、65℃で15分、75℃で15分加熱し、溶媒を蒸発させ、活物質層を形成した。
上記の手順で作製した活物質層及び集電体を、60℃のエタノールに浸けた後、150℃で10時間、加熱することによりGOを還元し、電極を作製した。
第2の導電助剤としてVGCF(登録商標)を用いて作製した電極を電極Gとし、第2の導電助剤としてABを用いて作製した電極を電極Hとした。
また、実施例1で説明した電極Bの作製方法を用いて作製した電極を電極B´とした。
(活物質層断面の観察)
作製した電極Gについて、クロスセクションポリッシャで研磨した断面のSEM観察を行った。観察に用いた電極Gにおいて、活物質層の単位面積当たりの重量は、約11mg/cmとした。図24に電極Gの活物質層の断面のSEM像を示す。図24(A)は、1000倍の拡大図、図24(B)は、30000倍の拡大図である。
図24(A)では、集電体903と、活物質層904とが観察された。また、図24(B)では、活物質層904に含まれる、粒状の活物質901、グラフェン902、及び針状の導電助剤905が観察された。グラフェン902が、集電体903の表面に対して概略平行に配置されているのと比較して、導電助剤905は、集電体903の表面に対して斜めに傾いて配置されていた。このことから導電助剤905は、集電体903表面に対して垂直方向の導電パスを補っていると推測された。
(ハーフセルの作製)
次に、電極G、H、及びB´を正極として、それぞれハーフセルに組み込み、実施例1と同様の測定条件により、それぞれのセルの充放電特性を測定した。
(レート特性の評価)
図25(A)に、電極G、H及びB´を用いたハーフセルの、放電レート1C及び2Cにおける、放電電圧と、それぞれの電極が有する活物質層の重量との関係を示す。縦軸を平均放電電圧[V]とし、横軸を、使用した電極G、HまたはB´が有する活物質層の単位面積当たりの重量[mg/cm]としてプロットした。充電条件は、定電流定電圧充電、充電レート0.2Cであり、放電条件は、定電流放電とした。
なお、平均放電電圧とは、図25(B)に示すような放電曲線において、放電開始から、急激に放電電圧が減少する直前までの間の電圧値の平均である。
図25(A)において、電極G、H、またはB´を用いたハーフセルにおいて、活物質層の重量が増加するのに従って、平均放電電圧は小さくなった。しかし、電極G及びHを用いたハーフセルの平均放電電圧の変化を示す直線は、電極B´を用いたハーフセルの平均放電電圧の変化を示す直線よりも傾きが小さかった。
以上の結果より、第2の導電助剤としてVGCF(登録商標)またはABを有する活物質層は、重量が増加しても内部抵抗が増加しにくいことがわかった。これは、第2の導電助剤を有する活物質層においては、電気伝導経路がより複雑な形状となったために、活物質層202の厚みを増加させても該ネットワークが切断しにくくなったためである。
(ハーフセルのサイクル特性の評価)
図26に、電極G、H及びB´を用いたハーフセルについて、正極が有する活物質層の重量を変化させて充放電を行った際の、放電電圧の変化を表すグラフを示す。縦軸を、放電電圧変化量[V]{放電電圧変化量[V]=(1サイクル目における平均放電電圧[V])−(30サイクル目における平均放電電圧[V])}とし、横軸を、使用した電極G、H、またはB´が有する活物質層の単位面積当たりの重量[mg/cm]としてプロットした。放電レートは、1Cとした。
図26より、活物質層の重量の増加に伴い、ハーフセルの平均放電電圧は低下するが、電極Gを用いたハーフセルにおいては、電極B´を用いたハーフセルと比較して、平均放電電圧の低下が抑制されていることがわかった。このことから、VGCF(登録商標)またはAB等の第2の導電助剤を含む電極においては、活物質層の厚みが増加しても、抵抗が増加しにくいことがわかった。
(フルセルの作製)
次に、実施例1と同様に、電極G、H及びB´をフルセルに組み込み、それぞれのセルの充放電特性を測定した。
(フルセルのサイクル特性の評価)
電極G、HまたはB´を用いたフルセルのサイクル特性の評価を行った。実施例1と同様の実験条件で行った。図27に結果を示す。
図27より、電極Gまたは電極Hを用いたフルセルにおいては、充放電開始直後の急激な放電容量の減少を抑制することができることがわかった。このことから、フルセルの充放電を行うことにより活物質層が電解液を含み膨潤することによって、電気の伝導経路が切断するのを防ぐことができるとわかった。
以上の結果から、第2の導電助剤を用いて電極を作製することにより、集電体と垂直な向きの電気伝導の経路を強化することができ、活物質層が厚くなったとしても、電極の抵抗を小さくすることができるとわかった。また、サイクル特性を向上させることができるとわかった。
S101 ステップ
S102 ステップ
S103 ステップ
S104 ステップ
S105 ステップ
200 電極
201 集電体
202 活物質層
203 活物質
204 グラフェン
300 コイン型の蓄電池
301 正極缶
302 負極缶
303 ガスケット
304 正極
305 正極集電体
306 正極活物質層
307 負極
308 負極集電体
309 負極活物質層
310 セパレータ
500 蓄電池
501 正極集電体
502 正極活物質層
503 正極
504 負極集電体
505 負極活物質層
506 負極
507 セパレータ
508 電解液
509 外装体
600 蓄電池
601 正極キャップ
602 電池缶
603 正極端子
604 正極
605 セパレータ
606 負極
607 負極端子
608 絶縁板
609 絶縁板
610 ガスケット(絶縁パッキン)
611 PTC素子
612 安全弁機構
700 表示装置
701 筐体
702 表示部
703 スピーカ部
704 蓄電池
710 照明装置
711 筐体
712 光源
713 蓄電池
714 天井
715 側壁
716 床
717 窓
720 室内機
721 筐体
722 送風口
723 蓄電池
724 室外機
730 電気冷凍冷蔵庫
731 筐体
732 冷蔵室用扉
733 冷凍室用扉
734 蓄電池
800 タブレット型端末
801 筐体
802 表示部
802a 表示部
802b 表示部
803 表示モード切り替えスイッチ
804 電源スイッチ
805 省電力モード切り替えスイッチ
807 操作スイッチ
808a タッチパネルの領域
808b タッチパネルの領域
809 操作キー
810 キーボード表示切り替えボタン
811 太陽電池
850 充放電制御回路
851 バッテリー
852 DCDCコンバータ
853 コンバータ
860 電気自動車
861 バッテリー
862 制御回路
863 駆動装置
864 処理装置
901 活物質
902 グラフェン
903 集電体
904 活物質層
905 導電助剤
S1 制御信号
S2 制御信号
S3 変圧信号
1000 蓄電装置
1001 端子対
1002 端子対
1003 切り替え制御回路
1004 切り替え回路
1005 切り替え回路
1006 変圧制御回路
1007 変圧回路
1008 電池部
1009 電池セル
1010 トランジスタ
1011 バス
1012 バス
1013 トランジスタ
1014 電流制御スイッチ
1015 バス
1016 バス
1017 スイッチ対
1018 スイッチ対
1021 トランジスタ対
1022 トランジスタ
1023 トランジスタ
1024 バス
1025 バス
1031 トランジスタ対
1032 トランジスタ
1033 トランジスタ
1034 バス
1035 バス
1041 電池制御ユニット
1051 絶縁型DC−DCコンバータ
1052 スイッチ部
1053 トランス部
S1101 ステップ
S1102 ステップ
S1103 ステップ
S1104 ステップ
S1105 ステップ
S1106 ステップ
S1107 ステップ
S1108 ステップ

Claims (4)

  1. 活物質と、結着剤と、酸化グラフェンと、溶媒と、を有するペーストを作製し、
    前記ペーストを集電体に塗布し、
    前記ペーストに含まれる前記溶媒を蒸発させて活物質層を形成し、
    前記活物質層を、アルコールを有する液(但し、還元剤を含む液を除く)に浸し、
    前記活物質層を、前記液から取り出し、加熱する蓄電池用電極の製造方法。
  2. 活物質と、結着剤と、酸化グラフェンと、導電助剤と、溶媒と、を有するペーストを作製し、
    前記ペーストを集電体に塗布し、
    前記ペーストに含まれる前記溶媒を蒸発させて活物質層を形成し、
    前記活物質層を、アルコールを有する液(但し、還元剤を含む液を除く)に浸し、
    前記活物質層を、前記液から取り出し、加熱する蓄電池用電極の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、又はtert−ブチルアルコールである蓄電池用電極の製造方法。
  4. 集電体と、活物質層と、を有し、
    前記活物質層は、前記集電体と接し、
    前記活物質層は、活物質と、結着剤と、第1の導電助剤であるグラフェンと、前記第1の導電助剤とは大きさ及び形状が異なる第2の導電助剤と、を有し、
    前記第1の導電助剤は、前記集電体の表面に対して略平行な第1の方向に沿って配置された領域を有し、
    前記第2の導電助剤は、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配置された領域を有する蓄電池用電極。
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