JP6665944B2 - フィルタの周波数レスポンス設定方法および設定装置 - Google Patents

フィルタの周波数レスポンス設定方法および設定装置 Download PDF

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Description

コンサートホールなどの音響空間と当該音響空間内に設置されるスピーカとを含む再生系全体の周波数特性等を調整対象とし、目標として想定する周波数特性(以下、目標特性)を基準として調整を行うための技術に関する。
スピーカに供給する音信号にグラフィックイコライザ(GEQ)やパラメトリックイコライザ(PEQ)による信号処理を施すことで目標特性を実現する場合、再生系全体について実測された周波数特性と目標特性との差に応じて上記信号処理のパラメータ(以下、補正パラメータ)を適切に設定しておくことが必要となる。例えば、目標特性には無い顕著なピークが再生系全体の周波数特性に表れており、このピークを複数バンドのPEQ等を用いて平坦にしようとする場合、音響技術者は以下の作業を行う。まず、音響技術者は、PEQの1つのバンドの中心周波数を平坦にしようとするピークに対応する周波数に合わせる。次いで、音響技術者は、そのピークに合わせて、そのバンドのQ値を設定し、最後にそのバンドのゲインを調整する。しかし、中心周波数、Q値およびゲインといった3つの補正パラメータをそれぞれ独立に設定しながら再生系全体の周波数特性が目標特性に近づくよう調整することは難しく、直観的でわかりやすい操作で上記調整を行うことはできない、という問題があった。このような問題を解決するための技術として非特許文献1に開示の技術や特許文献1に開示の技術がある。
非特許文献1には、GUI(Graphical User Interface)ベースの直観的でわかりやすい操作で補正パラメータの設定を音響技術者に行わせる技術が開示されている。また、特許文献1に開示の技術では、以下の要領で補正パラメータの設定が実現される。特許文献1に開示の技術では、予め用意された複数種の周波数特性のうちから所望の周波数特性を音響技術者に選択させる。次いで、スピーカの出力可能帯域等に応じて、周波数特性を調整する周波数帯域を音響技術者に設定させ、その周波数帯域の両端での滑らかなつながりを維持しつつ、上記選択した特性を表すグラフを上下させることで希望特性(目標特性)をユーザに設定させる(図15)。特許文献1に開示の技術では、実際に計測された周波数特性と上記の要領で設定された希望特性との差に応じて前者を後者に合わせ込むための周波数特性の調整量が算出され、この調整量に応じて補正パラメータが設定される。例えば、FIRフィルタ等によるフィルタ処理により周波数特性の補正を行う場合、上記補正パラメータとしてFIRフィルタにおけるフィルタ係数が上記調整量に応じて設定される。
特開平07−046687号公報(US5,572,443) 特許5708693号
"Lake Controller v6 対応オペレーション・マニュアル Rev 1.3.6J"、Lab.gruppen社、[online]、[平成28年9月27日検索]、インターネットURL:http://jp.music-group.com/LAB/download/Lake_Controller_Operation_Manual_136J.pdf (Lake Controller Operation Manual Rev 1.3.6, URL: http://downloads.labgruppen.com/Lake_Controller_Operation_Manual.pdf)
非特許文献1に開示の技術では、補正パラメータを設定する際の目安となる指標(例えば、目標特性や調整量の現在値等)の表示がなく、使いづらいといった問題がある。特許文献1に開示の技術には、周波数特性をきめ細かく調整できないといった問題がある。例えば、特許文献1に開示の技術では、上記の要領で設定した周波数帯域の一部の部分帯域(1つ或いは複数の部分帯域)についてのみ目標特性に向けて調整する、といったことはできない。一般に、実測された周波数特性に目標特性には現れていないピークやディップが現れている場合であっても、それらピークやディップの全てを解消することを音響技術者が望んでいる訳ではない。それらピークやディップの全てを解消しようとすると、かえって音質の劣化を招く場合があるからである。このため、一部の部分帯域を指定し、当該指定した部分帯域についてのみ周波数特性の調整を行えることが極めて重要となるが、特許文献1に開示の技術では対応することができない。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、指定した部分帯域についてのみ調整対象となる周波数特性を目標特性に合わせこむための調整を行え、かつ当該調整を直観的でわかりやすい操作で行えるようにする技術、を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係るフィルタの周波数レスポンス設定方法は、目標スペクトル包絡を示す第1ラインと、測定された周波数スペクトルを平滑化した第1スペクトル包絡を示す第2ラインとの交点の周波数で、対象となる周波数帯域を複数の第1部分帯域に分割するステップと、前記複数の第1部分帯域のうちオペレータにより指定された第1部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップとを具備する。
本発明の好適な態様に係るフィルタの周波数レスポンス設定装置は、目標スペクトル包絡を示す第1ラインと、測定された周波数スペクトルを平滑化した第1スペクトル包絡を示す第2ラインとの交点の周波数で、対象となる周波数帯域を複数の第1部分帯域に分割する分割部と、前記複数の第1部分帯域のうちオペレータにより指定された第1部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定する設定部とを具備する。
この発明の一実施形態による周波数特性調整装置1の構成を示す図である。 同周波数特性調整装置1のリモコン部20の表示部234に表示される調整支援画面の一例を示す図である。 同調整支援画面における特性表示領域A01の表示例を示す図である。 同調整支援画面における特性表示領域A01の表示例を示す図である。 同リモコン部20の制御部210が調整支援プログラムにしたがって実行する処理の流れを示すフローチャートである。 抽出処理における部分帯域の抽出例を示す図である。 抽出処理における部分帯域の抽出例を示す図である。 調整量の設定方法の一例を示す図である。 第1の動作モードにおける調整量設定後の特性表示領域A01の表示例を示す図である。 第1の動作モードにおける調整量設定後の仮想フェーダVF01〜VF07の表示例を示す図である。 第1の動作モードにおいて平滑化特性を示すグラフG01を平行移動する操作を行った場合の特性表示領域A01の表示例を示す図である。 第1の動作モードにおいて平滑化特性を示すグラフG01を平行移動する操作を行った場合の特性表示領域A01の表示例を示す図である。 第1の動作モードにおいて交点P03を低域側へ移動させる操作を行った場合の特性表示領域A01の表示例を示す図である。 第2の動作モードにおける特性表示領域A01の表示例を示す図である。 第2の動作モードにおける調整量の設定例を示す図である。 第2の動作モードにおける調整量の設定例を示す図である。 周波数帯域の下限周波数以下のレンジおよび上限周波数以上のレンジについて、加工されていない平滑化特性を例示する図である。 周波数帯域の下限周波数以下のレンジおよび上限周波数以上のレンジについて、加工された平滑化特性を例示する図である。 第3の動作モードにおける特性表示領域A01の表示例を示す図である。 第3の動作モードにおける調整量の設定例を示す図である。 第3の動作モードにおける調整量の設定例を示す図である。
<第1実施形態>
以下図面を参照しつつ本発明の第1実施形態を説明する。
(A:構成)
図1は、本発明の一実施形態の周波数特性調整装置1の構成を示す図である。周波数特性調整装置1は、コンサートホールなどの音響空間2と音響空間2内に設置されるラウドスピーカ3とフィルタとからなる再生系全体の音の周波数特性を調整対象の周波数特性とし、当該調整対象の周波数特性を目標特性に向けて調整する(調整対象の周波数特性が目標特性に近づくように、フィルタの周波数特性(周波数レスポンス)を調整する)ための装置である。図1に示すように、周波数特性調整装置1は、本体部10とリモコン部20とを有する。本実施形態では、本体部10とリモコン部20は着脱可能な信号ケーブルで接続され、両者は当該信号ケーブルを介してデータの授受を行う。本実施形態では、本体部10とリモコン部20の間のデータ授受を有線通信で行う場合について説明するが無線通信で行っても良い。
本体部10は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などの信号処理装置である。図1に示すように本体部10は、マイク入力端子110、ソース入力端子120、およびスピーカ出力端子130を有する。スピーカ出力端子130には、パワーアンプを内蔵したスピーカ3が接続される。マイク入力端子110には、再生系全体の周波数特性を測定するための測定用マイクロフォン4が接続される。ソース入力端子120には、CDプレイヤ等、スピーカ3から音響空間2内へ出力する音の音源となるソース機器5が接続される。本体部10は、ソース入力端子120に接続されたソース機器5から入力される音信号に、周波数特性調整装置1のユーザにより設定された補正パラメータ(つまりフィルタの周波数レスポンスを制御するパラメータ)に応じた信号処理(フィルタ処理)を施し、当該信号処理済みの音信号をスピーカ出力端子130からスピーカ3へ出力する。当該信号処理に用いられるフィルタは、FIRフィルタ、GEQ(例えば31バンド)、PEQ(例えば4バンド)等の何れであってよい。本実施形態では、FIRフィルタを用いる。周波数特性調整装置1のユーザ(オペレータ)は、周波数特性調整装置1を用いて、調整対象となる周波数特性を目標特性に向けて調整する音響技術者である。本実施形態では、上記補正パラメータを適切に設定することで、音質の劣化を防ぎつつ、目標特性へ近付けることができる。
図1に示すように、本体部10は、外部機器インタフェース(「I/F」と略記)部140、制御部150、記憶部160、信号処理部170、およびこれら構成要素間のデータ授受を仲介するバス180を有する。本体部10は、また、アナログデジタル変換器(ADC)171およびデジタルアナログ変換器(DAC)172を有する。制御部150は、例えばCPUである。制御部150は記憶部160に記憶されている信号処理プログラムにしたがって動作することにより、本体部(信号処理装置)10の制御中枢として、外部機器I/F部140を介してのリモコン部20とのデータ通信や、信号処理部170における信号処理の制御などを行う。外部機器I/F部140は、例えばシリアルインタフェースやパラレルインタフェース、USB(Universal Serial Bus)インタフェースなど、各種外部機器を接続するためのインタフェースの集合体である。本実施形態では、外部機器I/F部140には信号線を介してリモコン部20が接続される。
ADC171は、マイク入力端子110に接続された測定用マイクロフォン4から入力されたアナログの音信号、および、ソース入力端子120に接続されたソース機器5から入力されたアナログの音信号、のそれぞれを、デジタルの音信号に変換して、信号処理部170に出力する。信号処理部170は、制御部140による制御の下、測定用マイクロフォン4から入力された音信号、および、ソース機器5から入力された音信号に、各種の信号処理を施す。DAC172は、ソース機器5から入力され信号処理部170により信号処理が施されたデジタルの音信号を、アナログの音信号に変換して、スピーカ出力端子130を介してスピーカ3へ出力する。
上記のような調整を実現するため、周波数特性調整装置1のユーザは、まず、調整対象となる周波数特性の調整前の初期特性、すなわちフィルタの周波数レスポンスをフラットにした場合の、音響空間2と音響空間2内に設置されるスピーカ3とフィルタからなる再生系全体(以後、フィルタを除く再生系と呼ぶ)の周波数特性を測定する。本実施形態においても再生系全体の周波数特性の測定は、特許文献1に開示の技術を用いた場合と同様の手順で行われる。ユーザは、まず、音響空間2内に測定用マイクロフォン4とスピーカ3とを設置する。次いで、ユーザは、測定用マイクロフォン4をオーディオケーブルを介して周波数特性調整装置1の本体部10のマイク入力端子110に接続し、スピーカ3を同スピーカ出力端子130に接続する。
上記の要領で各機器の接続を完了すると、ユーザは、リモコン部20を用いて本体部10をリモート制御して、本体部10からスピーカ3に測定用信号を供給させ、スピーカ3から周波数特性測定用の音(例えば、ホワイトノイズ:以下、測定用音)を出力させる。スピーカ3から音響空間2に出力された音および音響空間2の壁面による当該音の反射音は、マイクロフォン4により収音され、当該収音された音を表す音信号がマイクロフォン4からマイク入力端子110を介して本体部10へ入力される。本体部10は、マイク入力端子110へ入力された音信号からフィルタを除く再生系(スピーカ3から音響空間2を経てマイク4まで)の周波数特性を算出する。例えば、本体部10は、マイク入力端子110へ入力された音信号にフーリエ変換を施して上記周波数特性を算出する。そして、本体部10は、上記の要領で算出した周波数特性を表すデータをリモコン部20へ送信する。これにより、フィルタを除く再生系の周波数特性の測定が実現される。
リモコン部20は、例えばノート型或いは据え置き型のパーソナルコンピュータであり、ユーザに対して周波数特性調整装置1の利用を促すユーザインタフェースを提供する装置である。リモコン部20は、ユーザ操作に応じて信号処理部170をリモート制御する。本実施形態では、リモコン部20が処理を実行することで、スピーカ3の再生可能帯域に応じて定まる周波数帯域(frequency range)のうちでユーザの指定した部分帯域(frequency band)についてのみ、調整対象となる周波数特性を目標特性の方向に或いはその逆方向に調整することが可能となっている。つまり、本実施形態の特徴はリモコン部20にある。以下では、リモコン部20を中心に説明する。
図1に示すように、リモコン部20は、制御部210、外部機器インタフェース(「I/F」と略記)部220、ユーザI/F部230、記憶部240、およびこれら構成要素間のデータ授受を仲介するバス250を有する。制御部210は、例えばCPUである。制御部210は記憶部240に記憶されている調整支援プログラムにしたがって、リモコン部20の制御中枢として機能する。外部機器I/F部220は、例えばシリアルインタフェースやパラレルインタフェース、USB(Universal Serial Bus)インタフェースなど、各種外部機器を接続するためのインタフェースの集合体である。本実施形態では、外部機器I/F部220には信号線を介して本体部10が接続される。ユーザI/F部230は、周波数特性調整装置1の使用をユーザに促すユーザインタフェースを提供する。図1に示すように、ユーザI/F部230は、操作入力部232と表示部234とを含む。
操作入力部232は、例えばキーボードやマウスである。操作入力部232に対して何らかの操作(例えばキーボードに設けられているキーの押下、或いはマウスによるクリックやドラッグ)が為されると、操作入力部232はその操作内容を表すデータ(以下、操作内容データ)を制御部210へ出力する。これにより、ユーザの操作内容が制御部210に伝達される。
表示部234は例えば液晶ディスプレイとその駆動装置である。表示部234は、制御部210による制御の下、各種画像を表示する。制御部210による制御の下で表示部234が表示する画像の一例としては、ユーザの周波数特性の調整作業を支援する調整支援画面の画像が挙げられる。図2は、表示部234に表示される調整支援画面の一例を示す図である。図2に示す調整支援画面上には、特性表示領域A01と、仮想操作子VF01〜VF07、B01およびB02が設けられている。
特性表示領域A01には、例えば、横軸を対数スケールの周波数、縦軸をデシベル(dB)スケールの振幅とした2次元平面に、調整対象となる周波数特性を示すグラフ(ライン)や目標特性を示すグラフ(ライン)が表示される。仮想操作子VF01〜VF07の各々は、調整対象となる周波数特性を目標特性に向けて調整するための周波数レスポンスの調整量(各周波数成分の調整量)をユーザに設定させる仮想フェーダである。特性表示領域A01と、仮想操作子VF01〜VF07の表示領域とを合わせた全体的な表示領域は、周波数とゲインとを示す2次元表示領域と看做せる。仮想操作子B02は、周波数特性の調整終了をユーザに指示させるための仮想操作子であり、仮想操作子B01は、リモコン部20の動作モードの切り換えをユーザに指示させるための仮想操作子である。
周波数特性調整装置1は、第1の動作モードと第2の動作モードの2種類の動作モードを有する。仮想操作子B01は第1の動作モードから第2の動作モードへの切り換え、或いは第2の動作モードから第1の動作モードへの切り換えをユーザに指示させるための仮想操作子である。第1の動作モードとは、調整対象となる周波数特性(周波数スペクトル、frequency spectrum)を表すデータに所定の平滑度で平滑化処理を施すことで得られた周波数スペクトル包絡(frequency spectrum envelope)である平滑化特性と、目標特性との関係に基づいて、上記調整量をユーザに設定させる動作モードである。目標特性は、調整の目標となる周波数スペクトル包絡(目標スペクトル包絡)である。平滑化処理の具体例としては、対数スケールの周波数軸をリニアスケールの時間軸と見立てたローパスフィルタ処理であり、カットオフ周波数が高いほど高い平滑度に相当する。対数スケールの周波数軸では、周波数方向にユーザの感覚にリニアな調整を行える。単純なローパスフィルタの例としては、振幅の移動平均を算出する処理が挙げられ、その移動平均する幅が広いほど高い平滑度に相当する。なお、周波数軸を、ユーザの指示に応じて、リニアスケールに切換えてグラフ表示できるようにしてもよい。リニアスケールに切換えた場合、平滑化処理は、その周波数軸をそのまま時間軸と見立てたローパスフィルタ処理とすればよい。このような平滑化処理を施すことで調整対象となる周波数特性に現れていた微細なピークやディップは平滑化される。つまり、平滑化特性をグラフ化した場合のグラフ(カーブしたライン)は調整対象となる周波数特性そのもののグラフよりも滑らかになる。調整対象の周波数特性そのものではなく、平滑化特性を用いて上記調整量をユーザに設定させるようにした理由は次の通りである。また、振幅軸に関しても、ユーザの指示に応じて、リニアスケールに切換えられるようにしてもよい。
前述したように、調整対象の周波数特性に目標特性には現れていないピークやディップが現れている場合であっても、音響技術者はそれらピークやディップの全てを解消することを望んでいる訳ではない。それらピークやディップの全てを解消しようとすると、かえって音質の劣化を招く場合があるからである。このため、一般に、音響技術者には、ある程度大まかな解像度で周波数特性を認識(周波数特性を粗視化して認識)して調整したいといったニーズがある。このような音響技術者のニーズに対して、調整対象の周波数特性そのものを用いたのでは必要以上に変化が激し過ぎ、特性が細か過ぎる。そこで、本実施形態では、調整対象の周波数特性を平滑化して(換言すれば、解像度を下げて)得られた平滑化特性と目標特性との関係に基づいて上記調整量を設定できるようにしたのである。
第1の動作モードにおいては、例えば、横軸を対数スケールの周波数軸とし縦軸をデシベルスケールの振幅軸とする二次元座標平面に平滑化特性を表す二点鎖線のグラフG01と目標特性を表す実線のグラフG02をプロットして得られる画像(図3A参照)が特性表示領域A01に表示される。図3Aに示す例では、目標特性として0dBの平坦な周波数特性が採用されており、目標特性を表すグラフG02は周波数軸と重なっている。なお、図3Aに示す例では、目標特性が0dBの平坦な周波数特性であるため、グラフG01は、目標特性と平滑化特性との差分を示すグラフともいえる。なお、目標特性として他の周波数特性(例えば、高域ほど減衰が大きい周波数特性、或いは低域ほど減衰が大きい周波数特性)を採用しても勿論良い。
なお、周波数特性同士の「差分」とは、一方の周波数特性を周波数fの関数として表したグラフ(ライン)L1(f)と、他方の周波数特性を周波数fの関数として表したグラフ(ライン)L2(f)との差分である「L1(f)−L2(f)」を意味する。つまり、当該「差分」は、周波数fの関数である。
また、本実施形態では、平滑化特性を表すグラフG01として平滑化特性そのものを表すグラフが採用されているが、平滑化特性そのものの代わりに当該平滑化特性の逆特性を表すグラフ(周波数軸に対して平滑化特性と対称なグラフ)を採用しても良く、平滑化特性そのもののグラフを表示するのか逆特性のグラフを表示するのかをユーザの操作に応じて切り換えても良い。周波数特性の調整の際に周波数特性そのものを参照しながら調整を行うのか、それとも逆特性を参照しながら調整を行うのかについては音響技術者の好みによって異なるからである。目標特性についても同様に、目標特性そのものの代わりに目標特性の逆特性を表示しても良く、目標特性そのものを表示するか、逆特性を表示するのかをユーザの操作に応じて切り換えても良い。また、図3Aでは、平滑化特性と目標特性とでグラフを描画する線の種別が異なっており、ユーザはグラフG01とグラフG02の各々が平滑化特性と目標特性の何れを表すのかをグラフの線の種別を通じて視覚的に把握することができるが、線の色で両者を区別できるようにしても良い。例えば、平滑化特性を青色の線で描画し、目標特性を青色以外の色(例えば、緑または赤等)で描画しても良い。
本実施形態においても特許文献1に開示の技術と同様に、ユーザは、特性表示領域A01に表示された画像に対する操作により、目標特性への合わせ込みを行う対象となる(target)周波数帯域(これを単に「周波数帯域」ともいう)を、スピーカ3の再生可能帯域等に応じて指定することができる。図3Aにおける点線はユーザにより指定された周波数帯域の下限周波数に対応し、図3Aにおける一点鎖線は当該周波数帯域の上限周波数に対応する。
一方、第2の動作モードとは、平滑化の度合いが異なる2つの平滑化特性同士の関係に基づいて上記調整量をユーザに設定させる動作モードである。例えば、上記平滑化処理として上記ローパスフィルタ処理が採用されている場合には、この第2の動作モードでは、カットオフ周波数を所定の値F0(第1の平滑度)に設定した場合の平滑化特性である第1の平滑化特性と上記カットオフ周波数を値F0より高い値F1(第1の平滑度より低い第2の平滑度)に設定した場合の平滑化特性である第2の平滑化特性の関係に基づいて上記調整量をユーザに設定させる。カットオフ周波数が低いほどローパスフィルタ処理による平滑化の度合いは大きくなり、解像度は低くなる。つまり、第2の平滑化特性をグラフ化した場合のグラフ(ライン)には、第1の平滑化特性のグラフ(ライン)には現れていない細かなピークやディップが現れる。本実施形態では、第1の平滑化特性と第2の平滑化特性を別々に、すなわち互いに独立に生成する。
例えば、本実施形態の第2の動作モードにおいては、上記二次元座標平面に第1の平滑化特性を表す二点鎖線のグラフG01と第2の平滑化特性を表す一点鎖線のグラフG03とをプロットして得られる画像(図3B参照)が特性表示領域A01に表示される。第2の動作モードでは、ユーザは、第1の平滑化特性のグラフには現れていないものの第2の平滑化特性のグラフには現れている細かなピークの何れかを選択し、当該ピークを平坦にするための調整量を設定することができる。例えば、第1の動作モードにおいて生成した平滑化特性を第2の動作モードにおける第1の平滑化特性とすることで、第1の動作モードによる調整量の設定に引き続いて第2の動作モードによる調整量の設定を行い、第1の動作モードによる調整から解像度を引き上げた調整を行うことができる。このため、本実施形態では第1の動作モードの他に第2の動作モードが設けられているのである。なお、第2の動作モードにて表示される各グラフについても、第1或いは第2の平滑化特性そのもののグラフであっても良いし、逆特性のグラフであっても良い。また、グラフを描画する線の種別ではなく線の色で第1の平滑化特性と第2の平滑化特性とを区別できるようにしても良い。なお、必要に応じて第2の動作モードによる調整を単独で行ってもよく、この場合は、第2の平滑化特性を第1の平滑化特性に近づけるような調整が行われる。つまり、この場合は、第1の平滑化特性を、調整の目標となる周波数スペクトル包絡(目標スペクトル包絡)と捉えることができる。
記憶部240は、揮発性記憶部242と不揮発性記憶部244を含む。揮発性記憶部242は、例えばRAM(Random Access Memory)であり、プログラムを実行する際のワークエリアとして制御部210によって利用される。不揮発性記憶部244は例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)或いはフラッシュROM(Read Only Memory)である。不揮発性記憶部244には、前述した調整支援プログラムが格納されている他、OS(Operating System)を制御部210に実現させるためのカーネルプログラムが格納されている。
リモコン部20の電源(図1では図示略)が投入されると、制御部210はカーネルプログラムを不揮発性記憶部244から揮発性記憶部242へ読み出し、その実行を開始する。カーネルプログラムにしたがって動作しOSを実現している状態の制御部210は、操作入力部232に対する操作により、他のプログラムの実行指示を与えられると、当該実行を指示されたプログラムを不揮発性記憶部244から揮発性記憶部242へ読み出し、その実行を開始する。例えば操作入力部232を介して調整支援プログラムの実行指示を与えられると、制御部210は調整支援プログラムを不揮発性記憶部244から揮発性記憶部242へ読み出し、その実行を開始する。
制御部210は、調整支援プログラムにしたがって、前述した第1の動作モードと第2の動作モードの何れかで動作する。本実施形態では、調整支援プログラムの実行開始時点では、制御部210は第1の動作モードで動作し、以降、仮想操作子B01が操作される毎に動作モードが切り換わる。例えば第1の動作モードで動作している状況下で仮想操作子B01が操作された場合には、制御部210は動作モードを第2の動作モードへ切り換える。逆に、第2の動作モードで動作している状況下で仮想操作子B01が操作された場合には、制御部210は動作モードを第1の動作モードへ切り換える。
制御部210は、動作モードが第1の動作モードであるか第2の動作モードであるかを問わず、調整支援プログラムに従って、取得処理、抽出処理、設定処理、表示制御処理、検知処理、交点周波数更新(change, modify, edit)処理および調整量更新処理(図1参照)の各処理を、図4のフローチャートに示す順に実行する。なお、図4のステップSA180には、検知処理、交点周波数更新処理および調整量更新処理が含まれる。第1および第2の動作モードの各々における各処理の詳細は以下の通りである。
取得処理で行われることは、第1の動作モードと第2の動作モードとで異なる。第1の動作モードにおける取得処理では、制御部210は、平滑化特性を示す平滑化特性データと目標特性を示す目標特性データとを取得する。一方、第2の動作モードにおける取得処理では、制御部210は、第1の平滑化特性を表す第1の平滑化特性データと、第2の平滑化特性を表す第2の平滑化特性データとを取得する。ここで、平滑化特性データ、第1の平滑化特性データ、第2の平滑化特性データは、何れも、測定されたフィルタを除く再生系の周波数特性を平滑化して得られるデータである。従って、ここでの取得処理は、測定された周波数特性を取得し、取得された周波数特性を平滑化して必要な平滑化特性データを算出する処理であってもよい。
平滑化特性データの取得態様については種々の態様が考えられる。例えば、本体部10において平滑化処理を実行し、その処理結果であるデータを本体部10から取得する態様であっても良く、または、再生系全体について本体部10にて測定された周波数特性を表すデータを当該本体部10から取得し、制御部210が平滑化処理を実行して平滑化特性データを生成する態様であっても良い。目標特性データの取得態様についても種々の態様が考えられる。例えば、予め複数種の目標特性データを不揮発性記憶部244に予め格納しておき、所望の目標特性を表す目標特性データをユーザに指定させる態様であっても良い。なお、第2の動作モードにおける第1および第2の平滑化特性データの取得態様は、第1の動作モードにおける平滑化特性データの取得態様と同じである。
抽出処理は、調整対象の周波数特性を目標特性に向けて調整する際の操作単位となる部分帯域を抽出する処理であり、目標特性への調整対象範囲の全体である周波数帯域は、当該抽出処理によって複数の部分帯域に分割される。操作単位となる部分帯域とは、調整対象の周波数特性を目標特性に向けて調整する調整量が一括して(1パラメータで)設定される(すなわち、調整量を設定する際の最小単位となる)1つの周波数範囲である。このような部分帯域は、調整対象の周波数特性の目標特性へ向けての調整作業を行うユーザにとって、認識し易い、操作し易い、調整作業をし易いものであることが望ましい。
そこで、本実施形態の第1の動作モードにおける抽出処理では、制御部210は、周波数帯域から、平滑化特性と目標特性の差分の符号が連続して正または負の何れか一方となっている区間(平滑化特性と目標特性の交点から交点、すなわち連続する2つの交点で挟まれる区間)を上記操作単位の部分帯域として抽出する。これに対して、第2の動作モードにおける抽出処理では、制御部210は、第1の平滑化特性と第2の平滑化特性との差分の符号が連続して正または負の何れか一方となっている区間(第1の平滑化特性と第2の平滑化特性の交点から交点、すなわち連続する2つの交点で挟まれる区間)を上記操作単位の部分帯域として抽出する。第1の動作モードにおける場合と同様に操作単位となる部分帯域が、ユーザにとって、認識し易い、操作し易い、調整作業をし易いものとなるようにするためである。
例えば、動作モードが第1の動作モードであり、平滑化特性が図5AのグラフG01で表され、目標特性が図5AのグラフG02で表されているとする。図5Aにおいて点P01は目標特性への調整を行う周波数帯域の左端(すなわち、下限)であり、点P07は同周波数帯域の右端(すなわち、上限)である。また、図5AにおけるグラフG01は図3AにおけるグラフG01と同一であり、図5AにおけるグラフG02は図3AにおけるグラフG02と同一である。図5Aにおける交点P02〜P06は平滑化特性を表すグラフG01と目標特性を表すグラフG02の交点である。図5Aにおける記号“+”および“−”は、平滑化特性と目標特性の差分の符号を意味している。平滑化特性と目標特性とが図5Aに示す関係にある場合、制御部210は、点P01およびP07についても平滑化特性と目標特性の交点と見做し、点P01を左端とし点P07を右端とする周波数帯域を連続する2つの交点で区画される6つの部分帯域に分割し、これら6つの部分帯域の各々を操作単位として抽出する。すなわち、図5Aにおける交点P01と交点P02とで区画される第1の部分帯域、交点P02と交点P03とで区画される第2の部分帯域、交点P03と交点P04とで区画される第3の部分帯域、交点P04と交点P05とで区画される第4の部分帯域、交点P05と交点P06とで区画される第5の部分帯域、および、交点P06と交点P07とで区画される第6の部分帯域が抽出される。図5Aを参照すれば明らかなように、第1、第3、および第5の部分帯域においては平滑化特性と目標特性との差分は常に負であり、第2、第4、および第6の部分帯域においては平滑化特性と目標特性との差分は常に正である。
上記状態から動作モードが第2の動作モードに切り換えられ、第1の平滑化特性が図3BのグラフG01で表され、第2の平滑化特性が図3BのグラフG03で表されたとする。この場合、第1の動作モードの抽出処理にて抽出された各部分帯域はより細かな部分帯域に細分される。図5Bは、上記第2の部分帯域を拡大した図である。図5Bに示す例では、図5Aにおける第2の部分帯域(交点P02と交点P03とで挟まれた区間)は、第1の平滑化特性と第2の目標特性の交点から交点(連続する2つの交点)で区画されるサブ部分帯域に分割される。すなわち、交点SP01と交点SP02で区画される第1のサブ部分帯域、交点SP02と交点SP03で区画される第2のサブ部分帯域、交点SP03と交点SP04で区画される第3のサブ部分帯域、交点SP04と交点SP05で区画される第4のサブ部分帯域、および、交点SP05と交点SP06で区画される第5のサブ部分帯域に分割される。なお、図5Bにおける交点SP01は図5Aにおける交点P02に対応し、図5Bにおける交点SP06は図5Aにおける交点P03に対応する。図5Bを参照すれば明らかなように、図5Bにおける第1、第3および第5のサブ部分帯域では、第2の平滑化特性と第1の平滑化特性との差分は常に正であり、第2および第4のサブ部分帯域では第2の平滑化特性と第1の平滑化特性との差分は常に負である。図5Bに示す例では、第2の部分帯域が上記5つのサブ部分帯域に分割されたが、これは一例であって、第2の部分帯域の分割数は5には限定されない。その時点のIR(Impulse Response)或いは設定パラメータによっては、分割数が2つの場合もあれば、10など6以上の場合もあり得る。また、第1、第3〜第6の各部分帯域も、それぞれ、同様に複数のサブ部分帯域に分割されてよい。
設定処理で行われることは、第1の動作モードと第2の動作モードとで変わるところは無い。この設定処理では、制御部210は、抽出処理にて抽出された部分帯域(又はサブ部分帯域)を、周波数特性の調整の際の操作単位として設定する。
表示制御処理で行われることは、第1の動作モードと第2の動作モードとで異なる。第1の動作モードにおける表示制御処理では、制御部210は、平滑化特性のグラフと目標特性のグラフを特性表示領域A01に表示させる。一方、第2の動作モードにおける表示制御処理では、制御部210は、第1の平滑化特性のグラフと第2の平滑化特性のグラフを特性表示領域A01に表示させる。
ユーザは、上記の要領で特性表示領域A01に表示されたグラフに対する操作により、設定処理にて設定された部分帯域毎に、周波数レスポンスを制御する調整量として、平滑化特性(第2の動作モードであれば第2の平滑化特性)と目標特性(第2の動作モードであれば第1の平滑化特性)との差分を示す形状に対する変形の割合(%単位)を設定する。当該差分を示す形状とは、部分帯域において、隣合う2つの交点と2つのライン(第1の動作モードであれば平滑化特性を表すグラフG01と目標特性を表すグラフG02、第2の動作モードであれば第2の平滑化特性のグラフG03と第1の平滑化特性のグラフG01)とで囲まれた領域の形状である。すなわち、ユーザは、所望の1つの部分帯域(ないしサブ部分帯域)の目標特性に向けての調整を、その部分帯域の平滑化特性の形状に関わらず、たった1つの調整量の増減で行える。中心周波数、Q値およびゲインの設定等の煩雑な操作を行う必要がない。調整量を設定する部分帯域の指定方法については種々の態様が考えられる。例えば、第1の動作モードであれば、平滑化特性を表すグラフG01と目標特性を表すグラフG02とで囲まれた複数の各領域(平滑化特性と目標特性との差分に対応し、設定処理にて設定された部分帯域の対応する領域)内の任意の位置(グラフ上の位置を含む)を、ユーザがマウス等でクリックすることにより、周波数特性を調整する部分帯域を指定する態様が考えられる。なお、ユーザによる部分帯域の選択を補助するため、平滑化特性を表すグラフG01と目標特性を表すグラフG02とで囲まれた領域の表示態様を、当該領域内にマウスカーソルが位置しているか否かに応じて異ならせるようにしても良い。例えば、領域内にマウスカーソルが位置している場合には当該領域をハイライト表示し、位置していない場合にはハイライト表示を解除する。
フィルタの周波数特性(周波数レスポンス)の調整量の設定方法についても種々の態様が考えられる。例えば、仮想フェーダVF01〜VF07の各々を、設定処理にて設定された各部分帯域に対応付けておき、ユーザが仮想フェーダVF01〜VF07を操作することにより調整量を設定する態様が考えられる。この場合、前述したハイライト表示と同期させてマウスカーソルの位置している領域に対応する仮想フェーダの表示色を異ならせる(或いは明滅させる)ようにしても良い。
また、第1の動作モードであれば、ユーザが周波数特性の調整を所望する部分帯域における平滑化特性のグラフ上の任意の箇所(例えば、ピーク付近)をマウスクリックし、図6にてブロック矢印BA1或いはBA2で示すように、目標特性に近づける(或いは目標特性から遠ざける)操作、すなわち、平滑化特性のグラフをドラッグして変形させる操作の操作量によって周波数特性の調整量をユーザに設定させても良い。この場合、平滑化特性の、ドラッグ操作による変形前グラフの変形後グラフに対する差分(平滑化特性グラフの変形量)が、フィルタの周波数レスポンスに相当する。逆に、目標特性のグラフを平滑化特性のグラフに近づける(或いは遠ざける)ドラッグ操作の操作量によって周波数特性の調整量をユーザに設定させても良い。この場合、ドラッグ操作により変形された目標特性のグラフの変形前グラフに対する差分(目標特性グラフの変形量)が、フィルタの周波数レスポンスに相当する。以降の説明では、後者、すなわち「目標特性のグラフを変形する」態様を採用する。なお、表示される周波数レスポンスは逆特性であり、目標特性のグラフが上向きに変形された部分帯域ではフィルタで音信号が減衰され、下向きに変形された部分帯域では音信号が増幅される。平滑化特性のグラフと目標特性のグラフとの差分は、目標特性のグラフの変形量が100%の場合の、つまり、平滑化特性を目標特性に一致させた(完全に合わせ込んだ)場合のフィルタの周波数レスポンスに対応する。同様に、第2の動作モードであれば、第1の平滑化特性のグラフを第2の平滑化特性のグラフに近づける(或いは遠ざける)操作、逆に第2の平滑化特性のグラフを第1の平滑化特性のグラフに近づける(或いは遠ざける)操作の操作量によって周波数特性の調整量をユーザに設定させても良い。前者では、第1の平滑化特性グラフの変形量が周波数レスポンスに相当し、後者では、第2の平滑化特性グラフの変形量が周波数レスポンスに相当する。以降の説明では、前者、すなわち、「第1の平滑化特性を変形する」態様を採用する。こちらも逆特性であり、第1の平滑化特性のグラフが上向きの変形されたサブ部分帯域ではフィルタで音信号が減衰され、下向きに変形された部分帯域では増幅される。第1の平滑化特性のグラフと第2の平滑化特性のグラフとの差分は、第1の平滑化特性のグラフの変形量が100%の場合の、つまり、第2の平滑化特性を第1の平滑化特性に一致させた(完全に合わせ込んだ)場合のフィルタの周波数レスポンスに対応する。
また、第1の動作モードであれば、平滑化特性のグラフと目標特性のグラフとで囲まれた領域(平滑化特性と目標特性との差分に対応し、設定処理にて設定された部分帯域の対応する領域)に対してユーザが行った操作(例えば当該領域内の任意の点をクリックしてドラッグする操作)の操作量或いは当該操作量に応じて設定される割合(%)として、周波数レスポンスを制御する調整量を設定しても良く、当該領域のうちその調整量に相当する面積分の表示態様を異ならせることで調整量が設定されていること、或いはその調整量をユーザに表示しても良い。例えば、ドラッグ操作により目標特性グラフを変形する場合、図7に示すように、目標特性を基準として上記調整量に相当する面積部分にハッチングを付与する(或いは表示色を異ならせる)。第2の動作モードにおいても同様に、第1の平滑化特性のグラフと第2の平滑化特性のグラフとで囲まれた領域(第1の平滑化特性と第2の平滑化特性との差分に対応し、設定処理にて設定された部分帯域の対応する領域)に対してユーザが行った操作の操作量或いは当該操作量に応じて設定される割合(%)として、周波数レスポンスを制御する調整量を設定しても良く、さらに、当該領域のうちその調整量に相当する面積分の表示態様を異ならせても良い。例えば、第1の動作モードによる調整に後続して第2の動作モードによる調整を行う場合には、第1の平滑化特性を基準として当該第2の動作モードにて設定した調整量に相当する面積部分の表示態様を異ならせる(ハッチングを付与する或いは表示色を異ならせる)ようにすれば良い。
図7に示す要領で調整量の表示を行う態様であれば、各部分帯域について周波数特性の調整量の現在値、および平滑化特性や目標特性と当該調整量との関係を一目で把握することが可能になる。なお、ある部分帯域で平滑化特性を超過する調整量が設定された場合には、その超過分に対応する領域の表示態様(表示色或いはハッチングパターン)を異ならせても良い。グラフをドラッグして変形させる操作により周波数特性の調整量を設定する態様において、仮想フェーダVF01〜VF07の各々が設定処理にて設定された各部分帯域に対応付けられているのであれば、上記マウス操作によって設定されたある部分帯域の調整量に応じて、対応する1つの仮想フェーダにおけるつまみの表示位置を更新(change)するようにしても良い。例えば、図5Aにおける交点P02とP03とで区画される部分帯域に仮想フェーダVF02が対応付けられており、図7に示すように当該部分帯域における周波数特性の調整量が設定された場合には、仮想フェーダVF01〜VF07の各々におけるつまみの表示位置は図8のように更新される。この場合、仮想フェーダVF01〜VF07のつまみの表示位置は、全体として、補正パラメータに応じた信号処理に用いられるフィルタの周波数レスポンスを示している。なお、図8は、フィルタの周波数レスポンスの逆特性を表示する態様を例示する。したがって、各仮想フェーダVF01〜VF07において、つまみが上方に位置するほど、フィルタによる対応する帯域の音信号の減衰量が増える。
また、周波数特性の調整量の最大値および最小値を部分帯域毎に予め定め、これら最大値および最小値の範囲内でのみ周波数特性の調整量を設定させるようにしても良い。例えば、第1の動作モードの場合、平滑化特性のグラフの方が目標特性のグラフよりも大きい部分帯域においては、ドラッグ操作による図7のグラフの変形できる範囲を、最大で平滑化特性のグラフに一致するまで、かつ、最小で目標特性のグラフに一致するまでとなるよう、調整量の最大値及び最小値を適宜定める一方、目標特性の方が平滑化特性よりも大きい部分帯域においては、ドラッグ操作によるグラフの変形範囲を、最大で目標特性のグラフに一致するまで、最小で平滑化特性のグラフに一致するまでとなるよう、調整量の最大値及び最小値を適宜定める。なお、上記調整量の初期値を上記最小値(フラットな周波数レスポンスに相当)に定めて置き、当該初期値からのドラッグ操作により周波数特性の調整量をユーザに設定させても良い。この場合、仮想フェーダVF01〜VF07の各々におけるつまみの初期表示位置は、図7のドラッグ操作前の目標特性のグラフに対応するゼロ位置になる。部分帯域の指定が為された状態で、図示しない特定の操作子が操作された場合には、その部分帯域の周波数特性の調整量を所定の値(上記最大値或いは最小値)にリセットしても良い。
以上が周波数特性を調整する部分帯域の指定操作、および調整量の設定操作の具体例であるが、これらの操作の他にも、ユーザは、マウスによる各グラフ(第1の動作モードであれば、平滑化特性或いは目標特性のグラフ、第2の動作モードであれば第1或いは第2の平滑化特性のグラフ)のドラッグ操作により、そのグラフを縦軸方向に平行移動することができ、また、2つのグラフの各交点のドラッグ操作により、その交点を目標となる一方のグラフ上で周波数軸方向に移動して、他方のグラフを変形することができる。このように、ユーザによる平滑化特性、目標特性、第1の平滑化特性、或いは第2の平滑化特性のグラフの変更操作に応じて、各グラフが変更される。
検知処理で行われることは、第1の動作モードと第2の動作モードとで異なる。第1の動作モードにおける検知処理では、制御部210は、平滑化特性と目標特性の少なくとも一方を変化(変形或いは平行移動)させるユーザ操作を検知する。一方、第2の動作モードにおける検知処理では、制御部210は、第1の平滑化特性と第2の平滑化特性の少なくとも一方を変化させるユーザ操作を検知する。
調整量更新処理は、ユーザによりある部分帯域の周波数特性の調整量を変更する操作が行われ、上記検知手段によりその操作が検知された場合に実行される処理である。調整量更新処理の処理内容は第1の動作モードと第2の動作モードとで変わりはない。調整量変更処理においては、制御部210は、当該部分帯域について、ユーザにより設定された調整量(第1の動作モードであれば平滑化特性と目標特性との差分に対する乗算係数、第2の動作モードであれば第1の平滑化特性と第2の平滑化特性との差分に対する乗算係数)に応じて、上記フィルタの周波数レスポンスを更新する。
交点周波数更新処理は、ユーザによるある交点の移動操作が検知された場合に実行される処理である。交点周波数更新処理で行われることは、第1の動作モードと第2の動作モードとで異なる。第1の動作モードにおける交点周波数更新処理では、制御部210は、移動後の交点において平滑化特性のグラフと目標特性のグラフが交差し、かつ前者が滑らかな曲線となるように平滑化特性データを更新する。これに対して第2の動作モードにおける交点周波数更新処理では、制御部210は、移動後の交点において第1の平滑化特性のグラフと第2の平滑化特性のグラフが交差し、かつ前者が滑らかな曲線となるように第2の平滑化特性データを更新する。なお、第1の動作モードおよび第2の動作モードのどちらにおいても、交点の周波数方向への移動操作により、当該交点を両端のうちの一方として有する、2つの部分帯域の幅がそれぞれ変更される。このとき、幅が変更された何れかの部分帯域の調整量がゼロでなければ、前述した調整量更新処理が起動され、更新された平滑化特性データに応じて、フィルタの周波数レスポンスが更新される。
図4に示すように、調整支援プログラムにしたがって、制御部210は、取得処理、抽出処理、設定処理、および表示制御処理を順次実行し(図4:ステップSA100〜ステップSA130)、ユーザによる操作を待ち受ける(ステップSA140)。ユーザが操作入力部232に対して何らかの操作を行うと、ステップSA140の判定結果は“Yes”になり、制御部210はステップSA150以降の処理を実行する。
ステップSA150では、制御部210は、動作モードの切り換えを指示されたか否か(すなわち、仮想操作子B01がクリックされたのか)を判定する。ステップSA150の判定結果が“Yes”である場合には、制御部210は、動作モードを切り換え(ステップSA160)、ステップSA100以降の処理を実行する。逆にステップSA150の判定結果が“No”である場合には、制御部210は、ステップSA170以降の処理を実行する。
ステップSA170では、制御部210は、終了指示が為されたか否か(すなわち、仮想操作子B02がクリックされたのか)を判定する。ステップSA170の判定結果が“Yes”である場合には、制御部210は、表示部234に調整支援画面を消去させ、調整支援プログラムの実行を終了する。逆にステップSA170の判定結果が“No”である場合には、制御部210は、操作内容に応じた処理を実行し(ステップSA180)、ステップSA130以降の処理を再度実行する。
ステップSA180にて実行される処理の具体例は次の通りである。例えば、ユーザの行った操作が、部分帯域を選択して周波数特性の調整量を変更する操作であれば、ステップSA180では制御部210は、その操作量に応じて当該部分帯域の調整量を変更する。ステップSA180に後続して実行される表示制御処理SA130では、このようにして変更された調整量に応じてハッチング表示が行われる。
また、ユーザの行った操作が、ある交点を移動する操作であれば、ステップSA180では、制御部210は、前述した交点周波数更新処理を実行する。なお、交点を移動する操作が行われた時点で、何れかの部分帯域に対して周波数特性の調整量が設定されているのであれば、制御部210は、交点周波数更新処理に加えて、前述した検知処理および調整量更新処理を実行する。
そして、何れかの部分帯域に対して周波数特性の調整量が設定済みの状況下でグラフを縦軸方向に平行移動する操作が行われた場合、ステップSA180では、制御部210は、前述した検知処理および調整量更新処理を実行する。
以上が周波数特性調整装置1の構成である。
(B:動作)
次いで、周波数特性調整装置1を用いた周波数特性の調整手順に即してリモコン部20の動作を説明する。周波数特性調整装置1のユーザは、まず、調整対象となる周波数特性を前述した要領で測定する。調整対象となる周波数特性の測定が完了すると、ユーザは、操作入力部232に対する操作により調整支援プログラムの実行開始を指示し、制御部210は当該指示に応じて調整支援プログラムの実行を開始する。
調整支援プログラムの実行開始時点では、動作モードは第1の動作モードに設定されている。このため、制御部210は、第1の動作モードの取得処理、抽出処理、設定処理および表示制御処理を実行する(図4:ステップSA100〜SA130)。その結果、表示部234には、特性表示領域A01に図3Aに示す画像を嵌め込んだ調整支援画面(図2参照)が表示され、制御部210は、この状態でユーザの操作を待ち受ける(図4:ステップSA140)。
上記調整支援画面を視認したユーザは、操作入力部232に対する操作により、周波数特性を調整する部分帯域の選択および周波数特性の調整量の設定を行う。例えば、ユーザにより、交点P02とP03とで区画される部分帯域を指定し、平滑化特性に現れているピークを50%の高さに引き下げる操作(すなわち、図7の目標特性のグラフをマウスで上向きにドラッグして、当該部分帯域における調整量を50%に設定する操作)が行われたとする。ユーザにより上記操作が為されたことを契機としてステップSA140の判定結果は“Yes”となり、制御部210はステップSA150以降の処理を実行する。
この例においてユーザが行った操作は動作モードの切り換え指示ではなく、終了指示でもない。このため、ステップSA150およびステップSA170の判定結果は共に“No”となってステップSA180処理が実行される。この例では、交点P02とP03とで区画される部分帯域についてピークを半分の高さに引き下げる操作が行われたのであるから、当該部分帯域の全体について、現在の振幅の50%に対応する1つの調整量が設定される。より具体的には、次の通りである。上記部分帯域の左端の周波数flから右端の周波数frまでの周波数帯域内の任意の周波数f(すなわち、fl≦f≦fr)における上記操作前の振幅値がA(f)であったとする。この場合、上記操作に応じて、周波数flから周波数frまでの間の全ての周波数fについて、調整対象の周波数特性の振幅値が0.5×A(f)になるよう減衰するフィルタの周波数レスポンスが設定される。すなわち、当該部分帯域の周波数レスポンスは、該全ての周波数fについて、平滑化特性と目標特性の差分と調整量との積に対応する値に設定されるのである。ステップSA180に後続するステップSA130では、ユーザによって設定された調整量に相当する周波数レスポンスが、図7にてハッチングで示すように、平滑化特性を表すグラフG01および目標特性をグラフG02とともに特性表示領域A01に表示される。
その後のユーザの操作により平滑化特性を表すグラフG01が図9Aのように更新され、周波数帯域の全体に亘って、80%の値を持つ1つの調整量が設定されたとする。この状況下で平滑化特性のグラフG01を、図9Bに示すように下方に平行移動(すなわち、平滑化特性の全体に亘って、グラフの形(曲線の形)を変えずに、グラフ全体を下に移動する(グラフ上の全ての値を、同じ量(同じ数値))だけ下へ移動する)させる操作をユーザが行ったとする。この場合、ステップSA180では、検知処理および調整量更新処理が実行される。図9Aに示す例では平滑化特性は全周波数帯域に亘って目標特性を上回っていた。この状態から図9Bに示す状態へ平滑化特性のグラフG01を下方に平行移動すると、平滑化特性のグラフG01と目標特性のグラフG02とが交差して複数の部分帯域が生じ、その一部の部分帯域は平滑化特性が目標特性を下回る。調整量更新処理では各部分帯域毎に調整量が用意され、平行移動後の平滑化特性のグラフG01が目標特性を上回る部分帯域の調整量は、上記平行移動前の1つの調整量と同じ値(80%)に設定され、フィルタのその部分帯域の周波数レスポンスは、その部分帯域の上記平行移動後の平滑化特性と目標特性(図9Bに示す例では0dB)との差分と当該調整量との積に応じた値に更新される。また、平行移動後の平滑化特性のグラフG01が目標特性を下回る部分帯域の調整量については、同様に、平行移動前の調整量と同じ値(80%)に設定することで平行移動後の平滑化特性と目標特性との差分および当該調整量に応じた周波数レスポンスを設定しても良いし、あるいは、当該部分帯域の調整量を初期値0とし、当該部分帯域にフラットな周波数レスポンスを設定しても良い。本実施形態では前者の態様が採用されている。ステップSA180に後続するステップSA130では、ステップSA180における更新内容を反映した表示が行われる。具体的には、制御部210は調整量更新処理にて用意され更新された、複数の各部分帯域の調整量に応じて、各部分帯域の周波数レスポンスを示す上記ハッチング表示を行う。その結果、特性表示領域A01の表示内容は図9Bに示す画像に更新される。
その後、ユーザが、平滑化特性および調整量を図7の状態にリセットする操作を行い、さらに交点P03を低域側へ移動させる操作を行ったとする。この場合、ステップSA180では交点周波数更新処理、検知処理および調整量更新処理が実行される。より詳細に説明すると、まず、交点周波数更新処理により、平滑化特性のグラフG01が、移動後の交点P03において目標特性のグラフG02と交差し、かつ滑らかな曲線となるように、平滑化特性が更新される。そして、このような平滑化特性の変化は検知処理によって検知され、当該検知を契機として調整量更新処理が実行される。この調整量更新処理では、交点P02と移動前の交点P03とで区画されていた部分帯域において設定されていた調整量の値(50%)を、そのまま交点P02と上記移動後の交点P03とで区画される部分帯域の調整量とし、その部分帯域の周波数レスポンスを上記更新後の平滑化特性と目標特性の差分と当該調整量との積として算出する。その結果、特性表示領域A01の表示内容は図10に示す画像に更新される。
目標特性との関係に基づいて周波数特性の調整量の大まかな設定が完了すると、ユーザは、周波数特性の調整量をよりきめ細やかに設定するために仮想操作子B01をクリックする。ユーザにより当該操作が為されたことを契機としてステップSA140の判定結果は“Yes”となり、制御部210はステップSA150以降の処理を実行する。ユーザの行った操作は仮想操作子B01のクリックであるから、ステップSA150の判定結果は“Yes”となり、ステップSA160の処理が実行される。このステップSA160にて、制御部210は、リモコン部20の動作モードを第1の動作モードから第2の動作モードへ切り換え、ステップSA100以降の処理を再度実行する。
例えば、図7に示すように調整量が設定されている状態でユーザが仮想操作子B01をクリックしたとする。この場合、リモコン部20の表示部234には、特性表示領域A01に図11に示す画像を嵌め込んだ調整支援画面が表示され、制御部210は、この状態でユーザの操作を待ち受ける(図4:ステップSA140)。図11に示す画像は、第1の動作モードにて設定された調整量を示すハッチング表示を含む点が図3Bと異なる。
以降、ユーザは、動作モード1における場合と同様に、平滑化の度合いの異なる平滑化特性(すなわち、第2の平滑化特性)との関係に基づいて周波数特性を調整する部分帯域を選択する操作、当該部分帯域における調整量を設定する操作、第1の平滑化特性を表すグラフG01と第2の平滑化特性を表すグラフG03の交点を周波数軸方向に移動させる操作、第1および第2の平滑化特性の各々のグラフを縦軸方向に平行移動させる操作等を行い、周波数特性の調整量をきめ細かく設定することができる。例えば、前述した交点SP03と交点SP04とで区画されるサブ部分帯域(図5B参照)を選択して調整量を引き上げる或いは引き下げる操作を行うことで、図12A或いは図12Bのように、交点SP01と交点SP06とで区画されるサブ部分帯域における周波数特性の調整量をきめ細かく設定することができる。第1の動作モードによる調整量の設定に引き続いて第2の動作モードによる調整量の設定が行われると、第1の動作モードによる部分帯域の調整量と第2の動作モードによるサブ部分帯域の調整量の両方が加味され、フィルタの最終的な周波数レスポンスが決定される。第1の動作モードによる調整量と第2の動作モードによる調整量の両方を加味する際の具体的な態様は、例えば、デシベルスケール上で、第1の動作モードによる各部分帯域の調整量に応じた周波数レスポンスと、第2の動作モードによる各サブ部分帯域の調整量に応じた周波数レスポンスとを独立に算出し、両者を加算して最終的な周波数レスポンスを算出する態様である。
以上が本実施形態における周波数特性の調整手順である。
制御部210は、上記の要領で部分帯域乃至サブ部分帯域毎に設定された調整量に応じて算出されたフィルタの周波数レスポンスに基づいて、その周波数レスポンスに対応する補正パラメータ(FIRフィルタ係数)を算出し、本体部10に与える。なお、上記周波数レスポンスから補正パラメータを算出する際の算出方法については、特許文献1に開示の技術と同様に逆フーリエ変換による方法であっても良いし、或いは特許文献2に開示の方法であっても良い。本体部10は、ソース機器5から供給される音信号に上記補正パラメータ(FIRフィルタ係数、すなわちインパルスレスポンス)に応じた信号処理(FIRフィルタ処理、すなわちインパルスレスポンスの畳み込み)を施してスピーカ3へ出力する。このようにして、調整対象となる周波数特性を目標特性に近づけることができる。
以上説明したように本実施形態によれば、周波数特性調整装置1のユーザは、指定した部分帯域についてのみ調整対象となる周波数特性を目標特性に向けて調整することができる。また、本実施形態では、調整を行う部分帯域の指定、および当該部分帯域における周波数特性の調整量の設定を、GUIベースの直観的でわかりやすい操作で行うことができる。このように本発明によれば、指定した部分帯域についてのみ、調整対象となる周波数特性を、目標特性に向けて調整することができ、かつ当該調整を直観的でわかりやすい操作で行えるようになる。例えば、平滑化された周波数特性において現れたピークおよびディップのうち、ハウリングまたは色付けの原因となるピークを、選択的に解消する調整を、容易に行うことができる。なお、本実施形態による周波数特性調整装置1は、ユーザの判断に応じて、周波数特性を目標特性に完全には合わせこまない調整、または、周波数特性の少なくとも一部を目標特性から離すような調整に使用されてもよく、このような使用においても同様に、周波数特性の調整が容易であるという利便性を有する。
(C:変形)
以上本発明の実施形態について説明したが、この実施形態を以下のように変形しても良い。
(1)上記実施形態では、周波数特性調整装置1のリモコン部20をノート型或いは据え置き型のパーソナルコンピュータで構成したが、リモコン部20を所謂タブレット端末で構成しても良い。リモコン部20をタブレット端末で構成する場合には、当該タブレット端末の表示部と当該表示部の表示面を被覆するように設けられた透明感圧センサシートなどのタッチセンサによりユーザI/F部230を構成すれば良い。この場合、タッチセンサが操作入力部232の役割を果たす。
(2)上記実施形態では、各部分帯域における周波数特性の調整量をユーザに設定させるため操作子として仮想操作子(仮想フェーダ)を用いたがハードウェアフェーダなどの物理操作子を用いても良い。
(3)上記実施形態では、調整対象となる周波数特性の測定を行った後に、目標特性に向けての調整をユーザに行わせる態様について説明した。このような態様は、測定された時点の(固定された)周波数特性を平滑化して得られる平滑化特性を用いるので、ユーザによる周波数レスポンスの調整でいちいち平滑化特性が変化せず、ユーザが調整を行い易い観点で好ましい。なお、音響空間2における構造物の配置変更、観客数の増減、湿度や温度の変化、ラウドスピーカ3の変更等により、フィルタを除く再生系の特性が変化した場合に、ユーザの測定操作に応じてフィルタを除く再生系の周波数特性を測定し、平滑化特性のグラフが、新たに測定された周波数特性に応じたものに変更されるようにしてもよい。なお、その場で測定された周波数特性を平滑化した平滑化特性に限らず、過去に測定された複数の平滑化特性の中からユーザが任意に選択した周波数特性を平滑化した平滑化特性を用いても良い。さらに、目標特性についても、ユーザの変更操作に応じて任意に変形された目標特性を用いたり、選択操作に応じて複数の目標特性の中から任意に選択した1の目標特性を用いて、目標特性のグラフが、新たに用いられるものに変更されるようにしてもよい。さらに言えば、目標特性として、他の会場で測定された周波数レスポンスの包絡や、同じ会場であっても、観客の入場数が違ったり、舞台上の設備が異なるなど、違う条件で測定された周波数レスポンスの包絡を用いても良い。それら過去に測定された周波数レスポンスの中から任意の周波数レスポンスを選択し、その周波数レスポンスの包絡を目標特性として用いることにより、ユーザは、現在の会場の周波数レスポンスを、過去に測定されたその周波数レスポンスに近づくよう調整することができる。
逆に、調整対象となる周波数特性の測定と、目標特性に向けての調整とを、時間的に並列に行うことも考えられる。具体的には、調整対象となる周波数特性の測定を行いつつリアルタイムにその測定結果に応じた平滑化特性の表示を周波数特性調整装置1に行わせる。この場合、特性表示領域A01に表示される平滑化特性のグラフはリアルタイムに更新されることになる。なお、周波数特性の調整量の設定が為されている場合には、平滑化特性のグラフの変化に追従させて当該調整量を更新し、当該調整量の更新に追従させてハッチング表示を更新しても良い。そして、ユーザが予め定められた所定の操作(所定の操作子の押下等)を行ったことを契機としてその時点の平滑化特性データを記憶しグラフの更新を停止するようにしても良い。
(4)上記実施形態では、何れかの部分帯域に対して周波数特性の調整量が設定された状況下で平滑化特性のグラフを縦軸方向に平行移動させる操作が行われた場合には、移動後の部分帯域毎に、移動前に対応する部分帯域に設定されていた調整量を引き継ぐよう更新した。また、平滑化特性のグラフの縦軸方向の平行移動に伴って、各々異なる割合で調整量が設定されていた複数の部分帯域が1つの部分帯域に結合される場合には、移動前の各部分帯域について設定されていた調整値の統計値(平均値、中央値、最頻出値、或いは最大値や最小値)に応じて、その1つの部分帯域の調整量を算出しても良い。
(5)上記実施形態では、第1の動作モードと第2の動作モードの切り換えが可能な周波数特性調整装置について説明したが、何れか一方の動作モードのみで動作する周波数特性調整装置を提供しても良い。なお、第2の動作モードにおいては、第1の平滑度の値とそれより低い第2の平滑度の値とをそれぞれ任意に変更して処理を繰り返し実行しても良い。また、上記実施形態では、周波数特性の調整の際の操作単位となる部分帯域の設定と、周波数特性の調整量の設定とを1つの装置に行わせたが、それぞれ別個の装置に行わせても良い。
(6)ユーザにより指定される周波数帯域の下限周波数以下のレンジおよび上限周波数以上のレンジは、典型的には、スピーカ3の変換効率(Sensitivity)が落ちる再生可能帯域外のレンジである。したがって、下限周波数以下のレンジの近傍および上限周波数以上のレンジの近傍では、調整量を設定してフィルタによる補正を行っても補正効果は小さく、また、無理にフィルタによる補正の量を大きくすると種々の悪影響がある。そこで、下限周波数以下のレンジおよび上限周波数以上のレンジの少なくとも一方のレンジで目標特性に一致するよう加工された平滑化特性(以下単に「加工された平滑化特性」ともいう)を用いて調整を行うようにしてもよい。
図13Aおよび図13Bを参照して、このような態様について説明する。図13Aおよび図13Bは、平滑化特性を示すグラフG01、目標特性を示すグラフG02、および、フィルタの周波数レスポンスを示すラインFRの表示例である。点線FLおよび一点鎖線FUは、それぞれ、ユーザにより指定された周波数帯域の下限周波数および上限周波数を示す。なお本例では、目標特性として、0dBのフラットなラインからずれたグラフG02を示す。
図13Aには、平滑化特性として、上述のような加工がされていないグラフG01を示し、フィルタの周波数レスポンスとして、初期のフラット(0dBで増幅・減衰なし)なラインFRを示す。当該周波数帯域は、部分帯域B01〜B06に分割されている。図13Aにおいて、最も低周波数側の部分帯域B01における下限の周波数は、当該周波数帯域の下限周波数と一致し、最も高周波数側の部分帯域B06における上限の周波数は、当該周波数帯域の上限周波数と一致している。
図13Bには、加工された平滑化特性のグラフG01を示す。加工された平滑化特性を示すグラフG01として、下限周波数以下のレンジおよび上限周波数以上のレンジの少なくとも一方のレンジにおいて、目標特性のグラフG02と滑らかに接続するグラフを表示するとよい。
図13Bに示すように、加工された平滑化特性を用いる場合、最も低周波数側の部分帯域B01における下限の周波数は、ユーザに指定された下限周波数と一致させず、加工された平滑化特性のグラフG01が目標特性のグラフG02と下限側で接続する周波数と一致させてもよい。また、最も高周波数側の部分帯域B06における上限の周波数は、ユーザに指定された上限周波数と一致させず、加工された平滑化特性のグラフG01が目標特性のグラフG02と上限側で接続する周波数と一致させてもよい。このような場合、部分帯域B01は、当該下限周波数よりも低周波数側にはみ出してよく、部分帯域B06は、当該上限周波数よりも高周波数側にはみ出してよい。したがって、ユーザに指定された周波数帯域は、実際に調整の対象となる周波数帯域のおおよその目安を示すこととなる。
図13Bには、フィルタの周波数レスポンスとして、初期のフラットなラインから変形された、調整後のラインFRを示す。本例では、フィルタの周波数レスポンスの逆特性が示されており、部分帯域B02およびB06の音信号を減衰させ、部分帯域B05の音信号を増幅させる調整が行われる。
加工された平滑化特性を用いることにより、下限周波数以下のレンジおよび上限周波数以上のレンジの少なくとも一方のレンジにおいて、平滑化特性と目標特性との差分が小さくなるので、そのレンジでのフィルタによる過度の調整を行わなくて済む。さらに、その表示された平滑化特性のグラフG01を見たユーザは、当該少なくとも一方のレンジがフィルタによる制御対象外であることを認識できる。
(7)なお、周波数特性同士の「交点」、すなわち、周波数特性を表すグラフ(ライン)同士の「交点」は、グラフ同士が交差する点のみならず、グラフ同士が接する点であってもよい。つまり「交点」とは、グラフ同士が重なる点(共通に通る点)を意味する。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の周波数特性調整装置1について説明する。主に、第1実施形態との違いについて説明する。第2実施形態の周波数特性調整装置1は、動作モードとして、第1実施形態で説明した第1の動作モードおよび第2の動作モードに加え、第3の動作モードを有する。モード切り換え用の仮想操作子B01としては、第1の動作モードと第2の動作モードとを切り換える第1実施形態における操作子に換えて、第1の動作モード、第2の動作モードおよび第3の動作モードの間を切り換える操作子が用いられる。仮想操作子B01の態様は、特に制限されない。
第3の動作モードについて説明する。第3の動作モードにおいては、特性表示領域A01に、目標特性を示すグラフ(ライン)G02、平滑化特性を示すグラフ(ライン)G04、および、平滑化極小特性を示すグラフ(ライン)G05が表示される。図14は、目標特性を示すグラフG02、平滑化特性を示すグラフG04、および、平滑化極小特性を示すグラフG05の表示例であり、全体の周波数帯域のうちの一部分を示す。グラフG02、グラフG04およびグラフG05を、それぞれ、実線、一点鎖線および二点鎖線で示す。
目標特性は、例えば、0dBの平坦な周波数特性である。なお、目標特性としては、他の任意の形状の周波数特性を用いてもよい。平滑化特性は、上述のように、測定されたフィルタを除く再生系の周波数特性を平滑化処理して得られる。目標特性のグラフG02と平滑化特性G04との交点の周波数で区画される部分帯域として、粗(coarse)部分帯域が規定される。図14に示す周波数帯域の部分では、目標特性のグラフG02と平滑化特性G04との交点P1、P2およびP3の周波数で区画される部分帯域として、粗部分帯域CFB1およびCFB2が規定されている。
第3の動作モードで用いられる平滑化特性の平滑度は、平滑化で細かなピークやディップが失われないように、第2の動作モードにおける第2の平滑度の程度の、やや低めの値とすることが好ましい。各粗部分帯域において、目標特性のグラフG02と平滑化特性のグラフG04との差分の極小点を、「谷」という。つまり、各粗部分帯域において、目標特性のグラフG02と平滑化特性のグラフG04との差分(これは、周波数の関数である)を極小とする周波数に対応する、平滑化特性のグラフG04上の位置を、「谷」という。図14に示す周波数帯域の部分では、粗部分帯域CFB1に谷V1が存在し、粗部分帯域CFB2に谷V2が存在しているが、各粗部分帯域に存在する谷の数は1とは限らず、0の場合もあるし、2以上の場合もある。
平滑化極小特性は、目標特性のグラフG02と平滑化特性G04との交点、および、目標特性のグラフG02と平滑化特性のグラフG04との差分の谷(極小点)を、滑らかに接続したグラフG05で規定される周波数特性である。なお、平滑化極小特性は、谷が存在しない粗部分帯域においては、例えば、平滑化特性と一致するように規定されてよい。図14に示す周波数帯域の部分では、平滑化極小特性は、交点P1、谷V1、交点P2、谷V2および交点P3を、滑らかに接続したグラフで規定されている。
目標特性のグラフG02と平滑化特性G04との交点の周波数、および、目標特性のグラフG02と平滑化特性のグラフG04との差分の谷の周波数で区画される部分帯域として、微(fine)部分帯域が規定される。図14に示す周波数帯域の部分では、交点P1、谷V1、交点P2、谷V2および交点P3の周波数で区画される部分帯域として、微部分帯域FFB11、FFB12、FFB21およびFFB22が規定されている。
微部分帯域は、粗部分帯域を、平滑化特性のグラフG04と極小特性のグラフG05とが接する点の周波数で分割して得てもよい。換言すれば、微部分帯域は、粗部分帯域を、目標特性のグラフG02と平滑化特性のグラフG04との差分の谷の周波数で分割して得てもよい。図14に示す周波数帯域の部分では、微部分帯域FFB11およびFFB12は、粗部分帯域CFB1を、谷V1の周波数で分割して得られる。微部分帯域FFB21およびFFB22は、粗部分帯域CFB2を、谷V2の周波数で分割して得られる。
第3の動作モードにおいて、ユーザは、粗調整操作と、微調整操作とを行う。粗調整操作では、粗部分帯域が、調整量の設定操作の単位である。ユーザは、調整量の設定対象として何れか1つの粗部分帯域を指定し、指定された粗部分帯域の、目標特性(G02)と平滑化極小特性(G05)との差分に対する割合を示す、1つの調整量を調整する。
図15は、粗調整操作における領域A01の表示例であり、粗部分帯域CFB1における調整量の設定を例示する。粗部分帯域CFB1において、初期(図14)の調整量はゼロ(%)、つまり、フィルタの周波数レスポンスはフラット(0dBで増幅・減衰なし)である。ここで、ユーザが、例えば、帯域CFB1の目標特性のライン(この場合は0dB)を平滑化極小特性のグラフG05に近づける方向に(或いは逆方向に)ドラッグすると、調整量更新処理にて、帯域CFB1の調整量が増加(或いは減少)される。そして、帯域CFB1の目標特性と平滑化極小特性との差分をゲイン方向にスケール調整するパラメータとしての1つの調整量を増加(或いは減少)することができる。このドラッグにより表示されたラインCFR1(図15)が、変更された調整量を、つまり、フィルタの周波数レスポンスを示す。
粗部分帯域CFB1において、平滑化極小特性の値は目標特性を上回っている。したがって、平滑化極小特性を目標特性に近づける補正、つまり、平滑化極小特性のピークを低減させる補正では、帯域CFB1のゲインを下げるように、フィルタの周波数レスポンス(粗)が設定される。本操作例では、フィルタの周波数レスポンスの逆特性(上下反転した特性)が表示されており、ラインCFR1を目標特性(フィルタのゲイン0dBに相当)に対し上方に向けて設定するほど、帯域CFB1の音信号の減衰量が増える。
微調整操作では、微部分帯域が、調整量の設定操作の単位である。ユーザは、調整量の設定対象として何れか1つの微部分帯域を指定し、指定された微部分帯域の、平滑化極小特性(G05)と平滑化特性(G04)との差分に対する割合を示す、1つの調整量を調整する。
図16は、粗調整操作に引き続いて行われた場合の、微調整操作における領域A01の表示例であり、微部分帯域FFB12における調整量の設定を例示する。微部分帯域FFB12において、粗調整操作で既に、ラインCFR1で示される調整量が設定されている。ユーザが、例えば、帯域FFB12の設定されたラインCFR1を平滑化特性のグラフG04に近づける方向に(或いは逆方向に)ドラッグすると、帯域FFB12の平滑化極小特性と平滑化特性との差分をゲイン方向にスケール調整するパラメータとしての1つの調整量を増加(或いは減少)することができる。微調整操作について、このドラッグにより表示されたラインFFR12が、変更された調整量を、つまり、フィルタの周波数レスポンスを示す。
微部分帯域FFB12において、平滑化特性の値は平滑化極小特性の値を上回っている。したがって、平滑化特性を平滑化極小特性に近づける補正、つまり、平滑化特性のピークを低減させる補正では、帯域FFB12のゲインを下げるように、フィルタの周波数レスポンス(微)が設定される。本操作例では、フィルタの周波数レスポンスの逆特性が表示されており、ラインFFR12をCFR1(フィルタのゲイン0dBに相当)に対し上方に向けて設定するほど、帯域FFB12の音信号の減衰量が増える。
粗調整操作で設定された各粗部分帯域の調整量に基づく周波数レスポンス(粗)と、微調整操作で設定された各微部分帯域の調整量に基づく周波数レスポンス(微)とを、全ての周波数帯域について合算して、フィルタの全体的な周波数レスポンスが算出される。本操作例では、粗調整操作により、ラインCFR1が平滑化極小特性のグラフG05と一致する位置に設定されると、粗部分帯域CFB1の調整量が100%に設定されて、帯域CFB1では目標特性と平滑化極小特性の差分が100%補正される。その状態で、微調整操作により、ラインFFR12が平滑化特性のグラフG04と一致する位置に設定されると、微部分帯域FFB12の調整量が100%に設定されて、帯域FFB12では平滑化微小特性と平滑化特性の差分が100%補正される。
以上説明したように、第3の動作モードでは、目標特性と、平滑化特性と、平滑化極小特性とを、適宜組み合わせて操作単位としての粗部分帯域と微部分帯域とを抽出し、ユーザに粗部分帯域の調整量と微部分帯域の調整量とを調整させることで、ユーザは、周波数特性の思い通りの補正を容易に行うことができる。なお、第3の動作モードを用いる場合、粗調整操作による調整量の設定、および、微調整操作による調整量の設定は、いずれか一方のみを実施してもよく、両方を実施する場合どちらを先に実施してもよいし、交互に行ってもよいし、あるいは、同じ表示画面でのユーザのドラッグ操作毎に、そのドラッグ操作の開始位置に応じて一方を選択して行うようにしてもよい。
なお、調整量を設定するための表示または操作の態様は、特に制限されない。例えば、調整量の設定操作を容易にするために、目標特性と平滑化極小特性との差分のグラフを表示してもよく、平滑化極小特性と平滑化特性との差分のグラフを表示してもよい。目標特性と平滑化特性との差分のグラフを表示してもよい。また例えば、フィルタの周波数レスポンスとして、順方向(上方向が増幅、下方向が減衰)の特性を表示してもよい。なお、図14に示す例では、目標特性が0dBの平坦な周波数特性であるため、グラフG04は、目標特性と平滑化特性との差分を示すグラフともいえ、グラフG05は、目標特性と平滑化極小特性との差分を示すグラフともいえる。
第2実施形態の周波数特性調整装置1の構成は、第1実施形態の周波数特性調整装置1の構成と同様である。制御部210が、調整支援プログラムにしたがって動作することで、図4のフローチャートに従って、第1の動作モード、第2の動作モードおよび第3の動作モードが実行される。第1の動作モードおよび第2の動作モードにおける処理は、第1実施形態と同様である。第3の動作モードにおける処理は、以下のように実行される。取得処理により、目標特性を示す目標特性データと、平滑化特性を示す平滑化特性データと、平滑化極小特性を示す平滑化極小特性データとが取得される。なお、平滑化極小特性の取得処理は、目標特性データと平滑化特性データの差分をとり、その差分の極小値を平滑化して、平滑化極小データを算出する処理であってもよい。次に、抽出処理により、操作単位となる粗部分帯域と微部分帯域とが抽出される。抽出処理では、周波数帯域が複数の粗部分帯域に分割され、また、周波数帯域が複数の微部分帯域に分割される。設定処理により、粗調整操作のための粗部分帯域と、微調整操作のための微部分帯域とが、調整量の設定操作における操作単位として設定される。表示制御処理により、例えば、目標特性のグラフG02と、平滑化特性のグラフG04と、平滑化極小特性のグラフG05とが表示される。
操作内容に応じた処理(ステップSA180)により、ユーザが1つの粗部分帯域を選択し周波数特性の調整量を設定する操作に応じて、その粗部分帯域に対する調整量の値が変更され、その変更された調整量に応じて、その粗部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンス(粗)が設定される。また、操作内容に応じた処理(ステップSA180)により、ユーザが1つの微部分帯域を選択し周波数特性の調整量を設定する操作に応じて、その微部分帯域に対する調整量の値が変更され、その変更された調整量に応じて、その微部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンス(微)が設定される。
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
本発明の好適な態様(第1態様)に係るフィルタの周波数レスポンス設定方法は、目標スペクトル包絡を示す第1ラインと、測定された周波数スペクトルを平滑化した第1スペクトル包絡を示す第2ラインとの交点の周波数で、対象となる周波数帯域を複数の第1部分帯域に分割するステップ(分割ステップ)と、前記複数の第1部分帯域のうちオペレータにより指定された第1部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップ(設定ステップ)とを具備する。以上の態様では、フィルタの周波数レスポンスを設定するための、調整量の設定操作の単位となる第1部分帯域が、第1ラインと第2ラインの交点の周波数で定められる。このため、第1部分帯域は、ユーザにとって、認識し易い、操作し易い、調整作業をし易いものとなる。
第1態様の好適例(第2態様)において、周波数とゲインの2次元表示領域に、前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップをさらに具備する。以上の態様では、ユーザがフィルタの周波数レスポンスを確認しながらの操作が可能になるので、調整量の設定が容易になる。
第2態様2の好適例(第3態様)において、前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップは、前記表示領域に、さらに、前記第1ラインと前記第2ラインとを表示する。以上の態様では、ユーザが第1ラインと第2ラインを確認しながらの操作が可能になるので、調整量の設定が容易になる。
第2態様2の好適例(第4態様)において、前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップは、前記表示領域に、さらに、前記第1ラインと前記第2ラインとの差分を表示する。以上の態様では、ユーザが第1ラインと第2ラインとの差分を確認しながらの操作が可能になるので、調整量の設定が容易になる。
第3態様の好適例(第5態様)において、前記対象となる周波数帯域は、オペレータにより設定された下限周波数と上限周波数とにより制限されている。以上の態様では、ユーザが所望の周波数帯域に対して調整作業を行うことができる。
第5態様の好適例(第6態様)において、前記第2ラインは、前記下限周波数以下のレンジおよび前記上限周波数以上のレンジの少なくとも一方において、前記第1ラインと滑らかに接続するように加工されている。以上の態様では、下限周波数以下のレンジおよび上限周波数以上のレンジの少なくとも一方を、フィルタによる調整の範囲から除外することができる。また、第2ラインの表示を見たユーザは、その除外態様を容易に把握できる。
第1態様の好適例(第7態様)において、前記フィルタの周波数レスポンスを設定するステップは、前記指定された第1部分帯域における前記第1ラインと前記第2ラインとの差分に対する割合によりオペレータが前記調整量を設定する設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定する。以上の態様では、第1ラインと第2ラインとの差分を低減させる補正を行うための調整量を、中心周波数およびQ値の設定等の煩雑な操作を行うことなく、設定することができる。
第1態様の好適例(第8態様)において、オペレータによる前記第1ラインの変更操作に応じて、当該第1ラインを変更するステップをさらに具備する。以上の態様では、ユーザの指示により第1ラインを変更できる。
第1態様1の好適例(第9態様)において、前記第1ラインは、予め用意された複数種のスペクトル包絡のうちから指定されたスペクトル包絡を示すラインである。以上の態様では、ユーザが所望の目標スペクトル包絡を指定できる。
第1態様の好適例(第10態様)において、前記第2ラインと、前記測定された周波数スペクトルを前記第1スペクトル包絡より低い度合いで平滑化した第2スペクトル包絡を示す第3ラインとの交点の周波数で、前記対象となる周波数帯域を複数の第2部分帯域に分割するステップと、前記複数の第2部分帯域のうちオペレータにより指定された第2部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップとをさらに具備する。以上の態様では、第1部分帯域に対する調整量の設定操作により、第1スペクトル包絡が有する、第2スペクトル包絡と比べて緩やかな凹凸を補正でき、さらに、第2部分帯域に対する調整量の設定操作により、第2スペクトル包絡が有する、第1スペクトル包絡と比べて細かな凹凸を補正できる。
第1態様の好適例(第11態様)において、前記第1ラインは、前記測定された周波数スペクトルを前記第1スペクトル包絡より高い度合いで平滑化した第3スペクトル包絡を示すラインである。以上の態様では、第1部分帯域に対する調整量の設定操作により、第1スペクトル包絡が有する、第3スペクトル包絡と比べて細かな凹凸を補正できる。
第1態様の好適例(第12態様)において、前記第1ラインと前記第2ラインとの差分の谷の周波数で、各第1部分帯域を複数の第2部分帯域に分割するステップと、前記複数の第2部分帯域のうちオペレータにより指定された第2部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップとをさらに具備する。以上の態様では、第2部分帯域と比べて広い第1部分帯域に対する大まかな調整(粗調整)と、第1部分帯域と比べて狭い第2部分帯域に対する細かな調整(微調整)とを、容易に行うことができる。
第1態様の好適例(第13態様)において、前記測定された周波数スペクトルは、放音されてマイクで収音された測定用の音の波形の周波数スペクトルである。以上の態様では、再生系に関し実際に測定された周波数スペクトルを、調整対象とすることができる。
第1態様の好適例(第14態様)において、オペレータによる前記第2ラインの変更操作に応じて、当該第2ラインを変更するステップをさらに具備する。以上の態様では、ユーザの指示により第2ラインを変更できる。
第1態様の好適例(第15態様)において、前記複数の第1部分帯域のうちのある第1部分帯域を挟む2つの交点の少なくとも一方の位置を、オペレータが周波数方向へ移動する交点移動操作に応じて、当該第1部分帯域の幅を変更するステップをさらに具備する。以上の態様では、第1部分帯域の幅を変更できるため、フィルタの周波数レスポンスの設定の自由度が向上する。
本発明の好適な態様(第16態様)に係るフィルタの周波数レスポンス設定装置は、目標スペクトル包絡を示す第1ラインと、測定された周波数スペクトルを平滑化した第1スペクトル包絡を示す第2ラインとの交点の周波数で、対象となる周波数帯域を複数の第1部分帯域に分割する分割部と、前記複数の第1部分帯域のうちオペレータにより指定された第1部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定する設定部とを具備する。
また、本発明の別の態様としては、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータを、上記分割部および上記設定部として機能させるプログラム(或いは、上記分割ステップおよび上記設定ステップを含む方法をコンピュータに実行させるプログラム)を提供する態様が考えられる。例えば、周波数特性調整装置のユーザインタフェース部としてパーソナルコンピュータやタブレット端末等の端末装置を用いる場合、当該端末装置の制御部(CPU)を上記プログラムにしたがって動作させることで、指定した部分帯域についてのみ調整対象となる周波数特性を目標特性に合わせこむための調整を行え、かつ当該調整を直観的でわかりやすい操作で行えるようになる。なお、上記プログラムの具体的な提供態様としては、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)やフラッシュROM(Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布する態様や、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより配布する態様が考えられる。
本発明の好適な態様(第17態様)に係るフィルタの周波数レスポンス設定方法は、目標スペクトル包絡を示す第1ラインと、測定された周波数スペクトルを平滑化した第1スペクトル包絡を示す第2ラインとの交点の周波数で、対象となる周波数帯域を複数の第1部分帯域に分割するステップと、各第1部分帯域を、前記第1ラインと前記第2ラインとの差分の谷の周波数で、複数の第2部分帯域に分割するステップと、前記複数の第1部分帯域のうちオペレータにより指定された第1部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップと、前記複数の第2部分帯域のうちオペレータにより指定された第2部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップとを具備する。以上の態様では、第2部分帯域と比べて広い第1部分帯域に対する大まかな調整(粗調整)と、第1部分帯域と比べて狭い第2部分帯域に対する細かな調整(微調整)とを、容易に行うことができる。
第17態様17の好適例(第18態様)において、周波数とゲインの2次元表示領域に、前記第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンス、および、前記第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを表示するステップをさらに具備する。以上の態様では、ユーザが第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンス、および、第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを確認しながらの操作が可能になるので、調整量の設定が容易になる。
第17態様の好適例(第19態様)において、前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップは、前記表示領域に、さらに、前記第1ラインと前記第2ラインとを表示する。以上の態様では、ユーザが第1ラインと第2ラインを確認しながらの操作が可能になるので、調整量の設定が容易になる。
第17態様の好適例(第20態様)において、前記指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップは、当該指定された第1部分帯域における、前記第1ラインと、前記交点と前記谷とを滑らかに接続した第4ラインとの差分に対する割合によりオペレータが前記調整量を設定する設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定する。以上の態様では、第1ラインと第4ラインとの差分を低減させる補正を行うための調整量を、中心周波数およびQ値の設定等の煩雑な操作を行うことなく、設定することができる。
第17態様の好適例(第21態様)において、前記指定された第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップは、当該指定された第2部分帯域における、前記第2ラインと、前記第4ラインとの差分に対する割合によりオペレータが前記調整量を設定する設定操作に応じて、当該指定された第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定する。以上の態様では、第2ラインと第4ラインとの差分を低減させる補正を行うための調整量を、中心周波数およびQ値の設定等の煩雑な操作を行うことなく、設定することができる。
第17態様の好適例(第22態様)において、オペレータによる前記第1ラインの変更操作に応じて、当該第1ラインを変更するステップをさらに具備する。以上の態様では、ユーザの指示により第1ラインを変更できる。
第17態様の好適例(第23態様)において、オペレータによる前記第2ラインの変更操作に応じて、当該第2ラインを変更するステップをさらに具備する。以上の態様では、ユーザの指示により第2ラインを変更できる。
本発明の好適な態様(第24態様)に係るフィルタの周波数レスポンス設定方法は、目標スペクトル包絡を示す第1ラインと、測定された周波数スペクトルを平滑化した第1スペクトル包絡を示す第2ラインとの交点の周波数、および、前記第1ラインと前記第2ラインとの差分の谷の周波数で、対象となる周波数帯域を複数の部分帯域に分割するステップと、前記複数の部分帯域のうちオペレータにより指定された部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップとを具備する。以上の態様では、フィルタの周波数レスポンスを設定するための、調整量の設定操作の単位となる部分帯域が、第1ラインと第2ラインの交点の周波数、および、第1ラインと第2ラインとの差分の谷の周波数で定められる。このため、部分帯域は、ユーザにとって、認識し易い、操作し易い、調整作業をし易いものとなる。
第24態様の好適例(第25態様)において、周波数とゲインの2次元表示領域に、前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップをさらに具備する。以上の態様では、ユーザがフィルタの周波数レスポンスを確認しながらの操作が可能になるので、調整量の設定が容易になる。
第24態様の好適例(第26態様)において、前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップは、前記表示領域に、さらに、前記第1ラインと前記第2ラインとを表示する。以上の態様では、ユーザが第1ラインと第2ラインを確認しながらの操作が可能になるので、調整量の設定が容易になる。
1…周波数特性調整装置、2…音響空間、3…スピーカ、10…本体部、110…マイク入力端子、120…ソース入力端子、130…スピーカ出力端子、20…リモコン部、210…制御部、220…外部機器I/F部、230…ユーザI/F部、232…操作入力手段、234…表示手段、240…記憶部、242…揮発性記憶部、244…不揮発性記憶部、250…バス。

Claims (16)

  1. 目標スペクトル包絡を示す第1ラインと、測定された周波数スペクトルを平滑化した第1スペクトル包絡を示す第2ラインとの交点の周波数で、対象となる周波数帯域を複数の第1部分帯域に分割するステップと、
    前記複数の第1部分帯域のうちオペレータにより指定された第1部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップと
    を具備するフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  2. 周波数とゲインの2次元表示領域に、前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップ
    をさらに具備する、請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  3. 前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップは、前記表示領域に、さらに、前記第1ラインと前記第2ラインとを表示する
    請求項2に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  4. 前記フィルタの周波数レスポンスを表示するステップは、前記表示領域に、さらに、前記第1ラインと前記第2ラインとの差分を表示する
    請求項2に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  5. 前記対象となる周波数帯域は、オペレータにより設定された下限周波数と上限周波数とにより制限されている
    請求項3に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  6. 前記第2ラインは、前記下限周波数以下のレンジおよび前記上限周波数以上のレンジの少なくとも一方において、前記第1ラインと滑らかに接続するように加工されている
    請求項5に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  7. 前記フィルタの周波数レスポンスを設定するステップは、前記指定された第1部分帯域における前記第1ラインと前記第2ラインとの差分に対する割合によりオペレータが前記調整量を設定する設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定する
    請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  8. オペレータによる前記第1ラインの変更操作に応じて、当該第1ラインを変更するステップ
    をさらに具備する、請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  9. 前記第1ラインは、予め用意された複数種のスペクトル包絡のうちから指定されたスペクトル包絡を示すラインである
    請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  10. 前記第2ラインと、前記測定された周波数スペクトルを前記第1スペクトル包絡より低い度合いで平滑化した第2スペクトル包絡を示す第3ラインとの交点の周波数で、前記対象となる周波数帯域を複数の第2部分帯域に分割するステップと、
    前記複数の第2部分帯域のうちオペレータにより指定された第2部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップと
    をさらに具備する、請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  11. 前記第1ラインは、前記測定された周波数スペクトルを前記第1スペクトル包絡より高い度合いで平滑化した第3スペクトル包絡を示すラインである
    請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  12. 前記第1ラインと前記第2ラインとの差分の谷の周波数で、各第1部分帯域を複数の第2部分帯域に分割するステップと、
    前記複数の第2部分帯域のうちオペレータにより指定された第2部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第2部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定するステップと
    をさらに具備する、請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  13. 前記測定された周波数スペクトルは、放音されてマイクで収音された測定用の音の波形の周波数スペクトルである
    請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  14. オペレータによる前記第2ラインの変更操作に応じて、当該第2ラインを変更するステップ
    をさらに具備する、請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  15. 前記複数の第1部分帯域のうちのある第1部分帯域を挟む2つの交点の少なくとも一方の位置を、オペレータが周波数方向へ移動する交点移動操作に応じて、当該第1部分帯域の幅を変更するステップ
    をさらに具備する、請求項1に記載のフィルタの周波数レスポンス設定方法。
  16. 目標スペクトル包絡を示す第1ラインと、測定された周波数スペクトルを平滑化した第1スペクトル包絡を示す第2ラインとの交点の周波数で、対象となる周波数帯域を複数の第1部分帯域に分割する分割部と、
    前記複数の第1部分帯域のうちオペレータにより指定された第1部分帯域に対する、オペレータによる調整量の設定操作に応じて、当該指定された第1部分帯域に対するフィルタの周波数レスポンスを設定する設定部と
    を具備するフィルタの周波数レスポンス設定装置。
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