JP6665475B2 - 炉温設定方法及び炉温設定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材の熱間圧延に用いられる連続式加熱炉の炉温設定方法及び炉温設定装置に関する。
例えば鋼片等の金属材の熱間圧延では、工程の最上流において、塑性加工である圧延を容易に行うために、加熱炉による金属材の加熱が行われる。例えば、鉄鋼業の分野では、一般的に、加熱炉として、予熱帯、加熱帯、均熱帯等の複数の炉帯(燃焼帯)を有する連続式加熱炉が用いられている。鋼片は、予熱帯入側から装入され、予熱帯、加熱帯及び均熱帯を順に通過することにより加熱され、均熱帯出側から抽出される。
連続式加熱炉における加熱は、それに続く鋼片の圧延において、例えば、表面品質や寸法精度等、製品に要求される特性を実現するための温度を確保するために行われる。従って、連続式加熱炉においては、適切な温度に鋼片を加熱することが非常に重要である。
そこで、一般的に、連続式加熱炉では、抽出の際の鋼片の中心温度又は平均温度(抽出鋼片温度)が予め設定された抽出目標鋼片温度を上回るように、その駆動が制御されている。ここで「中心温度」の「中心」としては、操業管理上の要求に応じて、例えば鋼片の厚み方向の中心、長さ方向の中心、若しくは幅方向の中心、又はこれらの組み合わせ(例えば、厚み方向と幅方向の中心)等が用いられる。抽出目標鋼片温度は、圧延を容易に行う目的の他に、上述した製品に要求される特性等も鑑みて設定される。また、同様に、連続式加熱炉では、抽出の際の鋼片の中心と表面の温度差(抽出均熱度)が予め設定された抽出目標均熱度を満足するように、その駆動が制御されることも多い。
一方、加熱操業においては、ランニングコストのうちのほとんどが燃料のコストによって占められる。そのため、連続式加熱炉には、抽出鋼片温度及び抽出均熱度が抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約をそれぞれ満足しつつ、燃料使用量をできるだけ抑えるような操業が要求される。
近年では、連続式加熱炉の操業についてコンピュータ管理が進んでおり、連続式加熱炉において自動制御により上記のような操業を実現させるための様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、以下の手順に従って、連続式加熱炉における各燃焼帯の最適炉温を求める方法が開示されている。すなわち、特許文献1に記載の技術では、まず、現在の操業状態のまま操業を行った場合と、各燃焼帯の炉温を摂動させて操業を行った場合における、抽出鋼片温度、抽出均熱度及び燃料流量を計算し、その差を炉温摂動量で割ることによって、各燃焼帯の炉温変更量の、抽出鋼片温度、抽出均熱度及び燃料流量に対する影響係数を導出する。次いで、この影響係数と炉温変更量の積の和をとることにより、抽出鋼片温度、抽出均熱度及び燃料流量を線形式で予測する。そして、抽出鋼片温度及び抽出均熱度が抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約をそれぞれ満足しながら、線形式で予測した燃料流量が最小となるような線形計画問題を解くことにより、各燃焼帯の最適炉温を求める。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、抽出目標鋼片温度や抽出目標均熱度に対する各燃焼帯の炉温変更量の影響係数を考える際に、抽出側から遠い比較的前段に位置する燃焼帯については、線形化誤差が非常に大きくなる。従って、特許文献1に記載の方法を用いて決定した各燃焼帯の炉温に従って操業した場合には、例えば予熱帯等の前段側に位置する燃焼帯の炉温が適切でない可能性があり、抽出鋼片温度及び抽出均熱度が目標抽出鋼片温度及び抽出目標均熱度を達成できないことが懸念される。
このことに対する解決案として、各燃焼帯出側又はそれ以外の任意の中間地点において、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定する方法がある。この方法を用いれば、例えば予熱帯における出側目標鋼片温度や出側目標均熱度に対する予熱帯の炉温変更量の影響係数の線形化誤差を小さくすることができる。従って、当該方法によって求められた燃焼帯毎の炉温で操業を行うことにより、各燃焼帯における出側鋼片温度や出側均熱度が当該各燃焼帯に設定された出側目標鋼片温度や出側目標均熱度を満足することができ、最終的な抽出鋼片温度及び抽出均熱度も抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度を達成することができると考えられる。
このような、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定する方法としては、例えば、非特許文献1や特許文献2に記載の方法が知られている。
例えば、非特許文献1には、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の他に、各燃焼帯出側等、任意の中間地点における中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定し、特許文献1と同様の手法によって、各燃焼帯の炉温を変更した際の抽出鋼片温度、抽出均熱度、中間鋼片温度及び中間均熱度の値を線形式で予測し、これらの値が、抽出目標鋼片温度、抽出目標均熱度、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度の制約をそれぞれ満足しながら、各燃焼帯の炉温と重み係数との積の和が最小となるような線形計画問題を解くことにより、各燃焼帯の最適炉温を求める方法が開示されている。
また、特許文献2には、各燃焼帯出側において中間目標鋼片温度を設定し、現状の炉温のまま操業を行った場合の中間鋼片温度と当該中間目標鋼片温度との差、燃焼帯での残り在炉時間、鋼種、鋼片寸法等の条件によって構成される制御ルールを用いたファジィ推論によって、鋼片が存在する燃焼帯における適正炉温を各鋼片に対して求めることにより、最終的な各燃焼帯の最適炉温を求める方法が開示されている。
特開昭59−159939号公報 特開平4−17621号公報
北和昭、外3名、「厚板用スラブ連続式加熱炉の自動燃焼制御モデルの開発」、電気学会研究会資料.MID、金属産業研究会、電気学会、2009年10月2日、2009(14)、p.1−6
しかしながら、非特許文献1や特許文献2に記載の方法では、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定するための手法が、燃料使用量低減の観点から必ずしも適切なものとは言えない。
例えば、非特許文献1には、オペレータの昇温イメージと一致するように中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定すると記載されている。具体的には、例えば、熟練オペレータによる操業時の実績データを所定の期間収集し、中間地点における鋼片温度の当該期間での平均値と中間地点における均熱度の当該期間での平均値を、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度とする等の方法が考えられる。しかしながら、このようにオペレータの経験に基づいて中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定する方法では、設定された中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度が、燃料使用量低減の観点から最適なものであるという保証はない。また、中間鋼片温度及び中間均熱度が、オペレータの経験に基づいて設定された中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度の制約を満足するように操業を行ったとしても、抽出鋼片温度及び抽出均熱度が、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度制約を満足するという理論的裏付けもない。
また、特許文献2には、各燃焼帯出側における目標鋼片温度を設定するための具体的な方法については、何ら記載されていない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、連続式加熱炉において、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度をより適切に設定することにより、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しながら燃料使用量がより抑制された操業を行うことが可能な、新規かつ改良された連続式加熱炉の炉温設定方法及び炉温設定装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、N個(N≧2)の燃焼帯を有する連続式加熱炉における各燃焼帯の炉温を設定する、炉温設定方法であって、計算対象としている鋼片が位置する燃焼帯が燃焼帯[i](N>i≧1)であり、前記鋼片が抽出されるときの抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度が、それぞれ、θaim[N]及びΔθaim[N]として与えられている場合において、燃焼帯[j](N≧j>i)の出側目標鋼片温度θaim[j]及び出側目標均熱度Δθaim[j]に基づいて、前記燃焼帯[j]を設備制約上又は操業制約上の最大の炉温Tfmax[j]で操業すると仮定した場合に前記鋼片の前記燃焼帯[j]の出側鋼片温度θ[j]及び出側均熱度Δθ[j]が前記出側目標鋼片温度θaim[j]及び前記出側均熱度Δθaim[j]となるような、前記鋼片の前記燃焼帯[j]の1つ前段の燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算し、計算した前記出側鋼片温度θ[j−1]及び前記出側均熱度Δθ[j−1]を、前記燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]とする処理を、j=Nからj=i+1まで繰り返し行うことにより、中間目標値である前記燃焼帯[i]以降の各燃焼帯の出側目標鋼片温度θaim[i],・・・,θaim[N−1]及び出側目標均熱度Δθaim[i],・・・,Δθaim[N−1]を計算する中間目標値計算ステップと、計算された前記中間目標値の制約を満足する各燃焼帯の炉温を計算し前記各燃焼帯の炉温を仮の設定炉温として、現在の炉温から前記仮の設定炉温に変更するために必要な追従時間に基づいて前記仮の設定炉温を補正することにより前記鋼片毎の各燃焼帯の最適炉温を計算する最適炉温計算ステップと、各燃焼帯にそれぞれ存在する少なくとも1つの鋼片についての、計算された前記鋼片毎の最適炉温に基づいて、各燃焼帯の炉温を設定する最適炉温編集ステップと、を含む、炉温設定方法が提供される。
また、当該炉温設定方法においては、前記最適炉温計算ステップでは、前記中間目標値の制約を満足する各燃焼帯の炉温をTfopt0[i],・・・,Tfopt0[N]とし、前記鋼片毎の各燃焼帯の最適炉温をTfopt[i],・・・,Tfopt[N]とした場合に、前記最適炉温Tfopt[i]は下記数式(109)によって計算され、前記最適炉温Tfopt[i+1],・・・,Tfopt[N]は、Tfopt[i+1]=Tfopt0[i+1],・・・,Tfopt[N]=Tfopt0[N]として計算されてもよい。
Figure 0006665475
ここで、上記数式(109)において、
ftmp[i]:前記燃焼帯[i]の現状の炉温
:横軸に時間を取り、縦軸に炉温を取った2次元平面において、現在時刻において前記燃焼帯[i]の炉温の設定を現状の炉温Tftmp[i]からTfopt0[i]に変更した場合に、前記燃焼帯[i]の炉温が時間遅れなくTftmp[i]からTfopt0[i]に変更されると仮定した場合における前記燃焼帯[i]の炉温のTftmp[i]との差分の、現在時刻から前記鋼片が前記燃焼帯[i]を出るまでの時間についての積分値
:横軸に時間を取り、縦軸に炉温を取った2次元平面において、現在時刻において前記燃焼帯[i]の炉温の設定を現状の炉温Tftmp[i]からTfopt0[i]に変更した場合に、前記燃焼帯[i]の炉温が追従時間tflw[i]だけ遅れてTftmp[i]からTfopt0[i]に変更されると仮定した場合における前記燃焼帯[i]の炉温のTftmp[i]との差分の、現在時刻から前記鋼片が前記燃焼帯[i]を出るまでの時間についての積分値
である。
また、当該炉温設定方法においては、前記中間目標値計算ステップ及び前記最適炉温計算ステップでは、前記連続式加熱炉内に存在する複数の鋼片のうち、前記燃焼帯毎に、抽出までの残り在炉時間に対する鋼片温度の上昇率が最も大きいネック材についてのみ、前記中間目標値、及び前記各燃焼帯の炉温がそれぞれ計算され、前記最適炉温編集ステップでは、前記ネック材の各々について計算された前記ネック材の各々に対応する前記燃焼帯の炉温が、最終的な各燃焼帯の炉温として設定されてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、N個(N≧2)の燃焼帯を有する連続式加熱炉における各燃焼帯の炉温を設定する、炉温設定装置であって、
計算対象としている鋼片が位置する燃焼帯が燃焼帯[i](N>i≧1)であり、前記鋼片が抽出されるときの抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度が、それぞれ、θaim[N]及びΔθaim[N]として与えられている場合において、燃焼帯[j](N≧j>i)の出側目標鋼片温度θaim[j]及び出側目標均熱度Δθaim[j]に基づいて、前記燃焼帯[j]を設備制約上又は操業制約上の最大の炉温Tfmax[j]で操業すると仮定した場合に前記鋼片の前記燃焼帯[j]の出側鋼片温度θ[j]及び出側均熱度Δθ[j]が前記出側目標鋼片温度θaim[j]及び前記出側目標均熱度Δθaim[j]となるような、前記鋼片の前記燃焼帯[j]の1つ前段の燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算し、計算した前記出側鋼片温度θ[j−1]及び前記出側均熱度Δθ[j−1]を、前記燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]とする処理を、j=Nからj=i+1まで繰り返し行うことにより、中間目標値である前記燃焼帯[i]以降の各燃焼帯の出側目標鋼片温度θaim[i],・・・,θaim[N−1]及び出側目標均熱度Δθaim[i],・・・,Δθaim[N−1]を計算する中間目標値計算部と、計算された前記中間目標値の制約を満足する各燃焼帯の炉温を計算し前記各燃焼帯の炉温を仮の設定炉温として、現在の炉温から前記仮の設定炉温に変更するために必要な追従時間に基づいて前記仮の設定炉温を補正することにより前記鋼片毎の各燃焼帯の最適炉温を計算する最適炉温計算部と、各燃焼帯にそれぞれ存在する少なくとも1つの鋼片についての、計算された前記鋼片毎の最適炉温に基づいて、最終的な各燃焼帯の炉温を設定する最適炉温編集部と、を備える、炉温設定装置が提供される。
以上説明したように本発明によれば、連続式加熱炉において、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しながら燃料使用量がより抑制された操業を行うことが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係るシステムの一構成例を示す図である。 図1に示す鋼片毎最適炉温計算部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。 第1の実施形態に係る炉温設定方法の処理手順の一例を示すフロー図である。 図3に示すステップS105で実行される中間目標値の計算方法の処理手順の一例を示すフロー図である。 図3に示すステップS105で実行される中間目標値の計算方法の具体例における処理手順を示すフロー図である。 燃焼帯[i]の炉温を現在の炉温Tftmp[i]から炉温Tfopt0[i]に変更する場合における、炉温の時間変化を示すグラフ図である。 第2の実施形態に係る最適炉温計算ステップにおける処理手順の一例を示すフロー図である。 第1及び第2の実施形態に係る炉温設定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 数値実験に用いたシステムの構成を示す図である。 1加熱帯における炉温の変化を示すグラフ図である。 2加熱帯における炉温の変化を示すグラフ図である。 均熱帯における炉温の変化を示すグラフ図である。 図10に示す1加熱帯の炉温の平均値と、図11に示す2加熱帯の炉温の平均値とを比較したグラフ図である。 抽出鋼片温度と、抽出目標鋼片温度との関係を示すグラフ図である。 抽出均熱度と、抽出目標均熱度との関係を示すグラフ図である。 実施例及び比較例における燃料使用量を示すグラフ図である。 比較例における、計算対象としている鋼片が存在する燃焼帯における炉温の変化を示すグラフ図である。 実施例(第1の実施形態)における、計算対象としている鋼片が存在する燃焼帯における炉温の変化を示すグラフ図である。 実施例(第2の実施形態)における、計算対象としている鋼片が存在する燃焼帯における炉温の変化を示すグラフ図である。 比較例における、加熱炉内での鋼片温度の変化を示すグラフ図である。 実施例(第1の実施形態)における、加熱炉内での鋼片温度の変化を示すグラフ図である。 実施例(第2の実施形態)における、加熱炉内での鋼片温度の変化を示すグラフ図である。 比較例、実施例(第1の実施形態)及び実施例(第2の実施形態)における加熱操業での必要熱量を示すグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.第1の実施形態)
(1−1.システムの構成)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るシステムの一構成例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るシステムの一構成例を示す図である。
図1を参照すると、第1の実施形態に係るシステム1は、加熱炉10と、炉温設定装置20と、を含む。システム1では、炉温設定装置20によって、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しながら燃料使用量がより抑制されるような、加熱炉10の最適炉温が算出される。そして、炉温設定装置20によって算出された最適炉温に従って加熱炉10の炉温が制御される。
(加熱炉10)
図1では、加熱炉10を炉長方向(紙面左右方向)と平行な断面で切断した断面図を示している。図1を参照すると、加熱炉10は、炉体110と、炉体110内に炉長方向に沿って複数設置されるバーナー120と、炉体110内で鋼片Sを炉長方向に搬送するスキッド130と、炉体110内に炉長方向に沿って複数設置される温度計140と、バーナー120の燃焼量を制御するバーナー制御部150と、から主に構成される。
バーナー120は、炉体110内に炉長方向に沿って複数設置される。バーナー制御部150によって、炉温設定装置20によって算出された最適炉温を実現するような燃料流量の指示値がバーナー120に対して与えられることにより、バーナー120の燃焼量が制御される。なお、図1では、簡単のため、一のバーナー120のみがバーナー制御部150によって制御されているかのように図示しているが、実際には、炉体110内に設置される全てのバーナー120の燃焼量が、バーナー制御部150によって制御され得る。
スキッド130は、炉長方向に延伸するスキッドビームが炉高方向(紙面上下方向)に延伸する複数のスキッドポストによって支持されることにより構成される。スキッド130は、炉幅方向(紙面垂直方向)に複数設置され、炉高方向に上下動しつつ炉長方向に前後動することにより、スキッド130上に載置された鋼片Sを炉長方向に搬送する。
温度計140は、炉体110内に炉長方向に沿って複数設置されており、所定のサンプリング周期で炉温を測定する。温度計140による炉温測定値についての情報は、加熱炉情報の1つとして、炉温設定装置20に提供される。なお、図1では、簡単のため、一の温度計140による炉温測定値のみが加熱炉情報として炉温設定装置20に提供されているかのように図示しているが、実際には、炉体110内に設置される全ての温度計140による炉温測定値が、加熱炉情報として炉温設定装置20に提供され得る。
なお、図示は省略するが、炉体110には、温度計140以外にも、炉内の各種の状態(例えば炉内圧力等)を測定するための各種の測定器が設けられ得る。これらの測定器による測定値も、加熱炉情報の1つとして炉温設定装置20に提供され得る。
加熱炉10では、バーナー制御部150によってバーナー120が所定の燃焼量で炊かれた状態で、スキッド130によって炉体110内を鋼片Sが炉長方向に搬送されることにより、鋼片Sが加熱される。鋼片Sは、炉幅方向が長手方向となるように、炉体110の炉長方向における一側(装入側)端部の炉壁に設けられた装入口から炉体110内に装入される。そして、鋼片Sは、スキッド130により搬送され、炉体110の炉長方向における他側(抽出側)端部の炉壁に設けられた抽出口から抽出される。
図示するように、加熱炉10には、複数の鋼片Sが順次装入され得る。炉体110の内部は、炉長方向に複数の区画(燃焼帯)に分割されている。図示する例では、加熱炉10は、燃焼帯として、予熱帯、1加熱帯、2加熱帯及び均熱帯を有する。鋼片Sが予熱帯、1加熱帯、2加熱帯及び均熱帯を順に通過することにより、所望の鋼片温度及び所望の均熱度になるように、鋼片Sが加熱されることとなる。
図示は省略するが、加熱炉10には、加熱炉10の動作を制御することにより鋼片Sの加熱状態を制御する制御装置が更に設けられる。上述したバーナー制御部150は、当該制御装置に含まれる一機能であり得る。当該制御装置は、例えばバーナー120、スキッド130等の加熱炉10の各構成の動作を制御することにより、炉温、鋼片Sの搬送速度、炉内圧力、炉内空気量等、加熱炉10の状態を制御し、鋼片Sを加熱する。なお、当該制御装置の機能は、一般的な連続式加熱炉の制御装置が有する機能と同様であってよいため、ここではその詳細な説明は省略する。
なお、図1に示す加熱炉10の構成はあくまで一例であり、第1の実施形態では、加熱炉10のハードウェア構成は限定されず、制御対象である加熱炉は、少なくとも2つの燃焼帯(予熱帯と、1又は複数の加熱帯との少なくともいずれか一方、及び均熱帯)を有する加熱炉であればよく、あらゆる種類の加熱炉であってよい。例えば、図示する例では、2つの加熱帯を有する加熱炉10が用いられているが、制御対象である加熱炉は、1つの加熱帯のみを有する加熱炉であってもよい。また、図示する例では、加熱炉10は、搬送装置としてスキッド130が適用された、いわゆるウォーキングビーム方式の加熱炉であるが、制御対象である加熱炉は、他の搬送装置が適用された加熱炉であってもよい。なお、第1の実施形態において制御対象となり得る加熱炉10の構成の他の例としては、例えば「日本工業炉協会、「新版工業炉ハンドブック」、第II編2.3節」に記載されている各種の加熱炉の構成を挙げることができる。
(炉温設定装置20)
炉温設定装置20は、その機能として、鋼片温度計算部210と、鋼片毎最適炉温計算部220と、最適炉温編集部230と、を有する。炉温設定装置20を構成するプロセッサが、所定のプログラムに従って動作することにより、これらの炉温設定装置20の各機能が実現される。炉温設定装置20では、鋼片温度計算部210、鋼片毎最適炉温計算部220及び最適炉温編集部230が、所定の周期(例えば3〜5(min))で、各機能に割り当てられた計算処理を繰り返し実行することにより、最適炉温が当該周期で繰り返し計算される。
(鋼片温度計算部210)
鋼片温度計算部210は、鋼片情報及び加熱炉情報に基づいて、計算対象としている一の鋼片Sの現在の鋼片温度を計算する。ここで、鋼片情報とは、抽出目標鋼片温度、抽出目標均熱度、各鋼片Sの炉内位置等の、鋼片Sに関する情報である。その他にも、鋼片情報には、各鋼片Sの寸法、各鋼片Sの鋼種等、一般的に連続式加熱炉の操業に必要な鋼片Sについての各種の情報が含まれ得る。
また、加熱炉情報とは、現在の炉温、各バーナー120に提供されている現在の燃料流量(すなわち、各バーナー120の現在の燃焼量)等の、加熱炉10に関する情報である。その他にも、加熱炉情報には、炉内圧力、炉内空気量等、一般的に連続式加熱炉の操業に必要な加熱炉についての各種の情報が含まれ得る。
鋼片情報及び加熱炉情報は、加熱炉10の制御に用いられ得るものであるため、例えば上述した加熱炉10の制御装置に記憶されており、当該制御装置から鋼片温度計算部210及び鋼片毎最適炉温計算部220に提供される。あるいは、鋼片情報及び加熱炉情報のうち、実際に測定されることにより得られるもの(例えば、炉温、炉内圧力等)については、例えば加熱炉10に設けられる各測定器(温度計140、圧力計等)によって測定された値が、当該測定器から鋼片温度計算部210及び鋼片毎最適炉温計算部220に直接提供されてもよい。なお、図1では、代表的に、温度計140による炉温測定値が加熱炉情報として鋼片温度計算部210及び鋼片毎最適炉温計算部220に提供される様子を模擬的に図示しているが、上記のように、加熱炉情報には、炉温以外にも加熱炉に関する各種の情報が含まれ得る。
具体的には、鋼片温度計算部210は、前回ステップで自身が計算した計算対象としている鋼片Sの鋼片温度、温度計140によって測定された現在の炉温、及び計算対象としている鋼片Sの現在の炉内位置等に基づいて、計算対象としている鋼片Sの現在の鋼片温度を計算することができる。ここで、鋼片Sの鋼片温度及び現在の炉内位置についての情報は、鋼片情報に含まれるものである。また、炉温についての情報は、加熱炉情報に含まれるものである。なお、鋼片温度計算部210による鋼片温度の計算方法は限定されず、当該計算方法としては、差分法や陰解法による伝熱計算や、近似計算等、鋼片温度の計算法として一般的に用いられている各種の方法が適用可能であるため、ここでは鋼片温度計算部210による鋼片温度の具体的な計算方法についての説明は省略する。
鋼片温度計算部210は、炉内に存在する各鋼片Sについて鋼片温度を計算する。そして、鋼片温度計算部210は、計算した各鋼片Sの鋼片温度についての情報を、その他の鋼片情報とともに、鋼片毎最適炉温計算部220に提供する。
(鋼片毎最適炉温計算部220)
鋼片毎最適炉温計算部220は、鋼片情報及び加熱炉情報に基づいて、計算対象としている一の鋼片Sについての各燃焼帯の最適炉温を計算する。ここで、鋼片Sについての各燃焼帯の最適炉温とは、当該鋼片Sの抽出鋼片温度及び抽出均熱度が抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しつつ、当該鋼片Sが炉内現在位置から抽出口に至るまでの燃料使用量がより抑えられるような、各燃焼帯の炉温のことである。なお、鋼片毎最適炉温計算部220の機能については、下記(1−2.鋼片毎最適炉温計算部220の機能構成)で改めて詳述する。
鋼片毎最適炉温計算部220は、炉内に存在する各鋼片Sについて各燃焼帯の最適炉温を計算する。そして、鋼片毎最適炉温計算部220は、計算した各鋼片Sについての各燃焼帯の最適炉温に関する情報を、最適炉温編集部230に提供する。
(最適炉温編集部230)
最適炉温編集部230は、鋼片毎最適炉温計算部220によって計算された各鋼片Sについての各燃焼帯の最適炉温を編集し、最終的な各燃焼帯の最適炉温を設定する。最適炉温編集部230による最終的な各燃焼帯の最適炉温の設定方法は限定されず、当該設定方法としては、一般的に用いられている各種の方法が用いられてよい。例えば、最適炉温編集部230は、各燃焼帯に存在する各鋼片Sについての当該燃焼帯の最適炉温の最大値や平均値を、最終的な各燃焼帯の最適炉温とすることができる。また、例えば、最適炉温編集部230は、各燃焼帯の最も抽出側に近い場所に位置する鋼片Sについての当該燃焼帯の最適炉温を、それぞれ、最終的な各燃焼帯の最適炉温とすることができる。
以上、図1を参照して、第1の実施形態に係るシステム1の一構成例について説明した。なお、以上説明した実施形態では、鋼片温度計算部210及び鋼片毎最適炉温計算部220が、炉内に存在する各鋼片Sについて、鋼片温度及び各燃焼帯の最適炉温を計算し、最適炉温編集部230が、各鋼片Sについての各燃焼帯の最適炉温を編集することにより、最終的な各燃焼帯の最適炉温を計算する場合について説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。例えば、炉内に存在する複数の鋼片Sの中から、現状、抽出鋼片温度及び抽出均熱度が抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を最も満足し難いと考えられるネック材を燃焼帯毎に選定し、各ネック材についてのみ、鋼片温度計算部210及び鋼片毎最適炉温計算部220が、鋼片温度及び各燃焼帯の最適炉温を計算してもよい。この場合には、最適炉温編集部230は、各ネック材について計算された各ネック材に対応する燃焼帯の最適炉温を、最終的な各燃焼帯の最適炉温として設定することができる。
ネック材の選定方法としては、一般的に想定され得る各種の方法を用いることができる。一例として、各鋼片について、((抽出目標鋼片温度)−(現在の鋼片温度))/(抽出までの残り在炉時間)を計算し、当該値が最も大きい鋼片Sをネック材とみなしてもよい。当該値は、抽出までの残り在炉時間に対する鋼片温度の上昇率を表すものであるため、当該値が大きいほど、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足し難いと考えられるからである。
ここで、図1に示す構成は、あくまで第1の実施形態に係るシステム1の一例であり、システム1の具体的な構成はかかる例に限定されない。例えば、システム1には、鋼片情報及び加熱炉情報等の炉温設定装置20が用いる各種の情報を記憶する記憶装置が設けられてもよい。この場合、鋼片温度計算部210及び鋼片毎最適炉温計算部220は、当該記憶装置にアクセスすることにより、鋼片情報及び加熱炉情報を取得することができる。
また、炉温設定装置20が備える各機能は、1台の装置においてその全てが実行されなくてもよく、複数の装置の協働によって実行されてもよい。例えば、鋼片温度計算部210、鋼片毎最適炉温計算部220及び最適炉温編集部230のうちのいずれかの機能のみを有する一の装置が、他の機能を有する他の装置と通信可能に接続されることにより、図示する炉温設定装置20と同等の機能が実現されてもよい。その他、システム1は、一般的に想定され得るあらゆる構成を取ることができる。
また、図1に示す炉温設定装置20の各機能、特に後述する図2に示す鋼片毎最適炉温計算部220の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等の処理装置に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又はフラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
(1−2.鋼片毎最適炉温計算部220の機能構成)
(1−2−1.全体構成)
図2を参照して、鋼片毎最適炉温計算部220の機能について詳細に説明する。図2は、図1に示す鋼片毎最適炉温計算部220の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2を参照すると、鋼片毎最適炉温計算部220は、その機能として、データ取得部221と、中間目標値計算部222と、燃焼帯毎最適炉温計算部223と、最適炉温出力部224と、を有する。
データ取得部221は、中間目標値計算部222が各燃焼帯の出側目標鋼片温度(中間目標鋼片温度)及び各燃焼帯の出側目標均熱度(中間目標均熱度)を計算する際に用いる鋼片情報及び加熱炉情報を取得する。なお、以下の説明では、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を、中間目標値と総称することとする。データ取得部221は、鋼片温度計算部210から、現在の鋼片温度についての情報を含む鋼片情報を取得する。また、データ取得部221は、加熱炉10の制御装置や加熱炉に設置されている温度計140等の測定器から、現在の炉温についての情報を含む加熱炉情報を取得する。データ取得部221は、取得した鋼片情報及び加熱炉情報を、中間目標値計算部222に提供する。
中間目標値計算部222は、鋼片情報及び加熱炉情報に基づいて、計算対象としている一の鋼片Sについての中間目標値(すなわち、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)を計算する。中間目標値計算部222は、計算対象としている鋼片Sの抽出鋼片温度及び抽出均熱度が抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しつつ、当該鋼片Sが炉内現在位置から抽出口に至るまでの燃料使用量がより抑えられるような、中間目標値を計算する。中間目標値計算部222は、計算した中間目標値についての情報を、燃焼帯毎最適炉温計算部223に提供する。なお、中間目標値計算部222による中間目標値の計算方法については、下記(1−2−2.中間目標値の計算方法)で改めて詳述する。
燃焼帯毎最適炉温計算部223は、中間目標値計算部222によって計算された中間目標値(中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)に基づいて、各燃焼帯の炉温を計算する。具体的には、燃焼帯毎最適炉温計算部223は、計算対象としている一の鋼片Sの各燃焼帯の出側鋼片温度及び出側均熱度が、中間目標値計算部222によって計算された中間目標値(中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)の制約を満足するような、各燃焼帯の炉温を計算する。燃焼帯毎最適炉温計算部223による各燃焼帯の炉温の計算方法は限定されず、第1の実施形態では、当該計算方法としては、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度が与えられている場合における各燃焼帯の炉温の計算方法として一般的に用いられている各種の方法が用いられてよい。例えば、燃焼帯毎最適炉温計算部223は、上記非特許文献1や上記特許文献2に記載の方法を用いて、各燃焼帯の炉温を計算することができる。燃焼帯毎最適炉温計算部223は、計算した各燃焼帯の炉温についての情報を、最適炉温出力部224に提供する。
上記のように、中間目標値計算部222によって、計算対象としている鋼片Sの抽出鋼片温度及び抽出均熱度が抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しつつ、当該鋼片Sが炉内現在位置から抽出口に至るまでの燃料使用量がより抑えられるような、中間目標値が計算されている。従って、燃焼帯毎最適炉温計算部223によって当該中間目標値の制約を満足するように求められた各燃焼帯の炉温が、各燃焼帯の最適炉温に対応するものとなり得る。
最適炉温出力部224は、燃焼帯毎最適炉温計算部223による計算の結果得られた各燃焼帯の炉温についての情報を、鋼片S毎の各燃焼帯の最適炉温として、図1に示す最適炉温編集部230に出力する。
鋼片毎最適炉温計算部220、すなわち、データ取得部221、中間目標値計算部222、燃焼帯毎最適炉温計算部223及び最適炉温出力部224は、炉内に存在する各鋼片Sに対して以上説明した各処理をそれぞれ実行し、鋼片S毎の各燃焼帯の最適炉温についての情報を、最適炉温編集部230に出力する。ただし、上述したように、ネック材についてのみ各燃焼帯の最適炉温を求める場合には、データ取得部221、中間目標値計算部222、燃焼帯毎最適炉温計算部223及び最適炉温出力部224は、当該ネック材についてのみ、以上説明した各処理をそれぞれ実行すればよい。
(1−2−2.中間目標値の計算方法)
図2に示す中間目標値計算部222における中間目標値の計算方法について詳細に説明する。なお、以下の説明において、θは鋼片温度、Δθは均熱度、Tは炉温、角括弧[]内の数字は燃焼帯(1:予熱帯、…、N:均熱帯、i:計算対象である鋼片Sの存在する燃焼帯(N>i≧1))を表すものとする。
第1の実施形態では、中間目標値計算部222は、以下の(ルール)に示す手順をj=Nからj=i+1まで繰り返すことにより、計算対象である鋼片Sについて、当該鋼片Sが現在位置する燃焼帯[i]以降の各燃焼帯での出側目標鋼片温度θaim[i],・・・,θaim[N−1]及び出側目標均熱度Δθaim[i],・・・,Δθaim[N−1]を求める。なお、出側目標鋼片温度θaim[N]及び出側目標均熱度Δθaim[N]は、それぞれ、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度であり、鋼片情報として与えられている。
(ルール)
燃焼帯[j](N≧j>i)の出側目標鋼片温度θaim[j]及び出側目標均熱度Δθaim[j]に基づいて、燃焼帯[j]を設備制約上又は操業制約上の最大の炉温Tfmax[j]で操業すると仮定した場合に鋼片Sの燃焼帯[j]の出側鋼片温度θ[j]及び出側均熱度Δθ[j]が上記θaim[j]及び上記Δθaim[j]となるような、当該鋼片Sの1つ前段の燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算し、これらの値を、1つ前段の燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]とする。
鋼片Sの燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算するための具体的な方法は限定されず、各種の方法が用いられてよい。第1の実施形態では、例えば、下記(1−2−3.中間目標値の計算方法の具体例)で説明するような、炉温の変更量が鋼片温度及び均熱度に対して与える影響係数を線形式によって表し、当該影響係数を用いて燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算する方法が好適に用いられ得る。ただし、第1の実施形態はかかる例に限定されず、例えば、炉温の変更量が鋼片温度及び均熱度に対して与える影響係数が、各種の非線形な理論モデルを用いて解析的に求められ、当該影響係数を用いて燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]が計算されてもよい。あるいは、例えば、有限要素法を用いた伝熱計算(伝熱シミュレーション)を行うことにより、燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]が計算されてもよい。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、均熱帯[N]を最大炉温で操業すると仮定して、その1つ前段の燃焼帯[N−1]における出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度が計算される。更に、均熱帯[N]の1つ前段の燃焼帯[N−1]を最大炉温で操業すると仮定してその更に1つ前の燃焼帯[N−2]における出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度が計算される。上記の計算が繰り返されることにより、計算対象としている鋼片Sが現在位置する燃焼帯[i]までの各燃焼帯における出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度が計算される。そして、図2に示す燃焼帯毎最適炉温計算部223によって、このようにして計算された各燃焼帯における出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度の制約を満足するような各燃焼帯の炉温が、最適炉温として計算される。
ここで、上述したように、例えば特許文献1に例示されるような、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度のみを考慮して各燃焼帯の炉温を求める方法では、予熱帯等、均熱帯よりも前段の燃焼帯については、適切な炉温設定ができない可能性がある。これを解決するために、例えば非特許文献1や特許文献2のように、中間地点(例えば各燃焼帯の出側)において中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定し、これら中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を用いて各燃焼帯の炉温を求める方法が提案されているが、これらの方法では、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定するための方法論が十分に確立されているとは言えない。
これに対して、第1の実施形態では、中間目標値計算部222によって、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度として、各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度を、より適切に設定することが可能になる。これは、一般的に、連続式加熱炉の操業では、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度を達成するために必要な炉温を確保する際に、予熱帯等の前段の燃焼帯の炉温を比較的低くし、均熱帯等の後段の燃焼帯の炉温を比較的高くする、いわゆる前段低負荷後段高負荷型の操業を行った方が、燃料原単位が良好となることが知られているからである(例えば、特開2007−308777号公報や、特開2006−274421号公報を参照)。上述したように、第1の実施形態によれば、均熱帯から順に遡りながら、各燃焼帯を最大炉温で操業すると仮定して、各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度が計算されるため、当該出側目標鋼片温度及び当該出側目標均熱度に基づいて設定される炉温に従って操業を行うことにより、抽出側(すなわち均熱帯出側)に向かうほど炉温が高くなるような、前段低負荷後段高負荷型の操業が実現される。つまり、第1の実施形態によれば、燃料原単位をより良好とするような中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度を設定することが可能になるのである。
また、第1の実施形態では、抽出目標鋼片温度、抽出目標均熱度、及び、設備制約上又は操業制約上の最大の炉温(すなわち、現実的に実現可能な、考えられ得る最大の炉温)に基づいて、各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度を算出しているため、抽出時における鋼片Sの鋼片温度及び均熱度が抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足することを数値的に保証することができる。
このように、第1の実施形態によれば、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しつつ燃料使用量をより抑制するように中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度が設定される。そして、これら中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度に基づいて最終的な各燃焼帯の炉温が設定される。従って、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しつつ燃料使用量をより抑制するように、各燃焼帯の炉温を設定することが可能になる。
(1−2−3.中間目標値の計算方法の具体例)
上述した中間目標値計算部222による中間目標値の計算方法の一具体例として、炉温の変更量が鋼片温度及び均熱度に対して与える影響係数を線形式によって表し、当該影響係数を用いて燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算する方法について詳細に説明する。
当該方法では、中間目標値計算部222は、まず、鋼片Sが存在する燃焼帯[i]を現状の炉温Tftmp[i]で操業し、燃焼帯[i+1]以降の燃焼帯を設備制約上又は操業制約上の最大の炉温Tfmax[i+1],・・・,Tfmax[N]で操業すると仮定した場合における、各燃焼帯の出側予測鋼片温度θ’[i],・・・,θ’[N]及び出側予測均熱度Δθ’[i],・・・,Δθ’[N]を計算する。例えば、中間目標値計算部222は、加熱炉情報から得られるTftmp[i],Tfmax[i+1],・・・,Tfmax[N]と、鋼片温度計算部210によって計算された現在の鋼片温度θ[i]と、を用いて、伝熱計算を行うことにより、出側予測鋼片温度θ’[i],・・・,θ’[N]及び出側予測均熱度Δθ’[i],・・・,Δθ’[N]を計算することができる。
次に、中間目標値計算部222は、燃焼帯[k](N≧k>i)の炉温のみを上述したTfmax[k]からΔT[k]だけ摂動させ、その他の燃焼帯の炉温は上述したTftmp[i],Tfmax[i+1],・・・,Tfmax[N]のままで操業すると仮定した場合における、燃焼帯[k]の出側予測鋼片温度θ’[k]及び出側予測均熱度Δθ’[k]を、例えば同様の伝熱計算によって計算する。
次に、中間目標値計算部222は、燃焼帯[k]における、炉温変更量の鋼片温度及び均熱度に対する影響係数α、βを、下記数式(1)、(2)に従って求める。なお、炉温Tfmax[i+1],・・・,Tfmax[N]が設備制約上又は操業制約上の最大炉温であるため、与える摂動ΔT[k]は基本的には負方向の値であるが、摂動ΔT[k]の値が微小であるため、影響係数α、βは、摂動の正負方向には依存しない値となる。
Figure 0006665475
中間目標値計算部222は、以上の計算をk=i+1,・・・,Nまで繰り返し行い、α[i+1],・・・,α[N]、β[i+1],・・・,β[N]を求める。
そして、中間目標値計算部222は、計算した影響係数α、βを用いて、上記(ルール)で説明した燃焼帯[j−1]における出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を、下記数式(3)、(4)に従って求め、これらの値を、燃焼帯[j−1]における出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]とする。
Figure 0006665475
以上、中間目標値計算部222による中間目標値の計算方法の一例について説明した。
(1−3.炉温設定方法)
(1−3−1.全体処理)
図3を参照して、第1の実施形態に係る炉温設定方法の処理手順について説明する。図3は、第1の実施形態に係る炉温設定方法の処理手順の一例を示すフロー図である。なお、図3に示す各処理は、図1に示す炉温設定装置20によって実行される各処理に対応している。
図3を参照すると、第1の実施形態に係る炉温設定方法では、まず、鋼片情報及び加熱炉情報に基づいて、計算対象としている一の鋼片Sの現在の鋼片温度が計算される(ステップS101:鋼片温度計算ステップ)。具体的には、例えば、前回ステップで自身が計算した計算対象としている鋼片Sの鋼片温度、温度計140によって測定された現在の炉温、及び計算対象としている鋼片Sの現在の炉内位置等に基づいて、伝熱計算等を用いて、計算対象としている鋼片Sの現在の鋼片温度が計算され得る。ただし、ステップS101において鋼片温度を計算するための方法はかかる例に限定されず、ステップS101では、一般的に鋼片温度の計算に用いられ得る各種の方法が用いられてよい。なお、ステップS101に示す処理は、図1に示す鋼片温度計算部210によって実行される処理に対応している。
以下のステップS103〜ステップS109に示す処理は、図1に示す鋼片毎最適炉温計算部220によって実行される処理に対応している。
ステップS101で鋼片Sの鋼片温度が計算されると、次に、計算された鋼片Sの鋼片温度を含む鋼片情報、及び加熱炉情報が取得される(ステップS103:データ取得ステップ)。なお、ステップS103に示す処理は、図2に示すデータ取得部221によって実行される処理に対応している。
次に、鋼片情報及び加熱炉情報に基づいて、計算対象としている一の鋼片Sについての中間目標値(すなわち、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)が計算される(ステップS105:中間目標値計算ステップ)。ステップS105に示す処理では、計算対象としている鋼片Sの抽出鋼片温度及び抽出均熱度が抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足しつつ、当該鋼片Sが炉内現在位置から抽出口に至るまでの燃料使用量がより抑えられるような、中間目標値が計算される。なお、ステップS105で実行される中間目標値の計算方法の詳細については、下記(1−3−2.中間目標値の計算方法)において改めて説明する。なお、ステップS105に示す処理は、図2に示す中間目標値計算部222によって実行される処理に対応している。
次に、ステップS105で計算された中間目標値(中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)に基づいて、各燃焼帯の最適炉温が計算される(ステップS107:最適炉温計算ステップ)。具体的には、ステップS107では、計算対象としている一の鋼片Sの各燃焼帯の出側鋼片温度及び出側均熱度がステップS105で計算された中間目標値(中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)の制約を満足するような各燃焼帯の炉温が、各燃焼帯の最適炉温として計算される。例えば、ステップS107では、上記非特許文献1や上記特許文献2に記載の方法を用いて各燃焼帯の炉温が計算される。鋼片Sの中間鋼片温度及び中間均熱度が、ステップS105で計算された中間目標値の制約を満足することにより、結果的に、鋼片Sの抽出鋼片温度及び抽出均熱度が、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度の制約を満足することになる。なお、ステップS107に示す処理は、図2に示す燃焼帯毎最適炉温計算部223によって実行される処理に対応している。
次に、ステップS107で計算された各鋼片Sについての各燃焼帯の最適炉温に関する情報が出力される(ステップS109:最適炉温出力ステップ)。なお、ステップS109に示す処理は、図2に示す最適炉温出力部224によって実行される処理に対応している。
第1の実施形態に係る炉温設定方法では、以上説明したステップS103〜ステップS109に示す処理が、炉内に存在する全ての鋼片Sに対して計算される。
各鋼片Sについて各燃焼帯の最適炉温が計算されると、次に、鋼片S毎の各燃焼帯の最適炉温が編集され、最終的な各燃焼帯の最適炉温が設定される(ステップS111:最適炉温編集ステップ)。例えば、ステップS111では、各燃焼帯に存在する各鋼片Sについての当該燃焼帯の最適炉温の最大値又は平均値が、最終的な各燃焼帯の最適炉温とされ得る。ただし、ステップS111において最終的な各燃焼帯の最適炉温を求める方法はかかる例に限定されず、ステップS111では、一般的に用いられ得る各種の方法が用いられてよい。例えば、各燃焼帯の最も抽出側に近い場所に位置する鋼片Sについての当該燃焼帯の最適炉温が、それぞれ、最終的な各燃焼帯の最適炉温とされてもよい。なお、ステップS111に示す処理は、図1に示す最適炉温編集部230によって実行される処理に対応している。
以上、図3を参照して、第1の実施形態に係る最適炉温設定方法の処理手順について説明した。なお、燃焼帯毎に鋼片Sの中からネック材が選定され、当該ネック材についてのみ各燃焼帯の最適炉温が計算される場合には、ステップS103〜ステップS109に示す処理は、当該ネック材についてのみ行われてよい。この場合には、ステップS111に示す処理では、各ネック材について計算された各ネック材に対応する燃焼帯の最適炉温が、最終的な各燃焼帯の最適炉温とされ得る。
(1−3−2.中間目標値の計算方法)
図4を参照して、図3に示すステップS105で実行される中間目標値の計算方法について詳細に説明する。図4は、図3に示すステップS105で実行される中間目標値の計算方法の処理手順の一例を示すフロー図である。
図4を参照すると、第1の実施形態に係る中間目標値の計算方法では、まず、j=N(N≧j>i)とし、燃焼帯[j]の出側目標鋼片温度θaim[j]及び出側目標均熱度Δθaim[j]として、抽出目標鋼片温度θaim[N]及び抽出目標均熱度Δθaim[N]がセットされる(ステップS201)。
次に、燃焼帯[j]を設備制約上又は操業制約上の最大炉温Tfmax[j]で操業すると仮定して、鋼片Sの燃焼帯[j]の出側鋼片温度θ[j]及び出側均熱度Δθ[j]が上記θaim[j]及び上記Δθaim[j]となるような、当該鋼片Sの1つ前段の燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]が計算され、これらの値が、燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]とされる(ステップS203)。
なお、ステップS203において、鋼片Sの燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算するための具体的な方法は限定されず、各種の方法が用いられてよい。第1の実施形態では、例えば、下記(1−3−3.中間目標値の計算方法の具体例)で説明するような、炉温の変更量が鋼片温度及び均熱度に対して与える影響係数を線形式によって表し、当該影響係数を用いて燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算する方法が好適に用いられ得る。ただし、第1の実施形態はかかる例に限定されず、例えば、炉温の変更量が鋼片温度及び均熱度に対して与える影響係数が、各種の非線形な理論モデルを用いて解析的に求められ、当該影響係数を用いて燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]が計算されてもよい。あるいは、例えば、有限要素法を用いた伝熱計算を行うことにより、燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]が計算されてもよい。
ステップS203で燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]が求められると、次に、j=i+1であるかどうか、すなわち、求められた出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]が、計算対象としている鋼片Sが現在位置している燃焼帯[i]についてのものであるかどうかが判断される(ステップS205)。
j=i+1でない場合には、均熱帯[N]から順に遡って計算していった結果、計算対象としている鋼片Sが現在位置している燃焼帯[i]の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度まで、まだ計算が行われていないことを意味する。従って、ステップS205でj=i+1でないと判断された場合には、jをデクリメントし(ステップS207)、ステップS203に戻る。そして、更に1つ前の燃焼帯に対して、同様に、出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度が求められる。
j=i+1である場合には、均熱帯[N]から順に遡って計算していった結果、計算対象としている鋼片Sが現在位置している燃焼帯[i]の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度まで計算が行われたことを意味する。従って、ステップS205でj=i+1であると判断された場合には、計算結果である燃焼帯[i]から均熱帯の1つ前段の燃焼帯[N−1]までの各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度(θaim[i],・・・,θaim[N−1],Δθaim[i],・・・,Δθaim[N−1])を出力し(ステップS209)、一連の計算を終了する。
第1の実施形態では、以上説明した図4に示す一連の処理が、炉内に存在する全ての鋼片Sに対して実行され、鋼片S毎の各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度が出力されることとなる。ただし、上述したように、ネック材についてのみ各燃焼帯の最適炉温を計算する場合には、当該ネック材についてのみ、以上説明した図4に示す一連の処理が行われてもよい。
以上、図4を参照して、第1の実施形態に係る中間目標値の計算方法の処理手順について説明した。なお、図4に示す処理手順は、上記(1−2−2.中間目標値の計算方法)で説明した計算方法を、具体的な処理手順として表現したものに対応している。
(1−3−3.中間目標値の計算方法の具体例)
上述した図3に示すステップS105における中間目標値の計算方法の一具体例として、図5を参照して、炉温の変更量が鋼片温度及び均熱度に対して与える影響係数を線形式によって表し、当該影響係数を用いて燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算する方法について詳細に説明する。図5は、図3に示すステップS105で実行される中間目標値の計算方法の具体例における処理手順を示すフロー図である。
図5を参照すると、本具体例に係る中間目標値の計算方法では、まず、ステップS301〜ステップS304において、炉温の変更量が鋼片温度及び均熱度に対して与える影響係数α、βが算出される。
具体的には、まず、鋼片Sが存在する燃焼帯[i]を現在の炉温Tftmp[i]で操業し、燃焼帯[i+1]以降の燃焼帯を設備制約上又は操業制約上の最大の炉温Tfmax[i+1],・・・,Tfmax[N]で操業すると仮定した場合における、各燃焼帯の出側予測鋼片温度θ’[i],・・・,θ’[N]及び出側予測均熱度Δθ’[i],・・・,Δθ’[N]が計算される(ステップS301)。例えば、Tftmp[i],Tfmax[i+1],・・・,Tfmax[N]は、加熱炉情報として取得され得る。また、図3に示すステップS101における処理によって、現在の鋼片温度θ[i]が算出されている。従って、ステップS301では、これらの値を用いて、伝熱計算を行うことにより、出側予測鋼片温度θ’[i],・・・,θ’[N]及び出側予測均熱度Δθ’[i],・・・,Δθ’[N]を計算することができる。
次に、k=i+1(N≧k>i)をセットする(ステップS302)。そして、燃焼帯[k]の炉温のみを上述したTfmax[k]からΔT[k]だけ摂動させた値で操業すると仮定した場合における、燃焼帯[k]の出側予測鋼片温度θ’[k]及び出側予測均熱度Δθ’[k]が、例えばステップS301と同様の伝熱計算によって計算される(ステップS303)。
次に、計算された出側予測鋼片温度θ’[k],θ’[k]、及び出側予測均熱度Δθ’[k],Δθ’[k]を用いて、上記数式(1)、(2)から、燃焼帯[k]における、炉温変更量の鋼片温度及び均熱度に対する影響係数α、βが計算される(ステップS304)。
次に、k=Nであるかどうかが判断され(ステップS305)、k=Nでなかった場合にはkをインクリメントして(ステップS306)、ステップS303に戻る。すなわち、1つ後段の燃焼帯に対して、同様に、影響係数α、βが計算される。結果的に、k=i+1,・・・,Nまで、ステップS303及びステップS304に示す処理が繰り返し行われ、α[i+1],・・・,α[N]、β[i+1],・・・,β[N]が求められる。
以降のステップS307〜ステップS315における処理は、図4に示すステップS201〜ステップS209における処理に対応するものである。ただし、図5に示す処理手順では、ステップS203に対応するステップS309における処理(燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]を求める処理)が、より具体的なものとなっている。
具体的には、まず、j=N(N≧j>i)とし、燃焼帯[j]の出側目標鋼片温度θaim[j]及び出側目標均熱度Δθaim[j]として、抽出目標鋼片温度θaim[N]及び抽出目標均熱度Δθaim[N]がセットされる(ステップS307)。
次に、燃焼帯[j]を考えられ得る最大炉温Tfmax[j]で操業すると仮定して、鋼片Sの燃焼帯[j]の出側鋼片温度θ[j]及び出側均熱度Δθ[j]が上記θaim[j]及び上記Δθaim[j]となるような、当該鋼片Sの1つ前段の燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]が、上記数式(3)、(4)を用いて計算され、これらの値が、燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]とされる(ステップS309)。
次に、j=i+1であるかどうか、すなわち、求められた出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]が、計算対象としている鋼片Sが現在位置している燃焼帯[i]についてのものであるかどうかが判断される(ステップS311)。
ステップS311でj=i+1でないと判断された場合には、jをデクリメントし(ステップS313)、ステップS309に戻る。そして、更に1つ前の燃焼帯に対して、同様に、出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度が求められる。
ステップS311でj=i+1であると判断された場合には、計算結果である燃焼帯[i]から均熱帯の1つ前段の燃焼帯[N−1]までの各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度(θaim[i],・・・,θaim[N−1],Δθaim[i],・・・,Δθaim[N−1])を出力し(ステップS315)、一連の計算を終了する。
第1の実施形態では、以上説明した図5に示す一連の処理が、炉内に存在する全ての鋼片Sに対して実行され、鋼片S毎の各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度が出力されることとなる。ただし、上述したように、ネック材についてのみ各燃焼帯の最適炉温を計算する場合には、当該ネック材についてのみ、以上説明した図5に示す一連の処理が行われてもよい。
以上、図5を参照して、第1の実施形態に係る中間目標値の計算方法の処理手順の一具体例について説明した。なお、図5に示す処理手順は、上記(1−2−3.中間目標値の計算方法の具体例)で説明した計算方法を、具体的な処理手順として表現したものに対応している。
(2.第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、中間目標値(中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)の制約を満足するような各燃焼帯の炉温を、例えば上記非特許文献1や上記特許文献2に記載の方法を用いて計算し、その炉温をそのまま各燃焼帯の最適炉温としていた。ここで、上記非特許文献1や上記特許文献2に記載の方法では、いずれも、実炉温が設定炉温に即時に一致するという前提の下に、中間目標値の制約を満足するような各燃焼帯の炉温が計算されている。しかしながら、実際の加熱炉10では、炉温の変更を指示してから炉温がその設定値に変更されるまでには、所定の時間(追従時間)を要する。従って、上記非特許文献1や上記特許文献2に記載の方法によって算出された炉温をそのまま設定値として用いて加熱炉10の各燃焼帯の炉温を制御した場合には、追従時間の間は実炉温と設定炉温との間にずれが生じるため、鋼片Sの鋼片温度及び均熱度を所望の値(すなわち、中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)に制御できない可能性がある。
このような傾向は、鋼片Sの残り在炉時間(現在位置している場所から抽出されるまでの鋼片Sの在炉時間)が短い場合に顕著となると考えられる。何故ならば、鋼片Sの残り在炉時間が短い場合には、追従時間の分の炉温のずれが、鋼片Sの鋼片温度及び均熱度に与える影響が大きくなるからである。
そこで、第2の実施形態では、中間目標値の制約を満足するような各燃焼帯の炉温を計算した後に、その炉温に対して上記追従時間を考慮した補正を行い、補正後の炉温を最適炉温とみなす。このようにして求められた最適炉温を用いて加熱炉操業を行うことにより、上記のような残り在炉時間の短い鋼片Sであっても、その鋼片温度及び均熱度をより精度良く制御することが可能となる。
以下、第2の実施形態について詳細に説明する。なお、第2の実施形態は、上述した第1の実施形態に対して、図2に示す燃焼帯毎最適炉温計算部223の機能、及び図3に示すステップS107(最適炉温計算ステップ)の処理の内容が変更されたものに対応する。その他の事項については第1の実施形態と同様であるため、以下の第2の実施形態についての説明では、第1の実施形態と重複する事項についてはその説明を省略し、第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明を行うこととする。
(2−1.燃焼帯毎最適炉温計算部223の機能)
第2の実施形態における燃焼帯毎最適炉温計算部223の機能について説明する。第2の実施形態では、燃焼帯毎最適炉温計算部223は、まず、第1の実施形態と同様の手法(例えば、上記非特許文献1や上記特許文献2に記載の方法)を用いて、計算対象としている一の鋼片Sの各燃焼帯の出側鋼片温度及び出側均熱度が、中間目標値計算部222によって計算された中間目標値(中間目標鋼片温度及び中間目標均熱度)の制約を満足するような、各燃焼帯の炉温を計算する。このようにして計算された各燃焼帯の炉温を、Tfopt0[i],・・・,Tfopt0[N]とする。
ここで、Tfopt0[i],・・・,Tfopt0[N]は、上述した追従時間が考慮されていないものである。そこで、第2の実施形態では、燃焼帯毎最適炉温計算部223は、以下の手順に従って、追従時間を考慮して当該炉温Tfopt0[i]を補正する。
なお、燃焼帯毎最適炉温計算部223は、Tfopt0[i+1],・・・,Tfopt0[N]については、炉温Tfopt0[i]のような補正処理は行わない。鋼片Sが燃焼帯[i+1],・・・,燃焼帯[N]に到達するまでには、追従時間よりも十分に長い時間を要するため、燃焼帯[i+1],・・・,燃焼帯[N]の炉温Tfopt0[i+1],・・・,Tfopt0[N]については、追従時間が存在したとしても、鋼片Sが燃焼帯[i+1],・・・,燃焼帯[N]に到達するまでに、その炉温が、Tfopt0[i+1],・・・,Tfopt0[N]に変更され得るからである。
具体的には、燃焼帯毎最適炉温計算部223は、燃焼帯[i]の炉温を現在の炉温Tftmp[i]から炉温Tfopt0[i]に変更する場合における、炉温の時間変化を予測する。当該炉温の時間変化は、例えば図6に示すように、時間と炉温との関係を示すグラフとして表現できる。
図6は、燃焼帯[i]の炉温を現在の炉温Tftmp[i]から炉温Tfopt0[i]に変更する場合における、炉温の時間変化を示すグラフ図である。図6では、横軸に時間を取り、縦軸に炉温を取り、現時刻ttmpから帯出時刻tout(鋼片Sが現在位置する燃焼帯[i]を出る時刻)までの燃焼帯[i]の炉温の変化をプロットしている。図6に示すように、実炉温は、追従時間tflw[i]だけ遅れて設定炉温Tfopt0[i]に一致することとなる。
図6において、追従時間がゼロであると仮定した場合の炉温と、鋼片Sが燃焼帯[i]を出るまでの時間と、で囲まれる領域の面積をS[i]とする。すなわち、S[i]は、燃焼帯[i]の炉温が時間遅れなく現状の炉温Tftmp[i]から設定炉温Tfopt0[i]に変更されると仮定した場合における、燃焼帯[i]の炉温のTftmp[i]との差分の、現在時刻ttmpから鋼片が燃焼帯[i]を出る時刻toutまでの時間についての積分値である。図6に示す例であれば、S[i]は、(Tfopt0[i]−Tftmp[i])と(tout−ttmp)との積で表される、長方形の面積である。
一方、図6において、追従時間tflw[i]を考慮した場合の炉温と、鋼片Sが燃焼帯[i]を出るまでの時間と、で囲まれる領域の面積をS[i]とする。すなわち、S[i]は、燃焼帯[i]の炉温が追従時間tflw[i]だけ遅れて現状の炉温Tftmp[i]から設定炉温Tfopt0[i]に変更されると仮定した場合における、燃焼帯[i]の炉温のTftmp[i]との差分の、現在時刻ttmpから鋼片が燃焼帯[i]を出る時刻toutまでの時間についての積分値である。図6に示す例であれば、S[i]は、炉温を表すグラフと横軸とで囲まれる台形で表される領域の面積である。
そして、燃焼帯毎最適炉温計算部223は、当該面積S及び当該面積Sを用いて、下記数式(5)によって、追従時間tflw[i]を考慮した補正後の炉温Tfopt[i]を求める。
Figure 0006665475
上記数式(5)により、燃焼帯[i]の炉温を現在の炉温Tftmp[i]から炉温Tfopt0[i]に変更する場合における、追従時間tflw[i]に対応する炉温のずれ量が補正されることとなる。
更に、燃焼帯毎最適炉温計算部223は、上記のように、Tfopt0[i+1],・・・,Tfopt0[N]についてはTfopt0[i]のような補正処理は行わず、Tfopt[i+1]=Tfopt0[i+1],・・・,Tfopt[N]=Tfopt0[N]とする。
燃焼帯毎最適炉温計算部223は、このようにして得られたTfopt[i],・・・,Tfopt[N]を、計算の対象としている鋼片Sについての各燃焼帯の最適炉温として、図2に示す最適炉温出力部224に提供する。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、各燃焼帯についての中間目標値が求められた後、その中間目標値の制約を満たすような各燃焼帯の炉温を計算する際に、追従時間を考慮して当該炉温が計算される。従って、鋼片Sの鋼片温度及び均熱度をより精度良く制御することができ、中間目標値をより確実に満たすことが可能となる。
(2−2.最適炉温計算ステップでの処理)
図7を参照して、第2の実施形態における最適炉温計算ステップでの処理(図3に示すステップS107での処理)について説明する。図7は、第2の実施形態に係る最適炉温計算ステップにおける処理手順の一例を示すフロー図である。なお、図7に示す各処理は、燃焼帯毎最適炉温計算部223によって実行され得る。
図7を参照すると、第2の実施形態に係る最適炉温計算ステップにおける処理では、まず、θaim[i],・・・,θaim[N],Δθaim[i],・・・,Δθaim[N]の制約を満足する各燃焼帯の炉温Tfopt0[i],・・・,Tfopt0[N]が計算される(ステップS401)。ここで、θaim[i],・・・,θaim[N−1],Δθaim[i],・・・,Δθaim[N−1]は、燃焼帯[i]から均熱帯の1つ前段の燃焼帯[N−1]までの各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度であり、図4又は図5に示す一連の処理によって計算される。また、θaim[N]及びΔθaim[N]は、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度であり、事前に鋼片情報として与えられている。ステップS401では、例えば上記非特許文献1や上記特許文献2に記載の方法のような、追従時間を考慮しない方法によって炉温Tfopt0[i],・・・,Tfopt0[N]が計算される。
次に、計算された炉温Tfopt0[i]を用いて、上記数式(5)から、追従時間を考慮した炉温Tfopt[i]が計算される(ステップS403)。
次に、その他の燃焼帯については、Tfopt[i+1]=Tfopt0[i+1],・・・,Tfopt[N]=Tfopt0[N]とされる(ステップS405)。ステップS403及びステップS405で計算されたTfopt[i],・・・,Tfopt[N]が、各燃焼帯の最適炉温である。
以上、図7を参照して、第2の実施形態における、最適炉温計算ステップでの処理の詳細について説明した。
(3.ハードウェア構成)
次に、図8を参照して、第1及び第2の実施形態に係る炉温設定装置のハードウェア構成について、詳細に説明する。図8は、第1及び第2の実施形態に係る炉温設定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図8に示すハードウェア構成は、図1に示す炉温設定装置20を構成し得るものである。
図8を参照すると、炉温設定装置900は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、炉温設定装置900は、更に、バス907を介してCPU901、ROM903及びRAM905と接続される、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919と、を備える。
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913又はリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、炉温設定装置900内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。第1及び第2の実施形態では、CPU901は、図1に示す鋼片温度計算部210、鋼片毎最適炉温計算部220及び最適炉温編集部230を構成し得るものである。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等、ユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、炉温設定装置900の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。更に、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。炉温設定装置900のユーザは、入力装置909を操作することにより、炉温設定装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプ等の表示装置や、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリ等がある。出力装置911は、例えば、炉温設定装置900が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、炉温設定装置900が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。また、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、炉温設定装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ及び外部から取得した各種のデータ等を格納する。第1及び第2の実施形態では、ストレージ装置913は、上記(1−1.システムの構成)で説明した鋼片情報及び/又は加熱炉情報が格納され得る記憶装置に対応する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、炉温設定装置900に内蔵あるいは外付けされる。炉温設定装置900は、ドライブ915を介して、リムーバブル記録媒体921に記録されている各種の情報を取得することができる。また、炉温設定装置900は、ドライブ915を介して、各種の情報をリムーバブル記録媒体921に記録することができる。リムーバブル記録媒体921は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等の等の各種のメディアである。例えば、リムーバブル記録媒体921は、CDメディア、DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ又はSDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を炉温設定装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、炉温設定装置900は、接続ポート917を介して、外部接続機器923から各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりすることができる。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。通信装置919は、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)若しくはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又は各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。炉温設定装置900は、通信装置919によって、通信網925を介して接続される外部機器から各種の情報を受信することができる。また、炉温設定装置900は、通信装置919によって、通信網925を介して接続される外部機器に対して、各種の情報を送信することができる。
以上、図8を参照して、第1及び第2の実施形態に係る炉温設定装置900のハードウェア構成の一例について説明した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、第1及び第2の実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
本発明の効果を確認するために、第1の実施例として、以上説明した第1の実施形態に係る炉温設定方法によって各燃焼帯の炉温を設定して加熱炉を操業した場合(実施例)と、従来の方法で各燃焼帯の炉温を設定して加熱炉を操業した場合(比較例)と、における、炉温の変化、抽出鋼片温度、抽出均熱度及び燃料使用量を、数値実験によって評価した。比較例としては、従来の方法の一例として、非特許文献1に記載の方法を基に、オペレータによる操業実績の平均値を参考にして各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度を決定する方法を用いた。
数値実験に用いたシステムの構成を、図9に示す。図9は、数値実験に用いたシステムの構成を示す図である。図9を参照すると、数値計算に用いたシステム2は、図1に示す本実施形態に係るシステム1の加熱炉10(バーナー制御部150を除く)を、加熱炉シミュレータ30に置き換えたものに対応する。加熱炉シミュレータ30は、加熱炉の挙動を模擬可能なシミュレータであり、操業時に取得される加熱炉情報(例えば炉温、バーナーへの供給燃料流量等)や各鋼片の状態(例えば抽出鋼片温度、抽出均熱度等)をシミュレーションによって得ることができる。本数値実験では、加熱炉シミュレータ30におけるシミュレーション方法として、「「三菱電機技報」、1985年、Vol.59、No.4、pp.24−27」に記載の方法を用いた。また、その際、シミュレーションに必要となる鋼片情報や加熱炉情報としては、実際の操業時における実績データを用いた。
なお、図9に示すシステム2の構成は、実施例に係るシミュレーションを行うためのものである。実施例では、鋼片毎最適炉温計算部220において、上記(1−2−3.中間目標値の計算方法の具体例)及び上記(1−3−3.中間目標値の計算方法の具体例)で説明した方法(燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]を求める際に、炉温の変更量が鋼片温度及び均熱度に対して与える影響係数α、βを線形式によって表し、当該影響係数を用いて燃焼帯[j−1]における出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算する方法)で中間目標値を求めた。ここで、予熱帯については、操業上の理由から炉温が予め指定されているため、1加熱帯以降に位置する鋼片Sを計算対象とした。そして、当該中間目標値の制約を満たすような1加熱帯以降の各燃焼帯の炉温を上記非特許文献1に記載の方法を用いて鋼片S毎に計算し、その炉温を、鋼片S毎の1加熱帯以降の各燃焼帯の最適炉温とみなした。また、最適炉温編集部230では、鋼片S毎の最適炉温の最大値を最終的な1加熱帯以降の各燃焼帯の炉温とすることとした。この際、計算された各燃焼帯の炉温が、設備制約上又は操業制約上定められた各燃焼帯の最小炉温を下回る場合には、当該最小炉温を各燃焼帯の最終的な炉温とした。
一方、比較例では、図9に示すシステム2の構成において、鋼片毎最適炉温計算部220に対応する機能ブロックにおいて、オペレータによる操業実績の平均値を参考にして中間目標値を決定し、上記非特許文献1に記載の方法を用いて、当該中間目標値に基づく鋼片S毎の1加熱帯以降の各燃焼帯の最適炉温を計算した。そして、最適炉温編集部230に対応する機能ブロックでは、実施例と同様に、鋼片S毎の各燃焼帯の最適炉温の最大値を、最終的な1加熱帯以降の各燃焼帯の最適炉温とすることとした。
数値実験の結果を、図10〜図16に示す。図10は、1加熱帯における炉温の変化を示すグラフ図である。図11は、2加熱帯における炉温の変化を示すグラフ図である。図12は、均熱帯における炉温の変化を示すグラフ図である。図13は、図10に示す1加熱帯の炉温の平均値と、図11に示す2加熱帯の炉温の平均値とを比較したグラフ図である。図14は、抽出鋼片温度と、抽出目標鋼片温度との関係を示すグラフ図である。図15は、抽出均熱度と、抽出目標均熱度との関係を示すグラフ図である。図16は、実施例及び比較例における燃料使用量を示すグラフ図である。
図10〜図13を参照すると、本数値実験では、均熱帯については、均熱帯内に存在する鋼片Sの条件により炉温が一意に定まる操業形式を採用しているため、均熱帯では実施例と比較例とで炉温の変化の挙動は同様である。一方、1加熱帯及び2加熱帯では、実施例の方が比較例よりも全体的に炉温が低い値で推移している。また、比較例から実施例への炉温の低下代は1加熱帯の方が大きく、前段低負荷後段高負荷型の操業となるように炉温が決定されていることが確認できる。その結果、図16に示すように、実施例の方が、比較例に比べて、燃料使用量を抑制できていることが確認できた。
一方、図14を参照すると、実施例及び比較例ともに、全ての鋼片Sにおいて、抽出鋼片温度が抽出目標鋼片温度を上回っている。また、図15を参照すると、実施例及び比較例ともに、全ての鋼片Sにおいて、抽出均熱度が抽出目標均熱度を満足している。
このように、実施例及び比較例ともに、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度による制約は満足することができるものの、実施例の方が、より燃料使用量を抑制可能であることが分かった。
次に、第2の実施例として、以上説明した第1の実施形態に係る炉温設定方法によって各燃焼帯の炉温を設定して加熱炉を操業した場合(実施例(第1の実施形態))と、以上説明した第2の実施形態に係る炉温設定方法によって各燃焼帯の炉温を設定して加熱炉を操業した場合(実施例(第2の実施形態))と、従来の方法で各燃焼帯の炉温を設定して加熱炉を操業した場合(比較例)と、における、炉温の変化、抽出鋼片温度、抽出均熱度及び必要熱量を、数値実験によって評価した。
比較例としては、上記第1の実施例と同様に、非特許文献1に記載の方法を基に、オペレータによる操業実績の平均値を参考にして各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度を決定する方法を用いた。
実施例(第1の実施形態)では、上記第1の実施例と同様に、上記(1−2−3.中間目標値の計算方法の具体例)及び上記(1−3−3.中間目標値の計算方法の具体例)で説明した方法によって中間目標値を計算し、当該中間目標値の制約を満たすような各燃焼帯の炉温を上記非特許文献1に記載の方法を用いて計算し、その炉温を、各燃焼帯の最適炉温とみなした。
実施例(第2の実施形態)では、実施例(第1の実施形態)と同様に、上記(1−2−3.中間目標値の計算方法の具体例)及び上記(1−3−3.中間目標値の計算方法の具体例)で説明した方法によって中間目標値を計算した。ただし、実施例(第2の実施形態)では、当該中間目標値に基づいて、上記(2−1.燃焼帯毎最適炉温計算部223の機能)及び上記(2−2.最適炉温計算ステップでの処理)で説明した方法を用いて、追従時間を考慮して鋼片S毎の各燃焼帯の最適炉温を計算した。
数値計算は、上記第1の実施例と同様に、図9に示すシステム2を用いて行った。ただし、実施例(第2の実施形態)では、各燃焼帯の炉温変化について、設定炉温に対し1次遅れで実績炉温が追従するものとした。また、本発明の効果の純粋な評価のため、第2の実施例では、各燃焼帯に存在する全ての鋼片について中間目標値及び最適炉温を求めるのではなく、ネック材として選定された1本の鋼片の装入〜抽出までを評価するものとした。すなわち、当該ネック材について求められた各燃焼帯の最適炉温を、そのまま各燃焼帯の設定炉温として採用して、当該ネック材の装入から抽出までの加熱炉操業シミュレーションを実施し、炉温の変化、抽出鋼片温度、抽出均熱度及び必要熱量を評価した。
なお、第2の実施例における数値実験に用いた鋼片情報を下記表1に示す。また、第2の実施例における数値実験に用いた加熱炉についての条件(加熱炉が取り得る最大炉温、最小炉温)を下記表2に示す。
Figure 0006665475
Figure 0006665475
また、中間目標値の計算に用いる鋼片温度については、差分法による伝熱計算によって算出した。また、必要熱量は「「電気学会論文集」、1996年、116巻、12号、pp.1220−1229」に記載の加熱炉熱バランス式に基づいて算出した。
数値実験の結果を、図17〜図23に示す。図17は、比較例における、計算対象としている鋼片が存在する燃焼帯における炉温の変化を示すグラフ図である。図18は、実施例(第1の実施形態)における、計算対象としている鋼片が存在する燃焼帯における炉温の変化を示すグラフ図である。図19は、実施例(第2の実施形態)における、計算対象としている鋼片が存在する燃焼帯における炉温の変化を示すグラフ図である。図20は、比較例における、加熱炉内での鋼片温度の変化を示すグラフ図である。図21は、実施例(第1の実施形態)における、加熱炉内での鋼片温度の変化を示すグラフ図である。図22は、実施例(第2の実施形態)における、加熱炉内での鋼片温度の変化を示すグラフ図である。図23は、比較例、実施例(第1の実施形態)及び実施例(第2の実施形態)における加熱操業での必要熱量を示すグラフ図である。
図17〜図19を参照すると、実施例(第1の実施形態)及び実施例(第2の実施形態)では、比較例に比べて、予熱帯の設定炉温が低く抑えられ、前段低負荷後段高負荷の操業が実現できていることが分かる。これは、比較例では、過去の実績等に基づいて予熱帯の出側目標鋼片温度が必要以上に高く設定されているのに対して、実施例(第1の実施形態)及び実施例(第2の実施形態)では、抽出鋼片温度が目標値を満足するために必要な最低限の値が、予熱帯の出側目標鋼片温度として設定されているからである。
また、2加熱帯及び均熱帯の設定炉温に注目すると、実施例(第1の実施形態)に比べて実施例(第2の実施形態)の方が若干高くなっていることが分かる。これは、実施例(第2の実施形態)では、追従時間の間の実炉温と設定炉温とのずれを補償するように、設定炉温(すなわち、最適炉温)について、上記数式(5)を用いた補正が行われているからである。
図20〜図22を参照すると、比較例、実施例(第1の実施形態)及び実施例(第2の実施形態)の全てにおいて、抽出目標鋼片温度は達成できていることが分かる。しかしながら、比較例及び実施例(第1の実施形態)では、抽出目標均熱度が達成できていない。比較例が抽出目標均熱度を達成できていないのは、2加熱帯の出側抽出目標鋼片温度を達成することを優先したため、抽出目標均熱度の達成が困難になったからである。一方、実施例(第1の実施形態)では、各燃焼帯の出側目標鋼片温度及び出側目標均熱度を、抽出目標鋼片温度及び抽出均熱度から逆算して設定しているため、比較例のような問題は改善される。しかしながら、実施例(第1の実施形態)では、炉温の追従時間を考慮していないため、鋼片を狙い通りに加熱することができず、結果的に抽出時に目標均熱度を満足できなくなっている。これに対し、実施例(第2の実施形態)では、上記数式(5)を用いた補正により、炉温の追従時間が考慮されているため、抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度をともに満足する、より高精度な加熱炉操業が実現できている。
図23を参照すると、実施例(第1の実施形態)及び実施例(第2の実施形態)では、比較例に比べて、必要熱量が小さく抑えられていることが分かる。これは、実施例(第1の実施形態)及び実施例(第2の実施形態)では、前段低負荷後段高負荷型の操業が実現できているからである。なお、実施例(第2の実施形態)では、上記数式(5)を用いた追従時間の分の補正を行っていることにより、実施例(第1の実施形態)に比べて必要熱量が増加してしまっているが、その増加量はわずかな範囲に抑えられており、比較例に比べれば大幅な必要熱量の低減が実現できている。
(4.補足)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
S 鋼片
1、2 システム
10 加熱炉
20 炉温設定装置
30 加熱炉シミュレータ
110 炉体
120 バーナー
130 スキッド
140 温度計
150 バーナー制御部
210 鋼片温度計算部
220 鋼片毎最適炉温計算部
221 データ取得部
222 中間目標値計算部
223 燃焼帯毎最適炉温計算部
224 最適炉温出力部
230 最適炉温編集部

Claims (4)

  1. N個(N≧2)の燃焼帯を有する連続式加熱炉における各燃焼帯の炉温を設定する、炉温設定方法であって、
    計算対象としている鋼片が位置する燃焼帯が燃焼帯[i](N>i≧1)であり、前記鋼片が抽出されるときの抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度が、それぞれ、θaim[N]及びΔθaim[N]として与えられている場合において、燃焼帯[j](N≧j>i)の出側目標鋼片温度θaim[j]及び出側目標均熱度Δθaim[j]に基づいて、前記燃焼帯[j]を設備制約上又は操業制約上の最大の炉温Tfmax[j]で操業すると仮定した場合に前記鋼片の前記燃焼帯[j]の出側鋼片温度θ[j]及び出側均熱度Δθ[j]が前記出側目標鋼片温度θaim[j]及び前記出側均熱度Δθaim[j]となるような、前記鋼片の前記燃焼帯[j]の1つ前段の燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算し、計算した前記出側鋼片温度θ[j−1]及び前記出側均熱度Δθ[j−1]を、前記燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]とする処理を、j=Nからj=i+1まで繰り返し行うことにより、中間目標値である前記燃焼帯[i]以降の各燃焼帯の出側目標鋼片温度θaim[i],・・・,θaim[N−1]及び出側目標均熱度Δθaim[i],・・・,Δθaim[N−1]を計算する中間目標値計算ステップと、
    計算された前記中間目標値の制約を満足する各燃焼帯の炉温を計算し前記各燃焼帯の炉温を仮の設定炉温として、現在の炉温から前記仮の設定炉温に変更するために必要な追従時間に基づいて前記仮の設定炉温を補正することにより前記鋼片毎の各燃焼帯の最適炉温を計算する最適炉温計算ステップと、
    各燃焼帯にそれぞれ存在する少なくとも1つの鋼片についての、計算された前記鋼片毎の最適炉温に基づいて、各燃焼帯の炉温を設定する最適炉温編集ステップと、
    を含む、炉温設定方法。
  2. 前記最適炉温計算ステップでは、前記中間目標値の制約を満足する各燃焼帯の炉温をTfopt0[i],・・・,Tfopt0[N]とし、前記鋼片毎の各燃焼帯の最適炉温をTfopt[i],・・・,Tfopt[N]とした場合に、前記最適炉温Tfopt[i]は下記数式(109)によって計算され、前記最適炉温Tfopt[i+1],・・・,Tfopt[N]は、Tfopt[i+1]=Tfopt0[i+1],・・・,Tfopt[N]=Tfopt0[N]として計算される、
    請求項に記載の炉温設定方法。
    Figure 0006665475
    ……(109)
    ここで、上記数式(109)において、
    ftmp[i]:前記燃焼帯[i]の現状の炉温
    :横軸に時間を取り、縦軸に炉温を取った2次元平面において、現在時刻において前記燃焼帯[i]の炉温の設定を現状の炉温Tftmp[i]からTfopt0[i]に変更した場合に、前記燃焼帯[i]の炉温が時間遅れなくTftmp[i]からTfopt0[i]に変更されると仮定した場合における前記燃焼帯[i]の炉温のTftmp[i]との差分の、現在時刻から前記鋼片が前記燃焼帯[i]を出るまでの時間についての積分値
    :横軸に時間を取り、縦軸に炉温を取った2次元平面において、現在時刻において前記燃焼帯[i]の炉温の設定を現状の炉温Tftmp[i]からTfopt0[i]に変更した場合に、前記燃焼帯[i]の炉温が追従時間tflw[i]だけ遅れてTftmp[i]からTfopt0[i]に変更されると仮定した場合における前記燃焼帯[i]の炉温のTftmp[i]との差分の、現在時刻から前記鋼片が前記燃焼帯[i]を出るまでの時間についての積分値
    である。
  3. 前記中間目標値計算ステップ及び前記最適炉温計算ステップでは、前記連続式加熱炉内に存在する複数の鋼片のうち、前記燃焼帯毎に、抽出までの残り在炉時間に対する鋼片温度の上昇率が最も大きいネック材についてのみ、前記中間目標値、及び前記各燃焼帯の炉温がそれぞれ計算され、
    前記最適炉温編集ステップでは、前記ネック材の各々について計算された前記ネック材の各々に対応する前記燃焼帯の炉温が、最終的な各燃焼帯の炉温として設定される、
    請求項1または2に記載の炉温設定方法。
  4. N個(N≧2)の燃焼帯を有する連続式加熱炉における各燃焼帯の炉温を設定する、炉温設定装置であって、
    計算対象としている鋼片が位置する燃焼帯が燃焼帯[i](N>i≧1)であり、前記鋼片が抽出されるときの抽出目標鋼片温度及び抽出目標均熱度が、それぞれ、θaim[N]及びΔθaim[N]として与えられている場合において、燃焼帯[j](N≧j>i)の出側目標鋼片温度θaim[j]及び出側目標均熱度Δθaim[j]に基づいて、前記燃焼帯[j]を設備制約上又は操業制約上の最大の炉温Tfmax[j]で操業すると仮定した場合に前記鋼片の前記燃焼帯[j]の出側鋼片温度θ[j]及び出側均熱度Δθ[j]が前記出側目標鋼片温度θaim[j]及び前記出側目標均熱度Δθaim[j]となるような、前記鋼片の前記燃焼帯[j]の1つ前段の燃焼帯[j−1]の出側鋼片温度θ[j−1]及び出側均熱度Δθ[j−1]を計算し、計算した前記出側鋼片温度θ[j−1]及び前記出側均熱度Δθ[j−1]を、前記燃焼帯[j−1]の出側目標鋼片温度θaim[j−1]及び出側目標均熱度Δθaim[j−1]とする処理を、j=Nからj=i+1まで繰り返し行うことにより、中間目標値である前記燃焼帯[i]以降の各燃焼帯の出側目標鋼片温度θaim[i],・・・,θaim[N−1]及び出側目標均熱度Δθaim[i],・・・,Δθaim[N−1]を計算する中間目標値計算部と、
    計算された前記中間目標値の制約を満足する各燃焼帯の炉温を計算し前記各燃焼帯の炉温を仮の設定炉温として、現在の炉温から前記仮の設定炉温に変更するために必要な追従時間に基づいて前記仮の設定炉温を補正することにより前記鋼片毎の各燃焼帯の最適炉温を計算する最適炉温計算部と、
    各燃焼帯にそれぞれ存在する少なくとも1つの鋼片についての、計算された前記鋼片毎の最適炉温に基づいて、最終的な各燃焼帯の炉温を設定する最適炉温編集部と、
    を備える、炉温設定装置。
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