JP6662747B2

JP6662747B2 - スクリュ式押出機

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Publication number: JP6662747B2
Application number: JP2016198850A
Authority: JP
Inventors: 和久福谷; 孝祐東
Original assignee: Kobe Steel Ltd
Current assignee: Kobe Steel Ltd
Priority date: 2016-10-07
Filing date: 2016-10-07
Publication date: 2020-03-11
Anticipated expiration: 2036-10-07
Also published as: KR20190046927A; US20200031017A1; CN109863011A; WO2018066304A1; JP2018058308A; EP3524404A4; TWI641472B; TW201825258A; CN109863011B; EP3524404A1; KR102150920B1

Description

本発明は、混練物の押出を行うスクリュ式押出機に関し、特に、混練物を押出しながらシート状に形成するのに好適に用いられるスクリュ式押出機に関する。

自動車用タイヤの製造プロセスにおいて、タイヤの原料であるゴムの混練機の下に設置し、混練機から投入されたゴム（混練物）を連続的に押出しながらシート状に成形する押出成形機が用いられる。この種の押出成形機に関する技術として、例えば下記の特許文献１，２に記載のものがある。

特許文献１に記載のシート成形装置は、材料供給部と、材料供給部から供給された弾性材料を一時的に貯留する材料貯留部と、材料貯留部に貯留されている弾性材料を圧延する材料圧延部とを備えている。材料供給部には、２本のスクリュが配置されており、当該スクリュにより材料は材料貯留部を経由して材料圧延部に送られる。材料圧延部には２本のロールが配置されており、当該ロールにより材料はシート状に成形される。

特許文献２に記載のローラヘッド押出機は、押出機本体と、押出機本体から押し出されてきた練りゴムをシート状に圧延するカレンダロール装置とを備えている。押出機本体とカレンダロール装置との間には緩衝ロック装置が配置されている。押出機本体とカレンダロール装置との間の圧力（押出機本体のヘッド圧力）を感知する感知装置が緩衝ロック装置内に設けられている。当該感知装置により感知された押出機本体のヘッド圧力に応じて、カレンダロールの速度および押出機本体のスクリュ回転数が自動的に制御される。この構成により、熟練した作業者による面倒な手動制御を行う必要なく、常に均一な幅を持つゴムシートを連続的に得ることができる、と特許文献２に記載されている。

特開２００９−１２４６３号公報特公昭５５−４５７５号公報

近年、低燃費タイヤの需要が増加している。低燃費タイヤの原料であるゴムにはシリカが高い割合で配合されることが多い。シリカを高い割合で配合したゴム（混練物）は、押出成形機においてシート状に成形しにくいという問題がある。そのため、上流側プロセスの混練機においてだけでなく、押出成形機においてもゴム（混練物）の分散混合性を高めることが望まれる。ゴム（混練物）の分散混合性を高めるには、（１）混練物の押出を行うスクリュ配置部において混練物により多くのエネルギを加えること、（２）混練物の押出を行うスクリュ配置部において混練物の充満状態を安定させること、が必要である。

しかしながら、特許文献１，２には、いずれの文献中にも混練物の分散混合性を高めるための技術に関する記載は無い。なお、特許文献２では、カレンダロールの速度および押出機本体のスクリュ回転数を押出機本体のヘッド圧力に応じて制御しているが、この制御は、押出機本体内の練りゴムの充満状態を安定させるものではない。

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、混練物の分散混合性を高めるための上記した（１）、（２）の課題のうちの（２）の課題を解決すること、すなわち、混練物の押出を行うスクリュ配置部において混練物の充満状態を安定させることができる構成のスクリュ式押出機を提供することである。

本発明に係るスクリュ式押出機は、スクリュと、前記スクリュを収容し、上流側に材料の投入口が設けられたケーシングと、を備える混練物の押出を行うスクリュ式押出機である。前記投入口の下流側端と前記ケーシングの先端側開口との間の前記ケーシングの内部の圧力を計測する圧力センサが設けられており、前記圧力センサにより計測された圧力に応じて前記スクリュの回転数が制御されていることを特徴とする。

この構成によると、上記圧力センサにより計測された圧力に応じてスクリュの回転数を制御することで、混練物の押出を行うスクリュ配置部におけるケーシング内の混練物の充満状態を安定させることができる。これにより、当該スクリュ配置部においてスクリュによる混練物の安定した混練が可能になり、混練物の分散混合性を高めることができる。

また本発明において、前記ケーシングの内壁面の混練物の押出方向に直交する断面は、２つの円が一部重なり合ったようなメガネ形状となっており、左右一対の前記スクリュが前記ケーシングに収容されており、前記断面において、前記ケーシングの底側中央の頂部から水平方向に延ばした仮想線と左右一対の前記スクリュの回転中心からそれぞれ下方へ延ばした仮想線とで区画された部分の前記ケーシングの内部の圧力が前記圧力センサにより計測されていることが好ましい。

ケーシング内部のうちの上記区画部分は、圧力が安定し易い部分であり、且つ材料（混練物）に対して混練作用が最も働く部分である。この部分の圧力に基づいてスクリュの回転数を制御することで、ケーシング内の混練物の充満状態をより安定させることができる。また、圧力が安定し易い部分であるということで、この部分での圧力計測は、材料（混練物）の混練度の評価にも適している。

さらに本発明において、前記ケーシングの左側室および右側室のそれぞれの圧力を計測できるように、前記圧力センサが複数設けられていることが好ましい。

この構成によると、ケーシングの左右の室間で混練物の充満率（圧力）に差がある場合でも、その差に合わせて適切な制御を行うことができる。

さらに本発明において、前記ケーシングの内部の前記押出方向における複数箇所の圧力を計測できるように、前記圧力センサが複数設けられていることが好ましい。

この構成によると、ケーシングから吐出される混練物の圧力を安定させることができる。

さらに本発明において、前記ケーシングの前方に、混練物をシート状に成形する上下一対のローラが配置されており、前記ローラに作用する荷重を計測する荷重センサが設けられており、前記圧力センサにより計測された圧力と前記荷重センサにより計測された荷重との組み合わせで前記ローラの回転数が制御されていることが好ましい。

この構成によると、ローラ手前の混練物の圧力を安定させることができる。これにより、厚みおよび幅が安定したシートを製造することができる。

さらに本発明において、前記ケーシングの前方に、混練物をシート状に成形する上下一対のローラが配置されており、前記ケーシングと前記ローラとの間の部分であるバンク部の圧力を計測するバンク部圧力センサがさらに設けられており、前記圧力センサにより計測された圧力と前記バンク部圧力センサにより計測された圧力との組み合わせで前記ローラの回転数が制御されていることが好ましい。

さらに本発明において、前記ケーシングは先細り形状であって、前記投入口の下流側端と前記ケーシングの先端側開口との間の真中よりも上流側の前記ケーシングの内部の圧力が前記圧力センサにより計測されていることが好ましい。

混練物をシート状に成形する上下一対のローラ付きのスクリュ式押出機の場合、本発明では、前記した圧力センサにより計測された圧力に基づくスクリュの回転数制御により、ケーシング内の混練物の充満状態を安定させようとする。また、前記した圧力センサにより計測された圧力と前記した荷重センサにより計測された荷重（または前記したバンク部圧力センサにより計測された圧力）との組み合わせに基づくローラの回転数制御により、シートの厚みおよび幅を安定させようとする。
ここで、ケーシングが先細り形状であると、その先端に近いほどケーシング内の圧力の上昇勾配が急になる。昇圧が大きいところでスクリュの回転エネルギが多く消費されるので、ケーシングの先端圧力との差を測定し易い箇所に前記した圧力センサを設置することで、スクリュの回転数制御により適した圧力の計測を行うことができる。
このような点から、材料投入口の下流側端とケーシングの先端側開口との間の真中よりも上流側のケーシングの内部の圧力を計測することが好ましい。
また、材料投入口の下流側端とケーシングの先端側開口との間の真中よりも上流側のケーシングの内部の圧力は、バンク部の圧力（またはローラに作用する荷重）との差が十分あるので、ローラの回転数制御により適している。

本発明によると、混練物の押出を行うスクリュ配置部において混練物の充満状態を安定させることができる構成のスクリュ式押出機を提供することができる。

本発明に係るスクリュ式押出機の第１実施形態としてのローラダイ付押出機の平断面図である。図１のＡ−Ａ断面図であり、本発明の一実施形態に係るローラダイ付押出機の縦断面図である。図２のＢ−Ｂ断面の模式図である。ケーシング下流部内の圧力分布図である。図１〜３に示すローラダイ付押出機のスクリュ回転数およびローラ回転数の制御フローを示すフローチャートである。本発明に係るスクリュ式押出機の第２実施形態としてのローラダイ付押出機の縦断面図である。本発明に係るスクリュ式押出機の第３実施形態としてのローラダイ付押出機の平断面図である。図７に示すローラダイ付押出機のスクリュ回転数およびローラ回転数の制御フローを示すフローチャートである。

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態で示すスクリュ式押出機は、ゴムなどの高分子材料の混練物をシート状に押出成形するローラダイ付スクリュ押出機（以下、「ローラダイ付押出機」と呼ぶ）である。なお、本発明のスクリュ式押出機は、高分子材料の混練物を多数の円形孔を有するダイスから押出した後に円筒状のペレットに切断成形するペレタイザと呼ばれる機械にも用いることができる。

（ローラダイ付押出機の構成）
図１〜３を参照しつつ、本発明の第１実施形態に係るローラダイ付押出機１について説明する。ローラダイ付押出機１は、混練物の押出を行う左右一対の計２本のスクリュ２，３と、スクリュ２，３を収容するケーシング４とを有する。ケーシング４の前方には上下一対の計２個のローラ９，１０が配置される。ケーシング４とローラ９，１０との間の部分は、バンク部１１と呼ばれ、スクリュ２，３により押出された混練物は、このバンク部１１に溜まる。なお、バンク部１１は閉鎖されている。ローラ９，１０は、互いに逆方向に回転するように連結されており、図示を省略する１つの駆動手段により同一の回転数で回転させられる。ローラ９，１０は、混練物を圧延してシート状に成形するためのものであり、ローラダイと呼ばれている。

スクリュ２，３は、それぞれ、軸部６と、軸部６の外周面に設けられた螺旋状のフライト７とを有する。スクリュ２とスクリュ３とは、フライトの捩れ角度が互いに逆であることを除いて同じ形状・寸法のスクリュである。また、スクリュ２，３は、互いに逆方向に回転するように連結されており、図示を省略する１つの駆動手段により同一の回転数で回転させられる。

ケーシング４は、先細りの形状であって、材料（混練物）の投入口１５が上部に設けられたケーシング上流部１４と、周囲が壁面で囲われたケーシング下流部２４とを有する。投入口１５にその上方から供給されたゴムなどの混練物は、互いに逆方向に回転するスクリュ２，３によりバンク部１１へ押出され、その後、ローラ９，１０の間を通ることでシート状に成形される。

＜圧力センサ＞
図３に示したように、ケーシング４の内壁面の混練物の押出方向に直交する断面は、２つの円が一部重なり合ったようなメガネ形状となっており、ケーシング４の左側室４ｂにスクリュ２が、右側室４ｃにスクリュ３が収容されている。そして、ケーシング４の底部には、２つの圧力センサ５（５ａ、５ｂ）が取り付けられている。左側室４ｂ側に圧力センサ５ａが取り付けられ、右側室４ｃ側に圧力センサ５ｂが取り付けられている。圧力センサ５（５ａ、５ｂ）により、ケーシング４の内部の圧力（混練物の圧力）が計測される。ケーシング４の左右の室の圧力をそれぞれ計測することで、ケーシング４の左右の室間で混練物の充満率（圧力）に差がある場合でも、その差に合わせて後述する制御を適切に行うことができる。

図１，２に示したように、混練物の押出方向においては、圧力センサ５（５ａ、５ｂ）は、投入口１５の下流側端１５ａとケーシング４の先端側開口との間Ｓのケーシング４の底部に取り付けられている。換言すれば、圧力センサ５（５ａ、５ｂ）は、ケーシング４のうちのその下流側部分である、周囲が壁面で囲われたケーシング下流部２４の底部に取り付けられている。
より好ましくは、本実施形態のように、圧力センサ５（５ａ、５ｂ）は、投入口１５の下流側端１５ａとケーシング４の先端側開口との間Ｓであって、且つ、当該間Ｓの真中よりも上流側である範囲Ｓ１部分のケーシング４の底部に取り付けられる。

図３に示したように、ケーシング４の混練物の押出方向に直交する断面視においては、ケーシング４の底側中央の頂部Ｔから水平方向に延ばした仮想線Ｍ１と、スクリュ２，３のそれぞれの回転中心Ｏから下方へ延ばした仮想線Ｍ２，Ｍ３とで区画された部分のケーシング４の内部の圧力が計測されるように、圧力センサ５（５ａ、５ｂ）は、ケーシング４の底部のうちのケーシング中央寄りの部分に取り付けられる。ケーシング４内部のうちの上記区画部分は、圧力が安定し易い部分であり、且つ材料（混練物）に対して混練作用が最も働く部分である。この部分の圧力に基づいてスクリュ２，３の回転数を制御することで、ケーシング４内の混練物の充満状態をより安定させることができる。また、圧力が安定し易い部分であるということで、この部分での圧力計測は、材料（混練物）の混練度の評価にも適している。なお、回転するスクリュ２，３のフライト７と接触しないように圧力センサ５（５ａ、５ｂ）は、その先端部（圧力検出部）がケーシング４の底側内壁面４ａから突出しないように、ケーシング４に取り付けられる。

＜荷重センサ＞
図２に示したように、ケーシング４の前方に配置されたローラ９，１０の軸部には、それぞれ荷重センサ８が取り付けられている。荷重センサ８は、例えば歪みゲージで構成される。荷重センサ８は、バンク部１１から押し出されてくる混練物の、それぞれのローラ９，１０に作用する荷重を計測するセンサである。

図４は、押出機使用中のケーシング下流部２４内の圧力分布図である。図１，２中等に記載の「０」、「Ｌ」、「Ｓ」、「Ｓ１」と、図４中に記載の「０」、「Ｌ」、「Ｓ」、「Ｓ１」とは対応する。ケーシング４が先細り形状であると、ケーシング４の先端に近づくほどその容積が小さくなっていくため、スクリュ２，３により押し出されていく混練物は、ケーシング４の先端に近づくにつれて圧密されていく。そのため、ケーシング４の先端に近いほどケーシング４内の圧力（混練物の圧力）の上昇勾配は急になる。「ＰＬ」は、大気圧であり、「Ｐ０」は、最も断面積が小さいケーシング４の先端側開口における圧力（混練物の圧力）である。

昇圧（圧力）が大きいところでスクリュ２，３の回転エネルギが多く消費されるので、ケーシング４の先端圧力との差を測定し易い箇所に圧力センサ５を設置することで、スクリュ２，３の回転数制御により適した圧力の計測を行うことができる。
このような点から、投入口１５の下流側端１５ａとケーシング４の先端側開口との間Ｓの真中（Ｌ／２）よりも上流側のケーシング４の内部の圧力を計測することが好ましい。
また、投入口１５の下流側端１５ａとケーシング４の先端側開口との間の真中よりも上流側である範囲Ｓ１部分のケーシング４の内部の圧力は、荷重センサ８で計測されるローラ９，１０に作用する荷重（図７に示す実施形態では、バンク部１１の圧力）との差が十分あるので、ローラ９，１０の回転数制御により適している。

（制御方法）
図５を参照しつつ、ローラダイ付押出機１のスクリュ回転数およびローラ回転数の制御方法について説明する。なお、上記制御は、制御手段としてのコントローラ１２（図１参照）により行われる。圧力センサ５（５ａ、５ｂ）からの信号、および荷重センサ８からの信号は、コントローラ１２に取り込まれる。コントローラ１２は、取り込んだ前記信号に基づいて、スクリュ２，３の回転数、ローラ９，１０の回転数を制御する。

コントローラ１２は、圧力センサ５ａにより計測された圧力（混練部圧力）と、圧力センサ５ｂにより計測された圧力（混練部圧力）との平均圧力（混練部平均圧力）を計算する。また、コントローラ１２は、２つの荷重センサ８により計測された荷重（ローラ荷重）の平均荷重（ローラ平均荷重）を計算する。ローラダイ付押出機１の混練物押出運転中、各センサ５ａ，５ｂ，８からの信号は、常時、コントローラ１２へ送られている。なお、各センサ５ａ，５ｂ，８からの信号が、一定の間隔などでコントローラ１２へ送られるようになっていてもよい。

＜スクリュ回転数の制御＞
コントローラ１２は、上記混練部平均圧力の値に基づいて、スクリュ２，３の回転数を次のように制御する。

コントローラ１２は、上記混練部平均圧力が、所定の（許容される）圧力の範囲よりも低いと、スクリュ２，３の回転数を上昇させ、高いと、スクリュ２，３の回転数を低下させる制御を行う。また、コントローラ１２は、上記混練部平均圧力が所定の（許容される）圧力の範囲の中にあると、すなわち、適正（適正範囲）であると、その時点でのスクリュ２，３の回転数をそのまま維持する制御を行う（ステップ１（Ｓ１））。

混練部平均圧力が低いということは、ケーシング４（ケーシング下流部２４）内の混練物の充満状態が低いということであり、スクリュ２，３の回転数を上昇させることで、混練物の充満状態は上昇に向かう。また、混練部平均圧力が高いということは、ケーシング４（ケーシング下流部２４）内の混練物の充満状態が高い（高すぎる）ということであり、スクリュ２，３の回転数を低下させることで、混練物の充満状態は低下に向かう。
上記制御により、ケーシング４（ケーシング下流部２４）内の混練物の充満状態を安定させることができる。その結果、ケーシング４（ケーシング下流部２４）内においてスクリュ２，３による混練物の安定した混練が可能になり、混練物の分散混合性を高めることができる。

＜ローラ回転数の制御＞
コントローラ１２は、上記混練部平均圧力の値と、上記ローラ平均荷重の値との組み合わせに基づいて、ローラ９，１０の回転数を次のように制御する。

（１）上記混練部平均圧力が、所定の（許容される）圧力の範囲よりも低い場合、ローラ回転数は次のように制御される。コントローラ１２は、上記ローラ平均荷重が、所定の（許容される）荷重の範囲よりも低いと、ローラ９，１０の回転数を低下させ、高いと、ローラ９，１０の回転数を上昇させる制御を行う。また、コントローラ１２は、上記ローラ平均荷重が所定の（許容される）荷重の範囲の中にあると、すなわち、適正（適正範囲）であると、ローラ９，１０の回転数を上昇させる制御を行う（ステップ２_１（Ｓ２_１））。

（２）上記混練部平均圧力が、所定の（許容される）圧力の範囲よりも高い場合、ローラ回転数は次のように制御される。コントローラ１２は、上記ローラ平均荷重が、所定の（許容される）荷重の範囲よりも低いと、ローラ９，１０の回転数を低下させ、高いと、ローラ９，１０の回転数を上昇させる制御を行う。また、コントローラ１２は、上記ローラ平均荷重が所定の（許容される）荷重の範囲の中にあると、すなわち、適正（適正範囲）であると、ローラ９，１０の回転数を低下させる制御を行う（ステップ２_３（Ｓ２_３））。

（３）上記混練部平均圧力が、所定の（許容される）圧力の範囲の中にある場合、ローラ回転数は次のように制御される。コントローラ１２は、上記ローラ平均荷重が、所定の（許容される）荷重の範囲よりも低いと、ローラ９，１０の回転数を低下させ、高いと、ローラ９，１０の回転数を上昇させる制御を行う。また、コントローラ１２は、上記ローラ平均荷重が所定の（許容される）荷重の範囲の中にあると、すなわち、適正（適正範囲）であると、その時点でのローラ９，１０の回転数をそのまま維持する制御を行う（ステップ２_２（Ｓ２_２））。

上記（１）〜（３）の制御を別の表現で記載すると次のようになる。コントローラ１２は、上記混練部平均圧力の値に関係なく、上記ローラ平均荷重が、所定の（許容される）荷重の範囲よりも低いと、ローラ９，１０の回転数を低下させ、高いと、ローラ９，１０の回転数を上昇させる制御を行う。

一方、コントローラ１２は、上記ローラ平均荷重が所定の（許容される）荷重の範囲の中にあると、すなわち、適正（適正範囲）であると、スクリュ２，３の回転数の上昇、低下、維持、に合わせて、ローラ９，１０の回転数を、上昇、低下、維持する制御を行う。より具体的には、スクリュ２，３の回転数を上昇させる場合は、ローラ９，１０の回転数も上昇させ、スクリュ２，３の回転数を低下させる場合は、ローラ９，１０の回転数も低下させ、スクリュ２，３の回転数をそのまま維持する場合は、ローラ９，１０の回転数もそのまま維持する制御を行う。

ローラ回転数に関する上記した制御によると、ローラ手前、すなわちバンク部１１の混練物の圧力を安定させることができる。これにより、ローラ９，１０間に巻き込まれていく混練物の量の変動を抑制することができ、ケーシング４内で混練物の混練度を向上させえることができるとともに、厚みおよび幅が安定したシート５０を製造することができる。

スクリュ回転数およびローラ回転数の前記した制御を表でまとめると表１のようになる。

（第２実施形態）
図６は、本発明の第２実施形態に係るローラダイ付押出機１０２を示す図である。第２実施形態のローラダイ付押出機１０２に関し、第１実施形態のローラダイ付押出機１を構成する部材と同一の部材には同一の符号を付している（後述する第３実施形態についても同様）。

第２実施形態のローラダイ付押出機１０２と、第１実施形態のローラダイ付押出機１との相違点は、ケーシング４（ケーシング下流部２４）の底部に取り付けた圧力センサ５の数である。第１実施形態のローラダイ付押出機１では、混練物の押出方向において、１つの圧力センサ５を配置しているのに対し（左側室４ｂおよび右側室４ｃに１つずつ）、第２実施形態のローラダイ付押出機１０２では、混練物の押出方向において、２つの圧力センサ５を配置している（左側室４ｂおよび右側室４ｃに２つずつ）。

具体的には、ローラダイ付押出機１０２では、左側室４ｂおよび右側室４ｃのそれぞれの室に関し、混練物の押出方向において、投入口１５の下流側端１５ａとケーシング４の先端側開口との間Ｓのケーシング４の底部に、所定の間隔をあけて軸方向に２つの圧力センサ５が取り付けられている。図６には、右側室４ｃに配置した２つの圧力センサ５ｂが示されている。このようにして、本実施形態では、ケーシング４の内部の押出方向における複数箇所の圧力を計測できるように、圧力センサ５が複数設けられている。この構成によると、ケーシング４から吐出される混練物の圧力を安定させることができる。これにより、ローラ９，１０間に巻き込まれていく混練物の量の変動を抑制することができ、ケーシング４内で混練物の混練度を向上させえることができるとともに、厚みおよび幅が安定したシート５０を製造することができる。

なお、ローラダイ付押出機１０２では、計４つの圧力センサ５がケーシング４の底部に取り付けられていることになる。なお、４つの圧力センサ５で計測された圧力を、スクリュ回転数およびローラ回転数の制御で用いる場合、前記したように、本実施形態のスクリュ２，３は、連結されて同一回転数で回転させられるものであるので、４つの圧力センサ５で計測された圧力の平均値をスクリュ回転数およびローラ回転数の制御で用いることになる。

（第３実施形態）
図７は、本発明の第３実施形態に係るローラダイ付押出機１０３を示す図である。第１実施形態のローラダイ付押出機１では、そのローラ９，１０の軸部に荷重センサ８が取り付けられている。第３実施形態のローラダイ付押出機１０３では、この荷重センサ８に代えて、バンク部１１の圧力（バンク部１１内の混練物の圧力）を計測するバンク部圧力センサ１３が、ケーシング４とローラ９，１０との間に設けられている。

第１実施形態の場合と同様、コントローラ１２は、圧力センサ５ａにより計測された圧力（混練部圧力）と、圧力センサ５ｂにより計測された圧力（混練部圧力）との平均圧力（混練部平均圧力）を計算する。

本実施形態では、コントローラ１２は、上記混練部平均圧力の値と、バンク部圧力センサ１３により計測されたバンク部圧力の値との組み合わせに基づいて、ローラ９，１０の回転数を制御する。

図８は、本実施形態におけるスクリュ回転数およびローラ回転数の制御フローを示すフローチャートである。本実施形態におけるスクリュ２，３の回転数の制御については、第１実施形態と同様である。ローラ９，１０の回転数の制御の具体例、すなわちローラ回転数の制御の具体例に関しては、図８を参照しつつ第１実施形態の前記「ローラ回転数の制御」の説明における「ローラ平均荷重」を「バンク部圧力」に、ローラ平均荷重に関する記載の「荷重」を「圧力」に、読み替えられたい。なお、本実施形態におけるスクリュ回転数およびローラ回転数の制御をまとめると表２のようになる。

ローラ回転数に関する上記した制御によると、第１実施形態の場合と同様、ローラ手前、すなわちバンク部１１の混練物の圧力を安定させることができる。これにより、ローラ９，１０間に巻き込まれていく混練物の量の変動を抑制することができ、ケーシング４内で混練物の混練度を向上させえることができるとともに、厚みおよび幅が安定したシート５０を製造することができる。

（変形例）
前記した実施形態の左右一対のスクリュ２，３は、１つの駆動手段により同一の回転数で回転させられる構成とされている。これに代えて、左右一対のスクリュ２，３が、２つの駆動手段により、それぞれ独立に回転させられるように構成されていてもよい。この場合、前記した第１実施形態のようにケーシング４の左右の室のそれぞれに圧力センサ５を設ける場合、例えば、図５に示した制御フローに沿って、左右のスクリュ２，３の回転数をそれぞれの室に配置した圧力センサ５で別々に制御する。ローラ９，１０の回転数制御に関しては、ケーシング４の左右の室に設けた圧力センサ５で計測された圧力の例えば平均の圧力をローラ９，１０の回転数制御に用いる。

ケーシング４（ケーシング下流部２４）の内部の圧力を計測する圧力センサ５を、ケーシング４（ケーシング下流部２４）の底部ではなく、ケーシング４（ケーシング下流部２４）の側部または上部に取り付けてもよい。

ケーシング４の左右の室に、それぞれ２つ以上の圧力センサを取り付けてもよい。

混練物の押出方向（スクリュの軸方向）において、３つ以上の圧力センサをケーシング４（ケーシング下流部２４）に取り付けてもよい。

左右一対のスクリュ２，３ではなく、スクリュを１本のみ有するスクリュ式押出機であってもよい。

その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行える。

１：ローラダイ付押出機（スクリュ式押出機）
２、３：スクリュ
４：ケーシング
Ｔ：頂部
Ｍ１，Ｍ２，Ｍ３：仮想線
Ｏ：回転中心
５：圧力センサ
８：荷重センサ
９、１０：ローラ
１２：コントローラ
１３：バンク部圧力センサ
１５：投入口
１５ａ：下流側端

Claims

スクリュと、
前記スクリュを収容し、上流側に材料の投入口が設けられたケーシングと、
を備える、混練物の押出を行うスクリュ式押出機において、
前記投入口の下流側端と前記ケーシングの先端側開口との間の前記ケーシングの内部の圧力を計測する圧力センサが設けられており、
前記ケーシングの内壁面の混練物の押出方向に直交する断面は、２つの円が一部重なり合ったようなメガネ形状となっており、
回転方向が互いに逆方向であり、前記メガネ形状の前記ケーシングの中央に対して上から下に回転する左右一対の前記スクリュが前記ケーシングに収容されており、
前記断面において、前記ケーシングの底側中央の頂部から水平方向に延ばした仮想線と左右一対の前記スクリュの回転中心からそれぞれ下方へ延ばした仮想線とで区画された部分の前記ケーシングの内部の圧力が前記圧力センサにより計測されており、
前記圧力センサにより計測された圧力に応じて前記スクリュの回転数が制御されていることを特徴とする、スクリュ式押出機。
請求項１に記載のスクリュ式押出機において、
前記ケーシングの左側室および右側室のそれぞれの圧力を計測できるように、前記圧力センサが複数設けられていることを特徴とする、スクリュ式押出機。
スクリュと、
前記スクリュを収容し、上流側に材料の投入口が設けられたケーシングと、
を備える、混練物の押出を行うスクリュ式押出機において、
前記投入口の下流側端と前記ケーシングの先端側開口との間の前記ケーシングの内部の圧力を計測する圧力センサが設けられており、
前記ケーシングの前方に、混練物をシート状に成形する上下一対のローラが配置されており、
前記ローラに作用する荷重を計測する荷重センサが設けられており、
前記圧力センサにより計測された圧力に応じて前記スクリュの回転数が制御されているとともに、前記圧力センサにより計測された圧力と前記荷重センサにより計測された荷重との組み合わせで前記ローラの回転数が制御されていることを特徴とする、スクリュ式押出機。
スクリュと、
前記スクリュを収容し、上流側に材料の投入口が設けられたケーシングと、
を備える、混練物の押出を行うスクリュ式押出機において、
前記投入口の下流側端と前記ケーシングの先端側開口との間の前記ケーシングの内部の圧力を計測する圧力センサが設けられており、
前記ケーシングの前方に、混練物をシート状に成形する上下一対のローラが配置されており、
前記ケーシングと前記ローラとの間の部分であるバンク部の圧力を計測するバンク部圧力センサがさらに設けられており、
前記圧力センサにより計測された圧力に応じて前記スクリュの回転数が制御されているとともに、前記圧力センサにより計測された圧力と前記バンク部圧力センサにより計測された圧力との組み合わせで前記ローラの回転数が制御されていることを特徴とする、スクリュ式押出機。
請求項３または４に記載のスクリュ式押出機において、
前記ケーシングは先細り形状であって、
前記投入口の下流側端と前記ケーシングの先端側開口との間の真中よりも上流側の前記ケーシングの内部の圧力が前記圧力センサにより計測されていることを特徴とする、スクリュ式押出機。
請求項１〜５のいずれかに記載のスクリュ式押出機において、
前記ケーシングの内部の前記押出方向における複数箇所の圧力を計測できるように、前記圧力センサが複数設けられていることを特徴とする、スクリュ式押出機。