JP6662104B2 - 免震装置 - Google Patents

免震装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6662104B2
JP6662104B2 JP2016038708A JP2016038708A JP6662104B2 JP 6662104 B2 JP6662104 B2 JP 6662104B2 JP 2016038708 A JP2016038708 A JP 2016038708A JP 2016038708 A JP2016038708 A JP 2016038708A JP 6662104 B2 JP6662104 B2 JP 6662104B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seismic isolation
column
overhang
isolation column
overhanging portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016038708A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017154852A (ja
Inventor
佐藤 祐二
祐二 佐藤
浩祐 岩本
浩祐 岩本
晃祥 大豊
晃祥 大豊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IHI Corp filed Critical IHI Corp
Priority to JP2016038708A priority Critical patent/JP6662104B2/ja
Publication of JP2017154852A publication Critical patent/JP2017154852A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6662104B2 publication Critical patent/JP6662104B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Warehouses Or Storage Devices (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

本発明は、立体倉庫、ボイラ鉄骨、立体パーキング、荷役設備等の鋼構造物が地震発生時に揺れるのを低減する免震装置に関する。
立体倉庫は、複数の鋼鉄製の柱と複数段の鋼鉄製の梁により複数のラック(棚)を立体的に組み立てた構成を有している。大規模な地震が発生した場合には、立体倉庫の揺れによって格納された荷が落下して損傷する可能性があり、更には、立体倉庫が損壊する可能性がある。このため、立体倉庫に免震装置を備えることにより地震に対する安全性を高めることが考えられている。
立体倉庫の柱の免震装置としては、立体倉庫を構成する複数の柱の各下端部と基礎との間に、積層ゴムからなる免震装置を備えたものがある(特許文献1)。因みに、特許文献1のように、多数の柱が設けられる立体倉庫の各柱の下端に積層ゴムによる免震装置を備えた場合には、基礎の増設が必要なことや積層ゴムが比較的高価であることから立体倉庫の設備コストが増加する問題があった。又、柱部材の間に、フランジを有して配置され、傾くことで構造物を構成する柱を免震する免震柱と、柱部材と免震柱を、免震機能を持たせながら拘束する拘束部材とを備えた免震構造がある(特許文献2)。
特開2006−104883号公報 特開2015−025263号公報
しかしながら、特許文献2によれば、簡略な構成によって構造物の柱を免震することができる反面、免震柱の傾きが開始するトリガ荷重を大きく設定することができない場合があった。ここで、トリガ荷重とは、下部フランジと上部フランジとの間に免震柱が挟持された構成において、下部フランジが水平方向へ移動した際に免震柱が傾きを開始する水平方向の負荷を示す。即ち、特許文献2においてトリガ荷重を大きく設定して傾き難くするために、前記フランジを大きい長さで形成した場合には、狭隘な構造物の柱に接近した接近部材が存在することにより、大きい長さのフランジが干渉して設置できない場合がある。従って、構造物の柱に対して免震構造を適用する際の設置の自由度が狭く抑えられ、このために十分なトリガ荷重を設定できない場合が考えられる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、鋼構造物に対して設置する際の自由度を高めることができる免震装置を提供しようとするものである。
本発明は、鋼構造物である上側部材及び下側部材と、
前記上側部材と前記下側部材との間に傾斜自在に配設され、前記上側部材に当接する上側張出部が上端部に形成され、前記下側部材に当接する下側張出部が下端部に形成された免震柱と、
前記免震柱の上端部に形成した前記上側張出部が前記上側部材に対して水平方向へ移動しないように拘束する上側拘束部材と、
前記免震柱の下端部に形成した前記下側張出部が前記下側部材に対して水平方向へ移動しないように拘束する下側拘束部材を有し、
前記上側張出部及び前記下側張出部の前後方向の水平長さと左右方向の水平長さの少なくとも一方が、前記上側張出部と前記下側張出部とで互いに異なることを特徴とする免震装置、に係るものである。
前記免震装置において、前記免震柱の長さをH、前記上側張出部の水平長さをb1'、前記下側張出部の水平長さをb2'としたとき、前記免震柱の傾きが開始するトリガαは
α=(b1'+b2')/H
である。
前記免震装置において、傾斜した前記免震柱が自重で復帰できる傾斜角度に対応した位置で前記免震柱の傾きを制限するストッパ手段を備えることができる。
前記免震装置において、前記免震柱の前記上側張出部には、前記上側張出部の端縁から前記免震柱の傾斜を許容する方向へ向けて上り勾配の上側テーパ面を備え、前記免震柱の前記下側張出部には、前記下側張出部の端縁から前記免震柱の傾斜を許容する方向へ向けて下り勾配を有する下側テーパ面を備えることができる。
前記免震装置において、前記上側張出部又は前記下側張出部のいずれか一方が、前記上側張出部又は前記下側張出部に連結した連結ピンとなっていても良い。
前記免震装置において、水平長さが互いに異なる前記上側張出部と前記下側張出部を有して隣接した前記免震柱は連結材により相互に固定することができる。
本発明の免震装置によれば、鋼構造物に対して免震装置を設置する際の自由度を高めることができるという優れた効果を発揮する。
本発明の免震装置の実施例を示す切断正面図である。 (a)は図1をII−II方向から見た下側張出部の形状を示す平面図、(b)は(a)とは異なる下側張出部の形状を示す平面図である。 図1をIII−III方向から見た側面図である。 図1の免震柱が地震により傾斜した状態を示す切断正面図である。 本発明の免震装置に備えるストッパ手段の構成例を示す切断正面図である。 (a)は上側張出部の水平長さと下側張出部の水平長さが同一である従来の場合のトリガ荷重を説明するための略図、(b)は上側張出部の水平長さと下側張出部の水平長さが異なる本発明の場合のトリガ荷重を説明するための略図である。 免震柱の下端を連結ピンにより下側部材に連結した実施例を示す切断正面図である。 図7をVIII−VIII方向から見た側面図である。 上側張出部に上側テーパ面を備え、下側張出部に下側テーパ面を備えた実施例を示す切断正面図である。 (a)は本発明の免震装置を適用する鋼構造物の一例である立体倉庫の正面図、(b)は(a)の側面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図10(a)及び図10(b)は、本発明の免震装置を適用する鋼構造物の一例である立体倉庫100を示しており、立体倉庫100は、複数の鋼鉄製の柱1と複数段の鋼鉄製の梁2によって複数のラック3を立体的に組み立てている。立体倉庫100は、スタッカークレーン4を挟むように立設しており、スタッカークレーン4の走行方向に沿って延びる長さを有し、スタッカークレーン4の走行方向と直交する幅方向は格納される荷の大きさに対応した狭い幅となっている。前記立体倉庫100を構成する複数の柱1は、ラック3に格納される荷の重量を支持するために高い強度を有している。
そして、図10の立体倉庫100を構成する複数の柱1に本発明の免震装置50を設ける。免震装置50は、図10に示す立体倉庫100に備えられる柱1の同一高さ位置に設けられる。前記免震装置50は、該免震装置50より上部の立体倉庫100全体がロッキングする挙動を発生させないために、上から1/3〜1/2程度の高さ位置に設置することができる。このように、前記免震装置50を立体倉庫100の上部に設置しても、免震の効果により、免震装置50より上側の揺れが小さくなることで、結果的に免震装置50より下側の構造物の揺れも小さくなることが本発明者等の研究により判明している。尚、立体倉庫100に対して設置する免震装置50の高さ位置は状況に応じて任意に選定できる。
図1〜図3は、本発明に係る免震装置50の実施例を示す。鋼構造物の一例である立体倉庫100を構成する上下方向に延びた前記柱1の途中は所要の長さで切り欠いてあり、上側の柱1の下端部1aには水平なフランジ状の上側部材1Aを設け、下側の柱1の上端部1bには水平なフランジ状の下側部材1Bを設けている。
そして、本発明の免震装置50は、上側部材1Aと、下側部材1Bと、上側部材1Aと下側部材1Bの間に配置した免震柱5と、上側部材1Aに固定した上側拘束部材6と、下側部材1Bに固定した下側拘束部材7とを備えている。
前記免震柱5は、上側部材1Aと下側部材1Bとの間に、前記上側拘束部材6と下側拘束部材7を介して傾斜自在に配設される。
前記免震柱5の上端部5aには、水平フランジからなる上側張出部8が形成され、前記免震柱5の下端部5bには、水平フランジからなる下側張出部9が形成されている。尚、前記柱1及び免震柱5は、水平断面が矩形形状を有する中空の角型鋼材である場合を示したが、該角型鋼材に限定されるものではなく、H型鋼材、I型鋼材、Z型鋼材、円筒型鋼材であっても良い。
前記上側拘束部材6は、前記免震柱5の上端部5aに形成した上側張出部8が上側部材1Aに対して水平方向左右及び前後へ移動しないように拘束するためのものであり、上側張出部8の左右の端面及び前後の端面に接近した位置で上側部材1Aに固定されている。又、前記下側拘束部材7は、前記免震柱5の下端部5bに形成した下側張出部9が前記下側部材1Bに対して水平方向左右及び前後へ移動しないように拘束するためのものであり、下側張出部9の左右の端面及び前後の端面に接近した位置で下側部材1Bに固定されている。上側張出部8を挟むように上側部材1Aに固定した上側拘束部材6,6は、相互の間隔が下方へ向かって大きくなるように傾斜した傾斜面6aを有している。又、下側張出部9を挟むように下側部材1Bに固定した下側拘束部材7,7は、相互の間隔が上方へ向かって大きくなるように傾斜した傾斜面7aを有している。図2(a)、図2(b)に示すように、下側張出部9を前後に挟む位置には、下側張出部9が下側部材1Bに対して水平方向前後へ移動しないように拘束する下側拘束部材7'を設けている。
免震柱5の上側張出部8の移動は上側拘束部材6により拘束され、下側張出部9の移動は下側拘束部材7によって拘束されているので、中小規模の地震により水平方向へ比較的小さい加速度の揺れが発生しても、免震柱5は鉛直に保持される。一方、大規模な地震により図4に示すように左右方向へ大きな加速度Vの揺れが発生した場合は、免震柱5のトリガ荷重を超えることにより、上側張出部8の左右の端縁を支点pとして、及び、下側張出部9の左右の端縁を支点pとして左右方向へ傾斜することにより立体倉庫100を免震する。又、前後方向へ大きな加速度の揺れが発生した場合には、免震柱5は前記左右方向と同様に前後方向へ傾斜して免震する。このとき、上側拘束部材6には傾斜面6aを設け、下側拘束部材7には傾斜面7aを設けているので、免震柱5の傾斜を阻害するようなことはない。更に、免震柱5が傾斜した状態から再び鉛直の状態に戻る復元時には、前記傾斜面6a、7aは上側張出部8及び下側張出部9の戻りを案内するようになる。尚、上側部材1Aと上側張出部8との間、及び、下側部材1Bと下側張出部9との間にはシート状の弾性材10を配置することができる。シート状の弾性材10としては、ゴム等の弾性材料や、シリコン製ラバー等の発泡材料のように、金属と比較して体積変化の少ない非圧縮性材料を用いることができる。尚、シート状の弾性材10は、免震装置50の必須の構成ではなく、免震装置50の構成として備えなくても良い。
図5は、傾斜した前記免震柱5が自重で復帰できる傾斜角度に対応した位置で前記免震柱5の傾きを制限するストッパ手段11を設けた実施例を示している。このストッパ手段11は、上側張出部8の端縁(支点pの位置)の近傍と前記上側部材1Aとの間を、ボルト12とナット13により所要の遊びXを有して締結している。免震柱5が傾くことにより上側張出部8が所定の角度で傾くと上側張出部8がナット13に衝突することによりそれ以上の傾斜は制限される。上側部材1Aの上面には、ボルト12を設置するための座ぐり14が設けてあり、座ぐり14によってボルト12が上側部材1Aから突出しないようにしている。前記ストッパ手段11は、免震柱5の傾きを制限することができればよく、従って、図5に示すボルト12とナット13によるストッパ手段11以外に、種々の構成を採用することができる。例えば、上側部材1Aから上側拘束部材6の外側を通って前記ナット13の位置まで延びたフック爪を前記上側部材1Aに設けることによっても上側張出部8の傾きを制限することができる。図5では上側張出部8と前記上側部材1Aとの間にストッパ手段11を設けた場合を示したが、下側張出部9と下側部材1Bとの間にも図5と同様のストッパ手段11を設けることができる。
図1の立体倉庫100の左右方向の一側外方(図1では右側外方)にはスタッカークレーン4が配置されている。スタッカークレーン4には、クレーン本体4aから立体倉庫100に接近するように突出した運転台等の接近部材4bが設けられている。このような接近部材4bを有する立体倉庫100の柱1に本発明の免震装置50を適用する際において、図1のように接近部材4bに対応した位置に下側張出部9を設置する場合には、下側張出部9の水平長さb2'は、下側部材1Bと接近部材4bとの間が所定の間隔Sとなるように短い長さとする必要があった。即ち、下側張出部9の水平長さb2'は接近部材4bによって制限されていた。
一方、接近部材4bと離れてクレーン本体4aに対応して配置する上側張出部8は、上側部材1Aとクレーン本体4aとの間が所定の間隔Sとなるように最大限の長さにすることができる。
図6(a)は免震柱5の上側張出部8の水平長さb1と下側張出部9の水平長さb2が同一(b1=b2)である従来の場合のトリガ荷重を説明するための略図であり、図6(b)は図1に示したように上側張出部8の水平長さb1'と下側張出部9の水平長さb2'が異なる(b1'≠b2')本発明の場合のトリガ荷重を説明するための略図である。図6(a)、図6(b)の免震柱5は同一の長さH(高さ)を有している。更に、免震柱5の上端には鉛直上方から大きな荷重Wが作用しており、免震柱5は上側張出部8と下側張出部9の面を介して鉛直に直立している。免震柱5の上端には水平方向から負荷Fが作用しており、所定以上の負荷F(トリガ荷重)が作用すると、免震柱5はトリガ機能により支点pを中心として破線で示すように傾動する。
図6(a)の従来においては、図1に示したように接近部材4bによって下側張出部9の水平長さb2が短く制限されることにより、この短く制限された下側張出部9の水平長さb2によってトリガ荷重は決定されると判断されていた。このため、従来は、短く制限された下側張出部9の水平長さb2に合わせて上側張出部8の水平長さb1も短く設定していた。
ここで、図1に示すように、上側部材1Aと下側部材1Bの間に、上側張出部8と下側張出部9を有する免震柱5が挟持された構成において、図6(a)の場合のトリガα(傾き難さを示す無次元値)は
α=b2/H
により求めていた。
これに対し、本発明では、図1、図6(b)に示すように、接近部材4bに対応する位置に設けた下側張出部9は、短い水平長さb2'とすることにより下側部材1Bが接近部材4bに干渉しない間隔Sを保持するようにし、これに対し、接近部材4bが存在しない位置に設けられる上側張出部8は、クレーン本体4aに干渉しない間隔Sを保持する範囲で前記下側張出部9よりも大きい最大限の水平長さb1'とすることができる。ここで、上側拘束部材6を備えて上側張出部8を支持する上側部材1Aは、上側張出部8の水平長さb1'よりも長い水平長さL1'を有している。又、下側拘束部材7を備えて下側張出部9を支持する下側部材1Bは、下側張出部9の水平長さb2'よりも長い水平長さL2'を有している。尚、図1では、下側張出部9は小さい水平長さb2'とし、上側張出部8は大きい水平長さb1'とした場合について示したが、接近部材4bの位置に応じて、上側張出部8を小さい水平長さとし、下側張出部9を大きい水平長さとしてもよい。
本発明者らは、研究を重ねた結果、上側張出部8の水平長さb1'と下側張出部9の水平長さb2'の和によりトリガ荷重が決定されることを見出した。
ここで、図1に示すように、上側部材1Aと下側部材1Bの間に、上側張出部8と下側張出部9を有する免震柱5が挟持された構成において、図6(b)の場合のトリガα(傾き難さを示す無次元値)は
α=(b1'+b2')/H
であることを得た。
従って、下側張出部9の水平長さb2'が接近部材4bによって制限されても、上側張出部8の水平長さb1'を最大限に設定することにより、図6(b)における和の水平長さb1'+b2'は、図6(a)の和の水平長さb1+b2よりも大きくすることができる。よって、図6(b)の本発明によれば図6(a)の従来に比して大きいトリガαを得られることがわかる。図6(b)に示すように水平長さの和(b1'+ b2')を大きく設定することにより大きなトリガαが得られるので、大規模の地震が発生した際に初めて免震柱5が傾きを開始するようにして、大規模地震に対する免震を図ることができる。
尚、立体倉庫100を備えた倉庫設備においては、スタッカークレーン4から立体倉庫100に接近するように突出した前記接近部材4bが存在する他に、立体倉庫を包囲する壁面から立体倉庫100に接近するように突出した照明器具、ファン、制御機器等の接近部材が存在する場合がある。従って、このような接近部材が存在する立体倉庫100に本発明の免震装置50を適用する場合には、上側張出部8と下側張出部9のうちの前記接近部材に対応して配置される一方側は小さい水平長さb2'とし、上側張出部8と下側張出部9の他方側は大きい水平長さb1'とすることで、水平長さの和を大きく設定することができる。
図2(a)に示す下側張出部9は、左右方向には小さい水平長さb2'を有し、前後方向へは前記上側張出部8の水平長さb1'と同等の大きい水平長さb1'を有する長方形の場合を示している。又、図2(b)に示す下側張出部9は、左右方向と前後方向がいずれも同一の小さい水平長さb2'を有する正方形の場合を示している。
図1、図3に示す如く、水平長さが互いに異なる上側張出部8と下側張出部9を有して隣接している免震柱5は、連結材15により相互に固定することができる。
図7、図8は、前記免震柱5の上端部5aと前記上側部材1Aの間、及び、前記免震柱5の下端部5bと前記下側部材1Bの間のいずれか一方を連結ピン16により連結した実施例を示している。図7、図8では、免震柱5の上端部5aに設けた上側張出部8は左右方向へ大きな水平長さb1'を有しており、免震柱5の下端部5bは前後方向へ延びた連結ピン16とブラケット17を介して下側部材1Bに対して左右方向へ揺動可能に取り付けている。図7、図8の実施例によれば、図1のような下側拘束部材7の設置が不要になるため、下側部材1Bの左右方向の水平長さは更に小さくすることができる。又、図7、図8の構成とは逆に、免震柱5の下端部5bに大きい水平長さb1'の上側張出部8を設け、免震柱5の上端部5aを連結ピン16により上側部材1Aに連結してもよい。更に、図7、図8の実施例においても、連結ピン16によって下側部材1Bに取り付けて隣接した免震柱5は、連結材15によって相互に固定することができる。
次に、上記実施例の作用を説明する。
図1に示す免震装置50では、地震が発生していない平常時には、上側張出部8の上面の全面が上側部材1Aに当接し、下側張出部9の下面の全面が下側部材1Bに当接している。従って、図1に示すように免震柱5は鉛直に保持され、免震柱5の上側の柱1に掛かる荷重は、上側部材1Aから上側張出部8を介して免震柱5に伝達され、更に下側張出部9から下側部材1Bを介して下側の柱1に伝達される。
上側部材1Aには前記免震柱5の上側張出部8が水平方向へ移動しないように拘束する上側拘束部材6が設けてあり、又、下側部材1Bには前記免震柱5の下側張出部9が水平方向へ移動しないように拘束する上側拘束部材6を設けている。従って、中小規模の地震により水平方向へ比較的小さい加速度の揺れが発生しても、免震柱5は鉛直に保持される。これは、水平方向の加速度により免震柱5を傾けようとするモーメントが、免震柱5によって支持されている鉛直方向の荷重により免震柱5を鉛直状態に保持しようとするモーメントを超えない限り、免震柱5は傾くことができないトリガ機能によるものである。
一方、大規模な地震の発生によって、水平方向へ大きな加速度の揺れが発生した場合、上側の柱1が慣性によりその場にとどまろうとするのに対し、下側の柱1は水平方向へ相対移動した状態となる。このとき、免震柱5の下側張出部9は、下側拘束部材7で拘束されているために水平方向へ移動することができない。しかし、免震柱5は上側部材1Aと下側部材1Bの間に挟持されているのみであるため、免震柱5の上側張出部8と下側張出部9にトリガ荷重の範囲を超えた負荷が作用した場合には、図4に示す如く、免震柱5は、上側張出部8と下側張出部9の左右方向の端縁を支点p、pとして傾きを開始する。このように免震柱5が傾くことによる免震の効果により、水平左右方向への大きな地震力の伝達は低減される。
ここで、上側部材1Aと下側部材1Bの間に、上側張出部8と下側張出部9を有する免震柱5が挟持された構成においては、免震柱5の高さHが一定であると、上側張出部8の水平長さb1'と下側張出部9の水平長さb2'が異なっていても、水平長さb1'と下側張出部9の水平長さb2'の和(b1'+b2')が一定であれば、トリガα(傾き難さを示す無次元値)は下記式
α=(b1'+b2')/H
から一定となる。
従って、本発明の免震装置50を立体倉庫100に適用する際に、免震装置50を設置しようとする立体倉庫100に接近部材4bが存在する場合には、接近部材4bに対応した部分には、図1における短い水平長さb2'の下側張出部9を有する下側部材1Bの構成を適用し、接近部材4bが存在しない部分には、図1における長い水平長さb1'の上側張出部8を有する上側部材1Aの構成を適用する。
すると、図6(b)における長い水平長さb1'の上側張出部8と短い水平長さb2'の下側張出部9の長さの和b1'+b2'を、図6(a)に示す従来に比べて大きく設定できるので、大規模の地震が発生した際に初めて免震柱5の傾きが開始するように大きなトリガαに設定することができる。従って、大規模の地震に対して免震できるようになる。
本発明の免震装置50は、本発明を適用する立体倉庫100からなる鋼構造物に柱1に接近した接近部材4bが存在している場合に、上側張出部8及び下側張出部9の前後方向の水平長さと左右方向の水平長さの少なくとも一方が、上側張出部8と下側張出部9とで互いに異なるようにしている。即ち、短い水平長さb2'を有する下側張出部9は前記接近部材4bと対応するように配置し、長い水平長さb1'を有する上側張出部8は前記接近部材4bを有していない部分に配置する。すると、前記接近部材4bが存在していても、上側張出部8と下側張出部9の水平長さの和b1'+b2'が大きくなるように免震装置50を配置することができる。従って、立体倉庫100に対して適用する免震装置50の設置の自由度を高めることができる。
又、免震装置50には、図5に示すように、傾斜した免震柱5が自重で復帰できる傾斜角度に対応した位置で免震柱5の傾きを制限するストッパ手段11を備えたので、前記免震柱5が過大に傾斜しようとしても、ストッパ手段11によって、免震柱5が限界傾斜角度位置を超えて傾斜することは阻止される。この結果、免震柱5が倒れる心配はなく、元の位置に確実に復帰可能となるため、立体倉庫100が倒壊するような問題を未然に防止することができる。
又、図7、図8に示す如く、免震柱5の上端部5aと上側部材1Aの間、及び、免震柱5の下端部5bと下側部材1Bの間のいずれか一方を連結ピン16により連結すると、連結ピン16を下側張出部として考えた場合、この下側張出部の左右方向の水平長さは0に近くなる。更に、連結ピン16によって連結したことにより、図1に示す下側拘束部材7の設置を不要にできるため、免震装置50の構成を更に簡略にできる。
図1、図3、図7、図8に示す如く、水平長さが互いに異なる上側張出部8と下側張出部9を有して隣接した免震柱5を連結材15により固定すると、各免震柱5の挙動を安定させることができる。免震装置50を構成する各免震柱5が単独で傾斜可能に備えられた場合には、製作誤差等から各免震柱5が自由に動いてしまい、このために安定し免震効果が得られないことが考えられるが、連結材15により固定した免震柱5は一緒に挙動するようになるため、安定した免震効果が得られようになる。
図9は上側張出部8には上側テーパ面18を備え、下側張出部9には下側テーパ面19を備えた実施例を示す切断正面図である。図9に示すように、免震柱5の上側張出部8には、上側張出部8の左右方向の端縁から免震柱5の傾斜を許容するように上方内側へ向けて上り勾配の上側テーパ面18を設けることにより小当接面18aを形成している。又、免震柱5の下側張出部9には、下側張出部9の左右方向の端縁から免震柱5の傾斜を許容するように下方内側へ向けて下り勾配の下側テーパ面19を設けることにより小当接面19aを形成している。従って、上側張出部8及び下側張出部9には、上側張出部8及び下側張出部9全面よりも小さい面積で上側部材1A及び下側部材1Bに当接する小当接面18a、19aが形成される。尚、上側テーパ面18及び下側テーパ面19を設けることに代えて、上側張出部8の上面及び下側張出部9の下面から突出することで、上側部材1A及び下側部材1Bに当接する小当接面18a、19aを形成する突部を備えてもよい。尚、前記上側テーパ面18及び下側テーパ面19は、上側張出部8及び下側張出部9の前後の端縁に対しても同様に設けることができる。
図9の実施例では、地震が発生していない平常時及び小規模の地震の発生時は、上側張出部8の小当接面18aが上側部材1Aに当接し、下側張出部9の小当接面19aが下側部材1Bに当接して免震柱5は鉛直に保持される。中規模の地震の発生により柱1が水平方向へ比較的小さい加速度で揺れて免震柱5に所定以上の負荷が作用すると、トリガαを越えて免震柱5は小当接面18a、19aの支点q、qを中心に傾きを開始し、これにより立体倉庫100は免震される。
小当接面18a、19aを備えたことにより免震柱5が中規模の地震で支点q、qを中心に傾くトリガ荷重を設定できるので、中規模の地震によって図10のラック3の荷が飛び出して落下するような問題を防止できる。
又、大規模な地震が発生した場合には、免震柱5の傾斜により上側張出部8の上側テーパ面18が上側部材1Aに接触し、下側張出部9の下側テーパ面19が下側部材1Bに接触した後、上側張出部8の左右方向の端縁による支点p及び下側張出部9の左右方向の端縁による支点pを中心に更に傾斜することにより免震される。このように、小当接面18a、19aによるトリガ機能と、上側張出部8及び下側張出部9の端縁によるトリガ機能が二段階で作用することにより、高い免震効果を発揮できるようになる。
また、免震柱5の上側張出部8と上側部材1Aの間、及び、下側張出部9と下側部材1Bの間にそれぞれシート状の弾性材10を介在させると、介在されたシート状の弾性材10は緩衝材として作用し、免震柱5と上側部材1A及び下側部材1Bの接触に伴う高周波振動の発生を抑制することができ、よって免震の効果を高めることができると共に騒音の発生を低減できる。
なお、本発明の免震装置は、上述の実施例に示した立体倉庫100以外に、ボイラ鉄骨、立体パーキング、荷役設備等の様々な構造物に適用できる。また、本発明の免震装置は、水平断面が矩形形状を有する場合について例示したが、矩形形状以外に多角形状或いは円形状としてもよいこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更できる。
1A 上側部材
1B 下側部材
5 免震柱
5a 上端部
5b 下端部
6 上側拘束部材
7 下側拘束部材
8 上側張出部
9 下側張出部
11 ストッパ手段
15 連結材
16 連結ピン
18 上側テーパ面
19 下側テーパ面
50 免震装置
100 立体倉庫(鋼構造物)
b1' 水平長さ
b2' 水平長さ
α トリガ

Claims (6)

  1. 鋼構造物である上側部材及び下側部材と、
    前記上側部材と前記下側部材との間に傾斜自在に配設され、前記上側部材に当接する上側張出部が上端部に形成され、前記下側部材に当接する下側張出部が下端部に形成された免震柱と、
    前記免震柱の上端部に形成した前記上側張出部が前記上側部材に対して水平方向へ移動しないように拘束する上側拘束部材と、
    前記免震柱の下端部に形成した前記下側張出部が前記下側部材に対して水平方向へ移動しないように拘束する下側拘束部材を有し、
    前記上側張出部及び前記下側張出部の前後方向の水平長さと左右方向の水平長さの少なくとも一方が、前記上側張出部と前記下側張出部とで互いに異なることを特徴とする免震装置。
  2. 前記免震柱の長さをH、前記上側張出部の水平長さをb1'、前記下側張出部の水平長さをb2'としたとき、前記免震柱の傾きが開始するトリガαは
    α=(b1'+b2')/H
    であることを特徴する請求項1に記載の免震装置。
  3. 傾斜した前記免震柱が自重で復帰できる傾斜角度に対応した位置で前記免震柱の傾きを制限するストッパ手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の免震装置。
  4. 前記免震柱の前記上側張出部には、前記上側張出部の端縁から前記免震柱の傾斜を許容する方向へ向けて上り勾配の上側テーパ面を備え、前記免震柱の前記下側張出部には、前記下側張出部の端縁から前記免震柱の傾斜を許容する方向へ向けて下り勾配を有する下側テーパ面を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の免震装置。
  5. 前記上側張出部又は前記下側張出部のいずれか一方が、前記上側張出部又は前記下側張出部に連結した連結ピンとなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の免震装置。
  6. 水平長さが互いに異なる前記上側張出部と前記下側張出部を有して隣接した前記免震柱は連結材により相互に固定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の免震装置。
JP2016038708A 2016-03-01 2016-03-01 免震装置 Active JP6662104B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016038708A JP6662104B2 (ja) 2016-03-01 2016-03-01 免震装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016038708A JP6662104B2 (ja) 2016-03-01 2016-03-01 免震装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017154852A JP2017154852A (ja) 2017-09-07
JP6662104B2 true JP6662104B2 (ja) 2020-03-11

Family

ID=59807903

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016038708A Active JP6662104B2 (ja) 2016-03-01 2016-03-01 免震装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6662104B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6168151B2 (ja) * 2013-08-19 2017-07-26 株式会社Ihi 免震構造
JP6398281B2 (ja) * 2014-04-17 2018-10-03 株式会社Ihi 免震構造
JP2015205751A (ja) * 2014-04-21 2015-11-19 株式会社Ihi 免震構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017154852A (ja) 2017-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013157434A1 (ja) 自動倉庫のラック
JP2015224482A (ja) 免震構造
JP6168151B2 (ja) 免震構造
JP6662104B2 (ja) 免震装置
JP6107955B2 (ja) 構造物を構成する柱の免震構造及び構造物
JP6398281B2 (ja) 免震構造
JP4765847B2 (ja) 荷保管用ラックの荷支持装置
JP4759855B2 (ja) 鋼構造物の水平2軸免震装置
JP6753072B2 (ja) 免震装置
JP6716946B2 (ja) 免震装置
JP5825355B2 (ja) 自動倉庫のラック装置
JP5696905B2 (ja) ラックの制振構造
JP4849232B2 (ja) 荷保管用ラックの荷支持装置
JP4971697B2 (ja) 耐力壁フレーム
JP2015218468A (ja) 免震構造
JP6414271B2 (ja) 構造物を構成する柱の免震構造
JP6398269B2 (ja) 免震構造
JP2020158287A (ja) ラックの制振構造
JP6224357B2 (ja) 制振構造
JP6720596B2 (ja) 免震装置
JP6232803B2 (ja) 構造物を構成する柱の免震構造
JP2008050123A (ja) 荷保管用ラックの荷支持装置
JP2015205751A (ja) 免震構造
JP2021188448A (ja) 跳ね出し壁構造
JP2016079655A (ja) 免震構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191029

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200127

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6662104

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151