JP6659697B2 - 最適化された組織固定のための拡散モニタリングプロトコル - Google Patents

最適化された組織固定のための拡散モニタリングプロトコル Download PDF

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Description

[001]本開示は、組織標本の解析に関する。より詳細には、本開示は、組織試料の処理のモニタリングに関する。
[002]組織切片、血液、細胞培養等などの生体標本の解析において、生体標本は、染色及び生物マーカの1つ又は複数の組み合わせで色付けされ、結果として得られたアッセイは、さらなる解析のために目視又はイメージングされる。アッセイを観察することによって、病気の診断、治療に対する反応の評価、及び病気と戦うための新薬の開発などの様々なプロセスを可能にする。アッセイは、以下目標又は目標物と呼ばれる標本中のたんぱく質、たんぱく質断片、又は他の関心の対象に結合する抗体に結合される1つ又は複数の染色を含む。標本中の目標を染色に結合する抗体又は他の化合物は、本開示において生物マーカと呼ばれる。一部の生物マーカは、色付けに対して一定の関係を有する(例えば、対比染色ヘマトキシリンがしばしば使用される)、これに対して、他の生物マーカの場合、色付けの選択は、新しいアッセイを開発及び創出するために使用することができる。
[003]イメージングのためにアッセイで調製される前に、人間の対象からの組織切片などの生体標本は、細胞の代謝活性を中断させる液体内にしばしば置かれる。このプロセスは、一般に「固定」と呼ばれ、いくつかの異なるタイプの液体によって達成することができる。解剖病理学研究室によって使用されている最も一般的な固定剤は、10%の中性緩衝されたホルマリン(NBF)である。この固定剤は、ホルムアルデヒド分子とアミノ含有細胞分子との間の架橋結合を形成する。加えて、このタイプの固定剤は、保管のためにたんぱく質を保存する。室温で使用されるとき、NBFは、組織切片及び架橋結合たんぱく質及び核酸の中に拡散し、それによって代謝を停止し、生体分子を保存し、パラフィンワックス浸潤のために組織を準備する。ホルマリンは、架橋結合速度をさらに増大させるためにわずかに上昇した温度と(すなわち、室温よりも高く)することができ、これに対して低い温度のホルマリンは、架橋結合速度をかなり減少させ得る。このため、組織学者は、典型的には室温以上で組織固定を実行する。
[004]しばしば、いくつかの影響が、ホルマリンに対してアンダー露出又はオーバー露出となった組織内で観察される。ホルマリンが組織試料を通じて適切に拡散されていなかった場合、ホルマリンに曝された組織試料の外側領域は、固定過剰である可能性があり、ホルマリンに曝されていない組織試料の内側領域は、固定不足である可能性があり、とても貧弱な組織形態になる。固定不足の組織では、後続のエタノールへの露出は、組織が適切な架橋結合格子を形成する機会を有さないので、しばしば細胞構造を収縮させ、核を濃縮する。ヘマトキシリンやエオシン(H&E)などを用いて固定不足の組織が色付けされるとき、多くのホワイトスペース(white space)が細胞構造と組織構造の間に観察することができ、核は濃縮され得、試料はピンク色に見ることができ、ヘマトキシリン色付けとの平衡が崩れている。典型的には、過剰な量のホルマリンに曝された又はあまりに長くホルマリンに曝された組織は、核酸及び/又はたんぱく質の変質及び劣化により、後続の免疫組織化学プロセスに対しておそらくよく働かない。結果として、これらの組織についての最適な抗原賦活化状態は適切に働かず、したがって組織試料は色付け不足に見える。
[005]適切な医療診断及び患者の安全性は、色付け前に組織試料を適切に固定することをしばしば必要とする。したがって、組織試料の適切な固定について腫瘍医及び病理学者によってガイドラインが確立されている。例えば、アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)によれば、HER2免疫組織学的分析のための中性緩衝ホルマリン溶液中の固定時間についての現在のガイドラインは、少なくとも6時間であり、好ましくはより多く、72時間までである。しかしながら、これは広くて効果のないプロトコルであり、現在の標準治療は、標準化されていない次善の慣習的な裏付けのないプロトコルで研究室が組織を処理するものである。例えば、既存のプロトコルは、架橋結合(高温ステップ)を開始する前に拡散(低温ステップ)中に全部の組織の中に十分なホルムアルデヒドが拡散した原理に基づいて、(厚さ4mmまでの組織を用いて4℃及び45℃のNBFの中に組織を2時間うまく浸漬することによる2+2プロトコルと元々称される)組織形態の保存に有益であるNBFとともに活性状態のたんぱく質を用いた低温+高温の固定を含む。しかしながら、このプロトコルは、拡散時間及び温度を変更し組織形態の品質及び免疫組織化学の色付けを検査することによって、純粋に経験的な基礎に基づいて得られた。したがって、固定不足の組織又は固定過剰の組織を最小化し又は制限するとともに、かなりの劣化が生じる前に生物学的分子、組織形態、及び/又は翻訳後修飾信号をより良く保存するため、固定剤が組織試料全体に拡散したか判断するために組織試料を通じて固定剤が拡散するのをモニタするプロセス又はシステムを開発することが望ましい。
[006]本開示は、最適な固定を確実にし、したがって下流のアッセイについて高品質色付けを確実にするために、組織試料の中に固定剤溶液が拡散するのをモニタするシステム、及びコンピュータによって実行される方法を提示することによって上記課題を解決する。モニタリングは、組織試料の中へ固定剤溶液が拡散することによる音の速さの変化に基づいている。固定剤が組織の中に浸透するとき、固定剤は間質液にとって代わる。この流体交換は、間質液と固定剤が別々の音速を有するので組織容量の組成をわずかに変化させる。したがって、出力超音波パルスは、より多くの流体交換が行われるにつれて増大する小さい通過時間微分を蓄積する。本明細書中に示されるように、通過時間微分変化が拡散速度を追跡するためにプロキシ測定(proxy measurement)として使用することができる速度は、固定及びそれに続く色付けの品質を正確に予測するために使用することができる。
[007]したがって、本開示は、固定剤拡散を動的に追跡し定量化するシステム及び方法を開示する。次いで、固定剤拡散の活性状態は、試料がよく色付けするのに十分な固定剤の浸透を有するときを正確に決定する計量を発展させるために色付け結果と相関される。これは、固定剤に曝される必要がある遅い組織の時間量を自動的に長くすることによって試料が十分に固定され、一方、組織試料に必要な組織処理時間の量を短くし、組織処理研究室に品質保証及び報告書作成を加える方にワークフローの改善をもたらすことを保証するのを助ける。この予測距離は、大きい組織採取の研究の結果で実証されている。この距離が理想的に色付けされた断面を確実にすることを確証する実験結果が示されている。組織調製システムは、任意の組織試料の拡散をモニタし、濡らすための最適時間を決定するようにプログラムすることができる。
[008]本特許又は本出願のファイルは、カラーで実施される少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許又は本特許出願公開の写しは、必要な手数料の要求及び支払いに応じて当局により提供される。
[009]本開示の例示的な実施形態による拡散モニタリングを用いた組織固定を最適化するシステムを示す図である。 [0010]図2Aは、本開示の例示的な実施形態によるバイオプシーカプセルからの超音波スキャンパターンの図である。図2Bは、本開示の例示的な実施形態による標準サイズのカセットからの超音波スキャンパターンの図である。 [0011]図3Aは、本開示の例示的な実施形態による標準サイズのカセット中の組織試料から生じる飛行時間(TOF)トレース及び平均拡散曲線を示す図である。図3Bは、本開示の例示的な実施形態による標準サイズのカセット中の組織試料から生じる飛行時間(TOF)トレース及び平均拡散曲線を示す図である。図3Cは、本開示の例示的な実施形態による標準サイズのカセット中の組織試料から生じる飛行時間(TOF)トレース及び平均拡散曲線を示す図である。 [0012]本開示の例示的な実施形態による異なる時間間隔で固定された組織試料についての組織形態の品質を示す図である。 [0013]本開示の例示的な実施形態による3時間及び5時間濡らされた組織試料についての減衰定数のグラフである。 [0014]図6Aは、本開示の例示的な実施形態による複数の試料についての拡散曲線を示すグラフである。図6Bは、本開示の例示的な実施形態による複数の試料についての受信機動作特性曲線を示すグラフである。 [0015]図7Aは、本開示の例示的な実施形態による複数の試料についての拡散曲線の振幅が正規化された勾配を示すグラフである。図7Bは、本開示の例示的な実施形態による複数の試料についての受信機動作特性曲線の振幅が正規化された勾配を示すグラフである。 [0016]図8Aは、本開示の例示的な実施形態による様々な閾値勾配値に基づく拡散曲線を示すグラフである。図8Bは、本開示の例示的な実施形態による様々な閾値勾配値に基づく拡散曲線を示すグラフである。図8Cは、本開示の例示的な実施形態による様々な閾値勾配値に基づく予定完了時間(projected completion time)を示すグラフである。図8Dは、本開示の例示的な実施形態による様々な閾値勾配値に基づく予定完了時間を示すグラフである。図8Eは、本開示の例示的な実施形態による様々な閾値勾配値に基づく予定完了時間を示すグラフである。 [0017]本開示の例示的な実施形態によるアルファベット順にグラフで示された複数の組織試料についての平均減衰定数を示すグラフである。 [0018]本開示の例示的な実施形態による器官タイプについて平均化されるとともに、最低から最高の減衰定数により並び替えた各組織試料からの平均減衰定数を示すグラフである。 [0019]本開示の例示的な実施形態による−7.4%/時間の閾値勾配を用いて様々な組織タイプについて予定完了時間を示すグラフである。 [0020]図12Aは、本開示の例示的な実施形態による複数の組織タイプについての予定完了時間についての確率密度関数、及び全ての完了時間についての累積的分布関数を示すグラフである。図12Bは、本開示の例示的な実施形態による複数の組織タイプについての予定完了時間についての確率密度関数、及び全ての完了時間についての累積的分布関数を示すグラフである。 [0021]本開示の例示的な実施形態による組織固定を最適化する方法を示す流れ図である。
I.システム及び方法
[0022]本開示は、最適な固定、したがって下流のアッセイのための高品質の色付けを確実にするために組織試料が低温固定剤で拡散される最小時間量を予測するためのシステム及びコンピュータによって実行される方法を提示することによって上記課題を解決する。予測は、いくつかの組織試料の中への固定剤の浸透をモニタし、拡散速度を後続のアッセイの色付け品質と相関させることによって可能にされ、それによって拡散のための最小時間を決定し、最適に固定された組織試料を結果として得る。モニタリングは、組織試料の中への拡散によって引き起こされる音の速さの変化に基づく。固定剤が組織の中に浸透するとき、固定剤は間質液にとって代わる。この流体交換は、間質液と固定剤が別々の音速を有するので組織容量の組成をわずかに変化させる。したがって、組織試料を通過する超音波パルスは、より多くの流体交換が行われるにつれて増大する小さい飛行時間(TOF)差を蓄積する。したがって、本開示は、TOFを追跡しTOFを拡散速度に相関させることによって固定剤拡散を動的に追跡し定量化するシステム及び方法を開示する。色付けの結果に相関させられた特定の拡散速度の相関によって、試料がよく色付けするのに十分な固定剤浸透を有するときに、距離は、正確に決定されるように作ることができる。この予測距離は、大きい組織採取の研究の結果で実証されている。この距離が理想的に色付けされた断面を確実にすることを確証する実験結果が示されている。
IA.信号解析器
[0023]一実施形態では、TOFに基づいて拡散距離を計算するシステムが提供され、このシステムは、プロセッサと、このプロセッサに結合されたメモリとを含む信号解析器を備え、このメモリは、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサにTOF計算に基づく拡散速度の計算を含む演算を実行させるコンピュータによって実行可能な命令を記憶する。
[0024]用語「プロセッサ」は、例として、プログラム可能なマイクロプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、又は複数のもの、あるいは前述のものの組み合わせを含むデータを処理する全ての種類の機器、デバイス、及び機械を包含する。機器は、専用論路回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)を備えることができる。機器は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームルーチン環境、仮想マシン、又はそれらのうちの1つ又は複数の組み合わせを構成するコードを含むこともできる。機器及び実行環境は、ウェブサービスインフラストラクチャ、分散コンピューティングインフラストラクチャ、グリッドコンピューティングインフラストラクチャなどの様々な異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現することができる。
[0025](プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られる)コンピュータプログラムは、コンパイルされた又は解釈された言語、宣言型言語又は手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記述することができ、それは、スタンドアローンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、又はコンピューティング環境における使用に適した他のユニットとしてなどの任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、必要ではないが、ファイルシステム中のファイルに対応することができる。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語ドキュメントに記憶される1つ又は複数のスクリプト)を保持するファイルの一部に、問題のプログラムに専用の単一ファイルに、又は複数の座標ファイル(例えば、1つ又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコード部分を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上、又は1つにサイトに位置するもしくは複数のサイトにわたって分散し通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
[0026]本明細書中に記載されたプロセス及び論理の流れは、入力データを演算し出力を生成することによってアクションを実行するように1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラム可能なプロセッサによって実行することができる。プロセス及び論理の流れは、専用論路回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することもでき、機器は、専用論路回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)として実装することもできる。
[0027]コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ又は複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリ又は両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須の要素は、命令に従ってアクションを実行するプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶する1つ又は複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクなどのデータを記憶するための1つ又は複数の大容量記憶デバイスも備え、あるいはそれらからデータを受信しもしくはそれらにデータを送信し又は両方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有することを必要としない。また、コンピュータは、別のデバイス、例えば、いくつか例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯オーディオ又は動画プレイヤ、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信機、又はポータブル記憶デバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)に組み込むことができる。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したデバイスは、全ての形態の不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスを含み、例として半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク、光磁気ディスク、並びにCD−ROMディスク及びDVD−ROMディスクが含まれる。プロセッサ及びメモリは、専用論路回路に補足されてもよく、又は専用論路回路に組み込まれてもよい。
[0028]ユーザとのやり取りを行うために、本明細書中に記載された本主題の各実施形態は、表示デバイス、例えば、ユーザに情報を表示するためのLCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、又はOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、並びにキーボード、及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボール(これによってユーザはコンピュータに入力を行うことができる)を有するコンピュータ上で実施することができる。いくつかの実施では、タッチスクリーンが、情報を表示するとともにユーザから入力を受け取るために使用され得る。他の種類のデバイスが、同様にユーザとのやり取りを行うために使用されてもよく、例えば、ユーザに送られるフィードバックは、感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックの任意の形態とすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。加えて、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスへドキュメントを送信し、ユーザによって使用されるデバイスからドキュメントを受信することによって、例えば、ウェブブラウザから受信した要求に応じてウェブページをユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザへ送信することによって、ユーザとやり取りすることができる。
[0029]本明細書中に記載された本主題の各実施形態は、例えばデータサーバとしてバックエンドコンポーネントを含む、又はミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバを含む、又はフロントエンドコンポーネント、例えば、ユーザが本明細書中に記載された本主題の実施とのやり取りすることができるグラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含む、あるいは1つ又は複数のそうしたバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムにおいて実施することができる。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信、例えば、通信ネットワークに関する任意の形態又は媒体によって相互接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及び広帯域ネットワーク(「WAN」)、相互接続ネットワーク(例えば、インターネット)、並びにピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)が含まれる。
[0030]コンピューティングシステムは、任意の個数のクライアント及びサーバを含むことができる。一般に、クライアント及びサーバは、互いから遠く離れており、典型的には通信ネットワークを介して総合接続する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行するとともに互いにクライアントサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの実施形態では、サーバは、(例えば、クライアントデバイスへデータを表示するために、及びクライアントデバイスとやり取りするユーザからのユーザ入力を受信するために)データ(例えば、HTMLページ)をクライアントデバイスへ送信する。クライアントデバイスで生成されたデータ(例えば、ユーザのやり取りの結果)は、サーバでクライアントデバイスから受信することができる。
IB.拡散速度計算
[0031]信号解析器のプロセッサによって実行される演算は、拡散速度の計算を含む。拡散速度を計算するために、(以下により詳細に説明される)TOFトレースは、TOF減衰振幅(A)及び減衰定数(τ)を得るために、単一指数曲線にフィットさせられる。いくつかの実施形態では、この単一指数曲線は、式I、すなわち、
TOF(t,r)=C(r)+Ae−t/τ(r) (I)
に従った形をしており、ただし、Cは一定のオフセットであり、Aは減衰の振幅(すなわち、拡散されていない組織試料と完全に拡散された組織試料の間のTOF値差)であり、τは減衰定数であり、tは拡散時間であり、rは(明示的に述べられる)空間依存性である。各実施形態によれば、一定のオフセットCは、組織試料とバルク溶液(例えば、組織液又は試料緩衝液)の間のTOF差を表す。定数Cは、視覚化のためにゼロに設定することができる(例えば、図3B及び図3CのTOF開始値「ゼロ」を参照)。TOF計算が複数の空間的位置で行われる場合、空間的に平均化されたTOFトレース(すなわち、試料内の複数の空間的位置におけるTOFを表す単一曲線)を計算して、空間的に平均化されたTOFトレースを単一指数曲線にフィットすることによって平均TOF振幅(Aavg)及び平均減衰定数(Tavg)を得ることが望ましいものであり得る。いくつかの実施形態では、空間的に平均化されたTOFトレースは、式II、すなわち、
に従った形の単一指数曲線にフィットさせられる。ただし、TOFavgは空間的に平均化されたTOFトレースであり、NはTOFトレースが取得された空間的位置の個数であり、Cavgは平均の一定のオフセットであり、Aavgは減衰の平均振幅(すなわち、拡散されていない組織試料と完全に拡散された組織試料の間の平均TOF値差)であり、τavgは平均減衰定数である。したがって、この文脈における「平均」は、試料内の異なる点における特定の共有された時点について得られたデータ値から得られた「空間的な平均」を意味する。時間tにおける拡散速度は、時間tにおける単一指数曲線の微分として計算される。一実施形態では、空間的に平均化されていないTOFトレースについての拡散速度は、式IIIa、すなわち、
に従って計算され、ただし、Aは減衰の振幅(すなわち、拡散されていない組織試料と完全に拡散された組織試料の間のTOF値差)であり、τは減衰定数であり、tは拡散時間である。別の実施形態では、空間的に平均化されたTOFトレースについての拡散速度は、式IIIb、すなわち、
に従って計算される。
[0032]ただし、Aavgは減衰の平均振幅(すなわち、拡散されていない組織試料と完全に拡散された組織試料の間のTOF差の空間的な平均)であり、τavgは平均減衰定数であり、tは拡散時間である。いくつかの実施形態では、拡散速度は、曲線の微分を時間tでの試料の振幅(A又はAavg)で除することによって振幅が正規化された拡散速度として計算される。一実施形態では、振幅が正規化された拡散速度は、式IVa、すなわち、
に従って空間的に平均化されていないTOFトレースについて計算される。ただし、τは減衰定数であり、tは拡散時間であり、ブラケットは拡散速度の単位を示しており、時間はτに従う時間の単位である。別の実施形態では、振幅が正規化された拡散速度は、式IVb、すなわち、
に従って空間的に平均化されたTOFトレースについて計算され、ただし、Tavgは平均減衰定数であり、tは拡散時間であり、ブラケットは拡散速度の単位を示しており、時間はτavgに従う時間の単位である。
IC.TOF計算
[0033]いくつかの実施形態では、TOFトレースは、事前計算され、信号解析器に直接ロードされる。他の各実施形態では、信号解析器のプロセッサによって実行される演算は、複数の時点で超音波信号を組織試料を通じて送信することによって得られた音響データセットをTOFトレースへ変換することをさらに含んでもよい。本明細書中に使用されるとき、語句「TOFトレース」は、離散的な時点で得られた複数のTOF測定値を含むデータセットを指す。
[0034]典型的には、TOFは、直接記録されず、代わりに送受信した音響波の位相を比較することによって評価される。実際には、経験的周波数掃引が、送信機によって媒体を介して送信され、受信機によって検出される。送信された波と受信された波の位相は、比較され、時間位相シフトへ変換される。次いで、シミュレーションは、様々な候補TOF(candidate TOF)で候補時間位相シフト(candidate temporal 位相シフト)をモデル化するように実行され、候補時間位相シフトと経験的時間位相シフトとの間の誤差が、誤差関数として生成されグラフ化される。誤差関数の最小値をもたらすTOFは、「観測された」TOFとして選択される。したがって、一実施形態では、TOFは、送信された超音波信号と受信された超音波信号の間の送信された位相シフトを記録し、様々な候補TOFで記録された位相シフトを複数のシミュレートされた位相シフトにフィットすることによって計算される。
[0035]いくつかの実施形態によれば、TOF信号は、2015年12月17日に出願されたACCURATELY CALCULATING ACOUSTIC TIME−OF−FLIGHT(音響飛行時間の正確な計算)という名称の国際特許出願に開示された手法の1つに従って非常に正確に決定され、その内容は、参照により全体として本明細書中に参照により本明細書によって組み込まれる。TOFは、2014年12月17日に出願された米国仮特許出願第62/093,173号(その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように決定することもできる。
[0036]場合によっては、TOFトレースは、組織試料中の単一の点で(例えば、組織試料の幾何学的中心で又はその近くで)記録することができる。他の場合には、TOFトレースは、組織試料内の複数の位置で取り込むことができる。
[0037]TOF計算の一例として、固定剤溶液中に浸漬された組織試料のサブナノ秒TOF値をロバストに検出することができる後処理アルゴリズムが開発されている。プログラム可能な波形発生器でプログラムされた送信変換器は、600μsの間に3.7MHzの正弦波信号を送信する。このパルス列は、流体及び組織を横断した後に受信変換器によって検出され、次いで、送受信されたUS正弦曲線は、デジタル位相比較器を用いて電子的に比較される。位相比較器の出力はアナログ/デジタル変換器を用いて照会され、平均が記録される。このプロセスは、多数の音響周波数(v)で繰り返される。変換器が中心周波数(4.0MHz)及び比帯域幅(≒60%)であるとすると、典型的な掃引範囲は3.7〜4.3MHzであり、600Hzごとに位相比較器が照会される。位相比較器からの電圧は、経験的に決定された位相(φexp)と呼ばれる時間位相シフトへ変換される。次に、力づくのシミュレーションを使用して、観測された位相周波数掃引が異なるTOF値のように見えるものを計算する。候補時間位相値は、入力正弦波周波数の関数として、以下の式V、
に従って計算され、ただし、TOFcandはナノ秒単位の候補TOF値であり、Tはナノ秒単位の入力正弦波の周期であり、rndは最も近い整数関数のラウンド(round)を表し、|...|は絶対値の記号である。所与の候補TOF及び周波数値(すなわち周期)について、右側の項は、最も近いサイクル数が生じるのにどのくらい長くかかるのかを表す。この値は、TOFcandから差し引かれて次の完全なサイクルに入る又はそこまでの時間位相を計算する。したがって、位相値は、200ps間隔で10〜30μsの範囲に最初にある複数の候補TOF値について算出される。経験的周波数掃引と候補周波数掃引の間の誤差は、式VI、すなわち
によって個々の候補TOF値について最小二乗のやり方で計算され、ただし、Nは、掃引中の周波数の総数である。候補TOFの関数としての正規化された誤差関数は、光学的干渉写真に似ている。例えば、各特徴は、1つの音響周期(T=1/4MHz=250ns)の幅を有する。最大差関数は、候補位相周波数掃引が等しい波長を有するが、経験的位相周波数掃引に関して位相の外にあることを示す。逆に、誤差が最小化されるとき、2つは完全に調和させられ、したがって再構築されたTOFは、式VII、すなわち、
に従って誤差関数の全体最小値(大域的最小点、global minimum)として記録される。音響波をデジタル比較するこの技法は、センタートラフの鮮明さによって高い精度になり、非常によく整合された候補位相周波数掃引及び経験的位相周波数掃引になる。
[0038]さらに、固定剤溶液だけ通じて記録された(すなわち、組織試料に遭遇しない)TOFトレースは、(温度の変化などの)環境的な変動の結果として記録されたTOFの変動を補償するために使用することができる。同じように調整されたTOFトレースは、基準補償された(reference−compensated)TOFトレースと呼ばれる。したがって、さらなる実施形態では、単一指数曲線にフィットされるTOFトレースは、基準補償されたTOFトレースである。
ID.音響モニタリングシステム
[0039]システムは、音響信号が固定剤溶液中に浸漬された組織試料に遭遇し、次いで音響信号が組織試料に遭遇した後に音響信号を検出するように、音響信号を送信することによって音響データセットを生成するようになされた音響モニタリングシステムをやはり備えることができる。したがって、さらなる実施形態では、本明細書中に開示されたような信号解析器と以下にさらに詳細に述べられる音響モニタリングシステムとを備えたシステムが提供される。さらなる又は代替として、本明細書中に開示されたような信号解析器と、本明細書中に開示されたような音響モニタリングシステムから得られる音響データセットを含む非一時的なコンピュータ可読媒体とを備えたシステムが提供されてもよい。一実施形態では、音響モニタリングシステムによって送受信される音響データは、周波数掃引によって生成される。本明細書中に使用されるとき、用語「周波数掃引」は、最初のセットの音響波は第1の一定の持続期間の間に一定の周波数で媒体を通じて発せられ、次のセットの音響波は後続の(好ましくは等しい)持続期間の間に一定の周波数間隔で発せされるようになっている、媒体を通る複数の周波数からなる一定間隔で送信される一連の音響波を指すものとする。
[0040]一実施形態では、音響データセットを収集するための音響モニタリングシステムが提供され、音響モニタリングシステムは送信機及び受信機を備えており、送信機及び受信機は、送信機によって生成される音響信号が受信機によって受信されコンピュータ可読信号に変換されるように配置される。一実施形態では、システムは、超音波送信機及び超音波受信機を備える。本明細書中に使用されるとき、「送信機」は、電気信号を音響エネルギーに変換することができる装置であり、「超音波送信機」は、電気信号を超音波音響エネルギーに変換することができる装置である。本明細書中に使用されるとき、「受信機」は、音響波を電気信号に変換することができる装置であり、「超音波受信機」は、超音波音響エネルギーを電気信号」に変換することができる装置である。
[0041]電気信号から音響エネルギーを生成するのに役立つある種の物質は、音響エネルギーから電気信号を生成するのにも役立つ。したがって、送信機及び受信機は、必ずしも別個の構成部品とする必要はないが、送信機及び受信機は、別個の構成部品とすることができる。送信機及び受信機は、送信された波が関心の物質に遭遇した後に受信機が送信機によって生成された音響波を検出するように配置される。いくつかの実施形態では、受信機は、関心の物質によって反射された音響波を検出するように配置される。他の実施形態では、受信機は、関心の物質を通じて送信された音響波を検出するように配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのセットの送信機及び受信機が提供され、このセットの少なくとも1つは固定剤溶液及び組織試料を通じて音響信号を送信するように配置され、少なくとも第2のものは固定剤溶液を通るが組織試料を通らない音響信号を送信するように配置される。本実施形態では、第1のセットは組織試料中のTOFの変化を測定するために使用され、第2のセットは固定液を通じてTOFの変化(例えば、温度などの環境的な変動に起因する変化)を検出するために使用される。
[0042]一実施形態では、送信機は、変換器に動作可能にリンクされた少なくとも波形発生器を備え、波形発生器は、変換器と通信する電気信号を生成するためのものであり、変換器は、電気信号を音響信号に変換するためのものである。いくつかの実施形態では、波形発生器はプログラム可能であり、例えば、開始周波数及び/又は終了周波数、周波数掃引の周波数の間のステップサイズ、周波数ステップの個数、及び/又は各周波数を送信する持続期間を含む周波数掃引のいくつかのパラメータをユーザが修正することができるようになっている。他の各実施形態では、波形発生器は、1つ又は複数の予め決定された周波数掃引パターンを生成するように事前プログラムされる。他の各実施形態では、波形発生器は、事前プログラムされた周波数掃引とカスタマイズされた周波数掃引の両方を送信するようになされ得る。送信機は、集束要素を含むこともでき、この集束要素は、変換器が発生する音響エネルギーが特定のエリアへ予測可能に集束及び方向付けされることを可能にする。
[0043]動作時、送信機は媒体を通じて周波数掃引を送信し、次いでこの周波数掃引は受信機によって検出され、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶される及び/又は解析のために信号解析器へ送信される音響データセットに変換される。音響データセットが送信された音響波と受信された音響波の間の位相差を表すデータを含む場合、音響モニタリングシステムは位相比較器を含むこともでき、この位相比較器は、送信された音響波と受信された音響波の間の位相差に対応する電気信号を生成する。したがって、いくつかの実施形態では、音響モニタリングシステムは、送信機及び受信機に通信可能にリンクされた位相比較器を備える。位相比較器の出力がアナログ信号である場合、音響モニタリングシステムは、位相比較器のアナログ出力をデジタル信号へ変換するアナログ/デジタル変換器を備えることもできる。次いで、デジタル信号は、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶することができ、又は解析のために信号解析器へ直接通信することができる。
IE.能動的拡散モニタリングシステム
[0044]いくつかの実施形態では、システムは、組織試料の中へ固定剤溶液が拡散するのを能動的にモニタするようになされている。そのような実施形態では、(a)本明細書中に述べられたような音響モニタリングシステム及び/又は音響モニタリングシステムによって生成される音響データセットを含む非一時的なコンピュータ可読媒体と、(b)音響モニタリングシステム及び/又は非一時的なコンピュータ可読記憶媒体から音響データセットを得るようになされた本明細書中に述べられたような信号解析器と、(c)組織試料を浸漬することができる固定剤溶液の容積を保持する機器とを備えたシステムを提供することができる。
[0045]TOFトレースが組織試料内の複数の位置から収集される各実施形態では、送信機及び受信機の共通焦点が組織試料上の異なる位置へ移動するように、送信機及び受信機に対して組織試料を並進させる、又は組織試料に対して送信機及び受信機を並進させる機器が提供され得る。それに加えて、又は代替として、音響モニタリングシステムは、複数の送信機及び受信機を装備することができ、複数のものの各々は異なる共通焦点を有し、各セットは組織試料内の異なる位置でTOFトレースを取り込むようになっている。
[0046]いくつかの実施形態では、このシステムは、固定剤溶液源をさらに備える。いくつかの実施形態では、固定剤は、グルタルアルデヒド及び/又はホルマリン基の溶液などのアルデヒド基の架橋結合固定剤である。浸漬固定にしばしば使用されるアルデヒドの例は、以下に挙げるものである。
・ フォームアルデヒド(ほとんどの組織について、標準作用濃度5〜10%ホルマリンであるが、いくつかの組織には20%ホルマリンと同程度高さの濃度が使用されている)
・ グリオキサール(標準作用濃度17から86mM)
・ グルタルアルデヒド(標準作用濃度200mM)
アルデヒドは、しばしば互いに組み合わされて使用される。標準的なアルデヒドの組み合わせは、10%ホルマリン+1%(w/v)グルタルアルデヒドを含む。典型的なアルデヒドがある特殊化された固定応用に使用されており、フマルアルデヒド、12.5%ヒドロキシアジポアルデヒド(pH7.5)、10%クロトンアルデヒド(pH7.4)、5%ピルビンアルデヒド(pH5.5)、10%アセトアルデヒド(pH7.5)、10%アクロレイン(pH7.6)、及び5%メタアクロレイン(pH7.6)を含む。免疫組織化学に使用されるアルデヒド基固定剤溶液の他の特定の例は、表1に記載されている。
[0047]いくつかの実施形態では、固定剤溶液は、表1から選択される。いくつかの実施形態では、使用されるアルデヒド濃度は、上述した標準的な濃度よりも高い。例えば、ほぼ同様の組成を有する免疫組織化学のために選択された組織を固定するために使用される標準的な濃度より少なくとも1.25倍も高いアルデヒド濃度を有する高濃度アルデヒド基固定剤溶液が使用され得る。いくつかの例では、高濃度アルデヒド基の固定剤溶液は、20%より多いホルマリン、約25%以上のホルマリン、約27.5%以上のホルマリン、約30%以上のホルマリン、約25%から約50%ホルマリン、約27.5%から約50%ホルマリン、30%から約50%ホルマリン、約25%から約40%ホルマリン、約27.5%から約40%ホルマリン、及び約30%から約40%ホルマリンから選択される。この文脈で使用されるとき、用語「約」は、Bauerら、Dynamic Subnanosecond Time−of−Flight Detection for Ultra−precise Diffusion Monitoring and Optimization of Biomarker Preservation(生物指標化合物保存の超精密拡散モニタリング及び最適化のための動的サブナノ秒飛行時間検出)、Proceedings of SPIE,Vol.9040,90400B−1(2014年3月20日)によって測定されるように、4℃における拡散において統計的にかなり大きい差とならない濃度を包含するものとする。
[0048]いくつかの実施形態では、拡散プロセスの少なくとも一部の間に(以下により詳細に説明されるように、2温度固定プロセス中などに)、特定の温度で又は特定の温度範囲内で固定剤溶液を保持することが望ましい。そのような場合には、固定剤の体積を保持する機器は、特定の温度で又は特定の温度範囲内で固定剤溶液を維持するようになされ得る。したがって、例えば、この機器は、固定剤溶液と周囲環境の間の熱伝達を実質的に減少させるように断熱することができる。それに加えて、又は代替として、この機器は、特定の温度で又は特定の温度範囲内で組織試料が浸漬される固定剤溶液を保持するように設計された加熱装置又は冷却装置で構成することができる。
[0049]いくつかの実施形態では、組織が固定剤浸透の閾値レベルに到達したことを確実にすることが望ましいものであり得る。そのような実施形態では、信号解析器は、閾値機能を含むようにさらにプログラムすることができ、この閾値機能は、特定のエンド解析の最低品質を確実にするために、閾値拡散速度値に到達したか解析する。一実施形態では、特定のエンド解析のための閾値の値は、特定のエンドプロセスの最低品質を実現し、上記計算されたようにそれらの経験的に決定された時間を拡散速度と相関することが必要とされる特定の組織試料タイプのために拡散時間を経験的に決定することによって決定される。いくつかの実施形態では、システムは、閾値拡散速度に到達するまで拡散を連続的にモニタする。代替実施形態では、拡散モニタリングは、予め定められた閾値を超える信頼度でTOFデータが単一指数曲線にフィットされるまで続けることができる。この信頼レベルに到達すると、閾値拡散速度に到達する時間(以下「完了までの時間」と呼ばれる)が単一指数曲線から推定され、これは拡散速度の能動的モニタリングがタイマと置き換えられることを可能にする。TOFトレースが単一の位置で測定される一実施形態では、完了までの時間は、式VIIIa、すなわち、
に従って計算することができ、ただし、tdoneは完了までの時間であり、|...|記号は絶対値を示す。空間的に平均化されたTOFトレースが使用される一実施形態では、完了までの時間は、式Vlllb、すなわち、
に従って計算することができる。
[0050]ただし、tdoneは完了までの時間であり、|...|記号は絶対値を示す。閾値機能を含む実施形態では、このシステムは、閾値拡散速度に到達したとき又は到達したと予測されるときを示す通知装置をさらに備えることができる。それに加えて、又は代替として、このシステムは、組織試料をさらに処理する自動化装置を備えることができ、これは、閾値拡散速度に到達した又は到達したことが予測された後に実現される。2温度固定プロトコルに役立ち得る1つの特定の例では、このシステムは、(限定するものではないが)例えば、低温固定剤の体積から高温固定剤の体積へ組織試料を物理的に移すロボット機構を作動させることによって、上記機器から低温固定剤溶液を除去するためのフラッシング機構と高温固定剤溶液を固定剤の体積を保持する機器の中に注入する充填機構とを作動させることによって、特定の温度又は特定の温度範囲内まで固定剤の温度を増大させる及び/又は特定の温度で又は特定の温度範囲内で固定剤の温度を保持する加熱機構を作動させることによって、冷却機構を停止させ、固定剤溶液の温度が受動的に上昇することを可能にすることによって、拡散閾値に到達した後に組織試料が浸漬される固定剤溶液の温度を変更するようになされ得る。
IF.2温度固定
[0051]1つの実施形態では、前述の拡散モニタリングシステム及び方法は、組織試料に対して2つの温度浸漬固定法を実施するために使用される。本明細書中に使用されるとき、「2温度固定法」は、第1の期間の間に低温固定剤溶液中に組織がまず浸漬され、続いて第2の期間の間に組織を加熱する固定法である。低温ステップは、架橋結合を実質的に引き起こすことなく、固定剤溶液が組織全体を通じて拡散することを可能にする。次いで、組織が組織全体にわたって十分に拡散されると、加熱ステップは、固定剤によって架橋結合をもたらす。低温拡散、それに続く加熱ステップの組み合わせは、標準的な方法を用いるよりもより完全に固定される組織試料をもたらす。したがって、1つの実施形態では、組織試料は、(1)低温固定剤溶液中に固定されていない組織試料を浸漬するとともに、本明細書中に開示されたようなシステム及び方法を用いて組織試料におけるTOFをモニタすることによって組織試料の中への固定剤の拡散をモニタする(拡散ステップ)、及び(2)閾値TOFが測定された後に、組織試料の温度が上昇することを可能にする(固定ステップ)ことによって固定される。例示的な各実施形態では、拡散ステップは、20℃未満、15℃未満、12℃未満、10℃未満、0℃から10℃の範囲内、0℃から12℃の範囲内、0℃から15℃の範囲内、2℃から10℃の範囲内、2℃から12℃の範囲内、2℃から15℃の範囲内、5℃から10℃の範囲内、5℃から12℃の範囲内、5℃から15℃の範囲内である固定剤溶液中で実行される。例示的な各実施形態では、組織試料を囲む固定剤溶液の温度は、固定ステップ中に20℃から55℃の範囲内で上昇することが許容される。
[0052]2温度固定プロセスは、例えばリン酸化たんぱく質、DNA、及び(miRNA及びmRNAなどの)RNA分子が含まれる組織試料中のある種の不安定生物指標化合物を検出する方法に特に役立つ。PCT/EP2012/052800(参照により本明細書中に組み込まれる)を参照されたい。いくつかの実施形態では、これらの方法を用いて得られる固定された組織試料は、そのような不安定標識の存在について分析を受けることができる。したがって、一実施形態では、試料中の不安定標識を検出する方法が提供され、この方法は、本明細書中に開示されたような2温度固定により組織を固定するステップと、固定された組織試料を不安定標識に特に結合することができる分析物結合実体と接触させるステップとを含み、低温固定剤の拡散は、本明細書中に開示されたような方法によりモニタされる。分析物結合実体の例は、標的抗原に結合する抗体及び抗体フラグメント(一本鎖抗体を含む)、MHC:抗原複合体に結合するT細胞受容体(単一鎖受容体を含む)、(特定のT細胞受容体に結合する)MHC:ペプチドマルチマー、特定の核酸又はペプチドターゲットに結合するアプタマー、特定の核酸、ペプチド、及び他の分子に結合するジンクフィンガー、受容体リガンドに結合する(単一の鎖受容体及びキメラ受容体を含む)受容体複合体、受容体複合体に結合する受容体リガンド、及び特定の核酸に混成させる核酸プローブを含む。例えば、組織試料中のリン酸化たんぱく質を検出する免疫組織化学的方法が提供され、この方法は、前述の2温度固定法に従って得られた固定された組織をリン酸化たんぱく質に特有の抗体と接触させ、リン酸化たんぱく質への抗体の結合を検出することを含む。他の実施形態では、核酸分子を検出するin situ混成法が提供され、方法は、前述の2温度固定法に従って得られた固定された組織を関心の核酸に特有の核酸プローブと接触させ、関心の核酸へのプローブの結合を検出することを含む。
II.実施例
[0053]実験的方法が、本明細書中に開示された予測距離を決定するために使用された。これらの方法は、バイオハザードバッグ内で新たに得られたかつ湿った氷の上で固定されない人間の扁桃組織を用いて実行された。正確なサイズの扁桃組織の試料は、(Miltex #33〜36などの)直径が4又は6mmの組織パンチを用いて得られた。低温+高温固定については、3時間又は5時間にわたって4℃まで前もって冷やされたpH6.8〜7.2まで緩衝液(Fisher Scientific、Houston,TXからの飽和水溶性ホルムアルデヒドとともに100mMのリン酸緩衝液)で処理された6mmの扁桃コアが10%NBF中に置かれた。次いで、試料は、架橋結合を起こすために、取り除かれ、さらなる1時間にわたって45℃の中性緩衝ホルマリン(NBF)の中に置かれた。固定後、試料は、夜通しのサイクルに設定された市販の組織プロセッサの中でさらに処理され、ワックスの中に組み込まれた。各実行からの6個の扁桃コアは、縦に切断され、切り口を下にして型に組み込まれた。このマルチブロック配置は、6個のコアの各々が同時に色付けされることを可能にする。試料は、キシレンを用いて次いで段階的なエタノールを用いてまず試料からワックスを取り、脱イオン水の中に入れることによって手動で色付けされた。ヘマトキシリンは、スライドのラックをギルのヘマトキシリンII(Gill II hematoxylin)(Leica Microsystems)に3分間浸し、その後に脱イオン水の中での大々的な洗浄が続くことで適用された。次いで、スライドは、Scottのオリジナル・タップ・ウォーター(Leica Microsystems)の中に1分間沈められ、脱イオン水の中で大々的に洗浄された。エオシンへ遷移するために、スライドのラックは、まず70%のエタノールの中に沈められ、次いでエオシンY(Leica Microsystems)の中に2分間沈められた。スライドは、100%エタノールの中で少なくとも4×で大々的に洗浄され、キシレンの中に平衡状態に置かれ、カバーガラスがかけられる(coverslipped)。
[0054]図1に、本開示の例示的な実施形態による拡散モニタリングを用いて組織固定を最適化する例示的な組織処理システム100が示されている。システム100は、コンピュータ101に結合されたプロセッサ105によって実行される複数の処理モジュール又は論理命令を記憶するためのメモリ110に通信可能に結合される音響モニタリング装置102を備える。音響モニタリングシステム102は、組織試料を通じて移動してきた音響波を検出することができ、1つ又は複数の送信機と1つ又は複数の受信機とを備えることができる。組織試料は、液体固定剤中に浸漬することができ、一方、送信機及び受信機は、音響波の飛行時間(ToF)を検出するために通信する。メモリ110内の処理モジュールは、プロセッサ105が動作を実行することを可能にするための論理的非一時的なコンピュータ可読命令を含むことができ、組織試料を通じての固定剤の拡散をモニタし、飛行時間に基づいて組織試料を通じて移動する音響波の速さを評価する拡散モニタリングモジュール111と、測定に基づいて固定プロセスを実行するために固定モジュール112と、トレーニング目的で品質相関を実行する品質相関モジュール113と、ユーザ操作コンピュータ101への定量的な出力又はグラフィカルな結果に潜在的になる他の演算とともに、最適な拡散時間及び他の結果をデータベースに記憶するデータベース114とを備える。その結果、図1に示されていないが、コンピュータ101は、キーボード、マウス、スタイラス、及びディスプレイ/タッチスクリーンなどのユーザ入出力装置を備えることもできる。
[0055]図1に示されたようなシステムは、Electron Microscopy Sciences(RTM)によるLynx IIなどの市販のディップアンドダンク組織プロセッサに音響モニタリング装置102を後付けすることによって開発された。Solidworks(登録商標)ソフトウェアを用いて設計された機械的ヘッドは、標準的な試薬キャニスタにぴったり合いそれを封止される。バルク試薬とともに組織を含むカセットの内容からガス抜きするために、外部真空システムが用意された。より小さい組織試料のためにCellPath(RTM)によるCellSafe 5などの標準的なサイズの組織学的カセット、又はCellPath(RTM)によるCellSafe Biopsy Capsulesなどのバイオプシーカプセルのいずれかとともに使用されるように設計されたカセットホルダは、実験中に試料が滑るのを防ぐために組織をしっかりと保持するのに利用することができる。カセットホルダは、一方向にカセットホルダを滑らせる垂直並進運動アームに取り付けられた。機械的ヘッドは、2つの金属ブラケットを組織カセットの両側に備えて設計され、一方のブラケットは5つの送信変換器を収容し、他方のブラケットは5つの受信変換器を収容し、これらはそれらのそれぞれの送信変換器に空間的に並べられている。受けブラケットは、他方の変換器の伝搬軸に直交するように向けられた変換器のペアを収容もする。各取得後、直交センサは、音速に重大な影響がある流体内の空間と時間のばらつきを検出するために基準TOF値を計算する。さらに、各2次元取得の終わりに、カセットは持ち上げることができ、第2の基準の取得が得られる。これらの基準TOF値は、環境的に誘起されるホルマリンのばらつきを補償するために使用することができる。
[0056]この例示的な音響モニタリング装置102における音響センサは、それらの共通焦点に置かれた組織試料と空間的に整合されているCNIRHurricane Tech(Shenzhen)Co.,Ltd.(RTM)によるTA0040104−10などの4MHz集束変換器のペアを含む。送信機と呼ばれる一方の変換器は、結合流体(すなわち、ホルマリン)及び組織を横断する音響パルスを送出することができ、受信変換器によって受信される。最初に、送信変換器は、数百マイクロ秒の間、正弦波を送信するようにAnalog Devices(RTM)によるAD5930などの波形発生器を用いてプログラムすることができる。次いで、そのパルス列は、流体及び組織を横断した後に受信変換器によって検出され得る。拡散モニタリングモジュール111は、例えばAnalog DevicesによるAD8302などのデジタル位相比較器を用いて受信された超音波正弦波と送信された正弦波とを比較するように実行することができる。位相比較器の出力は、送信されたパルスと受信されたパルスの間に時間的重なりの領域中に有効な読取値をもたらす。位相比較器の出力は、Atmel(RTM)によるATmega2560などのマイクロコントローラ上の統合型アナログ/デジタル変換器で出力が照会される前に、安定することができる。次いで、プロセスは、周波数範囲にわたって入力正弦波と出力正弦波の間の位相関係を構築するために、変換器の帯域幅にわたって複数の音響周波数で繰り返され得る。この音響位相周波数掃引は、音響干渉計に類似しサブナノの第2の精度で通過時間を検出することができる後処理アルゴリズムを用いてTOFを計算するのに直接使用される。
[0057]流体中の音の速さは、TOFが変換器の経路長にわたって統合された信号であるので、特に音響通過時間に大きく影響を与え得る大きい温度依存性(例えば、4℃でΔt≒2.3ns/℃・mm)を有する。典型的には、実験している間、流体全体にわたっての熱的な変動に大きく影響されるので、比較的大きい全TOFのばらつきが観察される。これらの環境的な変動を補償するために、TOFは、ホルマリン及びこの取得だけを通じて計算することもでき、参照チャンネルと呼ばれ、流体中の空間と時間の熱の傾きを補償するために使用される。しかしながら、基準補償方式は、比較的遅く低い振幅の熱的な流体中の通過に関して最もよく働き、したがって試薬温度は、冷却用ハードウェアに開発されたパルス幅変調(PWM)方式を用いて正確に制御することができる。PWM温度制御は、温度に対して≒400μsの増分へのわずかな調整を行うことによって設定点を中心にしてしっかりと試薬の温度を調節する比例積分微分(PID)ベースのアルゴリズムを用いる。PWMアルゴリズムは、設定温度を中心にして≒0.05℃の標準偏差で流体の温度を制御することが分かった。基準補償と共に使用されるこの正確な温度制御は、計算された信号から全ての環境的なアーティファクトを事実上なくす。フィルタ処理されていないTOFトレースは、1.0ナノ秒未満の典型的なノイズ値を有する。
[0058]したがって、拡散モニタリングは、組織が完全な浸透平衡にありもはや拡散が行われなくなるまで、ホルマリン拡散を動的に追跡及び定量化することを含む。本明細書中に説明されるように、拡散速度は、器官タイプ、組織定数、空間的不均一性、温度、カセットの配置などに関連して変化する。これらの要因は、米国特許公開第2013/0224791号に記載された拡散モニタリングシステムの説明に基づいて全体的に制御される。概して、ホルマリン拡散は、単一指数関数的な傾向と非常に相関しており、傾向の時間の過渡現象は、本明細書中にさらに説明されるように減衰定数によって完全に特徴付けることができる。減衰定数に到達すると、良質の色付けを保証するために、組織の内側に十分なホルムアルデヒドが存在する。各組織試料についての測定値を用いて、拡散は全ての位置で追跡され、最も長い減衰定数を有する領域は、最適な結果又は既存の色付けの結果と相関する。トレーニングのために又は既存の又は知られている色付けの結果と比較するために、品質相関モジュール113は、実行され得る。この結果に基づいて、固定モジュール112は、本明細書中に説明されるように固定プロトコル、又は組織試料の最適な固定を保証するルールセットに基づく任意のプロトコルを実行することができる。
[0059]図2A及び図2Bは、それぞれ、本開示の例示的な実施形態によるバイオプシーカプセル及び標準サイズのカセットからの超音波スキャンパターンの図を示す。本明細書中に説明されるように、音響モニタリング装置における音響センサからの測定値は、組織試料を通じての音響信号のToFの変化及び変化の割合を追跡するために使用することができる。これは、時間又は拡散速度について拡散を決定するために経時的に異なる位置で組織試料をモニタすることを含む。図2A及び図2Bに示されるように、カセット内の全ての組織を撮像するために、カセットホルダは、垂直方向に≒1mmだけ連続的に持ち上げることができ、TOF値は、新しい位置ごとに取得される。そのプロセスは、カセットの開放穴全体を覆うまで繰り返され得る。図2Aを参照すると、バイオプシーカプセル220内の組織を撮像するとき、信号は、5つの変換器ペア全てから計算され、図2Aに示されたスキャンパターンになる。代替として、図2Bに示された標準的なサイズのカセット221内の組織を撮像するとき、第2及び第4の変換器ペアはオフにすることができ、TOF値は、標準的なサイズのカセット221の3つの中央区画のそれぞれ中心に位置する第1、第3、及び第5の変換器ペアの間で取得される。次いで、2つの組織コアは、列ごとに配置することができ、図3Aに示されるように、一方は上部にあり、一方は底部にある。これは、6つの試料(2行×3列)からのTOFトレースが同時に得られることを可能にし、ラン・ツー・ランのばらつきをかなり減少させ、スループットを増加させる。この例示的な実施形態では、超音波ビームの半値全幅は2.2mmである。
[0060]前述したように、流体中のTOFは、バルク媒体内の熱的な変動に非常に依存する。これらの偏差を補償するために、基準TOF値は、組織及びホルマリンを通じて得られたTOF値から差し引くことができ、それによって組織から位相遅れを分離する。直交基準センサを用いるとき、スケーリングファクタは、これら2つのセンサとスキャニングセンサペアの間の空間内のわずかな幾何学的差を調整するために使用することができる。今後TOFと単に呼ばれる組織の中への能動的拡散から得られる基準補償されたTOFトレースは、
TOF(t,r)=C(r)+Ae−t/τ(r) (I)
という形態の単一の指数曲線と非常に相関するように経験的に決定される。
[0061]Cは、ナノ秒の単位の一定のオフセットであり、Aはナノ秒の単位の減衰の振幅(すなわち、拡散されていない組織試料と完全に拡散された組織試料の間のTOF値差)であり、τは時間の単位の減衰定数であり、空間依存性(r)は明示的に述べられる。信号の振幅は、拡散の大きさを示し、したがって流体交換の累積量も正比例する。減衰定数は、63%だけ減少するまでの振幅についての時間を表し、組織の中へのホルマリン拡散速度に反比例する(すなわち、大きい減衰定数=ゆっくり拡散)。システムのスキャン能力により、複数の独立したTOF信号が、各組織試料から取得することができる。
[0062]図3A〜図3Cは、本開示の例示的な実施形態による標準サイズのカセット中の組織試料から生じる飛行時間(TOF)トレース及び平均拡散曲線を示す図である。本明細書中に説明されるように、各組織試料について、拡散は、全ての位置で追跡される。図3Aは、6個の組織試料が内側に置かれた標準サイズのカセットを示す。試料は、10%NBF中に低温で濡らすことができる。図3Bは、図3Aに緑色の箱で表示される6mmの人間の扁桃組織を撮像している間に必要とされる信号を表示する。各信号は、緑色の箱内の色の付いた線に対応する組織(Δy≒1mm)内の異なる空間的位置からくる。試料の空間的変化を研究するために、各傾向は、非線形回帰を用いて式1にフィットすることができる。振幅及び減衰定数の値は、傾向及びさらなる解析について空間的に解析することができる。例えば、大きい変動制は、減衰速度と空間的に変化するTOF信号の振幅との両方において、図3Bに見ることができる。しかしながら、示された研究にいては、この例示的な実施形態では、各独立TOF信号は、以下の式、すなわち、
に従って組織全体から計算された総TOF信号に対して空間的に平均化された。
[0063]TOFavgは、拡散されていない組織試料と完全に拡散された組織試料の間の空間的に平均化されたTOF信号差であり、NはTOF信号が取得された空間的位置の個数であり、Cavgはナノ秒の単位の平均(空間的に平均化された)一定のオフセットであり、Aavgはナノ秒の単位の減衰の平均振幅(すなわち、時間t=0で、すなわち、試料の中への試薬の拡散が始まる前に得られた空間的に平均化されたTOF)であり、τavgは時間の単位の平均減衰定数である。平均化されたパラメータについて、信号は、これらの変数を決定するために、空間的に平均化され、次いで非線形回帰を用いて式1にフィットされる。
[0064]図3Cは、試料全体についての平均TOFを計算するために、共に平均化された9つのTOFトレースを示す。この信号を使用して図にラベルが付された平均減衰定数(τavg)及び振幅(Aavg)を計算することができる。空間的に平均化しているTOF信号は、組織のバルク特性を特徴付けるのに重要であるとともに、システムのノイズ対信号比もかなり改善する。基準補償されたTOFデータ中のスプリアス白色雑音を緩和するために、三次のバターワースフィルタが利用されてもよい。このフィルタは、高周波ノイズを除去しつつ、指数的拡散減衰の低周波成分を保存する。単一の指数的減衰を参照すると、フィルタ処理されていないTOFデータは、典型的な二乗平均平方根誤差(RMSE)約1ナノ秒を有し、これはフィルタリング後200〜300ピコ秒まで減少された。本実施形態における全ての統計解析について、両側スチューデントのt検定が関心の分布間の推計的有意性について調べるのに使用することができ、0.1(p<0.1)未満のp値は、重要であるとみなされた。
[0065]概して、組織切片の中へのNBFの拡散は、ホルムアルデヒド濃度及び時間によって主に制御される。NBFは、一定濃度のホルムアルデヒド(3.7%W/V)であるので、低温NBFの最小露出時間は、優れた組織形態をもたらすと考えられ得る。4℃のNBFの中に沈められ、次に45℃のNBFの中に1時間沈められた人間の扁桃組織の6mmのコアを用いた時間経過実験が、図4Aに示されている。複数回の実験後、最小3時間の低温NBF(3時間低温+1時間高温)が良好な組織形態をもたらすと判断された。組織形態は、5時間(5+1)後にわずかにより良かった。次いで、複数のコアが検証として3+1プロトコルと5+1プロトコルの両方を用いて試験された。
[0066]図4は、本開示の例示的な実施形態による異なる時間間隔で固定された組織試料についての組織形態の品質を示す。左側には、示されたような低温濡らし時間を用いて、低温+高温プロトコルで固定された人間の扁桃のコア425が示されている。右側には、複数の時間コースの実験427の概要は、組織形態の品質を示すように色分けされており、乏しい品質を示す赤色(矢印の上側3分の1)、十分な品質を示す黄色(矢印の真ん中3分の1)、良好な品質を示す緑色(矢印の下側3分の1)を用いて矢印426が組織形態の品質を示す。
[0067]したがって、下流のアッセイの結果から経験的に決定される必要な拡散時間が示されている。人間の扁桃組織の拡散特性は、さらに定量的に特徴付けられ、実証され得る。本明細書中に説明されるように、各試料は、直径が約6mmであるようにコアがなされ得る。拡散の結果は、本明細書中に説明されたTOFベースの拡散モニタリングシステムを用いて検出されるときに、標本全体を通じて必要な量の架橋結合剤と相関することができる。例えば、1つの実施形態では、合計38個の6mmの人間の扁桃試料が、低温(7±0.5℃)10%NBF中のTOFを用いて撮像された。38個の試料のうち、14個は3時間モニタされ、残りの24個の試料は、5時間スキャンされた。試料ごとに、拡散は、1mm間隔で試料全体にわたって測定された。それらのスキャンからのTOF曲線は、それぞれの各試料の平均拡散曲線を生成するために、式2に従って空間的に平均化された。各実施形態によれば、試料の拡散定数は、2015年12月17日に出願されたOBTAINING TRUE DIFFUSIVITY CONSTANT(真の拡散定数の取得)という名称の国際特許出願に開示された手法のうちの1つによって決定することができ、その内容は、全体として本明細書中に参照により本明細書によって組み込まれる。
[0068]図5は、本開示の例示的な実施形態による3時間及び5時間濡らされた組織試料についての減衰定数のグラフである。3時間及び5時間スキャンされる試料は、2時間20分及び2時間43分の平均拡散減衰定数をそれぞれ有した。平均減衰定数の差23分は、比較的小さく(<15%)、統計的に意味がないことが分かっており(p=0.15)、2つのデータセットが同じ分布から来ていることを示し、したがって同じ物理的現象を測定する。これは、検出機構は、少なくとも3つの時間について組織をモニタするとき、正確で再現可能な結果をもたらすことを確立する。累積データセットの平均に関しては、全38個の扁桃試料の平均減衰時間は、2時間34分(2.57時間)時間だった。
[0069]拡散モニタリングシステムを実証したとき、38個の6mmの扁桃試料のデータセットを解析して、各試料の拡散特性と前の章で経験的に決定された理想的な下流の色付けの結果をもたらすのに必要な知られている低温拡散時間との間の相関を見つけた。多変量解析、信号の微分を特徴付けるクラスタベースのアルゴリズム、及び主成分分析などの多数の解析技法が用いられ得る。勾配ベースの解析は、3時間対5時間の低温ホルマリン中の試料の意味のある区別、すなわち、十分に色付けされた試料対試料全体を通じて理想的に色付けした試料の意味のある区別をもたらす。しかしながら、一連のTOF点に基づいて線形回帰から計算されるTOF信号の微分は、雑音があり得、かなり雑音を緩和し、能動的な拡散速度をより正確に表すために、TOF信号の微分は、単一指数関数へのフィットに基づいて計算することができる。
[0070]形式的に、試料の単一指数関数的TOF曲線の微分は、
の形態を有する。
[0071]TOF(t)は時間依存のTOF信号であり、微分がとられるtは時間(すなわち低温ホルマリン中の時間量)であり、Aavgは平均拡散減衰信号の振幅(すなわち、拡散されていない組織試料と完全に拡散された組織試料の間の平均TOF値差)であり、τavgは平均減衰定数であり、d/dtは時間の微分であり、ブラケットは、拡散の1時間あたりTOFのナノ秒であるTOF勾配の単位を示す。式3は、図6A及び図6Bに示された結果を用いて、各試料のを計算するのに使用することができる。
[0072]図6A及び図6Bは、本開示の例示的な実施形態による複数の試料についての拡散曲線及び受信機動作特性曲線を示す。図6Aは、低温拡散の3時間(左)又は5時間(右)後にとった試料の拡散曲線ごとの勾配を示す。3時間及び5時間での平均拡散速度は、それぞれ−2.96ns/時間及び−1.26ns/時間であり、この2つの期間にわたって拡散速度が≒135%に遅くなったことを意味する。これは、統計的に有意であることが見出された平均拡散速度の大きい差を表す(p<2e−6)。図6Bは、曲線下面積(AUC)が0.98である試料拡散速度の受信機の動作特性(ROC)曲線を示しており、これはそれらのTOF曲線の微分に基づいてとても高いが完全ではない2つのデータセットの区別を示す。図6Bでは、TPFは真の正の小数を表し、FPFは誤った正の小数を表す。
[0073]より決定的な証拠をもたらすため、異なる振幅のTOF信号からの影響はその振幅によって各信号を正規化することによって緩和された。最適な識別は、式
に従ってそれらの平均振幅によって正規化された時間依存のTOF信号によって実現されたことが分かっている。
[0074]以下式4と呼ばれるこの式では、
は試料の平均振幅によって除算されたtでのTOF信号の微分であり、ブラケットは振幅が正規化されたTOF勾配の単位を示し、これは拡散の1時間あたりのパーセンテージのTOFの変化である。図7A及び図7Bは、本開示の例示的な実施形態による、複数の試料についての拡散曲線及び受信機動作特性曲線の振幅が正規化された勾配を示す。図7Aは、両データセットから試料ごとのそれぞれ3時間及び5時間での正規化された勾配を示す。拡散曲線の勾配は、組織の中へのホルマリンの能動的拡散速度を表す。予期されるように、3時間だけホルマリン中にあった試料は、ずっとより大きい速度の能動的拡散−11.3%/時間を受けるのに対して、5時間後、拡散速度は、平均速度−5.3%/時間へかなりゆっくりになっており、ゼロ拡散速度により示されるように、いくつかの試料は、完全に浸透平衡に近づいた。3時間及び5時間における正規化された拡散速度の異なる分布は、かなり統計的に有意であり(p<2e−15)、3時間対5時間における抜本的で物理的にリアルな拡散速度の差を示す。
[0075]グループがどのくらい信頼できる分離ができるか評価するために、ROC解析は図7Bに表示された結果を伴って完了した。この図から、正規化された拡散速度は、2つのデータセットをよく区別することが分かり得る。AUCは、それらの正規化されたホルマリン拡散速度に基づいて、適正に色付けされた試料ときれいに(pristinely)色付けされる試料との完全な区別を示す1.0であると正確に計算された。この結果は、試料が外部のホルマリンとの浸透平衡に到達するので、適切であると思われ、ホルムアルデヒドのそれらの内部濃度が高くなり、拡散速度が抑えられることになる。言い換えれば、試料の2つのグループは、それらのTOF拡散曲線の勾配に基づいて完全に区別することができる。したがって、形式的な拡散速度及び色付け品質が非常に相関しているのは当然である。
[0076]これらの結果から、ホルマリン拡散速度及び色付け品質は、3時間及び5時間で解析された試料間の両距離から明らかな差を有して非常に相関していることが明らかである。これらの変数の相関関係の性質があれば、式IVbは、所与の正規化された勾配に到達するのに必要な時間について解くことができ、以下の式、すなわち、
になる。
[0077]tdoneは閾値勾配に到達するための信号の微分に必要とされる時間であり、|...|記号は絶対値を示す。試料特有で正規化された勾配値であり得る所与の平均減衰定数について、この式は、試料が所与の閾値勾配値に到達する前にどのくらい長く試料が低温ホルマリン中にあることが必要であるのか計算するために使用することができる。拡散速度を色付け品質の予測子として評価するために、3つの閾値勾配値(mthres=−7.4、−8.0、−10.4%/時間)が評価のために選ばれ、ここで、大きい絶対勾配値は1時間あたりより多くの流体交換を表す。したがって、試料の能動的拡散が遅くなるので、拡散速度は、浸透平衡又は0%/時間に近づく。したがって、より大きい閾値勾配基準が少ない時間の後に試料が十分な拡散を有することを予測するのは当然である。
[0078]これは、代表的な6mm片の人間の扁桃に関して図8A〜図8Eにグラフで示される。図8A〜図8Eは、本開示の例示的な実施形態による様々な閾値勾配値に基づく拡散曲線及び予定完了時間を示す。図8Aは、3、2、1とそれぞれラベル付けされた緑線で示された様々な閾値勾配値−7.4、−8.0、−10.4%/時間を用いて、3時間(左)又は5時間(右)の低温拡散後にとられた試料の拡散曲線ごとの正規化された勾配を示す。図8Bは、グラフ上に示された閾値勾配値の適切な位置で6mm片の扁桃からの平均TOF信号を示す。図8C、図8D、及び図8Eは、グラフごとにラベル付けされた3つの評価された勾配値ごとの予定完了時間のグラフを示す。
[0079]3つの評価された閾値勾配値からまとめられたデータが、以下の通り、表2に示されている。
[0080]これらの結果に基づけば、全ての試料が、拡散速度が−10.4%/時間であるときに許容し得る色付けがされるのに十分なホルマリンを有していない可能性がある。(図8Dに示された)中央の閾値勾配値−8.0%/時間は、2つのデータセットの間に理想的な区別と、3時間と5時間の間の合理的な完了時間とをもたらす。しかしながら、可能な限り控え目であるために、(図8Eに示された)最も低い閾値勾配値の−7.4%/時間が、全体にわたって試料が理想的に色付けされるときの基準として選択され得る。この控え目な拡散速度の量であれば、6mmの扁桃コアは、3.21から4.96時間かかると予想され、これは下流の組織学的な色付けと比較して合理的で真であることを証明する。これらの実験及び解析に基づいて、試料のリアルタイムな正規化された拡散速度が少なくとも
(式6)まで遅くなると、試料は、理想的で均一な組織学的な色付けを保証するのに十分なホルマリンを全体を通じて有するはずである。
[0081]現代の組織学的な色付けは、とても多くの様々なタイプの組織で行われる。したがって、いくつかの異なるタイプの組織の拡散特性を特徴付けることに役立つ。したがって、34個の異なる組織タイプからの数百個の試料(n=241)の特性は、開示された拡散モニタリングシステムを用いて記録された。信頼できる傾向が、全てのサンプリングされた組織タイプから記録され、開示された拡散モニタリングシステムが異なる組織タイプの集まりと適合することを示した。さらに、低温10%ホルマリンにおいてモニタされるときの全ての試料は、本明細書中に開示された単一指数関数と非常に相関しているTOF拡散曲線を有した。例えば、典型的には、R adjは、典型的に0.99よりも大きく、フィットと呼ばれる全ての試料についての平均RMSEは、フィットからの平均偏差が約1%を表すわずか0.535nsであった。
[0082]図9は、本開示の例示的な実施形態による、5〜7mmの厚さに切断された複数の組織試料についてアルファベット順に表示された平均減衰定数を示す。個々の組織タイプ内であってもホルマリン拡散速度に非常に多くの変動性があり、いくつかの組織(例えば、胸、脂肪、肝臓、皮膚)は、数時間の最小から最大の差を例示する。したがって、本発明の各実施形態は、組織が非常に不均一であることの観察を活用する。さらに、それぞれの各グループからの平均減衰定数は、かなり大きく変わり、様々な器官及び組織タイプにわたって劇的に異なる拡散速度を示す。結果として、図10は、本開示の例示的な実施形態による、各組織試料から器官タイプについて平均化され最小から最大の減衰定数へ並べ変えられた平均減衰定数を示す。このようにして表示されるとき、より迅速に拡散する組織は左へ記録し(すなわち、より小さい減衰定数)、ゆっくり拡散する組織は右に記録する(すなわち、より大きい減衰定数)。重要なことには、American Society of Clinical Oncology and the College of American Pathologists(ASCO/CAP)がホルマリンにおいて延長時間を必要とすると認識しているいくつかの組織タイプ(例えば、胸、脳、脂肪)は、最も遅い4分の1の組織の間でグラフのかなり右に位置している。明らかに、開示されたTOF拡散モニタリングシステムは、ゆっくり拡散する組織のASCO/CAPのガイドラインを確証した。これらの結果は、異なるタイプの拡散特性の間の重要な差という完全な特徴付けをもたらす。このようにして並べ変えられると、約75%の器官が≒2時間未満の平均減衰定数を有することが明らかである。より長い減衰定数を有する組織は、それらの減衰速度の広がりにおいてより多くのバリエーションを有する傾向がある。
[0083]開発された振幅が正規化された拡散速度の量に基づいて、式5は、幅広い組織採取の研究における全ての試料についての予定完了時間を計算するのに使用することができる。図11は、本開示の例示的な実施形態による−7.4%/時間の閾値勾配を用いて様々な組織タイプについて予定完了時間を示す。控え目な閾値勾配値−7.4%/時間に基づいて、最小から最高の計算された完了時間により結果が並べ変えられている。赤色の点は最大値を示し、緑色の箱ひげは、グループの標準偏差を示す。
[0084]図12A及び図12Bは、本開示の例示的な実施形態による、複数の組織タイプについての予定完了時間についての確率密度関数、及び全ての完了時間についての累積的分布関数をそれぞれ示す。図12Aを参照すると、平均完了時間は、3時間23分であった。図12Bにグラフで描かれた累積的密度関数(CDF)は、図12Aの積分を表す。36.1%の試料は3時間後に十分な架橋結合剤を有し、試料の74.7%は4時間未満の完了時間を有する。重要なことには、100%の試料は、5時間後に十分に拡散される。したがって、図12Bは、5時間10%ホルマリン中に低温で濡らした全ての試料が、下流のアッセイできれいな色付けがされることを予測する。
[0085]したがって、全ての組織タイプについて、10%ホルマリン中に低温で濡らされた厚さ7mmまでの試料について、tdone≦5時間であることが述べられ得る。このtdoneが、厚さ5〜7mmの試料からもっぱら計算されることに留意することが重要である。しかしながら、拡散時間は組織の厚さの平方に従ってスケール変更するので、5mmよりも小さい試料は、より大きい組織よりもかなり速く拡散する。低温ホルマリン中の追加の時間は、癌生物マーカ又は組織形態に対して有害な影響はないので、示された最大完了時間は、厚さ7mmまでの全ての試料において癌生物マーカ及び形態をよく保存する。多くの要因は、架橋結合剤ホルマリンが、2、3例を挙げると、試料組成、厚さ、温度、カセットの向き、及び解析前の組織ハンドリングなどの組織を潅流する速度に影響を及ぼす。低温ホルマリンに必要とされる示された時間は、これらの要因の全部が考慮に入れられるので特に強力である。さらに、研究においてモニタされる多数の試料及びシステムのスキャン能力は、異なるタイプの組織からの変動性(試料間の変動)並びに組織不均一性(試料内の変動)からの寄与にも関わらず、低温ホルマリン中の5時間が組織を理想的に保存することを確実にする。また、最も遅い拡散組織(脂肪、脳など)は、この研究に含まれたので、もっぱらモニタされない他のタイプの組織は潜在的な固定プロトコルの制限要因でないことも断言できる。したがって、厚さ7mmまでの全ての試料は、低温ホルマリン中で5時間後に適切に色付けすることができる。
[0086]また、本明細書中に開示された動的モニタリングシステムは、組織タイプ及び拡散のリアルタイムモニタリングに基づいてtdoneを調整するプロトコルとして含むことができる。図13は、本開示の例示的な実施形態による組織固定を最適化する方法を示す。この方法は、本明細書中に説明されるように、組織試料のホルマリン拡散から始まるS1301。濡らすと、タイマが開始され(S1302)、組織試料の拡散がモニタされる(S1303)。拡散は、本明細書中に説明された方法を用いてモニタすることができ、環境的な要因に対して調整されるTOFを決定することを含む。組織が十分に拡散されているか否かに関して決定がなされる(S1303)。これは、組織タイプ、年齢などに基づいて選択することができる1つ又は複数の閾値拡散の定数に基づくことができる。例えば、−7.4%/時間の閾値が使用されてもよい。いずれにしても、閾値に到達しない場合、この方法は、測定をし続けつつ、単に待つ(S1304)。閾値に到達すると、組織内部の十分なホルムアルデヒドが品質色付けを保証し、タイマは、停止することができ(S1305)、特定の期間(例えば1時間)にわたって低温ホルマリンへ切り替えることによって、又は任意の他のプロセスによって組織は処理される。
[0087]したがって、前述の開示は、組織試料が十分な濃度のホルマリンに拡散されたときを決定して均一で理想的な組織病理学的色付けを保証することができる予測アルゴリズムを開発する。開示されたシステム及び方法は、組織試料が試料全体にわたって理想的に色付けするのに十分なホルマリンを有するときを正確に予測する手段を提供する。これは、遅い組織がホルマリンに曝されることが必要である時間量を自動的に長くし、一方、組織試料に必要な組織処理時間の量を短くし、組織処理研究室に品質保証及び報告書作成を加える方にワークフローの改善をもたらすことによって、試料が十分に固定されることの保証を与える。本明細書中に説明される方法は、大きい組織採取研究の一部として数百片の組織をモニタすることによって実証されている。結果は、全ての試料が低温ホルマリン中の受動的拡散の5時間後に高品質色付けをもたらすことを示唆している。全体的に、この技術は、解析前の組織処理手順に大変革をもたらす潜在力を有し、癌生物マーカ及び形態をよく保存するための試料特有のハンドリングを確実にする。この方法論は、比類のない品質保証を確実にするように完全にモニタされる急速固定プロトコルで各標本が完全に処理されることを確実にすることによって、高価な試料の再生の必要をなくすことにより個人用の医学のワークフローに不可欠なものになり得る。
[0088]本開示の例示的な各実施形態の前述の開示は、例示及び記述のために示された。網羅的であること又は開示された精密な形態に本開示を限定することは意図されていない。本明細書中に記載された実施形態の多くの変形形態及び修正形態は、上記の開示の観点で当業者に明らかであろう。本開示の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって及びその均等物によってのみ定められるものである。
[0089]さらに、本開示の説明している代表的な実施形態では、本明細書は、本開示の方法及び/又はプロセスを特定の一連のステップとして示すことができる。しかしながら、方法又はプロセスが本明細書中に記載されたステップの特定の順序に頼らない限りにおいては、方法又はプロセスに記載されたステップの特定の順番に限定されるべきではない。当業者は、他の順番のステップも可能であり得ることを理解されよう。したがって、本明細書中に記載されたステップの特定の順序は、特許請求の範囲の限定とみなされるべきではない。加えて、本開示の方法及び/又はプロセスに向けられた特許請求の範囲は、記載された順序のステップの実施に限定されるべきではなく、当業者は、順番は変更されてもよく、本開示の精神及び範囲内のままであり得ることを容易に理解できよう。

Claims (43)

  1. 組織試料を固定する方法であって、
    (a)0から10℃の温度で固定剤溶液の体積中に固定されていない組織試料を浸漬するステップと、
    (b)
    (b1)前記組織試料を通じて超音波音響信号を送信し、前記超音波音響信号が前記組織試料を通過した後に前記超音波音響信号を検出し、
    (b2)前記超音波音響信号の飛行時間(TOF)を計算し、
    (b3)複数の後続の時点で(b1)及び(b2)を繰り返し、
    (b4)前記時点ごとに測定された前記超音波音響信号から計算された前記TOFの曲線の勾配を解析することによって少なくとも前記後続の時点ごとに拡散速度を計算し、
    (b5)前記拡散速度が予め定められた閾値未満に低下するときを判定する
    ことによって前記組織試料の中への前記固定剤溶液の拡散速度をモニタするステップと、
    (c)前記拡散速度が前記予め定められた閾値未満に低下した後、前記組織試料の固定を可能にするのに十分な期間の間に20℃から55℃の範囲の温度まで前記組織試料を温めることを可能にするステップと
    を含み、
    (b4)は、
    (a)それぞれの時点について(b1)〜(b3)から決定される前記TOFのうちの2つ以上を結ぶTOFトレースを単一指数曲線にフィットさせるステップと、
    (b)前記単一指数曲線の微分を計算し、
    適宜、前記微分を前記時点での前記TOF信号の振幅で除することによって前記微分を正規化する
    ことによって各時点で前記拡散速度を計算するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記TOFトレースは、前記組織試料内の単一の位置で取り込まれる、請求項に記載の方法。
  3. 前記単一指数曲線は、式I、すなわち、
    TOF(t,r)=C(r)+Ae−t/τ(r) (I)
    に従った曲線であり、前記拡散速度は、式IIIa、すなわち、
    に従って計算され、ただし、Cは一定のオフセットであり、Aは減衰の振幅であり、τは減衰定数であり、tは拡散時間であり、rは空間依存性であり、tは前記拡散速度が計算される時点での拡散時間である、請求項又はに記載の方法。
  4. 前記単一指数曲線は、式I、すなわち、
    TOF(t,r)=C(r)+Ae−t/τ(r) (I)
    に従った曲線であり、前記拡散速度は、式IVa、すなわち、
    に従って計算された振幅が正規化された拡散速度であり、ただし、Cは一定のオフセットであり、Aは減衰の振幅であり、τは減衰定数であり、tは拡散時間であり、rは空間依存性であり、
    は前記振幅が正規化された拡散速度であり、tは前記拡散速度が計算される時点での拡散時間であり、ブラケットは拡散速度の単位を示しており、時間は、τに従う時間の単位である、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記TOFトレースは、前記組織試料内の複数の空間的位置でTOF測定値を取り込み、前記TOF測定値を空間的に平均化することによって得られる空間的に平均化されたTOFトレースである、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記単一指数曲線は、式II、すなわち、
    に従った曲線であり、前記拡散速度は、式IIIb、すなわち、
    に従って計算され、ただし、TOFavgは前記空間的に平均化されたTOFトレースであり、Nは測定されたTOF信号が取得された空間的位置の個数であり、Cavgは平均の一定のオフセットであり、Aavgは減衰の平均振幅であり、τavgは平均減衰定数であり、tは前記拡散速度が計算される時点での拡散時間である、請求項に記載の方法。
  7. 前記単一指数曲線は、式II、すなわち、
    に従った曲線であり、ただし、前記拡散速度は、式IVb、すなわち、
    に従って空間的に平均化されたTOFトレースについて計算された振幅が正規化された拡散速度であり、ただし、TOFavgは前記空間的に平均化されたTOFトレースであり、Nは測定されたTOF信号が取得された空間的位置の個数であり、Cavgは平均の一定のオフセットであり、Aavgは減衰の平均振幅であり、τavgは平均減衰定数であり、
    は前記振幅が正規化された拡散速度であり、tは前記拡散速度が計算される前記時点での拡散時間であり、ブラケットは拡散速度の単位を示しており、時間はτavgに従う時間の単位である、請求項に記載の方法。
  8. 閾値拡散速度は、(b4)に従って計算された離散的な時点での前記拡散速度が前記閾値拡散速度を満たす又は超えるときに満たされている、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  9. 予め定められた閾値拡散速度が満たされていたかの決定は、
    フィットが予め定められた信頼カットオフを超えるまで、(b1)〜(b4)を繰り返し、前記時点のうちの2つ以上の時点の前記TOFを単一指数曲線にフィットするステップと、
    前記フィットが予め定められた信頼レベルを超えた後に、前記予め定められた閾値拡散速度に到達するのに必要な時間量を計算するステップと
    を含み、前記予め定められた閾値拡散速度は、予め定められた閾値拡散速度に到達するのに必要な時間量が満了したときに満たされている、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  10. 前記拡散速度は式IVaに従って計算された振幅が正規化された拡散速度であり、完了までの時間は、式VIIIa、すなわち、
    に従って計算することができ、ただし、tdoneは前記完了までの時間であり、|...|記号は絶対値を示す、請求項に記載の方法。
  11. 前記拡散速度は、式IVbに従って計算された振幅が正規化された拡散速度であり、完了までの時間は、式VIIIb、すなわち、
    に従って計算することができ、ただし、tdoneは前記完了までの時間であり、|...|記号は絶対値を示す、請求項に記載の方法。
  12. 前記閾値拡散速度は、特定のエンドプロセスの最低品質と相関するように経験的に決定されている、請求項8又は9に記載の方法。
  13. (b2)〜(b5)は、信号解析器によって実行される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. (b1)は、音響モニタリングシステムによって実行される、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
  15. 組織試料中の不安定生物マーカを検出する組織学的方法又はin situ混成方法であって、請求項1から14のいずれかの方法により前記組織を固定するステップと、前記不安定生物マーカに特に結合することができる前記固定された組織試料に検出可能なラベルを施すステップと、前記検出可能なラベルの存在を検出するステップとを含む方法。
  16. 前記方法は組織学的な方法であり、前記不安定生物マーカはリン酸化たんぱく質である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記方法はin situ混成方法であり、不安定生物マーカは核酸である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記核酸は、miRNA分子又はmRNA分子である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記固定剤溶液は、ホルマリンを含有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 組織のタイプを特定するステップをさらに含み、前記組織試料は、ステップb4において得られた前記拡散速度をあるもの又は経験的に決定された組織タイプ特定及び/又は癌タイプ特定の基準拡散速度と比較することによってそこから得られ、それによってステップb4において得られた前記拡散速度に最も類似する前記基準拡散速度のうちの1つは、前記組織試料が得られた前記組織のタイプ及び/又は腫瘍のタイプのインジケータとして使用される、請求項1から19のいずれか一項のいずれかに記載の方法。
  21. 組織試料の中に固定剤が拡散するのをモニタするシステムであって、
    (a)プロセッサ(105)と前記プロセッサに結合されたメモリとを含む信号解析器を含み、前記メモリは、
    (a1)飛行時間(TOF)トレースは複数の時点の前記TOFトレースで前記組織試料を通じて送信された超音波信号の複数のTOF測定値を含み、前記TOFトレースを単一指数曲線にフィットさせること、及び
    (a2)
    前記単一指数曲線の微分を計算し、
    適宜、前記微分を前記時点での前記超音波信号の振幅で除することによって前記微分を正規化する
    ことによって各時点で拡散速度を計算すること、
    を含む動作を前記プロセッサに実行させるコンピュータによって実行可能な命令を記憶する、システム。
  22. 前記TOF測定値は、前記組織試料内の単一の位置で取り込まれる、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記単一指数曲線は、式I、すなわち、
    TOF(t,r)=C(r)+Ae−t/τ(r) (I)
    に従った曲線であり、前記拡散速度は、式IIIa、すなわち、
    に従って計算され、ただし、Cは一定のオフセットであり、Aは減衰の振幅であり、τは減衰定数であり、tは拡散時間であり、rは空間依存性であり、tは前記拡散速度が計算される前記時点での拡散時間である、請求項21又は22に記載のシステム。
  24. 前記単一指数曲線は、式I、すなわち、
    TOF(t,r)=C(r)+Ae−t/τ(r) (I)
    に従った曲線であり、前記拡散速度は、式IVa、すなわち、
    に従って計算される振幅が正規化された拡散速度であり、ただし、Cは一定のオフセットであり、Aは減衰の振幅であり、τは減衰定数であり、tは拡散時間であり、rは空間依存性であり、
    は前記振幅が正規化された拡散速度であり、tは前記拡散速度が計算される前記時点での拡散時間であり、ブラケットは拡散速度の単位を示しており、時間は、τによる時間の単位である、請求項21又は22に記載のシステム。
  25. 前記TOFトレースは、前記組織試料内の複数の空間的位置で前記TOF測定値を取り込み、前記TOF測定値を空間的に平均化することによって得られる空間的に平均化されたTOFトレースである、請求項21から24のいずれか一項に記載のシステム。
  26. 前記単一指数曲線は、式II、すなわち、
    に従っ曲線であり、ただし、前記拡散速度は、式IIIb、すなわち、
    に従って計算され、ただし、TOFavgは前記空間的に平均化されたTOFトレースであり、Nは測定されたTOF信号が取得された空間的位置の個数であり、Cavgは平均の一定のオフセットであり、Aavgは減衰の平均振幅であり、τavgは平均減衰定数であり、tは前記拡散速度が計算される前記時点での拡散時間である、請求項25に記載のシステム。
  27. 前記単一指数曲線は、式II、すなわち、
    に従った曲線であり、前記拡散速度は、式IVb、すなわち、
    に従った空間的に平均化されたTOFトレースについて計算された振幅が正規化された拡散速度であり、ただし、TOFavgは前記空間的に平均化されたTOFトレースであり、Nは測定されたTOF信号が取得された空間的位置の個数であり、Cavgは平均の一定のオフセットであり、Aavgは減衰の平均振幅であり、τavgは平均減衰定数であり、
    は前記振幅が正規化された拡散速度であり、tは前記拡散速度が計算される前記時点での拡散時間であり、ブラケットは拡散速度の単位を示しており、時間はτavgに従う時間の単位である、請求項25に記載のシステム。
  28. 前記命令は、
    (a3)予め定められた閾値拡散速度が満たされているか決定すること
    をさらに含む、請求項21から27のいずれかに記載のシステム。
  29. 前記閾値拡散速度は、離散的な時点での前記拡散速度が前記予め定められた閾値拡散速度と同一であるときに満たされている、請求項28に記載のシステム。
  30. 前記予め定められた閾値拡散速度が満たされていたかの決定は、
    前記フィットが予め定められた信頼カットオフを超えるまで、TOFトレースを取得し、前記TOFトレースを前記単一指数曲線にフィットするステップと、
    前記フィットが予め定められた信頼レベルを超えた後、前記予め定められた閾値拡散速度に到達するのに必要な時間量を計算するステップと
    を含み、前記予め定められた閾値拡散速度は、予め定められた閾値拡散速度に到達するのに必要な時間量が満了したときに満たされている、請求項28に記載の方法。
  31. 前記拡散速度は式IVaに従って計算された振幅が正規化された拡散速度であり、完了までの時間は、式VIIIa、すなわち、
    に従って計算され、tdoneは完了までの時間であり、|...|記号は絶対値を示す、請求項30に記載の方法。
  32. 前記拡散速度は、式IVbに従って計算された振幅が正規化された拡散速度であり、完了までの時間は、式VIIIb、すなわち、
    に従って計算することができ、ただし、tdoneは完了までの時間であり、|...|記号は絶対値を示す、請求項30に記載の方法。
  33. 閾値拡散速度は、固定後に前記組織試料上で実行されるプロセスの最低品質と相関し、前記閾値拡散速度は、特定のエンドプロセスの最低品質と相関するように経験的に決定されている、請求項28から32のいずれかに記載のシステム。
  34. 固定後に前記組織試料に行われる前記プロセスは、組織学的プロセス又はin situ混成プロセスを含む、請求項33に記載のシステム。
  35. 前記組織学的プロセス又は前記in situ混成プロセスは、不安定生物マーカの検出を含む、請求項34に記載のシステム。
  36. 前記閾値拡散速度は、1時間あたり少なくとも−7.4%の閾値拡散速度である、請求項33に記載のシステム。
  37. 前記システムは、通知システムをトリガする及び/又は前記予め定められた閾値拡散速度を満たすときに前記組織試料に関する後続のプロセスを実行するようになされた、請求項28から36のいずれかに記載のシステム。
  38. 前記システムは、
    (b)前記TOF測定を実行する音響モニタリングシステム
    をさらに備え、前記プロセッサによって実行される動作は、前記音響モニタリングシステムから得られた音響データのセットからTOFを計算することをさらに含む、請求項21から37のいずれかに記載のシステム。
  39. 前記音響データセットから計算された前記TOFは、基準補償されたTOFである、請求項38に記載のシステム。
  40. 前記音響モニタリングシステムは、前記組織試料中の複数の位置で前記TOF測定を実行するようになされている、請求項38又は39に記載の方法。
  41. (a1)飛行時間(TOF)トレースは複数の時点の前記TOFトレースで組織試料を通じて送信された超音波信号の複数のTOF測定値を含み、前記TOFトレースを単一指数曲線にフィットさせること、及び
    (a2)
    前記単一指数曲線の微分を計算し、
    適宜、前記微分を前記時点での前記超音波信号の振幅で除することによって前記微分を正規化すること
    によって各時点で拡散速度を計算すること
    を含む、組織試料の中に固定剤が拡散するのをモニタするための動作を実行するようにプロセッサによって実行されるコンピュータ可読コードを記憶する有形の非一時的なコンピュータ可読媒体。
  42. 前記動作は、前記固定剤が前記組織試料から間質液の目標体積にとって代わった後に前記組織試料に対する固定プロセスを実行することをさらに含む、請求項41に記載のコンピュータ可読媒体。
  43. 記固定プロセスを実行することは、前記組織試料の架橋結合を促進するように前記組織試料を加熱することを含む、請求項42に記載のコンピュータ可読媒体。
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