JP6656868B2 - トルク変動抑制装置、トルクコンバータ、及び動力伝達装置 - Google Patents
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Description
トルクコンバータ1は、フロントカバー2と、トルクコンバータ本体3と、ロックアップ装置4と、出力ハブ5と、を有している。フロントカバー2にはエンジンからトルクが入力される。トルクコンバータ本体3は、フロントカバー2に連結されたインペラ7と、タービン8と、ステータ(図示せず)と、を有している。タービン8は出力ハブ5に連結されており、出力ハブ5の内周部には、トランスミッションの入力軸(図示せず)がスプラインによって係合可能である。
ロックアップ装置4は、クラッチ部や、油圧によって作動するピストン等を有し、ロックアップオン状態と、ロックアップオフ状態と、を取り得る。ロックアップオン状態では、フロントカバー2に入力されたトルクは、トルクコンバータ本体3を介さずに、ロックアップ装置4を介して出力ハブ5に伝達される。一方、ロックアップオフ状態では、フロントカバー2に入力されたトルクは、トルクコンバータ本体3を介して出力ハブ5に伝達される。
−第1実施形態−
図2Aは第1ハブ121及びトルク変動抑制装置14の正面図、図3Aは第2ハブ122及びトルク変動抑制装置14の正面図である。また、図2Aの一部を拡大して図4に示している。これらの図に示すように、トルク変動抑制装置14は、質量体20を構成する第1イナーシャリング201及び第2イナーシャリング202と、複数の遠心子21と、4個の第1カム機構221と、4個の第2カム機構222と、複数のコイルスプリング23と、を有している。遠心子21、第1及び第2カム機構221,222、及びコイルスプリング23は、それぞれ円周方向に90°の等間隔で配置されている。
図4及び図5を用いて、第1カム機構221の作動(トルク変動の抑制)について説明する。ロックアップオン時には、フロントカバー2に伝達されたトルクは、入力側回転体11及びダンパ13を介して第1ハブ121及び第2ハブ122に伝達される。
第2カム機構222の作動については、第1カム機構221の作動と基本的に同じである。異なるのは、カム形状の相違による、遠心力から円周方向力への変換特性である。すなわち、第1カム機構221では、カム26は曲率半径が比較的小さく形成されている。これに対して第2カム機構222のカムは、図3A及び図3Bから明らかなように、第1カム機構221のカム26の曲率半径に比較して大きく形成されている。このため、第1カム機構221では、遠心子が遠心力を受けたときには第1変換特性で円周方向力に変換されるが、第2カム機構222では、第1変換特性とは異なる第2変換特性で、遠心力が円周方向力に変換される。
以上のように、第1カム機構221は第1変換特性を有し、第2カム機構222は第2変換特性を有している。したがって、例えば4気筒エンジンで2気筒の気筒休止を行う場合に、第1変換特性によって、4気筒が作動している際のトルク変動を抑制し、第2変換特性によって、2気筒のみが作動している際のトルク変動を抑制するようにすることができる。
図6は、トルク変動抑制特性の一例を示す図である。横軸は回転数、縦軸はトルク変動(回転速度変動)である。特性Q1はトルク変動を抑制するための装置が設けられていない場合、特性Q2は従来のダイナミックダンパ装置が設けられた場合、特性Q3は本実施形態のトルク変動抑制装置14が設けられた場合を示している。
図7及び図8は、本発明の第2実施形態によるトルク変動抑制装置を示している。図7では、第1イナーシャリング201を部分的に破断して示している。図8は、図7の平面部分図である。なお、第1実施形態と同じ又は対応する部材には、形状等は異なる場合であっても、同じ符合を付して示している。
第1及び第2カム機構221,222の作動(トルク変動の抑制)については、カム機構の個数及び配置が第1実施形態と異なるだけで、基本的な作動は第1実施形態と同様である。この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、トルク変動を抑制する力は、遠心力、すなわち出力側回転体12の回転数によって変化するし、回転位相差及びカム26の形状によっても変化する。したがって、カム26の形状を適宜設定することによって、トルク変動抑制装置の特性を、エンジン仕様等に応じた最適な特性にすることができる。
図9は本発明の第3実施形態によるトルク変動抑制装置を示している。なお、第1実施形態と同じ又は対応する部材には、形状等は異なる場合であっても、同じ符合を付して示している。
第1及び第2カム機構221,222の作動(トルク変動の抑制)については、基本的な作動は第1実施形態と同様である。なお、第1カム機構221と第2カム機構222とは、カム26の形状は同じであるが、第2遠心子212の配置された径方向位置は第1遠心子211の配置された径方向位置より大きい。したがって、同じ回転数の場合、第2カム機構212のコロ25(カムフォロア:第2遠心子212)に作用する遠心力の方が、第1カム機構211のコロ25(第1遠心子211)に作用する遠心力より大きい。したがって、同じ回転数では、第2カム機構212によるトルク変動の抑制力の方が、第1カム機構211によるそれよりも大きくなる。
図10に第4実施形態によるトルク変動抑制装置を示している。なお、第1実施形態と同じ又は対応する部材には、形状等は異なる場合であっても、同じ符合を付して示している。前記各実施形態では、質量体を連続した円環状の部材で構成したが、この第4実施形態では、質量体は、円周方向に並べて配置された複数の分割されたイナーシャ体201,202によって構成されている。他の出力側回転体12、遠心子21等の構成は他の実施形態と同様である。
図11に第5実施形態によるトルク変動抑制装置を示している。なお、第1実施形態と同じ又は対応する部材には、形状等は異なる場合であっても、同じ符合を付して示している。第5実施形態では、第4実施形態と同様に、2つの第1カム機構221と、2つの第2カム機構222と、が同じ円周上に配置されている。
第6実施形態を図13に示す。この第6実施形態は、1つの出力側回転体12及び1つのイナーシャリング20に、2つの第1カム機構221と、2つの第2カム機構222と、を配置したものである。各カム機構221,222の構成は、第1実施形態と同様であるので、ここでは省略する。なお、この第6実施形態では、トルク変動を抑制するための特性は、第1実施形態とは異なり、第1カム機構221と第2カム機構222とを合成した特性となる。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
以上のようなトルク変動抑制装置を、トルクコンバータや他の動力伝達装置に適用する場合、種々の配置が可能である。以下に、トルクコンバータや他の動力伝達装置の模式図を利用して、具体的な適用例について説明する。なお、以下の各例を示す図において、カム機構を簡略して示しているが、各カム機構のすべてにおいて、前述の各実施形態におけるカム機構を適用する事が可能である。
11 入力側回転体
12 出力側回転体
121 第1ハブ
122 第2ハブ
14 トルク変動抑制装置
20 イナーシャリング(質量体)
201 第1イナーシャリング
202 第2イナーシャリング
21 遠心子
22 カム機構
221 第1カム機構
222 第2カム機構
23 コイルスプリング(付勢部材)
25 コロ(カムフォロア)
26 カム
73,75,83,86 ダンパ
76,87 中間部材
77 フロート部材
80 フライホイール
81,82,91 慣性体
84,92 クラッチ装置
Claims (18)
- トルクが入力される回転体のトルク変動を抑制するためのトルク変動抑制装置であって、
前記回転体とともに回転可能であり、かつ前記回転体に対して相対回転自在に配置された質量体と、
前記回転体及び前記質量体の回転による遠心力を受けるように配置された第1遠心子及び第2遠心子と、
前記第1遠心子に作用する遠心力を受けて、前記回転体と前記質量体との間に回転方向における相対変位が生じたときには、前記遠心力を、前記相対変位が小さくなる方向の第1円周方向力に変換する第1カム機構と、
前記第2遠心子に作用する遠心力を受けて、前記回転体と前記質量体との間に回転方向における相対変位が生じたときには、前記遠心力を、前記相対変位が小さくなる方向の第2円周方向力に変換する第2カム機構と、
を備え、
前記回転体は、軸方向第1位置に配置された第1回転体と、軸方向第2位置に配置された第2回転体と、を有し、
前記質量体は、前記第1回転体の外周又は内周に配置された第1イナーシャリングと、前記第2回転体の外周又は内周に配置された第2イナーシャリングと、を有し、
前記第1遠心子は前記第1回転体又は前記第1イナーシャリングに径方向に移動自在に支持され、
前記第2遠心子は前記第2回転体又は前記第2イナーシャリングに径方向に移動自在に支持され、
前記第1カム機構は軸方向において前記軸方向第1位置に配置され、
前記第2カム機構は軸方向において前記軸方向第2位置に配置されている、
トルク変動抑制装置。 - トルクが入力される回転体のトルク変動を抑制するためのトルク変動抑制装置であって、
前記回転体とともに回転可能であり、かつ前記回転体に対して相対回転自在に配置された質量体と、
前記回転体及び前記質量体の回転による遠心力を受けるように配置された第1遠心子及び第2遠心子と、
前記第1遠心子に作用する遠心力を受けて、前記回転体と前記質量体との間に回転方向における相対変位が生じたときには、前記遠心力を、前記相対変位が小さくなる方向の第1円周方向力に変換する第1カム機構と、
前記第2遠心子に作用する遠心力を受けて、前記回転体と前記質量体との間に回転方向における相対変位が生じたときには、前記遠心力を、前記相対変位が小さくなる方向の第2円周方向力に変換する第2カム機構と、
を備え、
前記質量体は、前記回転体の外周に配置された第1イナーシャリングと、前記第1イナーシャリングのさらに外周に配置された第2イナーシャリングと、を有し、
前記第1遠心子は前記回転体に径方向に移動自在に支持され、
前記第2遠心子は前記第1イナーシャリングに径方向に移動自在に支持され、
前記第1カム機構は前記回転体の外周で前記第1イナーシャリングの内周に配置され、
前記第2カム機構は前記第1イナーシャリングの外周で前記第2イナーシャリングの内周に配置されている、
トルク変動抑制装置。 - トルクが入力される回転体のトルク変動を抑制するためのトルク変動抑制装置であって、
前記回転体とともに回転可能であり、かつ前記回転体に対して相対回転自在に配置された質量体と、
前記回転体及び前記質量体の回転による遠心力を受けるように配置された第1遠心子及び第2遠心子と、
前記第1遠心子に作用する遠心力を受けて、前記回転体と前記質量体との間に回転方向における相対変位が生じたときには、前記遠心力を、前記相対変位が小さくなる方向の第1円周方向力に変換する第1カム機構と、
前記第2遠心子に作用する遠心力を受けて、前記回転体と前記質量体との間に回転方向における相対変位が生じたときには、前記遠心力を、前記相対変位が小さくなる方向の第2円周方向力に変換する第2カム機構と、
を備え、
前記第2カム機構は、前記回転体又は前記質量体が所定回転数以上では前記第2遠心子の径方向外側への移動を規制する作動禁止機構を有し、前記作動禁止機構の作動によって前記第2遠心子に作用する遠心力を前記第2円周方向力に変換させない、
トルク変動抑制装置。 - 前記回転体は外周面に凹部を有し、
前記第1及び第2遠心子の少なくとも一方は、前記凹部に径方向に移動自在に収容されている、
請求項1から3のいずれかに記載のトルク変動抑制装置。 - 前記第1及び第2遠心子のうち前記凹部内に収容された遠心子と前記凹部との間の摩擦係数は0.1以下である、
請求項4に記載のトルク変動抑制装置。 - 前記凹部内に収容された遠心子が移動する方向の前記遠心子の側面と前記凹部との間には、前記遠心子が移動する際の摩擦を低減するための摩擦低減部材が配置されている、請求項5に記載のトルク変動抑制装置。
- 前記第1カム機構及び前記第2カム機構は、
前記第1遠心子及び前記第2遠心子に設けられたカムフォロアと、
外周側に配置された前記回転体又は前記質量体の内周面に形成され、前記カムフォロアが当接し前記回転体と前記質量体との間の回転方向における相対変位量に応じて前記円周方向力が変化するような形状を有するカムと、
を有する、
請求項4から6のいずれかに記載のトルク変動抑制装置。 - 前記凹部内に配置され、前記回転体及び前記質量体が回転していない状態で前記カムと前記カムフォロアとが互いに当接するように前記第1遠心子及び第2遠心子の少なくとも一方を径方向外方に付勢する付勢部材をさらに備えた、請求項7に記載のトルク変動抑制装置。
- 前記質量体は連続した円環状に形成されている、請求項1から8のいずれかに記載のトルク変動抑制装置。
- エンジンとトランスミッションとの間に配置されるトルクコンバータであって、
前記エンジンからのトルクが入力される入力側回転体と、
前記トランスミッションにトルクを出力する出力側回転体と、
前記入力側回転体と前記出力側回転体との間に配置されたダンパと、
請求項1から9のいずれかに記載のトルク変動抑制装置と、
を備えたトルクコンバータ。 - 前記トルク変動抑制装置は前記入力側回転体に配置されている、請求項10に記載のトルクコンバータ。
- 前記トルク変動抑制装置は前記出力側回転体に配置されている、請求項10に記載のトルクコンバータ。
- 前記ダンパは、
前記入力側回転体からトルクが入力される第1ダンパと、
前記出力側回転体にトルクを出力する第2ダンパと、
前記第1ダンパと前記第2ダンパとの間に設けられた中間部材と、
を有し、
前記トルク変動抑制装置は前記中間部材に配置されている、
請求項10に記載のトルクコンバータ。 - 前記ダンパは複数のコイルスプリングを有し、
前記入力側回転体及び前記出力側回転体に対して相対回転自在であり、前記複数のコイルスプリングを支持するフロート部材をさらに備え、
前記トルク変動抑制装置は前記フロート部材に配置されている、
請求項10に記載のトルクコンバータ。 - 回転軸を中心に回転する第1慣性体と、前記回転軸を中心に回転し前記第1慣性体と相対回転自在な第2慣性体と、前記第1慣性体と前記第2慣性体との間に配置されたダンパと、を有するフライホイールと、
前記フライホイールの前記第2慣性体に設けられたクラッチ装置と、
請求項1から9のいずれかに記載のトルク変動抑制装置と、
を備えた動力伝達装置。 - 前記トルク変動抑制装置は前記第2慣性体に配置されている、請求項15に記載の動力伝達装置。
- 前記トルク変動抑制装置は前記第1慣性体に配置されている、請求項15に記載の動力伝達装置。
- 前記ダンパは、
前記第1慣性体からトルクが入力される第1ダンパと、
前記第2慣性体にトルクを出力する第2ダンパと、
前記第1ダンパと前記第2ダンパとの間に設けられた中間部材と、
を有し、
前記トルク変動抑制装置は前記中間部材に配置されている、
請求項15に記載の動力伝達装置。
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