JP6654981B2 - 有機性廃水の嫌気性処理方法 - Google Patents

有機性廃水の嫌気性処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6654981B2
JP6654981B2 JP2016146103A JP2016146103A JP6654981B2 JP 6654981 B2 JP6654981 B2 JP 6654981B2 JP 2016146103 A JP2016146103 A JP 2016146103A JP 2016146103 A JP2016146103 A JP 2016146103A JP 6654981 B2 JP6654981 B2 JP 6654981B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carrier
anaerobic
reaction tank
tank
organic wastewater
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016146103A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018015691A (ja
Inventor
一将 蒲池
一将 蒲池
智弘 飯倉
智弘 飯倉
惇太 高橋
惇太 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Swing Corp
Original Assignee
Swing Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=61078947&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6654981(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Swing Corp filed Critical Swing Corp
Priority to JP2016146103A priority Critical patent/JP6654981B2/ja
Publication of JP2018015691A publication Critical patent/JP2018015691A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6654981B2 publication Critical patent/JP6654981B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

本発明は、有機性廃水の嫌気性処理方法に関し、特に、嫌気性微生物を非生物担体に付着させて、非生物担体の表面に活性の高い生物膜を形成させるまでの立ち上げ運転期間を短縮した有機性廃水の嫌気性処理方法に関する。
微生物を利用した有機性廃水の処理方法として、好気性生物処理、嫌気性生物処理が挙げられる。嫌気性生物処理の中でもメタン発酵処理は、酸素のない嫌気性環境下で生育する嫌気性微生物の代謝反応を利用して、有機性廃水中の有機物をメタンガスや炭酸ガスなどに分解する生物処理方法であり、好気性生物処理と比べて、汚泥発生量が少なく、ブロワ−(曝気)などの電気代が不要なためランニングコストがかからないと言ったメリットがあるほか、発生したメタンガスを有効利用できるなどのメリットがあるため、近年、有機性廃水の処理方法として特に注目されている。
メタン発酵処理方法としては、例えばUASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket(上向流嫌気性汚泥床)の略)法、固定床法、流動床法等などが知られている。中でも、UASB法は、メタン菌等の嫌気性菌と酸生成菌と汚泥との接触によりグラニュール状に造粒化してなるグラニュール汚泥を利用することにより、反応槽内のメタン菌の濃度を高濃度に維持できるという特徴があり、その結果、廃水中の有機物の濃度が相当高い場合でも効率よく処理できるため、有機性廃水の処理方法として国内外で普及している。しかしながら、化学工場などから排出されるメタノールやホルムアルデヒドなどの低分子有機物を主成分とする有機性廃水では、グラニュール汚泥を形成しにくく、維持しにくいという問題がある。
また、CODCr(二クロム酸カリウムによる酸素要求量)が2000mg/L以下の低濃度原水を対象とする場合、一般的なUASB処理方法における設計負荷であるCODCr容積負荷10kg/(m・d)で運転しようとすると、有機性排水の通水量が過大となり、UASB反応槽内の上昇線速度LV(Liner Velocity)が3m/hを超過するため、UASB反応槽からグラニュール汚泥が流出し、UASB反応槽内での汚泥量の維持が困難となる。
UASB反応槽内に必要量の汚泥を維持する方策として、グラニュール汚泥をUASB反応槽内に非生物担体とメタン菌グラニュールとを100:5〜100:500の容積比で存在させた状態で有機性排水の通水を開始する立ち上げ運転方法が提案されている(特許文献1)。しかし、メタン菌グラニュールが非生物担体に付着して生物膜を形成するまでに時間がかかるため、非生物担体に生物膜が形成される前にグラニュール汚泥が解体されてメタン菌が流出してしまい、定常運転時に必要な量のメタン菌グラニュールを確保するためには、通水開始時に大量のグラニュール汚泥を全量投入することが必要となる。
反応槽に、担体とメタン菌グラニュールを粉砕させたメタン菌凝集物を投入し、担体1Lあたりのメタン菌凝集物を1〜900gの範囲で存在させた状態で反応槽の立ち上げ運転を行うことが示されている(特許文献2)。しかし、メタン菌グラニュールを粉砕しているため、沈降速度が低下して反応槽から流出しやすくなり、立ち上げ運転中に所望の汚泥量を維持することができず、通水開始時には、流出量を見込んだ多量のメタン菌グラニュールを投入することが必要となる。
グラニュール汚泥は、UASB(上向流嫌気性汚泥床法)やEGSB(膨脹汚泥床法)において汚泥層として形成される。正常なグラニュール汚泥は、糸状性あるいはロッド状のMethanosaeta属のメタン生成菌が絡み合った構造を有している。さらに酸生成菌から分泌される細胞外ポリマーにより高い機械的強度を保っている。また、固液分離機構を有するUASBやEGSBのような上向流型反応槽であれば、投入したグラニュール汚泥を保持できるが、完全混合型反応槽ではグラニュール汚泥は短期間で流出してしまう。
特許5685902号公報 特開2014−100680号公報
本発明は、嫌気性反応槽の立ち上げ運転期間を短縮した有機性廃水の嫌気性処理方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、負荷変動に応じた汚泥量の維持管理の必要性を低減できる有機性廃水の嫌気性処理方法を提供することを目的とする。
本発明の実施態様は以下のとおりである。
[1]嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽に、有機性廃水を通水して処理する有機性廃水の嫌気性処理方法であって、
有機性廃水の通水開始時には、嫌気性微生物が付着している馴致担体と、嫌気性微生物が付着していない新規担体とを混在させ、当該馴致担体を全担体中の5vol%以上100vol%未満とすることを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理方法。
[2]前記馴致担体は、担体のかさ容量あたりのSSとして1g/L以上500g/L以下の嫌気性微生物が付着している担体である、[1]に記載の有機性廃水の嫌気性処理方法。
[3]前記馴致担体は、既設の嫌気性反応槽で馴致させた担体及び/又は仮設の嫌気性反応槽で馴致させた担体である、[1]又は[2]に記載の有機性廃水の嫌気性処理方法。
[4]嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽と、
当該嫌気性反応槽に投入するための嫌気性微生物が付着している馴致担体を調製する馴致担体調製用嫌気性反応槽と、
を具備することを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理装置。
本発明の有機性廃水の嫌気性処理方法によれば、嫌気性微生物が付着している馴致担体を投入するため、担体表面に高いメタン生成活性度を有する生物膜が形成されやすく、立ち上げ期間の短縮を行うことができる。
また、グラニュール汚泥は短時間で流出してしまう完全混合型反応槽(機械撹拌式及びガス撹拌式を含む)であっても馴致担体は流出しにくいため、嫌気性反応槽の種類に依存せずに、立ち上げ期間の短縮を行うことができる。
さらに、本発明の有機性廃水処理方法では、負荷変動時などにグラニュール汚泥が流出することを防止できるため、負荷変動に応じた汚泥量の維持管理の必要性を低減できる。
本発明の有機性廃水処理方法の一形態の概要を例示した説明図である。 嫌気性反応槽として上向流型メタン発酵槽の概略構成の一例を示す説明図である。 嫌気性反応槽として上向流型メタン発酵槽の概略構成の別の一例を示す説明図である。 嫌気性反応槽として機械式撹拌型メタン発酵槽の概略構成の別の一例を示す説明図である。 嫌気性反応槽としてガス撹拌型メタン発酵槽の概略構成の別の一例を示す説明図である。 正常なグラニュール汚泥の模式図である。 馴致担体の模式図である。 比較例1及び2のS−CODCr除去率の経日変化を示すグラフである。 実施例1〜5のS−CODCr除去率の経日変化を示すグラフである。
実施形態
図1は、本発明の有機性廃水の嫌気性処理方法の一形態の概要を例示した説明図である。図1において、原水(有機性廃水)を酸発酵処理槽にて処理した後、メタン発酵槽に導入して嫌気性処理し、得られる処理水を処理水槽に送る。処理水槽からの処理水を酸発酵槽及び/又はメタン発酵槽に戻し、槽内の上向流速の制御に用いてもよい。
メタン発酵槽は、嫌気性微生物を流動性担体表面に保持する嫌気性流動床方式の上向流型反応槽(図2〜図3)、機械撹拌式完全混合槽(図4)、ガス撹拌式完全混合槽(図5)などを用いることができる。嫌気性反応槽(メタン発酵槽)では、嫌気性反応により発生するバイオガス(メタンガス)が嫌気性反応槽内を上昇して、嫌気性反応槽の上部から外部に排出されて回収される。このとき、微生物を保持している担体も一緒に上昇し、嫌気性反応槽から越流として流出する可能性がある。完全混合槽の場合には、機械撹拌又はガス撹拌により強制的にバイオガスを上昇させるため、担体の上昇も多い。本発明を実施する装置においては、担体が嫌気性反応槽(メタン発酵槽)から越流することを防止するために、処理水と担体を分離するスクリーンが越流口に設置されている(図2)。あるいは、嫌気性反応槽外部に越流水貯蔵部を取り付けて、担体を含む越流水を一旦貯蔵し、越流水貯蔵部からの流出部にスクリーンを設けて、担体と処理水とを分離し、担体のみを嫌気性反応槽に返送する構成としてもよい(図3)。嫌気性反応槽(メタン発酵槽)から回収されたバイオガスは、必要に応じて脱硫などのガス精製を行った後に、ボイラーなどで利用することができる。
本発明は、嫌気性反応槽(メタン発酵槽)の立ち上げ運転を制御することを特徴とする。通常、有機性廃水の嫌気性処理において、嫌気性反応槽の設計負荷に到達するまでに嫌気性微生物の馴致運転を行うことが必要である。新規担体への微生物の安定付着及び繁殖には長時間がかかるため、立ち上げ運転時間が90日を越えることもある。本発明では、有機性廃水の通水開始時に、すでに嫌気性微生物が付着している馴致担体を全担体量の5vol%以上100vol%未満混在させ、立ち上げ運転期間を短縮する。
本発明の有機性廃水の嫌気性処理方法は、嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽に有機性廃水を通水して処理する嫌気性処理方法であって、有機性廃水の通水開始時には、嫌気性微生物が付着している馴致担体と、嫌気性微生物が付着していない新規担体とを混在させ、当該馴致担体を全担体中の5vol%以上100vol%未満とすることを特徴とする。
本発明における嫌気性反応槽は、30℃〜40℃を至適温度とした中温メタン発酵処理槽、50℃〜60℃を至適温度とした高温メタン発酵処理槽など、すべての温度範囲の嫌気性処理槽を制限無く用いることができる。
[嫌気性反応槽(メタン発酵槽)の運転条件]
嫌気性反応槽(メタン発酵槽)が上向流型嫌気性反応槽の場合のLVは1m/h以上20m/h以下、特に2m/h以上10m/h以下が好ましい。嫌気性反応槽(メタン発酵槽)内を所定のLVに調整するために、嫌気性反応(メタン発酵)処理水の一部を嫌気性反応槽(メタン発酵槽)の下部に設けられている流入水入口に循環させることができる。循環させる処理水は、嫌気性反応槽(メタン発酵槽)から流出した担体を随伴する処理水をスクリーンに通過させて担体を分離した後の担体を含まない処理水でもよいし、担体を含む処理水でもよい。担体を含む処理水を循環させる場合には、担体を破壊しないようなスネークポンプやガスリフトによることが好ましい。担体を分離した場合には、担体を嫌気性反応槽(メタン発酵槽)に戻すことが好ましい(図3)。
嫌気性反応槽(メタン発酵槽)の設計負荷(CODCr容積負荷)は原水性状に依存するが、5〜50kg/(m・d)の範囲とすることができる。グラニュール汚泥では内部に気泡を抱えて浮上したり、過大なガス混合によりグラニュール汚泥が解体したりすることがあるため、高負荷処理は困難であるが、本発明では馴致担体を利用することで、より高負荷処理が可能となる。
一般的に、グラニュール汚泥は、メタン生成菌だけではなく酸生成菌などを含み、表面付近の活性が高いが、中心部の活性は低い(図6)。一方、本発明において用いる馴致担体は、担体表面に活性の高いメタン生成菌が優占状態で付着している(図7)。一般的なグラニュール汚泥のメタン生成活性度は0.4〜0.8kgCODCr/(kg−SS・d)とされるが、本発明で用いる担体に担持させた微生物のメタン生成活性度は1.0〜4.0kgCODCr/(kg−SS・d)と高い。
メタン発酵槽の負荷条件決定にあたっては、MLVSSを基準とした汚泥量あたりのCODCr負荷(以降「汚泥負荷」と称す。)が、馴致担体の付着汚泥を基準に、1〜4kg/(kg−MLVSS・d)となるように負荷調整を行う。
[担体]
担体は、微生物を担持して、担体表面で微生物を繁殖させることができるものであれば特に制限無く用いることができる。
担体の形状は、球状、円柱状、直方体、中空状などいずれの形状でもよいが、微生物の担持量、繁殖した微生物と有機性廃水との接触効率、嫌気性反応槽内での担体の保持量などを考慮して、特に球状が好ましい。
担体の寸法は、平均値(球状粒子の場合には中位径d50、他の形状の場合には最大寸法と最小寸法との算術平均値)で0.1mm以上10mm以下が好ましく、特に2mm以上6mm以下が好ましい。
担体は、微生物が付着しやすい細孔を有する多孔質担体であることが好ましく、細孔径は1μm以上100μm以下が好ましく、特に5μm以上50μm以下であることが好ましい。
また、嫌気性反応槽内にて流動させるためには、未使用の担体を充填した直径80mmの円筒カラムに清水を上向流で上昇線速度(LV)を1m/h以上20m/h以下で通水した場合の膨張率(投入時担体高さに対する通水時担体高さ)が、105%以上150%以下、特にLV2m/h以上15m/h以下で通水した場合の膨張率110%以上130%以下となる担体が好ましい。
担体の素材は、嫌気性微生物が付着すればどのような素材でも良いが、上述の諸要件を充足することから、特に活性炭、ポリビニルアルコール、エチレングリコールなどが好ましい。
[馴致担体]
本発明においては、嫌気性反応槽の立ち上げ運転、すなわち有機性廃水の通水開始時に馴致担体を新規担体と一緒に嫌気槽反応槽内に混在させる。混在させる馴致担体の量は、全担体量の5vol%以上100vol%未満、好ましくは20vol%以上100vol%未満である。馴致担体の混在比率が少なすぎると、立ち上げ運転期間が長くなる。
馴致担体は、上述の担体表面に生物膜を形成しやすい種類の嫌気性微生物やメタン生成菌が付着している担体であり、メタン生成菌が優占状態であることが好ましい。担体における嫌気性微生物の付着量は、担体のかさ容量あたりのSSとして1g/L以上500g/L以下、好ましくは5g/L以上100g/L以下である。SSは、担体表面に付着している微生物を剥離して計測した値でも、担体と合わせた窒素含有率やリン含有率を測定し、嫌気性微生物の経験的化学組成式(CNP0.060.1))を利用して算出した値でもよい。付着量が少ないと、嫌気性反応槽の立ち上げ運転時に馴致担体を投入しても嫌気性反応槽が設計負荷に到達するまでの時間を短縮できず、付着量が多いとメタン生成菌以外の菌の存在比率が増えて、新規担体への嫌気性微生物の付着効率が低下する。
馴致担体は、既設の嫌気性反応槽及び/又は仮設の嫌気性反応槽で馴致させた担体を用いることが好ましい。既設の嫌気性反応槽とは、立ち上げ運転を行おうとする嫌気性反応槽と同一又は異なる水処理施設において既に定常運転を行っている嫌気性反応槽をいう。仮設の嫌気性反応槽とは、立ち上げ運転を行おうとする嫌気性反応槽に馴致担体を提供することを目的とする小型の嫌気性反応槽をいう。立ち上げ運転を行おうとする嫌気性反応槽の処理対象と同一の有機性廃水に、種汚泥と新規担体とを浸漬させて、担体に種汚泥を付着させ、担体表面で種汚泥を繁殖させて、嫌気性微生物を担持した馴致担体を提供する。小型の嫌気性処理装置は、馴致担体を調製するため、担体及び種汚泥が流出することを防止することができればよく、気固液分離装置を備えたUASBタイプの反応槽、スクリーン等の担体分離機能を備えた完全混合タイプの反応槽、反応槽内もしくは反応槽外に分離膜を備えた嫌気性膜分離装置、回分式メタン発酵槽などいずれのタイプでもよい。仮設の小型嫌気性処理装置を用いる場合には、立ち上げ運転を行おうとする嫌気性反応槽の設置工事期間中に、別個の反応槽内で並行して馴致担体を調製することができ、立ち上げ運転期間を大幅に短縮することができる利点もある。あるいは、適切な馴致担体を供給できる嫌気性処理装置がない場合、処理対象である有機性廃水を処理する既設水処理装置の水槽に担体を浸漬してもよい。このような水槽には少なからずメタン生成菌が存在している。担体を浸漬する水槽の条件として、酸化還元電位が−200mV以下の還元状態が好ましい。このような水槽の例として、原水の貯留槽、処理水槽、余剰汚泥貯留槽があり、特に嫌気度が高く、汚泥濃度の高い余剰汚泥貯留槽が好ましい。
[有機性廃水]
本発明の嫌気性処理方法により処理できる有機性廃水のCODCrは特に限定されるものではなく、100mg/L以上50,000mg/L以下の範囲の有機物濃度が低濃度乃至高濃度の有機性廃水に適用することができる。有機物濃度が高濃度の有機性廃水の場合には、原水成分の阻害を緩和するために適宜希釈することが好ましい。
本発明の嫌気性処理方法は、グラニュール汚泥を維持できない組成の有機性廃水の処理に特に有用である。例えば、グラニュール汚泥の強度が低下してグラニュール汚泥を維持できないエタノール、メタノール、酢酸などの炭素数5以下の低分子有機物を含む有機性廃水や、グラニュール汚泥を解体させてしまう配管洗浄剤、キレート剤、殺菌剤などを含む飲料工場などからの有機性廃水などの処理に効果的である。
図1には、有機性廃水は、酸発酵槽にて酸発酵処理した後、メタン発酵槽に流入する処理フローを示すが、酸発酵処理は必須ではない。すでに酸発酵が十分進行している有機性廃水や、酸発酵処理を行わずにメタン発酵槽のみで処理可能な有機性廃水の場合には酸発酵槽を用いる必要はない。具体的には、例えば、有機性廃水CODCrに対する炭素数5以下の有機酸のCODCr換算値の合計が40%以上を占める有機性廃水や、メタノールやホルムアルデヒドなど炭素数1の低分子有機物が有機性廃水CODCrの70%以上を占める有機性廃水の場合には、酸発酵処理は不要である。酸発酵処理を行う場合には、酸発酵槽では酸生成菌に適したpHである5.5以上となるようにアルカリ剤でpH調整を行う。メタン発酵処理水を酸発酵槽に循環することで、メタン発酵処理水に含まれるアルカリ成分によってアルカリ剤添加量を削減することもできる。酸発酵槽の滞留時間は、有機性廃水中に含まれる成分によって2時間以上48時間以下の範囲で適宜決定することができるが、分解しやすい糖質成分を含む場合は2時間以上6時間以下とすることが多い。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
比較例および実施例では、CODCrを約3,000mg/Lに調整した清涼飲料工場排水である有機性廃水(原水)を、滞留時間6時間、水温36℃、pH6.5となるようにアルカリ剤として水酸化ナトリウムを添加して酸発酵処理した後、容量10Lの上向流型嫌気性反応槽又はパドルによる機械式撹拌型完全混合反応槽(以下、両者をまとめて「メタン発酵槽」という。)を用いて嫌気性処理を行った。メタン発酵槽上部の処理水流出部には、幅2.0mmのスクリーンを設けて担体がメタン発酵槽から流出しないようにした。メタン発酵処理水の一部をメタン発酵槽下部の流入部に循環させ、メタン発酵槽のLVを5.0m/hに調整した。
担体として、平均粒径4.0mm、未使用の清水試験におけるLV10m/hの膨張率115%のポリビニルアルコールのゲル状粒子を用いた。
メタン発酵槽の設計負荷は、20kg/(m・d)とし、比較例、実施例ともにCODCr容積負荷10kg/(m・d)で14日間運転し、その後CODCr容積負荷20kg/(m・d)で運転を継続した。
処理性能の評価にあたっては、流出した汚泥の影響を除くため、1μmろ液の溶解性CODCr(S−CODCr)を採用した。
[比較例1]
上向流型反応槽にグラニュール汚泥4.0L及び未使用の新規担体4.0Lを一度に投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。グラニュール汚泥は、同じ原水の酸発酵処理水を処理する定常運転中のUASBから採取した粒径0.5mm〜2.0mmの割合が92%であるグラニュール汚泥を使用した。
CODCr容積負荷の設定負荷を20kg/(m・d)とした15日目以降、短時間でグラニュール汚泥が流出するとともに、S−CODCr除去率が低下した。そのまま運転を継続すると、S−CODCr除去率は68日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は68日間となった。
[比較例2]
機械式撹拌型完全混合反応槽に、グラニュール汚泥4.0L及び未使用の新規担体4.0Lを一度に投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。グラニュール汚泥は、同じ原水の酸発酵処理水を処理する定常運転中のUASBから採取した粒径0.5mm〜2.0mmの割合が92%であるグラニュール汚泥を使用した。
立ち上げ運転開始直後から、短時間でグラニュール汚泥が流出するとともに、S−CODCr除去率が低下した。そのまま運転を継続すると、S−CODCr除去率は88日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は88日間となった。
[実施例1]
上向流型反応槽に、馴致担体0.4L及び未使用の新規担体3.6Lを投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。馴致担体として、同じ原水の酸発酵処理水を処理する嫌気性反応槽に未使用の担体を投入してから半年間定常運転を行った後の馴致担体(担体のかさ容量あたりのSSは53g/L)を使用した。
運転開始後はS−CODCr除去率は低い状態であったが、徐々に向上し、36日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は36日間となった。
[実施例2]
上向流型反応槽に、馴致担体2.0L及び未使用の新規担体2.0Lを投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。馴致担体として、同じ原水の酸発酵処理水を処理する嫌気性反応槽に未使用の担体を投入してから半年間定常運転を行った後の馴致担体(担体のかさ容量あたりのSSは53g/L)を使用した。
CODCr容積負荷の設定負荷を20kg/(m・d)とした15日目以降、S−CODCr除去率は低下したが、24日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は24日間となった。
[実施例3]
上向流型反応槽に、馴致担体0.4L及び未使用の新規担体3.6Lを投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。馴致担体として、清涼飲料工場の水処理施設から排出される余剰汚泥と未使用の新規担体とをポリタンクに投入して3ヶ月間の調製を行った後の馴致担体(担体のかさ容量あたりのSSは6g/L)を使用した。
運転開始後はS−CODCr除去率は低い状態であったが、徐々に向上し、46日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は46日間となった。
[実施例4]
上向流型反応槽に、馴致担体0.4L及び未使用の新規担体3.6Lを投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。馴致担体として、同じ原水の酸発酵処理水を処理する定常運転中のUASBから採取した粒径0.5mm〜2.0mmの割合が92%であるグラニュール汚泥を、同じ原水の酸発酵処理水に投入して、1バッチ1週間の回分式メタン発酵を3ヶ月継続して調製した馴致担体(担体のかさ容量あたりのSSは46g/L)を使用した。
CODCr容積負荷20kg/(m・d)とした15日目以降、S−CODCr除去率が低下したが、39日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は39日間となった。
[実施例5]
機械式撹拌型完全混合反応槽に、馴致担体0.4L及び未使用の新規担体3.6Lを投入し、酸発酵処理水の通水を開始した。馴致担体として、同じ原水の酸発酵処理水を処理する嫌気性反応槽に未使用の担体を投入してから半年間定常運転を行った後の馴致担体(担体のかさ容量あたりのSSは53g/L)を使用した。
CODCr容積負荷の設定負荷を20kg/(m・d)とした15日目以降、S−CODCr除去率は低下したが、38日目以降に約90%で安定した。結果として、立ち上げ運転期間は38日間となった。
比較例及び実施例についての結果を表1、図8及び9にまとめて示す。

Claims (4)

  1. 嫌気性微生物を担持することができる担体を保持する嫌気性反応槽に、有機性廃水を通水して処理する有機性廃水の嫌気性処理方法であって、
    有機性廃水の通水開始時には、嫌気性微生物が付着している馴致担体と、嫌気性微生物が付着していない新規担体とを混在させ、当該馴致担体を全担体中の5vol%以上100vol%未満し、
    当該馴致担体は、担体表面に生物膜を形成しやすい種類の嫌気性微生物及びメタン生成菌が付着している担体であって、メタン生成菌が優占状態である担体であ
    ことを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理方法。
  2. 前記馴致担体は、担体のかさ容量あたりのSSとして1g/L以上500g/L以下の嫌気性微生物が付着している担体である、請求項1に記載の有機性廃水の嫌気性処理方法。
  3. 前記馴致担体は、既設の嫌気性反応槽で馴致させた担体及び/又は仮設の嫌気性反応槽で馴致させた担体である、請求項1又は2に記載の有機性廃水の嫌気性処理方法。
  4. 嫌気性微生物を流動性担体表面に保持する嫌気性流動床方式の嫌気性反応槽と、
    当該嫌気性反応槽に投入するための嫌気性微生物及びメタン生成菌が付着している馴致担体を調製する馴致担体調製用嫌気性反応槽であって、気固液分離装置を備えたUASBタイプの反応槽、担体分離機能を備えた完全混合タイプの反応槽、反応槽内もしくは反応槽外に分離膜を備えた嫌気性膜分離装置、及び回分式メタン発酵槽から選択される小型の嫌気性処理装置、又は酸化還元電位が−200mV以下の還元状態にある原水の貯留槽、処理水槽、及び余剰汚泥貯留槽から選択される既設水処理装置の水槽である馴致担体調製用嫌気性反応槽と、
    を具備することを特徴とする有機性廃水の嫌気性処理装置。
JP2016146103A 2016-07-26 2016-07-26 有機性廃水の嫌気性処理方法 Active JP6654981B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016146103A JP6654981B2 (ja) 2016-07-26 2016-07-26 有機性廃水の嫌気性処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016146103A JP6654981B2 (ja) 2016-07-26 2016-07-26 有機性廃水の嫌気性処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018015691A JP2018015691A (ja) 2018-02-01
JP6654981B2 true JP6654981B2 (ja) 2020-02-26

Family

ID=61078947

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016146103A Active JP6654981B2 (ja) 2016-07-26 2016-07-26 有機性廃水の嫌気性処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6654981B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019217449A (ja) * 2018-06-19 2019-12-26 株式会社クラレ 排水処理方法
CN108892235B (zh) * 2018-08-09 2021-07-20 南京江岛环境科技研究院有限公司 一种用于提高水处理反应器中填料挂膜效率的方法
JP6825144B1 (ja) * 2020-02-07 2021-02-03 水ing株式会社 嫌気性処理装置および嫌気性処理方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61157398A (ja) * 1984-12-28 1986-07-17 Kurita Water Ind Ltd 流動床式廃水処理装置
DE19829673C2 (de) * 1998-07-03 2003-02-27 Michael Knobloch Verfahren und Anlage zur Behandlung von Abwasser aus der Ölfrüchte- und Getreideverarbeitung
JP4568528B2 (ja) * 2004-04-28 2010-10-27 株式会社西原環境テクノロジー 水処理装置
JP3894329B2 (ja) * 2004-06-18 2007-03-22 株式会社日立プラントテクノロジー 嫌気性アンモニア酸化槽の運転方法及び嫌気性アンモニア酸化装置
JP2007125460A (ja) * 2005-11-01 2007-05-24 Hitachi Plant Technologies Ltd 包括固定化担体及びその製造方法
JP2012076001A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Kuraray Co Ltd 嫌気性排水処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018015691A (ja) 2018-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6491406B2 (ja) 嫌気性生物処理方法および嫌気性生物処理装置
JP6448382B2 (ja) 窒素含有廃水の脱窒方法及び脱窒装置
JP6241187B2 (ja) 嫌気性処理方法及び嫌気性処理装置
JP6654981B2 (ja) 有機性廃水の嫌気性処理方法
JP5685902B2 (ja) 有機性排水の処理方法
JP6825144B1 (ja) 嫌気性処理装置および嫌気性処理方法
KR101018587B1 (ko) 질소, 인 제거 막분리 고도처리장치
CN103011515A (zh) 豆制品废水生化处理工艺及装置
CN111138038A (zh) 光伏驱动农村生活污水一体化处理***和处理方法
JP4428188B2 (ja) 有機性廃水の処理方法及び処理装置
JP2012210584A (ja) クラフトパルプ排水の処理方法
CN109095727B (zh) 一种高氨氮低碳氮比污水的脱氮除碳装置和方法
JP2013230413A (ja) 窒素含有排水の処理方法および窒素含有排水の処理装置
CN107973404A (zh) 氧化还原介体调控有机废物定向发酵产乙酸耦合低温反硝化脱氮的方法
CN202038943U (zh) 厌氧氨氧化甲烷化反硝化的uasb装置
JP6675283B2 (ja) 有機性廃水の嫌気性処理方法
TWI526403B (zh) 排水處理裝置
CN203112653U (zh) 豆制品废水生化处理装置
JP6612195B2 (ja) 有機性廃水の処理設備及びその運転方法
CN212451091U (zh) 一种基于msbr工艺的废水处理***
JP2018015690A (ja) 有機性廃水の嫌気性処理方法
JP7150899B6 (ja) 嫌気性処理装置及び嫌気性処理方法
JP7263075B2 (ja) 水処理方法
JP2013208558A (ja) クラフトパルプ排水の処理方法
CN110092468A (zh) 循环上流污泥床垃圾渗滤液生化处理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200131

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6654981

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R157 Certificate of patent or utility model (correction)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R157

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250