以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、スティック型とハンディ型とを適宜切り替えて使用できる充電式の電気掃除機400に適用した場合を例に挙げて説明するが、スティック型のみ、ハンディ型のみ、など様々なタイプの電気掃除機に適用することができる。
図1は本実施形態における電動送風機を搭載した電気掃除機を示し、(a)はスティック型として使用する際の斜視図、(b)は電気掃除機をハンディ型として使用する際の側面図である。
図1(a)に示すように、電気掃除機400は、塵埃を集塵する集塵室401および集塵するのに必要な吸込気流を発生させる電動送風機200(図2)を収納する掃除機本体410、掃除機本体410に対して伸縮自在に設けられた伸縮パイプ402、伸縮パイプ402の一端に回動自在に設けられたグリップ部403、グリップ部403に設けられた電動送風機200の入切を行うスイッチ部404aおよびスイッチ部404b(図1(b)参照)を備えて構成されている。
図1(a)に示す電気掃除機400は、スティック状態であり、伸縮パイプ402が伸ばされて、グリップ部403が伸縮パイプ402と逆側に回動してロックされた状態である。また、掃除機本体410の他端には吸口体405が取り付けられ、掃除機本体410と吸口体405とが接続部406で繋がれている。
図1(b)に示す電気掃除機400は、ハンディ状態であり、伸縮パイプ402が掃除機本体410内に収納され、グリップ部403が伸縮パイプ402側に回動した状態である。また、回動したグリップ部403は、掃除機本体410の上面に設けられたクランプ部材407にクランプされている。また、掃除機本体410の他端部には吸口体(隙間ノズル)408が取り付けられ、掃除機本体410と吸口体408とが接続部406で繋がれている。
以上の電気掃除機400において、グリップ部403のスイッチ部404a(図1(a)参照)またはスイッチ部404b(図1(b)参照)を操作することで、掃除機本体410に収納された電動送風機200(図2参照)が作動し、吸込気流を発生させる。そして、吸口体405,408から塵埃を吸込み、接続部406を通して掃除機本体410の集塵室401に集塵する。
図2は本実施形態における電動送風機を搭載した掃除機本体の縦断面図である。なお、図2は、ハンディ状態であり、掃除機本体410から吸口体408(図1(b)参照)を取り外した状態である。
図2に示すように、掃除機本体410の内部には、吸引力を発生させる電動送風機200、電動送風機200に電力を供給する電池ユニット420、駆動用回路430が設けられている。
吸口体405,408(図1(a)、(b)参照)から吸い込まれた空気は、掃除機本体410に設けられた流路440(図1(a)参照)を通って電動送風機200の前方に配置された集塵室401に送られ、集塵室401内に集塵される。そして、集塵室401で塵挨が分離された後の空気は、電動送風機200、駆動用回路430を通り、掃除機本体410に形成された排気口(不図示)から外部に排出される。
図3は本実施形態における電動送風機を示す分解斜視図である。
図3に示すように、電動送風機200は、DCブラシレスモータであり、ファンケーシング204、案内翼205、ハウジング208、固定ねじ218,219、ロータ組立体230、ステータ240などで構成されている。
ファンケーシング204には空気吸込口206が形成されている。案内翼205は、複数のディフューザ羽根13、略三角形状の流路18を備えたディフューザ205aと、該ディフューザ205aの裏面に複数のリターンガイド羽根14を備えたリターンガイド205bと、を備えている。また、案内翼205は、固定ねじ218を介してハウジング208に固定されている。
ステータ240は、固定ねじ219を介してハウジング208に固定されている。ロータ組立体230は、案内翼205およびハウジング208に挿通され、ロータ組立体230に設けられたロータコア209がステータ240と対向する位置に配置される。
図4は電動送風機のロータ組立体を示す分解斜視図である。
図4に示すように、ロータ組立体230は、遠心羽根車203、回転軸207、ロータコア209、軸受212,212、リング部材213、ばね217およびカバー250によって構成されている。なお、軸受212,212とばね217とで軸受部が構成されている。
遠心羽根車203は、熱可塑性樹脂製であり、回転軸207の一端(先端)に固定されている。回転軸207は、細長い円柱形状のものであり、鉄などの磁性材料によって構成されている。本実施形態では、遠心羽根車203を回転軸207に圧入固定しているが、回転軸207の端部(先端)にねじを設け、遠心羽根車203を固定ナットによって固定してもよい。
また、回転軸207の軸方向G(回転軸207が延在する方向)の略中央には、軸受212,212が互いに軸方向Gに離間して設けられている(図3参照)。また、回転軸207の一端には遠心羽根車203が固定され、回転軸207の他端にはリング部材213が固定されている。
カバー250は、非磁性の薄板を筒状に形成したものであり、ロータコア209の周面に接した状態(ロータコア209の外周をカバーする状態)で取り付けられている。また、カバー250は、例えば、ステンレス合金にニッケル12%以上含有させた材料によって構成される。
また、カバー250は、カバー250自身の軸方向の一端に径方向内側に折り曲げられたつば部250aが形成されている。カバー250が回転軸207の一端側から挿通されることにより、つば部250aがロータコア209の端面209aに当接して引っ掛かることで位置決めされる。このように、カバー250でロータコア209を被覆することによって、ロータコア209を高速で回転させた時に、ロータコア209が破損して飛び散るのを防止できる。
ところで、カバー250が磁性を帯びていると、ロータコア209の磁束がカバー250を通ってロータコア209に戻るため、ロータコア209に作用する力が弱くなり、電動送風機200としての効率が低下する。そこで、カバー250を非磁性の材料で形成することで、ロータコア209の磁束を、カバー250を通してステータコア210に透過させることができ、電動送風機200の効率が低下するのを防止できる。
回転軸207には、軸受212と軸受212との間にばね217が設けられている。軸受212は、例えば、外輪212a、内輪212bおよび複数の玉212cによって構成され、外輪212aがハウジング208に固定され、内輪212bが回転軸207に固定されている。ばね217は、コイルスプリングで構成され、各軸受212,212の外輪212aを互いに離間する方向に付勢している。これにより、軸受212におけるがたつきを防止することで、電動送風機200の音や振動を抑制している。
図5は本実施形態における電動送風機を示す側面図である。
図5に示すように、電動送風機200は、送風機部201と電動機部202に大別される。送風機部201は、遠心羽根車203(図3参照)と、該遠心羽根車203を収納するファンケーシング204と、案内翼205(図3参照)とを含んで構成されている。
電動機部202は、ハウジング208内に収納される回転軸207(図3参照)に固定されるロータコア209(図4参照)と、ハウジング208に固定されるステータコア210とを含んで構成されている。
図6は本実施形態における電動送風機の縦断面図である。
図6に示すように、ステータ240は、ステータコア210の周りに導線211が巻かれ、一緒になって相巻線を形成している。この相巻線は、電動送風機200に備わる図示しない回路部に電気的に接続されている。
ロータコア209は、回転軸207における遠心羽根車203が固定されている端部と逆側の端部に設けられている。このロータコア209は、例えば、希土類系のボンド磁石によって構成されている。希土類系のボンド磁石は、希土類系磁性粉末と有機バインダーとを混合して作られる。希土類系のボンド磁石としては、例えば、サマリウム鉄窒素磁石や、ネオジム磁石等を用いることができる。また、ロータコア209は、回転軸207に一体成形されている。
このように、ロータコア209をボンド磁石で構成することで、電動送風機200を軽量化することができる。また、ボンド磁石を使用することで、リング部材213を軽量化することができ、電動送風機200の軽量化を図ることができる。
なお、本実施形態では、ロータコア209に永久磁石を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば毎分80,000回転以上の高速回転を可能とする無整流子電動機の一種であるリラクタンスモータなどを使用してもよい。
回転軸207には、遠心羽根車203とロータコア209との間に、軸受212,212が設けられている。軸受212,212は、軸方向に離間して配置され、回転軸207を回転自在に支持している。
リング部材213は、バランス調整用のものであり、回転軸207におけるロータコア209側の端部(回転軸207の他端)に設けられている。また、リング部材213は、ロータコア209よりも比重が大きく、かつ、非磁性の材料で構成されている。なお、リング部材213は、例えば銅材などの焼結品(燒結体)や機械加工で形成することができる。
このように、リング部材213を銅などの非磁性材料で形成することで、ロータ組立体230を回転させる際に作用する磁気回路(ロータコア209とステータコア210との間に働く磁気回路)に悪影響を与えるのを防止することができる。また、銅材の燒結品を使用することにより、寸法精度を高くでき、かつ安価に製造できる。
また、リング部材213としては、ロータコア209よりも比重が大きく、かつ、非磁性の材料であれば、銅に限定されるものではなく、ステンレス合金、金、銀、鉛などを用いることもできる。
また、回転軸207には、ロータコア209側の軸受212とロータコア209との間に、軸受212の位置決め用スリーブ214が設けられている。
ハウジング208は、合成樹脂製であり、軸受212,212を内包する軸受カバー215を固定する支持部26を有している。軸受カバー215内には、軸受212,212と、スリーブ216と、ばね217と、が設けられている。ばね217は、圧縮された状態で配置され、軸受212,212の外輪にそれぞれ当接して予圧を付与している。
軸受カバー215の外周には、軸受212の冷却用のヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン27が設けられている。また、軸受カバー215は、非磁性金属材料製であり、樹脂製のハウジング208とインサート成形によって一体化されている。
また、ハウジング208の支持部26には、軸方向Gに延在するねじ穴28が形成されている。ねじ穴28には固定ねじ218が螺合可能で、固定ねじ218の螺合によって案内翼205がハウジング208に固定される。
また、ハウジング208には、ハウジング208内に空気が流れ込む開口34と、電動送風機200の外部に空気を排出する排気口35とが形成されている。また、ハウジング208の軸方向Gの端部に配置されるステータコア210は、固定ねじ219によってハウジング208に固定されている。
ロータコア209の磁気センタL1は、ステータコア210の磁気センタL2に対して軸方向Gにずれた状態で配置されている。なお、磁気センタL1は、ロータコア209の軸方向Gの中心であり、磁気センタL2は、ステータコア210の軸方向Gの中心である。これによって、ロータコア209をステータコア210側に引っ張る力(スラスト方向の力)が作用し、高速回転時にロータの軸方向Gのガタつきを防止することが可能となり音や振動を低減できる。また、遠心羽根車203により高速回転時には、ロータ組立体230が、遠心羽根車203側へ引っ張られる力が発生する。この力と、磁気センタをずらすことで発生する力とが逆方向となるため、高速回転時の機械損が減り高効率化を図ることができる。更に、組立時、ロータ組立体230を軸受カバー215内へ挿入する際、ステータコア210側へと向かう力が発生するため作業性の向上を図ることができる。
図7は遠心羽根車の斜視図、図8は遠心羽根車を構成するシュラウド板の外観図を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は背面図、図9は遠心羽根車からシュラウド板を取り外した状態を示す斜視図、図10は遠心羽根車の縦断面図、図11はロータ組立体をリング部材側から見たときの斜視図である。
である。
図7に示すように、遠心羽根車203は、シュラウド板1と、ハブ板2と、複数枚の羽根3とによって構成されている。ハブ板2と羽根3は、熱可塑性樹脂で一体成形されている。
図8(a)に示すように、シュラウド板1は、中央部に空気を吸い込む円環状の吸込開口4が形成されている。この吸込開口4には、回転軸207(図6参照)と略平行に延びる直線部5が形成されている。この直線部5の先端5aは、板厚(径方向)が基端よりも薄く形成されている(図10参照)。
図8(b)に示すように、シュラウド板1は、吸込開口4から流入した軸方向流れを径方向流れに転向する曲面部6が形成されている。
図8(c)に示すように、シュラウド板1は、直線部5と曲面部6が滑らかに接続され、曲面部6から外径に向けて半径方向を向くように構成されている。また、シュラウド板1の背面には、曲面部6から外径に向けて、羽根3と対応する位置に凹状溝7が形成されている。この凹状溝7は、シュラウド板1の内径端から外形端まで延設されている。また、凹状溝7には、各羽根3に形成された爪10(図9参照)と嵌合する貫通孔8が形成されている。
図9に示すように、ハブ板2の中央には、回転軸207(図4参照)が挿入、固定される凸形状のボス9が形成されている。ハブ板2と一体成形されている羽根3は、周方向に等間隔で設置されており、径方向内側から径方向外側に向かうにつれて、回転方向に後退する羽根形状を有している。ボス9は、軸側から径方向外側に向けて曲面9aが形成されている。
羽根3の上面には、突起状の爪10が形成されるとともに、爪10から外径側に溶着用のリブ11が形成されている。また、羽根3の上面には、爪10から内径側にシュラウド板1の曲面部6と密着するように羽根3の圧力面(凸面)側に傾斜面12が形成されている。なお、溶着用のリブ11の形状(断面形状)は、三角形や、半円形や、台形としてもよい。
羽根3の爪10をシュラウド板1の貫通孔8(図8(a)参照)に挿入するとともに、シュラウド板1の凹状溝7(図8(c)参照)と羽根3とを係合させ、爪10およびリブ11をシュラウド板に溶着加工により接合することで、遠心羽根車203が形成される。
なお、シュラウド板1の曲面部6と羽根3の傾斜面12には溶着加工を施していない。これにより、シュラウド板1の曲面部6から外径にかけての略軸方向からの溶着加工のみで行うことができるので、溶着加工を簡略化できる。また、リブ11は凹状溝7内で溶融するが、リブ11の体積を、凹状溝7に羽根3が挿入された際の隙間の体積よりも小さくしている。そのため、溶融した樹脂材が遠心羽根車203の流路内にはみ出すことを抑制できる。
また、遠心羽根車203は、流路中央付近から出口までの圧力の高くなる流路内は、羽根3の溶着リブ11が溶融し、シュラウド板1と溶着されているため、羽根3間での漏れを防止することができる。
また、遠心羽根車203の前縁側となる、羽根3の爪10より前縁側には、シュラウド板1の曲面部6の形状と一致するように傾斜面12が形成されている。また、遠心羽根車203では、特に入口流れが重要であり、シュラウド板1の曲面部6には溶着加工を施していないため、羽根3の傾斜面12には溶着によるバリなどが発生していない。すなわち、入口側で流れを乱すことが無く、空気を羽根3にスムーズに流入させることができる。
さらに、図10に示すように、遠心羽根車203では、シュラウド板1に吸込開口4(図8(a)参照)が形成され、直線部5と曲面部6とが滑らか面となるように形成されるとともに、ハブ板2の流路面のボス9が軸方向Gから径方向に向かうように曲面9a(図9参照)が形成されている。そのため、吸込開口4から流入した軸方向Gの空気の流れを径方向流れにスムーズに転向させながら羽根3に流入させることができ、遠心羽根車203の入口での曲がり損失を低減することができる。
また、遠心羽根車203の作動時においては、遠心力により前縁側がシュラウド板1の曲面部6と羽根3の傾斜面12が密着するように働くため、入口側で羽根3とシュラウド板1の隙間がなくなり、電動機部202(電動送風機200)の高効率化を図ることができる。
また、遠心羽根車203は熱可塑性樹脂製によって構成されているが、電動送風機200などから発生する熱による変形等を防ぐため、特に耐熱性が100℃以上、遠心応力に耐えるために引張強度が100MPa以上あるエンジニアリングプラスティック材料を使用することが望ましい。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、PEEKにカーボン繊維が含まれているものであるとより望ましい。これにより、金属製の遠心羽根車よりも軽量化が図られ、強度を確保し、高速回転に耐えることができる樹脂製の遠心羽根車203を実現できる。
電動機部202を駆動して遠心羽根車203を回転させると、ファンケーシング204の空気吸込口206から空気が流入し、遠心羽根車203内に流入する。流入した空気は、遠心羽根車203内で昇圧および増速され、遠心羽根車203から吐出される。遠心羽根車203から吐出された空気流は、案内翼205に導かれる。
図11に示すように、遠心羽根車203は、ハブ板2の羽根3の裏面側の外周に凸部2aが周方向に沿って形成されている(図10参照)。換言すると、遠心羽根車203の外周縁部203aは、内周側よりも軸方向Gに肉厚に形成されている。製造された各ロータ組立体230について、バランス調整が行われるが、このときハブ板2の凸部2aと、回転軸207の軸端に取り付けられているバランス調整用のリング部材213の端面213aと、を軸方向Gから削ることで(穴P1,P2参照)、バランスを修正する。
このように、遠心羽根車203の外周縁部203a(外周側)を削ることで、内周側を削るよりも少しの削り量でバランスを修正することができる。また、リング部材213をロータコア209よりも比重の大きい材料で形成することで、リング部材213の形状を樹脂で形成する場合よりも小さくすることができ、電動送風機200の小型化が可能になる。よって、回転軸207の端部にリング部材213を設けることで、回転体(ロータ組立体230)の回転時のアンバランス量を抑制することができ、振動や騒音の低減を図ることができ、電動送風機200の高効率化を図ることができる。また、回転軸207の両端(リング部材213と遠心羽根車203)でバランスを調整することができるので、バランス調整が容易になる。このように、遠心羽根車203を含めた回転体(ロータ組立体230)のアンバランス量を小さくでき、振動や騒音の低減が図られ、毎分80,000回転以上の高速回転を可能とする電動送風機200を実現することができる。
図12は遠心羽根車の羽根とロータコアとの関係を示す模式図である。なお、図12は、ロータ組立体230のシュラウド板1を取り外した状態を示し、また遠心羽根車203の中心部分を簡略化して示している。
図12に示すように、ロータ組立体230では、遠心羽根車203の羽根3の枚数は、8枚であり、ロータコア209の極数は、N極とS極の2極である。このように、羽根3の枚数を、ロータコア209の極数のn(nは1以上の整数)倍となっている。このように構成することで、ロータコア209の極位置と、遠心羽根車203の羽根3のラジアル方向の位置がどの位置で組まれても、極の位置と羽根3の位置とが極ごとに回転対称となるので、ロータコア209で発生する力が、遠心羽根車203の羽根3に均一に掛かり、音や振動を低減できる。なお、羽根3の枚数がロータコア209の極数のn倍であれば、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
また、ロータコア209のN極とS極との境界のウエルド209bは、回転軸207の軸中心Oを通るように構成されている。これにより、ロータコア209におけるN極、S極の磁束密度のアンバランス量を小さくすることができ、音や振動を低減できると共に、電動送風機200の高効率化を図ることが可能になる。
次に図13および図14を参照して、本実施形態の案内翼205について説明する。図13(a)は案内翼の斜視図、(b)は案内翼の背面図、(c)は案内翼の縦断面図、図14はディフューザ内の流れを示す説明図である。
図13(a)に示すように、案内翼205は、樹脂製であり、複数枚のディフューザ羽根13と、該ディフューザ羽根13の下流側に形成された複数枚のリターンガイド羽根14と、ディフューザ羽根13とリターンガイド羽根14との間を仕切る仕切板15と、が一体に成形されている。
ディフューザ羽根13の上面には、リブ13aが形成され、このリブ13aがファンケーシング204(図6参照)の内面25a(図6参照)に当接している。ディフューザ205a側では、ファンケーシング204とディフューザ羽根13と仕切板15とでディフューザ流路R1(図6参照)を構成している。
仕切板15の中央には、ロータ組立体230を挿通する貫通孔16aが形成されている。また、仕切板15には、貫通孔16aの周囲には、貫通孔16bが複数箇所に形成されている。貫通孔16bに固定ねじ218(図3参照)を挿通し、ハウジング208のねじ穴28に螺合することによって、案内翼205がハウジング208に固定される。
図13(b)に示すように、リターンガイド205b側では、仕切板15とリターンガイド羽根14とでリターンガイド流路R2(図6参照)を構成している。また、リターンガイド205b側の貫通孔16bの外周には、円筒状の凸部17が形成されている。この凸部17とハウジング208の凹部29(図3参照)とが嵌め合わさることで送風機部201(図6参照)側への漏れを防止している。
図13(c)に示すように、ディフューザ羽根13の外径側は軸方向にゆるやかに傾斜し、軸方向(図示下方)に傾斜したディフューザ流路R3を形成している。
図14に示すように、案内翼205は、ディフューザ羽根13の外周端側にディフューザ羽根13とディフューザ羽根13との隙間から流出した空気をリターンガイド羽根14(図13(b)参照)側に流す略三角形状の流路(連通路)18が形成されている。ディフューザ羽根13への流入流れ19は、隣り合うディフューザ羽根13と仕切板15とファンケーシング204とで囲まれたディフューザ流路R1(図3参照)内で減速されて、ファンケーシング204の内面204bに当たって、略三角形の形状をした流路18を通って軸方向Gに転向した流出流れ20となる。流出流れ20は旋回方向の流れ成分を有しており、リターンガイド羽根14(図13(b)参照)によって旋回流れを半径方向内向きの流れに転向する。
案内翼205のディフューザ205aは、複数のディフューザ羽根13を備え、空気流がディフューザ羽根13の羽根間で減速されることによって、空気流のもつ運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され圧力が上昇する。ディフューザ205aから吐出された空気流は、ファンケーシング204の内面とディフューザ205aの後縁間で形成された流路18(図14参照)からリターンガイド205bに流入する。なお、本実施形態では羽根付ディフューザを用いているが、羽根無しディフューザとしてもよい。その場合は、案内翼の外径側に支柱を複数本設け、ファンケーシング204を支持する。
リターンガイド205bのリターンガイド羽根14を通過した空気は、ハウジング208の開口34からハウジング208内部に流入し、軸受カバー215の冷却フィン27が冷却され、軸受カバー215を介して軸受212が冷却される(図6参照)。また、空気は、ロータコア209、ステータコア210、導線211を冷却して外部へ排出される。これによって、ハウジング208内の各部が冷却される。リターンガイド羽根14を通過した空気流の一部は、ハウジング208の排気口35から外部へ排出される。
リターンガイド羽根14は、ハウジング208の開口34(図6参照)に位置するように設けられている。リターンガイド羽根14によって半径方向内向きに転向した流れは、ハウジング208の開口34から軸受カバー215の冷却フィン27に当たり、軸受212が効果的に冷却される。これによって、軸受212の信頼性が高い電動送風機200を実現できる。
ファンケーシング204とディフューザ羽根13と仕切板15とで形成されたディフューザ流路R1(図6参照)は、ゆるやかに傾斜しているため(図13(c)参照)、平面視略三角形の形状をした流路18(図14参照)からリターンガイド羽根14へスムーズに流れることができ、曲がり損失を低減することができる。これによって、電動機部202の高効率化を図ることができる。また、リターンガイド205bの円筒状の凸部17(図13(c)参照)とハウジング208の凹部29(図3参照)で十分な気密が得られるので、電動機部202の効率をさらに向上させることができる。
図15(a)はファンケーシングの斜視図、(b)はファンケーシングの縦断面図である。
図15(a)に示すように、ファンケーシング204は、遠心羽根車203(図3参照)および案内翼205(図3参照)を外方から覆う略傘形状であり、平面視円形状の上板21と、上板21の周縁部に連続して軸方向に延在する円環状の側板22とを備えている。
ファンケーシング204の側板22には、上板21側とは逆側の縁部に複数の突起23が形成されている。突起23は、周方向に間隔を置いて形成されている。また、突起23には、ファンケーシング204をハウジング208に固定する固定孔24が形成されている。なお、本実施形態では、突起23が3個形成されているが、3個に限定されるものではなく、4個以上設けてもよい。
図15(b)に示すように、ファンケーシング204には、上板21の中央に、空気吸込口206が形成されている。空気吸込口206の縁部内面には、凹部204aが形成され、凹部204a内に遠心羽根車203の直線部5が配置されている(図6参照)。ファンケーシング204と直線部5の先端は小さな隙間を有するように遠心羽根車203が配置され、遠心羽根車203で昇圧された空気が遠心羽根車203の吸込開口4側へ漏れる空気量を少なくする構造となっている。これにより、シール効果を高めることができ、電動機部202の効率をさらに向上させることができる。
ファンケーシング204の上板21の内面には弾性体を用いた気密保持部材25が配置されている。気密保持部材25はゴムやエラストマー等の弾性材料からなり、ファンケーシング204に一体成形されている。本実施形態では、インサート成形により気密保持部材(弾性部材)25とファンケーシング204とを一体成形している。また、ゲート方向を遠心羽根車203の配置する面とは逆側(外側)とし、内側へゲート跡が残らないようにしているので、空気の流れを乱すことがない。また、ディフューザ羽根13に設けたリブ13a(図13(a)参照)が気密保持部材25に食い込むことで、ファンケーシング204と案内翼205との気密性が保持される。これによって、案内翼205のディフューザ羽根13間での漏れを防止することができ、電動送風機200の効率を向上させることができる。
図16(a)はハウジングと軸受カバーを一体化した斜視図、(b)はハウジングと軸受カバーを一体化した背面図、図17は図5の電動送風機のA−A線での断面図、図18(a)は図16(a)のB−B線での断面図、(b)は図16(a)のC−C線での断面図、図19は軸受カバーの斜視図である。
図16(a)に示すように、ハウジング208は、合成樹脂製であり、軸受212,212(図6参照)を内包する軸受カバー215を固定する支持部26を有している。支持部26は、略2重円筒状を呈しており、ハウジング208の前部(図示上部)の内側に位置している。
図16(b)に示すように、支持部26の内側の略円筒部26aには、非磁性金属材料で製作された軸受カバー215が固定されている。軸受カバー215の外周側の略円筒部26bには軸受212の冷却用のヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン27が設けられ、ハウジング208の支持部26と一体成形されている。軸受カバー215は、外周に冷却フィン27が設けられている複雑な形状であるため、ダイカストで製作することで生産コストを抑え、高い寸法精度を得ることができる。軸受カバー215と冷却フィン27の使用素材としては、非磁性金属で熱伝導率の高いアルミニウム合金が望ましい。
本実施形態では、軸受カバー215をインサート品とするインサート成形によりハウジング208を形成している。樹脂製のハウジング208の支持部26の端部には、回転軸方向に延在するねじ穴28(図16(a)参照)が形成されている。ねじ穴28には固定ねじ218が螺合可能で、固定ねじ218の螺合によって案内翼205がハウジング208に固定設置されている。
ねじ穴28より外径側には環状の凹部29が設けられている。この凹部29とリターンガイド205b側の円筒状の凸部17(図13(b)参照)が嵌め合わされることによって、電動機部202側から送風機部201側への空気漏れを防止することができる。
支持部26の外周部はブリッジ30(図16(a)参照)によって、略円筒状のフレーム31につながれている。フレーム31のブリッジ30がある端部には、ステータコア210(図6参照)を固定するねじ穴32が設けられている。ねじ穴32には固定ねじ219が螺合可能で、固定ねじ219の螺合によってステータコア210がハウジング208に固定される。
また、フレーム31における送風機部201側の端部には爪状の突起33が設けられ、ファンケーシング204の固定孔24と嵌合接続される。接着剤による接続ではなく嵌合による接続により、ファンケーシング204の軸方向の位置決め精度を確保することができ、このことでファンケーシング204と案内翼205との気密性が確保できる。また、ファンケーシング204の凹部204a(図6参照)と遠心羽根車203の直線部5(図6参照)の先端隙間のばらつきを小さくすることができ、電動送風機200の性能向上を図ることができ、性能ばらつきを小さくすることができる。
ハウジング208には、ハウジング208内に空気が流れ込むようにブリッジ30間に形成される開口34(図16(a)参照)と、ロータコア209、ステータコア210、導線211を冷却せずに直接外部に空気を排出する排気口35(図16(b)参照)が複数箇所に形成されている。
フレーム31の内側には、傾斜部36(図16(a)参照)が複数箇所に設けられている。案内翼205の略三角形の形状をした流路18(図14参照)から流出した空気が、リターンガイド羽根14(図13(b)参照)と傾斜部36によって開口34に流入し易い構造となっている。開口34から流入した空気は、軸受カバー215に設けたヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン27に当たって流れる。冷却フィン27は長方形の板形状である。軸受212で発生した熱は、非磁性金属材料で製作させた軸受カバー215を熱伝導で伝わり、冷却フィン27で放熱され、軸受212が効果的に冷却される。
ところで、電動機部202では、ステータコア210に巻かれた導線211で発生する銅損の割合よりも、軸受212で発生する機械損の方が大きく、軸受212を効果的に冷却することが重要である。ハウジング208を樹脂製としても、軸受212で発生した熱を軸受カバー215に設けたヒートシンク(冷却フィン27)で放熱させることで、軸受212を効果的に冷却することができ、信頼性が高い電動送風機200を提供することができる。
さらに、ハウジング208を樹脂製としているため、ハウジング208を軽量化でき、電動送風機200を軽量化することができる。本実施形態では、軸受カバー215と樹脂製のハウジング208とをインサート成形で一体化しているが、樹脂製のハウジング208に軸受カバー215を圧入してもよい。
図17に示すように、軸受カバー215は、ハウジング208の開口34の位置に冷却フィン27が配置されているが、ハウジング208のブリッジ30には、冷却フィン27が配置されていない。また、ブリッジ30には、冷却フィン27ではなく、リブ26c(図16(b)参照)が設けられている。リブ26cは、ハウジング208の略2重円筒形状の略円筒部26a,26bとブリッジ30とを接続し、ハウジング208の剛性を高める効果を奏する。
略三角形の形状をした流路18(図14参照)から流出した旋回流れ成分を有している空気が、リターンガイド羽根14によって旋回流れを半径方向内向きの流れに転向され、ヒートシンクの冷却フィン27に直接あたるため十分な冷却効果が得られる。これにより、ブリッジ30に冷却フィン27を設けずとも十分な冷却効果が得られ、周方向に均等に冷却フィンの数を設けるよりも、冷却フィンの数を少なくでき、十分な放熱効果を奏しながら軽量化の効果も奏することができる。
図18(a),(b)に示すように、ハウジング208と軸受カバー215はインサート成形によって一体化している。ハウジング208の支持部26は、略2重円筒形状をしており、内径側の略円筒部26aの軸方向の長さは、冷却フィン27の軸方向の長さとほぼ同一であるが、外径側の略円筒部26bの軸方向の長さは、冷却フィン27の軸方向の長さのおよそ半分程度となっている。
このように軸受カバー215には冷却フィン27が設けられているため剛性が高く、略2重円筒形状の支持部26の内側の略円筒部26aと外側の略円筒部26bにより冷却フィン27を包含するように(内側の略円筒部26aと外側の略円筒部26bに冷却フィン27が渡るように)ハウジング208と一体成形されている。このため、軸受カバー215とハウジング208の剛性を高くすることができ、毎分80,000回転以上の高速回転を可能とすることができる。
なお、本実施形態では、外径側の略円筒部26bが冷却フィン27の長さのおよそ半分程度であるが、ハウジング208の剛性が十分高い場合は、冷却効果を高めるために、外径側の略円筒部26bの長さを短くし、冷却フィン27における冷却風があたる部分の長さを長くしてもよい。
図19に示すように、軸受カバー215の軸方向の端部には冷却フィン27が設けられていない円筒の基準面37が設けられている。基準面37は、軸受カバー215と樹脂製のハウジング208とをインサート成形するときの基準面で、軸受212(図6参照)の外輪212a(図4参照)を固定する内径切削時の基準となる。基準面37を円筒形状とすることで、旋盤などによる内径切削時の基準面を容易に構成することができる。しかも、旋盤などによる機械加工する箇所を少なくできる。これにより、寸法精度の向上が図られ、ハウジング208に取り付けられるステータコア210と、回転軸207に取り付けられるロータコア209の中心軸が一致し、電動機部202の高効率化が図られ、さらに振動や騒音の低減を図ることができる電動送風機200を得ることができる。
なお、本実施形態では、基準面37を円筒形状としているが、これに限定されるものではなく、多面体形状としても良く、内径切削する基準とハウジング208とをインサート成形する基準とすることができればどのような形状でもよい。
ここで、ロータコア209が着磁された後にハウジング208に組み込まれるが、軸受カバー215は非磁性金属で製作されているため、磁石による吸引力の影響を受けることが無く、組立性に優れている。
また、本実施形態では、ヒートシンクとして回転軸方向に長い複数の冷却フィン27を備えており、冷却フィン27を長方形の板形状としているが、多数の円柱形、円錐形、角柱形などのピン形状としてもよい。つまり、軸受を放熱するために内側の略円筒部26aと外側の略円筒部26bに冷却フィン27が渡るように周方向に突出する形状であれば、どのような形状でもよい。なお、冷却フィン27をピン形状とすることで、同一表面積を得るのに体積を小さくすることができ、質量を軽くすることができる。
このように構成された電動送風機200を電気掃除機400に搭載することで、電気掃除機400の出力を向上させることができる。また、電動機部202の効率が向上することで、同じ出力を得る場合は電動送風機200の入力を低くすることができ、電池ユニット420を駆動源とする充電式掃除機において運転時間を長くすることができる。