JP6653362B2 - インクジェット用インク - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの樹脂を用いるインクにおいては、インクジェットプリンタを用いて吐出する際の安定性や再溶解性を充分付与するような設計がなされているため、プリンタでの安定性が非常に良くなる反面、被印刷物の表面に形成された印刷体の耐溶剤性に課題があり、インクの充分な乾燥を実施しても容易に溶け出すインクとなってしまう。
例えば、紫外線や電子線を照射してモノマーを架橋させる、いわゆるUV(紫外線)硬化型のインクやEB(電子線照射)硬化型のインクが知られている。
しかしながら、UV硬化型インクについては、UV照射装置が比較的高価であり、またUV照射時にオゾンの発生等を伴うため、印字環境としては複雑で高価な構成を必要とする。一方、EB硬化型のインクについては、EB装置が更に高価となるうえ、真空系ないし窒素雰囲気下での調整を要することとなり、導入が容易でないという不具合がある。
しかしながら、このような硬化剤を用いる方法においては、印字後の硬化性は良好であっても、インクジェットプリンタ内での温度変化等により、インクのゲル化を引き起こしやすく、安定なインクを得ることは容易でないという問題があった。
特許文献1に記載のインクは、印刷体の密着性に優れ、また、イソシアネートがブロック化されているためにインクの吐出安定性、再溶解性にも優れる。さらに、熱硬化によって耐溶剤性にも優れる。
具体的には、例えば、特許文献1の実施例では、耐溶剤性に関して、耐エタノール性を評価しているが、耐アセトン性について検証してみると、まだ改良の余地があった。
また、吐出安定性の評価についても、ノズル径を小さくして検証してみると、まだ改良の余地があった。ノズル径を小さくしても吐出安定性に優れたものであれば、印字面積を小さくしたり、高解像度を実現したりすることができる。
すなわち、本発明にかかるインクジェット用インクは、ケトン系溶剤を溶剤全量の50重量%以上の割合で含む溶剤と、着色剤と、ポリパラビニルフェノール樹脂と、ブロックイソシアネートと、導電剤とを含み、インク総重量に対して、前記着色剤の配合割合が2〜15重量%、前記ポリパラビニルフェノール樹脂の配合割合が1〜20重量%、前記ブロックイソシアネートの配合割合が0.1〜10重量%、前記導電剤の配合割合が0.3〜2.5重量%である。
特に、吐出安定性と耐溶剤性に優れており、吐出安定性については、ノズル径の小さなインクジェットプリンタを用いても安定した吐出性能を発揮し、また、耐溶剤性については、アルコールのみならず、アセトンなどの他の溶剤に対しても、良好な耐溶剤性を発揮する。
本発明のインクジェット用インク(以下、単に「インク」と称することがある)は、ケトン系溶剤、着色剤、ポリパラビニルフェノール樹脂及びブロックイソシアネートを含む。
本発明に用いる着色剤としては、顔料または染料が挙げられるが、これら両者は混合して用いても良い。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄、コバルトブルー等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、キナクリドン系、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、縮合アゾ系、イソインドリン系、ジケトピロロピロール系等が挙げられる。
上記に示した顔料は耐光性が良好であるので、特に耐光性を必要とする用途において好ましい。なお、酸化チタンについては、顔料の表面をアルミ系、亜鉛系、またはシリカ系の表面処理剤で処理したものが、分散性、沈降性防止、経時での増粘、凝集防止などに関して、後記する樹脂およびブロックイソシアネートとの安定性において好ましい。
平均粒径が0.3μmよりも大きいとインクの分散の安定性が悪く、沈降物の発生が多くなる。特に最大粒径が1μm以上になると、顔料の沈降が著しくなり、印字の安定性を損なうおそれがある。一方、平均粒径が10nm以下の場合は、特段の問題があるわけではないが、粒径が細かすぎることから、耐光性に関して劣化を生じ易くなるおそれがある。
このように、本発明に用いる顔料は微細な顔料粒子が好ましいが、インクジェット用インクとするには、分散剤を更に加えるとともに分散機で高速撹拌を行なって、安定な分散液にしておくことが好ましい。
顔料は、画像の十分な濃度および記録後の十分な耐光性を得るために、インクジェットインクの総重量に対して0.5〜20重量%含まれていることが望ましい。
染料としては、ケトン系溶剤に溶解し得るものであれば特に限定されない。但し、耐溶剤性の観点からは、印刷体硬化後の接触対象となる溶剤がアルコールであるとすると、アルコールに対して不溶解性のものが好ましい。
具体的には、例えば、カラーインデックスナンバーで、ソルベントエロー2,14,16,19,21,34,48,56,79,88,89,93,95,98,133,137,147、ソルベントオレンジ5,6,45,60,63、ソルベントレッド1,3,7,8,9,18,23,24,27,49,83,100,111,122,125,130,132,135,195,202,212、ソルベントブルー2,3,4,5,7,18,25,26,35,36,37,38,43,44,45,47,48,51,58,59,59:1,63,64,67,68,69,70,78,79,83,94,97,98,99,100,101,102,104,105,111,112,122,124,128,129,132,136,137,138,139,143、ソルベントグリーン5,7,14,15,20,35,66,122,125,131、ソルベントブラック1,3,6,22,27,28,29、ソルベントヴァイオレット13、ソルベントブラウン1,53等が挙げられ、これらを単独ないし2種以上混合して用いることができる。
また、塩基性の油性染料を用いることも可能である。
このような塩基性の油性染料としては、例えば、C.I.Basic Violet3、C.I.Basic Red1,8、C.I.Basic Black2等が挙げられる。
本発明のインクは、ブロックイソシアネートを含有する。
ブロックイソシアネートは、保護されたイソシアネート基を有する化合物であり、イソシアネート化合物と保護化合物(ブロック剤)とを反応させることで得ることができる。
ブロックイソシアネートは常温で不活性であるが、加熱されることで保護基が解離してイソシアネート基が再生される性質を持つ。このため、加熱されない条件下であれば、活性水素基を有する化合物とあらかじめ配合しておくことが可能である。
一般的なイソシアネートは反応性に富んでいるため、熱を加えなくても反応の進行が起こりやすいが、ブロックイソシアネートは、一定の温度を超えることによって反応を生じ得るため、経時での自然反応による増粘やゲル化といった問題を生じさせないようにすることができる。
これらのブロック剤は、種類によってそのブロックが解離する温度を調整することが可能であるが、インクジェットプリンタ内の温度、保存温度適性、あるいは実際の後処理の工程等を考慮すると、100℃以上で解離をし、かつ、エネルギー効率の観点から250℃以下で解離をするという条件が好ましい。
また、ジメチルピラゾールとともに、ジエチルマロネート、メチルエチルケトンオキシム、カプロラクタムの一種または二種以上を混合した系のブロックイソシアネートは、ジメチルピラゾールの適度な硬化性や硬化時の特性を望ましく調整できるために好ましい。
プリンタでの長期循環や、印字後の加熱処理環境に対応させて調整を行うことが望ましい。また、被印刷物の基材が熱硬化性材料で予め塗装されている場合は、その硬化条件を逸脱しない範疇の設定が必要である。ジメチルピラゾールを主成分として使用することで、許容値を広く設定することができるので、前記の如き要求に応えるための調整がし易い。
このような観点から、インク全体重量に対し0.1〜10重量%の範囲で用いることが好ましく、3〜9重量%の範囲で用いることがより好ましい。
本発明のインクは、樹脂成分として、ポリパラビニルフェノール樹脂を含有する。
ポリパラビニルフェノール樹脂は、パラビニルフェノールをモノマー単位とするポリマーである。本発明の効果を害しない範囲であれば、パラビニルフェノール以外のモノマー単位を有する共重合体であってもよい。
本発明に用いる溶剤としては、ケトン系溶剤を溶剤の主成分として用いる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン等が挙げられる。なかでも、メチルエチルケトンは、樹脂の溶解性、顔料の分散性、導電性や、インクの乾燥性から、連続式インクジェットプリンタ用のインクに、好ましく用いることができる。
本発明のインクは、インクジェットプリンタ、特に帯電ドット連続噴出式である連続式インクジェットプリンタに好適に用いることができる。この場合、プリンタから吐出されたインク滴の電界による偏向量の調整に対応するために、導電剤が用いられる。
このような導電剤としては、例えば、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、硝酸リチウム、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラフェニルホウ素4級アンモニウム塩等を使用できる。これらのなかでも、ブロックイソシアネートとの相溶性の観点からインクの安定性を評価すると、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルホウ素4級アンモニウム等のような有機系の導電剤が、長期的に安定した特性を示すので好ましい。
このような顔料の分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合体、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物塩、特殊芳香族スルフォン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
具体的には、BYK Chemie社製のAnti−Terra−U,Anti−Terra−203/204,Disperbyk−101,107,110,130,161,162,163,164,165,166,170,400,Bykumen,BYK−P104,P105,P104S,240S,Lactimon、Efka CHEMICALS社製のエフカ44,46,47,48,49,54,63,64,65,66,71,701,764,766,エフカポリマー100,150,400,401,402,403,450,451,452,453,745、共栄社化学社製のフローレンTG−710,フローノンSH−290,SP−1000,ポリフローNo.50E,No.300、味の素ファインテック社製のアジスパーPB821、楠本化成社製のディスパロンKS−860,873SN,874,#2150,#7004、花王社製のデモールRN,N,MS,C,SN−B,EP,ホモゲノールL−18,エマルゲン920,930,931,935,950,985,アセタミン24,86、ルーブリゾール社製のSolsperse5000,7000,13240,13940,17000,22000,24000,28000,32000,38500、日光ケミカル社製のニッコールT106,MYS−IEX,Hexagline 4a−U等を例示することができる。
各成分の配合割合としては、特に限定するわけではないが、例えば、インク総重量に対して、前記着色剤の配合割合が2〜15重量%、前記ポリパラビニルフェノール樹脂の配合割合が1〜20重量%、前記ブロックイソシアネートの配合割合が0.1〜10重量%、前記導電剤の配合割合が0.3〜2.5重量%であり、残部がケトン系溶剤を含む溶剤であることが好ましい。
また、ポリパラビニルフェノール樹脂とブロックイソシアネートの相互比率の最適範囲を例示すると、例えば、重量基準で、ポリパラビニルフェノール樹脂:ブロックイソシアネート=1:1〜3:1であることが好ましく、1.5:1〜2.5:1であることがより好ましい。ポリパラビニルフェノール樹脂が多すぎると(ブロックイソシアネートが少なすぎると)ブロックイソシアネートと未反応のポリパラビニルフェノール樹脂が余剰に存在することにより塗膜強度が落ちるおそれがあり、ポリパラビニルフェノール樹脂が少なすぎると(ブロックイソシアネートが多すぎると)ポリパラビニルフェノール樹脂と反応しなかった余剰なブロックイソシアネートが存在することにより塗膜の強度が低下するおそれがある。
本発明のインクの印字対象となる被印刷物としては、例えば、金属、ガラス、プラスチックスや、これらの材料の表面に塗装された塗工物などが挙げられる。熱硬化を行うため、被印刷物の耐熱温度は100℃以上であることが好ましい。
このような被印刷物に対し、インクジェットプリンタにより前記のインクを噴きつけて、文字やバーコード、データマトリックスコード等の種々のコードの印字(印刷体)を形成し、その後、100℃以上の加熱工程を10分〜60分かけて通過させる処理が行われる。好ましい加熱温度は130〜250℃であり、更に好ましくは150〜210℃である。好ましい加熱時間は15〜30分程度である。このような加熱条件とすることが、耐溶剤性、密着性、界面活性剤水溶液による洗浄耐性から好ましく、バーコードやデータマトリックス等を読み取る読み取り機での読み取り率の正確性を充分に発揮させることができる。
ポリパラビニルフェノール樹脂(重量平均分子量Mw=11000)15重量部及びソルスパーズ38500(分散剤:ルーブリゾール社製)3重量部を、メチルエチルケトン58.5重量部及びシクロペンタノン5重量部に溶解して溶解液とし、この溶解液に酸化チタン(Al・Si処理、ルチル型TiO2、平均粒径0.24μm)10重量部を加えて攪拌混合し、この混合液を横型サンドミルに供して酸化チタンを分散させた。
この分散液に、ジメチルピラゾールをブロック剤とするブロックイソシアネート7重量部を加えて混合し、更にテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート1.5重量部を加えて、高速撹拌混合を行なった。
その後、混合分散液を目開き1.0μmのフィルタで濾過して、インクジェットプリンタ用のインクを得た。
なお、インクの試作においては、インクを構成する全成分をひとつの容器内に入れ一括して分散させることも可能であるが、顔料、分散剤、樹脂および溶剤の一部だけを用いて顔料の分散を濃縮系として行ない、その分散後にブロックイソシアネートおよび導電剤を加えて混合、溶解させるように調製することが、安定な状態のインクを得るうえで好ましい。
各種原料を下表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10、比較例1,2の各インクを調製した。表1には、実施例1の処方も併記した。
なお、表1において、処方欄中に示した数値は、いずれもインク総重量に対する重量%を表している。
インクの物性を評価し、上記表1に併記した。
評価項目の詳細は以下のとおりである。
EH型粘度計を用いて20℃で測定したものである。
導電率計を用いて20℃で測定したものである。連続式インクジェットプリンタにおいては、0.5mS/cm以上の導電率が正確なドット偏向制御を行なううえで好ましい。
顔料の樹脂液を横型サンドミルにて分散したときに、ダマや粗粒の残留が少なく流動性のある状態であるか否かを評価したものである。平均粒径を含めた分散状態が非常に良好であったものを「◎」とし、ドローダウン塗膜の表面状態や分散時の流動性が良かったものを「○」とした。
レーザー検出方式の粒度分布計(日機装社製のUPA−150)で測定したD50の粒子径(nm)で示した。
各例で示したインクを連続式インクジェットプリンタ(紀州技研工業社製のCCS3000P)によって、50μmノズルおよび40μmノズルでそれぞれガラス基材表面の樹脂塗装面に印字を行ない、印刷体の状態を目視評価したものである。また、噴射特性も、連続印字中のノズルの噴射状態を、得られた印刷体の状態によって合わせて評価した。
連続印字を行なったにも拘わらず途中にドットの欠損を生じたり、各印字ドットが所定位置に印字されたりしなかったものを「×」とした。更に、印字した2次元バーコードを読み取り機により読み取らせて読み取りの正確性を確認し、読み取りが異常であったものを「×」とした。各印字ドットが所定位置に正確に連続印字され、かつ、印字した2次元バーコードの読み取り機による読み取りが正常であったものを「○」とした。
実施例1及び比較例1については、40μmノズルでデータマトリックスを印刷した時の写真を、それぞれ、図1及び図2に示す。
インクを密封容器内に封入して45℃の条件下で保管し、2ケ月経過後にインクの外観や粘度変化を確認したものである。外観および粘度が所定以上に変化(8%以上の増粘)しなかったものを「○」とし、所定以上に変化したものを「×」とした。
印字後の印刷体を熱硬化させる条件として、170℃30分間での硬化性、200℃15分間での硬化性をそれぞれ確認したものである。この熱硬化性は、熱により硬化した硬化面にアルコールを塗布して、熱硬化した印刷体が溶解するか否かの有無で確認するものである。溶解しなかったものを「○」、一部分が溶解したものを「×」とした。
印刷体が熱硬化した後の被印刷物の表面を、アルコールを浸した綿棒で擦り、被印刷物表面における印字ドットの溶解や剥離を確認したものである。50回以上の擦りで剥落がなかったものを「◎」、20〜50回擦りで剥落がなかったものを「○」、剥落があったものを「×」とした。
印刷体が熱硬化した後の被印刷物の表面を、アセトンを浸した綿棒で擦り、被印刷物表面における印字ドットの溶解や剥離を確認したものである。20〜30回の擦りで剥落がなかったものを「◎」、10〜20回擦りで剥落がなかったものを「○」、剥落があったものを「×」とした。
2次元バーコードまたはデータマトリックスを印刷した被印刷物を0.25%ノニオン活性剤水溶液中に浸漬して、15分間の超音波照射による洗浄テストを行い、印刷した2次元バーコードまたはデータマトリックスを読み取り機で読み取れるか否かを評価するものである。読み取り異常がなかったものを「○」とし、読み取り異常があったものを「×」とした。
データマトリックスを印刷した被印刷物の表面にセロハンテープを貼り付け、そのセロハンテープを引き剥がしたときに、データマトリックスを構成している印字ドット(印刷体)の剥離が有るか否かを評価するものである。印字ドットの剥離がなかったものを「○」とし、剥離があったものを「×」とした。
表1及び図1に示す上記実施例1〜10の結果から、本発明のインクは、分散性、吐出安定性、保存安定性、熱硬化性、耐溶剤性、洗浄性、密着性の全ての評価項目において、優れた物性を備えていることが分かる。
表1及び図2に示す結果から、比較例1のインクは、基本的には優れた物性を示すインクであるといえるが、40μmノズルでの吐出安定性が十分でなく、また、耐アセトン性は実施例1〜10のインクよりも劣っていた。比較例1は、樹脂としてポリパラビニルフェノール樹脂を含有しておらず、ブチラール樹脂及びロジン変性マレイン酸樹脂を用いたインクである点で本発明の条件を満たさないものであることから、樹脂としてポリパラビニルフェノール樹脂を用いることが、吐出安定性(40μm)、耐溶剤性の向上に繋がっていることが分かった。
また、比較例2のインクでは、吐出安定性(40μm)、保存安定性が十分でなく、また、耐アセトン性は実施例1〜10のインクよりも劣っていた。比較例2は、ケトン系溶剤を溶剤の主成分として使用しておらず、本発明の条件を満たさない。この結果から、本発明の効果を得る上で、ケトン系溶剤を溶剤の主成分として使用することが必要であることが分かった。
なお、白色インク(実施例1〜8)においては、エタノールへ浸漬させた後の2次元バーコードについて、読み取りテストを行ったところ、読み取り確認スピードが速かった。同様に、白色インク(実施例1〜8)において、アセトンへ浸漬させた後の2次元バーコードについて、読み取りテストを行ったところ、やはり、読み取り確認スピードが速かった。これらの結果からも、本発明のインクの耐溶剤性の高さが確認できる。
Claims (5)
- ケトン系溶剤を溶剤全量の50重量%以上の割合で含む溶剤と、着色剤と、ポリパラビニルフェノール樹脂と、ブロックイソシアネートと、導電剤とを含み、インク総重量に対して、前記着色剤の配合割合が2〜15重量%、前記ポリパラビニルフェノール樹脂の配合割合が1〜20重量%、前記ブロックイソシアネートの配合割合が0.1〜10重量%、前記導電剤の配合割合が0.3〜2.5重量%である、インクジェット用インク。
- 前記ブロックイソシアネートにおいて、組み込まれているブロック剤が、ジメチルピラゾール、ジエチルマロネート、メチルエチルケトンオキシム及びカプロラクタムからなる群より選ばれた一種または二種以上を含む、請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 前記ブロックイソシアネートにおいて、組み込まれているブロック剤が、ジメチルピラゾールを含み、更にジエチルマロネート、メチルエチルケトンオキシム及びカプロラクタムからなる群より選ばれた一種または二種以上を含む、請求項2に記載のインクジェット用インク。
- 前記ポリパラビニルフェノール樹脂の重量平均分子量が1000〜30000の範囲である、請求項1から3までのいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記導電剤が、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート及びテトラフェニルホウ素4級アンモニウムのうちの少なくとも1種である、請求項1から4までのいずれかに記載のインクジェット用インク。
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