JP6652691B1 - 電動機駆動装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、多レベルインバータからケーブルを介して電力が供給されるモータの受電端に接続されるサージ抑制回路を提案する。このサージ抑制回路は、モータの受電端でのインピーダンス不整合による反射が低減されるように値が設定された第1の抵抗と第1のコンデンサとが直列接続された直列回路を備える。この直列回路の一端はモータの受電端に接続されるとともに、直列回路の他端は多レベルインバータの直流電圧の中性点に接続される。ここでいう接続とは、電気的な接続をいう。
一方、電気が伝送線路を伝わるとき、電圧と電流が一定の比率になる性質があり、一般的にこの比率を特性インピーダンスと呼ぶ。
このため、単線ケーブルの特性インピーダンスを決定する上で主要なパラメータであるケーブルインダクタンスとケーブルキャパシタンスを確定するには、ケーブル延長方向に沿ってケーブル半径と比してかなり広い半径方向の範囲に含まれる周囲の導体、磁性体、誘電体の影響を考慮する必要がある。よって、周囲の導体、磁性体、誘電体の影響への対策が含まれていない特許文献1においては、ケーブル14のU相線、V相線、W相線の特性インピーダンスの値を予め規定することは困難である。また、特許文献1においては、ケーブルの敷設状態による周囲の導体、磁性体、誘電体の配置の影響を受け、特性インピーダンスが変動値となり、反射を防止できるインピーダンス整合が不定となるおそれがある。
また、本発明に係る電動機駆動装置は、第1動力線に駆動電力を供給する第1インバータ回路と、第2動力線に駆動電力を供給する第2インバータ回路と、を備える。
さらに、本発明に係る電動機駆動装置は、U相線とU’相線、V相線とV’相線およびW相線とW’相線のそれぞれの線路の組み合せからなる伝送線路と、伝送線路とインピーダンス整合されるインピーダンス回路と、を備える。この伝送線路は、それぞれの線路が絶縁体を介して配置される。
本発明の電動機駆動装置において、好ましくは、並列に接続されたキャパシタとインダクタを含む阻止フィルタ、および、直列に接続されたキャパシタとインダクタを含む迂回フィルタの一方または双方を備える。
本発明の電動機駆動装置において、好ましくは、阻止フィルタおよび迂回フィルタの一方または双方において、インダクタと双方向スイッチが直列に接続される。
本発明の電動機駆動装置において、好ましくは、複数のインピーダンス回路のそれぞれに対応する特性の異なる複数の損失低減回路を備える。
[第1実施形態]
はじめに、本発明に係る第1実施形態を説明するが、第1実施形態は第1−1形態と第1−2形態を含んでいる。また第1動力線41と第2動力線42のそれぞれに対応する交流相が流れる線路を組み合せて絶縁体を介して隣り合わせて配置した伝送線路の例として平行二線を用いて説明する。第1−1形態と第1−2形態は、いずれもインピーダンス回路51を伝送線路44u,44v,44wと直接的にまたは間接的に接続する位置が相違しているところを除けば、回路構成は同じである。したがって、以下では第1−1形態について全体の回路構成を説明した後に、第1−2形態については第1−1形態との相違点を中心に説明する。
第1−1形態に係る電動機の駆動装置10は、3相交流電源から出力される交流電流を直流電流に変換し、さらに変換された直流電流を交流電流に変換して3相交流電動機に供給する。本実施形態において、3相交流電動機をサーボモータの例を示すが、本発明における3相交流電動機はサーボモータに限らない。本発明は、例えば、誘導電動モータ、同期電動モータ、PM(Permanent Magnet)モータなどインバータ回路により駆動され得る3相交流電動モータ、アクチュエータあるいは発電機に適用される。
第1−1形態に係る駆動装置10は、図1に示すように、2台の第1電動機3Aおよび第2電動機3Bを備え、2台の第1電動機3Aおよび第2電動機3Bのそれぞれに対応するように第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bが設けられている。以下では、第1電動機3Aと第2電動機3Bの両者を区別する必要がない場合には単に電動機3と表記し、両者を区別する必要がある場合には第1電動機3Aおよび第2電動機3Bと表記する。第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bおよびその他の要素についても同様に扱われる。
なお、図1において、符号43が付された破線の楕円で囲まれる複数の電線は多芯ケーブルから構成されることを意味している。そして、符号43は対をなして記載されているが、これは対をなす符号43の間が多芯ケーブルで構成されることを意味している。以降の図8、図9などについても同様である。
また、駆動装置10は、インバータ回路15を制御するインバータ制御部17を備える。インバータ制御部17は、インバータ回路15を構成する半導体スイッチング素子16u,16v,16wのONおよびOFFを制御する。図1では単一のインバータ制御部17により第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bの双方を制御するように示されているが、第1インバータ回路15Aに対応するインバータ制御部と第2インバータ回路15Bに対応するインバータ制御部とに区分されていてもよい。
インバータ制御部17は、電動機3の電流を検出し、かつ、設けられている場合には平滑コンデンサの電圧を検出して、半導体スイッチング素子16u,16v,16wのONおよびOFFを制御する。
また、インバータ制御部17は、第1電動機3Aと第2電動機3Bの動作を互いに同期制御する。
電動機3は、3相交流のサーボモータからなり、図1に示すように、それぞれが巻線からなる三つのコイル31u,31v,31wと、コイル31u,31v,31wが巻き回される導電体からなるステータ32と、を備えている。電動機3は、コイル31u,31v,31wおよびステータ(固定子)32に加えて、ステータ32の内側に回転可能に設けられるロータ(回転子)などを備えているが、図1においては図示が省略されている。第2実施形態以降も同様である。ロータは永久磁石からなる場合もあればコイル、カゴからなる場合もある。
第1電動機3Aと第2電動機3Bは、それぞれ三つのコイル31u,31v,31wが合流する第1中性点34Aと第2中性点34Bを介してインピーダンス回路51と接続されている。
インバータ回路15は、図1に示すように、電動機3に備えられたu相、v相、w相のコイル31u,31v,31wのそれぞれに対応する半導体スイッチング素子16u,16v,16wを含んで構成されている。インバータ回路15において、半導体スイッチング素子16u,16v,16wはそれぞれ一対ずつ設けられており、図中の上側に配置される半導体スイッチング素子16u,16v,16wと、図中の下側に配置される半導体スイッチング素子16u,16v,16wと、に区分されている。
半導体スイッチング素子16u,16v,16wは、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、その他の半導体素子から構成できる。
インバータ制御部17は、第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bを構成する半導体スイッチング素子16u,16v,16wのそれぞれのONおよびOFFを制御する。この制御を通じて、第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bは、第1電動機3Aおよび第2電動機3Bを同期制御させる。
インバータ制御部17は、第1電動機3Aと第2電動機3Bには、互いに逆位相の電流が供給されるように、半導体スイッチング素子16u,16v,16wのそれぞれのONおよびOFFを制御する。これは、インバータ制御部17による第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bの一方のスイッチング周期を、第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bの他方のスイッチング動作の周期より半周期の位相分だけ遅らせる、または進めることにより実現される。
駆動装置10は、第1インバータ回路15Aと第1電動機3Aを接続し、第1電動機3Aに駆動電力を供給する第1動力線41と、第2インバータ回路15Bと第2電動機3Bを接続し、第2電動機3Bに駆動電力を供給する第2動力線42と、を備える。
第1動力線41は、第1インバータ回路15Aの半導体スイッチング素子16u,16v,16wの各相にそれぞれが対応するU相線41u、V相線41vおよびW相線41wを備えている。また、第2動力線42は、第2インバータ回路15Bの半導体スイッチング素子16u,16v,16wの各相にそれぞれが対応するU’相線42u、V’相線42vおよびW’相線42wを備えている。
駆動装置10は、第1動力線41と第2動力線42とで平行二線44u,44v,44wを構成する。平行二線44uは互いに相が対応するU相線41uとU’相線42uの組み合わせからなり、平行二線44vは互いに相が対応するV相線41vとV’相線42vの組み合わせからなり、平行二線44wは、互いに相が対応するW相線41wとW’相線42wの組み合わせからなる。
駆動装置10は、第1電動機3Aと第2電動機3Bを接続するインピーダンス回路51を備える。このインピーダンス回路51は、平行二線44u,44v,44wとインピーダンス整合されている。インピーダンス整合とは、送り出し側回路の出力インピーダンスと、受け側回路の入力インピーダンスを同じ値とすることをいう。駆動装置10に照らすと、送り出し側回路が平行二線44u,44v,44wであり、受け側回路がインピーダンス回路51である。
インピーダンス回路51は、第1中性線N1を介して第1電動機3Aの第1中性点34Aと接続され、第2中性線N2を介して第2電動機3Bの第2中性点34Bで接続されている。こうして、インピーダンス回路51は、平行二線44u,44v,44wと間接的に接続されている。
次に、第1電動機3Aと第2電動機3Bを同期して駆動する制御を簡単に説明する。
本実施形態においては、第1インバータ回路15Aにおけるスイッチング動作と第2インバータ回路15Bにおけるスイッチング動作の間に半周期の分だけ、つまり180°だけ位相差を設ける。これにより、U相線41uとU’相線42u、V相線41vとV’相線42v、W相線41wとW’相線42wにそれぞれ互いに逆相、つまり位相が180°異なる電圧が加えられる結果、U相線41uとU’相線42u、V相線41vとV’相線42v、W相線41wとW’相線42wにそれぞれ逆向きの電流が流れる。これにより、第1電動機3Aと第2電動機3Bは、互いに逆位相の交流電流の供給により、同期駆動される。
次に、第1−1形態に係る駆動装置10が奏する効果を説明する。
[平行二線44u,44v,44wの効果]
駆動装置10は、第1動力線41と第2動力線42との間に平行二線44u,44v,44wを備えているため、以下説明するように、安定したインピーダンス整合が容易に得られる。
本実施形態の平行二線は、一方の線路の隣に他方の線路が設けられるとともに、それぞれの線路には等価で逆方向の電流が通電されている。これによると平行二線の一方の線路と他方の線路は、互いに周囲の空間に比べて電気的あるいは磁気的に優位であるため、一方の線路から発生する電気力線および磁力線は他方の線路に吸収される。特に一方の線路と他方の線路に流れる電流が等価で逆向きの逆相電流である場合、一方の線路から発生する電気力線および磁力線と他方の線路から発生する電気力線および磁力線とは等価で逆向きになる。このため、両線路の間の電気力線および磁力線は向きが同じであり強め合う。しかし、互いの線路と向きが逆、つまり平行二線44u,44v,44wから離れた領域の電気力線および磁力線の向きは互いに逆となりそれぞれ発生する電界および磁界を弱め合う。このため周囲から平行二線44u,44v,44wへのおよび平行二線44u,44v,44wから周囲へのそれぞれの電磁気的な影響は無視できるほど小さい。
駆動装置10は、強制的に電動機を停止維持させる場合のように意図的に、またはコモンモードノイズのように意図せずに、3相すべての電流が供給側であるインバータ回路15から第1電動機3Aおよび第2電動機3Bに向かって流れる場合がある。この場合、中性点34に流入した電流は行き場を失う。これに対し、第1電動機3Aおよび第2電動機3Bに対して入力側の平行二線44u,44v,44wのインピーダンスと出力側の第1中性点34Aおよび第2中性点34Bとの間を接続するインピーダンス回路51のインピーダンスとを整合させる。
これにより、一方の電動機の中性点34に流入した電流を反射させることなく、他方の電動機の中性点34に流出させることができる。
これにより、第1中性点34Aおよび第2中性点34Bにおける反射の防止を通じて、第1中性点34Aおよび第2中性点34Bにおける過大な電圧が生じるのを防止できる。
本実施形態は、2組の駆動装置から2組の3相交流電動機への平行二線はU相線41u−U’相線42u、V相線41v−V’相線42vおよびW相線41w−W’相線42wの3並列となる。したがって、その特性インピーダンスRpは以下に示すように、3組の平行二線の合成となる。
特性インピーダンスはRp=(Rpu+Rpv+Rpw)/3=33.3Ω
第1中性点34Aおよび第2中性点34Bにおける、受け側回路はインピーダンス回路51であり、インピーダンス回路51のインピーダンス(Rc)を送り出し側回路のインピーダンスとインピーダンス整合させる。
例えば数十kW以上と容量が大きいモータの場合は、大電流を流しても発熱を抑えることができるようにモータコイル線の抵抗値は、平行二線の特性インピーダンスに比べて例えば0.1Ω程度と非常に小さい。したがって、第1−1形態における平行二線とその第1中性点34Aと第2中性点34Bの間を接続するインピーダンス回路51とのインピーダンス整合において無視することができる。
この場合、インピーダンス回路51のインピーダンスをRcとすると、平行二線の特性インピーダンスRp/3と等価、つまりRc=33.3Ωとすることでインピーダンス整合が可能である。
次に、第1実施形態における第1−2形態を説明する。
第1−2形態は、第1−1形態においてインピーダンス回路51が、第1中性線N1を介して第1電動機3Aの第1中性点34Aと接続され、第2中性線N2を介して第2電動機3Bの第2中性点34Bで接続されているのに対し、インピーダンス回路51が設けられる位置が異なる。以下、第1−1形態との相違点を中心に、第1−2形態の電動機駆動装置10を説明する。
第1−2形態は、第1電動機3Aおよび第2電動機3Bのそれぞれの受電端A,Aと平行二線44u,44v,44wとを接続する区間において、電動機3の間の平行二線44u,44v,44wの対応する相と相を接続するようにインピーダンス回路51が設けられる。その一例として図2は、第1インバータ回路15Aと第1電動機3Aの間のU相線41uと第2インバータ回路15Bと第2電動機3Bの間のU’相線42uとの間にインピーダンス回路51が設けられる例が示されている。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態は、第1実施形態の第1−1形態および第1−2形態における第1電動機3Aと第2電動機3Bの駆動軸(第1駆動軸,第2駆動軸)を共有することを主旨とする。この場合、第1電動機3Aおよび第2電動機3Bを収容する筐体をも共有にすることが好ましい。このモータは、見かけ上は一体をなすので、電動機3と称することにする。
さらに、好ましくは、第1電動機3Aを構成していた3相の各コイル31u,31v,31wを第1巻線側コイルとし、第2電動機3Bの3相の各コイル31u,31v,31wを第2巻線側コイルとする。そして、電動機3は、一つのコイル31を二本の巻線により構成する2巻線モータにおいては、図21に示すように、例えば一方のコイル31u(R)を右巻きとし他方のコイル31uを左巻きとし、両方のコイル31u(R),31uを同軸上に巻き回して構成される。また、この右巻きと左巻きからなる二本の巻線を複数組備えるコイル31とすることもできる。この場合、隣り合う巻線の巻き回しの向きが逆になる。
次に、本発明の第3実施形態について、図4および図5を参照して説明する。
第3実施形態は、第1実施形態の第1−1形態の第1中性点34Aと第2中性点34Bを接続するインピーダンス回路51に損失低減回路を設ける。損失低減回路としては、阻止フィルタおよび迂回フィルタの一方または両方を備えることができる。
また、第3実施形態における損失低減回路は、キャパシタおよびインダクタの一方または両方を含む。キャパシタとしてはコンデンサに限るものではなく、電気二重層を利用した電気二重層キャパシタや擬似キャパシタなど充放電できるデバイスであればよい。また、インダクタはコイルに限るものではなく、導体金属をシートや基板の上に印刷したインダクタなど、電流の変化が起電力となって現れるデバイスであればよい。
キャパシタは中周波域や低周波域の電流を阻止できるが、高周波域の電流を阻止できない。したがって、阻止フィルタ53を用いれば、高周波域の電流を優先してインピーダンス回路51に流入させ、損失の低減を図ることができる。
キャパシタは高周波域と中周波域との周波数の差に比例する損失低減効果が得られるため、高周波域と中周波域との間に100倍程度の周波数の差を確保する必要がある。
なお、第3実施形態における高周波域とは100kHz以上の周波数をいい、中周波域とは10kHz前後の周波数をいい、低周波域とは数kHz以下をいう。中周波域は、インバータ回路15におけるスイッチングによる周波数、低周波域は高調波による周波数である。
LC並列共振回路は共振周波数を中周波域とすれば中周波域の電流を阻止できるが、高周波域の電流を阻止できない。したがって、阻止フィルタ54を用いれば、高周波域の電流を優先してインピーダンス回路51に流入させることで、損失を低減できる。
しかし、図3(d)に示すように、阻止フィルタ53と阻止フィルタ54を組合せれば、中周波域および低周波域の損失を低減できる。もっとも、低周波域に阻止すべき高調波がない場合には、阻止フィルタ53に阻止フィルタ54を組み合せなくてもよい。
インダクタLは中周波域や低周波域の電流を迂回できるが、高周波域の電流を迂回できない。したがって、この迂回フィルタ56によれば、高周波域の電流を優先してインピーダンス回路51に流入させて損失を低減できる。
インダクタLは高周波域と中周波域との周波数の差に比例する損失低減効果が得られるため、高周波域と中周波域との間に100倍程度の周波数の差を確保する必要がある。
LC直列共振回路は共振周波数を中周波域とすれば中周波域の電流を迂回できるが、高周波域の電流を迂回できない。したがって、迂回フィルタ57を用いれば、高周波域の電流を優先してインピーダンス回路に流入させ、損失低減できる。
LC直列共振回路は高周波域と中周波域との周波数の差が10倍程度であっても100倍以上の損失低減効果を得られ、迂回フィルタ56より効果が高い一方で、低周波域の電流が迂回できず、低周波域での損失低減できない。
しかし、図5(c)示すように、迂回フィルタ57と迂回フィルタ56を組み合せれば、中周波域および低周波域の損失を低減できる。もっとも、低周波域に迂回すべき高調波がない場合には、迂回フィルタ57と迂回フィルタ56を組み合せる必要はない。
キャパシタCの自己共振特性を、直列共振として利用する場合にはそのまま用いればよい。
キャパシタCの自己共振特性を、並列共振として利用する場合にはキャパシタCの電極両端を短絡配線とし、短絡配線のインダクタンスを利用することになる。つまり、必ずしもインダクタLが部品として存在する必要がなく、配線のインダクタンスをインダクタLとして利用できる。
つまり、阻止フィルタを用いるか、迂回フィルタを用いるかは、3相交流電動機の電源電圧の利用率と電源電流の利用率のどちらを優先するかに依存する。
阻止フィルタを用いる場合には、電源電流利用率は悪くなるが、中周波域、低周波域の電流は阻止できるので、第1電動機3Aと第2電動機3Bの中周波域、低周波域の電位差は大きくなり、電源電圧利用率がよくなる。
また、迂回フィルタを用いる場合には中、周波域、低周波域の電流は迂回され、第1電動機3Aと第2電動機3Bの中周波域、低周波域の電位差は小さくなるので、電源電圧利用率は悪くなるが、電源電流利用率はよくなる。
次に、第3実施形態が奏する効果を説明する。
第1実施形態に適用されるインピーダンス回路51には、反射を防止したいノイズの原因となる高周波域の電流以外にスイッチング周波数の中周波域、高調波周波数の低周波域の電流が流れ込むことにより損失が増加する場合がある。
中周波域や低周波域の電流は、第3実施形態の阻止フィルタ52,53,54または迂回フィルタ55,56,57を有するケーブル(線路)と比べて波長が長く、ケーブル全長に渡って同電位となり、波の性質を持たないので反射をすることはない。これにより、平行二線44u,44v,44wとインピーダンス回路51のインピーダンス整合により防止すべき反射が生じない。したがって、阻止フィルタ52,53,54および迂回フィルタ55,56,57によって中周波域や低周波域の電流のインピーダンス回路51への流入を回避し、損失を低減しても、第1実施形態の反射防止の効果を損なうことはない。
次に、本発明に係る第4実施形態について図6を参照して説明する。
第4実施形態は、第3実施形態の損失低減回路に双方向スイッチをインダクタに直列に接続することを要旨とする。なお、第4実施形態は、第1実施形態の第1−1形態のインピーダンス回路51に双方向スイッチを適用する例を示すが、第1実施形態の第1−2形態のインピーダンス回路51に適用することもできる。
図6(a)は、図4(c)に示された阻止フィルタ54のインダクタLに直列に双方向スイッチ58が接続される。また、図6(b)は、図4(d)に示された阻止フィルタ54のインダクタLに直列に双方向スイッチ58が接続される。
図6(c)は、図5(a)に示された迂回フィルタ56のインダクタLに直列に双方向スイッチ58が接続される。また、図6(d)は、図5(d)に示された迂回フィルタ57のインダクタLに直列に双方向スイッチ58が接続される。図6(e)は、図5(e)に示された迂回フィルタ56のインダクタLおよび迂回フィルタ57のインダクタLのそれぞれに直列に双方向スイッチ58が接続される。
Vr=−L×Di/Dt(V)…(1)
3相交流電動機の駆動状態によっては、連続で同じ周波数の電流が流れたり繰り返し急峻に変化する電流が流れたりする。
共振回路に共振周波数の電流を連続で加えると発振することがある。また、インダクタLに繰り返し急峻に変化する電流を加えると過電圧が繰り返し発生することがある。発振は3相交流電動機に異常振動を起こさせ、また、過電圧の繰り返しは絶縁劣化に繋がる。
なお、インダクタLを切り離しても、反射を抑制するインピーダンス回路51は接続されたままであるから、高周波域の電流の反射が抑制される。
次に、本発明に係る第5実施形態について図7を参照して説明する。
第5実施形態は、それぞれが損失低減回路を備える複数のインピーダンス回路60A,60B,…を並列に設け、駆動装置10の運転状況に応じて、使用するインピーダンス回路60A,60B,…を選択することを要旨とする。なお、第5実施形態は、第1実施形態の第1−1形態のインピーダンス回路51に適用する例を示すが、第1実施形態の第1−2形態のインピーダンス回路51に適用することもできる。
反射防止のためには、できるだけ広い周波数域で反射を防止するのが好ましいが、損失低減のためには、できるだけ狭い周波数域で反射を防止するのが好ましい。よって、反射防止と損失低減を両立できる最適な定数を持つ損失低減回路を備えることが好ましい。
しかし、反射防止すべき周波数域が3相交流電動機の運転状態によって変化するため、単一の損失低減回路によって、あらゆる運転状態の反射防止と損失低減が成立することは困難である。そこで、第5実施形態のように、複数の特性のことになる損失低減回路を備え、運転状態に応じて使用するインピーダンス回路60A,60B,60Cを選択する。これにより、それぞれが対応する周波数帯域において最適な反射防止と損失低減を実現することができる。
次に、本発明に係る第6実施形態について図8、図9を参照して説明する。
第6実施形態は、コモンモードチョークコイルを適所に設けることにより、零相電流を抑制する。第6実施形態は、第6−1形態に該当する駆動装置10Aと第6−2形態に該当する駆動装置10Bの2つの形態を含んでいる。なお、駆動装置10Aおよび駆動装置10Bはともに、基本的な構成はこれまで説明した第1実施形態の駆動装置10などを踏襲している。そこで、以下では駆動装置10などと同じ構成については同じ符号を付するとともに、駆動装置10などとの相違点を中心に説明する。後述する第7実施形態、第8実施形態についても同様である。
駆動装置10Aは、第1インバータ回路15Aに対応する、3相交流電流を出力する第1電源11Aと、第1電源11Aから出力された3相交流電流を直流に変換して第1インバータ回路15Aに向けて出力する第1コンバータ13Aと、を備える。また、駆動装置10Aは、第2インバータ回路15Bに対応する、3相交流電流を出力する第2電源11Bと、第2電源11Bから出力された3相交流電流を直流に変換して第2インバータ回路15Bに向けて出力する第2コンバータ13Bと、を備える。
さらに、第1電源11A、第2電源11B、第1コンバータ13Aおよび第2コンバータ13Bに代えて、直流電源を用いてもよい。
駆動装置10Aは、零相電流が発生した場合でも反射による過電圧を防止するためのものであるが、さらにコモンモードチョークコイルを併用することで零相電流を抑制できる。
次に、駆動装置10Bを説明する。
駆動装置10Bは、図9に示すように、第1電源11Aおよび第2電源11Bに代えて共用の電源11を備えるとともに、第1コンバータ13Aおよび第2コンバータ13Bに代えて共用のコンバータ13を備える。駆動装置10Bは、共用の電源11および共用のコンバータ13に対応して、電源11とコンバータ13の間に設ける3相コモンモードチョークコイル91を単体とし、コンバータ13と第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bの間に設ける2相コモンモードチョークコイル92を単体としている。
一方で、共用の電源11から、コンバータ13、第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15B、第1電動機3Aおよび第2電動機3Bのステータ32を経てアースEへの一点鎖線で示される経路には、コモンモードチョークコイル91,92が存在する直列経路が形成される。
また、コモンモードチョークコイル91,92は高周波域の電流の通過を阻止する部材である。したがって、アースEと連通している一点鎖線で示される直列経路はコモンモードチョークコイル91,92を有するため高周波域の電流が流れ難い。これに対して、アース線Eとは分離されている破線で示される循環経路はコモンモードチョークコイル91,92を有しないため高周波域の電流が流れ易い回路となる。つまり、本実施形態によれば、高周波域の電流が優先的にインピーダンス回路60に流れる構成にできるため、アース線Eへの漏洩電流の防止とインピーダンス回路60によるノイズの減衰を両立することができる。駆動装置10Bは2つのコモンモードチョークコイル91,92を備えている。しかし、これは必須の要件でなく、コモンモードチョークコイル91またはコモンモードチョークコイル92の少なくとも一方を備えていればよい。さらに、3相コモンモードチョークコイル91のみを備える場合、コンバータ13A、13Bに代えて共用のコンバータ13とする必要はない。
次に、本発明に係る第7実施形態について図10、図11を参照して説明する。
第7実施形態は、インピーダンス回路60を設ける部位の変更例を示す。第7実施形態は、第7−1形態に該当する駆動装置10Cと第7−2形態に該当する駆動装置10Dの2つの形態を含んでいる。駆動装置10Cは第1実施形態の第1−1形態に対応し、駆動装置10Dは第1実施形態の第1−2形態に対応する。
第1電動機3Aの第1中性点34Aと第2電動機3Bの第2中性点34Bの間に適切なスペースがなくインピーダンス回路60の実装が容易でない場合がある。駆動装置10Cはこれに対応するものであり、図10に示すように、第1電動機3Aの第1中性点34Aと第2電動機3Bの第2中性点34Bに接続される第1中性線N1および第2中性線N2が平行二線45を構成する。この平行二線45は、第1中性点34Aと第2中性点34Bの間から第1インバータ回路15A、第2インバータ回路15Bが設けられる駆動装置に達するように余剰に引き出されている。駆動装置10Cは、平行二線45の経路上にインピーダンス回路60を実装する。このインピーダンス回路60の実装には、少なくとも第1中性線N1、N2の信号線を含む配線、端子台およびコネクタが必要であるが、この例は第8実施形態の開示に譲る。第7−2形態についても同様である。
駆動装置10Cは、その装置構成上、第1電動機3Aと第2電動機3Bの間にインピーダンス回路60を防水、防塵できる適切な場所がない場合であっても、インピーダンス回路60を適切な場所に設けることができる。
第1電動機3Aと第2電動機3BのU相とU’相の間、V相とV’相の間およびW相とW’相の間に適切なスペースがなくインピーダンス回路60の実装が困難な場合がある。駆動装置10Dはこれに対応するものであり、図11に示すように、インバータ回路15と電動機3を接続する主経路WFの他に主経路WFから分岐する副経路RRを備える。駆動装置10Dは、副経路RRにインピーダンス回路60が設けられる。より具体的には以下の通りである。
副経路RRはそれぞれU相線41u1とU’相線42u1の組み合わせ、V相線41v1とV’相線42v1の組み合わせ、W相線41w1とW’相線42w1の組み合わせからなる、平行二線44u1,44v1,44w1を備えている。
また、平行二線44v1のV相線41v1とV’相線42v1は、それぞれ平行二線44vのV相線41vとV’相線42vから分岐する。V相線41v1とV’相線42v1が合流する位置にインピーダンス回路60が設けられる。インピーダンス回路60を備える平行二線44v1は、平行二線44vに対して迂回路をなすように平行二線44vから分岐される。
さらに、平行二線44w1のW相線41w1とW’相線42w1は、それぞれ平行二線44wのW相線41wとW’相線42wから分岐する。W相線41w1とW’相線42w1が合流する位置にインピーダンス回路60が設けられる。インピーダンス回路60を備える平行二線44w1は、平行二線44wに対して迂回路をなすように平行二線44wから分岐される。
次に、本発明に係る第8実施形態について図12〜図17を参照して説明する。
第8実施形態は、第1電動機3Aと第2電動機3Bの接続形態の変形例を示す。第8実施形態は、第8−1形態に該当する駆動装置10E、駆動装置10Fと、第8−2形態に該当する駆動装置10G、駆動装置10Hと、第8−3形態に該当する駆動装置10Iと、第8−4形態に該当する駆動装置10Jの6つの形態を含んでいる。
第8−1形態は、第1電動機3Aと第2電動機3Bを直列に接続する配線例を示す。また、第8−1形態は、第1−1形態と同様にインピーダンス回路60が第1中性点34Aと第2中性点34Bの間に設けられる。
図12に示す駆動装置10Eは、第1インバータ回路15Aおよび第2インバータ回路15Bと第1電動機3Aとが平行二線44u1,44v1,44w1で接続されており、第1電動機3Aと第2電動機3Bとが平行二線44u2,44v2,44w2で接続されている。以下で説明する構成も含め、図13に示される駆動装置10Fは駆動装置10Eと同じ回路構成を備えている。
平行二線44u2,44v2,44w2は、U相線41u2とU’相線42u2の組み合わせ、V相線41v2とV’相線42v2の組み合わせ、W相線41w2とW’相線42w2の組み合わせからなる。
第1端子台65は、U相線41u1、U’相線42u1、V相線41v1、V’相線42v1、W相線41w1、W’相線42w1およびアース線Eの接続に関わるU相端子71、U’相端子72、V相端子73、V’相端子74、W相端子75、W’相端子76およびアース端子77を備えている。
また、第1端子台65は、U相線41u2、V相線41v2、およびW相線41w2の接続に関わる3つの分岐端子79を備えている。
第2端子台66は、U’相線42u2、V’相線42v2およびW’相線42w2およびアース線Eの接続に関わるU’相端子72、V’相端子74、W’相端子76およびアース端子77を備えている。また、第2端子台66は、U相線41u2、V相線41v2およびW相線41w2の接続に関わる3つの分岐端子79を備えている。
平行二線44u1、44v1、44w1、44u2、44v2、44w2は全て同じ特性インピーダンス(Rp)を有するものとする。そうすると、分岐端子79を含む配線はそれぞれ3組あるため、U相線41u2、V相線41v2、W相線41w2の配線の合成特性インピーダンスをRp/3とすることができる。また、分岐端子79を含む配線はそれぞれ3組あるため、U相線41u2、V相線41v2、W相線41w2の配線の合成特性インピーダンスをRp/3とすることができる。したがって、U相線41u、V相線41vおよびW相線41wとU’相線42u、V’相線42vおよびW’相線42wの長さが異なり直接ペアを組むことができない場合でもインピーダンス整合できる。
第8−2形態は、第8−1形態と同様に、第1電動機3Aと第2電動機3Bを直列に接続する配線例を示す。ただし、第8−2形態は、第1−2形態と同様に、平行二線44u2、44v2、44w2のそれぞれの中にインピーダンス回路60が設けられる。以下、第8−1形態との相違点を中心に、駆動装置10G、駆動装置10Hの説明をする。
また、駆動装置10Gは、U相線41u2がU’相線42u2と合流して第2電動機3Bのコイル31uに接続され、V相線41v2がV’相線42v2と合流して第2電動機3Bのコイル31vに接続され、W相線41w1とW’相線42w2と合流して第2電動機3Bのコイル31wに接続される。
また、インピーダンス回路60は、U相線41u3、V相線41v3、W相線41w3のそれぞれに設けられる。U相線41u3、V相線41v3、W相線41w3は第1電動機3Aに対応する第1端子台65に配置されるので、インピーダンス回路60は第1電動機3Aの側に実装されることになる。
平行二線44u1、44v1、44w1、44u2、44v2、44w2は全て同じ特性インピーダンス(Rp)を有している。したがって、U相線41u、V相線41vおよびW相線41wとU’相線42u、V’相線42vおよびW’相線42wの長さが異なり直接ペアを組むことができない場合でもインピーダンスを整合できる。
第8−3形態に係る駆動装置10Iは、図16に示すように、インバータ回路15Aおよびインバータ回路15Bに対して第1電動機3Aと第2電動機3Bが並列に接続される。次の第8−4形態も同じである。平行二線44u、44v、44wが2つに分岐される。分岐される一方の平行二線44u1、44v1、44w1(第1分岐平行線)を介して第1電動機3Aに駆動電流が供給され、分岐される他方の平行二線44u2、44v2、44w2(第2分岐平行線)を介して第2電動機3Bに駆動電流が供給される。このように第1電動機3Aと第2電動機3Bを分岐配線する必要がある場合、分岐前の平行二線44u、44v、44wのインピーダンスと分岐後の平行二線44u1、44v1、44w1、44u2、44v2、44w2のインピーダンスを整合させる。駆動装置10Iにおけるインピーダンス回路60の設けられる位置が第1−1形態を踏襲している。
U相線41uはU相線41u1とU相線42u2に分岐され、U相線42uはU相線42u1とU相線41u2に分岐され、V相線41vはV相線41v1とV相線42v2に分岐され、V相線42vはV相線42v1とV相線41v2に分岐される。W相線41wはW相線41w1とW相線42w2に分岐され、W相線42wはW相線42w1とW相線41w2に分岐される。これらの分岐は、分岐端子台67で行われる。
分岐前の平行二線44u、44v、44wの特性インピーダンスはRp/2とし、分岐後の平行二線44u1、44v1、44w1、44u2、44v2、44w2を全て同じ特性インピーダンスRpとすることができる。したがって、U相線41u、U相線42u、V相線41v、V相線42v、W相線41wおよびW相線42wが途中で分岐して直接ペアを組むことができなくても、インピーダンス整合が可能である。
第8−4形態に係る駆動装置10Jも、図17に示すように、平行二線44u、44v、44wが2つに分岐される。分岐される一方の平行二線44u1、44v1、44w1を介して第1電動機3Aに駆動電流が供給され、分岐される他方の平行二線44u2、44v2、44w2を介して第2電動機3Bに駆動電流が供給される。このように第1電動機3Aと第2電動機3Bを分岐配線する必要がある場合、分岐前の平行二線44u、44v、44wのインピーダンスと分岐後の平行二線44u1、44v1、44w1、44u2、44v2、44w2のインピーダンスを整合させる。駆動装置10Jにおけるインピーダンス回路60の設けられる位置は第1−2形態を踏襲している。
次に、本発明に係る第9実施形態について、図18〜図20を参照して説明する。第9実施形態は、平行二線の具体的な配線例を示す。第9実施形態は、第9−1形態〜第9−4形態の4つの形態を含んでいる。
第9−1形態に係る多芯ケーブル101は、図18(a)に示すように、A芯、B芯、C芯、D芯、E芯、F芯およびG芯の7芯を備える。多芯ケーブル101は、A芯、B芯、C芯、D芯、E芯、F芯およびG芯のそれぞれが、導体102と、導体102を覆う絶縁体103からなる。多芯ケーブル101は、A芯、B芯、C芯、D芯、E芯、F芯およびG芯を覆うシース104を備えている。導体102は、撚線、圧縮導体、単線など、その形態は任意である。また、絶縁体103は、PVC(polyvinyl chloride)、PTFE(polytetrafluoroethylene)、PE(polyethylene)、発砲PEなどから構成される。シース104は絶縁体103と同様の材質から構成される。ただし、シース104を備える多芯ケーブル101は、本発明に係る平行二線を構成する好ましい形態であり、本発明はシース104を備えることなくA芯、B芯、C芯、D芯、E芯、F芯およびG芯だけで平行二線を構成することもできる。ここで説明する多芯ケーブル101の構成は、以降の多芯ケーブル101などにも当てはまる。
A芯=U相線41u B芯=U’相線42u C芯=V相線41v
D芯=V’相線42v E芯=アース線E F芯=W相線41w
G芯=W’相線42w
第9−2形態に係る多芯ケーブル101は、図18(c)に示すように、A芯、B芯、C芯、D芯、E芯、F芯、G芯、H芯およびI芯の9芯を備える。つまり、多芯ケーブル101は、第9−1形態に係る多芯ケーブル101よりも2本のH芯およびI芯の分だけ電線が多い。
第1実施形態の第1−1形態に示したように、U相線41u、U’相線42u、V相線41v、V’相線42v、W相線41w、W’相線42w、アース線E、第1中性線N1および第2中性線N2がある場合には以下のように割り当てることができる。
A芯=U相線41u B芯=U’相線42u C芯=V相線41v
D芯=V’相線42v E芯=アース線E F芯=W相線41w
G芯=W’相線42w H芯=第1中性線N1 I芯=第2中性線N2
第9−3形態に係る多芯ケーブル101は、図19(a)に示すように、A芯、B芯、E芯、C芯、D芯、E芯、F芯およびG芯の8芯を備える偏平な形態をなしている。
多芯ケーブル101において、A芯−B芯、C芯−D芯、F芯−G芯がペアをなして平行二線を構成する。第1−1形態に示したように、U相線41u、U’相線42u、V相線41v、V’相線42v、W相線41w、W’相線42wおよびアース線Eがある場合には以下のように割り当てることができる。
A芯=U相線41u B芯=U’相線42u C芯=V相線41v
D芯=V’相線42v E芯=アース線E F芯=W相線41w
G芯=W’相線42w
第9−4形態に係る多芯ケーブル101は、図20(a)に示すように、A芯、B芯、E芯、C芯、D芯、E芯、F芯、G芯、E芯、H芯およびI芯の11芯を備える。つまり、この多芯ケーブル101は、第9−2形態に係る多芯ケーブル101よりも2本のE芯の分だけ電線が多い。
第1実施形態の第1−1形態に示したように、U相線41u、U’相線42u、V相線41v、V’相線42v、W相線41w、W’相線42w、アース線E、第1中性線N1および第2中性線N2がある場合には以下のように割り当てることができる。
A芯=U相線41u B芯=U’相線42u C芯=V相線41v
D芯=V’相線42v F芯=W相線41w G芯=W’相線42w
E芯=アース線E H芯=第1中性線N1 I芯=第2中性線N2
例えば、本発明における伝送線路の一例として一方の伝送線路に沿って他方の伝送線路が単に平行に配置された平行二線(撚り線を含む)について説明した。しかし、一方の線路から発生する電磁界(電界または磁界)が、他方の線路から発生する電磁界と打ち消し合うように隣り合って配置されている限り、本発明における伝送線路に該当する。例えば、平行二線の他には以下のように、それぞれの線路に等価あるいは近似で逆方向の電流が通電可能な様態を有する伝送線路が隣り合って配置された伝送線路が例示される。
同軸方式:一方の伝送線路の周囲を取り囲むように同心円状に他方の伝送線路を備える構成。
マイクロストリップ方式、平行平板方式:一方の面に一方の伝送線路を備えるとともに絶縁層を挟んだ他方面に他方の伝送線路を配した構成。
ストリップ方式:一方の伝送線路の表裏を絶縁層を介して他方の伝送線路で挟む構成。
スロット方式、コプレーナ方式等:一方の伝送線路と他方の伝送線路が共に同一面に設けられている構成。
3A 第1電動機
3B 第2電動機
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J
駆動装置
11A 第1電源
11B 第2電源
13A 第1コンバータ
13B 第2コンバータ
15A 第1インバータ回路
15B 第2インバータ回路
16u,16v,16w 半導体スイッチング素子
17 インバータ制御部
31,31u,31v,31w コイル
32 ステータ
34A 第1中性点
34B 第2中性点
41 第1動力線
42 第2動力線
41u,41u1,41u2,41u3,41u4 U相線
41v,41v1,41v2,41v3,41v4 V相線
41w,41w1,41w2,41w3,41w4 W相線
42u,42u1,42u2,42u3,42u4 U’相線
42v,42v1,42v2,42v3,42v4 V’相線
42w,42w1,42w2,42w3,42w4 W’相線
43 多芯ケーブル
44u,44v,44w 平行二線(伝送線路)
44u1,44v1,44w1 平行二線(伝送線路)
44u2,44v2,44w2 平行二線(伝送線路)
45 平行二線(伝送線路)
51,60,60A,60B,60C インピーダンス回路
52,53,54 阻止フィルタ
55,56,57 迂回フィルタ
58,58A,58B,58C 双方向スイッチ
65 第1端子台
66 第2端子台
67 分岐端子台
71 U相端子
72 U’相端子
73 V相端子
74 V’相端子
75 W相端子
76 W’相端子
77 アース端子
79 分岐端子
91 3相コモンモードチョークコイル
92 2相コモンモードチョークコイル
101 多芯ケーブル
102 導体
103 絶縁体
104 シース
105 電磁シールド
A 受電端
C キャパシタ
E アース線
L インダクタ
N1 中性線
N2 中性線
Claims (10)
- 3相交流の電力により駆動される第1電動機および第2電動機と、
前記第1電動機に駆動電力を供給する、U相線、V相線およびW相線を含む第1動力線と、
前記第2電動機に駆動電力を供給する、U’相線、V’相線およびW’相線を含む第2動力線と、
前記第1動力線に前記駆動電力を供給する第1インバータ回路と、
前記第2動力線に前記駆動電力を供給する第2インバータ回路と、
前記U相線と前記U’相線、前記V相線と前記V’相線および前記W相線と前記W’相線のそれぞれの線路の組み合せからなる伝送線路と、
前記伝送線路とインピーダンス整合されるインピーダンス回路と、を備え、
前記伝送線路は、それぞれの前記線路が絶縁体を介して配置され、
前記インピーダンス回路は、
前記第1電動機の第1中性点と前記第2電動機の第2中性点との間に設けられる、電動機駆動装置。
- 3相交流の電力により駆動される第1電動機および第2電動機と、
前記第1電動機に駆動電力を供給する、U相線、V相線およびW相線を含む第1動力線と、
前記第2電動機に駆動電力を供給する、U’相線、V’相線およびW’相線を含む第2動力線と、
前記第1動力線に前記駆動電力を供給する第1インバータ回路と、
前記第2動力線に前記駆動電力を供給する第2インバータ回路と、
前記U相線と前記U’相線、前記V相線と前記V’相線および前記W相線と前記W’相線のそれぞれの線路の組み合せからなる伝送線路と、
前記伝送線路とインピーダンス整合されるインピーダンス回路と、を備え、
前記伝送線路は、それぞれの前記線路が絶縁体を介して配置され、
前記第1電動機および前記第2電動機のそれぞれの受電端と前記伝送線路とを接続する区間において、
前記インピーダンス回路は、前記伝送線路の対応する相と相とを接続するように設けられる、電動機駆動装置。
- 前記第1インバータ回路および前記第2インバータ回路は、
前記U相線と前記U’相線、前記V相線と前記V’相線および前記W相線と前記W’相線のそれぞれに互いに逆相の電圧を加えて、前記U相線と前記U’相線、前記V相線と前記V’相線および前記W相線と前記W’相線のそれぞれに逆向きの電流を流し、前記第1電動機と前記第2電動機を同期駆動するように制御する、
請求項1または請求項2に記載の電動機駆動装置。
- 前記第1電動機の第1駆動軸と前記第2電動機の第2駆動軸が共有される、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
- 前記インピーダンス回路に直列に接続される阻止フィルタ、および、前記インピーダンス回路に並列に接続される迂回フィルタの一方または双方を損失低減回路として備える、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
- 並列に接続されたキャパシタとインダクタを含む前記阻止フィルタ、および、直列に接続された前記キャパシタと前記インダクタを含む前記迂回フィルタの一方または双方を備える、
請求項5に記載の電動機駆動装置。
- 前記阻止フィルタおよび前記迂回フィルタの一方または双方において、インダクタと双方向スイッチが直列に接続される、
請求項5に記載の電動機駆動装置。
- 複数の前記インピーダンス回路のそれぞれに対応する特性の異なる複数の前記損失低減回路を備える、
請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
- 前記第1電動機の第1中性点と前記第2電動機の前記第2中性点に接続され、前記第1中性点と前記第2中性点とから余剰に引き出された中性線が前記伝送線路を構成し、該伝送線路に前記インピーダンス回路が設けられる、
請求項1、請求項4〜請求項8のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
- 前記第1インバータ回路と前記第1電動機および前記第2インバータ回路と前記第2電動機を接続する前記伝送線路からなる主経路と、
前記主経路から分岐される前記伝送線路からなる副経路と、を備え、
前記インピーダンス回路は、前記副経路に設けられる、
請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
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