JP6651997B2 - 積層多孔フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は積層多孔フィルムに関し、該多孔フィルムは包装用品、衛生用品、畜産用品、農業用品、建築用品、医療用品、光拡散板、反射シート、電池用セパレーターまたは、分離膜として利用でき、特に食品関連分野、製薬・化粧品分野、化学工業品分野、電子工業分野に利用される濾過膜として好適に用いられるものである。さらに本発明は該積層多孔フィルムの製造方法に関する。
精密濾過膜や限外濾過膜等の多孔膜による濾過操作は、自動車産業(電着塗料回収再利用システム)、半導体産業(超純水製造)、医薬食品産業(除菌、酵素精製)などの多方面にわたって実用化されている。特に近年は河川水等を除濁して飲料水や工業用水を製造するための手法としても多用されつつある。膜の素材としては、セルロース系、ポリアクリロニトリル系、ポリオレフィン系等多種多様のものが用いられている。
中でもポリオレフィン系重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン等)は、疎水性のために耐水性が高いため、水系濾過膜の素材として適しており、多用されている。
特許文献1には、炭酸カルシウム、タルク等の充填材を含有するポリオレフィン樹脂組成物を溶融押出成形して得られたフィルムを一軸延伸することによって、衣料用、包装用、電池セパレーター用、濾過材用、医療用等の材料特に包装用、医療用の材料として用いて好適な柔軟性に優れる多孔質フィルムが得られることが開示されている。
しかしながら、フィラーの形状が不均一で樹脂との相溶性が悪いなどの理由から、多孔質フィルムは均一な物性が期待できなかったり、表面が平滑にならずに凸凹が発生するなどの問題点があった。またこれらのフィラーは耐薬品性が悪く、例えば酢酸等の酸に溶出することがあるので、用途には制限があった。
特許文献2には、ポリプロピレン樹脂を主成分として含む海部とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部とからなる海島構造を有する二軸方向に延伸されることによって、滅菌処理に必要とされる高度な水蒸気透過性を有する連通孔を外観のムラ等なく均一に有し、かつ注射針やカテーテルなどの鋭利な物を包装するのに十分な突刺し強度を有するブリスター包装等の包装体における蓋材等に有用な微多孔性フィルムが得られることが開示されている。
しかしながら、特許文献2には濾過膜としての使用方法は記載されておらず、濾過膜としての使用をした際、どの程度の性能を示すかは不明であった。
特開昭60−229731号公報 特開2014−101445号公報
本発明の課題は、透気度及び空孔率が高い多数の多孔構造を有し、濾過速度、濾過精度、及び、濾過寿命等の濾過性能に優れる延伸多孔フィルム、特に自動車産業(電着塗料回収再利用システム)、半導体産業(超純水製造)、医薬食品産業(除菌、酵素精製)などに使用することができる濾過膜を提供することにある。
本発明者らは、上記の実情に鑑み鋭意検討した結果、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1の発明によれば、式(1)の関係を満たすI層とII層を有し、I層とII層はそれぞれオレフィン重合体(A)とビニル芳香族エラストマーからなる多孔層であることを特徴とする積層多孔フィルムが提供される
式(1): 2 ≦ N/N ≦ 50
(N、Nは、それぞれI層、II層の断面における、長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の存在比率を表す)
また、第2の発明によれば、第1の発明において、前記I層を中間層、前記II層を表裏面に有する3層構造であることを特徴とする積層多孔フィルムが提供される。
さらに、第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、厚みが1μm以上1000μ以下、かつ、透気度が1〜1000秒/100ccであることを特徴とする積層多孔フィルムが提供される。
また、第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、二軸延伸フィルムであることを特徴とする積層多孔フィルムが提供される。
さらに、第5の発明によれば、オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)からなる層、及び、オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)からなる層、を少なくとも1層ずつ有する未延伸フィルムを作成し、延伸することを特徴とする積層多孔フィルムの製造方法が提供される。
また、第6の発明によれば、第5の発明において、前記未延伸フィルムを、0℃〜60℃の温度で縦方向に1.1倍以上3.0倍未満で延伸し、60℃〜160℃の温度で縦方向に1.5倍以上6.0倍未満で延伸し、70〜150℃の温度で横方向に1.1倍以上10倍未満で延伸することを特徴とする請求項5に記載の積層多孔フィルムの製造方法が提供される。
さらに、第7の発明によれば、第5又は6の発明において、前記スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)の230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1.0g/10分以下であることを特徴とする積層多孔フィルムの製造方法が提供される。
また、第8の発明によれば、第5〜7のいずれかの発明において、前記スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)の230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1.0g/10分以下であることを特徴とする積層多孔フィルムの製造方法が提供される。
第9の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明における前記積層多孔フィルムを用いたフィルターが提供される。
本発明の延伸多孔フィルムは、透気度及び空孔率が高い多数の多孔構造を有し、濾過速度、濾過精度、及び、濾過寿命等の濾過性能に優れ、特に自動車産業(電着塗料回収再利用システム)、半導体産業(超純水製造)、医薬食品産業(除菌、酵素精製)などに使用することができる濾過膜として有用である。
走査型電子顕微鏡による、実施例1で作製した多孔フィルムの断面の観察写真である。
以下、本発明を詳しく説明する。ただし、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
1.積層多孔フィルム
本発明の実施形態の一例に係る積層多孔フィルム(以下、「本フィルム」と称することがある)は、式(1)の関係を満たすI層、II層を有し、I層とII層はそれぞれオレフィン重合体とビニル芳香族エラストマーを有する多孔層である積層多孔フィルムである。
式(1): 2 ≦ N/N ≦ 50
(N、Nは、それぞれI層、II層の断面における5〜100μmの孔の存在比率を表す)
本フィルムは、式(1)を満たすI層、II層を有する。
式(1): 2 ≦ N/N ≦ 50
(N、Nは、それぞれI層、II層の断面における5〜100μmの孔の存在比率を表す)
/Nは2以上であるが、好ましくは3以上、より好ましくは5以上である。一方下限については、50以下であるが、好ましくは40以下、より好ましくは20以下である。N/Nは2以上であることで、優れた濾過精度を付与することができ、50以下であることで、優れた濾過速度、及び、濾過寿命を付与することができる。
5〜100μmの孔の存在比率(N)は以下の方法により測定される。
走査型電子顕微鏡(SEM)(「株式会社日立ハイテクノロジーズ社製 S−4500」)にて、多孔質フィルム断面像から、孔の異なる層が形成されていることを目視で確認し、孔の異なる層が形成されている場合、Image Metorology社製イメージ解析ソフトウェア「SPIP(バージョン6.2.8)」を用いた画像処理によって、それぞれの孔の長軸方向の長さを計測した後、各層における長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の存在比率を以下の式より算出する。
各層における長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の存在比率[N]=
(各層の5〜100μmの孔の個数/全層の5〜100μmの孔の個数)×100
(1)厚み
本発明の積層多孔フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、25μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。一方、上限は500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。厚みが25μm以上であれば、充分な強度を有することができる。また、厚みが500μm以下であれば、小型化・軽量化が求められる用途に対しても使用が容易である。
(2)透気度
本発明の積層多孔フィルムの透気度は、1秒/100cc以上が好ましく、5秒/100cc以上がより好ましく、10秒/100cc以上がさらに好ましい。一方、上限は1000 秒/100cc以下が好ましく、100秒/100cc以下がより好ましく、30秒/100cc以下がさらに好ましい。透気度が上記範囲であれば、強度と多孔性を両立した多孔フィルムであるため好ましい。
なお、透気度は、25℃の空気雰囲気下にて、JIS P8117に準拠して透気度を測定される。
(3)空孔率
空孔率は多孔構造を規定する為の重要な要素であり、本発明の多孔フィルムにおける多孔層の空間部分の割合を示す数値である。一般に空孔率が高いほど、優れた濾過速度を有することが知られており、本発明の製造方法で得られる延伸多孔フィルムにおいては、空孔率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上である。一方上限は98%以下が好ましく、95%以下がより好ましい。空孔率が50%以上であれば、優れた多孔性を有する多孔フィルムとなる。
なお、空孔率は、多孔フィルムの実重量W1を測定し、樹脂組成物の密度と厚みから空孔率0%の場合の重量W0を計算し、それらの値から下記式に基づき算出される。
空孔率[%]={(W0−W1)/W0}×100
(4)濾過速度
本発明のる延伸多孔フィルムの濾過速度は、好ましくは23ml/min・cm以上、より好ましくは24ml/min・cm以上、更に好ましくは25ml/min・cm以上である。一方、上限については、好ましくは100ml/min・cm以下、より好ましくは90ml/min・cm以下、更に好ましくは80ml/min・cm以下である。濾過速度が上記範囲であれば、強度と濾過効率を両立した多孔フィルムとなる。
なお、濾過速度は、25℃の空気雰囲気下において、所定の体積Vのアセトンが0.07MPaの圧力で、有効濾過面積Aの多孔フィルムを通過する時間tを測定し、下記式に基づき算出される。
濾過速度[ml/min・cm]=(V×60)/(t×A)
(5)濾過精度
本発明の積層多孔フィルムの濾過精度は、好ましくは0.50以下、より好ましくは、0.25以下、更に好ましくは0.20以下である。濾過精度が上記範囲であれば、濾過精度が良好な多孔フィルムとなる。
なお、濾過精度は、日産化学社製コロイダルシリカ(製品名:スノーテックスMP−4540M)、平均粒子径:450nm、固形分:40重量%、媒体:水)を4重量%になるように水で希釈し、超音波攪拌機中で十分に均一分散させた後、0.07MPaの圧力で多孔フィルムを通過させ、吸光度法により通過前後の液の濃度を測定し、粒子の捕集効率(%)を求めることで産出される。
(6)濾過寿命
本発明の積層多孔フィルムの濾過寿命は、好ましくは1.0g/cm以上、より好ましくは1.1g/cm以上、更に好ましくは1.2g/cm以上である。一方、上限については、好ましくは10g/cm以下、より好ましくは5.0g/cm以下、更に好ましくは2.0g/cm以下である。濾過速度が上記範囲であれば、濾過効率が良好な多孔フィルムとなる。
なお、濾過寿命は、日産化学社製コロイダルシリカ(製品名:スノーテックスMP−4540M)、平均粒子径:450nm、固形分:40重量%、媒体:水)を4重量%になるように水で希釈し、超音波攪拌機中で十分に均一分散させた後、0.09MPaの圧力で多孔フィルムを通過させ、濾過が不可能になるまでに通過した液体の重量Wを測定し、有効濾過面積Aで除算することによって濾過寿命(g/cm)を算出される。
本発明の積層多孔フィルムの構成は特に制限されるものではなく、2層構成だけでなく、3層、4層、5層、それ以上の多層構成であっても構わない。いずれの層構成であっても、I、II層に相当する層を少なくとも1層ずつ有していれば、層間の孔径分布が大きい積層多孔フィルムであるため濾過効率が優れる。具体的には、上記の濾過精度、及び、濾過寿命の範囲を満たす積層多孔フィルムとなる。さらに、I、II層に相当する層を有するだけでなく、上記の透気度、及び/又は、空孔率の範囲を満たす多孔フィルムであれば、濾過速度にも優れる多孔フィルムとなる。
長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の数が多いII層をI層よりも表面側に配置することで、濾過を行った際に、比較的大きな粒子を表裏層で補足しつつ、比較的小さな粒子を中間層で補足するため、濾過速度、濾過精度、及び、濾過寿命に優れた効率的な濾過を行うことができるため好ましい。
また、II層/I層/II層、I層/II層/I層の関係をみたす中心対称構造にすることが、環境反りや捩れのおそれを低減させる点より好ましい。
特に、II層/I層/II層のように、中間層に長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の数が少ない層を、表裏層に長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の数が多い層を配置することで、濾過を行った際に、比較的大きな粒子を表裏層で補足しつつ、比較的小さな粒子を中間層で補足するため、濾過精度、及び、濾過寿命に優れた効率的な濾過を行うことができる。
本発明の積層多孔フィルムの、それぞれの層の厚みの割合(積層比)については特に、制限されるものではない。
特に、II層/I層/II層の2種3層構成の場合は、その総厚みに対するI層の積層比は、10%以上80%以下が好ましく、15%以上75%以下がより好ましく、20%以上70%以下がさらに好ましい。I層の厚み割合が10%以上であれば、本発明のフィルムが良好な濾過精度を有するようになり好ましい。また、I層の厚みが80%以下であれば、良好な濾過速度を有することになるため好ましい。ここで、I層が複数配される場合は、各層の合計厚みを用いて算出する。
本フィルムは上記構成を備えていればよいから、他の層をさらに備えていてもよい。
以下、本フィルムを構成する多孔層について説明する。その後、製造方法としての当該積層多孔フィルムの成形方法について説明する。
2.多孔層
本発明の積層多孔フィルムを構成する多孔層は、フィルム断面において長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の数が少ない層(I層)と長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の数が多い層(II層)の少なくとも2層の多孔層を有する。またそれぞれの多孔層は、オレフィン重合体とビニル芳香族エラストマーを有するものである。
<オレフィン重合体>
オレフィン重合体は、本発明の積層多孔フィルムにおいては海相を形成する重合体である。延伸により多孔性を付与された本フィルムの成分として、コスト、耐溶剤性、耐熱性の観点からオレフィン重合体の群の中から選ばれる一種又は二種以上の重合体を挙げることができる。
オレフィン重合体(A)は脂肪族炭化水素の単量体からなる重合体であることが、後に記載するスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)との相溶性の関係より、好ましい。
オレフィン重合体(A)の例としては、エチレン単独重合体(ホモポリエチレン);エチレンと1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン又は1−デセンとの共重合体等のエチレン重合体;プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン);プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン又は1−デセンなどと共重合することで得られるプロピレン共重合体等のプロピレン重合体が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、プロピレン重合体が好適に使用される。
プロピレン重合体としては、立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率が80〜99%であることが好ましく、より好ましくは83〜98%、更に好ましくは85〜97%であるものを使用する。アイソタクチックペンタッド分率が低すぎると、機械的強度が低下する恐れがある。一方、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合においてはこの限りではない。アイソタクチックペンタッド分率とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。
メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelliet at al.(Macromol.8,687(1975)に準拠している。
また、プロピレン重合体は、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが1.5以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。一方、上限については、10.0以下であることが好ましく、8.0以下であることがより好ましく、6.0以下であることが更に好ましい。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnを1.5以上とすることで十分な押出成形性が得られ、工業的に大量生産が可能である。一方、Mw/Mnを10.0以下とすることで、十分な機械的強度を確保することができる。
Mw/MnはGPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィー)法によって得られる。
また、プロピレン重合体のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFRは0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。一方、上限については、15g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分以上とすることで、成形加工時において十分な溶融粘度を有し、高い生産性を確保することができる。一方、MFRが15g/10分以下とすることで、強度を十分に有することができる。
なお、MFRはJIS K7210に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
プロピレン重合体としては、例えば、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」(日本ポリプロ社製)、「ノティオ」「タフマーXR」(三井化学社製)、「ゼラス」「サーモラン」(三菱化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」(住友化学社製)、「プライム PP」「プライム TPO」(プライムポリマー社製)、「Adflex」「Adsyl」「HMS−PP(PF814)」(サンアロマー社製)、「バーシファイ」「インスパイア」(ダウケミカル)など市販されている商品を使用できる。
一方、エチレン重合体の場合、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが1.5以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。一方、上限については、10.0以下であることが好ましく、8.0以下であることがより好ましく、6.0以下であることが更に好ましい。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnを1.5以上とすることで十分な押出成形性が得られ、工業的に大量生産が可能である。一方、Mw/Mnを10.0以下とすることで、十分な機械的強度を確保することができる。
Mw/MnはGPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィー)法によって得られる。
また、エチレン重合体のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFRは0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。一方、上限については、15g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分以上とすることで、成形加工時において十分な溶融粘度を有し、高い生産性を確保することができる。一方、MFRが15g/10分以下とすることで、強度を十分に有することができる。
なお、MFRはJIS K7210に準拠して温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
エチレン重合体の密度は特に制限されるものではないが、通常、密度は0.955以上であることが好ましく、0.957以上であることがより好ましい。一方、上限については、0.965以下であることが好ましく、0.970以下であることがより好ましい。密度が、0.955以上であることで、多孔フィルムの結晶性が高くなり目的とする多孔構造の形成を満たすことができる。一方、密度が0.970を超えると結晶性が高すぎて延伸ムラが起こりやすい。
なお、密度はJIS K7112に準拠して測定される。
エチレン重合体としては、例えば、商品名「ノバテックLD」「ノバテックLL」「ノバテックHDPE」(日本ポリエチレン社製)、「ハイゼックス」「エボリューH」(プライムポリマー社製)、「ニポロン―L」「ペトロセン」「ニポロンハード(東ソー社製)など市販されている商品を使用できる。
<ビニル芳香族エラストマー>
ビニル芳香族エラストマーは、本発明の積層多孔フィルムにおいては島相を形成する重合体である。I層、II層に含まれるビニル芳香族エラストマーについては特に限定はしないが、I層に含まれるビニル芳香族エラストマーはオレフィン重合体との相溶性が比較的高く、島相が小さくなるものが選ばれる。一方、II層に含まれるビニル芳香族エラストマーはオレフィン重合体との相溶性が比較的低く、島相が大きくなるものが選ばれる。
I層を構成するビニル芳香族エラストマーとしては、オレフィン重合体との相溶性が比較的小さいことから、スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)であることが好ましい。I層を構成する樹脂として、スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)を選択することにより、効率的に微細な多孔構造が得られ、空孔の形状や孔径を制御し易くなる。
本発明に用いられるスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)とは、スチレン成分を基材とした熱可塑性エラストマーの1種で、硬質成分であるポリスチレンブロック(ハードセグメント)と軟質成分であるポリオレフィン構造のエラストマーブロック(ソフトセグメント)を有する共重合体であり、ポリマー鎖の一方の端にハードセグメント、他方の端にソフトセグメントをもつブロック共重合体である。
本発明に用いられるスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)は、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1.0g/10分以下、より好ましくは0.5g/10分以下、さらに好ましくは0.1g/10分以下であることが好ましい。シート状に成形した際、分散した前記スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)は、樹脂との粘度差によってその形状が変化するが、前記範囲内におけるMFRのものであるならば、その形状が球状になり易いからである。球状分散したドメインは、アスペクト比が大きなドメインとは異なり、その後の延伸工程によって得られる多孔構造の均一性が高くなり易く、物性安定性に優れるので好ましい。さらに、上記範囲内におけるMFRであった場合、延伸工程時において、高い弾性率を有するマトリックスと低い弾性率のドメイン界面部分に応力が集中しやすくなるため、開孔起点が生じやすく、多孔化し易いという特徴を有する。
なお、MFRはJIS K7210に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
また、本発明におけるスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)は、スチレン構造単位の含有量が1〜40重量%であることが好ましく、10重量%〜35重量%であることがより好ましい。スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)中のスチレン含有量が1重量%以上であることにより、シートに成形した際、効果的にドメインを形成することができ、スチレン含有量が40重量%以下であることにより、過度に大きなドメイン形成を抑制することができる。
前記スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)の具体的な種類については特に限定しないが、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR);水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB);スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR);スチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(SEP)などが挙げられる。
シートに成形した際、効率的にスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)を分散させるためには、スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)の中でも、オレフィン重合体(A)との相溶性が高い、エチレン成分、ブチレン成分が含有されているものが好ましく、中でも、スチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(SEP)が好ましい。
本発明にかかるフィルム中には、スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)の群の中から選ばれる1種又は2種以上の共重合体を含んでいてもよい。
II層を構成するビニル芳香族エラストマーとしては、オレフィン重合体との相溶性が比較的大きいことから、スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)が選ばれる。スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)及びスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)は、それぞれのオレフィン重合体(A)に対する相溶性が異なるので、分散径の分布が大きい未延伸シートが得られる。結果として、その未延伸シートを延伸させることで厚み方向に開口率、孔径の分布が大きい多孔膜を得ることができ、濾過効率を向上させることができる。
本発明におけるスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)とは、スチレン成分を基材とした熱可塑性エラストマーの1種で、硬質成分であるポリスチレンブロック(ハードセグメント)と軟質成分であるポリオレフィン構造のエラストマーブロック(ソフトセグメント)を有する共重合体であり、ポリマー鎖の両端にハードセグメントをもつブロック重合体である。
本発明に用いられるスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)は、好ましくは1.0g/10分以下、より好ましくは0.5g/10分以下、さらに好ましくは0.1g/10分以下であることが好ましい。スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)は、樹脂との粘度差によってその形状が変化するが、前記範囲内におけるMFRのものであるならば、その形状が球状になり易いからである。球状分散したドメインは、アスペクト比が大きなドメインとは異なり、その後の延伸工程によって得られる多孔構造の均一性が高くなり易く、物性安定性に優れるので好ましい。さらに、上記範囲内におけるMFRであった場合、延伸工程時において、高い弾性率を有するマトリックスと低い弾性率のドメイン界面部分に応力が集中しやすくなるため、開孔起点が生じやすく、多孔化し易いという特徴を有する。
なお、MFRはJIS K7210に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
また、本発明におけるスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)は、スチレン含有量が1〜40重量%であることが好ましく、10重量%〜35重量%であることがより好ましい。スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)のスチレン含有量が1重量%以上であることにより、シートに成形した際、効果的にドメインを形成することができ、スチレン含有量が40重量%以下であることにより、過度に大きなドメイン形成を抑制することができる点で好ましい。
前記スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)の具体的な種類については特に限定しないが、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS);スチレン−(ブタジエン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体(SBBS);スチレン−(エチレン/ブタジエン)−スチレンブロック共重合体(SEBS);スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS);スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEPS);スチレン−エチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられる。
シートに成形した際、効率的にスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)を分散させるためには、スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)の中でも、スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−(エチレン/ブタジエン)−スチレンブロック共重合体(SEBS)がオレフィン共重合体(A)との相溶性が高い点より好ましい。
本発明にかかるフィルム中には、スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)の群の中から選ばれる1種又は2種以上の共重合体を含んでいてもよい。
3.積層多孔質フィルムの製造方法
本発明の積層多孔質フィルムの製造方法について説明するが、以下の説明は、本発明の積層多孔質フィルムを製造する方法の一例であり、本発明の積層多孔質フィルムはかかる製造方法により製造される積層樹脂多孔質フィルムに限定されるものではない。
本発明の実施形態の一例に係る積層多孔フィルムの製造方法(以下、本フィルム製造方法)と称することがある)は、オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)からなる層、及び、オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)からなる層、を少なくとも1層ずつ有する未延伸フィルムを作成し(製膜工程)、延伸する(延伸工程)積層多孔フィルムの製造方法である。
本フィルム製造方法は上記工程を備えていればよいから、他の工程や処理をさらに備えていてもよい。
以下、製膜工程、延伸工程について順次説明する。
<製膜工程>
オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)、さらに、オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)とをそれぞれ混合する。
オレフィン重合体(A)55〜85重量%、ビニル芳香族エラストマー15〜45重量%の割合で混合する。好ましくは、オレフィン重合体(A)60〜80重量%、ビニル芳香族エラストマー20〜40重量%の割合である。
オレフィン重合体が85重量%以下であることによって、延伸による多孔化が生じやすくなり、十分な空孔構造を形成することによって、濾過性能の向上が期待できる。一方、オレフィン重合体が55重量%以上であることによって、前記オレフィン重合体中のスビニル芳香族エラストマー同士が凝集を生じにくくなり延伸による多孔化が生じやすくなる。
本発明においては、結晶核剤(D)を更に混合することが好ましい。結晶核剤を混合することにより、前記オレフィン重合体(A)の結晶化が促進され、結晶構造が緻密に均一化する。それゆえ、延伸前のシートにおける前記オレフィン重合体(A)は緻密に均一化した結晶部と、該結晶部間に存在する非晶部とからなり、ビニル芳香族エラストマーは前記オレフィン重合体(A)の非晶部に多く存在する。そのため、延伸により前記オレフィン重合体(A)の緻密な結晶部とビニル芳香族エラストマーとの界面で生じる多孔化は、マトリックスの結晶化に伴う弾性率の向上によって容易になり、かつ、結晶の緻密な均一化によって、得られる多孔構造も緻密で均一な多孔構造を形成しやすくなる。
前記結晶核剤(D)の含有量は、前記オレフィン重合体(A)100重量部に対し、1.0×10−3〜5.0重量部であることが好ましい。
結晶核剤としては、以下に記載するα晶核剤又はβ晶核剤が例として挙げられるが、より均一な孔構造が形成されるという理由により、α晶核剤であることが好ましい。
α晶核剤としては、例えば、タルク、ミョウバン、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、カーボンブラック、粘土鉱物などの無機化合物;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの脂肪族モノカルボン酸を除くカルボン酸;前記非脂肪族モノカルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどの正塩または塩基性塩;1・2,3・4−ジベンジリデンソルビトールなどのジベンジリデンソルビトール系化合物;リチウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのアリールフォスフェート系化合物;前記アリールフォスフェート系化合物の内、環状多価金属アリールフォスフェート系化合物と酢酸、乳酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、モンタン酸、メリシン酸、ステアロイル乳酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピオン酸などの脂肪酸族モノカルボン酸のリチウム、ナトリウムまたはカリウム塩など脂肪酸モノカルボン酸アルカリ金属塩、もしくは塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレートとの混合物;ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−エチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ヘキセン、ポリ4,4−ジメチル−1−ペンテン、ポリ4、4−ジメチル−1−ヘキセン、ポリ4−エチル−1−ヘキセン、ポリ3−エチル−1−ヘキセン、ポリアリルナフタレン、ポリアリルノルボルナン、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリアリルベンゼン、ポリアリルトルエン、ポリビニルシクロペンタン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペプタン、ポリビニルトリメチルシラン、ポリアリルトリメチルシランなどの高分子化合物、などが挙げられる。
市販されているα晶核剤の具体例としては、新日本理化社製「ゲルオールD」シリーズ、「ゲルオールMD」シリーズ、ADEKA社製「NA」シリーズ、ミリケンケミカル社製「Millad」シリーズ、「Hyperform」シリーズ、BASF社製「IRGACLEAR」シリーズなどが挙げられる。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。
市販されているβ晶核剤の具体例としては、新日本理化社製β晶核剤「エヌジェスターNU−100」、β晶核剤の添加されたプロピレン重合体の具体例としては、Aristech社製ポリプロピレン「Bepol B−022SP」、Borealis社製ポリプロピレン「Beta(β)−PP BE60−7032」、mayzo社製ポリプロピレン「BNX BETAPP−LN」などが挙げられる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、前記のオレフィン重合体(A)及びスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)、及び、スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)以外の成分、例えばオレフィン重合体(A)以外の他の樹脂を混合することを許容することができる。
他の樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、本発明においては、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般的に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および多孔フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤などの添加剤が挙げられる。
上記オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)、オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)をそれぞれ混合する際、これらの原料を、例えばタンブラーミキサー、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、必要に応じて、得られた混合物を押出混練して、調製することができる。
それぞれの原料を、それぞれ別々に、もしくは混合された状態で、オーブンや真空乾燥機などで加熱乾燥してもよい。乾燥の際には、成分の変質や融着が起こらない条件とすることが好ましい。
混錬する際、用いる機械を特に限定するものではない。例えば単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機など、公知の押出機を用いることができる。また、設備構造および必要性に応じて、ベント口に減圧機を接続し、水分や分低分子量物質を除去してもよい。
上記のように混練した樹脂混合物を加熱溶融する方法として、例えばTダイ法、インフレーション法などを挙げることができ、中でもTダイ法を採用するのが好ましい。実用的には、Tダイから材料樹脂を溶融押出してキャストロールによりキャスト成形するのが好ましい。
シート状に製膜する具体的方法として、Tダイ法を採用する場合、Tダイからそれぞれ押出されたシート状の溶融樹脂を積層し、回転するキャストロール(チルロール、キャストドラム)上に密着させながら引き取りシート状物に成形する方法を挙げることができる。
キャストロールにシート状物を密着させるために、タッチロール、エアナイフ、電気密着装置などをキャストロールに付けてもよい。特にキャストロールを低温とする場合には電気密着が有効である。
得られる未延伸シートにおいて、両端部を除いた有効部分の厚みは30μm〜1000μmであるのが好ましく、中でも50μm以上或いは800μm以下、その中でも100μm以上或いは600μm以下であるのがさらに好ましい。
未延伸シートの厚さが30μm以上であれば、シートが薄すぎるために延伸時に破断を起こすのを防ぐことができ、未延伸シートの厚さが1000μm以下であれば、シートが剛直になり過ぎて延伸を行い難くなるのを防ぐことができるばかりか、延伸後のシートの厚みを薄くすることができる。
未延伸シートにおいて、それぞれの層の厚みの割合(積層比)については特に、制限されるものではないが、II層/I層/II層の2種3層構成の場合は、その総厚みに対するI層の積層比は、10%以上80%以下が好ましく、15%以上75%以下がより好ましく、20%以上70%以下がさらに好ましい。I層の厚み割合が10%以上であれば、本発明のフィルムが良好な濾過精度を有するようになり好ましい。また、I層の厚みが80%以下であれば、良好な濾過速度を有することになるため好ましい。ここで、I層が複数配される場合は、各層の合計厚みを用いて算出する。
<延伸工程>
以下、上記未延伸シートを延伸して積層多孔フィルムを得る工程を詳述する。
得られた未延伸シートを一軸延伸、又は、二軸延伸を行う。一軸延伸は縦一軸延伸であってもよいし、横一軸延伸であってもよい。二軸延伸は同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。未延伸シートの組成、厚み、および延伸倍率を変更することにより、作成される積層多孔フィルムの厚み、透気度、空孔率を調整することができる点が本発明の一つの利点である。本発明の目的である積層多孔フィルムを作製する場合には、各延伸工程で延伸条件を選択でき、多孔構造を制御し易い逐次二軸延伸がより好ましい。なお、膜状物の流れ方向(MD)への延伸を「縦方向の延伸」といい、流れ方向に対して垂直方向(TD)への延伸を「横方向の延伸」という。横延伸は、延伸区間となる一対の駆動ロールの速度差を利用して行う方法が好ましいが、これに限定されるものではない。一方、横延伸に用いる装置は、クリップ式テンターを用いることが好ましい。但しこれに限定するものではない。
本発明の実施形態の一例に係る延伸多孔フィルムの製造方法は、前記未延伸シートを、0℃〜60℃の温度で縦方向に1.1倍以上3.0倍未満で延伸し、60℃〜160℃の温度で縦方向に1.5倍以上6.0倍未満で延伸し、70〜150℃の温度で横方向に1.1倍以上10倍未満で延伸する方法である。以下に詳細を説明する。
縦延伸を行う際は、延伸による開孔をし易くするための理由から、高温縦延伸の前に以下の低温縦延伸工程成形を行うことが好ましい。
未延伸シートを好ましくは0℃〜60℃、より好ましくは10〜40℃の温度で、好ましくは縦方向に1.1倍以上3.0倍未満、より好ましくは、1.2倍以上2.0倍未満の範囲で延伸する。0℃以下で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、60℃を超える温度で延伸した場合は、得られる延伸フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。また、本実施の形態で得られる多孔フィルムの透過性が向上することから、上記延伸工程を実施する前に、シート成形工程で得られたシートを一定の温度範囲で一定時間熱処理しても良い。
次いで、上記で得られた延伸シートを好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは70℃〜130℃の温度で、縦方向に好ましくは1.5倍以上6.0倍未満、より好ましくは、1.5倍以上5.0倍未満の範囲で高温縦延伸する。60℃未満で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、160℃を超える温度で延伸した場合は、得られる延伸フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。また、本実施の形態の多孔フィルムに要求される物性や用途の観点から、上記したような条件で2段階以上延伸することが好ましい。延伸工程を1段階とすると、得られる延伸フィルムが、要求された物性を満たさない場合がある。
縦延伸倍率は、任意に選択することができるが、一軸延伸あたりの延伸倍率は1.1倍以上15倍未満が好ましく、より好ましくは1.5倍以上12倍未満であり、さらに好ましくは1.5倍以上10倍未満である。一軸延伸あたりの延伸倍率を1.1倍以上とすることで白化が進行して、延伸による多孔化が十分起こっていることを示唆している。また、15倍未満とすることで、空孔の変形は抑制され、十分に白化した多孔フィルムを得ることができる。
横延伸を行う際用いる装置としては、前述のとおり、クリップ式テンターを用いることが好ましい。クリップ式テンターは、横延伸用のクリップ走行装置とオーブンとから構成される。
上記クリップ走行装置は縦延伸シートの両端部を一対のクリップで掴んで搬送すると同時に、グリップ走行装置のガイドレールが開いて2列のグリップ間の距離を広げることにより当該シートを延伸する。
上記オーブンは、流れ方向にいくつかのゾーンに区切られており、ゾーンごとに設定温度又は熱風の風量を変えられることが望ましい。上流側から、予熱ゾーンを設けて縦延伸シートを延伸可能な温度にまで加熱し、延伸ゾーンで延伸し、延伸後に必要に応じて熱処理ゾーンを設けて熱処理し、オーブンから前記シートが出て常温に曝される前に徐冷ゾーンを設けられる。
横延伸を行う際の温度に関しては、シートを好ましくは70〜150℃であり、より好ましくは80〜140℃の温度範囲で横方向に延伸する。前記横延伸温度が規定された範囲内であることによって、縦延伸時に生じた空孔が拡大されて空孔率を増加することができ、十分な多孔性を有することができる。
横延伸倍率は、任意に選択できるが、好ましくは1.1倍以上10倍未満であり、より好ましくは1.5倍以上9.0倍未満、更に好ましくは2.0倍以上8.0倍未満である。規定した横延伸倍率で延伸することによって、縦延伸時に生じた空孔を変形することなく、十分な空孔率を有することができる。
延伸速度は、好ましくは10〜20000%/分の範囲、より好ましくは100〜10000%/分の範囲である。10%/分以上であれば、十分な延伸倍率を効率よく得ることができ、製造コストを抑えることができる一方、20000%/分以下であれば、シートの破断等が起こるのを抑えることができる。
<用語の説明>
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K6900)。例えば厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称すことがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとし、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとする。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
次に、実施例および比較例を示し、本多孔体について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本多孔体の実施形態として、フィルム状物に賦形した。また、フィルムの引き取り(流れ)方向を「MD」、その直角方向を「TD」と記載する。
(オレフィン重合体(A))
・A−1:ホモポリプロピレン(MFR:1.9g/10分、Mw/Mn=3.2)
(スチレン−オレフィンブロック共重合体(B))
・B−1:スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−(エチレン/プロピレン)共重合体(SEP)、MFR(230℃、2.16kg):0.1g/10分、スチレン含有量:35質量%)
(スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C))
・C−1:スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEPS)、MFR(230℃、2.16kg):流動せず、スチレン含有量:20質量%)
(結晶核剤(D))
・D−1:α晶核剤(ソルビトール系化合物、グレード名:ゲルオールMD―LM30G、新日本理化社製)
(1)厚み
得られた多孔フィルムを1/1000mmのダイアルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
(2)透気度
25℃の空気雰囲気下にて、JIS P8117に準拠して透気度を測定した。測定機器として、デジタル型王研式透気度専用機(旭精工社製)を用いた。
(3)空孔率
得られた多孔フィルムの実質量W1を測定し、樹脂組成物の密度と厚みから空孔率0%の場合の質量W0を計算し、それらの値から下記式に基づき算出した。
空孔率[%]={(W0−W1)/W0}×100
(4)濾過速度
25℃の空気雰囲気下において、所定の体積Vのアセトンが0.07MPaの圧力で、有効濾過面積Aの多孔フィルムを通過する時間tを測定し、下記式に基づき算出した。
濾過速度[ml/min・cm]=(V×60)/(t×A)
(5)濾過精度試験
日産化学社製コロイダルシリカ(製品名:スノーテックスMP−4540M)、平均粒子径:450nm、固形分:40質量%、媒体:水)を4質量%になるように水で希釈し、超音波攪拌機中で十分に均一分散させた後、0.07MPaの圧力で多孔質フィルムを通過させ、吸光度法により通過前後の液の濃度を測定し、粒子の捕集効率(%)を算出した。
(6)濾過寿命
日産化学社製コロイダルシリカ(製品名:スノーテックスMP−4540M)、平均粒子径:450nm、固形分:40質量%、媒体:水)を4質量%になるように水で希釈し、超音波攪拌機中で十分に均一分散させた後、0.09MPaの圧力で多孔フィルムを通過させ、濾過が不可能になるまでに通過した液体の質量Wを測定し、有効濾過面積Aで除算することによって濾過寿命(g/cm)を算出した。
(7)各層の孔の個数の算出
走査型電子顕微鏡(SEM)(「株式会社日立ハイテクノロジーズ社製 S−4500」)にて、多孔フィルム断面像から、孔の異なる層が形成されていることを目視で確認した。孔の異なる層が形成されている場合、Image Metorology社製イメージ解析ソフトウェア「SPIP(バージョン6.2.8)」を用いた画像処理によって、それぞれの孔の長軸方向の長さを計測した後、各層における長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の存在比率を以下の式より算出した。
各層における長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の存在比率=
(各層の5〜100μmの孔の個数/全層の5〜100μmの孔の個数)×100
[実施例1]
ポリプロピレン(A−1)70質量%、スチレン−オレフィンブロック共重合体(B−1)30重量%、及び、前記ポリプロピレン(A−1)と前記スチレン−オレフィンブロック共重合体(B−1)との混合樹脂組成物100重量部に対し結晶核剤(D−1)を0.1重量部(ポリプロピレン系樹脂100重量部に対しては、0.14重量部)の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混練後、ストランドダイにてストランド状に賦形した後、水槽にてストランドを冷却固化し、ストランドカッターにて裁断し、ペレット(以下「ペレット(I)」と称す)を作製した。同様の方法でポリプロピレン(A−1)70質量%、スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C−1)30重量%、及び、前記プロピレン共重合体(A−1)と前記スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C−1)との混合樹脂組成物100重量部に対し結晶核剤(D−1)を0.1重量部(ポリプロピレン系樹脂100重量部に対しては、0.14重量部)の割合で配合することによって、ペレット(以下「ペレット(II)」と称す)を作製した。
作製したペレットは、単軸押出機を用いて、200℃で溶融混合後、リップ開度1mmのTダイで、表裏層側押出機にペレット(II)、中層側押出機にペレット(I)を用いて、積層の厚み比が、表層/中間層/裏層=1/1/1となるように、200℃の押出温度で共押出成形を行い、127℃のキャストロールに導いて積層未延伸シートを得た。その後、得られた未延伸シートを、20℃に設定したロール(X)と20℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.0倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.5倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃で、3.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。また、得られたフィルムの走査型電子顕微鏡によるフィルム断面の観察写真を図1に示す。フィルム断面より、表層−中間層間、中間層−裏層間で孔径分布が異なる空孔が生じていることがわかる。
(実施例2)
積層の厚み比について、表層/中間層/裏層=1/2/1とした以外は、実施例1と同様に未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、20℃に設定したロール(X)と20℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.0倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.5倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃で、3.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ペレット(I)を単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、127℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、未延伸シートを得た。その後、得られた未延伸シートを、20℃に設定したロール(X)と20℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.0倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.5倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃で、3.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
ペレット(II)を単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、127℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、未延伸シートを得た。その後、得られた未延伸シートを比較例1と同様の条件で延伸処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0006651997
実施例1〜2において、5〜100μmの孔の存在比は実施例1では表層/中間層=9、裏層/中間層=10、実施例2では表層/中間層=8、裏層/中間層=7となっており、各層によって明確に孔の大きさの異なる層が形成されていることが確認できる。また、それぞれ空孔率が60%以上、透気度は30sec/100cc以下であり、良好な透気性能を得るために十分な多孔構造が形成された積層多孔質フィルムが得られていることがわかる。濾過性能については濾過速度が25ml/min・cm以上、濾過精度は0.00%、濾過寿命は1g/cm以上であり、孔の大きな層と小さい層を存在させることによって粒子を補足しつつ、透気性能及び濾過効率に優れた多孔の積層フィルムが得られている。
比較例1は、孔の大きさの違う層を明確に確認できず、積層構成ではないが、透気性能は実施例と同様に優れており、濾過精度も0.00%であるため、粒子を捕集できている。しかし、濾過寿命が実施例と比較して低いため、濾過対象物を濾過させた際に、目詰まりを起こしやすく、濾過フィルターとしての性能が低い。
比較例2においては、孔の大きさの違う層を明確に確認できず、積層構成ではない。また、透気性能は実施例以上であり優れているが、濾過精度は0.72%となり、粒子を捕集できていない。そのため、濾過速度や濾過寿命が優れているものの、粒子の捕集漏れがあるため、濾過効率に劣る。
本発明の積層多孔フィルムは、孔径の異なる多数の空孔構造を有する層が積層され、透気性能、及び、濾過性能に優れた安価な多孔フィルムであり、この多孔質フィルムは自動車産業(電着塗料回収再利用システム)、半導体産業(超純水製造)、医薬食品産業(除菌、酵素精製)などの濾過膜として有用である。

Claims (9)

  1. 式(1)の関係を満たすI層とII層を有し、I層とII層はそれぞれオレフィン重合体(A)とビニル芳香族エラストマーからなる多孔層であることを特徴とする積層多孔フィルム。
    式(1): 2 ≦ N/N ≦ 50
    (N、Nは、それぞれI層、II層の断面における、長軸方向の孔径が5〜100μmである孔の存在比率を表す)
  2. 前記I層を中間層、前記II層を表裏面に有する3層構造であることを特徴とする請求項1に記載の積層多孔フィルム。
  3. 厚みが1μm以上1000μ以下、かつ、透気度が1〜1000秒/100ccであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層多孔フィルム。
  4. 二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
  5. オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィンブロック共重合体(B)からなる層、及び、オレフィン重合体(A)とスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)からなる層、を少なくとも1層ずつ有する未延伸フィルムを作成し、延伸することを特徴とする積層多孔フィルムの製造方法。
  6. 前記未延伸フィルムを、0℃〜60℃の温度で縦方向に1.1倍以上3.0倍未満で延伸し、60℃〜160℃の温度で縦方向に1.5倍以上6.0倍未満で延伸し、70〜150℃の温度で横方向に1.1倍以上10倍未満で延伸することを特徴とする請求項5に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
  7. 前記スチレン−オレフィンブロック共重合体(B)の230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1.0g/10分以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
  8. 前記スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体(C)の230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1.0g/10分以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の積層多孔フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の微多孔性フィルムを用いたフィルター。
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