JP6650351B2 - 触媒、触媒の製造方法、及びアルデヒド類の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の触媒は、カルボン酸類から水素化によりアルデヒド類を製造するための触媒(アルデヒド類製造用触媒)であって、セリウム、パラジウム及び酸化鉄を含み、セリウム(Ce元素換算)の含有量が、酸化鉄(Fe2O3換算)100重量部に対して、0.1〜4.5重量部である。前記酸化鉄には、Fe2O3以外にもFeOやFe3O4などの他の酸化状態のものも含まれる。前記セリウムは、Ce2O3、CeO2などの酸化物であってもよい。
本発明の触媒の製造方法は、触媒成分を含む分散液又は溶液を調製する工程、前記分散液又は溶液を蒸発乾固させる工程、及び蒸発乾固後、焼成する工程を含む。前記触媒成分としては、セリウム成分、パラジウム成分、鉄成分等が挙げられる。本発明の触媒の製造方法により、上記本発明の触媒を製造することができる。
(1)パラジウム成分、鉄成分、及び溶媒を加えて撹拌し、分散液又は溶液を調製する工程
(2)(1)で調製した分散液又は溶液を加熱し、蒸発乾固後、乾燥させる工程
(3)セリウム成分、及び溶媒を加えて撹拌し、分散液又は溶液を調製する工程
(4)(3)で調製した分散液又は溶液に(2)で乾燥したものを加えて含浸させる工程
(5)(4)で得られたものを蒸発乾固後、乾燥させる工程
(6)(5)の乾燥後、焼成する工程
本発明のアルデヒド類の製造方法は、本発明の触媒の存在下、気相中でカルボン酸類から水素化によりアルデヒド類を製造する方法である。本発明のアルデヒド類の製造方法では、水素化は、水素(H2)ガスを用いることが好ましい。
図1に示す例では、水素ガスは水素設備Pからライン1により供給され、コンプレッサーI−1で加圧され、バッファータンクJ−1を経て、ライン2の循環ガスと合流して、ライン3により蒸発器A(カルボン酸類蒸発器)に仕込まれる。蒸発器Aには、カルボン酸類タンクK−1からポンプN−1を用いてライン4よりカルボン酸類が供給され、気化したカルボン酸類が水素ガスと共に熱交換器(加熱器)L−1、L−2で加熱され、ライン5より本発明の触媒を充填した反応器Bに仕込まれる。蒸発器Aには循環ポンプN−2が備えられている。反応器Bでカルボン酸類は水素化され、主生成物のアルデヒド類やアルコール類のほか、非凝縮性のメタン、エタン、エチレン、二酸化炭素、凝縮性のアセトン等のケトン類、水などが生成する。また、他にプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2以上の炭化水素が生成する。
また、酢酸プロピル(沸点102℃)、酢酸イソブチル(沸点117℃)、酢酸sec-ブチル(沸点112℃)、プロピオン酸イソプロピル(沸点110℃)、酪酸メチル(沸点102℃)、イソ酪酸エチル(沸点110℃)など、常圧における沸点が100℃から118℃のエステルは、水との共沸混合物の水の比率が高く、かつ、酢酸より沸点が低いため、カルボン酸類と水の分離をより容易にする。また、これらのエステルは、エタノールとも共沸しないか、または、エタノールとの共沸混合物のエタノールの比率が低く、共沸溶剤の分離・回収が比較的容易である。したがって、常圧における沸点が100℃から118℃のエステルも共沸溶剤として好ましい。
触媒1.0ccを固定床式気相連続流通反応装置(反応器)に接続した12mmφのSUS製反応管に充填し、100mL/minの水素ガス流通下で電気炉により触媒層温度が300℃になるように12時間加熱して前処理を行った。
上記の前処理を行った後、接触時間が0.25sec、水素/酢酸仕込みモル比(H2/AC)が5.0となるように、水素ガス(200mL/min)と酢酸液(0.103cc/min)を反応器に流通させて反応させた。反応器出口ガスはクーラーにて冷却して気液分離し、凝縮液を捕集した。凝縮しないガス中のアセトアルデヒド等の低沸点成分は300ccの水中にバブリングすることで捕集し、さらに捕集されないガス成分は気体状態で捕集した。反応中は、触媒層温度が315℃、反応圧力が0.4MPaになるように電気炉、背圧弁を調整した。反応開始から12時間以上経過した後に、クーラー後の凝縮液、トラップ液、ガスを所定時間捕集し、定量、組成分析を行った。
組成は、ガスクロマトグラフ及びカールフィッシャー水分計を使用して分析した。
水20mLに硝酸鉄(III)六水和物(和光純薬工業(株)製)25.00g、硝酸パラジウム(II)水和物(ジョンソン・マッセイ社製)0.25g及びクエン酸(和光純薬工業(株)製)1.07gを加え溶解するまで撹拌した。得られた溶液を湯浴上、80℃で水分がなくなるまで乾固した後に、110℃で24時間乾燥、400℃で5時間焼成して酸化物を得た。この酸化物を打錠して固めた後に破砕し、7−10メッシュで分級して触媒(A)を得た。
この触媒(A)は、パラジウム(Pd)を2.0重量部含んでいた。
水5mLに硝酸セリウム六水和物(関東化学(株)製)0.15gを加え溶解するまで撹拌した。得られた溶液に比較例1で調製した酸化物5.00gを浸し、湯浴上、80℃で水分がなくなるまで乾固した後に、110℃で24時間乾燥、400℃で5時間焼成して酸化物を得た。この酸化物を打錠して固めた後に破砕し、7−10メッシュで分級して触媒(B)を得た。
この触媒(B)は、パラジウム(Pd)を2.0重量部、セリウム(Ce)を1.0重量部含んでいた。
硝酸セリウム六水和物の量を0.75gとしたこと以外は実施例1と同様にして触媒(C)を得た。
この触媒(C)は、パラジウム(Pd)を2.0重量部、セリウム(Ce)を5.0重量部含んでいた。
硝酸パラジウム(II)水和物の量を5.02g、クエン酸の量を21.32gとしたこと以外は比較例1と同様にして触媒(D)を得た。
この触媒(D)は、パラジウム(Pd)を40.0重量部含んでいた。
比較例1で調製した酸化物の代わりに比較例3で調製した酸化物を用い、硝酸セリウムの量を0.11gとしたこと以外は実施例1と同様にして触媒(E)を得た。
この触媒(E)は、パラジウム(Pd)を40重量部、セリウム(Ce)を1.0重量部含んでいた。
硝酸セリウム六水和物の量を0.33gとしたこと以外は実施例2と同様にして触媒(F)を得た。
この触媒(F)は、パラジウム(Pd)を40重量部、セリウム(Ce)を3.0重量部含んでいた。
硝酸パラジウム(II)水和物の量を10.04g、クエン酸の量を42.64gとしたこと以外は比較例1と同様にして触媒(G)を得た。
この触媒(G)は、パラジウム(Pd)を40重量部含んでいた。
比較例1で調製した酸化物の代わりに比較例4で調製した酸化物を用い、硝酸セリウムの量を0.09gとしたこと以外は実施例1と同様にして触媒(H)を得た。
この触媒(H)は、パラジウム(Pd)を80重量部、セリウム(Ce)を1.0重量部含んでいた。
触媒1.0ccを固定床式気相連続流通反応装置(反応器)に接続した12mmφのSUS製反応管に充填し、100mL/minの水素ガス流通下で電気炉により触媒層温度が300℃になるように12時間加熱して前処理を行った。
上記の前処理を行った後、接触時間が0.25〜1.0secの範囲の所定の値、水素/酢酸仕込みモル比(H2/AC)が5.0となるように、水素ガスと酢酸液を反応器に流通させて反応させた。反応器出口ガスはクーラーにて冷却して気液分離し、凝縮液を捕集した。凝縮しないガス中のアセトアルデヒド等の低沸点成分は300ccの水中にバブリングすることで捕集し、さらに捕集されないガス成分は気体状態で捕集した。反応中は、触媒層温度が300〜330℃の範囲の所定の値、反応圧力が0.0〜0.4MPaの範囲の所定の値になるように電気炉、背圧弁を調整した。反応開始から12時間以上経過した後に、クーラー後の凝縮液、トラップ液、ガスを所定時間捕集し、定量、組成分析を行った。
組成は、ガスクロマトグラフ及びカールフィッシャー水分計を使用して分析した。
B 反応器
C 吸収塔
D 放散塔
I−1〜I−2 コンプレッサー
J−1〜J−3 バッファータンク
K−1 カルボン酸類タンク
K−2 反応液タンク
L−1〜L−2 加熱器
M−1〜M−4 冷却器(クーラー)
N−1〜N−3 ポンプ(送液ポンプ)
P 水素設備(水素ボンベ)
Q−1〜Q−2 ベント
1〜15 ライン
Claims (6)
- カルボン酸類から水素化によりアルデヒド類を製造するための触媒であって、セリウム、パラジウム及び酸化鉄を含み、セリウム(Ce元素換算)の含有量が、酸化鉄(Fe2O3換算)100重量部に対して、0.1〜4.5重量部である触媒。
- パラジウム(Pd元素換算)の含有量が、酸化鉄(Fe2O3換算)100重量部に対して、1〜100重量部である請求項1に記載の触媒。
- ペレット形状である請求項1又は2に記載の触媒。
- 触媒成分を含む分散液又は溶液を調製する工程、前記分散液又は溶液を蒸発乾固させる工程、及び蒸発乾固後、焼成する工程を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の触媒の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の触媒の存在下、気相中でカルボン酸類から水素化によりアルデヒド類を製造する、アルデヒド類の製造方法。
- 前記カルボン酸類が酢酸であり、前記アルデヒド類がアセトアルデヒドである請求項5に記載のアルデヒド類の製造方法。
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