JP6645136B2 - 半導体基板の製造方法及び洗浄液 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板の製造方法及び洗浄液に関する。特に、本発明は、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を用いた研磨工程、及び、その後に行う洗浄工程を備えることが可能な半導体基板の製造方法、並びに、当該半導体基板の製造方法に用いる洗浄液に関する。更に詳しくは、本発明は、シャロー・トレンチ分離絶縁材料、プリメタル絶縁材料、層間絶縁材料等の平坦化工程において用いられる研磨工程及び洗浄工程を備えることが可能な半導体基板の製造方法、並びに、当該半導体基板の製造方法に用いる洗浄液に関する。
近年の半導体素子の製造工程では、高密度化・微細化のための加工技術の重要性がますます高まっている。加工技術の一つであるCMP技術は、半導体素子の製造工程において、シャロー・トレンチ・アイソレーション(STI)の形成、プリメタル絶縁材料又は層間絶縁材料の平坦化、プラグ又は埋め込み金属配線の形成等に必須の技術となっている。
近年、半導体素子の製造工程では、更なる配線の微細化を達成することが求められており、研磨時に発生する研磨傷が問題となっている。例えば、従来の酸化セリウム系研磨剤を用いて研磨を行った際に微小な研磨傷が発生しても、この研磨傷の大きさが従来の配線幅より小さいものであれば問題にならなかったが、更なる配線の微細化を達成しようとする場合には、研磨傷が微小であっても問題となってしまう。
この問題に対し、砥粒として4価金属元素の水酸化物の粒子を用いた研磨剤が検討されている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。これらの技術は、4価金属元素の水酸化物の粒子が有する化学的作用を活かしつつ機械的作用を極力小さくすることによって、粒子による研磨傷を低減しようとするものである。また、砥粒のゼータ電位が正であることで、負に帯電した基板表面との間に生ずる引力的相互作用により、機械的作用が小さくとも高い研磨速度が得られる特徴も持ち合わせている。
ところで、半導体基板の製造において、研磨工程で基板に付着した砥粒等は、後続の工程において異物として悪影響を及ぼすため、砥粒等を除去するための適切な洗浄工程が必要である。このような半導体基板の洗浄方法では、フッ化物イオンを含む洗浄液(フッ酸を含む洗浄液等)が幅広く用いられている。これは、フッ化物イオンによって半導体基板をエッチングしながら、基板表面の異物を除去するものである。
国際公開第2002/067309号 国際公開第2012/070541号 国際公開第2012/070542号 国際公開第2012/070544号
前述したように、研磨傷が少ない研磨方法として、砥粒のゼータ電位が正であり、機械的作用が小さくとも高い研磨速度が得られる方法が検討されている。しかしながらこの場合、負に帯電した基板表面との間に生ずる引力的相互作用により、研磨後に基板表面に付着した粒子が除去しにくい課題がある。
このような場合であっても、フッ化物イオンを含む洗浄液を用いた洗浄工程によって付着した粒子を除去可能であるが、反面、半導体基板の表面がエッチングされてしまうため、半導体基板の膜厚や寸法が変化してしまう。特に、更なる微細化を達成しようとする場合、膜厚や寸法が変化してしまうと、設計通りの機能が発揮されず、デバイスの動作に悪影響を及ぼすことが課題となっている。
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、フッ化物イオンを含む洗浄液を用いない場合であっても、洗浄後に残存する砥粒数を低減することが可能な半導体基板の製造方法、及び、当該半導体基板の製造方法に用いる洗浄液を提供することを目的とする。
本発明者らは、研磨傷が少ない研磨剤として、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を用いた研磨剤の研究を進める中で、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を含有する研磨剤にアスコルビン酸を添加すると、研磨剤が淡黄色から濃紫色に変化し、かつ、研磨剤の透明性が上がることを見出した。この現象が、アスコルビン酸の還元作用によって、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒の表面状態が変化しているものと考え、基板への付着性も変化するのではないかと推定し、洗浄工程の研究を進めた。
この結果、アスコルビン酸又はイソアスコルビン酸を含有する洗浄液に、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を含有する研磨剤を用いて研磨した基板を浸漬すると、基板に付着していた砥粒数が劇的に減少することを見出した。さらに、このような洗浄液を用いることにより、研磨後の研磨傷を低減できることも見出した。
すなわち、本発明は、研磨剤を用いて基板の被研磨面を研磨する研磨工程と、前記研磨工程の後に、洗浄液を用いて前記被研磨面を洗浄する工程と、を備える半導体基板の製造方法であって、前記研磨剤が砥粒と液状媒体とを含有し、前記砥粒が4価金属元素の水酸化物を含み、前記洗浄液が、液状媒体と、アスコルビン酸及びイソアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有する、半導体基板の製造方法を提供する。
本発明に係る半導体基板の製造方法によれば、フッ化物イオンを含む洗浄液を用いない場合であっても、洗浄後に残存する砥粒数を低減することが可能であり、異物に対する高度な要求を満たすことができる。また、本発明に係る半導体基板の製造方法によれば、研磨傷の発生を抑制しつつ、洗浄後に残存する砥粒数を低減することができる。さらに、フッ化物イオンを含む洗浄液を用いる場合には腐食や安全性の課題があるが、本発明に係る半導体基板の製造方法によれば、フッ化物イオンを含む洗浄液を用いることなく、腐食を抑制すると共に安全性を確保しつつ洗浄工程を行うことができる。
前記被研磨面の少なくとも一部は、酸化珪素を含んでいてもよい。
前記洗浄液のpHは、1.0以上8.0未満であることが好ましい。この場合、砥粒の除去性が更に優れると共にアスコルビン酸又はイソアスコルビン酸の安定性に優れる。
前記洗浄液は、酸成分を更に含有することが好ましい。前記洗浄液がフッ化物イオンを含有しないことが好ましい。
本発明に係る洗浄液は、前記半導体基板の製造方法に用いる洗浄液である。
本発明によれば、フッ化物イオンを含む洗浄液を用いない場合であっても、洗浄後に残存する砥粒数を低減することができる。また、本発明によれば、研磨傷が少なく、フッ化物イオンを含む洗浄液を用いずとも砥粒等の異物が少ない半導体基板を得ることができる。
アングルロータの一例を示す断面模式図である。
以下、本発明の一実施形態における研磨工程、及び、当該研磨工程に用いる研磨剤、並びに、本発明の一実施形態における洗浄工程、及び、当該洗浄工程に用いる洗浄液ついて詳細に説明する。
<定義>
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「研磨速度(Polishing Rate)」とは、単位時間当たりに材料が除去される速度(除去速度=Removal Rate)を意味する。
本明細書において、「研磨剤(Abrasive)」とは、研磨時に被研磨面に触れる組成物として定義される。「研磨剤」という語句自体は、研磨剤に含有される成分を何ら限定しない。後述するように、本実施形態に係る研磨剤は砥粒(Abrasive Grain)を含有する。砥粒は、「研磨粒子」(Abrasive Particle)ともいわれるが、本明細書では「砥粒」という。砥粒は、一般的には固体粒子である。この場合、研磨時に、砥粒が有する機械的作用、及び、砥粒(主に砥粒の表面)が有する化学的作用によって、除去対象物が除去(Remove)されると考えられるが、メカニズムはこれに限定されない。
<研磨剤>
本実施形態に係る研磨剤は、本実施形態に係る半導体基板の製造方法において用いられる。本実施形態に係る研磨剤は、例えばCMP用研磨剤である。具体的には、本実施形態に係る研磨剤は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、液状媒体とを少なくとも含有する。本実施形態に係る研磨剤によれば、酸化珪素を高速に研磨することができると共に、研磨傷を少なくすることができる。
以下、研磨剤の必須成分、及び、任意に添加できる成分について説明する。
(砥粒)
本実施形態に係る研磨剤は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を含有する。「4価金属元素の水酸化物」は、4価の金属(M4+)と、少なくとも一つの水酸化物イオン(OH)とを含む化合物である。4価金属元素の水酸化物は、水酸化物イオン以外の陰イオン(例えば、硝酸イオンNO 及び硫酸イオンSO 2−)を含んでいてもよい。例えば、4価金属元素の水酸化物は、4価金属元素に結合した陰イオン(例えば、硝酸イオン及び硫酸イオン)を含んでいてもよい。前記4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、シリカ粒子、アルミナ粒子、セリア粒子等の従来の砥粒と比較して、酸化珪素を高研磨速度で研磨できる。
4価金属元素は、酸化珪素を更に高速に研磨すると共に被研磨面における研磨傷の発生を更に抑制する観点から、希土類元素及びジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。4価金属元素としては、酸化珪素を更に高速に研磨すると共に被研磨面における研磨傷の発生を更に抑制する観点から、希土類元素が好ましい。4価を取り得る希土類元素としては、セリウム、プラセオジム、テルビウム等のランタノイドなどが挙げられ、入手が容易であると共に酸化珪素の研磨速度に更に優れる観点から、セリウム(4価セリウム)がより好ましい。希土類元素の水酸化物とジルコニウムの水酸化物とを併用してもよく、希土類元素から二種以上を選択して使用することもできる。
4価金属元素の水酸化物は、4価金属元素を含む塩と、塩基性化合物(アルカリ源)とを反応させることにより作製できる。例えば、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を作製する方法としては、4価金属元素を含む塩と、塩基性化合物を含むアルカリ液とを混合する手法が使用できる。この方法は、例えば、「希土類の科学」[足立吟也編、株式会社化学同人、1999年]304〜305頁に説明されている。また、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を作製する方法としては、前記特許文献4に記載の方法を用いてもよい。
4価金属元素を含む塩としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、M(SO、M(NH(NO、M(NH(SO(Mは希土類元素を示す。)、Zr(SO・4HO等が挙げられ、中でも、M(NH(NOが好ましい。Mとしては、化学的に活性なセリウム(Ce)が好ましい。以上より、4価金属元素を含む塩としては、Ce(NH(NOがより好ましい。
塩基性化合物としては、従来公知のものを特に制限なく使用できる。塩基性化合物としては、イミダゾール、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、グアニジン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、キトサン等の有機塩基;アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の無機塩基などが挙げられる。これらのうち、酸化珪素の研磨速度を更に向上させる観点から、アンモニア及びイミダゾールからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、イミダゾールがより好ましい。
前記方法で合成された4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、洗浄して金属不純物を除去できる。砥粒の洗浄方法としては、遠心分離等で固液分離を数回繰り返す方法などが使用できる。遠心分離、透析、限外濾過、イオン交換樹脂等によるイオンの除去などの工程で砥粒を洗浄することもできる。
前記で得られた砥粒が凝集している場合、適切な方法で砥粒を液状媒体(例えば水)中に分散させることが好ましい。砥粒を液状媒体に分散させる方法としては、通常の撹拌機による分散処理;ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミル等を用いた機械的な分散処理;遠心分離、透析、限外ろ過、イオン交換樹脂等による夾雑イオンの除去処理などが挙げられる。分散方法及び粒径制御方法については、例えば、「分散技術大全集」[株式会社情報機構、2005年7月]第三章「各種分散機の最新開発動向と選定基準」に記述されている方法を用いることができる。前記洗浄処理を行って、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を含有する分散液の電気伝導度を下げる(例えば500mS/m以下)ことによっても、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒の分散性を高めることができる。前記洗浄処理を分散処理として適用してもよく、前記洗浄処理と分散処理とを併用してもよい。
本実施形態に係る研磨剤において、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、他の砥粒とを併用してもよい。このような他の砥粒としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、セリア粒子等が挙げられる。4価金属元素の水酸化物を含む砥粒として、4価金属元素の水酸化物粒子とシリカ粒子とを含む複合粒子等を用いることもできる。
前記4価金属元素の水酸化物の含有量の下限は、砥粒の全質量を基準として80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が極めて好ましい。前記砥粒は、研磨剤の調製が容易であると共に研磨特性に更に優れる観点から、前記4価金属元素の水酸化物からなる(実質的に砥粒の100質量%が前記4価金属元素の水酸化物である)ことが好ましい。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、酸化珪素の研磨速度を更に向上させる観点から、当該砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において、波長400nmの光に対して吸光度1.00以上を与えるものであることが好ましい。なお、砥粒の含有量を所定量に調整した「水分散液」とは、所定量の砥粒と水とを含む液を意味する。研磨速度の向上効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は次のように考えている。すなわち、4価金属元素の水酸化物の製造条件等に応じて、4価の金属(M4+)、1〜3つの水酸化物イオン(OH)及び1〜3つの陰イオン(Xc−)からなるM(OH)(式中、a+b×c=4である)を含む粒子が砥粒の一部として生成するものと考えられる(なお、このような粒子も「4価金属元素の水酸化物を含む砥粒」である)。M(OH)では、電子吸引性の陰イオン(Xc−)が作用して水酸化物イオンの反応性が向上しており、M(OH)の存在量が増加するに伴い研磨速度が向上するものと考えられる。そして、M(OH)を含む粒子が波長400nmの光を吸光するため、M(OH)の存在量が増加して波長400nmの光に対する吸光度が高くなるに伴い、研磨速度が向上するものと考えられる。
なお、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、例えば、M(OH)(式中、a+b×c=4dである)のように複核化合物又は複核錯体であってもよい。以下においては、M(OH)を一例として説明する。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、M(OH)だけでなく、M(OH)、MO等も含み得る。陰イオン(Xc−)としては、NO 、SO 2−等が挙げられる。
なお、砥粒がM(OH)を含むことは、砥粒を純水でよく洗浄した後にFT−IR ATR法(Fourier transform Infrared Spectrometer Attenuated Total Reflection法、フーリエ変換赤外分光光度計全反射測定法)で陰イオン(Xc−)に該当するピークを検出する方法により確認できる。XPS法(X−ray Photoelectron Spectroscopy、X線光電子分光法)により、陰イオン(Xc−)の存在を確認することもできる。
前記砥粒は、酸化珪素の研磨速度を更に向上させる観点から、当該砥粒の含有量を0.0065質量%に調整した水分散液において、波長290nmの光に対して吸光度1.000以上を与えるものであることが好ましい。このような研磨速度の向上効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は次のように考えている。すなわち、4価金属元素の水酸化物の製造条件等に応じて生成するM(OH)を含む粒子は、計算上、波長290nm付近に吸収のピークを有し、例えばCe4+(OHNO からなる粒子は波長290nmに吸収のピークを有する。そのため、M(OH)の存在量が増加して波長290nmの光に対する吸光度が高くなるに伴い、研磨速度が向上するものと考えられる。
前記4価金属元素の水酸化物(例えばM(OH))は、波長450nm以上(特に波長450〜600nm)の光を吸光しない傾向がある。従って、不純物を含むことにより研磨に対して悪影響が生じることを抑制して、更に優れた研磨速度で酸化珪素を研磨する観点から、前記砥粒は、当該砥粒の含有量を0.0065質量%に調整した水分散液において、波長450〜600nmの光に対して吸光度0.010以下を与えるものであることが好ましい。
前記砥粒は、酸化珪素の研磨速度を更に向上させる観点から、当該砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において、波長500nmの光に対して光透過率50%/cm以上を与えるものであることが好ましい。このような研磨速度の向上効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は次のように考えている。すなわち、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒が有する砥粒としての作用は、機械的作用よりも化学的作用の方が支配的になると考えられる。そのため、砥粒の大きさよりも砥粒の数の方が、より研磨速度に寄与すると考えられる。
砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において光透過率が低い場合、その水分散液に存在する砥粒は、粒径の大きい粒子(以下「粗大粒子」という。)が相対的に多く存在すると考えられる。このような砥粒を含む研磨剤に添加剤を添加すると、粗大粒子を核として他の粒子が凝集する。その結果、単位面積当たりの被研磨面に作用する砥粒数(有効砥粒数)が減少し、被研磨面に接する砥粒の比表面積が減少するため、研磨速度が低下する場合があると考えられる。
一方、砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において光透過率が高い場合、その水分散液に存在する砥粒は、前記「粗大粒子」が少ない状態であると考えられる。このように粗大粒子の存在量が少ない場合は、研磨剤に添加剤を添加しても、凝集の核になるような粗大粒子が少ないため、砥粒同士の凝集が抑えられるか、又は、凝集粒子の大きさが小さくなる。その結果、単位面積当たりの被研磨面に作用する砥粒数(有効砥粒数)が維持され、被研磨面に接する砥粒の比表面積が維持されるため、研磨速度が低下し難くなり、酸化珪素の研磨速度が向上し易くなると考えられる。
研磨剤に含まれる砥粒が水分散液において与える吸光度及び光透過率は、例えば、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)を用いて測定できる。具体的には例えば、砥粒の含有量を1.0質量%又は0.0065質量%に調整した水分散液を測定サンプルとして調製する。この測定サンプルを1cm角のセルに約4mL(Lは「リットル」を示す。以下同じ)入れ、装置内にセルを設置する。次に、波長200〜600nmの範囲で吸光度測定を行い、得られたチャートから吸光度及び光透過率を判断する。
研磨剤に含まれる砥粒が水分散液において与える吸光度及び光透過率は、砥粒以外の固体成分、及び、水以外の液体成分を除去した後、所定の砥粒の含有量の水分散液を調製し、当該水分散液を用いて測定することができる。研磨剤に含まれる成分によっても異なるが、固体成分又は液体成分の除去には、数千G以下の重力加速度をかけられる遠心機を用いた遠心分離、数万G以上の重力加速度をかけられる超遠心機を用いた超遠心分離等の遠心分離法;分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、限外ろ過等のろ過法;減圧蒸留、常圧蒸留等の蒸留法などを用いることができ、これらを適宜組み合わせてもよい。
例えば、重量平均分子量が数万以上(例えば5万以上)の化合物を含む場合は、クロマトグラフィー法、ろ過法等が挙げられ、ゲル浸透クロマトグラフィー、限外ろ過が好ましい。ろ過法を用いる場合は、研磨剤に含まれる砥粒は、適切な条件の設定により、フィルタを通過させることができる。重量平均分子量が数万以下(例えば5万未満)の化合物を含む場合は、クロマトグラフィー法、ろ過法、蒸留法等が挙げられ、ゲル浸透クロマトグラフィー、限外ろ過、減圧蒸留が好ましい。複数種類の砥粒が含まれる場合、ろ過法、遠心分離法等が挙げられ、ろ過法の場合はろ液に、遠心分離法の場合は液相に、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒がより多く含まれる。
前記クロマトグラフィー法で砥粒を分離する方法として、例えば、下記条件によって、砥粒及び/又は他成分を分取することができる。
試料溶液:研磨剤100μL
検出器:株式会社日立製作所製、UV−VISディテクター、商品名「L−4200」、波長:400nm
インテグレータ:株式会社日立製作所製、GPCインテグレータ、商品名「D−2500」
ポンプ:株式会社日立製作所製、商品名「L−7100」
カラム:日立化成株式会社製、水系HPLC用充填カラム、商品名「GL−W550S」
溶離液:脱イオン水
測定温度:23℃
流速:1mL/min(圧力:40〜50kg/cm程度)
測定時間:60分
なお、クロマトグラフィーを行う前に、脱気装置を用いて溶離液の脱気処理を行うことが好ましい。脱気装置を使用できない場合は、溶離液を事前に超音波等で脱気処理することが好ましい。
研磨剤に含まれる成分によっては、上記条件では砥粒を分取できない可能性がある。この場合、試料溶液量、カラム種類、溶離液種類、測定温度、流速等を最適化することで分離することができる。また、研磨剤のpHを調整することで、研磨剤に含まれる成分の留出時間を調整し、砥粒と分離できる可能性がある。研磨剤に不溶成分がある場合、必要に応じて、ろ過、遠心分離等で不溶成分を除去することが好ましい。
前記砥粒は、酸化珪素の更に優れた研磨速度を得る観点から、当該砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液を遠心加速度1.59×10Gで50分遠心分離したときに不揮発分含量300ppm以上の上澄み液(液相)を与えるものであることが好ましい。なお、「ppm」は、質量ppm、すなわち「parts per million mass」を意味するものとする。
遠心分離後の上澄み液に含まれる不揮発分含量が高い場合に研磨速度の向上効果が得られる理由について、本発明者は次のように考えている。一般的に、砥粒を含む研磨剤において、遠心加速度1.59×10Gで50分遠心分離した場合には、ほとんど全ての砥粒が沈降する。しかしながら、本実施形態に係る研磨剤は、含まれる砥粒の粒径が充分に小さいため、前記条件で遠心分離を行っても沈降しない微細粒子が多く含まれる。すなわち、不揮発分含量が増加するに伴い砥粒中の微細粒子の割合が増加し、被研磨面に接する砥粒の表面積が増大するものと考えられる。これにより、化学的作用による研磨の進行が促進され、研磨速度が向上すると考えられる。
砥粒の含有量が1.0質量%に調整された水分散液を遠心分離した際の上澄み液の不揮発分含量の下限は、酸化珪素の更に優れた研磨速度を容易に得る観点から、400ppm以上がより好ましく、500ppm以上が更に好ましく、600ppm以上が特に好ましく、700ppm以上が極めて好ましく、750ppm以上が非常に好ましい。上澄み液の不揮発分含量の上限は、例えば10000ppm(1.0質量%)である。
前記遠心分離を行う装置としては、チューブが所定の角度で配置されてなるアングルロータ、及び、チューブの角度が可変であり遠心分離中にチューブが水平又はほぼ水平になるスイングロータのいずれも使用することができる。
図1は、アングルロータの一例を示す断面模式図である。アングルロータARは、回転軸A1を中心として左右対称であり、図1では、その一方側(図中左側)のみを図示し、他方側(図中右側)を省略している。図1において、A2はチューブ角であり、Rminは回転軸A1からチューブまでの最小半径であり、Rmaxは回転軸A1からチューブまでの最大半径である。Ravは回転軸A1からチューブまでの平均半径であり、「(Rmin+Rmax)/2」として求められる。
このような遠心分離装置において、遠心加速度[単位:G]は下記式(1)から求めることができる。
遠心加速度[G]=1118×R×N×10−8 ・・・(1)
[式中、Rは回転半径(cm)を示し、Nは1分間当たりの回転数(min−1=rpm)を示す。]
本実施形態においては、式(1)中の回転半径Rとして図1中の平均半径Ravの値を用いて、遠心加速度が1.59×10Gとなるように回転数Nを設定して遠心分離を行う。なお、図1のようなアングルロータに代えてスイングロータを使用する場合は、遠心分離中のチューブの状態から最小半径Rmin、最大半径Rmax、平均半径Ravをそれぞれ求めて条件を設定する。
前記砥粒は、例えば、アングルロータとして日立工機株式会社製の超遠心分離機70P−72を用いて、大粒子と微細粒子とに分離できる。70P−72を用いた水分散液の遠心分離は、具体的には例えば、以下のようにして行うことができる。まず、砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液を調製し、これを遠沈管(チューブ)に充填した後に遠沈管をロータに設置する。そして、回転数50000min−1で50分間回転させた後、ロータから遠沈管を取出し、遠沈管内の上澄み液を採取する。上澄み液の不揮発分含量は、採取した上澄み液の質量と、上澄み液を乾燥した後の残留分の質量とを量ることにより算出できる。
砥粒の平均粒径の下限は、酸化珪素の更に優れた研磨速度を得る観点から、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましく、5nm以上が特に好ましい。砥粒の平均粒径の上限は、被研磨面に傷がつくことを更に抑制する観点から、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。上記観点から、砥粒の平均粒径は、1nm以上300nm以下であることがより好ましい。
砥粒の「平均粒径」とは、砥粒の平均二次粒径を意味する。砥粒の平均粒径は、例えば、研磨剤、又は、後述する研磨剤セットにおけるスラリについて、光子相関法で測定できる。具体的には例えば、砥粒の平均粒径は、マルバーン社製の装置名:ゼータサイザー3000HS、ベックマンコールター社製の装置名:N5等で測定できる。N5を用いた測定方法は、下記のとおりである。具体的には例えば、砥粒の含有量を0.2質量%に調整した水分散液を調製し、この水分散液を1cm角のセルに約4mL入れ、装置内にセルを設置する。分散媒の屈折率を1.33、粘度を0.887mPa・sに設定し、25℃において測定を行い、表示される平均粒径値を砥粒の平均粒径として採用できる。
研磨剤中における砥粒のゼータ電位(25℃)は、保管安定性及び研磨速度に更に優れる観点から、0mVより大きいことが好ましい。砥粒のゼータ電位は、保管安定性に更に優れる観点から、+10mV以上が好ましく、+15mV以上がより好ましく、+20mV以上が更に好ましい。
砥粒の「ゼータ電位」は、電気泳動法により測定できる。例えば、ベックマンコールター社製の装置名:Delsa Nano C等で測定できる。Delsa Nano Cを用いた測定方法は、下記のとおりである。具体的には例えば、砥粒の含有量が0.05質量%である測定試料を調製し、この測定試料を測定セルに入れ、装置内にセルを設置する。研磨剤における砥粒の含有量が0.05質量%である場合には、研磨剤を測定試料として用いることができる。研磨剤における砥粒の含有量が0.05質量%ではない場合には、水の含有量を調整して測定試料(水分散液等)を得ることができる。25℃において測定を行い、表示されるゼータ電位を砥粒のゼータ電位として採用できる。
砥粒の含有量の下限は、酸化珪素の更に優れた研磨速度を得る観点から、研磨剤の全質量を基準として0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、0.04質量%以上が特に好ましい。砥粒の含有量の上限は、研磨剤の保存安定性が高くなる観点から、研磨剤の全質量を基準として20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。上記観点から、砥粒の含有量は、研磨剤の全質量を基準として0.005質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
また、砥粒の含有量を更に少なくすることにより、コスト及び研磨傷を更に低減できる点で好ましい。従来、砥粒の含有量が少なくなると、酸化珪素等の研磨速度が低下する傾向がある。一方、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、少量でも所定の研磨速度を得ることができるため、研磨速度と、砥粒の含有量を少なくすることによる利点とのバランスをとりつつ、砥粒の含有量を更に低減することができる。このような観点から、砥粒の含有量の上限は、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.3質量%以下が極めて好ましい。
(液状媒体)
本実施形態に係る研磨剤における液状媒体としては、特に制限はないが、脱イオン水、超純水等の水が好ましい。液状媒体の含有量は、他の構成成分の含有量を除いた研磨剤の残部でよく、特に限定されない。
(添加剤)
本実施形態に係る研磨剤は、添加剤を含有することもできる。ここで、「添加剤」とは、研磨速度、研磨選択性等の研磨特性;砥粒の分散性、保存安定性等の研磨剤特性などを調整するために、液状媒体及び砥粒以外に研磨剤が含有する物質を指す。添加剤は、一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
添加剤として、カルボン酸を用いることができる。カルボン酸は、pHを安定化させる効果がある。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸等が挙げられる。
添加剤として、アルカリ成分を用いることができる。アルカリ成分は、pHを調整する効果がある。アルカリ成分としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等を用いることができる。
本実施形態に係る研磨剤は、平坦性、面内均一性、窒化珪素に対する酸化珪素の研磨選択性(酸化珪素/窒化珪素)、ポリシリコンに対する酸化珪素の研磨選択性(酸化珪素/ポリシリコン)等の研磨特性を調整する目的で、水溶性高分子を含有していてもよい。ここで、「水溶性高分子」とは、25℃において水100gに対して0.1g以上溶解する高分子として定義する。
水溶性高分子としては、特に制限はなく、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードラン、グアーガム、デキストリン、シクロデキストリン、プルラン等の多糖類;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;ポリグリセリン、ポリグリセリン誘導体等のグリセリン系ポリマ;ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等のカチオン性ポリマ;ポリアクリル酸等のアニオン性ポリマなどが挙げられる。水溶性高分子は、一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
(pH)
研磨剤のpH(25℃)は、研磨剤の安定性の観点から、1.0以上8.0未満が好ましく、2.0以上7.0未満がより好ましく、2.2以上6.0以下が更に好ましい。
本実施形態に係る研磨剤、及び、後述する洗浄液のpHは、pHメータ(例えば、電気化学計器株式会社製の型番PHL−40)で測定できる。具体的には例えば、フタル酸塩pH緩衝液(pH4.01)と中性リン酸塩pH緩衝液(pH6.86)とを標準緩衝液として用いてpHメータを2点校正した後、pHメータの電極を測定対象に入れて、2min以上経過して安定した後の値を測定する。標準緩衝液、研磨剤及び洗浄液の液温は共に25℃とする。
本実施形態に係る研磨剤は、砥粒及び液状媒体を少なくとも含む一液式研磨剤として保存してもよく、スラリ(第一の液)と添加液(第二の液)とを混合して前記研磨剤となるように前記研磨剤の構成成分をスラリと添加液とに分けた二液式の研磨剤セット(例えばCMP用研磨剤セット)として保存してもよい。スラリは、例えば、砥粒及び液状媒体を少なくとも含む。添加液は、例えば、添加剤及び液状媒体を少なくとも含む。なお、前記研磨剤の構成成分は、三液以上に分けた研磨剤セットとして保存してもよい。
前記研磨剤セットにおいては、研磨直前又は研磨時に、スラリ及び添加液が混合されて研磨剤が調製される。また、一液式研磨剤は、液状媒体の含有量を減じた研磨剤用貯蔵液として保存されると共に、研磨時に液状媒体で希釈して用いられてもよい。二液式の研磨剤セットは、液状媒体の含有量を減じたスラリ用貯蔵液及び添加液用貯蔵液として保存されると共に、研磨時に液状媒体で希釈して用いられてもよい。
一液式研磨剤を用いて研磨する場合、研磨定盤上への研磨剤の供給方法としては、研磨剤を直接送液して供給する方法;研磨剤用貯蔵液及び液状媒体を別々の配管で送液し、これらを合流、混合させて供給する方法;あらかじめ研磨剤用貯蔵液及び液状媒体を混合しておき供給する方法等を用いることができる。
スラリと添加液とに分けた二液式の研磨剤セットとして保存する場合、これら二液の配合を任意に変えることにより研磨速度を調整できる。研磨剤セットを用いて研磨する場合、研磨定盤上への研磨剤の供給方法としては、例えば、下記に示す方法が挙げられる。例えば、スラリと添加液とを別々の配管で送液し、これらの配管を合流、混合させて供給する方法;スラリ用貯蔵液、添加液用貯蔵液及び液状媒体を別々の配管で送液し、これらを合流、混合させて供給する方法;あらかじめスラリ及び添加液を混合しておき供給する方法;あらかじめスラリ用貯蔵液、添加液用貯蔵液及び液状媒体を混合しておき供給する方法を用いることができる。また、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液とをそれぞれ研磨定盤上へ供給する方法を用いることもできる。この場合、研磨定盤上においてスラリ及び添加液が混合されて得られる研磨剤を用いて被研磨面が研磨される。
<半導体基板の製造方法>
本実施形態に係る半導体基板の製造方法は、研磨剤を用いて基板の被研磨面を研磨する研磨工程と、前記研磨工程の後に、本実施形態に係る洗浄液を用いて前記被研磨面を洗浄する工程と、を備える。前記洗浄工程は、例えば、洗浄液を基板の被研磨面に接触させる工程である。前記洗浄工程は、洗浄液に基板を浸漬する工程であってもよく、(洗浄液に基板を浸漬することなく)洗浄液を被研磨面に供給する工程であってもよい。本実施形態に係る半導体基板の製造方法は、前記洗浄工程の後に、前記基板を乾燥する乾燥工程を更に備えていてもよい。例えば、本実施形態に係る半導体基板の製造方法によれば、前記乾燥工程を行う場合には、前記乾燥工程後に半導体基板を得ることができ、前記乾燥工程を行わない場合には、前記洗浄工程後に半導体基板を得ることができる。前記被研磨面の少なくとも一部は、例えば酸化珪素を含む。
(洗浄液)
洗浄工程で用いる洗浄液は、少なくとも、液状媒体(水等)と、アスコルビン酸及びイソアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも一種を含有する。以下、洗浄液の必須成分、及び、任意に添加できる成分について説明する。
[アスコルビン酸及びイソアスコルビン酸]
洗浄液は、アスコルビン酸及びイソアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも一種を少なくとも含有する。これらは、その還元性により砥粒表面を変化させ、基板表面から砥粒を除去する点で必須の成分である。
洗浄液におけるアスコルビン酸及びイソアスコルビン酸の合計の含有量は、砥粒の洗浄性に更に優れる観点から、洗浄液の全質量を基準として0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。前記含有量の上限は、経済性に優れる観点から、1質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.6質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
[酸成分]
洗浄液は、洗浄性が更に向上する観点から、酸成分を更に含有することが好ましい。酸成分としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸等のカルボン酸を用いることができ、洗浄性に更に優れる観点から、シュウ酸及びクエン酸が好ましい。
酸成分の含有量(酸成分の合計量)は、洗浄性に更に優れる観点から、洗浄液の全質量を基準として0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。前記含有量の上限は、経済性に優れる観点から、1質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.7質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
[キレート剤]
洗浄液は、アスコルビン酸又はイソアスコルビン酸の安定性を改善できる観点から、キレート剤を更に含有していてもよい。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸等を用いることができる。
[界面活性剤]
洗浄液は、表面張力を下げて基板への洗浄液の濡れ性を向上させると共に、除去した異物の再付着を防ぐことができる観点から、界面活性剤を更に含有していてもよい。界面活性剤としては、ポリアクリル酸及びその塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物等を用いることができる。
[その他]
洗浄液は、フッ化物イオン(フッ素イオン)を含有しないことが好ましい。洗浄液がフッ化物イオンを含有しないことにより、半導体基板(酸化珪素等)がエッチングされて膜厚や寸法が変化してしまうことを容易に抑制することができる。
洗浄液は、液状媒体(水等)を減じて濃縮された状態で保存し、使用時に液状媒体で希釈して用いてもよい。
洗浄液のpH(25℃)は、砥粒の除去性が更に優れると共にアスコルビン酸又はイソアスコルビン酸の安定性に優れる観点から、1.0以上8.0未満が好ましく、2.0以上7.0未満がより好ましく、2.2以上5.0以下が更に好ましい。pHを調整する目的で、アンモニア、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ成分を添加してもよい。
(研磨工程)
研磨工程は、前記一液式研磨剤を用いて基板の被研磨面を研磨する研磨工程を備えていてもよく、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液とを混合して得られる研磨剤を用いて基板の被研磨面を研磨する研磨工程を備えていてもよい。
研磨工程は、前記一液式研磨剤、又は、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液とを混合して得られる研磨剤を用いて、酸化珪素を含む被研磨面を研磨する研磨工程であってもよく、特定の研磨ストップ膜材料(例えば、窒化珪素又はポリシリコン)と酸化珪素とを含む被研磨面において酸化珪素を選択的に研磨する研磨工程であってもよい。
酸化珪素の研磨速度は、30nm/min以上が好ましく、40nm/min以上がより好ましく、50nm/min以上が更に好ましく、100nm/min以上が特に好ましい。研磨速度が30nm/min以上であることにより、デバイス製造におけるスループット向上に大きく貢献できる。
研磨工程では、例えば、被研磨材料(酸化珪素、及び/又は、酸化珪素以外の被研磨材料等)を有する基板の当該被研磨材料を研磨定盤の研磨パッド(研磨布)に押圧した状態で、前記研磨剤を被研磨材料と研磨パッドとの間に供給し、基板と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨材料を研磨することができる。研磨工程では、例えば、被研磨材料の少なくとも一部を研磨により除去する。被研磨材料は、例えば膜状(被研磨膜)であってもよい。
研磨対象である基板としては、半導体素子製造に係る基板(例えば、STIパターン、ゲートパターン、配線パターン等が形成された半導体基板)上に被研磨材料が形成された基板などが挙げられる。
研磨工程において、研磨装置としては、被研磨面を有する基板を保持可能なホルダーと、研磨パッドを貼り付け可能な研磨定盤とを有する一般的な研磨装置を使用できる。ホルダー及び研磨定盤のそれぞれには、例えば、回転数が変更可能なモータ等が取り付けてある。研磨装置としては、APPLIED MATERIALS社製の研磨装置(商品名:Mirra−3400、Reflexion LK)、株式会社荏原製作所製の研磨装置(商品名:F REX−300)等が挙げられる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡体、非発泡体等が使用できる。研磨パッドの材質としては、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエステル、アクリル−エステル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン、セルロース、セルロースエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン(商標名)及びアラミド)、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリシロキサン共重合体、オキシラン化合物、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の樹脂が使用できる。研磨パッドの材質としては、特に、研磨速度及び平坦性に更に優れる観点から、発泡ポリウレタン及び非発泡ポリウレタンが好ましい。研磨パッドには、研磨剤がたまるような溝加工が施されていてもよい。
研磨条件に制限はないが、研磨定盤の回転速度は、基板が飛び出さないように200min−1以下が好ましく、基板にかける研磨圧力(加工荷重)は、研磨傷が発生することを充分に抑制し易い観点から、100kPa以下が好ましい。研磨している間、ポンプ等で連続的に研磨剤を研磨パッドに供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨剤で覆われていることが好ましい。
(洗浄工程)
洗浄工程は、前記研磨工程の後に、付着した砥粒等の異物を除去する目的で、基板表面に前記洗浄液を作用させることで行われる。
洗浄工程は、前記洗浄液を満たした洗浄槽に基板を入れるディップ式で行うことができる。洗浄効果を大きく高めることができる観点から、洗浄液に超音波を印加することがより好ましい。洗浄液の温度は、室温(例えば25℃)でも可能であるが、洗浄効果を更に高めるため、30〜60℃程度に加温してもよい。洗浄時間は、洗浄性及び生産性に更に優れる観点から、15〜300秒が好ましく、20〜120秒がより好ましく、30〜60秒が更に好ましい。
洗浄工程は、基板表面へ前記洗浄液を供給しながら、洗浄ブラシを押し当てて基板と洗浄ブラシとを相対的に動かして行う、ブラシ式で行うこともできる。洗浄ブラシは、傷を増加させない観点から、ポリビニルアルコール製が好ましい。
洗浄工程は、基板表面へ前記洗浄液を供給する流水式で行うこともできる。除去した異物を遠心力により除くことができる観点から、基板を回転させながら洗浄液を供給することが好ましい。また、洗浄効果を大きく高めることができる観点から、洗浄液に超音波を印加することが好ましい。
洗浄工程において超音波を使用する場合、超音波の周波数は、洗浄効果を高めると共に、基板への物理的ダメージを減少させる観点から、30kHz〜10MHzが好ましく、78kHz〜8MHzがより好ましく、500kHz〜5MHzが更に好ましい。
洗浄工程は、前記洗浄液を用いた洗浄工程に加え、他の薬液を用いた洗浄工程を併用してもよい。他の薬液を用いた洗浄工程で用いる薬液としては、例えば、アンモニア水、硫酸−過酸化水素混合液、アンモニア水−過酸化水素混合液、クエン酸系洗浄液等を用いることができる。他の薬液を用いた洗浄工程では、バッチ式、ブラシ式、流水式等を用いることができる。
洗浄工程は、前述した洗浄工程を組み合わせて用いてもよい。洗浄性を高められる観点から、例えば、前記洗浄液を用いたバッチ式と、前記洗浄液を用いたブラシ洗浄と、アンモニア水を用いたブラシ式、水を用いた流水式を連続して行うことが好ましい。
洗浄工程は、例えば、前述したAPPLIED MATERIALS社製の研磨装置(商品名:Reflexion LK)、株式会社荏原製作所製の研磨装置(商品名:F REX−300)等に組み込まれた洗浄ユニットを用いて行うことができる。
(乾燥工程)
本実施形態に係る半導体基板の製造方法は、前記洗浄工程の後に、基板に付着した液滴を除去する乾燥工程を更に備えることが好ましい。乾燥工程は、例えば、スピンドライ、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気等を用いて、基板に付着した液滴を払い落としながら乾燥させる方法が挙げられ、より具体的には、例えば、前述したAPPLIED MATERIALS社製の研磨装置(商品名:Reflexion LK)、株式会社荏原製作所製の研磨装置(商品名:F REX−300)等に組み込まれた乾燥ユニットを用いて行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<4価金属元素の水酸化物の合成>
7.603Lの水を容器に入れた後、濃度50質量%の硝酸セリウムアンモニウム水溶液(化学式:Ce(NH(NO、式量:548.2g/mol、日本化学産業株式会社製、商品名50%CAN液)を0.715L加えて混合した。その後、液温を40℃に調整して金属塩水溶液(金属塩濃度:0.114mol/L)を得た。
次に、イミダゾールを水に溶解させて濃度0.7mol/Lの水溶液を4.566L用意した後、液温を40℃に調整してアルカリ液を得た。
前記金属塩水溶液の入った容器を、水を張った水槽に入れた。外部循環装置クールニクスサーキュレータ(東京理化器械株式会社(EYELA)製、商品名:クーリングサーモポンプ CTP101)を用いて、水槽の水温を40℃に調整した。水温を40℃に保持しつつ、撹拌速度400min−1で金属塩水溶液を撹拌しながら、前記アルカリ液を混合速度8.5×10−6/min(8.5mL/min)で容器内に加え、4価セリウムの水酸化物を含む砥粒を含有するスラリ前駆体1を得た。スラリ前駆体1のpHは2.2であった。なお、羽根部全長5cmの3枚羽根ピッチパドルを用いて金属塩水溶液を撹拌した。
分画分子量50000の中空糸フィルタを用いて、得られたスラリ前駆体1を循環させながら限外ろ過して、導電率が50mS/m以下になるまでイオン分を除去することにより、スラリ前駆体2を得た。前記限外ろ過は、液面センサを用いて、スラリ前駆体1の入ったタンクの水位を一定にするように水を添加しながら行った。得られたスラリ前駆体2を適量とり、乾燥前後の質量を量ることにより、スラリ前駆体2の不揮発分含量(4価セリウムの水酸化物を含む砥粒の含量)を算出した。なお、この段階で不揮発分含量が1.0質量%未満であった場合には、水を添加せずに限外ろ過を更に行うことにより、1.1質量%を超える程度に濃縮した。最後に、適量の水を追加し、セリウム水酸化物(4価セリウムの水酸化物)を含む砥粒を含有するセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液(砥粒の含有量:1.0質量%)を調製した。
<平均粒径の測定>
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液を適量採取し、砥粒の含有量が0.2質量%となるように水で希釈して測定サンプル(水分散液)を得た。測定サンプルを1cm角のセルに約4mL入れ、ベックマンコールター社製の装置名:N5内にセルを設置した。分散媒の屈折率を1.33、粘度を0.887mPa・sに設定し、25℃において測定を行い、表示された平均粒径値を平均二次粒径(平均粒径)とした。結果は21nmであった。
<吸光度及び光透過率の測定>
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液(砥粒の含有量:1.0質量%)を適量採取し、砥粒の含有量が0.0065質量%(65ppm)となるように水で希釈して測定サンプル(水分散液)を得た。測定サンプルを1cm角のセルに約4mL入れ、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)内にセルを設置した。波長200〜600nmの範囲で吸光度測定を行い、波長290nmの光に対する吸光度と、波長450〜600nmの光に対する吸光度とを測定した。波長290nmの光に対する吸光度は、1.248であった。波長450〜600nmの光に対する吸光度は、0.010以下であった。
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液(砥粒の含有量:1.0質量%)を1cm角のセルに約4mL入れ、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)内にセルを設置した。波長200〜600nmの範囲で吸光度測定を行い、波長400nmの光に対する吸光度と、波長500nmの光に対する光透過率とを測定した。波長400nmの光に対する吸光度は、1.436であった。波長500nmの光に対する光透過率は、99%/cmであった。
<上澄み液の不揮発分含量の測定>
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液(砥粒の含有量:1.0質量%)を日立工機株式会社製の超遠心分離機(装置名:70P−72)に付属の遠沈管(チューブ)に充填し、前記超遠心分離機を用いて回転数50000min−1で50分間遠心分離した。前記超遠心分離機において、チューブ角は26°、最小半径Rminは3.53cm、最大半径Rmaxは7.83cm、平均半径Ravは5.68cmであった。平均半径Ravから計算される遠心加速度は、158756G≒1.59×10Gであった。遠心分離後の遠沈管から上澄み液を5.0gとり、アルミシャーレに入れて150℃で1時間乾燥させた。乾燥前後の質量を量ることにより、上澄み液に含まれる不揮発分含量(4価セリウムの水酸化物を含む砥粒の含量)を算出したところ、764ppmであった。
<4価セリウムの水酸化物を含む砥粒を用いた研磨剤Aの調製>
分岐型ポリマ[BYK−Chemie GmbH製、商品名:DISPERBYK−190、分子量Mw:23000]0.5質量%、ポリオキシエチレンビスフェノールエーテル[日本乳化剤株式会社製、商品名:BA17−グリコール、エチレンオキサイド17モル付加物]5.0質量%、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド[センカ株式会社製、商品名:FPA1000L]0.02質量%、2−メチルイミダゾール0.08質量%、酢酸0.05質量%及び水94.85質量%を含有する添加液用貯蔵液100gを調製した。この添加液用貯蔵液100gと、前記で得たセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水850gとを混合し、4価セリウムの水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、分岐型ポリマ(DISPERBYK−190)を0.05質量%、ポリオキシエチレンビスフェノールエーテルを0.5質量%、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリドを0.002質量%、2−メチルイミダゾールを0.008質量%、及び、酢酸0.005質量%を含有する研磨剤A(1000g)を調製した。
<洗浄液の調製>
L(+)−アスコルビン酸、D(−)−イソアスコルビン酸、シュウ酸、クエン酸及びアンモニア水(以上、いずれも和光純薬工業株式会社製)、並びに、水を、表1の組成となるように混合し、洗浄液1〜6を調製した。シュウ酸及びアンモニア水(以上、いずれも和光純薬工業株式会社製)、並びに、水を、表1の組成となるように混合し、洗浄液1X〜3Xを調製した。洗浄液1〜6及び洗浄液1X〜3Xは、フッ化物イオンを含有していない洗浄液である。
<液状特性評価>
前記で得られた研磨剤及び洗浄液のpH、並びに、研磨剤中の砥粒の平均粒径及びゼータ電位を下記のとおり評価した。
(pH)
前記で得られた研磨剤及び洗浄液のpHを下記の条件で測定した。研磨剤のpHは6.0であった。洗浄液のpHを表1に示す。
測定温度:25±5℃
測定装置:電気化学計器株式会社製、型番PHL−40
測定方法:標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液、pH:4.01(25℃);中性リン酸塩pH緩衝液、pH6.86(25℃))を用いて2点校正した後、電極を研磨剤又は洗浄液に入れて、2分以上経過して安定した後のpHを前記測定装置により測定した。
(平均粒径)
調製した研磨剤を測定セルに入れ、ベックマンコールター社製の装置名:N5内にセルを設置した。分散媒の屈折率を1.33、粘度を0.887mPa・sに設定して、25℃において測定を行い、表示された平均粒径値を平均粒径(平均二次粒径)とした。その結果、研磨剤A中の砥粒の平均粒径は12nmであった。
(ゼータ電位)
ベックマンコールター社製の装置名:Delsa Nano Cを用いて行った。調製した研磨剤を測定セルに入れ、装置内にセルを設置した。25℃において測定を行い、表示された平均ゼータ電位値をゼータ電位とした。その結果、研磨剤A中の砥粒のゼータ電位は+22mVであった。
<電子顕微鏡による洗浄性評価>
まず、前記研磨剤Aを用いて下記研磨条件で被研磨基板を研磨した。
(CMP研磨条件)
・研磨装置:APPLIED MATERIALS社製、Mirra
・研磨剤流量:200mL/分
・被研磨基板:パターンが形成されていないシリコンウエハ上に、厚さ1μmの酸化珪素膜をプラズマCVD法で形成した基板
・研磨パッド:独立気泡を有する発泡ポリウレタン樹脂(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、型番IC1010)
・研磨圧力:3.0psi(20.7kPa)
・基板及び研磨定盤の回転数:基板/研磨定盤=93/87min−1
・研磨時間:1分間
研磨終了後に、乾燥させることなく、表1に示した洗浄液を満たした洗浄槽に基板を入れ、超音波洗浄(37kHz)を1分間行った。さらに、基板を流水で30秒洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。
乾燥後の基板を2cm角に切り出し、マグネトロンスパッタ(株式会社真空デバイス製、商品名:MSP−10)を用いて導電化処理した後、電界放出形走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名:S−4800)を用いて加速電圧5kV、倍率200kで表面を観察し、200nm角内に存在する砥粒数を計測した。計測結果を表1に示す。
Figure 0006645136
表1より、アスコルビン酸又はイソアスコルビン酸を含む洗浄液を用いた洗浄工程によって、基板表面に残存する砥粒が劇的に減少していることが明らかとなった。
<欠陥検査装置による洗浄性評価(異物及び研磨傷評価)>
まず、前記研磨剤A及び下記比較研磨剤を用いて下記研磨条件で被研磨基板を研磨した。
(酸化セリウム粒子を含有する比較研磨剤の調製)
酸化セリウム粒子(砥粒)1kg、市販のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40質量%)23g及び脱イオン水8977gを混合し、撹拌しながら超音波分散を行った。続いて、1ミクロンフィルターでろ過した後、脱イオン水を加えて酸化セリウム粒子を5質量%含有する濃縮酸化セリウムスラリを得た。
次に、上記で得た濃縮酸化セリウムスラリ100gと水900gとを混合し、pHが4になるまで1N硝酸を加え、比較研磨剤(固形分:0.5質量%)を調製した。上記と同様の方法により比較研磨剤中の砥粒のゼータ電位を測定した結果、ゼータ電位は−54mVであった。
(CMP研磨条件)
・研磨装置:APPLIED MATERIALS社製、Reflexion LK
・研磨剤流量:200mL/分
・被研磨基板:パターンが形成されていないシリコンウエハ上に、厚さ1μmの酸化珪素膜をプラズマCVD法で形成した基板
・研磨パッド:独立気泡を有する発泡ポリウレタン樹脂(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、型番IC1010)
・研磨圧力:3.0psi(20.7kPa)
・基板と研磨定盤の回転数:基板/研磨定盤=93/87min−1
・研磨時間:1分間
続いて、Reflexion LK内蔵のバッチ式超音波洗浄装置(超音波周波数950kHz、出力800W、40秒)、ブラシ式洗浄装置1(40秒)、ブラシ式洗浄装置2(40秒)、バッチ式洗浄装置及び乾燥装置で、表2に示した条件(洗浄液)で順に処理した。得られた基板の被研磨膜の膜厚を光学式膜厚計(FILMETRICS製:商品名F80)で測定し、「(研磨前後の膜厚変化)/(研磨時間(秒))×60」の式より、1分当たりの研磨速度を求めた。さらに、欠陥検査装置(APPLIED MATERIALS社製ComPLUS及びSEMVision)を用い、被研磨面に残存する異物及び研磨傷の数を計測した。
Figure 0006645136
表2より、4価セリウムの水酸化物を含む砥粒を含有する研磨剤を用いた研磨工程と、アスコルビン酸又はイソアスコルビン酸を含有する洗浄液を用いた洗浄工程とによって、研磨傷及び異物が少ない基板を得ることができることが明らかとなった。
AR…アングルロータ、A1…回転軸、A2…チューブ角、Rmin…最小半径、Rmax…最大半径、Rav…平均半径。

Claims (6)

  1. 研磨剤を用いて基板の被研磨面を研磨する研磨工程と、
    前記研磨工程の後に、洗浄液を用いて前記被研磨面を洗浄する工程と、を備える半導体基板の製造方法であって、
    前記研磨剤が砥粒と液状媒体とを含有し、
    前記砥粒が4価金属元素の水酸化物を含み、
    前記洗浄液が、液状媒体と、アスコルビン酸及びイソアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有する、半導体基板の製造方法。
  2. 前記被研磨面の少なくとも一部が酸化珪素を含む、請求項1に記載の半導体基板の製造方法。
  3. 前記洗浄液のpHが1.0以上8.0未満である、請求項1又は2に記載の半導体基板の製造方法。
  4. 前記洗浄液が酸成分を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法。
  5. 前記洗浄液がフッ化物イオンを含有しない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法に用いる、洗浄液。
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