JP6639203B2 - セルロース繊維層を含むシート - Google Patents
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Description
ここで、一般的に使用されるFRP用の繊維は繊維径がミクロンレベルであるため、厚膜での樹脂含浸性に問題は生じにくい。しかし、単に一般的な繊維をナノファイバー化すると、単位体積あたりの交絡点が増加しFRPとして力学特性が向上するが、特に厚膜が要求される用途では樹脂の含浸性(浸透性)が十分でなかった。
本発明が解決しようとする課題は、シートとしては厚膜でありながら樹脂含浸性に優れ、かつ、複合化したときのシート強度(弾性率)を向上できるシートを提供することである。
(1)前記セルロース繊維層を構成する繊維の比表面積相当繊維径が0.20μm以上2.0μm以下である;
(2)前記セルロース繊維層の膜厚が20μm以上である;
(3)前記シートの透気抵抗度が1s/100ml以上400,000s/100ml以下である;及び
(4)前記シートの膜厚が22μm超である;
を満足することを特徴とするシート。
[2]前記セルロース繊維層が、再生セルロース繊維を70重量%以上含む、前記[1]に記載のシート。
[3]前記透気抵抗度が5s/100ml以上20,000s/100ml以下である、前記[1]又は[2]に記載のシート。
[4]前記再生セルロース繊維の比表面積相当繊維径が0.20μm以上2.0μm以下であり、かつ、前記セルロース繊維層には、繊維径3μm以上15μm以下の繊維が0重量%超30重量%以下で含まれる、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のシート。
[5]前記シートの膜厚が100μm超である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のシート。
[6]前記セルロース繊維層を構成する繊維の比表面積相当繊維径が0.20μm以上0.45μm以下である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のシート。
[7]前記セルロース繊維層の目付が2g/m2以上である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のシート。
[8]前記セルロース繊維層に、天然セルロース繊維が50重量%未満で含まれる、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のシート。
[9]前記セルロース繊維層に、天然セルロース繊維が30重量%未満含まれる、前記[8]に記載のシート。
[10]前記セルロース繊維層に、セルロース以外の有機ポリマーからなる繊維が50重量%未満で含まれる、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のシート。
[11]前記セルロース繊維層に、セルロース以外の有機ポリマーからなる繊維が30重量%未満で含まれる、前記[10]に記載のシート。
[12]前記セルロース以外の有機ポリマーからなる繊維が、アラミドファイバー及び/又はポリアクリロニトリルファイバーである、前記[10]は[11]に記載のシート。
[13]前記セルロース繊維層が、反応性架橋剤を10重量%以下で含む、前記[1]〜[12]のいずれかに記載のシート。
[14]前記3層以下の複数層構造の一層として、目付が5g/m2以上200g/m2以下である不織布又は紙である基材層を含む、前記[1]〜[13]のいずれかに記載のシート。
[15]前記3層以下の複数層構造の一層として、目付が10g/m2以上100g/m2以下である不織布又は紙である基材層を含む、前記[14]に記載のシート。
[16]水系抄紙工程を含む、前記[1]〜[15]のいずれかに記載のシートの製造方法。
[17]塗工工程を含む、前記[1]〜[15]のいずれかに記載のシートの製造方法。
[18]遮音用途として用いる、前記[1]〜[15]のいずれかに記載のシート。
[19](A)前記[1]〜[15]のいずれかに記載のシートに(B)樹脂が含浸されている複合フィルム。
[20]前記(B)樹脂が、熱硬化した樹脂、光硬化した樹脂、及び熱可塑性樹脂からなる群から選ばれる1つ以上の樹脂である、前記[19]に記載の複合フィルム。
[21]前記(B)樹脂が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂又は汎用プラスチックの内のいずれか1つ以上の樹脂である、前記[19]又は[20]に記載の複合フィルム。
[22]前記(B)樹脂が、無機微粒子を50質量%未満で含む、前記[19]〜[21]のいずれかに記載の複合フィルム。
[23]前記無機微粒子が、SiO2、TiO2、Al2O3、ZrO2、MgO、ZnO、及びBaTiO3からなる群から選ばれる1つ以上である、前記[22]に記載の複合フィルム。
[24](A)前記[1]〜[15]のいずれかに記載のシート、並びに(B)熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂を含む複合プリプレグフィルム。
[25]前記(B)樹脂が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、及び/又はポリイミド系樹脂である、前記[24]に記載の複合プリプレグフィルム。
[26]前記(B)樹脂が、無機微粒子を50質量%未満で含む、前記[24]又は[25]に記載の複合プリプレグフィルム。
[27]前記無機微粒子が、SiO2、TiO2、Al2O3、ZrO2、MgO、ZnO、及びBaTiO3からなる群から選ばれる1つ以上である、前記[26]に記載の複合プリプレグフィルム。
[28]前記[1]〜[15]のいずれかに記載のシートを含む繊維強化プラスチックフィルム用芯材。
[29]車載材料のための、前記[28]に記載の繊維強化プラスチックフィルム用芯材。
[30]電子材料のための、前記[28]に記載の繊維強化プラスチックフィルム用芯材。
[31]前記[1]〜[15]のいずれかに記載のシートを含む繊維強化プラスチックフィルム用プリプレグ。
[32]前記[1]〜[15]のいずれかに記載のシートを含む繊維強化プラスチックフィルム。
[33]車載材料のための、前記[32]に記載の繊維強化プラスチックフィルム。
本実施形態は、再生セルロースを原料とすることで、微細化により所定の範囲の繊維径を有するセルロースナノファイバーを提供することができる。これにより作製したシートはシートとしては厚くかつ、限定された透気抵抗度範囲、すなわち孔径を保有しているため、樹脂含浸性に優れている。それ故、例えば、繊維強化プラスチック用芯材として用いた際には、樹脂との複合化時の熱的安定性(線熱膨張率の低減や弾性率保持)を付与できる。また、車載材料向けの芯材として用いた際には、車載材料としては薄厚でありながら、シート強度を確保することができる。
本発明のシートに含まれる再生セルロース繊維は、特定範囲の繊維径を有するため一定の細孔を維持しており、かつ、繊維同士の交絡点が多いため、厚膜化した際にも強度を維持しつつ、樹脂含浸性に優れ、繊維径が小さいために多数積層されても平坦性を発現するといった特徴を有する。
(1)セルロース繊維層を構成する繊維の比表面積相当繊維径が0.20μm以上2.0μm以下である;
(2)透気抵抗度が1s/100ml以上400,000s/100ml以下である;及び
(3)膜厚が22μm超である;
を満足するシートである。かかるシートは、繊維強化プラスチックフィルム用芯材として好適に使用可能である。
以下、その理由を説明する。
まず、本実施形態のシートを構成するセルロース繊維について説明する。
本実施形態において、再生セルロースとは、天然セルロースを溶解又は結晶膨潤(マーセル化)処理し再生して得られる物質であって、粒子線回折によって格子面間隔0.73nm、0.44nm及び0.40nmに相当する回折角を頂点とする結晶回折パターン(セルロースII型結晶)を与えるような分子配列を有するβ−1,4結合グルカン(グルコース重合体)を言う。また、X線回折パターンにおいて、2θの範囲を0°〜30°とするX線回折パターンが、10°≦2θ<19°に1つのピークと、19°≦2θ≦30°に2つのピークとを有し、例えば、レーヨン、キュプラ、テンセル等の再生セルロース繊維のことを意味する。これらの中でも微細化のし易さの観点から、繊維軸方向への分子配向性の高いキュプラ又はテンセルを原料として微細化した繊維を用いることが好ましい。
比表面積=4/(dD) (m2/g)
を誘導した。BET法による比表面積を上式の比表面積として代入し、セルロース密度としてd=1.50g/cm3を代入することにより繊維径Dに換算した数値を、比表面積相当繊維径と定義する。ここで、BET法による比表面積測定は、比表面積・細孔分布測定装置(ベックマン・コールター社製)にて、試料約0.2gに対する液体窒素の沸点における窒素ガスの吸着量を同装置のプログラムに則り測定した後、比表面積を算出した。
また、透気抵抗度が5,000s/100cc以下であれば、繊維強化プラスチック用途でシートと樹脂を複合化する際に樹脂が含浸し易くなるため好ましい。
W0=100×W
を用いて膜の目付W0(g/m2)を算出することができる。
また、微細セルロース層そのものの膜厚は、20μm以上であれば強度の観点から好ましく、50μm以上であることがより好ましい。
セルロースの最大繊維径が15μmを越えない天然セルロース繊維としては、広葉樹又は針葉樹から得られる木材パルプ、精製リンターあるいは各種植物種(竹、麻系繊維、バガス、ケナフ、リンター等)からの精製パルプ等を高度に化処理したものの他に、セルロース生産菌(バクテリア)の作るバクテリアセルロース(BC)のようなネバードライで微細繊維の集合体である天然セルロース繊維も含まれる。
セルロース繊維の微細化は、再生セルロース繊維、天然セルロース繊維共に、前処理工程、叩解処理工程及び微細化工程を経ることが好ましい。特に再生セルロース繊維を微細化する場合には前処理工程は油剤を除去するための、場合によって界面活性剤を使用する水洗工程にて実施できるが、天然セルロース繊維の前処理工程においては、100〜150℃の温度での水中含浸下でのオートクレーブ処理、酵素処理等、又はこれらの組み合わせによって、原料パルプが以降の工程で微細化し易い状態にしておくことは有効である。該前処理工程の際に、1重量%以下の濃度の無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸など)ないしは有機酸(酢酸、クエン酸など)を添加してオートクレーブ処理を行うことも場合によっては有効である。これらの前処理は、微細化処理の負荷を軽減するだけでなく、セルロース繊維を構成するミクロフィブリルの表面や間隙に存在するリグニンやヘミセルロース等の不純物成分を水相へ排出し、その結果、微細化された繊維のα−セルロース純度を高める効果もあるため、セルロース繊維不織布の耐熱性の向上に大変有効であることもある。
叩解処理工程以降については、再生セルロース繊維、天然セルロース繊維共に以下の内容で製造する。叩解処理工程においては、原料パルプを0.5重量%以上4重量%以下、好ましくは0.8重量%以上3重量%以下、より好ましくは1.0重量%以上2.5重量%以下の固形分濃度となるように水に分散させ、ビーターやディスクレファイナー(ダブルディスクレファイナー)のような叩解装置でフィブリル化を徹底的に促進させる。ディスクレファイナーを用いる場合には、ディスク間のクリアランスを極力狭く(例えば、0.1mm以下)設定して、処理を行うと、極めて高度な叩解(フィブリル化)が進行するので、高圧ホモジナイザー等による微細化処理の条件を緩和でき、有効な場合がある。
使用する高圧ホモジナイザーとしては、例えば、ニロ・ソアビ社(伊)のNS型高圧ホモジナイザー、(株)エスエムテーのラニエタイプ(Rモデル)圧力式ホモジナイザー、三和機械(株)の高圧式ホモゲナイザー等を挙げることができ、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。超高圧ホモジナイザーとしては、みづほ工業(株)のマイクロフルイダイザー、吉田機械興業(株)ナノマイザー、(株)スギノマシーンのアルティマイザー等の高圧衝突型の微細化処理機を意味し、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。グラインダー型微細化装置としては、(株)栗田機械製作所のピュアファインミル、増幸産業(株)のスーパーマスコロイダーに代表される石臼式摩砕型を挙げることができるが、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。
さらに、天然セルロース微細繊維として、表面の化学処理を加えたセルロース系の微細繊維、及びTEMPO酸化触媒によって6位の水酸基が酸化され、カルボキシル基(酸型、塩型を含む)となったセルロース系の微細繊維を使用することもできる。前者の場合は、目的に応じて種々の表面化学処理を施すことにより、例えば、微細セルロース繊維の表面に存在する一部又は大部分の水酸基が酢酸エステル、硝酸エステル、硫酸エステルを含むエステル化されたもの、メチルエーテルを代表とするアルキルエーテル、カルボキシメチルエーテルを代表とするカルボキシエーテル、シアノエチルエーテルを含むエーテル化されたものを、適宜調製して使用することができる。また、後者、すなわち、TEMPO酸化触媒によって6位の水酸基が酸化された微細セルロース繊維の調製においては、必ずしも高圧ホモジナイザーのような高エネルギーを要する微細化装置を使用することは必要なく、微細セルロースの分散体を得ることができる。例えば、文献(A.Isogai et al.,Biomacromolecules,7,1687−1691(2006))に記載されるように、天然セルロースの水分散体に2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカルのようなTEMPOと呼ばれる触媒とハロゲン化アルキルを共存させ、これに次亜塩素酸のような酸化剤を添加し、一定時間反応を進行させることにより、水洗等の精製処理後に、通常のミキサー処理を施すことにより極めて容易に微細セルロース繊維の分散体を得ることができる。
本実施形態のシートに用いられるセルロース繊維層中の反応性架橋剤を形成する、反応性架橋剤多官能性イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多官能性イソシアネート、芳香脂肪族多官能性イソシアネート、脂環族多官能性イソシアネート、脂肪族多官能性イソシアネート等が挙げられる。黄変性が少ないという観点から脂環族多官能性イソシアネート及び脂肪族多官能性イソシアネートがより好ましい。また、多官能性イソシアネート化合物は1種類又は2種類以上含まれていてもよい。
脂環族多官能性イソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族多官能性イソシアネートが挙げられる。
脂肪族多官能性イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族多官能性イソシアネート等が挙げられる。
活性水素含有化合物としては、例えば、1価アルコール、多価アルコール及びフェノール類を含む水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、カルボキシル基含有化合物等が挙げられる。また、空気中あるいは反応場に存在する水や二酸化炭素なども含まれる。活性水素含有化合物は、1種類又は2種類以上が含まれていてもよい。
多価アルコールとしては、例えば、炭素数2〜20の2価アルコール[脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,10−デカンジオール、等)、脂環式ジオール(シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)及び芳香脂肪族ジオール{1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等}等]、炭素数3〜20の3価アルコール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)等]及び炭素数5〜20の4〜8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等)及び糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)]等が挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、例えば、炭素数1〜20のモノハイドロカルビルアミン[アルキルアミン(ブチルアミン等)、ベンジルアミン及びアニリン等]、炭素数2〜20の脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等)、炭素数6〜20の脂環式ポリアミン(ジアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数2〜20の芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等)、炭素数2〜20の複素環式ポリアミン(ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)、ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等)及びジシアンジアミド等が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物としては、1価のカルボン酸化合物(酢酸等のアルキルカルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸)、多価のカルボン酸化合物(シュウ酸やマロン酸等のアルキルジカルボン酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等)等が挙げられる。
本実施形態の積層型フィルムに形成される、片面又は両面に絶縁多孔膜は、目付が2g/m2以上10g/m2以下であることが好ましい。目付が2g/m2であると、ピンホールが生成する場合があり、他方、目付が10g/m2より大きいと、絶縁層が厚くなりすぎて内部抵抗の上昇や、折り曲げ加工時に無機フィラーの粉落ちや、剥離が生じる場合がある。積層型シート中の無機フィラーの含有率は15.0〜50.0重量%が好ましい。セパレータ中の熱硬化性樹脂の固形分含有率は、1.0〜15.0重量%がさらに好ましい。無機フィラーの含有率が10.0重量%未満で、熱硬化性樹脂の固形分含有率が20.0重量%超だと、ピンホールが生成する場合がある。無機フィラーの含有率が70.0重量%超で、熱硬化性樹脂の固形分含有率が0.1重量%未満だと、無機フィラーの粉落ちや剥離が生じる場合がある。
上述した製造方法によりフィブリル化処理又は微細化処理によって得られた再生セルロース繊維を含有する分散液はそのままで又は水で希釈し、適当な分散処理により分散させて本実施形態のセパレータを調製するための抄紙用又は塗布用の分散液とすることができる。再生セルロース繊維以外の成分、例えば天然セルロース繊維やセルロース以外の有機ポリマーからなる繊維、又は反応性架橋剤などは上述した分散液製造の各工程のどのタイミングで混合してもよいが、抄紙用又は塗布用の分散液を製造する段階で加えるのが望ましいこともある。該成分を混入後適当な分散処理により分散し、抄紙用又は塗工用の分散液とする。特に再生セルロース繊維以外の繊維を混合するタイミングに関しては、パルプ又はカット糸の段階から叩解工程で再生セルロース原料(カット糸)と混合し、叩解してもよいし、叩解処理した原料を高圧ホモジナイザー等による微細化処理を行う工程で混合してもよい。抄紙用あるいは塗工用の分散液の希釈後、又は原料混合後の希釈処理はどのような分散方法を用いてもよいが、混入している原料成分の内容に応じて適当に選択する。例えば、ディスパー型の攪拌機、各種ホモミキサー、各種ラインミキサー等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
抄紙方法は、バッチ式の抄紙機は勿論、工業的に利用可能なすべての連続抄紙機を用いて実施することができる。特に、傾斜ワイヤー型抄紙機、長網式抄紙機、丸網式抄紙機によって好適に本実施形態の複合シート材料を製造することができる。膜質均一性を高めるために、一機又は二機以上(例えば、下地層抄紙は傾斜ワイヤー型抄紙機、上地層抄紙では丸網式抄紙機を用いる等)の抄紙機を用いて多段式の抄紙を施すのも場合によっては有効である。多段式の抄紙とは、例えば、1段目で5g/m2の目付で抄紙を行い、そこで得られた湿紙上で2段目の5g/m2の抄紙を行って、合計10g/m2の目付の本発明の複合シート材料を得るという技術である。多段抄紙の場合は、上層と下層を同じ分散体から製膜する場合には単層の本発明の複合シート材料となるが、下層として第1段で例えば、フィブリル化繊維を用いて目の細かな湿紙の層を形成させ、その上から第2段で前述した分散体による抄紙を行い、下層である湿紙を後述するフィルターとして機能させることもできる。
また、上述した抄紙による製膜プロセスにおいて、使用する抄紙用の濾布又はプラスチックワイヤーは、エンドレス仕様のものを用いて全工程を一つのワイヤーで行うか、あるいは途中で次工程のエンドレスフィルター又はエンドレスのフェルト布にピックアップして渡すか又は転写させて渡すか、あるいは連続製膜の全工程又は一部の工程を、濾布を使用するロールtoロールの工程にするかのいずれかをとり得る。もっとも、本実施形態のセパレータの製法はこれに限定されるものではない。
再生セルロース繊維を50重量%以上含むセルロース繊維層は、比表面積相当繊維径が0.20μm以上2.0μm以下と設計するため、ナノファイバーの特徴である単位体積当たりの交絡点は多いものの、シート形成時のセルロース水酸基由来の乾燥収縮を防ぎ、空孔率及び孔径を保持することができる。孔径を保持できるが故に、セルロース繊維層へ樹脂を容易に含浸させることができ、セルロース繊維層と樹脂を複合化することができる。
再生セルロース繊維層に含浸できる樹脂としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂、またこれらの樹脂を熱硬化又は光硬化した樹脂、さらには熱可塑性樹脂が挙げられる。
再生セルロース繊維層に含浸できる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、オキセタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ノボラック系樹脂、レゾール系樹脂、ウレア系樹脂、メラミン系樹脂などが挙げられ、これらを単独で使用することもでき、2種以上を併用することもできる。
光酸発生剤の含有量は、エポキシ化合物の総重量100重量部に対し、0.5〜2.0重量部の範囲に設定する必要がある。より好ましくは0.5〜1.5重量部の範囲である。光酸発生剤の含有量が少なすぎると、硬化性が悪化したり耐熱性が低下する恐れがあり、含有量が多すぎると、硬化性は向上する一方で透明性が損なわれることとなる。
光硬化性樹脂には、屈折率の向上、硬化性の向上、密着性の向上、硬化成形物の柔軟性の向上及び、感光性樹脂組成物の低粘度化によるハンドリング性向上に優れた特性を有する感光性樹脂組成物を提供する目的で、それぞれの目的に適した1分子内に1つ又は2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を添加することが好ましい。これらの使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でも構わない。1分子内に1つ又は2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の添加量は再生セルロース繊維層100重量部に対して、10〜1,000質量部とするのが好ましく、50〜500質量部とするのがより好ましい。添加量が10質量部以上で、熱安定性(線熱膨張率の低減、高温時の弾性保持)を発揮するのに有効であり、添加量が1,000質量部以下であれば、感光性樹脂組物及び硬化成形物の高透過性、及び高耐熱性を維持することが可能である。
光重合開始剤(C)としては、下記(1)〜(10)の光重合開始剤が挙げられる:
(1)ベンゾフェノン誘導体:例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、
(2)アセトフェノン誘導体:例えば、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF社製 IRGACURE651)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製 IRGACURE184)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製 IRGACURE907)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(BASF社製 IRGACURE127)、フェニルグリオキシル酸メチル、
(3)チオキサントン誘導体:例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、
(4)ベンジル誘導体:例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、
(5)ベンゾイン誘導体:例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン(BASF社製、DAROCURE1173)、
(6)オキシム系化合物:例えば、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF社製 IRGACURE OXE01)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製 IRGACURE OXE02)、
(7)α−ヒドロキシケトン系化合物:例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン、
(8)α−アミノアルキルフェノン系化合物:例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製 IRGACURE369)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン(BASF社製 IRGACURE379)、
(9)フォスフィンオキサイド系化合物:例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製 IRGACURE819)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製、LUCIRIN TPO)、
(10)チタノセン化合物:例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム(BASF社製 IRGACURE784)。
上記(1)〜(10)の光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光硬化性樹脂には、所望により、光感度向上のための増感剤を添加することができる。このような増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(4’−ジメチルアミノシンナミリデン)インダノン、2−(4’−ジメチルアミノベンジリデン)インダノン、2−(p−4’−ジメチルアミノビフェニル)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)アセトン、1,3−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−p)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレンなどが挙げられる。また、使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でも構わない。
以上の他にも、感光性樹脂組成物には、紫外線吸収剤や塗膜平滑性付与剤などをはじめ、感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、必要に応じて、種々の添加剤を適宜配合することができる。
無機微粒子の一次粒子径は、5〜2,000nmの範囲が好ましい。5nm以上であると、分散体中の無機微粒子が分散良好となり、2,000nm以内の径であれば、硬化物の強度が良好となる。より好ましくは10nm〜1,000nmである。尚、ここでいう「粒径」とは、走査型電子顕微鏡(TEM)などを用いて測定される。
無機微粒子は樹脂複合体の固形分全量に対して、5〜50重量%の割合で配合することが好ましい。例えば耐熱材料の場合、低線膨張率と硬化物の高強度を両立させるためには、前記シリカ微粒子は5〜50重量%であることが好ましく、線膨張係数をより低下させるためには20〜50重量%の割合で添加することがより好ましく、更に好ましくは30〜50重量%である。
ウェット法は、メチルエチルケトン等の溶媒にエポキシ樹脂組成物や光硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂を溶解させた溶液にシートを浸漬した後、シートを引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させ、樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物や光硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂を直接シートに含浸させる方法、離型紙等の上にエポキシ樹脂組成物をコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。このとき、真空脱泡工程を入れて、空気を脱気することが好ましい。また、プリプレグ中に残留する溶媒がないため、ホットメルト法を用いることが好ましい。
また、シート単体や芯材として、高い弾性率を有するため、音や振動の吸収、遮断材料として用いることもでき、また、熱伝導性に優れるため、放熱シートとして用いることもできる。
本実施形態のシートは、樹脂との複合化によって高強度かつ軽量となることから、鋼板の代替、炭素繊維強化プラスチックの代替ができる。その例としては、例えば、産業用機械部品(例えば電磁機器筐体、ロール材、搬送用アーム、医療機器部材など)、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品(例えば外板、シャシー、空力部材、座席など)、船舶部材(例えば船体、座席など)、航空関連部品(例えば、胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドア、座席、内装材など)、宇宙機、人工衛星部材(モーターケース、主翼、構体、アンテナなど)、電子・電気部品(例えばパーソナルコンピュータ筐体、携帯電話筐体、OA機器、AV機器、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品など)、建築・土木材料(例えば、鉄筋代替材料、トラス構造体、つり橋用ケーブルなど)、生活用品、スポーツ・レジャー用品(例えば、ゴルフクラブシャフト、釣り竿、テニスやバトミントンのラケットなど)、風力発電用筐体部材等、また容器・包装部材、例えば、燃料電池に使用されるような水素ガスなどを充填する高圧力容器用の材料となり得る。
上述した用途以外にも、各種機能紙、吸収材料、医療材料用の支持体等の材料として適用できる。
[シートの作製]
[実施例1]
双日(株)より入手した再生セルロース繊維であるテンセルカット糸(3mm長)を洗浄用ネットに入れて界面活性剤を加え、洗濯機で何度も水洗することにより、繊維表面の油剤を除去した。得られた精製テンセル繊維(カット糸)を固形分1.5重量%となるように水中に分散させて(400L)、ディスクレファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmで400Lの該水分散体を20分間叩解処理した。それに引き続き、クリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で叩解を行い、叩解水分散体(固形分濃度:1.5重量%)を得た。得られた叩解水分散体を、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS015H)を用いて操作圧力100MPa下で5回の微細化処理を実施し、セルロース繊維の水分散体M1(固形分濃度:共に1.5重量%)を得た。
得られた濾布上に乗った湿潤状態の濃縮組成物からなる湿紙を、ワイヤー上から剥がし、湿紙面をドラム面に接触させるようにして、湿紙/濾布の2層の状態で表面温度が130℃に設定されたドラムドライヤーに、やはり湿紙がドラム面に接触するようにして約120秒間乾燥させ、得られた乾燥した2層体からセルロースのシート状構造物から濾布を剥離させて、以下の表1に示す白色の均一なセルロース繊維から構成されるシート(25cm×25cm)S1を得た。
実施例1のM1を水で希釈して調整した抄紙スラリーに対し、目付15g/m2のセルロースシートとなるように調整した抄紙スラリーを投入し、得られた湿紙を湿紙/濾布の2層の状態で130℃に設定した乾燥オーブンにて乾燥させた以外は、実施例1と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS2を得た。
実施例1のM1を水で希釈して調整した抄紙スラリーに対し、目付50g/m2のセルロースシートとなるように調整した抄紙スラリーを投入した以外は、実施例1と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS3を得た。
実施例1のM1を水で希釈して調整した抄紙スラリーに対し、目付100g/m2のセルロースシートとなるように調整した抄紙スラリーを投入した以外は、実施例1と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS4を得た。
実施例2のM1で調整した抄紙スラリーと、旭化成せんい(株)より入手した目付20g/m2の親水性ポリプロピレン長繊維不織布上に投入した以外は、実施例2と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS5を得た。
実施例2のM1で調整した抄紙スラリーと、旭化成せんい(株)より入手した目付17g/m2のセルロース長繊維不織布上に投入した以外は、実施例1と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS6を得た。
原料として有機ポリマーであるアラミドパルプを洗浄用ネットに入れて界面活性剤を加え、洗濯機で何度も水洗することにより、繊維表面の油剤を除去した。得られた精製テンセル繊維(カット糸)を固形分1.5重量%となるように水中に分散させて(400L)、ディスクレファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmで400Lの該水分散体を20分間叩解処理した。それに引き続き、クリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で叩解を行い、叩解水分散体(固形分濃度:1.5重量%)を得た。得られた叩解水分散体を、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS015H)を用いて操作圧力100MPa下で微細化処理を実施し、アラミドナノファイバーの水分散体M2(固形分濃度:共に1.5重量%)を得た。続いて、固形分重量組成として水分散体M1固形分:水分散体M2固形分=50:45、固形分濃度0.1重量%となるように混合し、水で希釈後、メイカネートWEB(明成化学社製)を繊維重量の5重量%分添加した以外は、実施例1と同じ操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS7を得た。
原料として天然セルロースであるリンターパルプを4重量%となるように水に浸液させてオートクレーブ内で130℃、4時間の熱処理を行い、得られた膨潤パルプを何度も水洗し、水を含浸した状態の膨潤パルプを得た。これを実施例1と同じ要領で叩解処理を続け、引き続いて高圧ホモジナイザーによる操作圧力100MPaで5回の微細化処理を行い、固形分濃度が1.5wt%の水分散体M3を得た。続いて、固形分重量組成として水分散体M1固形分:水分散体M3固形分55:45、固形分濃度0.1重量%となるように混合し、実施例1と同じ操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS8を得た。
目付の量を変更した以外は、実施例8と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS9を得た。
微細化処理の回数を徹底的に行った以外は実施例2と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS10を得た。
実施例10で得られた、徹底的に叩解し、微細化処理した水分散体(固形分濃度:1.5wt%)を、固形分濃度0.2%となるように希釈した。その後、遠心分離機(KUBOTA 7780)を用いて、回転数8,000rpmにて20分間の遠心分離を行った。その後、水分散体の上部に発生した上澄み液をデカンテーションにて分離した。この上澄み液を固形分濃度0.1重量%まで希釈し、ブレンダーで分散した後、PET/ナイロン混紡製の平織物(敷島カンバス社製、NT20,大気下25℃での水透過量:0.03ml/cm2・s、セルロース繊維を大気圧下25℃における濾過で99%以上濾別する能力あり)をセットしたバッチ式抄紙機(熊谷理機工業社製、自動角型シートマシーン 25cm×25cm、80メッシュ)に目付10g/m2のセルロースシートを目安に、上記調整した抄紙スラリーを投入した以外は、実施例1と同様に操作をすることで、以下の表に示す白色セルロースで作製されたシートS11を得た。
目付の量を変更した以外は、実施例11と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS12を得た。
実施例1に対して、叩解を徹底的に行い、微細化処理を行わず、目付の量を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS13を得た。
実施例1に対して、微細化処理を行わず、目付の量を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様に操作をすることで、以下の表1に示す白色セルロースで作製されたシートS14を得た。
実施例7で作製した天然セルロースであるリンターパルプの水分散体M2を水で希釈して調整した抄紙スラリーに対し、目付15g/m2のセルロースシートとなるように調整した抄紙スラリーを投入した以外は、実施例1と同様に操作をすることで、以下の表1に示すリファレンスシートR1を得た。
(1)組成
実施例1〜14、比較例1で作製したシートの原材料及び含有量比を表1にまとめ、記載した。
(2)サンプル厚みの測定
Mitutoyo製の膜厚計(Model ID−C112XB)を用い、シート中から10cm×10cmの正方形片を切り取り、種々の位置について5点の測定値の平均値を膜厚T(μm)とした。
(3)セルロースシートの目付測定
上記(2)で切り取った10.0cm×10.0cmの正方形片の重さW(g)から1m2あたりの重量を5点算出しその平均値から計算した。
(4)成形体の空孔率の算出
上記(2)で切り取った10.0cm×10.0cmの正方形片の膜厚d(μm)とその重さW(g)から、膜の空孔率Pr(%)を5点評価しその平均値から算出した。
(5)比表面積相当繊維径測定
比表面積・細孔分布測定装置(ベックマン・コールター社製)にて、シート試料約0.2gに対する液体窒素の沸点における窒素ガスの吸着量を測定した後、同装置プログラムにより比表面積(m2/g)を算出、繊維間の融着が全く起こっていない理想状態かつセルロース密度1.50g/mlと仮定した際の円柱モデル(繊維を断面が円形の円柱に見立て、長さが∝)での表面積/体積比から導入した式(繊維径=2.67/比表面積)に基づき、比表面積の3回評価による平均値から比表面積相当繊維径を計算した。
(6)膜の透気抵抗度測定
ガーレー式デンソメータ((株)東洋精機製、型式G−B2C)を用いて、シートの100ccの空気の透過時間(単位;s/100cc)の測定を室温で行った。膜の均一性の指標として、測定は、膜の種々な位置について5点の測定を行った。
(7)樹脂含浸性
実施例1−14、比較例1の組成にて、エポキシモノマー(エポライト100MF 共栄社化学製)をシート上に10μl滴下し、浸透性を評価した。滴下3分後に裏面まで浸透した場合を○、浸透しなかった場合を×とした。
[実施例15]
シートS2へ樹脂成分を含浸させることで、複合プリプレグフィルムを作製した。離型剤を塗布したPETフィルム上に10cm角のシートと、100μm厚のスペーサーを置いた。予め撹拌・混合しておいた表2に記載の組成にて調合した混合液をシートに滴下し、その上から離型剤を塗布したPETフィルムを乗せた。このシートをPETフィルム上から10kg/cm2でプレスしながら、真空脱泡、室温にて数日間静置することで、以下の表2に記載の白色セルロースにエポキシ樹脂が含浸された複合プリプレグフィルムC1を得た。
C1
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER825(三菱化学社製)
硬化剤 : 潜在性硬化剤フジキュア FXE1000(富士化成社製)
無機微粒子 : コロイダルシリカ(日産化学社製)
[実施例16〜24、比較例2〜4]
シートへ樹脂成分を含浸させることで、複合フィルムを作製した。離型剤を塗布したPETフィルム上に10cm角のシートと、所定厚みとなるスペーサーを置いた。予め撹拌・混合しておいた表2に記載の組成物とシートを合わせ、その上から離型剤を塗布したPETフィルムを乗せた。このシートをPETフィルム上から10kg/cm2でプレスしながら、真空脱泡した。これを乾燥機に入れ、熱または紫外線照射による硬化または溶融処理をすることで、以下の表2に記載の白色セルロースに樹脂が含浸された複合フィルムC2−10、リファレンスシートRC2−4を得た。
C2
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER828(三菱化学社製)
硬化剤 : ST12(三菱化学社製)
C3
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER825(三菱化学社製)
硬化剤 : 潜在性硬化剤フジキュア FXE1000(富士化成社製)
無機微粒子 : コロイダルシリカ(日産化学社製)
C4
熱可塑性樹脂 : ポリプロピレンフィルム
C5
熱可塑性樹脂 : ポリプロピレンフィルム
C6
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER825(三菱化学社製)
硬化剤 : 潜在性硬化剤フジキュア FXE1000(富士化成社製)
無機微粒子 : コロイダルシリカ(日産化学社製)
C7
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER825(三菱化学社製)
硬化剤 : 潜在性硬化剤フジキュア FXE1000(富士化成社製)
無機微粒子 : コロイダルシリカ(日産化学社製)
C8
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER825(三菱化学社製)
硬化剤 : 潜在性硬化剤フジキュア FXE1000(富士化成社製)
無機微粒子 : コロイダルシリカ(日産化学社製)
C9
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER825(三菱化学社製)
硬化剤 : 潜在性硬化剤フジキュア FXE1000(富士化成社製)
無機微粒子 : コロイダルシリカ(日産化学社製)
RC1
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER828(三菱化学社製)
硬化剤 : ST12(三菱化学社製)
RC2
熱可塑性樹脂 : ポリプロピレンフィルム
RC3
エポキシ系樹脂 : エポキシ樹脂JER828(三菱化学社製)
硬化剤 : ST12(三菱化学社製)
(1)組成
実施例15で、複合プリプレグフィルムの作製に使用した原材料及び含有量比を表2にまとめ、記載した。
(2)サンプル厚みの測定
Mitutoyo製の膜厚計(Model ID−C112XB)を用い、複合プリプレグフィルムから10cm×10cmの正方形片を切り取り、種々の位置について5点の測定値の平均値を膜厚d(μm)とした。
(3)樹脂含浸性
実施例15の組成にて、エポキシモノマー(エポライト100MF 共栄社化学製)をシート上に10μl滴下し、浸透性を評価した。滴下3分後に裏面まで浸透した場合を○、浸透しなかった場合を×とした。
(1)組成
実施例16〜24、比較例2〜4で、複合フィルムの作製に使用した原材料及び含有量比を表2にまとめ、記載した。
(2)サンプル厚みの測定
Mitutoyo製の膜厚計(Model ID−C112XB)を用い、複合フィルムから10cm×10cmの正方形片を切り取り、種々の位置について5点の測定値の平均値を膜厚d(μm)とした。
(3)樹脂含浸性
実施例14−21、比較例2−4の組成にて、エポキシモノマー(エポライト100MF 共栄社化学製)をシート上に10μl滴下し、浸透性を評価した。滴下3分後に裏面まで浸透した場合を○、浸透しなかった場合を×とした。
(4)剥離性評価
複合フィルムを10cm×2.5cmの短冊状に切り出した後、短辺側の複合フィルム芯材付近にカッターで切り込みを入れた。その後、複合フィルムの表面にテープを貼り付け、テープによる90度剥離試験を試みたときに、テープが複合フィルムから剥がれてしまったものを○、複合フィルムの芯材と樹脂との界面で剥離が起きてしまったものを×とした。
(5)線熱膨張率評価
上記(2)で切り取った複合フィルムを用いて、セイコーインスツル株式会社製のTMA/SS6100を使用して、1度10℃/分の速度で昇温・降温した後、再度10℃/分の速度で昇温した時の100〜150℃の平均線膨張係数を測定した。
(6)弾性率向上評価
実施例15〜24、比較例2〜4の組成にて、複合フィルム厚み2mmとして作製したフィルムを用いて、この樹脂硬化物から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、JIS K7171(1994)に従って3点曲げを実施し、弾性率を測定した。サンプル数n=3で測定した値の平均値を弾性率の値とし、フィルムが存在しないリファレンスシート(RC1及びRC2)の弾性率と比して、1.2倍以上の弾性率向上効果を示したものには、○印、○の中でも著しく弾性率向上効果を示したものには◎をつけた。
実施例1〜14で得られたシートと、各樹脂との複合化によって作製された、実施例15の複合プリプレグフィルム、実施例16〜24の複合フィルムは、比表面積相当繊維径が0.20μm以上2.0μm以下の再生セルロースを用いることで、孔径が大きくかつ空孔率の大きなシートが設計できるため、シートへの樹脂含浸性が高く、複合化が容易となった。また、ナノファイバーを用いることで、樹脂と複合化した際の剥離性の向上、線熱膨張率の低減、弾性率の向上効果が発現した。
これに反し、比較例2と3で得られたフィルムと、比較例1の樹脂との複合化によって作製された、比較例4の複合フィルムは、シート層が存在しないか、または、比表面積相当繊維径が0.1μm径であったため、複合化しても樹脂が含浸されにくいことが原因で、線熱膨張率を低減できないことが分かった。
Claims (33)
- 再生セルロース繊維を50重量%以上含むセルロース繊維層を少なくとも一層含む単層又は3層以下の複数層から構成されるシートであって、以下の要件:
(1)前記セルロース繊維層を構成する繊維の比表面積相当繊維径が0.20μm以上2.0μm以下である;
(2)前記セルロース繊維層の膜厚が20μm以上である;
(3)前記シートの透気抵抗度が1s/100ml以上400,000s/100ml以下である;及び
(4)前記シートの膜厚が22μm超である;
を満足することを特徴とするシート。 - 前記セルロース繊維層が、再生セルロース繊維を70重量%以上含む、請求項1に記載のシート。
- 前記透気抵抗度が5s/100ml以上20,000s/100ml以下である、請求項1又は2に記載のシート。
- 前記再生セルロース繊維に少なくとも微細化セルロース繊維を含み、微細化セルロース繊維の比表面積相当繊維径が0.20μm以上2.0μm以下であり、かつ、前記セルロース繊維層には、繊維径3μm以上15μm以下の繊維が0重量%超30重量%以下含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート。
- 前記シートの膜厚が100μm超である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート。
- 前記セルロース繊維層を構成する繊維の比表面積相当繊維径が0.20μm以上0.45μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート。
- 前記セルロース繊維層の目付が2g/m2以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート。
- 前記セルロース繊維層に、天然セルロース繊維が50重量%未満で含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート。
- 前記セルロース繊維層に、天然セルロース繊維が30重量%未満含まれる、請求項8に記載のシート。
- 前記セルロース繊維層に、セルロース以外の有機ポリマーからなる繊維が50重量%未満で含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート。
- 前記セルロース繊維層に、セルロース以外の有機ポリマーからなる繊維が30重量%未満で含まれる、請求項10に記載のシート。
- 前記セルロース以外の有機ポリマーからなる繊維が、アラミドファイバー及び/又はポリアクリロニトリルファイバーである、請求項10又は11に記載のシート。
- 前記セルロース繊維層が、反応性架橋剤を10重量%以下で含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のシート。
- 前記3層以下の複数層構造の一層として、目付が5g/m2以上200g/m2以下である不織布又は紙である基材層を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のシート。
- 前記3層以下の複数層構造の一層として、目付が10g/m2以上100g/m2以下である不織布又は紙である基材層を含む、請求項14に記載のシート。
- 水系抄紙工程を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のシートの製造方法。
- 塗工工程を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のシートの製造方法。
- 遮音用途として用いる、請求項1〜15のいずれか1項に記載のシート。
- (A)請求項1〜15のいずれか1項に記載のシートに(B)樹脂が含浸されている複合フィルム。
- 前記(B)樹脂が、熱硬化した樹脂、光硬化した樹脂、及び熱可塑性樹脂からなる群から選ばれる1つ以上の樹脂である、請求項19に記載の複合フィルム。
- 前記(B)樹脂が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂又は汎用プラスチックの内のいずれか1つ以上の樹脂である、請求項19又は20に記載の複合フィルム。
- 前記(B)樹脂が、無機微粒子を50質量%未満で含む、請求項19〜21のいずれか1項に記載の複合フィルム。
- 前記無機微粒子が、SiO2、TiO2、Al2O3、ZrO2、MgO、ZnO、及びBaTiO3からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項22に記載の複合フィルム。
- (A)請求項1〜15のいずれか1項に記載のシート、並びに(B)熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂を含む複合プリプレグフィルム。
- 前記(B)樹脂が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、及び/又はポリイミド系樹脂である、請求項24に記載の複合プリプレグフィルム。
- 前記(B)樹脂が、無機微粒子を50質量%未満で含む、請求項24又は25に記載の複合プリプレグフィルム。
- 前記無機微粒子が、SiO2、TiO2、Al2O3、ZrO2、MgO、ZnO、及びBaTiO3からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項26に記載の複合プリプレグフィルム。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載のシートを含む繊維強化プラスチックフィルム用芯材。
- 車載材料のための、請求項28に記載の繊維強化プラスチックフィルム用芯材。
- 電子材料のための、請求項28に記載の繊維強化プラスチックフィルム用芯材。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載のシートを含む繊維強化プラスチックフィルム用プリプレグ。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載のシートを含む繊維強化プラスチックフィルム。
- 車載材料のための、請求項32に記載の繊維強化プラスチックフィルム。
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