JP6639073B2 - ターボハウジングおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ターボチャージャーのハウジングであるターボハウジングおよびその製造方法に関する。
従来、排気ガスのエネルギーを利用して内燃機関の熱効率を高めるターボチャージャーは、鋳物にて形成されることが多い。
この種のターボチャージャーのハウジングであるターボハウジング用耐熱鋼としては、オーステナイト系鋳物(例えば、特許文献1参照。)や、比較的に安価なフェライト系鋳物(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。
また、比較的に安価なフェライト系鋳物をより高温環境での使用に適した構成とするため、合金成分や組織を制御することにより高強度化や熱疲労特性の向上を図ったフェライト系鋳物(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
特開平7−228948号公報 特開平10−60606号公報 特開2004−115840号公報
ここで、上述のターボハウジングについて、軽量化および低熱容量化を図るため、フェライト系ステンレス鋼板を用いてプレス成形することも検討されている。
しかしながら、設計自由度や剛性設計のし易さ等の観点から、ターボハウジングの製造には、プレス成形を適用しにくく、鋳物が多く使用されているのが現状である。
そして、フェライト系ステンレス鋼板を用いてターボハウジングをプレス成形するには、用いられるフェライト系ステンレス鋼に関して、鋼板からハウジングへ加工するための二次加工性を含めた成形性等の加工性と、高温の排気ガス環境下における優れた耐熱性の確保が重要である。
具体的に耐熱性とは、ターボハウジングと、このターボハウジング内で回転する回転体であるターボとのクリアランスを、使用状態で所定の範囲以内に維持できるように、加熱によって変形しにくいことが重要である。
また、ターボチャージャーの駆動中は、加熱と冷却とが繰り返されるため、加熱および冷却の繰り返しによる熱疲労特性が良好であることも重要である。
さらに、高温の排気ガス環境を考慮し、耐加速酸化性および耐スケール剥離性等の高温酸化特性が良好であることが重要である。
また、ターボチャージャーの動作を考慮し、高温高サイクル疲労特性が良好であることが重要である。
したがって、ターボハウジングの製造にてプレス成形を適用にするために、加工性が良好なフェライト系ステンレス鋼で形成され、高温の排気ガス環境下における耐熱性に優れたターボハウジングが求められていた。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、加工性が良好なフェライト系ステンレス鋼で形成され、高温の排気ガス環境下における耐熱性に優れたターボハウジングおよびその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載されたターボハウジングは、C:0.02質量%以下(無添加を含まず)、Si:0.5質量%以下(無添加を含まず)、Mn:0.6質量%以上1.5質量%以下、Ni:3質量%以下(無添加を含まず)、Cr:16質量%以上25質量%以下、Nb:0.4質量%以上0.7質量%以下、Mo:1質量%以上2.5質量%以下、Al:0.15質量%以下(無添加を含まず)およびN:0.02質量%以下(無添加を含まず)を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、15Nb+2Mo≧10.5を満たす成分のフェライト系ステンレス鋼で構成され、析出相として存在するNbおよびMoの総量が0.2質量%以下であるターボハウジングであって、表面硬さが220HV以下であるものである。
請求項2に記載されたターボハウジングは、請求項1記載のターボハウジングにおいて、フェライト系ステンレス鋼は、Cu:1質量%以上2質量%以下およびW:1質量%以上2.5質量%以下のうちの少なくとも1種を含有するものである。
請求項3に記載されたターボハウジングは、請求項1または2記載のターボハウジングにおいて、フェライト系ステンレス鋼は、V、TiおよびZrのうちの少なくとも1種を合計1質量%未満で含有するものである。
請求項4に記載されたターボハウジングは、請求項1ないし3いずれか一記載のターボハウジングにおいて、フェライト系ステンレス鋼は、B:0.02質量%以下およびCo:2質量%以下のうちの少なくとも1種を含有するものである。
請求項5に記載されたターボハウジングは、請求項1ないし4いずれか一記載のターボハウジングにおいて、フェライト系ステンレス鋼は、希土類元素およびCaのうちの少なくとも1種を合計0.1質量%以下で含有するものである。
請求項6に記載されたターボハウジングは、請求項1ないし5いずれか一記載のターボハウジングにおいて、プレス成形後に焼鈍されており、使用状態にて少なくとも一部の材料温度が900℃を超える温度環境下に曝されるものである。
請求項7に記載されたターボハウジングの製造方法は、C:0.02質量%以下(無添加を含まず)、Si:0.5質量%以下(無添加を含まず)、Mn:0.6質量%以上1.5質量%以下、Ni:3質量%以下(無添加を含まず)、Cr:16質量%以上25質量%以下、Nb:0.4質量%以上0.7質量%以下、Mo:1質量%以上2.5質量%以下、Al:0.15質量%以下(無添加を含まず)およびN:0.02質量%以下(無添加を含まず)を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、15Nb+2Mo≧10.5を満たす成分で構成されたフェライト系ステンレス鋼をプレス成形し、プレス成形後に焼鈍し、析出相として存在するNbおよびMoの総量が0.2質量%以下、表面硬さが220HV以下であるものである。
本発明によれば、成分の各元素の含有量が所定の範囲で制御されて加工性が良好なフェライト系ステンレス鋼にて形成され、そのフェライト系ステンレス鋼の成分が15Nb+2Mo≧10.5を満たし、析出相として存在するNbおよびMoの総量が0.2質量%以下であるため、高温強度および熱疲労特性を向上できるとともに、表面硬さが220HV以下であるため、高温の排気ガス環境下における耐熱性を向上できる。
(a)は耐熱性試験にて冷熱サイクルの繰り返しに供する状態を示す側面図であり、(b)は耐熱性試験における冷熱サイクルの繰り返し後の状態を示す側面図である。
以下、本発明の一実施の形態の構成について詳細に説明する。
ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、排気ガスのエネルギーを利用して内燃機関の熱効率を高めるターボチャージャーのハウジングであるターボハウジングの製造に用いられるものである。
このターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、0.02質量%以下のC(炭素)、0.5質量%以下のSi(ケイ素)、0.6質量%以上1.5質量%以下のMn(マンガン)、3質量%以下のNi(ニッケル)、16質量%以上25質量%以下のCr(クロム)、0.4質量%以上0.7質量%以下のNb(ニオブ)、1質量%以上2.5質量%以下のMo(モリブデン)、0.15質量%以下のAl(アルミニウム)、および、0.02質量%以下のN(窒素)を含有し、残部がFe(鉄)および不可避的不純物からなる。
Cは、クリープ特性等の高温強度を向上させる合金成分であるが、0.02質量%を超えて過剰に含有させると、加工性や低温靭性が低下する可能性がある。したがって、Cの含有量は0.02質量%以下(無添加を含まず。)とする。
Siは、耐スケール剥離性等の耐高温酸化性を向上させる合金成分であるが、0.5質量%を超えて過剰に含有させると、延性が低下し加工性が低下する可能性や、低温靭性が低下する可能性がある。したがって、Siの含有量は0.5質量%以下(無添加を含まず。)とする。
Mnは、耐スケール剥離性等の耐高温酸化性を向上させる合金成分であり、このような効果を奏するには0.6質量%以上含有させる必要がある。一方、1.5質量%を超えて過剰に含有させると、加工性および溶接性が低下する可能性がある。したがって、Mnの含有量は0.6質量%以上1.5質量%以下とする。なお、Mnはオーステナイト相安定化元素であるため、Crの含有量が少ない場合にMnの添加によりマルテンサイト相の形成が促進され、熱疲労特性および加工性が低下する可能性がある。このような熱疲労特性および加工性の低下を効果的に防止する観点からも、Mnの含有量は上記範囲内にすることが好ましい。
Niは、熱疲労特性および加工性の低下を防止する合金成分であるが、3質量%を超えて過剰に含有させると、オーステナイト相の析出によって熱疲労特性が低下する可能性がある。したがって、Niの含有量は、3質量%以下(無添加を含まず。)とする。
Crは、熱膨張係数の低下や、フェライト相を安定化させ耐酸化性を向上させて耐高温酸化性を向上させる合金成分であり、このような効果を奏するには16質量%以上含有させる必要がある。一方、25質量%を超えて過剰に含有させると、脆化するとともに、硬質化して加工性が低下する可能性がある。したがって、Crの含有量は16質量%以上25質量%以下とする。
Nbは、高温域での機械的強度を向上させるとともに、固溶強化により高温強度を向上させて熱疲労特性を向上させる合金成分であり、このような効果を奏するには、0.4質量%以上含有させる必要がある。一方、0.7質量%を超えて過剰に含有させると、溶接高温割れに対する感受性、加工性および低温靭性が低下する可能性がある。したがって、Nbの含有量は0.4質量%以上0.7質量%以下とする。
Moは、固溶強化により高温強度を向上させ熱疲労特性を向上させて、耐高温酸化性を向上させる合金成分であり、このような効果を奏するには1質量%以上含有させる必要がある。一方、2.5質量%を超えて過剰に含有させると、脆化するとともに、硬質化して加工性が低下する可能性がある。したがって、Moの含有量は1質量%以上2.5質量%以下とする。
Alは、フェライト系ステンレス鋼表面に緻密な保護性の酸化被膜を形成して耐酸化性を向上させる合金成分であるが、0.15質量%を超えて過剰に含有させると、低温靭性が低下する可能性がある。そこで、Alの含有量は、0.15質量%以下(無添加を含まず。)とする。
Nは、クリープ特性等の高温強度を向上させる合金成分であるが、0.02質量%を超えて過剰に含有させると、加工性や低温靭性が低下する可能性がある。したがって、Cの含有量は0.02質量%以下(無添加を含まず。)とする。
そして、ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼では、添加した合金元素を固溶状態とすることで加工性を確保する。
また、ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、NbおよびMoの含有量が上記範囲内において15Nb+2Mo≧10.5で示す関係を満たすことにより、高温強度が向上し、高温高サイクル疲労特性を向上する。なお、式中のNbはNbの含有量(質量%)を示し、式中のMoはMoの含有量(質量%)を示す。
さらに、ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、NbおよびMoの固溶強化により高温強度を向上することで、熱疲労特性を確保する。そのためには、冷延焼鈍板に存在する析出物中のNbおよびMoの総量、すなわち析出相として存在するNbおよびMoの総量を0.2質量%以下にすることが重要である。
ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、必要に応じて、1質量%以上2質量%以下のCu(銅)、および、1質量%以上2.5質量%以下のW(タングステン)うちの少なくとも1種を含有させることが好ましい。
Cuは、800℃以下での微細析出により高温強度を向上させ、熱疲労特性を向上させる合金成分であり、このような効果を奏するには、1質量%以上含有させる必要がある。一方、2質量%を超えて過剰に含有させると、硬質化して加工性が低下する可能性がある。したがって、Cuを含有させる場合の含有量は、1質量%以上2質量%以下とする。
Wは、固溶強化により高温強度を向上させ、熱疲労特性を向上させる合金成分であり、このような効果を奏するには、1質量%以上含有させる必要がある。一方、2.5質量%を超えて過剰に含有させると、硬質化して加工性が低下する可能性がある。したがって、Wを含有させる場合の含有量は、1質量%以上2.5質量%以下とする。
また、ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、必要に応じて、V(バナジウム)、Ti(チタン)およびZr(ジルコニウム)のうちの少なくとも1種を合計1質量%未満で含有させることが好ましい。
Vは、靭性を損なわずに高温強度を向上させる合金成分である。また、Tiは、析出強化により高温強度を向上させる合金成分である。さらに、Zrは、フェライト系ステンレス鋼表面の酸化被膜に固溶し被膜強度を向上させて、高温強度を高める合金成分である。これらV、TiおよびZrは、過剰に含有させると硬質化して加工性が低下する可能性がある。したがって、V、TiおよびZrを含有させる場合は、V、TiおよびZrのうちの少なくとも1種を合計1質量%未満で含有させることが好ましい。
また、ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、必要に応じて、0.02質量%以下のB(ホウ素)、および、2質量%以下のCo(コバルト)のうちの少なくとも1種を含有させることが好ましい。
Bは、低温靭性を向上させる合金成分であるが、0.02質量%を超えて過剰に含有させると、延性が低下し加工性が低下する可能性がある。したがって、Bを含有させる場合の含有量は0.02質量%以下が好ましい。
Coは、固溶強化により高温強度を向上させて熱疲労特性を向上させる合金成分であるが、2.0質量%を超えて過剰に含有させると、加工性や低温靭性を低下させる可能性がある。したがって、Coを含有させる場合の含有量は、2.0質量%以下とする。
また、ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、REM(希土類元素)、および、Ca(カルシウム)のうちの少なくとも1種を合計0.1質量%以下で含有させることが好ましい。
REMおよびCaは、フェライト系ステンレス鋼表面の酸化被膜に固溶し被膜強度を向上させて、高温強度を高める合金成分であるが、過剰に含有させると、硬質化して加工性が低下する可能性や、製造時に表面疵が生じやすくなり製造性が低下する可能性がある。したがって、REMおよびCaを含有させる場合には、REMおよびCaのうちの少なくとも1種を合計0.1質量%以下で含有させることが好ましい。
上記範囲内で所定の成分組成にて溶製されたターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍が施されて冷延焼鈍板とされる。また、この冷延焼鈍板を用いてターボハウジングがプレス成形される。
なお、ターボハウジングは、高温の排気ガス環境下において使用されるため、使用状態においては、少なくとも一部の材料温度が900℃を超える温度環境下に曝されて加熱されることになる。
そのため、ターボハウジングは、ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼を溶製しプレス成形した後に焼鈍を行うことにより、加工(プレス成形)の際に導入されたひずみを除去するとともに、そのターボハウジングを構成するステンレス鋼の表面のビッカース硬さを220HV以下に調整すると、使用状態に加熱による変形を抑制できるので好ましい。
そして、上記ターボハウジングによれば、用いられるフェライト系ステンレス鋼を構成する成分の各元素の含有量が上述のように所定の範囲で制御されているため、冷延焼鈍板にて各元素が固溶状態となり、加工性を向上できる。その結果、上記フェライト系ステンレス鋼を用いてプレス成形適用可能である。
また、NbおよびMoの含有量が、上記範囲内において15Nb+2Mo≧10.5の式で示す関係を満たすとともに、析出相として存在するNbおよびMoの総量を0.2質量%以下とすることにより、NbおよびMoによる固溶強化作用を確保できるため、NbおよびMoの固溶強化により高温強度を向上でき、熱疲労特性を向上できる。したがって、高温の排気ガス環境下における耐熱性を向上できる。
その結果、上記ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼を用いてプレス成形され焼鈍されたターボハウジングは、使用状態において、少なくとも一部の材料温度が900℃を超える高温の排気ガス環境下においても変形や酸化が生じにくい。
すなわち、高温の排気ガス環境下で使用しても、ターボハウジングと、このターボハウジング内で回転する回転体であるターボとのクリアランスを所定の範囲以内に維持できる。
また、ターボチャージャーの駆動時に加熱と冷却とが繰り返されても、加熱および冷却の繰り返しによる熱疲労特性が良好である。
さらに、耐加速酸化性および耐スケール剥離性等の高温酸化特性が良好であり、高温の排気ガス環境下での使用に適用しやすい。
また、高温高サイクル疲労特性が良好であり、高温の排気ガス環境下におけるターボチャージャーの動作に適用しやすい。
上記ターボハウジング用フェライト系ステンレス鋼は、必要に応じてCuおよびWのうちの少なくとも1種を上記範囲で含有させることにより、析出強化や固溶強化により高温強度を向上でき、熱疲労特性を向上できる。
また、必要に応じてV、TiおよびZrのうちの少なくとも1種を上記範囲で含有させることのより、析出強化や固溶強化により高温強度を向上でき、熱疲労特性を向上できる。
さらに、BおよびCoのうちの少なくとも1種を上記範囲で含有させることにより、低温靭性や高音強度を向上できる。
また、REMおよびCaのうちの少なくとも1種を上記範囲で含有させることにより、被膜強度を向上できるため、高温強度を向上できる。
ターボハウジングは、プレス成形後に焼鈍を施して鋼板表面のビッカース硬さを220HV以下にすることにより、高温の排気ガス環境下における使用での加熱による変形を抑制できる。
以下、本実施例および比較例について説明する。
まず、表1に示す成分のフェライト系ステンレス鋼を溶製した。なお、表1における各元素の含有量は質量%で示す。また、表1では、NbおよびMoの含有量に基づく15Nb+2Moの値を、式(1)の値として示す。
Figure 0006639073
表1に示す各成分で溶製したフェライト系ステンレス鋼を熱間圧延、冷間圧延および焼鈍を順次施して冷延焼鈍板の供試材とした。
各供試材を用いて、加工性に関する引張試験と、耐熱性に関する熱疲労試験、高温強度試験および高温酸化試験とをそれぞれ行った。
引張試験では、常温での引張試験による伸びで加工性を評価した。すなわち、破断伸びが30%以上だったのもの加工性が良好であると判断して○と評価し、破断伸びが30%未満だったものを×と評価した。
高温強度試験は、900℃での0.2%耐力を測定した。そして、0.2%耐力が25MPa以上のものを高温強度が良好であると判断して○と評価し、25MPa未満のものを×と評価した。
熱疲労試験では、冷延焼鈍板である上記各供試材をパイプ状に造管して試験片とし、拘束率20%にて、200℃から900℃で加熱と冷却とを繰り返した。そして、熱疲労寿命が1000サイクル以上のものを熱疲労特性が良好であると判断して○と評価し、熱疲労寿命が1000サイクル未満だったものを×と評価した。
高温酸化試験は、10%水蒸気中にて室温から900℃までの加熱と900℃から室温までの冷却とを繰り返す断続酸化試験を行った。そして、スケール剥離による酸化減量がないものを高温酸化特性が良好であると判断して○と評価し、スケール剥離による酸化減量があったものを×と評価した。
これら引張試験、熱疲労試験、高温強度試験および高温酸化試験の結果を表2に示す。
Figure 0006639073
表2に示すように、本実施例のいずれも加工性および耐熱性が良好であった。
一方、式(1)の値が10.5未満であるか、または、析出物中のNbおよびMoの総量が0.2質量%より多い比較例である鋼種番号10、鋼種番号11、鋼種番号12、鋼種番号14および鋼種番号15は、熱疲労特性および高温強度が低かった。
MoやMnの含有量が上記範囲より少ない比較例である鋼種番号12、鋼種番号13および鋼種番号14は、高温酸化特性が低かった。
次に、各供試材に関して、図1(a)に示す形状に加工する際の成形性試験、および、最高排気ガス温度950℃での冷熱サイクル繰り返しによる耐熱性試験を行った。
成形性試験は、各供試材を図1(a)に示す形状にプレス成形した後に割れの観察を行った。そして、割れが未発生のものを加工性が良好であると判断して○と評価し、割れが発生したものを×と評価した。
耐熱性試験は、成形試験にて加工性が良好であったものの一部に関して、焼鈍にて硬さを調整した場合と焼鈍を行わず硬さを調整しなかった場合とで、図1(a)に示すように固定した状態で冷熱サイクルを繰り返した。そして、図1(b)に示すように冷熱サイクルを繰り返した後の状態にて、変形量と、亀裂の発生と、加速酸化の発生とを評価した。
なお、耐熱性試験前に焼鈍を行ってビッカース硬さを220HV以下に調整したものを○で示し、耐熱性試験前に焼鈍を行わずにビッカース硬さを調整しなかったものを×で示した。
変形量の評価は、冷熱サイクルの繰り返し前の外形の寸法をWとし、冷熱サイクルの繰り返し後の外形寸法をWとし、冷熱サイクルの繰り返し前後での外形寸法の変形量の絶対値をΔWとすると、ΔW=W−Wとなる。そして、ΔWが500μm以下のものを変形量が良好と判断して○と評価し、ΔWが500μmを超えたものを×と評価した。
亀裂および加速酸化の評価は、冷熱サイクルを繰り返し後に亀裂および加速酸化をそれぞれ別個に観察した。そして、未発生のものを良好と判断して○と評価し、それ以外を×と評価した。
これら成形性試験および耐熱性試験の結果を表3に示す。
Figure 0006639073
表3に示すように、上記引張試験において伸びが30%未満であった比較例である鋼種番号11や鋼種番号14は、加工後に割れが発生したのに対し、伸びが30%以上だったものはいずれも割れが確認されず、加工性が良好であった。
耐熱性試験では、成形性試験にて割れが確認されなかった本実施例である鋼種番号1および鋼種番号3と、同様に割れが確認されなかった比較例である鋼種番号10および鋼種番号13とを用いて評価に供した。
変形量の評価では、本実施例である鋼種番号1および鋼種番号3と比較例である鋼種番号10とは、焼鈍による硬さ調整を行わなかった場合は、上記基準より変形量が大きかったが、焼鈍による硬さ調整を行った場合は上記基準より変形量が少なく良好だった。
一方、MnやMoの含有量が上記範囲より少ない比較例である鋼種番号13は、焼鈍による硬さ調整の有無に関わらず、上記基準より変形量が大きかった。
亀裂の発生の評価では、本実施例である鋼種番号1および鋼種番号3と比較例である鋼種番号13とは、焼鈍による硬さの調整の有無に関わらず、熱疲労による亀裂の発生は確認されなかった。
一方、析出物中のNbおよびMoの総量が0.2質量%より多い比較例である鋼種番号10は、焼鈍による硬さ調整の有無に関わらず、熱疲労による亀裂が発生していた。
加速酸化の発生の評価では、本実施例である鋼種番号1および鋼種番号3と、比較例である鋼種番号10とは、焼鈍による硬さ調整の有無に関わらず、加速酸化が確認されなかった。
一方、MnやMoの含有量が上記範囲より少ない比較例である鋼種番号13は、焼鈍による硬さ調整の有無に関わらず、加速酸化が発生していた。
これら結果から、本実施例である鋼種番号1および鋼種番号3は、ターボハウジングへの二次加工性を含む加工性が良好であるだけでなく、変形量も小さく、熱疲労による亀裂の発生や加速酸化の発生もないため、耐熱性が良好であることが示される。

Claims (7)

  1. C:0.02質量%以下(無添加を含まず)、Si:0.5質量%以下(無添加を含まず)、Mn:0.6質量%以上1.5質量%以下、Ni:3質量%以下(無添加を含まず)、Cr:16質量%以上25質量%以下、Nb:0.4質量%以上0.7質量%以下、Mo:1質量%以上2.5質量%以下、Al:0.15質量%以下(無添加を含まず)およびN:0.02質量%以下(無添加を含まず)を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、15Nb+2Mo≧10.5を満たす成分のフェライト系ステンレス鋼で構成され、析出相として存在するNbおよびMoの総量が0.2質量%以下であるターボハウジングであって、
    表面硬さが220HV以下である
    ことを特徴とするターボハウジング。
  2. フェライト系ステンレス鋼は、Cu:1質量%以上2質量%以下およびW:1質量%以上2.5質量%以下のうちの少なくとも1種を含有する
    ことを特徴とする請求項1記載のターボハウジング。
  3. フェライト系ステンレス鋼は、V、TiおよびZrのうちの少なくとも1種を合計1質量%未満で含有する
    ことを特徴とする請求項1または2記載のターボハウジング。
  4. フェライト系ステンレス鋼は、B:0.02質量%以下およびCo:2質量%以下のうちの少なくとも1種を含有する
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のターボハウジング。
  5. フェライト系ステンレス鋼は、希土類元素およびCaのうちの少なくとも1種を合計0.1質量%以下で含有する
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載のターボハウジング。
  6. プレス成形後に焼鈍されており、
    使用状態にて少なくとも一部の材料温度が900℃を超える温度環境下に曝される
    ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載のターボハウジング。
  7. C:0.02質量%以下(無添加を含まず)、Si:0.5質量%以下(無添加を含まず)、Mn:0.6質量%以上1.5質量%以下、Ni:3質量%以下(無添加を含まず)、Cr:16質量%以上25質量%以下、Nb:0.4質量%以上0.7質量%以下、Mo:1質量%以上2.5質量%以下、Al:0.15質量%以下(無添加を含まず)およびN:0.02質量%以下(無添加を含まず)を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、15Nb+2Mo≧10.5を満たす成分で構成されたフェライト系ステンレス鋼をプレス成形し、プレス成形後に焼鈍し、析出相として存在するNbおよびMoの総量が0.2質量%以下、表面硬さが220HV以下である
    ことを特徴とするターボハウジングの製造方法。
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