JP6637656B2 - 角膜内皮細胞を含有する移植用組成物 - Google Patents

角膜内皮細胞を含有する移植用組成物 Download PDF

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Description

本発明は,ヒトへの移植用に調製されたヒト角膜内皮細胞を含有する組成物に関し,より詳しくは,エピガロカテキンガレートを含有する溶液中にヒト角膜内皮細胞を含んでなる,ヒトへの移植用に調製された組成物に関する。
角膜は,外側から内側に向かって,角膜上皮,ボーマン膜,角膜実質層,デスメ膜,角膜内皮の5層の細胞層から成る透明な組織であり,血管はないが神経は分布している。角膜の透明度は,角膜実質層と角膜内皮によって維持される。
角膜内皮機能不全は失明の主要な原因の一つであり,角膜の透明度を維持するための角膜内皮の機能が喪失することにより,視野が損なわれる。角膜内皮機能不全は,角膜内皮が変性,壊死又は物理的に脱落する等によって引き起こされる。角膜内皮細胞の機能不全により引き起こされる疾患として,水疱性角膜症がある。水疱性角膜症は,角膜内皮細胞の機能の一つである角膜内の水分量を調節するポンプ機能が損なわれ,その結果角膜内の水分が排出されなくなり,角膜が浮腫状に混濁する重度の角膜内皮機能不全である。また,浮腫のために角膜上皮が剥離する場合もある。角膜内皮の機能不全を原因とする疾患には,水疱性角膜症の他に,角膜浮腫,角膜白斑,円錐角膜等が挙げられる。
角膜内皮の機能不全を原因とする疾患の治療法として,角膜内皮細胞を培養し,これを角膜内皮機能不全患者に移植して角膜内皮の機能を回復することが検討されている。例えば,角膜内皮細胞を羊膜上で培養して移植用の角膜内皮様シートを製造する方法が報告されている(特許文献1及び2)。また,角膜内皮細胞をフィブロネクチンで被覆したコラーゲンシート上で培養して移植用の角膜内皮様シートを製造する方法(特許文献3),角膜内皮細胞をセルロース基材上で培養して移植用の角膜内皮様シートを製造する方法(特許文献4)も報告されている。また,角膜内皮細胞の培養に用いる培地についても,種々のものが報告されている(非特許文献1)。
角膜内皮細胞の培養における問題として,角膜内皮細胞が培養中に形態変化し,線維芽細胞様細胞となることがある(特許文献4及び非特許文献2)。そこで,角膜内皮細胞をRhoキナーゼ阻害剤の存在下で培養することにより,角膜内皮細胞の形態変化を防止するとともに,角膜内皮細胞の接着を促進し,高い細胞密度を持った移植用の角膜内皮細胞層を製造する方法が報告されている(特許文献5)。なお,RhoキナーゼはヒトES細胞が培養時に細胞死するときに活性化することが知られており,Rhoキナーゼを阻害するROCK阻害剤((+)-トランス-4-(1-アミノエチル)-1-(4-ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン,1-(5-イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン等)は,かかる細胞死を阻害することが知られている(非特許文献3)。その他,TGFβ阻害剤(ALK-5阻害剤等)が培養中の角膜内皮細胞の形態変化を防止する効果を有することが報告されている(特許文献6)。
角膜組織から得られた角膜内皮細胞を,角膜内皮細胞培養用培地を用いて培養し増殖させて得られた細胞は,一旦凍結させると角膜内皮細胞としての機能を喪失するおそれがある。従って,移植用に用いる角膜内皮細胞は,培養して増殖させた後,凍結保存等することなく,細胞懸濁液等の形態の移植用の組成物として調製させた後に,患者に速やかに移植することが好ましい。しかし,例えば,移植用の細胞を細胞懸濁液として調製してから,その細胞懸濁液を患者に移植するまでに,施術の準備等の都合により時間を要することも考えられる。そうすると,その間に折角調製した細胞が,細胞死等の経時的変化を起こし,もはや移植用の細胞として使用できない事態が起こりうる。かかる事態を回避するため,移植用の細胞は,移植用の組成物として調製してからの経時的変化が防止されて,可能な限り長時間,移植用の細胞として適した状態に保たれることが望まれる。角膜内皮細胞の経時的変化を防止するための保存液として,Rhoキナーゼを阻害するROCK阻害剤である1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン(ファスジル),(+)−トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン(Y−27632)を含有する保存液が報告されている(特許文献7)。
エピガロカテキンガレートは,カテキンの一種であり抗酸化活性を有する。細胞又は臓器の保存液として,エピガロカテキンガレートを含有するものが種々報告されている(特許文献8〜15)。また,無機イオン類,D−グルコース,アミノ酸,pH調整剤,及びエピガロカテキンガレート等を含有し,ヒト角膜内皮組織を4℃で少なくとも2週間好適に保存し得る組織用冷蔵保存液であるセリオキープ/ThelioKeep(登録商標,株式会社バイオベルデ)が市販されている。
特開2004−24852号公報 特開2006−187281号公報 特開2005−229869号公報 特開2006−204527号公報 WO2009/028631 WO2013/100208 特開2013−151576号公報 特開2000−344602号公報 特開2003−267801号公報 特開2006−188436号公報 特開2008−061524号公報 WO2004/019680 特開2000−344602号公報 特開2006−188436号公報 特開2010−124821号公報
Peh GSL. et al., Transplantation. 91, 811-9 (2011) Koizumi N. et. al., The science Engineering Review of Doshisha Univ. 52, 31-36 (2012) Watanabe K. et al., Nat Biotechnol. 25, 681 (2007)
上記背景の下で,本発明の目的は,ヒトへの移植用に調製されたヒト角膜内皮細胞を含有する組成物に関し,詳しくは,エピガロカテキンガレートを含有するヒト角膜内皮細胞を懸濁させた細胞懸濁液からなる,低温で少なくとも72時間保存可能な,ヒトへの移植用の組成物を提供することである。
上記目的に向けた研究において,本発明者らは,鋭意検討を重ねた結果,ヒト角膜内皮細胞が,エピガロカテキンガレートを含有する溶液中で比較的長時間,懸濁状態で保存できることを見出し,本発明を完成した。すなわち,本発明は以下を提供する。
(1)エピガロカテキンガレートを含有する溶液中にヒト角膜内皮細胞を含んでなる,角膜内皮機能不全患者にヒト角膜内皮細胞を移植するために調製された,組成物。
(2)該エピガロカテキンガレートの濃度が15〜35μg/mLである,上記(1)の組成物。
(3)該エピガロカテキンガレートの濃度が25μg/mLである,上記(1)の組成物。
(4)該ヒト角膜内皮細胞の濃度が,1×106〜4×106個/mLである,上記(1)〜(3)の何れかの組成物。
(5)該ヒト角膜内皮細胞の濃度が, 2.5x106個/mLである,上記(1)〜(3)の何れかの組成物。
(6)該角膜内皮機能不全患者が,水疱性角膜症,角膜浮腫,角膜白斑及び円錐角膜からなる群から選択される何れかの疾患に罹患しているものである,上記(1)〜(5)の何れかの組成物。
(7)一つの眼球あたり,1回に1×105〜8×105個の該ヒト角膜内皮細胞が投与されるものである,上記(1)〜(6)の何れかの組成物。
(8)該調製後に,凍結されることなく該移植に用いられるものである,上記(1)〜(7)の何れかの組成物。
(9)該ヒト角膜内皮細胞が,ヒト角膜組織から得たヒト角膜内皮細胞を,間葉系幹細胞の馴化培地からなる又は該馴化培地を含有する,角膜内皮細胞培養用培地を用いて培養して増殖させたものである,上記(1)〜(8)の何れかの組成物。
(10)該角膜内皮細胞培養用培地が,該馴化培地を0.5〜50%(v/v)の比率で含有するものである,上記(9)の組成物。
(11)該角膜内皮細胞培養用培地が,該馴化培地を3〜10%(v/v)の比率で含有するものである,上記(9)の組成物。
(12)該馴化培地が,該間葉系幹細胞を,コンドロイチン硫酸又はその塩を0.04〜0.12%(w/v)濃度で含有する培地で培養することにより得られたものである,上記(9)〜(11)の何れかの組成物。
(13)該コンドロイチン硫酸又はその塩の濃度が0.08%(w/v)である,上記(12)の組成物。
本発明によれば,高い細胞生存率を維持し,角膜内皮機能不全患者に移植し得るヒト角膜内皮細胞を含む組成物を得ることができるので,角膜内皮機能不全患者に移植するために,ヒト角膜内皮細胞を調製する際の時間的制約が大幅に緩和される。例えば,ヒト角膜内皮細胞を含む組成物が調製後72時間保存可能であれば,施術の準備等の都合により手術日が当初の予定より1〜3日遅れる場合にも対応できる。また,輸送に1〜3日を要する遠方の医療施設にも供給可能となるので,例えば,製造拠点を日本国内に1箇所設けるだけで,日本全国への供給体制を整えることができる。
本発明において,ヒト角膜内皮細胞は,ヒト角膜組織から分離されたものである。かかるヒト角膜組織は,研究用ヒト角膜組織として市販されているものを用いることができるが,ヘルシンキ宣言,各国法令,各国規制当局の通知等によって定められた基準,及びこれらに基づき作成された倫理規定を遵守することを条件に,その他のヒト角膜組織を使用することもできる。
本発明におけるヒト角膜内皮細胞は,ヒト角膜組織から角膜内皮細胞を得て,これを細胞培養用フラスコ中で,間葉系幹細胞(MSC)の馴化培地を含む角膜内皮細胞培養用培地を用いて培養して増殖させて得られたものであり,特に,顕微鏡下で観察したときに,細胞培養用フラスコの底面上で一層の多角形の形状を示す細胞,及びこれらをトリプシン等の酵素で処理した後に溶液中に懸濁させた細胞のことをいう。
間葉系幹細胞(MSC)の馴化培地を調製するために用いられる間葉系幹細胞は,未分化の状態で増殖し,少なくとも2種類の細胞へ分化することが可能な,間葉に由来する幹細胞又はその前駆細胞である。間葉系幹細胞から分化誘導される細胞は,例えば骨芽細胞,軟骨芽細胞,脂肪芽細胞である。
本発明において用いられる間葉系幹細胞は,好ましくはヒト間葉系幹細胞(hMSC)である。MSCは,骨髄,脂肪組織,歯髄,臍帯血,胎盤,羊膜等,種々の組織から取得できることが知られている。本発明において使用するMSCは,これら取得先の組織に関わらず,いずれのものでも使用できるが,好ましくは,骨髄由来のMSCである。また,MSCは,種々の方法により取得できるが,例えば骨髄由来のMSCの場合,特許文献(特表平7-500001)等に記載の手法で取得することができる。
本発明において用いられるヒト間葉系幹細胞は,表面抗原の発現パターンによりさらに特定することができ,特異的抗体を用いたフローサイトメトリー解析をした場合,好ましくは,CD29,CD44及びCD105が陽性であり,CD34及びCD45が陰性であり,より好ましくは,CD29,CD44,CD73,CD90及びCD105が陽性であり,CD34及びCD45が陰性であり,さらに好ましくはCD13,CD29,CD44,CD73,CD90,CD105及びCD166が陽性であり,CD34及びCD45が陰性であり,最も好ましくは,CD13,CD29,CD44,CD49a,CD49e,CD73,CD90,CD105及びCD166が陽性であり,CD34及びCD45が陰性である。
本発明において,間葉系幹細胞の馴化培地(MSC馴化培地)というときは,培地中で間葉系幹細胞を培養した後に,該細胞を除去して得られる培地のことをいう。
本発明において,MSC馴化培地を調製するためにMSCの培養に使用するMSC培養用培地は,MSCを培養できる培地である限り特に制限はなく,例えば,ウシ胎児血清(FCS)を含有するフィットン−ジャクソン改変BGJb培地,ウシ胎児血清(FCS)を添加したF−12栄養素混合物培地(Ham),ウシ胎児血清(FCS)を添加したDMEM培地,ウシ胎児血清(FCS) を添加したダルベッコ/ハムF12 1:1混合培地,ウシ胎児血清(FCS)及び4mMアラニルグルタミンを添加したダルベッコ/ハムF12 1:1混合培地,ウシ胎児血清(FCS)を添加したOpti-MEMTM I Reduced-Serum Medium, Liquid(Gibco社製),ウシ胎児血清(FCS),200μg/mL CaCl2・2H2O及び0.08%(w/v) コンドロイチン硫酸又はその塩,例えばナトリウム塩を添加したOpti-MEMTM I Reduced-Serum Medium, Liquid(Gibco社製)等が使用できる。上記培地に含まれるFCSの濃度は,好ましくは5〜20%(v/v)であり,より好ましくは6〜12%(v/v)であり,さらに好ましくは7.5〜10.5%(v/v)であり,特にOpti-MEMTM I Reduced-Serum Medium, Liquid(Gibco社製)を用いた場合は約8%(v/v),その他の基礎培地を用いた場合は約10%(v/v)である。なお,Opti-MEMTM I Reduced-Serum Medium, Liquid(Gibco社製)は,イーグル基礎培地に,HEPES,重炭酸ナトリウム,ヒポキサンチン,チミジン,ピルビン酸ナトリウム,L-グルタミン,インスリン,トランスフェリン等を添加した培地である。
本発明において,MSC馴化培地を調製するためのMSCの培養は,MSCを,細胞培養用フラスコに,好ましくは1×103〜2×104個/cm2の密度で,より好ましくは2×103〜1×104個/cm2の密度で,さらに好ましくは3〜5×103個/cm2の密度で播種して開始される。また,このとき培養面積1cm2当たりに加えられるMSC培養用培地の量は,好ましくは0.15〜0.5mLであり,さらに好ましくは0.2〜0.3mLである。また,このとき用いられる細胞培養用フラスコは,好ましくは底面がコラーゲン,ファイブロネクチン等でコートされたフラスコ,又は底面がマイナスにチャージした官能基で修飾されたフラスコ,例えばプライマリカルチャーウェア(BD社製)である。培養開始後,MSCは,細胞培養用フラスコの底面を,好ましくは30〜80%,さらに好ましくは50〜70%を細胞が占めるまで培養される。次いで培地を回収(初回の回収)し,新しい培地に交換してさらに細胞を培養する。このとき培養面積1cm2当たりに加えられる培地の量は,好ましくは0.15〜0.5mLであり,さらに好ましくは0.2〜0.3mLである。細胞を培地交換後,好ましくは8〜24時間,さらに好ましくは12〜18時間培養した後,培地を回収(第2回の回収)する。さらに,同様にして培地の交換と回収を,好ましくは3〜7回,さらに好ましくは3〜5回繰り返す(第3回以降の回収)。
初回の回収,第2回の回収及び第3回以降の回収で回収された培地は,いずれもMSC馴化培地として使用可能であり,これらを混ぜ合わせてMSC馴化培地とすることもできるが,第2回の回収以降で回収された培地がMSC馴化培地として特に好適に用いられる。また,このときのMSC馴化培地の回収は,好ましくは培養液を遠心して上清を回収することにより行う。回収後のMSC馴化培地は,適宜膜ろ過等により除菌,濃縮をすることもできる。また,MSC馴化培地は冷凍することができるので,凍結状態で長期保存,輸送等が可能である。但し,MSC馴化培地は4℃でも10〜14日間は保存可能である。
本発明において,MSC馴化培地は,ヒト角膜内皮細胞培養用の培地としてそのまま使用可能であるが,上皮増殖因子(EGF),塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),神経成長因子(NGF),インスリン,トランスフェリン,及びインスリン様成長因子(IGF)等の成長因子,並びにアスコルビン酸,コンドロイチン硫酸,及び抗生物質等から選択されるその他の成分を,一種若しくはニ種以上,適宜添加して使用することもできる。培地にEGFを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜50ng/mLであり,より好ましくは5〜40ng/mLであり,さらに好ましくは約20ng/mLである。培地にbFGFを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜20ng/mLであり,より好ましくは3〜7ng/mLであり,さらに好ましくは約5ng/mLである。培地にNGFを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜25ng/mLであり,より好ましくは3〜7ng/mLであり,さらに好ましくは約5ng/mLである。インスリンを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜200μg/mLである。トランスフェリンを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜200μg/mLである。培地にアスコルビン酸(又はその塩)を添加する場合,その濃度は,アスコルビン酸として,好ましくは5〜40μg/mLであり,より好ましくは10〜30μg/mLであり,さらに好ましくは約20μg/mLである。コンドロイチン硫酸(又はその塩)を添加する場合,その濃度は,好ましくは0.04〜0.12%(w/v)であり,より好ましくは0.06〜0.10%(w/v)であり,さらに好ましくは約0.08%(w/v)である。
MSC馴化培地は,そのままヒト角膜内皮細胞培養用の培地として使用することができるが,MSC馴化培地を他の培地に添加したものをヒト角膜内皮細胞培養用の培地として使用することもできる。この場合の,他の培地に添加するMSC馴化培地の量は,他の培地の液量に対して,好ましくは0.5〜80%(v/v)であり,より好ましくは0.5〜50%(v/v)であり,さらに好ましくは3〜10%(v/v)の液量である。
MSC馴化培地を添加する上記の他の培地は,先行文献(Peh GSL. et al., Transplantation 91, 811-9 (2011)等)に開示されているヒト角膜内皮細胞培養用の培地が好ましく,例えば,8%(v/v) FCS,200μg/mL CaCl2・2H2O,0.08%(w/v) コンドロイチン硫酸,20μg/mL アスコルビン酸, 5ng/mL EGFを添加したOpti-MEM I Reduced-Serum Medium, Liquid培地(Gibco社製)である。また,培地に,上皮増殖因子(EGF),塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),神経成長因子(NGF),インスリン,トランスフェリン,インスリン様成長因子(IGF)等の成長因子,アスコルビン酸,コンドロイチン硫酸,抗生物質等から選択されるその他の成分を,一種又はニ種以上,適宜添加して使用することもできる。培地にEGFを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜50ng/mLであり,より好ましくは5〜40ng/mLであり,さらに好ましくは約20ng/mLである。培地にbFGFを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜20ng/mLであり,より好ましくは3〜7ng/mLであり,さらに好ましくは約5ng/mLである。培地にNGFを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜25ng/mLであり,より好ましくは3〜7ng/mLであり,さらに好ましくは約5ng/mLである。インスリンを添加する場合,その濃度は,好ましくは1〜200μg/mLである。トランスフェリンを添加する場合,その濃度は,1〜200μg/mLである。培地にアスコルビン酸(又はその塩)を添加する場合,その濃度は,アスコルビン酸として,好ましくは5〜40μg/mLであり,より好ましくは10〜30μg/mLであり,さらに好ましくは約20μg/mLである。コンドロイチン硫酸(又はその塩)を添加する場合,その濃度は,好ましくは0.04〜0.12%(w/v)であり,より好ましくは0.06〜0.10%(w/v)であり,さらに好ましくは約0.08%(w/v)である。また,培地には,適宜,ゲンタマイシン等の抗生物質,フェノールレッド等のpH指示薬を添加することもできる。
本発明において,ヒト角膜内皮細胞培養用の培地として,ヘキサヒドロ-1-(イソキノリン-5-イルスルホニル)-1H-1,4-ジアゼピン(ファスジル),1-(5-イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン(Y-27632),グリシルH-1152ジヒドロクロリド,3-(4-ピリジル)インドール,N-(4-ピリジル)-N'-(2,4,6-トリクロロフェニル)ウレア等のRhoキナーゼ阻害剤(これらの塩及び水和物を含む)を添加したものを使用することもできる。Rhoキナーゼ阻害剤としてY-27632を添加する場合,その濃度は,好ましくは0.5〜20μMであり,より好ましくは5.0〜15μMであり,さらに好ましくは約10μMである。
また,ヒト角膜内皮細胞培養用の培地として,SB431542,A-83-01等のALK-5阻害剤(これらの塩及び水和物を含む)を添加したものを使用することもできる。ALK-5阻害剤としてSB431542を添加する場合,その濃度は,好ましくは0.5〜1.5μMであり,より好ましくは0.7〜1.2μMであり,さらに好ましくは約1μMである。ALK-5阻害剤は単独で,又はRhoキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用することもできる。
本発明において,ヒト角膜内皮細胞の培養は,MSC馴化培地,MSC馴化培地を含有する培地,又はこれらの培地にEGF,bFGF,NGF,IGF,及びインスリン等の成長因子,並びにアスコルビン酸,コンドロイチン硫酸,抗生物質,Rhoキナーゼ阻害剤,及びALK-5阻害剤等から選択されるその他の成分を一種又はニ種以上加えた培地を,ヒト角膜内皮細胞培養用の培地として用いることにより,行われる。また,ヒト角膜内皮細胞の培養において用いられる細胞培養用フラスコは,好ましくは底面がコラーゲン,ファイブロネクチン等でコートされたフラスコ,又は底面がマイナスにチャージされた官能基で修飾されたフラスコ,例えばプライマリカルチャーウェア(BD社製)である。
本発明において,ヒト角膜組織から分離されたヒト角膜内皮細胞は,細胞培養用フラスコの底面を,好ましくは20〜50%,より好ましくは25〜40%,さらに好ましくは,約3分の1を細胞が占めるように播種されて初代培養される。初代培養において,ヒト角膜内皮細胞は,好ましくは細胞培養用フラスコの底面の70%以上を占めるまで,より好ましくはコンフルエントになるまで培養される。
ヒト角膜内皮細胞は,初代培養に引き続いて継代培養することも可能である。継代培養において,ヒト角膜内皮細胞は,細胞培養用フラスコの底面を,好ましくは20〜50%,より好ましくは25〜40%,さらに好ましくは,約3分の1を細胞が占めるように播種される。継代培養において用いるヒト角膜内皮細胞培養用の培地は,初代培養と同じものでも,初代培地と異なる組成の培地でもよい。継代培養において,ヒト角膜内皮細胞は,好ましくは細胞培養用フラスコの底面の70%以上を占めるまで,より好ましくはコンフルエントになるまで培養される。継代培養は,細胞を顕微鏡で観察したときに,細胞の形態等に変化が現れない限り,特に制限なく繰り返し行うことができるが,その回数は,好ましくは1〜5回である。初代培養及びそれに引き続いて行われる継代培養により,ヒト角膜組織から分離されたヒト角膜内皮細胞を200倍以上に増やすことが可能である。
本発明の組成物は,初代培養又は継代培養で得られたヒト角膜内皮細胞を,細胞培養用フラスコからトリプシン,コラゲナーゼ等の酵素を用いて剥離した後,PBS等を用いて洗浄して酵素を除去し,次いで,エピガロカテキンガレートを含有する溶液に懸濁させて調製されるか,エピガロカテキンガレートを含有しない溶液中にヒト角膜内皮細胞を懸濁させた後,この細胞懸濁液にエピガロカテキンガレートを添加して調製される。エピガロカテキンガレートは,下記の式(1)の化学式で示される。
Figure 0006637656
本発明の組成物に含まれるエピガロカテキンガレートの濃度は,好ましくは5〜40μg/mL,さらに好ましくは15〜35μg/mL,よりさらに好ましくは約25μg/mLである。また,該組成物に含まれるヒト角膜内皮細胞の密度は,好ましくは1.0×106〜4.0×106個/mL,さらに好ましくは1.5×106〜3.5×106個/mL,最も好ましくは約2.5×106個/mLである。該組成物中において,全てのヒト角膜内皮細胞が単一の細胞に分離した状態であることが好ましいが,一部の細胞が数個又はそれ以上の細胞を含む細胞塊を形成していることは,移植用の細胞として許容される。
本発明の組成物は,樹脂製又はガラス製の容器に収納されて,患者に移植されるまで保存される。細胞を収納した状態でこの容器をしばらく静置した場合,容器中でヒト角膜内皮細胞が沈殿する場合もあるが,かかる沈殿状態も,容器を軽く振とう又はピペッティングすることにより懸濁状態になることから,細胞が懸濁された状態にあるとみなすことができる。
本発明の組成物は,好ましくは,所望の濃度のエピガロカテキンガレートを添加した無血清培地又は細胞保存液等に,所望の細胞濃度となるように,遠心分離,膜分離等の方法で分離したヒト角膜内皮細胞を懸濁させて調製される。このとき用いられる無血清培地としては,Opti-MEM I Reduced Serum Medium(登録商標,Life Technologies社),イーグルスMEM等が好適であり,細胞保存液としてはセリオキープ/Theliokeep(登録商標,株式会社バイオベルデ)等の市販のものが好適であるが,セリオキープ/Theliokeepが特に好適である。また,リン酸塩,クエン酸塩,血清アルブミン,ゼラチン,アミノ酸(グリシン,グルタミン,アスパラギン,アルギニン,リジン等),グルコース等の単糖類,二糖類,EDTA等のキレート剤,マンニトール等の糖アルコール,塩化ナトリウム,金属イオン,アスコルビン酸等の抗酸化剤,非イオン性界面活性剤,ジメチルスルホキシド,酢酸リンゲル液,pH調整剤等を適宜混合したものを添加して,エピガロカテキンガレートが添加されるべき無血清培地又は細胞保存液を調製することもできる。
本発明の組成物は,角膜内皮機能不全患者に投与される直前に調製して,調製後速やかに使用することが好ましいが,施術の都合等により速やかな移植が困難な場合には,例えば,96時間,72時間,48時間,24時間,12時間,又は数時間等,その状況に応じて4℃で保存することもできる。本発明の組成物の角膜内皮機能不全患者への投与は,この組成物に含まれるヒト角膜内皮細胞を遠心して沈殿させた後,薬学的に許容し得る塩,所望により薬学的に許容し得るALK-5阻害剤,Rhoキナーゼ阻害剤等を含有する水溶液に懸濁させ,これを注射器に移し,注射針を通じて眼球内に注入して行われる。このとき,Rhoキナーゼ阻害剤としてY27632を使用する場合,その最終濃度は好ましくは50〜150μMであり,より好ましくは最終濃度が100μMである。また,一つの眼球あたり注入されるヒト角膜内皮細胞の数は,1回に1×105〜8×105個である。なお,本発明において,ヒト角膜内皮細胞を移植するというときは,培養して増殖させた自家又は他家のヒト角膜内皮細胞を,ヒトの眼球内に投与することをいい,投与の一手法として注射器により前房内へ局所注入する方法が挙げられる。ヒト角膜内皮細胞を移植された患者は,移植後少なくとも3時間,うつむき姿勢を維持した状態に置かれる。
本発明の組成物が移植されるべき患者は,角膜内皮機能不全患者の中でも,特に,角膜上での角膜内皮細胞の密度が約500個/mm以下となり,角膜内皮細胞のポンプ機能及びバリア機能の低下した患者であり,水疱性角膜症,角膜浮腫,角膜白斑,又は円錐角膜の患者である。かかる患者に本発明の組成物が投与されることにより,組成物に含まれるヒト角膜内皮細胞が角膜に定着するとともに増殖し,角膜上での角膜内皮細胞の密度が増加する。その結果,角膜内皮細胞のポンプ機能及びバリア機能が回復し,角膜内皮機能不全の諸症状が緩解され得る。
以下,実施例を参照して本発明を更に詳細に説明するが,本発明が実施例に限定されることは意図しない。
〔ヒト間葉系幹細胞の馴化培地(hMSC馴化培地)の作製〕
ヒト骨髄由来のヒト間葉系幹細胞を,5,000〜10,000 個/cm2の密度となるように150mm細胞培養用プレート(コーニング社製)に播種し,10% FCS/DMEM培地を用いてサブコンフルエントになるまで培養した。細胞を,PBS(-)で2回洗浄した後,トリプシン処理して細胞を細胞培養用プレートから剥離し,次いで10% FCS/DMEM培地を添加して懸濁した後,遠心(1200rpm,5分)して細胞を回収した。細胞を10% FCS/DMEM培地で懸濁して,3,000〜5,000個/cm2の密度となるように150mm細胞培養用プレート(コーニング社製)に播種し,細胞密度がプレート底面に対し50〜70%になるまで培養した。培地を捨て,8% FCS,200μg/mL CaCl2・2H2O,0.08%(w/v) コンドロイチン硫酸Cナトリウム(WAKO)及び50μg/mL ゲンタマイシンを添加したOpti-MEMTM I Reduced-Serum Medium, Liquid(Gibco社製)培地を40mL加えて,約16時間培養した。培養後,培地を回収して遠心(1500rpm,5分)し,得られた上清を0.2μmメンブランフィルターで濾過した。プレートに新しい培地を40mL加えて更に細胞を培養し,以後12〜24時間毎に培地の回収と新しい培地の添加を3〜5日間の間隔で繰り返して行った。回収した培地を遠心(1500rpm,5分)し,得られた上清を0.2μmメンブランフィルターで濾過した。濾過後の培地をヒト間葉系幹細胞の馴化培地(hMSC馴化培地)とした。hMSC馴化培地は,4℃又は凍結(-30℃)して保存し,4℃で保存する場合は,保存期限を10日間とした。このようにして調製したhMSC馴化培地は,以下に詳述するヒト角膜内皮細胞の初代培養及び継代培養において,ヒト角膜内皮細胞培養用基本培地に代えて,そのまま又は他の培地に添加して,ヒト角膜内皮細胞培養用の培地として使用することができる。
〔ヒト角膜内皮細胞の初代培養〕
研究用ヒト角膜組織(シアトルアイバンク社製)から,鑷子を用いてヒト角膜内皮細胞を基底膜(デスメ膜)とともに剥離させた。剥離させたヒト角膜内皮細胞に,コラゲナーゼ溶液(コラゲナーゼを1mg/mLの濃度で添加したOpti-MEMTM I Reduced-Serum Medium)を添加して静置し,基底膜よりヒト角膜内皮細胞を剥離させた。次いで細胞を軽く振り混ぜて懸濁させ,これにヒト角膜内皮細胞培養用基本培地(8% FCS,200μg/mL CaCl2・2H2O,0.08%(w/v) コンドロイチン硫酸Cナトリウム(WAKO), 20μg/mL アスコルビン酸,50μg/mL ゲンタマイシン,5ng/mL EGF,1μM SB431542(TOCRIS社製)及び10μM Y27632(和光純薬工業)を添加したOpti-MEM I Reduced-Serum Medium, Liquid培地,以下「基本培地」)を添加して遠心(1200rpm,5分)し,細胞を回収した。細胞を,基本培地で懸濁し,細胞培養用プレート(コーニング社製)に,フラスコの底面の3分の1が細胞で占められる密度となるように播種し,37℃,5%CO2存在下で培養した。初代培養は,細胞がコンフルエントに達するまで行い,この間,培地を2日毎に交換した。
〔ヒト角膜内皮細胞の継代培養〕
上記初代培養で,コンフルエントになるまで培養したヒト角膜内皮細胞を,培地を除去してPBS(-)で2回洗浄した後,トリプシン処理して剥離した。基本培地を加えて細胞を懸濁させた後,遠心して細胞を回収した。細胞を,基本培地で懸濁させて,細胞培養用プレートに,プレート底面の約3分の1が細胞で占められるように播種し,コンフルエントになるまで培養した。この間,培地を2日毎に交換した。
〔ヒト角膜内皮細胞の細胞保存試液中での保存〕
細胞培養用プレートから培地を除去し,PBS(-)で細胞を1回洗浄した後,細胞培養用プレートにPBS(-)を添加し,5%CO存在下,37℃で10分間,細胞を静置させた。PBS(-)を除去し,TrypLETM select 10×(Life Technologies)を添加し,5%CO存在下,37℃で10分間,細胞を静置させた。次いで,PBS(-)を添加し,細胞が単一の細胞にまで分離するようにピペッティングしてから,細胞を遠沈管に回収した。遠心(1200 rpm,5分)して細胞を沈殿させて上清を除去し,次いで基本培地を添加して細胞を懸濁させ,その一部を分取して生細胞数を計測した。
細胞を2×105個ずつ6本のチューブに分取し,遠心(1200 rpm,5分)して細胞を沈殿させて上清を除去した。各チューブに,(i)〜(vi))の6種類の細胞保存試液((i):セリオキープ,(ii):25μg/mLのエピガロカテキンガレートを含有するセリオキープ,(iii):10μM Y27632を含むOpti-MEM I Reduced-Serum Medium, Liquid,(iv):25μg/mLのエピガロカテキンガレートを含有し,10μM Y27632を含むOpti-MEM I Reduced-Serum Medium, Liquid,(v):オペガード(登録商標,千寿製薬株式会社),及び(vi):25μg/mLのエピガロカテキンガレートを含有するオペガード)をそれぞれ添加して細胞を懸濁させた後,遠心(1200 rpm,5分)して細胞を沈殿させて上清を除去した。次いで,(i)〜(vi)の6種類の細胞保存試液を80μLずつ,対応する各チューブにそれぞれ添加し,細胞を懸濁させた。懸濁させた細胞を4℃で72時間静置した後,トリパンブルー染色により細胞の生存率を測定した。
〔各細胞保存試液中でのヒト角膜内皮細胞の生存率〕
上記6種類の細胞保存試液中で4℃で72時間静置した後のヒト角膜内皮細胞の生存率は,(i):セリオキープで82.5%,(ii):25μg/mLのエピガロカテキンガレートを含有するセリオキープで96.7%,(iii):10μM Y27632を含むOpti-MEM I Reduced-Serum Medium, Liquidで5.1%,(iv):25μg/mLのエピガロカテキンガレートと10μM Y27632とを含むOpti-MEMTM I Reduced-Serum Medium, Liquidで67.3%,(v):オペガードで0%,及び(vi):25μg/mLのエピガロカテキンガレートを含有するオペガードで23.7%,であった。以上の結果は,25μg/mLのエピガロカテキンガレートを含有するセリオキープが,懸濁状態のヒト角膜内皮細胞の死滅を防止するうえで最も効果的であることを示すものであり,(ii)のエピガロカテキンガレートを含有する溶液中にヒト角膜内皮細胞を含んでなる組成物が,(i)〜(vi)の中で,角膜内皮機能不全患者への移植用組成物として最も好適であることを示すものである。また,仮に移植用の細胞に求められる好適な細胞の生存率を95%以上と想定すると,(ii)の細胞保存試液中での72時間経過後の細胞の生存率が96.7%であることから,(ii)の細胞保存試液を用いて調製した組成物に含まれるヒト角膜内皮細胞は,調製後少なくとも72時間は,角膜内皮機能不全患者への移植用に使用できる。
本発明によれば,角膜内皮機能不全患者に移植するためにヒト角膜内皮細胞を調製する際の時間的制約が大幅に緩和されることから,より確実に医療現場に移植用のヒト角膜内皮細胞を供給することができる。

Claims (2)

  1. エピガロカテキンガレートを含有する溶液中にヒト角膜内皮細胞を含んでなる, 角膜内皮機能不全患者にヒト角膜内皮細胞を移植するために調製された,組成物であって、該エピガロカテキンガレートの濃度が15〜35μg/mLである、組成物
  2. 該エピガロカテキンガレートの濃度が25μg/mLである,請求項1に記載の組成物。
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