以下、添付図面に基づいて本発明に係る宙吊り物品収納フィルム及び宙吊り物品収納容器について詳細に説明する。尚、以下の説明においては物品として果実「苺」を例に説明するが、「物品」には、果実としては苺の他、各種の果物(りんご、イチジク、桃等)を含み、トマト、ナス等の野菜も含まれる。さらには、食品以外の電子部品、食器等の各種の物をも含む概念である。勿論、宙吊り物品収納フィルムの物品収納凹部2は、収納される物品の外形状に沿った形状となるように塑性変形により形成されるものである。
(第1の実施形態)
図1(a)に本発明に係る宙吊り物品収納フィルム1Aの斜視図、(b)に(a)のA−A線断面図、(c)に(a)のB-B線断面図を示す
この宙吊り物品収納フィルム1Aは、表面1aに平坦部1’を介して複数(図1では8個)の果実収納凹部(物品収納凹部)2(凹部は下に凸)が塑性変形により形成されており、全体として略四角形状の熱可塑性合成樹脂薄フィルムから構成されるものである。尚、本実施形態では、苺を収納するための果実収納凹部2を示すが、これに限定されずその他、各種の果実を収納することが考えられる。勿論、果実収納凹部は収納される物品(果実)の形状に対応した形状の果実収納凹部となる。
この宙吊り物品収納フィルム1Aの原材料としての熱可塑性合成樹脂薄フィルムは、その厚さが10μm〜300μmの極めて薄い柔軟性のある透明又は半透明又は不透明のフィルムであり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、発泡ポリエチレン等の材質が用いられる。このフィルムの材質は、当該実施形態に限らず、以下説明する第2の実施形態、第3の実施形態における宙吊り物品収納フィルム1B,1Cにおいても同じである。
尚、図1において、上記フィルム1の平坦部1’の表面1a側を「上」、上記フィルム1の裏面1b側を「下」と定義して以下説明する(図6、図10においても同じ)。
この宙吊り物品収納フィルム1Aは、熱可塑性合成樹脂薄フィルムによる上記平坦部1’の外周において、当該フィルムの上記平坦部1’の周縁1”から引き続いて、熱可塑性合成樹脂薄フィルムが裏面1bの内側方向に入り込むように塑性変形されることにより周方向溝部3が、上記平坦部1’の裏面1b側の周囲に(本実施形態では全周に亘って)形成されている。
さらに、上記周方向溝部3の上記平坦部1’(表面1a)とは反対側の周縁(周方向溝部3の内側に入り込んだ部分の周縁)には、外方向に水平に延出する周方向延出部3’が、上記周方向溝部3に引き続いて、上記周方向溝3の周囲(本実施形態では全周に亘って)に塑性変形により形成されている(図1(b)(c)参照)。
このように上記宙吊り物品収納フィルム1Aは、平坦部1’の全周に亘り、裏面1b側に回り込むように周方向溝部3が塑性変形により形成され、さらに、上記周方向溝部3の裏面1b側の周囲には、上記周方向溝部3に引き続いて、当該周方向溝部3の全周に亘って、外方向に水平に、周方向延出部3’が塑性変形により形成されている。
次に、上記宙吊り物品収納フィルム1Aを真空成型により形成するための成型方法を説明する。
図2(a)に示すものは、図1の宙吊り物品収納フィルム1Aを真空成型により成型するための型(ブロック4A)であり、直方体形状のブロック4Aの上面に上記宙吊り物品収納フィルム1Aと略同様の面積の四角形状の平坦凹所5が形成され、当該平坦凹所5の中央部に上記果実収納凹部2を成型するための8個の果実収納凹所(物品収納凹所)6が形成され、かつ上記平坦凹所5の周縁の全周には、上記周方向溝部3を成型するための周方向側溝7(図2(b)(c)参照)が形成されている。この周方向側溝7の内面7’は、上記平坦凹所5の周縁5aよりも、水平方向に奥側(外周側)に入り込んだ状態で形成されており、上記周縁5aに対して、上記周方向側溝7の上面7”は直交している。即ち、上記上面7”は水平であり、開口方向(周縁5a方向)に向かうテーパ面は形成されていない。
尚、図2(b)(c)に示す上記ブロック4A内に形成された複数の吸引孔8は、空気を吸引するための孔である。これらの吸引孔8は、果実収納凹所6、上記周方向側溝7と当該ブロック4A下面との間を貫通している。図2にはこれらの吸引孔8を模式的に表しているが、実際はより細い複数の吸引孔8が形成されている(図8、図12においても同じ)。
上記型(ブロック4A)を使用して上記宙吊り物品収納フィルム1Aを成型するには、図3(a)に示すように、上記ブロック4Aを脚部25にて吸引台上に載置し、上記ブロック4Aの上面に熱した熱可塑性合成樹脂薄フィルム9を位置させ、その後、上記フィルム9を矢印P方向に下降して上記ブロック4Aの上記平坦凹所5を完全に閉鎖し、その後、上記ブロック4Aの下側から空気を矢印Q方向に吸引することにより、上記吸引孔8から下方に空気を吸引し、同図(a)に示すように、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム9を、上記ブロック4の上記平坦凹所5、果実収納凹所6、周方向側溝7の形状に沿って塑性変形する(図3(a)の塑性変形後の熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’参照)。
その後、図3(b)に示すように、上記ブロック4Aから熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’を取り出すことにより、上記宙吊り物品収納フィルム1Aを形成することができる。
特に、当該熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’は、極めて薄く、塑性変形後も柔軟性を有しているので、図3(a)の周方向側溝7(図2(b)、(c)参照)のように、上記平坦凹所5における上記周方向側溝7の奥部側の内面7’を、垂直面とし、さらに上記上面7”を水平面としても、当該熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’を変形させることにより、上記ブロック4Aから容易に離脱することができる。
即ち、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム9の塑性変形後、上記フィルム9’の周方向延出部3’を以って上記ブロック4Aから当該フィルム9を引き剥すように離脱することにより、図3(b)に示すように塑性変形された熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’を容易に形成することができる。
図3(b)に示す塑性変形後の熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’は、上記果実収納凹部2、周方向溝部3、周方向延出部3’は塑性変形により形成されているので、その後、上記果実収納凹部2を矢印K方向に逆転させることにより、図1に示す宙吊り物品収納フィルム1Aを形成することができる。
当該熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’は柔軟であるので、上記果実収納凹部2は容易に反転することができ、しかも塑性変形されているので、成型時の形状は維持される。勿論、この状態において(図3(b)又は図1(a)の状態において)、当該宙吊り物品収納フィルム1を、折り畳む、或いは、上下方向に潰して重ねる等して、収納運搬を行うことができるが、果実収納凹部2、周方向溝部3、周方向延出部3’等の塑性変形された部分の形状は失われず、塑性変形された形状を維持しているのである。
次に、上記宙吊り物品収納フィルム1Aが被覆される上面開口容器10Aについて図4に基づいて説明する。
同図に示す上面開口容器10Aは、硬質の合成樹脂から構成された透明又は半透明の上面開口トレーである。この上面開口容器10Aは、苺を収納するための汎用品であり、通常は、薄いスポンジ等の緩衝シートを敷いて、その上に複数の苺を載置し、上側に透明フィルムを被覆することにより、苺の果実収納容器として使用されるものである。
この上面開口容器10Aは、上面に開口部12が形成された直方体形状のトレーであり、上記開口部12の上縁に外周方向に水平に突出する周方向突出部13が周囲に(本実施形態では上記上縁の全周に亘って)形成され、容器の内部には平坦な底面14が形成されている。
この上面開口容器10Aは、上述のように、従来、苺の収納用としての汎用品であり、特に、本発明に係る宙吊り物品収納フィルム1Aを被覆するための特別な突出部或いは係合部等が形成されたものではない。
この上面開口容器10Aの上記周方向突出部13は、上記開口部12の上縁から水平方向外側に突出しており、その周端側はさらに緩やかに下降したテーパ部13aが形成されている(図4(b)(c)参照)。そして、この周方向突出部13に、上記宙吊り物品収納フィルム1Aの上記周方向溝部3が係合することになる。
ところで、当該上面開口容器10Aは汎用品であるが、上記宙吊り物品収納フィルム1Aは、当該汎用品である上面開口容器10Aの大きさに合わせて形成されるものである。従って、上記ブロック4A(図2参照)の四角形状の平坦凹所5を含む周方向側溝7の面積、即ち、周方向側溝7の側面7’を輪郭とする内側の平面の面積S1は、上記上面開口容器10Aの上記周方向突出部13の外周を輪郭とする面積S2に基づいて決定される。
より具体的には、上記平坦凹所5を含む上記内面7’を輪郭とする四角形状の内側の面積S1は、上記成型後の宙吊り物品収納フィルム1Aを上記上面開口容器10Aに図5に示すように被覆したとき、上記フィルム1Aの平坦部1’が前後左右に引っ張られ、ピンと張った状態となるように、上記フィルム1Aの伸びを考慮して、上記上面開口容器10Aの上記周方向突出部13の外周を輪郭とする上記面積S2より僅かに大きい、上記面積S2と略同一、又は上記面積S2より若干小さくなるように成型する(S1>S2、又はS1≦S2)。
上記ブロック4Aの上記面積S1が上記上面開口容器10Aの上記面積S2よりも大きい場合があるのは、上記真空成型時に上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム9の熱による収縮を考慮したもので、薄いフィルム(例えば厚みが10μm〜50μm程度)の場合は、熱によりフィルムが収縮する傾向にあるので、S1の面積をS2より若干大きくする場合がある。
上記面積が僅かに大きい、略同一又は若干小とは、熱可塑性合成樹脂フィルム9の材質、厚みにもよるが、例えば、ブロック4Aの上記内面7’の縦の長さ、横の長さを、上記上面開口容器10Aの周方向突出部13の縦の長さ、横の長さに対して各々+3mm〜0mm〜−5mmの範囲内の長さ、又は、各々+1mm〜0mm〜−3mmの範囲内の長さで増減することが考えられる。
何れにしても、成型後の宙吊り物品収納フィルム1Aの周方向溝部3の外縁により形成される四角形状の面積は、上記上面開口容器10Aの上記面積S2と略同一、上記面積S2よりも若干小となるように形成される。上記成型後の宙吊り物品収納フィルム1Aの上記面積が上記上面開口容器10Aの上記面積S2と略同一の場合があるのは、宙吊り物品収納フィルム1Aの厚みが比較的厚いフィルム(例えば厚みが100μm〜180μm程度、或いはそれ以上の300μm程度までの厚み)の場合は、フィルムの伸縮性が小さくなるので、上記フィルム1Aの上記面積と上記上面開口容器10Aの上記面積を略同一とすることにより、フィルムの容器への装着の作業性を向上することができるからである。
次に、図5に基づいて、宙吊り物品収納フィルム1Aを上記上面開口容器10Aに被覆して宙吊り物品収納容器10A’を構成する方法を説明する。
同図に示すように、上記宙吊り物品収納フィルム1Aを、その裏面1b側を上記上面開口容器10Aの開口部12側に向けて、当該フィルム1Aを上記上面開口容器10Aの上面の開口部12を閉鎖するように宛がい、上記フィルム1Aの全周に亘り形成された周方向溝部3を、上記上面開口容器10Aの上面の開口部12の全周に亘り形成された周方向突出部13に、全周に亘って嵌合させることにより、図5(a)に示すように、上面開口容器10Aの上面の開口部12を上記宙吊り物品収納フィルム1Aにて閉鎖するように張設する。ここで、上記フィルム1Aの各辺の上記周方向溝部3を特定する場合は符号31〜34を使用する。また、上記容器10Aの周方向突出部13についても各辺の周方向突出部を特定する場合は符号131〜134を使用する。
このとき、上記上面開口容器10Aの周方向突出部13を輪郭とする四角形状の面積よりも、上記宙吊り物品収納フィルム1Aの周方向溝部3の外縁を輪郭とする四角形状の面積は若干小なので、まずは、短辺側の周方向溝部31を、上記上面開口容器10Aの対応する短辺側の周方向突出部131に嵌合し、上記宙吊り物品収納フィルム1Aを若干、長辺に沿って引き伸ばしながら、対向する短辺の周方向溝部32を上記上面開口容器10Aの対向する短辺側の周方向突出部132に嵌合し、最後に、長辺側の左右の周方向溝部33,34を、上記上面開口容器10Aの対向する長辺側の周方向突出部133,134に嵌合する、という手順で、上記宙吊り物品収納フィルム1Aを上記上面開口容器10Aに張設する。
すると、図5(b)、(c)に示すように、上記宙吊り物品収納フィルム1Aの周方向溝部3が、上記上面開口容器10Aの周方向突出部13に、全周に亘り嵌合する。このとき、上記宙吊り物品収納フィルム1Aの平坦部1’は若干前後左右に伸長されているので、周方向溝部3の全周を上記上面開口容器10Aの周方向突出部13の全周に係合してから当該フィルム1Aから手を離すと、上記フィルム1の戻り方向(矢印M方向、図5(b)(c)参照)のテンションにより、上記周方向溝部3の溝内に、上記周方向突出部13が全周に亘り入り込み、両者が嵌合状態となる(図5(b)(c)参照)。
より具体的には、上記周方向溝部3は、塑性変形により形成されているので、上記上面開口容器10Aの周方向突出部13に全周に亘り確実に嵌合し、しかも、周方向延出部3’が外方向に形成されているので、周方向溝部3と上記周方向延出部3’の間に内側方向に湾曲した周方向逆溝部3”が塑性変形により形成されており、この周方向逆溝部3”が、上記容器10Aの周方向突出部3の裏面側に全周に亘り係合し(図5(b)、(c)参照)、上記フィルム1Aの上記戻りテンションの作用に基づいて、上記周方向逆溝部3”及び周方向延出部3’が上記周方向突出部13の裏面側への引っ掛かりとなって、上記周方向溝部3が上記上面開口容器10Aの上記周方向突出部13に、全周に亘り確実に嵌合する。即ち、果実収納凹部2に果実を収納して上記フィルム1Aに下向きの重量が作用しても、当該フィルム1Aは下方向に大きく撓んで上記果実収納凹部2が上面開口容器10Aの底面14に接触することはない。
その結果、図5(a)に示すように、宙吊り物品収納フィルム1Aは、上記上面開口容器10Aの上面の開口部12にピンと張った状態で張設され、その果実収納凹部2の底面と上記上面開口容器10Aの底面14との間には、空間Sが形成され(図5(b)(c)参照)、宙吊り物品収納容器10A’を形成することができる。
従って、その後、上記宙吊り物品収納フィルム1Aの各果実収納凹部2上に、図5(c)に示すように、苺26の8個を収納することができる。このとき、上記宙吊り物品収納フィルム1Aは、上述のように、周方向溝部3と周方向突出部13が確実に嵌合している張設状態であるので、上記苺26(8個)を果実収納凹部2に収納し、苺8個の重量が当該フィルム1Aに作用しても、当該宙吊り物品収納フィルム1Aは大きく撓むことはなく張設状態を維持し、当該フィルム1Aは8個の苺26を宙吊り状態で支持することができる。即ち、上記果実収納凹部2に苺26(8個)を収納しても、各苺26の底部は上記上面開口容器10Aの底面14に接することはなく、傷が付き易い苺26をどこにも触れることなく宙吊り状態で保持することができる。
このように、汎用の上面開口容器10Aに、直接、宙吊り物品収納フィルム1Aを張設するだけで、果実を宙吊り収納し得る宙吊り物品収納容器10A’を構成することができ、従来のように、容器以外に必要であったフィルムを被覆するための方形枠も必要ないし、フィルムと容器を接着する接着剤も必要とせず、フィルム1Aの周縁に嵌合用の嵌合枠体を別途取り付ける必要もなく、フィルム1Aの辺に硬質片を接着する必要もない。
しかも、上面開口容器10Aへの宙吊り物品収納フィルム1Aの取り付け動作も、慣れてくると略ワンアクションで、極めて簡単に行うことができる。
加えて、既に存在する汎用品の上面開口容器10Aを利用することができるので、専用の上面開口容器を製造する必要はなく、低コストにて宙吊り物品収納容器を製造することが可能となる。
尚、この第1の実施形態では、四角形状の宙吊り物品収納フィルム1A、四角形状の上面開口容器10Aを示したが、上記フィルム及び上面開口容器の形状は四角形状に限らず、円形状、楕円形状等であっても良い。即ち、平面視形状が円形、又は楕円形状の宙吊り物品収納フィルム1Aを、平面視形状が円形、楕円形状の上面開口容器10Aに装着する構成でも良い。
(第2の実施形態)
次に、図6〜図9に基づいて、本発明の第2の実施形態を説明する。図6(a)に第2の実施形態の宙吊り物品収納フィルム1Bの斜視図を示す。
この第2の実施形態において、宙吊り物品収納フィルム1Bは、表面1aに平坦部1’を介して複数の果実収納凹部(物品収納凹部)2が塑性変形により形成された四角形状の熱可塑性合成樹脂薄フィルムから構成されており、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムの上記平面部1’の四隅27の各々に上記平坦部1’を介して4つの係合用小凹部15が塑性変形により形成されている。
そして、上記係合用小凹部15は、上記平坦部1’の表面1aから裏面1b側に凹設されている。また、この係合用小凹部15は、上記宙吊り物品収納フィルム1の四隅27の直角のコーナ部を二等分する直線L(図6(a)参照)に直交する方向に形成されている。従って、図6(b)に示すように、上記直線Lに沿うI−I線断面図でみると、上記直線Lに直交する方向に溝状に凹設されている。
次に、上記宙吊り物品収納フィルム1Bを真空成型により形成するための成型方法を説明する。
図7(a)に示すものは、図6の宙吊り物品収納フィルム1Bを真空成型により成型するための型(ブロック4B)である。このブロック4Bは、直方体形状をなし、水平な上面28の四隅の各コーナ部17に、各コーナ部17の直角を2等分する直線L’に直交する方向に、係合用小凹所18(全4か所)が各々形成され(図7(b)(c)(d)参照)、該4個の係合用凹所18の各外径線を結ぶ直線に沿って、上記上面28から若干凹設された平坦凹所19が形成され、該平坦凹所19の中央部に、8個の果実収納凹所(物品収納凹所)6が形成されている。また、上記果実収納凹所6、上記係合用小凹所18と上記ブロック4B底面との間には、複数の吸引孔8が、上記ブロック4Aと同様に形成されている(図8、図7(c)(d)参照)。尚、上記ブロック4Bにおいて、上記平坦凹所19は無くても良く、平坦な上記上面28に直接係合用小凹所18を形成しても良い。
上記型(ブロック4B)を使用して上記宙吊り物品収納フィルム1Bを成型するには、図8に示すように、ブロック4Bを脚部25により吸引台上に載置し、上記第1の実施形態と同様に、上記ブロック4Bの上面に熱した熱可塑性合成樹脂薄フィルム9を位置させ、その後、上記フィルム9を矢印P方向に下降して上記ブロック4Bの上記平坦凹所19を完全に閉鎖し、その後、上記ブロック4Bの下側から空気を矢印Q方向に吸引することにより、上記複数の吸引孔8から空気を吸引し、これにより同図に示すように、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム9を、上記ブロック4Bの上記平坦凹所19、果実収納凹所6、係合用小凹所18の形状に沿って塑性変形する(図8の塑性変形後の熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’参照)。尚、図8では示していないが、上記係合用小凹所18の部分にも吸引孔8が形成されており(図7(c)(d)参照)、矢印Q方向に空気を吸引することで、上記フィルム9を上記各係合用凹所18に沿って塑性変形させることができる。
その後、熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’の四隅の部分を持って当該フィルム9’を上記ブロック4Bから引き剥すことにより、図6に示す宙吊り物品収納フィルム1Bを形成することができる。この宙吊り物品収納フィルム1Bは、図6に示すように、上記係合用小凹所18によって、各コーナ部に各々上記係合用小凹部15が、上記果実収納凹部2と同じ方向(フィルム1の表面1a側から裏面1b側に向けて)の凹部として塑性変形により形成されている。実際には、この係合用小凹部15は、上面開口容器10Bに装着する場合は、上面開口容器10B(図9参照)のコーナ部16(161〜164)の角部に係合することになるので、逆方向、即ち、裏面1b側から表面1a側に突出した状態(裏返した状態)で、上記角部に係合することになる。尚、熱可塑性合成樹脂薄フィルムは極めて薄いため、上記係合用小凹部15は容易に裏返すことができ、塑性変形しているので、裏返しても、凹部としての形状、機能は損なわれない。勿論、宙吊り物品収納フィルム1Bを、折り畳む、上下方向に潰して重ねる等して、収納運搬を行うことができるが、果実収納凹部2、係合用小凹部15等の塑性変形された部分の形状は失われず、塑性変形された形状を維持しているのである。
尚、上記ブロック4Bの上記係合用小凹所18を上に凸状に設け、宙吊り物品収納フィルム1の係合用小凹部15を裏面1b側から表面1a側に凹設するように設けても良い。即ち、係合用小凹部15は裏面1b側又は表面1a側に凹設するように設けても良い。
次に、上記宙吊り物品収納フィルム1Bが被覆される上面開口容器10Bについて図9に基づいて説明する。
同図に示す上面開口容器10Bは、硬質の合成樹脂から構成された透明又は半透明の上面開口容器である。この上面開口容器10Bは、苺を収納するための汎用品であり、基本的には図4に示す上面開口容器10Aと同様のものである。よって、通常は、薄いスポンジ等の緩衝シートを敷いて、その上に複数の苺を載置し、上側に透明フィルムを被覆することにより、汎用の苺の果実収納容器として使用されるものである。従って、当該上面開口容器10Bにおいては、図4の上面開口容器10Aと同一部分又は対応部分については、同一符号を付して、便宜上その説明を省略する。
上記上面開口容器10Aと当該上面開口容器10Bの相違点は、周方向突出部13の4つのコーナ部16が、図4の上記上面開口容器10は湾曲して形成されているが、当該上面開口容器10Bは略直角に近い角度で構成されている点である(図9(a)参照)。即ち、上記宙吊り物品収納フィルム1の上記係合用小凹部15が、上記各コーナ部16に係合し易い形状に形成されている。
ところで、当該上面開口容器10Bは汎用品であるが、上記宙吊り物品収納フィルム1Bは、当該汎用品である上面開口容器10Bの大きさに合わせて形成されるものである。従って、上記ブロック4B(図7参照)の平坦凹所19の四辺の輪郭線を結んでできる四角形の面積(四隅は係合用小凹所18を考慮せずに、四隅が直角の四角形の面積)が、上記上面開口容器10Bの周方向突出部13の外縁を結んでできる四角形の面積よりも僅かに大きい、上記上面開口容器10Bの周方向突出部13の外縁を結んでできる四角形の面積と略同一、又は上記上面開口容器10Bの周方向突出部13の外縁を結んでできる四角形の面積より若干小さくなるように形成する。
上記ブロック4Bの上記面積が上記上面開口容器10Bの上記面積よりも大きい場合があるのは、上記真空成型時に上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム9の熱による収縮を考慮したもので、薄いフィルムの場合(例えば厚みが10μm〜50μm程度)は、熱によりフィルムが収縮する傾向にあるので、上記ブロック4Bの上記面積を若干大きくする場合がある。より具体的には、上記ブロック4Bの上記平坦凹所19の長辺側の長さt1と短辺側の長さt2が、上記上面開口容器10B(フィルム1Bではない)の周方向突出部13の長辺側の長さt1’及び短辺側の長さt2’さよりも僅かに長い、略同一の長さ又は若干短くなるように形成する(t1>t1’、t2>t2’、又は、t1≦t1’、t2≦t2’)。
ここで、上記長さが僅かに長い、略同一又は若干短いとは、熱可塑性合成樹脂薄フィルム9の材質、厚みにもよるが、例えば、上記ブロック4Bの長辺側の長さt1、短辺側の長さt2が、上記上面開口容器10B(フィルム1Bではない)の上記周方向突出部13の長辺側の長さt1’、短辺側の長さt2’より、各々+3mm〜0mm〜−5mmの範囲内の長さ、又は、各々+1mm〜0mm〜−3mmの範囲内の長さで増減することが考えられる。そして成型後の宙吊り物品収納フィルム1Bにおける上記平坦凹所19により成型される四角形の面積(四隅は係合用小凹部15を考慮せずに、四隅が直角の四角形の面積)が、上記上面開口容器10Bの周方向突出部13の外縁を結んでできる四角形の面積と略同一、又は若干小となるように形成される。
上記成型後の宙吊り物品収納フィルム1Bの上記面積が上記上面開口容器10Bの上記面積に略同一の場合があるのは、宙吊り物品収納フィルム1Bの厚みが比較的厚いフィルム(例えば厚みが100μm〜180μm程度、或いはそれ以上の300μm程度までの厚み)の場合は、フィルムの伸縮性が小さくなるので、上記フィルム1Bの上記面積と上記上面開口容器10Bの上記面積を略同一とすることにより、フィルムの容器への装着の作業性を向上させることができるからである。
何れにしても、図9に示すように、上記宙吊り物品収納フィルム1Bを上記上面開口容器10Bに装着する際、各係合用小凹部15を上記コーナ部16に係合するが、4つの係合用小凹部15を上記各コーナ部16に係合したとき、上記宙吊り物品収納フィルム1Bの平坦部1’をピンと張った状態とすることが必要である。
次に、図9に基づいて、当該宙吊り物品収納フィルム1Bを上記上面開口容器10Bに被覆する構造を説明する。ここで、上記宙吊り物品収納フィルム1Bの4つの係合用凹部15は予め表面1a側に凸、即ち、裏返した状態にしているものとする。尚、上記上面開口容器10Bの各コーナ部16はコーナを特定する場合は符号161〜164を使用する。
同図に示すように、上記宙吊り物品収納フィルム1Bを、その裏面1b側を上記上面開口容器10Bの開口部12側に向けて、当該フィルム1Bを上記上面開口容器10Bの上面の開口部12を閉鎖するように宛がい、上記フィルム1Bの四隅に形成された係合用小凹部15を、上記上面開口容器10Bの上記周方向突出部13の各コーナ部16に係合(嵌合)させることにより、図9(a)に示すように、上面開口容器10Bの上面開口部12を上記宙吊り物品収納フィルム1Bにて閉鎖するように当該開口部12に張設する。
具体的には、上記宙吊り物品収納フィルム1Bの1つの係合用小凹部15を、上面開口容器10Bの周方向突出部13の1つのコーナ部161に嵌合し、上記フィルムBを若干短辺方向に引っ張りながら、短辺側の他の1つの係合用小凹部15を、上記短辺側の隣接するコーナ部162に嵌合し、その後は、フィルム1B自体を長辺方向に若干引っ張りながら、他方の側の係合用小凹部15を、他のコーナ部163に嵌合し、さらに該フィルム1Bを短辺側に若干引っ張りながら最後の係合用小凹部15を残りのコーナ部164に嵌合することで、当該宙吊り物品収納フィルム1Bを、上面開口容器10Bの開口部12に張設し、宙吊り物品収納容器10B’を形成する。
このとき、上述のように、上記平坦凹所19の面積は上記上面開口容器10Bの周方向突出部13の外縁により形成される面積より小に形成されているので、上記宙吊り物品収納フィルム1Bの係合用小凹部15の位置は、上記上面開口容器10Bの周方向突出部13の各コーナ部16の位置より若干内側に形成されている。よって、上記宙吊り物品収納フィルム1Bを上記上面開口容器10Bに張設したとき、フィルム1Bの表面はピンと張った状態となり、また、係合用小凹部15が塑性変形により形成されているので、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムの戻りテンション(矢印M方向、図9(b)参照))が作用することにより、上記係合用小凹部15が上記各コーナ部16に確実に引っ掛かり、従って、上記果実収納凹部2と上記上面開口容器10Bの底面14との間に空間Sが形成された状態となる(図9(b)参照)。
即ち、宙吊り物品収納フィルム1Bの平坦部1’はピンと張った状態となっているので、果実収納凹部2に果実を収納して当該フィルム1Bに下向きの重量が作用しても、当該フィルム1B下向きに大きく撓んで果実の底面が上記上面開口容器10Bの底面14に接触することはない。
従って、その後、上記宙吊り物品収納フィルム1Bの各果実収納凹部2上に、苺26の8個を収納することができる。このとき、上記宙吊り物品収納フィルム1Bは、上述のように、係合用小凹部15と周方向突出部13の各コーナ部16が確実に嵌合しているので、上記苺26を果実収納凹部2に収納し、当該フィルム1Bに下向きの重量が作用しても該フィルム1Bは大きく撓むことなく、苺26を宙吊り状態で支持することができる。即ち、上記果実収納凹部2に苺26を収納しても、その苺26の底部は上記果実収納容器10の底面14に接することはなく、傷が付き易い苺26をどこにも触れることなく宙吊り状態で保持することができる。
このように、上記上面開口容器10Bに、宙吊り物品収納フィルム1Bを張設するだけで、果実を宙吊り収納し得る宙吊り物品収納容器10B’を構成することができ、従来のように、フィルムを被覆するための方形枠も必要ないし、フィルムと容器を接着する接着剤も必要とせず、フィルムの周縁に硬質な嵌合枠を別途取り付ける必要もないし、フィルムの辺に硬質の係合片を接着する必要もない。
しかも、上面開口容器10Bへの宙吊り物品収納フィルム1Bの取り付け動作も極めて簡単に行うことができる。
このように、上記宙吊り物品収納フィルム1Bの上記係合用小凹部15が汎用の上記上面開口容器10Bの上記周方向突出部13の四隅のコーナ部16に各々係合されることにより、上記宙吊り物品収納フィルム1Bが上記上面開口容器10Bの上面開口を閉鎖するように張設され、かかる張設状態において、上記果実収納凹部2に果実を宙吊り状態で収納し得るものである。
(第3の実施形態)
次に、図10〜図14に基づいて、本発明の第3の実施形態を説明する。図10に第3の実施形態の宙吊り物品収納フィルム1Cの斜視図を示す。
この第3の実施形態において、宙吊り物品収納フィルム1Cは、表面1aに平坦部1’を介して複数の果実収納凹部(物品収納凹部)2(本実施形態では3個)が塑性変形により形成された四角形状の熱可塑性合成樹脂薄フィルムから構成されており、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムの上記平坦部1’の短辺24側の2か所に、短辺24,24の二辺に沿った係合用細溝状凹部23,23が塑性変形により形成されている。
より具体的には、上記係合用細溝状凹部23は、当該宙吊り物品収納フィルム1Cの短辺24,24の縁部から、若干内側に入った位置において、上記短辺24,24に平行に、表面1a側から裏面1b側に凹設されるように設けられている。
次に、上記宙吊り物品収納フィルム1Cを真空成型により形成するための成型方法を説明する。
図11(a)に示すものは、図10の宙吊り物品収納フィルム1Cを真空成型により成型するための型(ブロック4C)である。このブロック4Cは、直方体形状をなし、上面には平坦部29が形成されており、短辺22の側の2か所において、短辺22より若干内側に入った位置に、直線状の係合用細溝状凹所20,20が、上記短辺22,22に平行に凹設されている。
また、上記平坦部29の中央部には、3個の苺型の果実収納凹所(物品収納凹所)6が凹設されている。そして、同図(b)に示すように、上記係合用細溝状凹所20,20と上記果実収納凹所6からは、吸引孔8が上記ブロック4Cの下面に貫通して設けられている。
上記ブロック4Cを使用して上記宙吊り物品収納フィルム1Cを成型するには、図12に示すように、上記第1の実施形態と同様に、上記ブロック4Cを脚部25により吸引台上に載置し、上記ブロック4Cの上面に熱した熱可塑性合成樹脂薄フィルム9を位置させ、その後、上記フィルム9を矢印P方向に下降して上記ブロック4Cの上記平坦部19を完全に閉鎖し、その後、上記ブロック4Cの下側から空気を矢印Q方向に吸引することにより、上記吸引孔8から下方に空気を吸引し、同図に示すように、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム9を、上記ブロック4Cの上記係合用細溝状凹所20、果実収納凹所6の形状に沿って塑性変形する(図12(a)の塑性変形後の熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’参照)。
その後、熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’の四隅の部分を持って該フィルム9’を上記ブロック4Cから引き剥すことにより、図12(b)に示す宙吊り物品収納フィルム1Cを形成することができる。この宙吊り物品収納フィルム1Cは、図10に示すように、上記係合用細溝状凹所20によって、短辺側に係合用細溝状凹部23が、上記果実収納凹部2と同じ方向(フィルム1の表面1a側から裏面1b側に向けて)の凹部として塑性変形により形成されている。実際には、この係合用細溝状凹部23は、上面開口容器10Cに装着する場合は、上面開口容器10C(図13参照)の周方向突出部13の短辺側に係合することになるので、逆方向、即ち、裏面1b側から表面1a側に突出した状態(裏返した状態)で、上記短辺に係合することになる。尚、熱可塑性合成樹脂薄フィルムは極めて薄いため、上記係合用細溝状凹部23は容易に裏返すことができ、塑性変形しているので、裏返しても、凹部としての形状、機能は損なわれない。勿論、宙吊り物品収納フィルム1Cを、折り畳む、上下方向に潰して重ねる等して、収納運搬を行うことができるが、果実収納凹部2、係合用細溝状凹部15等の塑性変形された部分の形状は失われず、塑性変形された形状を維持しているのである。
また、上記ブロック4Cの上記係合用細溝状小凹所20を上に凸状に設け、宙吊り物品収納フィルム1Cの係合用細溝状凹部23を裏面1b側から表面1a側に凹設するように設けても良い。即ち、係合用細溝状凹部23は裏面1b側又は表面1a側に凹設するように設けても良い。
次に、上記宙吊り物品収納フィルム1Cが被覆される上面開口容器10Cについて図13に基づいて説明する。
同図に示す上面開口容器10Cは、硬質の合成樹脂から構成された透明又は半透明の上面開口容器である。この上面開口容器10Cは、苺を収納するための細長形状の汎用品である。よって、通常は、薄いスポンジ等の緩衝シートを敷いて、その上に複数の苺を載置し、上側に透明フィルムを被覆することにより、汎用の苺の果実収納容器として使用されるものである。従って、当該上面開口容器10Cは、図4の上面開口容器10Aと同一部分又は対応部分については、同一符号を付して、便宜上その説明を省略する。
上記上面開口容器10Cと当該上面開口容器10Aの相違点は、長辺の長さに対して短辺の長さがより短く構成されており、全体として細長形状に構成されている。
ところで、当該上面開口容器10Cは汎用品であるが、上記宙吊り物品収納フィルム1Cは、当該汎用品である上面開口容器10Cの大きさ等に合わせて形成されるものである。従って、上記ブロック4C(図11参照)の両係合用細溝凹所20,20間の距離t3(図11(a)参照)は、上記上面開口容器10Cの短辺間の長さt4(図13参照)より若干短く形成されている(t4>t3)。また、上記ブロック4Cの係合用細溝状凹所20の左右方向(長手方向)の長さt5(係合用細溝状凹所20自体の長さ、図11(a)参照)は、上記上面開口容器10Cの短辺21の長さt6(図13参照)より僅かに長い、略同一、又は若干短く形成されている(t5>t6、t5≦t6)。
上記ブロック4Cの長さt5が上記上面開口容器10Cの長さt6よりも長い場合があるのは、上記真空成型時に上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム9の熱による収縮を考慮したもので、薄いフィルムの場合(例えば厚みが10μm〜50μm程度)は、熱によりフィルムが収縮する傾向にあるので、上記長さt5を上記長さt6より若干長くする場合がある。ここで、上記僅かに長い、略同一又は若干短いとは、熱可塑性合成樹脂フィルム9の材質、厚みにもよるが、例えば、上記ブロック4Cの長さt5が、上面開口容器10Cの上記長さt6に対して各々+3mm〜0mm〜−5mmの範囲内の長さ、又は、各々+1mm〜0mm〜−3mmの範囲内の長さで増減することが考えられる。
そして成型後の宙吊り物品収納フィルム1Cの上記係合用細溝状凹部23,23間の距離は、上記上面開口容器10Cの上記長さt4より若干短くなるように形成され、上記係合用細溝状凹部23の左右方向(長手方向)の長さ(係合用細溝状凹部23自体の長さ)は、上記上面開口容器10Cの上記長さt6と略同一又は若干短くなるように形成される。ここで、上記成型後の宙吊り物品収納フィルム1Cの上記係合用細溝状凹部23自体の長さが、上記上面開口容器10Cの上記長さt6と略同一の場合があるのは、宙吊り物品収納フィルム1Cの厚みが比較的厚いフィルム(例えば厚みが100μm〜180μm程度、或いはそれ以上の300μm程度までの厚さ)の場合は、フィルムの伸縮性が小さくなるので、上記フィルムの上記長さと上記上面開口容器10Cの上記長さを略同一とすることにより、フィルムの容器への装着の作業性を向上させるためである。
何れにしても、図14に示すように、上記宙吊り物品収納フィルム1Cを上記上面開口容器10Cに装着する際、各係合用細溝状凹部23を上記周方向突出部13の短辺21に係合するが、2つの係合用細溝凹部23を上記各短辺21に係合したとき、上記宙吊り物品収納フィルム1Cの平坦部1’がピンと張った状態となるようにすることが必要である。
尚、上記係合用細溝状凹所20の長さt5は、上記上面開口容器10Cの短辺の長さt6より短くして、成型後のフィルム1Cの係合用細溝状凹部23の長さを上記t6より相当程度短くした方が、当該フィルム1Cの上記係合用細溝状凹部23を上記上面開口容器10Cの短辺21に係合した際、係合用細溝状凹部23が左右方向に十分に伸長して上記短辺21に強く係合するため、当該フィルム1Cの上記短辺21に仮止め状態とすることができ、その後の装着動作を容易に行うことができるという効果がある。
次に、図14に基づいて、当該宙吊り物品収納フィルム1Cを上記上面開口容器10Cに被覆する構造を説明する。
同図に示すように、上記宙吊り物品収納フィルム1Cを、その裏面1b側を上記上面開口容器10Cの開口部12側に向けて、当該フィルム1Cを上記上面開口容器10Cの上面の開口部12を閉鎖するように宛がい、上記フィルム1Cの一方の係合用細溝状凹部23を、上記上面開口容器10Cの上記周方向突出部13の一方の短辺21に被せるように嵌合させ、次に、上記フィルム1C自体を長手方向に若干引っ張りながら、もう一方の係合用細溝状凹部23を、周方向突出部13の一方の短辺21に被せるように嵌合する。そして、上記宙吊り物品収納フィルム1Cの両側の長辺側を上記上面開口容器10Cの長辺に被せる。
このとき、上述のように、上記宙吊り物品収納フィルム1Cの係合用細溝状凹部23間の距離は、上記上面開口容器10Cの長手方向の距離t4より短く形成されており、また、上記係合用細溝状凹部23自体の長さは上記上面開口容器10Cの短辺の長さt6より短く形成されているので、当該宙吊り物品収納フィルム1Cを上記上面開口容器10Cに張設したとき、フィルム1Bの表面は、当該フィルム自体の弾性により、ピンと張った状態となり、また、係合用細溝状凹部23が塑性変形により形成されているので、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムの戻りテンション(矢印M方向)が作用することにより、上記係合用細溝状凹部23が上記両短辺21に確実に引っ掛かり、その結果、上記果実収納凹部2と上記上面開口容器10Cの底面14との間に空間Sが形成された状態となり、宙吊り物品収納容器10C’を形成することができる(図14(b)参照)。
従って、その後、上記宙吊り用果実収納フィルム1Cの果実収納凹部2に苺3個を収納することにより、苺26の重量が上記宙吊り物品収納フィルム1Cに下向きに作用しても、苺26の底面が上記上面開口容器10Cの底面14に接触しない状態、苺26の底面と底面14との間に空間Sが形成された状態、即ち、宙吊り状態で支持することができる。従って、上記果実収納凹部2に苺26を収納しても、その苺26の底部は上記上面開口容器10の底面14に接することはなく、傷が付き易い苺26をどこにも触れることなく宙吊り状態で保持することができる。
このように、上記上面開口容器10Cに、宙吊り物品収納フィルム1Cを張設するだけで、果実を宙吊り収納し得る宙吊り物品収納容器10C’を構成することができ、従来のように、フィルムを被覆するための方形枠も必要ないし、フィルムと容器を接着する接着剤も必要とせず、フィルムに硬質の嵌合枠を別途取り付ける必要もない。
しかも、上面開口容器10Cへの宙吊り物品収納フィルム1Cの取り付け動作も極めて簡単に行うことができる。
尚、上記宙吊り物品収納フィルム1Cの係合用細溝状凹部23は、当該フィルム1Cの短辺側に沿って設けたが、係合用細溝状凹部23を、上記フィルム1Cの一対の長辺側に沿って各々設け、それらの係合用細溝状凹部23を、上面開口容器10Cの周方向突出部13の長辺側に各々係合するように構成しても良い。
このように、第3の実施形態の宙吊り物品収納容器10C’は、上記宙吊り物品収納フィルム1Cが、上縁に外周方向に突出する周方向突出部13が周囲に形成された上面開口容器10Cの上面の開口部12に被覆されることにより形成される物品収納容器10C’であって、上記宙吊り物品収納フィルム1Cの上記係合用細溝状凹部23が、上記上面開口容器10Cの対応する上記突出部13の二辺に各々係合されることにより、上記宙吊り物品収納フィルム1Cが上記上面開口容器10Cの上面開口12を閉鎖するように張設され、かかる張設状態において、上記果実収納凹部2に果実を宙吊り状態で収納し得るように構成されている。
尚、上記上面開口容器10A〜10Cは硬質合成樹脂製であるが、この上面開口容器10A〜10Cをその他の素材、例えば、ダンボール、パルプモウルド等の他の素材により構成しても良い。
以上のように、本発明の宙吊り物品収納フィルム1Aによれば、その平坦部1’の周囲に周方向溝部3が形成されているので、周方向突出部13を有する汎用的な上面開口容器10Aであれば、当該フィルム1Aを若干伸長させながら、上記フィルム1Aの周方向溝部3を周方向突出部13に嵌合(係合)させるだけで、当該宙吊り物品収納フィルム1Aを上面開口容器10Aの上面の開口部12に張設して物品収納容器を形成することができ、宙吊り物品収納フィルム1Aと上面開口容器10Aだけで、宙吊り物品収納容器10A’を極めて簡単な手順により構成することができる。
また、本発明の宙吊り物品収納フィルム1Bによれば、そのフィルムの四隅に係合用小凹部15が形成されているので、周方向突出部13を有する汎用的な上面開口容器10Bであれば、当該フィルム1Bを若干伸長させながら、各係合用小凹部15を上記上面開口容器10Bの四隅のコーナ部に嵌合(係合)させるだけで、当該宙吊り物品収納フィルム1Bを上面開口容器10Bの上面の開口部12に張設して物品収納容器を形成することができ、宙吊り物品収納フィルム1Bと上面開口容器10Bだけで、宙吊り物品収納容器を極めて簡単な手順により構成することができる。
また、本発明の宙吊り物品収納フィルム1Cによれば、そのフィルムの対向する二辺に係合用細溝状凹部23が形成されているので、周方向突出部13を有する汎用的な上面開口容器10Cであれば、当該フィルム1Cを上記上面開口容器10Cの上面の開口部12に宛がい、当該フィルム1Cの各係合用細溝状凹部23を上記上面開口容器10Cの周方向突出部13の対向する二辺21,21に嵌合(係合)させることにより、当該宙吊り物品収納フィルム1Cを上面開口容器13の上面の開口部12に張設して、宙吊り物品収納容器10C’を形成することができ、宙吊り物品収納フィルム1Cと上面開口容器10Cだけで、宙吊り物品収納容器10C’を極めて簡単な手順により構成することができる。
尚、第1の実施形態における周方向溝部3は、平坦部1’の全周に亘り形成したが、周方向溝部3は全周でなくても良く、四辺に沿って4か所に設ける等の構成でも良い。また、上面開口容器10Aの周方向突出部13も開口部12の全周に亘って形成されていなくても良く、四辺に沿って4か所に設ける等の構成であっても良い。
また、上記第1〜第3の実施形態における上面開口容器10A,10B,10Cの例えば長辺側等の周方向突出部に突起又は切欠を設け、上記宙吊り物品収納フィルム1A,1B,1Cの長辺側のフィルムを上記突起又は切欠に係止しても良い。このようにすると、果実を果実収納凹部に収納したときの宙吊り物品収納フィルムの下方への撓みをより抑制することができる。
また、上記上面開口容器の底面は平面であったが、底面に上記宙吊り物品収納フィルムの複数の果実収納凹部に対応した複数の凹部を形成しても良いし、底面に上向きの支持柱を例えば一体成型により設け、上記支持柱の上面で上記宙吊り物品収納フィルムの裏面の平坦面を支持するように構成しても良い