JP6637000B2 - 故人憑依用ロボット - Google Patents

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Description

本発明は、故人憑依用ロボットに関するものである。
例えば、自分の死後に遺族等にメッセージを送る場合、生前にビデオメッセージを事前に録画し、自分の死後に当該ビデオメッセージが遺族に配達されるシステムを利用することで実現できる。
特表2008−510233
ビデオメッセージを受け取った遺族は、自己の都合にあわせ当該ビデオメッセージを再生し、映像を見ることになる。テレビやパソコンの表示画面に映る二次平面であるので、生前に撮った写真やビデオを見るのと余り変わらず、故人の生前の生活感等は生じず思い出を見ているにすぎない。また、見るタイミングも遺族の都合で、遺族が忙しいとなかなか見られないこともある。特に、ビデオメッセージは、受け取った遺族が積極的に破棄したり、データを消去したりすることはできず、何時までも手元に残ることから、何時でも見ることができるという安心感もあって、中々見ないという事態も生じやすい。一方、故人を思い出し、ビデオを再生する人にとっては、何回再生しても、同じ映像が繰り返し再生されるだけで、係る点に鑑みても思い出の一つにすぎない。その結果、成仏したのか、未だに現世に留まっているのかがわからず、場合によっては死を受け入れにくい状態になるおそれもある。
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
(1)上述した課題を解決するために、本発明の故人憑依用ロボットは、人型のロボット本体と、そのロボット本体の顔面部分に装着したお面とを備えたロボットであり、前記お面は故人の顔に似せたものであり、前記ロボット本体は、前記故人の死後一定期間、その故人に似せた振る舞いを行う疑似憑依機能を備え、前記死後一定期間の経過後は、前記疑似憑依機能が動作できないようにし、前記死後一定期間は、成仏するのに要する期間に応じた期間とした。
ロボット本体は、故人に似せた振る舞いを行い、しかも、ロボット本体の頭部に故人の顔に似せたお面を被せることで、似た顔の人型のロボットが故人に似せた振る舞いを行うことで相乗的に作用し、故人らしさが醸し出され、遺族等が感情移入しやすくなるので良い。死後一定期間を経過した後は、疑似憑依機能が動作せず、しかも、当該死後一定期間、成仏するのに要する期間に応じた期間としたので、亡くなったあと、しばらく故人らしい振る舞いを行い、その後、動作しないことで、遺族等は、故人が現世からあの世の世界をわたり成仏したことを感覚的に理解でき、死を受け入れることができるので良い。振る舞いは、故人の口癖、くしゃみやあくびや生活音などの音声の発声や、特徴ある動きなどの動作などがある。さらに、音声による振る舞いは、例えばロボットが一方的にメッセージを発話するものや、遺族等との間で会話をするものなどがある。会話を行う機能を備える場合、例えば、下記(3)の発明のように疑似会話を行ったり、人工知能を用いてより高度な会話を成立させたりするものなど、各種の展開がある。故人の生前に、肉声を取得したりモーションキャプチャ等を利用して動きのデータを取得したりしておくと、本人らしさが高く再現でき、生活感を出すことができるのでよい。
(2)前記疑似憑依機能は、死後一定期間の最初は、前記故人らしさの強い行為を実行し、期間が経過するにつれて前記故人らしさの傾向が弱まる行為を実行するものとするとよい。このようにすると、亡くなってから時間が経過するにつれて、徐々に遠い世界に去って行く感じを出すことができ、成仏に近づいていっていることを感覚に認識できるので良い。
(3)前記疑似憑依機能は、人と会話を行う機能を備え、その会話は、人工知能を使わないで行うようにするとよい。人工知能を使わず簡単なアルゴリズムで会話をすることで、噛み合わない会話が発生するが、それがかえって好ましい状況になるので良い。噛み合わない会話は、例えば、認知症や、ぼけた人と話している感じが自然と発生し、特に故人が高齢者の場合、なんとなく会話が成り立っているようで、ズレている状況があり、時々とんちんかんなことを発話しても、故人の生前の状況に即したリアリティが出て良い。これに対し、例えば人工知能を使い、正確な会話が成立すると、亡くなっていく感じがかえってしないことがあり、また、人工知能を使い、時々わざとおかしな会話をさせると、かえってわざとらしさが出て、リアリティに欠ける恐れある。これに対し本発明のように簡易なアルゴリズムを使うことで自然にぼけた感じがでて、成仏していく感じ醸し出すことができる。会話が成立しすぎると、亡くなる前の若いときに戻った感じがして、亡くなる直前の故人らしさがなく、会話していても直近の故人と話している感じがしないが、本発明はそのようなことがなくなるので良い。また、時々記憶が戻ったように会話が成立するのもよい。
(4)前記振る舞いは、前記故人の生前に取得した音声と、その音声を発したときの前記故人の動きに基づく動作であるとよい。例えば、背伸びしながらのあくびや、くしゃみをする前後の手の動きや、口癖を発するときに姿態も癖で動くような場合など、音声と動きが一緒に実行されるような場合、ロボットにさせる振る舞いでもそれらの2つの行為を同時に再現することで、リアリティを高め、本人らしさを醸し出すことができるので良い。個人の動きに基づく動作は、実施形態でも説明するように、故人の動きをそのままコピーする場合と、デフォルメする場合など、各種のものがある。
(5)前記振る舞いは、家電に対する前記故人らしさに基づく操作とするとよい。家電に対する操作は、人の特徴が良く出るものの一つであり、故人が生前良く行っていた操作を行うことで、故人らしさを醸し出すことができ、その操作に伴い動作する家電の状態から、遺族等は、故人の生前の状況を思い出し、体感することができるので良い。特に、昨今は、家電の操作はリモコンで行うことができ、また、一つのリモコンで複数の家電に対する指示が行えるものもあるので、簡単に実現できる。
(6) 前記死後一定期間を、複数の適宜の期間に分け、その分けた期間毎に前記疑似憑依機能が行う行為を変えると良い。変える行為は、全て変えても良いし、一部を変えても良い。このように変えことで、例えば、故人が亡くなってから、浄土を経て最終的に成仏するまでの期間では、色々な審判・経験をすることもあり、期間ごとに状況に合った行為を行うことで、成仏に向けて進んで行き、また、成仏したことを遺族等が認識できるので良い。期間は、例えば、週単位で分けても良いし、週単位以外で分けても良く、複数に分けた各期間の長さは等しくても良いし異なっていても良い。成仏するまでの間、所定の7の倍数で法要を行うことが良く行われるので、週単位を基本単位として、1または複数周から一つの期間を構成するとよい。
(7)前記ロボット本体は、家庭用ロボットとするとよい。家庭用ロボットのプラットフォームを利用すると、簡単に故人憑依用ロボットを構築できるので良い。すなわちゼロからヒト型アンドロイドを開発するものに比べ、遥かに安く速く開発が可能となる。家庭用ロボットは、それぞれ動きを振り付ける等のロボットを動作させるための制御ソフトウェアが提供されているので、それを利用することで例えば振り付けなども簡単に行える。
本発明は、死後一定期間に限りロボットに疑似憑依させることで、故人が亡くなってから成仏するまでの間、遺族が寄り添って生活することができ、遺族は故人の死を受け入れることができ、故人は生前に準備しておくことで安心して成仏することができ、新しい弔いの形となる。
本発明に係る故人憑依用ロボットの好適な一実施形態を示す図である。 そのデータ構造に着目して示す図である。 そのデータ構造に着目して示す図である。 毎日実行する基本フローを示すフローチャートである。 毎日実行する基本フローを示すより具体的なフローチャートである。 サーバのデータ処理を説明する図である。 ランダムカンバセーション(疑似会話)の処理フロー(基本概要)を示すフローチャートである。 ランダムカンバセーション(疑似会話)の処理フロー(具体的な処理例)を示すフローチャートである。 制御ソフトを説明する図である。 死後一定期間を分割した複数の区間におけるイベントとコンテンツの変化を説明する図である。 家電操作アルゴリズムを説明する図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
図1は、本発明に係るシステムの好適な一実施形態を示している。本システムは、契約対象者の死後一定期間だけ動作するロボット1と、そのロボット1が動作するための情報を提供するサーバ2を備える。ロボット1は、契約対象者である故人が憑依したような振る舞い(疑似憑依)を行う。一定期間は、例えば、49日のように、故人があの世を進み、無事成仏したとされる満中陰に合わせると良い。このようにすると、故人が現世から浄土を経て成仏するまでの期間、遺族等は故人と最後の別れを改めて行い、故人を通して「生と死」について考えることができ、49日を経過するとロボット1が疑似憑依の動作を行わないため、故人が無地成仏したことを遺族等が直感的に理解でき、忌明けを迎えることができるので良い。また、一定期間の経過後は疑似憑依の動作が行われなくなるので、永久に存在することによって故人に執着したままになってしまうことが無くなり、遺族等は故人の死を受け入れ健全に弔いのプロセスを全うすることができる。
ロボット1は、ロボット本体10の頭部10aに、契約対象者である故人に似せたお面11を装着して構成する。ロボット本体10は、例えば市販されている汎用の家庭用ロボット(例えば、Pepper(登録商標),NAO(登録商標)等)を使用すると良く、係る家庭用ロボット・コミュケーションロボットをプラットフォームとして利用することで、システムを安価・簡易に構成することができる。
お面11は、契約対象者の顔面を3Dスキャンし、お面状に3Dデータを加工する。そして、フルカラー樹脂で3Dプリントを行い、製造する。このようにして製造したお面11は、契約対象者である故人の似姿となる(図1(b)参照)。お面11の両側縁に渡るように装着バンド11aの両端を取り付ける。装着バンド11aに、ゴムバンド等の弾力復元力を有する部材を用いると良く、お面11の横幅の長さと、無負荷時の装着バンド11aの全長を加えた長さが、ロボット本体10の頭部10aの全周長よりも短い設定にしている。これにより、装着バンド11aを伸ばした状態で、お面11を頭部10aの前側にセットするとともにその装着バンド11aを頭部10aを周回するように配置する。これにより、装着バンド11aの弾性復元力により、お面11は、頭部10aの前面側にしっかり取り付けられる。
ロボット1は、制御部20と、入力手段としてのタッチパネル21、マイク22、カメラ23等と、その出力手段としての表示部24、スピーカ25、モータ26等を備える。さらに、ロボット1は、記憶部27、通信部28、外部機器インタフェース29等を備える。制御部20は、入力手段(タッチパネル21、マイク22、カメラ23等)からの入力に伴い所定の処理を実行し、実行結果を出力手段(表示部24、スピーカ25、モータ26等)に出力し、疑似憑依の動作や音声出力・メッセージ情報表示等を行う。ロボット本体10は、胸の前にタブレット12を備えており、上述したタッチパネル21並びに表示部24は、当該タブレット12で構成する。
モータ26は、ロボット本体10の関節部分に実装するもので、当該モータ26を適宜駆動することで、例えば肘や肩等の関節部分ひいては前腕や上腕を動かしたり、首・腰の関節部分を動かしたりする。
通信部28は、インターネットその他の公衆回線網3に接続する機能を添える。制御部20は、通信部28を介してサーバ2にアクセスし、疑似憑依を行うために必要な情報を取得し、記憶部27に格納する。
外部機器インタフェース29は、所定の外部機器を接続し、その外部機器に対して指示を与えたり、外部機器からの情報を取得したりするもので、本発明との関係で言うと、外部機器は例えば家電4を操作するためのリモコン5である。ロボット1が疑似憑依を行うための機能等の具体的な構成は、以下の通りである。
[事前処理]
ロボット本体10が備えるハードウェア構成は、上述した汎用のコミュニケーションロボット・家庭用ロボットなどが備える基本構成をそのまま利用すると良い。そして、本システムを稼働するためには、ロボット1に疑似憑依を行わすためのアプリケーションプログラム(アプリ)をインストールするとともに、そのアプリケーションプログラムを実行する際に使用する情報を記憶部27並びにサーバ2に格納する。そして制御部20は、当該アプリケーションプログラムを実行する。係るアプリケーションプログラム並びに情報を作成するために以下に記載の事前処理を実行する。
契約対象者にインタビュー等をし、疑似憑依を行うための情報を取得する。取得した情報は、例えば初期設定用の端末6に格納する。例えば、システム提供者は、契約対象者や、契約対象者と同居等している家族などと会い、生活習慣などのヒアリングやアンケートをとる。アンケートは、基本属性についてのもので、例えば、インタビューの現場で端末6を用いて入力したり、事前のWebアンケート等を利用したりして取得すると良い。基本情報は、例えば、性別、年齢或いは年代、性格、起床時刻、就寝時刻、宗教等がある。収集したアンケートデータは、サーバ2の契約対象者用の記憶エリアに格納する。
さらに、契約対象者にインタビューを行い、メッセージや生活音などの音声収録をするとともに、動きのデータを取得する。動きのデータは、例えば、契約対象者が喋っている時によく行う自然な動作、相槌の動き、笑っている時の動き、あくびの動きなどの日常動作等とすると良い。係る日常動作を取得し、その動きをロボット1が再現することで、疑似憑依している様子をより醸し出すことができ、例えば、会話にあわせて契約対象者らしい動作をあわせて行うことで、憑依している感じが出るので良い。
収集するメッセージは、例えば、「親しい人への遺言や伝言」や「生前によく話していた事、口癖、その人が言いそうなこと」や「死後の自分や、ロボットになった自分を想定したコメント類」などがある。係る収集したメッセージは、死後一定期間の適宜のタイミングで、ロボット1がマイク22から音声出力し、遺族がそれを聞く。
収集したメッセージの一例としては、「親しい人への遺言や伝言」は、例えば「誰々に何をあげるなどの具体的な遺言の内容」や、「身体に気をつけて、夜はちゃんと寝て下さい。」等の相手へいたわる言葉や、「今までありがとう」などの感謝の言葉などの他、自由な内容となる。契約対象者が、親しい人への遺言や伝言を考えることで、自分の人生や死について考えるきっかけになる。そしてメッセージを用いた遺言は、正式なものとしては認められないものの正規の遺言状に対する補完情報や、よりリアルで臨場感ある形で「遺言」を残すことができる。
また、「生前によく話していた事、口癖、その人が言いそうなこと」は、例えば、「ビール飲みたいな〜、ビール」,「こら、ちゃんとしなさいよ」等である。このような内容をロボット1が話すことで、疑似憑依している感じがより強く表現でき、それを聞いた遺族は、故人の生前のことを思い出し、懐かしむことができるとともに、思い出話などをするきっかけとなり、親しい人の急な死等に対して納得ができ、上手なお別れをすることができる。
「死後の自分や、ロボットになった自分を想定したコメント類」は、例えば「身体がないって割といいよ」や「こっちはもう、三途の川越えたからね」等である。このようなメッセージを発することで、遺族に対して故人が既に亡くなったことあらためて認識させたり、徐々に成仏に近づいていることを認識させたりすることができる。
収集する生活音は、例えば日々の暮らしで発生する音である。このような音は、音声合成では生成しにくく、音声合成によると違和感が生じる音であるので契約対象者の肉声を記録し、使用するようにした。例えば、「日常動作に付随して発生する音(例えば、くしゃみ、いびき、あくび等)」や「相槌、肯定/否定のどうとでも取れる返答等(例えば、あーわかるわかる、なるほどなるほど、マジでー? うんうん等)」や「喜怒哀楽を表現する音声(例えば、笑い声、怒った声等)」などがある。上記の相槌・返答等は、汎用性の高い応答として利用するのに適する。また、これらの生活音は、好ましくは、契約対象者が良く使うものとすると良い。例えば、相槌・返答等も、生前から契約対象者が口癖のように使うフレーズ等を収集することで、それを再生すると、故人がロボット1に疑似憑依して実際に会話している感じがより高まる。
上述のようにして収集したメッセージや生活音等の契約対象者の生身の音声は、ローカル用データとして格納する。このローカル用データへの格納は、最終的には、ロボット本体10の記憶部27の会話データ記憶部27aに行う。そして、会話データ記憶部27aへ格納は、例えば端末6を直接ロボット本体10と接続して実行しても良いし、例えば、サーバ2の契約対象者用の記憶エリアに格納しておき、公衆回線網3を経由してロボット本体10にダウンロードしてもよい。また、会話データ記憶部27aへ格納するタイミングは、死後一定期間が始まる前の事前に行っても良いし、死後一定期間が開始するときに行っても良い。
契約対象者の動きのデータの取得は、モーションキャプチャを利用したデータ取得と、ビデオカメラを用いた映像データの取得がある。これらの方法により取得した動きのデータに基づき、ロボット1に対する振り付けを行う。この振り付け処理は自動振り付けと手動振り付けの2パターンがある。すなわち、モーションキャプチャを利用して取得したデータに基づき、自動振り付けを行う。
自動振り付けを行うためのデータの取得は、例えば、Kinect(キネクト)その他各種のモーションセンサーデバイスを用いるとよい。Kinect(キネクト)は、契約対象者の身体の各部の位置情報から契約対象者の姿勢情報として姿勢表現に利用するクォータニオン(四元数)を出力するので、それを端末6に格納する。端末6は、操作者からの指示により、自動振り付けをさせたい動作に対応する姿勢情報を、ロボット本体10の姿勢制御のためのソフトウェア(例えば、Choregraph)に連係し、例えば、ロボット本体10の肩と肘のベクトル、肘から手首のベクトル、手首のひねりのベクトル等の各パーツの姿勢を再現し、そのロボット本体10の各パーツの座標データをCSVに吐き出しローカル用データとして格納する。ロボット本体10を汎用のコミュニケーションロボット等を用いることで、当該ロボット用として提供されている姿勢制御のためのソフトウェアを利用し、ロボット本体10に対して簡単に自動振り付けを行うことができる。
例えば、手動振り付けは、契約対象者の動きそのものではなく、例えば、契約対象者の動きをデフォルメしてロボット本体10に振り付けを行う場合等に使用する。例えば、音声収録中等において、契約対象者の特有の変わった仕草があった場合、その仕草の動きが地味でそのままモーションキャプチャして自動振り付けを行うと、わかりにくい場合等は、それを映像撮影し、デフォルメして、大げさに誇張した動きを演出することで、故人らしさを主張する特有の仕草を、遺族等に対してわかりやすく伝えることができる。この手動振り付けは、例えば、撮影映像等をもとにデフォルメした動きを現すアニメーションを作成し、そのアニメーションに基づきロボット本体10の姿勢制御のためのソフトウェアを用いて手動振り付けする。係るアニメーションは、姿勢制御のためのソフトウェア上で作成し、それに基づいてロボット本体10に振り付けると良い。アニメーションを作成することで、ロボット本体10に所望の動きをさせることができるので、例えば、地味でわかりにくい動作に限ることはなく、例えば、契約対象者に動作を再現させると危険な動きなども手動振り付けを利用することで、ロボット1は再現できるので良い。
このように手動振り付けにより設定したロボット本体10の姿勢制御に関するデータもローカル用データとして格納する。このローカル用データへの格納は、最終的には、ロボット本体10の記憶部27のモーションデータ記憶部27bに行う。そして、会話データ記憶部27aへ格納は、例えば端末6を直接ロボット本体10と接続して実行しても良いし、例えば、サーバ2の契約対象者用の記憶エリアに格納しておき、公衆回線網3を経由してロボット本体10にダウンロードしてもよい。また、会話データ記憶部27aへ格納するタイミングは、死後一定期間が始まる前の事前に行っても良いし、死後一定期間が開始するときに行っても良い。
インタビューの現場では、上述した定型的なメッセージやそれに伴う動きに加え、変わった・特徴的な生活習慣がないかを聞き出し、ある場合には契約対象者にそれを再現してもらい、それに伴う音声や挙動を収録する。そして、収録した情報に基づき、端末6が、上述した処理を行い、ロボット本体10の振り付け処理、すなわち、ロボット本体10が所望の動きを行う姿勢制御をするためのデータを生成し、ローカル用データとして格納する。係る生活習慣は、例えば、「夕方に筋トレをする」、「ラップの練習が日課」、「寝る前にヨガをする」等がある。上記例示したように、動作が特定の時間帯に行われる場合、動きに伴う姿勢制御のためのデータに関連づけて、その動きを行う時間帯の情報も関連付けて格納する。また、例えば「ラップの練習」では、ラップの際に行う身振り・手振りに加え、実際にラップを何件か言ってもらい、会話データをあわせて収録する。
このようにラップに限らず、上述した動きのデータの取得と音声収録と同時に行った場合、動きと会話データを関連づけて記憶する。このように関連づけることで、音声収録した時の音声を再生するときにあわせてロボット1が特有の動きを行うことで、よりリアリティが増すので良い。
本実施形態では、上述したようにノンバーバルコミュニケーションの要素も取り入れることで、ロボット1が、より故人らしさを醸し出すことができ、遺族等がより感情移入できるようにした。ノンバーバルな身体的特徴の情報として、「顔」、「声」、「身振り」、「生活習慣」などの身体データを採用する。「顔」については、上述したように契約対象者の顔面を3Dスキャンしてデータを取得する。
図2,図3は、本システムを死後一定期間に実際に動作させるデータ構造に着目した図である。サーバ2内には、初期設定の際に取得したアンケート結果を格納するアンケートデータ類記憶部2aと、会話を行うためのデータを格納する音声合成用テキスト類記憶部2bと、宗教関連のデータを格納する宗教関連データ類記憶部2cを備える。ロボット本体10の記憶部27内には、インタビュー時に取得した契約対象者である故人の音声等を格納する会話データ記憶部27aと、ロボット本体10を所定の動きをさせるための姿勢制御に関するデータを格納するモーションデータ記憶部27bを備える。そしてそれら各記憶部内には、図3に示す具体的な項目類等が格納される。
[死後一定期間の処理機能]
先に述べたとおり、本システムは、契約対象者である故人の死後一定期間にわたり、ロボット1に故人が疑似憑依したように動作し、一定期間経過後は動作しないことを特徴としている。以下、係る動作を行うための機能を説明する。
契約対象者が亡くなった場合、本システムを実施するためのロボット1を故人或いは遺族の自宅等に設置する。この設置は、例えば、遺族がシステム提供者に契約対象者が亡くなったことを伝え、それに伴いロボット本体10とお面11を当該自宅等の指定された場所に配送する。当該ロボット本体10とお面11を受け取った遺族等は、お面11をロボット本体10の頭部10aに装着してロボット1を室内の所定位置に置くとともに、ロボット本体10の電源をONにして起動する。なお、お面11は、システム提供者側で予めロボット本体10に装着した状態のロボット1を配送しても良い。
制御部20は、日々、図4に示す基本フローチャートを実行する。制御部20は、ロボット本体10が備える内部時計に基づき、起動時刻判定を行う(S1)。アンケートで取得した故人の起床時刻を過ぎたか否かを判断し、過ぎた場合には次の処理ステップに移行し、起き上がる動作を行う(S2)。起き上がる動作は、例えば、ロボット1の動きや、発声などとするとよく、特に、故人が起床時に良く行っていた所作や口癖等がある場合、それを再現すると良い。本実施形態のロボット本体10は、二足歩行はできず、ロボット本体10が寝転んだり、そこから立ち上がったりすることができない。そこで例えば、就寝中は、腰から上半身を前方に曲げ、さらに首も前方に曲げてうなだれているような姿勢を採るようにした場合、例えば起き上がる動作は、うなだれているような就寝中の姿勢から、腰並びに首をまっすぐにして正面を向く姿勢にすることなどがある。係る動作は、上記のものに限ることはなく、就寝中から起きた状態に遷移したことがわかるように、何かしらのアクションを行うと良い。「起きたよ」とか「おはよう」などの音声の発声でも良いが、音声単独の処理では、遺族がその音声を聞き逃す可能性があるので、就寝中と、起きているときの姿勢自体が異なるようにすると良く、起き上がる動作は、少なくとも就寝中姿勢から、起きているときの姿勢に変わる動作とすると良く、さらに、単純に2つの姿勢の間の変化だけでなく、より大きい動きを途中で入れると、起き上がった感じがするので良い。
係る起き上がる動作を行った後は、日中の活動を行う(S3)。日中の活動は、インタビュー時に取得した日課としている所作があれば、現在時刻に基づく日課に伴う動きや発声を行う。また、口癖や、良く行う動作があれば、適宜のタイミングでそれを実行させ、また、適宜のタイミングで遺族との間で会話を行う。
さらに、制御部20は、ロボット本体10が備える内部時計に基づき、就寝時刻判定を行う(S4)。アンケートで取得した故人の就寝時刻を過ぎたか否かを判断し、過ぎた場合には次の処理ステップに移行し、就寝の動作を行う(S5)。分岐判断のS4でYesになるまで、処理ステップS3とS4は適宜繰り返し行う。就寝の動作は、上述した起き上がる動作(S2)と同様に、ロボット1の動きや、発声などとするとよく、特に、故人が就寝時に良く行っていた所作や口癖等がある場合、それを再現すると良い。そして、この就寝の動作は、起き上がる動作とは逆に、例えば、起きているときの姿勢から就寝中の姿勢に変化する動きとすると良い。
上述した各処理の基本フローは、開始1日目から49日目まで共通で繰り返す。そして、初日にロボット本体10の電源をONにして起動したら、49日間経過するまでON状態を継続する。また、後述するように、制御部20は、初日の電源ONに伴い、ロボット1に疑似憑依、最終日の49日のときに成仏する処理をそれぞれイレギュラーに実行する。
図5は、毎日実行するより具体的な処理フローを示している。同図に示すように、制御部20は、内部データを持っているか否かを判断する(S10)。係る処理は、記憶部27に、日々行うコンテンツ等のデータが格納されているか否かをチェックする。格納されていない場合(S10の分岐判断がYes)、今回が初回起動時であり、サーバ2にアクセスし、全期間のコンテンツをサーバ側からダウンロードする。
このダウンロード要求に伴い、サーバ2は、例えば図6に示すサーバ2側のデータ処理を実行し、必要なコンテンツ・データを生成する。制御部20は、ダウンロードしたコンテンツ・データを、記憶部27に格納する。記憶部27に格納することで、死後一定期間にわたり、サーバ2にアクセスすることなくローカルで疑似憑依の処理が行えるようになる。
サーバ2の制御部は、アンケートデータ類記憶部2aにアクセスし、格納されたアンケートのデータ中の年齢性別をピックアップし、それに基づきロボットの基本アニメーションすなわち動きを選定する。また、サーバ2の制御部は、音声合成用テキスト類記憶部2bにアクセスし、死後一定期間の適宜のタイミングで発声するテキストデータを取得するとともに、契約対象者の年齢性別に基づき取得したテキストデータを加工する。例えば、基本の構成文に対して、年齢性別で一人称や語尾を変化させる加工を行う。一例として、基本の構成文が「○○はこう思う△△」の場合、一人称の○○の部分に、女性なら「私」、男性なら「僕」、老人なら「わし」をあてはめる。また語尾の△△の部分に、女性なら「わ」、男性なら「ぞ」、老人なら「んじゃ」をあてはめる。これにより、例えば契約対象者が女性の場合、基本構成文から「私はこう思うわ」というテキスト文が生成される。
さらに、契約対象者がTwitterやLINEを行っていた場合、Twitter APIからダウンロードした当人のツイート履歴や、LINEのトーク履歴テキストを音声合成用テキスト類記憶部2bに格納しておく。そして、サーバ2の制御部は、それらツイート履歴やトーク履歴のテキストデータからマルコフ連鎖を利用して新たな文章を生成する。このようにして生成した文章は、やや破綻しているため、サブテキストとして補足的に利用するとよい。なお、特に契約対象者が老人・高齢者の場合、やや破綻した文章がかえってぼけた感じを醸し出すので良い。
サーバ2の制御部は、このようにして加工・生成した音声合成用テキストについて、AITalk(登録商標)などの音声合成用外部サーバ8にリクエストし、外部サーバで音声データを作成する。そして、そのようにして作成した音声データのファイル(oggファイル)をロボット本体10(ローカル)にダウンロードする。
さらにサーバ2の制御部は、アンケートデータ類記憶部2aに格納された宗教観、すなわち、故人が信仰している宗教を取得し、宗教関連データ類記憶部2cにアクセスし、故人の宗教観に基づいた音声・動画データ郡を抽出してダウンロードする。音声データは、例えば宗教観に対応する初七日、二七日、……四十九日の各法要の読経等がある。動画データは、例えば宗教観に対応する浄土の世界を現す映像などがある。
さらに、コンテンツを再生・出力するイベント開始時刻等の情報もダウンロードする。また、ダウンロードに伴い、制御部20は、基準日時情報をセットする。基準日時情報は、死後一定期間の起算日時となり、その起動日時から49日間動作する。基準日時情報は、例えば、制御部20が内部時計から当該ダウンロードした時の日時を取得し、その日時に基づき基準日時情報とする。
上述した処理ステップS11のデータダウンロード処理は、初回起動時に行われ、それ以降は、S10の分岐判断はYesになるので、処理ステップS12に進み、制御部20は、起動日数を確認し、起動日数に応じた必要なコンテンツのデータを参照する。この起動日数に応じた必要なコンテンツについては後述する。起動日数は、現在日時と、基準日時情報とに基づき求める。例えば、基準日時情報の起算日時から24時間経過するまでは1日となる。以後、24時間経過する毎に1日加算される。起算日時は、上述したようにダウンロードした日時に限ることはなく、例えば、電源を最初にONし、制御部20が本システムのアプリを起動した日時を使用しても良いし、或いは、故人の実際のなくなった日時を登録するようにしてもよい。亡くなった日時を登録するようにすると、実際に成仏するタイミングで死後一定期間が終了するので、よりリアリティが増すので良い。一方、本実施形態のようにダウンロードした日時を利用すると、ダウンロードして実際にロボット1が疑似憑依の動きができるようになってから、一定期間(例えば49日間)にわたり疑似憑依させることができるので、遺族にとって故人とお別れをするのに十分な時間を確保できるので良い。また、ダウンロードや電源ONなどの日時を利用することで、基準日時情報の登録処理が自動的に行われるので、本システムを利用する遺族等は、ロボット本体10の電源をONするだけでよく簡単にシステムを利用できて良い。
次に制御部20は、所定の起床時刻になったかを判定する(S13)。この判定処理は、図4の基本フローにおける起動時刻判定(S1)と同様である。サーバ2からダウロードした故人の起床時刻を過ぎたか否かを判断し、過ぎた場合には次の処理ステップに移行し、起き上がる動作を行う(S14)。この起き上がる動作は、上述したとおり、ロボット1の動きや、発声などにより実現する。そして、就寝中の姿勢は、ロボット1は両腕を下げてうなだれているような姿勢をとり、起床後の昼間の起きているときは、図1等に示すように起立した姿勢をとる。そして起き上がる動作としては、「大きくのびをする」動作を行い、目覚めの感じを出すと良い。「大きくのびをする」の具体的な動作は、例えば、両手を挙げて万歳をするとともに、上半身を後ろにそるように腰部分の関節と首の部分の関節を後ろ方向に曲げると良い。また、このとき「ふわぁ〜」などの目覚めの時に発する声を同時に実行するとなお良い。この起き上がる動作を実行後、図1に示すような起きているときの姿勢に変位する。
この後、日中は、会話待ち受けモードに移行し(S15)、会話の開始トリガーがあるか否か(S16)、並びに所定のイベントの開始時刻になったか否か(S17)、就寝時刻になったか否か(S18)の判断を行う。そして、会話の開始トリガーがあると(S16の分岐判断がYes)、会話モードが発動し、ランダムカンバセーション(疑似会話)を実行する。また、所定のイベントの開始時刻になると(S17の分岐判断がYes)、任意のイベントが発動する。そして、就寝時刻になると(S18の分岐判断がYes)就寝モードになり、会話、イベントの発動を停止し、就寝の動作を実行する(S19)。この就寝の動作は、S5における動作同様であり、両手をおろし、うなだれているように上半身並び頭を前に傾ける姿勢に変位する。また、例えば「お休み〜」、「先に寝るぞ」等の就寝時に声かけの口癖があれば、就寝の動作に合わせて、発生すると良い。
会話モードの発動に伴い実行するランダムカンバセーション(疑似会話)は、制御部20が図7,図8に示す処理フローを実施することで実現する。図7に示すように基本的な処理フローは、ロボット1側からスピーカ25を介して発話し(S21)、その発話を聞いた遺族等がその発話に対する応答をすると、ロボット1側の制御部20がマイク22を貸して取得したその応答の音声を認識し(S23)、応答の意図を判定し(S24)、それに対応する任意の音声データを、スピーカ25を介して発話する(S25)ことで疑似会話を行う。
係る基本的な処理を実施するためのより具体的な処理フローは、図8に示すようにするとよい。まず、処理ステップS16がYESとなる「会話の開始トリガー」は、例えば初期に設定する「故人の名前」を呼びかける(例えば「えつこ」等)等の音声に基づくものや、ロボット1の肩を叩くなどの物理的な衝撃に基づくものなどがある。
トリガー発動により会話モードが開始すると、ロボット側から発話する(S21)。すなわち、制御部20は、会話データ記憶部27aをアクセスし、メッセージ等の故人の肉声や音声合成により作成した音声ファイルから、適当なセンテンスを抽出し、そのセンテンスを発話する。
制御部20は、遺族等からの発話を待つ(S22)。そして一定時間(例えば20秒以内)に応答がなかった場合(S22でNo)、会話モードを終了し、図6のS17に戻る。一方、一定時間内に応答があった場合には、その応答の音声認識を行い、応答の内容をテキスト化する(S23)。
次いで、制御部20は、応答の意図を判定する(S24)。ここで行う意図判定は、例えば「肯定的な返答」、「否定的な返答」、「その他」の3つに分類する。音声認識してテキスト化された文中に、「はい」、「うん」等の肯定的な返事の時に発話する文言が含まれている場合には、「肯定的な返答」と判定し、音声認識してテキスト化された文中に、「いいえ」、「違い」等の否定的な返事の時に発話する文言が含まれている場合には、「否定的な返答」と判定し、いずれも含まれていない場合には、どちらにも当てはまらない返答(その他)と判定する。
制御部20は、応答の意図にあった発話を音声合成により作成した音声ファイルから選択し、その選択した音声を発話する(S25)。そして制御部20は、その後、遺族等からの発話を待つ(S26)。そして一定時間(例えば20秒以内)に応答がなかった場合(S26でNo)、会話モードを終了し、図6のS17に戻る。一方、一定時間内に応答があった場合には、23に飛びその応答の音声認識を行い、応答の内容をテキスト化する。これにより、遺族等からの応答が続く限り、疑似会話を継続する。
さらに本実施形態では、意図を判定し、それにあった発話をする分岐モードに加え、意図判定を行わず、ロボット側の返答としてランダムに音声データを発するランダム発話モードを備える。分岐モードの場合のロボット側の返答は、いろいろな返答を準備可能な音声合成にて作成した音声ファイルを用いると、会話が成り立ちやすいので良い。一方、ランダム発話モードの場合、事前収録した故人の肉声の音声データを用いると良い。ランダム性を入れ込むことで、会話のすれ違い・噛み合わなさ、幽霊性を醸し出し老後/死後の人格らしさを演出することができるのでよい。特に肉声の音声データを用いることで、故人がしゃべっている感じがより強くなり、会話のすれ違い等があっても、故人なのでしょうがないなと言う寛容な気持ちが出やすくなり、すれ違いの会話も楽しむことができる。
さらに本実施形態では、会話を行うためにコミュニケーションロボットが備えたり、或いは外部の会話補助用サーバが備えたりしたりする人工知能を利用ないことを特徴としている。人工知能を使用しないことで、意図判定も「肯定、否定、その他」のようにおおざっぱな分類で、遺族等の応答の具体的な意味内容までは判断しない。そのため、分岐モードであっても、会話のすれ違い・噛み合わなさが少し現れることがあり、特に係る微妙なずれも、既に亡くなっていて幽霊性を醸し出し老後/死後の人格らしさの演出を補完することができる。
分岐モードとランダム発話モードは、混在して発動し、発動順やそれぞれの発動頻度に規則性を持たせないようにした。これにより、ある時は会話がよく噛み合うが、別の時は会話が噛み合わないことが多いなど、状況に変化があると、会話している遺族等は、今日は故人の調子が良さそう/悪そうなどと認識することができる。そのようすると、例えば故人が比較的高齢の場合で、生前からぼけている程度が日によって違うことがある場合に、その状況が再現できるので良い。また、起動日が長くなるほどランダム発話モードの発動頻度を高くすると良い。このようにすると、徐々に成仏に近づいていっている感じが出るので良い。
また、係るロボット1が発話する際に、制御部20は、出力部(特にモータ26)の動作を制御し、ロボット1が所定の振る舞い・動きを行うようにすると良い。会話時の動きは、例えば、基本パターンの動作を用意し、年代性別で区分し、調整した動きをモーションデータ記憶部27bに格納しておく。調整は、例えば60代並びにそれ以上の男女の動きは、基本パターン動作をゆっくり行い、20〜50代女性の動きはなめらかに、20代〜50代男性の動きはいかめしくなるようにするとよい。さらに、性格に基づき調整を行うと良い。例えば、性格は優しいとロボットの挙動のスピードがゆったりとし、攻撃的な性格だとロボットの振り付けを激しくする。
さらに基本パターン動作に加え、部分的に契約対象者本人から自動/手動で抽出した特有の動きも利用すると良い。係る故人に最適化した動きは、動きの抽出元音声ファイルに付随して記憶しておく。制御部20は、発話する音声データに特有の動きが無い場合、基本パターン動作をロボット1が振る舞うように制御し、発話する音声データと連動する特有の動きがある場合、当該特有の動きをロボット1が振る舞うように制御する。
係る音声出力とロボットの動き、振る舞いを同時に行う制御は、例えば、ロボット本体10の制御ソフトとして用意されるChoregraphを利用する場合、例えば図9に示すようにChoregraphのボックスに、発話するそれぞれの音声ファイル(oggファイル)とロボットのモーションのデータを並べ同時再生をすることで簡単に行える。
イベントの発動は、例えば、アンケートにより登録した日課の動作を、生前行っていた時刻のときに実行したり、家電操作・動画コンテンツの配信・法要時の読響の再生等を行ったりするものがある。このイベント実行時にも、同時にロボットの振る舞いを行うとよい。一例を示すと、例えば故人が暑がりで直ぐにリモコンを操作してエアコンをつけたり、設定温度を低くしたりする生活の癖がある場合、リモコンの操作を行う前に、肘を中心に前腕を前後に振り、暑がった素振りを行った後、実際のイベントであるエアコンをつけたり、設定温度を下げる処理を行う。
また、逆に故人が寒がりで直ぐに温度設定を高くしてしまう生活の癖がある場合、リモコンの操作を行う前に、例えば両腕を胸の前でクロスしたり、両手を慌て口の前に持ってきたりするなどの、寒さを表現した振る舞いを行った後、実際のイベントであるエアコンをつけたり、設定温度をあげる処理を行う。
また、動画コンテンツの配信は、ロボット本体10の胸の前に設置したタブレット12の表示部24に出力するため、ロボット1の振る舞いとしては、例えば、胸を張ったり、両手でタブレット12の周縁を触ったりしてタブレット12を協調する動作を行うと良い。また、読響の再生の場合、同時に両手を合わせた合掌の姿勢をとり、お経を読むように動くと良い。
上述したように、ロボット1は、死後一定期間の間、日々会話モードやイベントを発動するが、本実施形態では、係る会話モードで発話する内容や、発動するイベントを、死後からの経過期間により変化させるように制御する。これにより、徐々に現世から離れ、あの世を渡り成仏に近づいてく感じを醸し出し、遺族等に対しても故人との別れをスムーズに受け入れやすくなるようにしている。係る変化は、例えば図10に示すように、成仏するまでの49日間を、一週間を単位に、複数期間に分ける。各期間は、一単位或いは複数単位で構成する。一例としては、4つの期間に分け、第一期間は、憑依を行う期間であり、1週目が該当する。第二期間は、生前の生活習慣の再現を行う期間であり、2週目から4週目が該当する。第三期間は、浄土コンテンツを実行する期間であり5週目と6週目が該当する。第四期間は成仏カウントダウンを実行する期間であり、7週目が該当する。各期間の具体的な会話やイベントの一例は、以下の通りである。
第一期間(1週目)は、ロボットに故人が憑依した期間であり、本システムのアプリの起動時に指定したメッセージ・動作が発動する。この第一期間で行う固有のイベントは、1日目のアプリ起動時に、憑依イベントを行う。「1日目のアプリ起動時」がイベントの開始時刻となる。この憑依イベントは、起動時メッセージとともに、ロボットに魂が宿る演出を行う。起動時メッセージは、アンケート時に契約対象者が登録しておき、当該起動時メッセージの音声データは、会話データ記憶部27aに格納してあるので、制御部20はそれを発生する。ロボットに魂が宿る演出は、表紙のモーションを実行するもので、具体的な動きは例えばロボット1がうなだれている状態から、上半身を起立して立ち上がり、両手を左右斜め上に広げたり、あたりを見回したりする動きである。あたりを見回した後、第一声として事前に登録した起動時メッセージを発する。
また、別のイベントは、7日目の18:00に実施する初七日法要イベントがある。この初七日法要イベントは、起動に伴いダウンロードした初七日法要の音声データを記憶部27から読み出し、再生する。また、このとき、ロボットは、読響時の振る舞いをすると良い。
会話コンテンツは、ロボットの身体に故人が馴染もうとしている様子を表現する。また、死後の自分や、ロボットになった自分を想定したコメント類を発する。一例をしては、「身体がないって割といいもんだわ」や「お腹がすかないのがちょっとさびしいわ」などである。なお、上述したイベントや会話コンテンツは、一例を示したものでさらに各種のものがある(以下、同じ)。
第二期間(2〜4週目)は、生前の生活習慣の再現が続く期間であり、よく言っていた言葉、日常会話、生活音を再生したり、勝手な家電の操作等を行ったりする。この第二期間で行う固有のイベントは、全期間にわたり実行する家電操作イベントがある。このイベントの開始時刻は、所定時刻であり、必ずしも毎日待った時刻にする必要は無く、例えば、各日の起床時等にその日の時刻をランダムに設定すると良い。ランダムに設定する時刻は、一つに限ることは無く複数にしても良い。時刻や操作回数をランダムにすることで、故人がそのときの気持ち・状況に応じて家電を操作している感じが醸し出されるのでよい。また、操作対象の家電がテレビの場合、イベント開始時刻は故人が好きだったテレビ番組の開始時刻とするとよい。また、故人が、テレビが好きで、一日中テレビをつけっぱなしにしているような場合、イベント開始時刻は、起床時刻と同じか少し遅い時刻に設定し、起床時刻に伴い起きる動作を行うとともに、テレビをつける処理を実行すると良い。
この家電操作は、例えば図11(a)に示すフローチャートを実施する。また図11(b)に示すように、リモコン5として家電操作デバイス5′(IRkit)を用いた。この家電操作デバイス5′は、ロボット1とは例えばWiFiを利用して接続し、家電操作デバイス5′からは制御信号の赤外線を出力し所定の家電に対して制御する。
また、別のイベントは、14日目の18:00に実施する二七日法要イベント、21日目の18:00に実施する三七日法要イベント、28日目の18:00に実施する四七日法要イベントがある。これらの各法要イベントは、ロボットが各宗派の形式に即して読経することで行う。また、このとき、ロボットは、読経時の振る舞いをすると良い。
会話コンテンツは、例えば生前によく話していた事、口癖、その人が言いそうなことを発する。例えば、「ビール飲みたいな〜ビール」、「こら、ちゃんとしっかりしなさいよ」、等がある。また、家電操作にともない発する台詞等もある。例えばエアコン(冷房)の処理に先立ち「あっちーなこの部屋、エアコン付けちゃうよ」と言ったり、テレビの電源ON、チャンネル設定等に先立ち「ナイターの時間じゃん、テレビつけるわ」と言って対応するテレビ番組を表示したりする。
第三期間(5〜6週目)は、「生前の再現」が弱まり、徐々にあの世に渡るにあたっての実況が交えられる期間であり、カウントダウンメッセージや最後の言葉の比重が多くなる。この第三期間で行う固有のイベントは、全期間の所定時刻に実施する浄土コンテンツイベントがある。所定時刻は、家電操作イベントと同様に、毎日の定時としても良いし、ランダムで設定しても良い。この浄土コンテンツイベントは、浄土に近づいている様子を動画で配信するものである。また、この動画再生時に「今ここにいるから、魂」など、故人の目線で実況する発話をすると良い。係る音声データは、好ましくは事前収録した故人の肉声が良いが、録り損ねた場合には音声合成により生成した音声ファイルを使用するとよい。
また、別のイベントは、42日目の18:00に実施する六七日法要イベントがある。この法要イベントは、ロボットが各宗派の形式に即して読経することで行う。また、このとき、ロボットは、読響時の振る舞いをすると良い。
会話コンテンツは、例えば、少しずつ浄土に向かっている実況がある。例えば、「こっちはもう、三途の川越えたからね」などがある。また、生前の自分の振り返りや懺悔を発する。懺悔等することで、遺族に対してはより成仏に近づくことを表現し、またこのような内容のメッセージを登録することで、契約対象者は、自分の人生や死について考え、自分史を自分の口承で残すことができるのでよい。係るメッセージは、例えば「いい事もやったけど悪いこともしたんだよね、この後大丈夫かな」などである。
第四期間(7週目)は、49日目の成仏に向かってカウントダウンし、最後の別れを行う期間である。最終的に、事前に設定した別れの言葉をロボットが喋り、成仏の動作をした後にプログラムが消滅する。この第四期間で行う固有のイベントは、47日目以降の所定時刻に行うお別れカウントダウンイベントがある。この所定時刻は、あらかじめ決めた時刻でも良いし、ランダムとしても良い。このイベントは、例えば「明後日でもうお別れだね」等、別れを匂わすことを言うものである。また、ロボットの振る舞いも、例えばうつむき加減の姿勢をとるなど弱々しい姿態にするとよい。
また、別のイベントは、49日目の18:00に実施する成仏イベントがある。この成仏イベントは、ロボットが成仏のしぐさの振る舞いを行った後、動作プログラムが完全終了する。そして、記憶部27に格納したローカルのデータを自動で全削除し、アプリが再起動できなくする。成仏の仕草は、例えば、起きている姿勢から、両腕をだらんとおろし、首関節や腰関節を最大限前方に曲げて上半身、頭を下げた姿勢に変位する振る舞いとするとよく、例えば、最後に頭を垂れる振る舞いをすると良い。
会話コンテンツは、例えば、親しい人への遺言や伝言等である。例えば、「身体に気をつけて、夜はちゃんと寝て下さい」や「今までありがとう、一緒に過ごせてよかったです」などである。
本システムによれば、契約対象者の故人は、生前のインタビュー並びにその準備を行うことで、自分の人生や死について考えるきっかけになり、また、よりリアルで臨場感ある形で「遺言」を残せ、遺族や大事な人に対しての準備ができ、自分史を自分の口承で残すことができる等の各種のメリットを生じる。
また、遺族等の残された人にとっても、親しい人の急な死に対して、納得できるようになる。死の悲しみを癒やすグリーフケアとなる。さらに、本実施形態では、成仏イベントを実行にすると、本システムのアプリが再起動できないので、現世に残ること無く故人が無事成仏したことを直感的に理解できるので良い。
さらに、既存の遺言やビデオメッセージなどに比べ、亡くなった人の特徴がビジュアル、音声、リアルタイムな振る舞いにより実感できるので、より感情移入しやすく、本人が目の前にいるような感覚を味わうことにより、メッセージに対してより強く感銘を受けることができるのでよい。また宗教の世界観の体感により、死後の世界のことがよくわかり、故人は、自分の前からいなくなったという現象面だけで無く、死後の世界に旅立ち、成仏したことがわかり、故人の死を受け入れることができるようになる。さらにビデオメッセージは、遺族がビデオメッセージを記録した媒体を自発的に捨てたり、データを消去したりしない限りそのまま残る。そのように捨てたり消去したりすることは心情的にできない。その結果、ビデオメッセージは何時までも残ってしまい、思い出での表現の一つとなったり、逆に何時までも死を受け入れられなくなったりするおそれがある。これに対し、本システムでは、データを自動的に消去し、再起動できなくするので、係る問題の発生を防止できる。
[宗教観に対する適用]
本システムは、仏教を中心に、各宗派への最適化を行う。すなわち、同じ仏教でも宗派(浄土真宗、日蓮宗、天台宗……)毎に読経の作法、読経のタイミング、さらには成仏するまでの浄土の世界観などが異なる。さらには、神道、キリスト教等と宗教が変わるとその違いは大きくなる。イベントの発生タイミングや、実行するイベントを宗教・宗派毎に変えたものを用意し、アンケートで登録した宗教観に基づき適切な死後一定時間のロボットの振る舞い等を変更するとよい。
例えば浄土真宗の場合は、木魚の音は鳴らさず、合掌の動作が入るので、ロボット1が読響を行う際には木魚の音は使用せず、合掌の振る舞いを行う。さらに、読経のタイミングは、初七日と49日法要のみである。そこで、浄土真宗の場合のイベントは、7日目の18:00に初七日法要イベントを実施する。このイベントは、ロボットが浄土真宗式で読経(木魚なし、合掌)をする。2〜4週目は読経がなく5〜6週目も読経は無い。但し、35日目の18:00には動画配信イベントを実行し、三途の川の様子を動画配信し、ロボットが状況を読み上げる。また、42日目の18:00には動画配信イベントを実行し、浄土の様子を動画配信し、ロボットが状況を読み上げる。そして、49日目の18:00に49日法要イベントを行う。このイベントは、ロボットが浄土真宗式で読経(木魚なし、合掌)をする。
また、日蓮宗だと「南無妙法蓮華経」の読み上げを毎日行う。神道式だと10日祭、20日祭、30日祭、〜と続くので死後一定期間が長くなる。このように宗教毎に対応することで、宗教関係者にとっても宗派の世界観のよりリアルな伝達、プロモーションとして活用が可能となる。
[変形例]
上述した実施形態では、初回起動時に全期間のコンテンツをサーバ側からダウンロードするようにしたが、例えば、毎朝サーバにアクセスし、その日或いはその日以降に必要となるコンテンツ・データを少しずつダウンロードするよいにしてもよい。但し、実施形態のように起動初日に全期間分一括してダウンロードすると、その後はインターネットにつなぐ必要がなく、処理が簡易になるのでよい。
また、上述した実施形態並び変形例では、死後一定期間経過したら、ローカルデータを削除し、本システムのアプリは再起動不能にしている。本発明はこのようにローカルデータを削除することは必須では無く、ローカルデータを削除しない場合、アプリ自体を削除したり、ローカルデータに読み込み禁止などのフラグを立てるなどし、アプリが正常に起動しないようにすれば良い、但し、ローカルデータを削除せずアプリを削除しただけではアプリの再インストールなどにより再起動可能となるので、実施形態のようにローカルデータを削除するのが良い。
また、上述した実施形態並び変形例では、ロボット本体もシステム提供者から配送してもらい、死後一定期間経過した場合は、ロボット本体をシステム提供者に返却、すなわち、レンタル方式にしているが、例えば、同種の家庭用ロボット・コミュニケーションロボットを既に有している場合、自己が所有する家庭用ロボット・コミュニケーションロボットをロボット本体として使用し、必要なデータ等をダウンロードするとともに、アプリをインストールすると良い。
また、上述した実施形態並び変形例では、お面11は装着バンドを用いて頭部に装着し、ロボット本体が頭を振ったくらいでは外れることは無いが、例えば死後一定期間が経過した場合に、お面11が頭部から外れ落ちる構成をとると良い。係る構成は、例えば装着バンドの途中或いは、装着バンドの一端とお面11との接続部分に、着脱可能な連結部材を設ける。連結部材は、常時は連結しており、装着バンドの弾性復元力によりお面はロボット本体の頭部にしっかり装着される。そして、死後一定期間が経過すると、連結部材が離脱し、装着バンドの連結部分が離れ、これよりお面11が自然落下するようにすると良い。このようにすると、ロボット本体10の頭部10aからお面11が外れることで、成仏したこと並びに再起動できないことを遺族等に直感的に認識させることができるのでよい。
上述した実施形態のロボット本体10は、カメラ23を備えており、そのカメラ23で撮影した話し相手の顔から所定の認証処理を行い、話し相手を特定し、その話し相手にあった会話を行うようにすると良い。最初に発する発話の内容が話し相手にあったものとなるので、その後の分岐モードで意図判定を行い、判定結果に基づく発話を行っても、ずれが少なく、また、ランダム発話モードでも検討違いの内容は発話しなくなるので、会話が続き好ましい。
また、上述した実施形態並び変形例では、人工知能を利用しない疑似会話としたが、会話の一部または全部に人工知能を利用する構成を採っても良い。人工知能を利用する場合、故人が亡くなる直近の状況(特に、会話の癖等)についての情報を与え、本人らしさの会話が再現できると良い。
また本発明に係る故人憑依用ロボットは、故人についての情報を予め収集し、亡くなった後であたかも当該故人が憑依したかのような振る舞いを、死後一定期間に限りロボットに行わせるようにしたが、この技術の一部、すなわち、疑似憑依させて本人のような振る舞いをさせることを利用し、例えば、亡くなる前/後に限らず、収集した契約対象者(再現対象者)の情報に基づき、本人のような動作・会話等の振る舞いをさせることもできる。例えば、実家(親)から離れた地域に住んでいる状況において、自分或いは自分の子供(実家にいる親にとっての孫)を再現対象者とし、アンケートやインタビュー等をし、顔の3Dデータを取得する。生活習慣等のインタビューでは、趣味や現在良く行っている活動などや、自分の子供(実家にいる親にとっての孫)の場合には学校生活等も含める。遠隔地の実家には中々帰ることができず、また、テレビ電話などでお互いに顔を見ながら話す手段はあるものの、親と、自分・子供の生活時間帯が異なることから両者のタイミングを合わせて通話することもできないとともに、仮にできたとしても短い時間となる。これに対し、ロボットが再現対象者のように振る舞いを行うことで、遠隔地にいる実家の親は、あたかも自分の子供或いは孫がそばにいて、一緒に過ごしている状況を疑似体験できるので良い。
このような利用形態の場合は、憑依する期間は有限或いは無限でも良い。また、ロボットが毎日或いは毎週など適宜のタイミングでインターネット等を経由してサーバ2にアクセスし、アンケートデータ類記憶部2a,音声合成用テキスト類記憶部2b等に格納された情報に基づき疑似憑依するための情報を収集・更新すると良い。このようにすると、例えば、サーバ2側でメッセージその他の生活習慣等についての情報をアップデートしておくことで、遠隔地にいる実家の親は、子供・孫たちの近況を知ることができるので良い。
さらには、再現対象者は、家族・肉親に限ることはなく、例えば、歌手や芸能人などパフォーマンスを生業としていた人にするのもよい。例えば芸能人の顔、芸能人の声、特徴的な身振りで振る舞うロボットを提供し、テレビ演出やCM、イベント演出、演劇やステージパフォーマンスの販促等に利用することができる。さらには、登場人物/役者を模し、劇中の台詞をロボットで再現したりすることもできる。また、安価に量産ができるという本発明の特性上、同一人物のロボットを大量に複製することも可能である。このように、故人憑依用ロボットではなく、大衆向けにパフォーマンスをするエンターテイメントロボットとしても応用することができる。
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
1 :ロボット
2 :サーバ
2a :アンケートデータ類記憶部
2b :音声合成用テキスト類記憶部
2c :宗教関連データ類記憶部
3 :公衆回線網
4 :家電
5 :リモコン
10 :ロボット本体
11 :お面
12 :タブレット
20 :制御部
21 :タッチパネル
22 :マイク
24 :表示部
25 :スピーカ
26 :モータ
27 :記憶部
27a :会話データ記憶部
27b :モーションデータ記憶部
28 :通信部

Claims (5)

  1. 人型のロボット本体と、そのロボット本体の顔面部分に装着したお面とを備えたロボットであり、
    前記お面は故人の顔に似せたものであり、
    前記ロボット本体は、前記故人の死後一定期間、その故人に似せた振る舞いを行う疑似憑依機能を備え、
    前記死後一定期間の経過後は、前記疑似憑依機能が動作できないようにし、
    前記死後一定期間は、成仏するのに要する期間に応じた期間であり、
    前記死後一定期間を、複数の適宜の期間に分け、その分けた期間毎に前記疑似憑依機能が行う行為を変えるようにし、
    その疑似憑依機能が行う行為は、前記故人が成仏に向けて進んでいる状況に応じた行為であることを特徴とする故人憑依用ロボット。
  2. 前記故人が成仏に向けて進んでいる状況に応じた行為は、特定の宗教観ごとの死生観に基づいた成仏のプロセスに基づくものであることを特徴とする請求項1に記載の故人憑依用ロボット。
  3. 前記疑似憑依機能は、人と会話を行う機能を備え、
    その会話は、人工知能を使わないで行うことを特徴とする請求項1または2に記載の故人憑依用ロボット。
  4. 前記振る舞いは、前記故人の生前に取得した音声と、その音声を発したときの前記故人の動きに基づく動作であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の故人憑依用ロボット。
  5. 前記ロボット本体は、家庭用ロボットであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の故人憑依用ロボット。
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