JP6636284B2 - アーク溶接品質判定システム - Google Patents

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Description

本発明は、アーク溶接品質判定システムに関する。
溶接ロボットを使用した生産現場において、安定生産を阻害する主な要因の1つとして、溶接不良が挙げられる。溶接不良の1つであるビード形成不足は、例えば、以下に示したような要因で発生し得る。例えば、施工するワークに対して適正なビード形状となるように溶接条件が事前に設定されていたとしても、実際の施工時にワークの位置ずれによって突き出し長さが変動することがある。この場合に、突き出し長さの変動に伴って溶接電流が変動し、その結果、ビード形成不足が発生し得る。また、例えば、溶接ワイヤに給電するコンタクトチップが摩耗し、コンタクトチップの摩耗に伴って給電不足が発生することがある。この場合に、給電不足によって溶接電流が低下し、その結果、ビード形成不足が発生し得る。また、例えば、ワイヤ送給装置内に溶接ワイヤの削り屑が詰まることがある。この場合に、ワイヤ送給不良によるアーク切れが発生し、その結果、溶接ビード欠けなどのビード形成不良が発生し得る。
そのため、従来から、溶接不良そのものを低減する技術や、溶接不良をより正確に検出する技術が開発されている。溶接不良をより正確に検出する技術として、例えば、下記の特許文献1が提案されている。特許文献1では、アーク溶接中の実際の溶接電流もしくは溶接電圧の移動平均値が、あらかじめ設定された範囲を逸脱した場合に、溶接不良が発生したと判定する技術が提案されている。
特公平7−2275号公報
しかし、上記特許文献1に記載の発明では、閾値が定常時の溶接条件(溶接電流、溶接電圧等)を基準とした一定の値となっているために、定常時ではない状態(例えば溶接開始時や溶接終了時、あるいは溶接条件を意図的に変更したとき等)では、溶接不良の判定をすることができないという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、定常時以外の溶接中であっても溶接不良の判定をすることの可能なアーク溶接品質判定システムを提供することにある。
本発明の第1のアーク溶接品質判定システムは、共通の溶接条件設定下で溶接が繰り返し行われたときに得られた複数の第1の計測値を母集団としたときに、母集団において、第1の時刻ごとに、第1の時刻または第1の時刻を含む複数の時刻における最大値に基づいて第1の時刻における上限値を設定し、第1の時刻または第1の時刻を含む複数の時刻における最小値に基づいて第1の時刻における下限値を設定する設定部を備えている。第1のアーク溶接品質判定システムは、さらに、上記溶接条件設定下で溶接時に得られた第2の計測値が上限値と下限値との範囲にあるときは溶接不良無しと判定し、第2の計測値が範囲外にあるときは溶接不良ありと判定する判定部を備えている。
本発明の第2のアーク溶接品質判定システムは、共通の溶接条件設定下で溶接が繰り返し行われたときに得られた複数の第1の計測値を母集団としたときに、母集団において、第1の時刻ごとに、第1の時刻または第1の時刻を含む複数の時刻における標準偏差に基づいて第1の時刻における上限値および下限値を設定する設定部を備えている。第2のアーク溶接品質判定システムは、さらに、上記溶接条件設定下で溶接時に得られた第2の計測値が上限値と下限値との範囲にあるときは溶接不良無しと判定し、第2の計測値が範囲外にあるときは溶接不良ありと判定する判定部を備えている。
本発明の第1および第2のアーク溶接品質判定システムでは、過去の複数の計測値を含む母集団から得られた統計的な値に基づいて、溶接不良の判定に用いられる閾値が設定される。これにより、溶接不良の判定に用いられる閾値が、溶接の安定性の反映された値となる。
本発明の第1および第2のアーク溶接品質判定システムによれば、溶接不良の判定に用いられる閾値が、溶接の安定性の反映された値となるようにしたので、定常時以外の溶接中であっても溶接不良の判定をすることができる。
本発明の一実施の形態に係るアーク溶接品質判定システムを備えた溶接ロボットシステムの概略構成の一例を表す図である。 図1の溶接ロボットシステムの、学習モードにおける機能ブロックの一例を表す図である。 図1のロボット制御装置の概略構成の一例を表す図である。 図1の溶接ロボットシステムを用いたアーク溶接の様子の一例を表す斜視図である。 図4Aの溶接区間を複数の軌道に区分けしたときの、各軌道m、単位時間ΔTおよび設定開始指令のそれぞれの関係の一例を表す図である。 閾値の設定方法の一例を表す図である。 閾値の設定方法の一例を表す図である。 閾値の設定方法の一例を表す図である。 閾値の設定方法の一例を表す図である。 図1のティーチペンダントの概略構成の一例を表す図である。 図1の溶接機の概略構成の一例を表す図である。 図1の溶接ロボットシステムの、異常判定モードにおける機能ブロックの一例を表す図である。 図11のティーチペンダントの表示面におけるグラフィック表示の一例を表す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るアーク溶接品質判定システムを備えた溶接ロボットシステム1の概略構成の一例を表したものである。図2は、図1の溶接ロボットシステム1の、学習モードにおける機能ブロックの一例を表したものである。溶接ロボットシステム1は、学習モードおよび異常判定モードの、2つのモードを備えている。
溶接ロボットシステム1は、最初に学習モードにおいて同一の設定条件でアーク溶接を複数回(N回)行ってアークの特徴を捉えるようになっている。溶接ロボットシステム1は、その後に学習モードから異常判定モードに切り替えて、学習モードのときと同一の設定条件でアーク溶接を行い、学習モードで得られたアークの特徴と、異常判定モードで得られたアークの特徴とを対比することにより、形成された溶接ビードの状態を判定するようになっている。なお、設定条件とは、溶接ビードを形成する際の設定条件を指している。
つまり、「学習モード」とは、異常判定モードで溶接ビードを形成する際の設定条件と同一の設定条件で複数回、アーク溶接を実施することにより、異常判定モードで形成される溶接ビードの状態を判定する際の所定の判定基準を作成するモードを指している。また、「異常判定モード」とは、学習モードで取得した所定の判定基準を用いて、異常判定モードで形成された溶接ビードの状態を判定するモードを指している。以下では、最初に、学習モードと関連する構成を中心に説明し、その後に、異常判定モードと関連する構成について説明するものとする。
[学習モードにおける構成]
溶接ロボットシステム1は、プログラム制御された多関節ロボットによってワークWにアーク溶接を行うものである。溶接ロボットシステム1は、マニピュレータ10と、ロボット制御装置20と、ティーチペンダント30と、溶接機40とを備えている。ロボット制御装置20、ティーチペンダント30および溶接機40からなるシステムが、本発明の「アーク溶接品質判定システム」の一具体例に相当する。なお、ロボット制御装置20およびティーチペンダント30は、互いに一体に構成されていてもよいし、図1に示したように互いに別体で構成されていてもよい。
溶接ロボットシステム1は、例えば、ロボット制御装置20と各種装置とを互いに接続するケーブルL1〜L6を備えている。ケーブルL1は、ロボット制御装置20とマニピュレータ10との間で通信するための通信ケーブルであり、ロボット制御装置20およびマニピュレータ10に接続されている。ケーブルL2は、ロボット制御装置20とティーチペンダント30との間で通信するための通信ケーブルであり、ロボット制御装置20およびティーチペンダント30に接続されている。ケーブルL3は、ロボット制御装置20と溶接機40との間で通信するための通信ケーブルであり、ロボット制御装置20および溶接機40に接続されている。ケーブルL4は、溶接機40と後述のワイヤ送給装置14との間で通信するための通信ケーブルであり、溶接機40およびワイヤ送給装置14に接続されている。ケーブルL5,L6は、後述の溶接ワイヤ16とワークWとの間に高電圧の溶接電圧Vsを供給するための電源ケーブルである。ケーブルL5は、溶接機40および後述の作業台15に接続されており、ケーブルL6は、溶接機40および後述の溶接トーチ13に接続されている。
(マニピュレータ10)
マニピュレータ10は、ロボット制御装置20、ティーチペンダント30および溶接機40による制御によってワークWにアーク溶接を行うものである。マニピュレータ10は、フロア等に固定されるベース部材11と、ベース部材11上に設けられた多関節アーム部12と、多関節アーム部12の先端に連結された溶接トーチ13と、多関節アーム部12等に固定されたワイヤ送給装置14と、作業台15とを有している。
多関節アーム部12は、例えば、複数のアーム12Aと、2つのアーム12A同士を回動可能に連結する1または複数の関節軸(図示せず)とを有している。多関節アーム部12は、さらに、例えば、アーム12Aごとに1つずつ設けられ、対応するアーム12Aを駆動する複数の駆動モータ(図示せず)と、各駆動モータに連結され、各アーム12Aの現在位置を検出するエンコーダ(図示せず)とを有している。各駆動モータは、ケーブルL1を介してロボット制御装置20から入力される制御信号によって駆動される。このようにして各駆動モータが駆動されることにより、各アーム12Aが変位し、結果的に溶接トーチ13が上下前後左右に移動する。エンコーダは、検出した各アーム12Aの現在位置(以下、「位置情報」と称する。)を、ケーブルL1を介してロボット制御装置20に出力するようになっている。
多関節アーム部12の一端(先端)が溶接トーチ13に連結されており、多関節アーム部12の他端がベース部材11に連結されている。溶接トーチ13の先端には、溶加材としての溶接ワイヤ15が露出している。溶接トーチ13は、溶接ワイヤ15の先端とワークWとの間にアークを発生させ、そのアークの熱で溶接ワイヤ15およびワークWを溶融させることにより、ワークWに対してアーク溶接を行うものである。溶接トーチ13は、ケーブルL4に電気的に接続されたコンタクトチップ(図示せず)を有している。コンタクトチップは、ケーブルL4から供給される溶接電圧Vsを溶接ワイヤ15に供給するように構成されている。
ワイヤ送給装置14は、溶接ワイヤ15を溶接トーチ13に供給するものである。ワイヤ送給装置14は、例えば、溶接ワイヤ15を保持すると共に送給可能に構成された一対のロール(図示せず)と、一方のロールを回転駆動するモータ(図示せず)とを有している。一対のロールは、溶接ワイヤ15を挟み込むと共に、上記モータによる回転駆動で発生する摩擦力で溶接ワイヤ15をワイヤリール(図示せず)から引っ張り出すように構成されている。上記モータは、例えば、エンコーダ付きサーボモータで構成されている。上記モータは、ケーブルL4を介して溶接機40から入力される制御信号によって駆動される。上記モータは、例えば、上記エンコーダからフィードバックされるパルスを、ケーブルL4を介して溶接機40に出力するように構成されている。このパルスは、溶接ワイヤ15の送給速度(ワイヤ送給速度Vf)の算出に好適に利用可能である。なお、上記モータは、上記のパルスの代わる何らかの信号を生成し、出力するようになっていてもよい。ワイヤ送給装置14は、さらに、例えば、上記モータに流れる駆動電流を計測する電流計(図示せず)を備えている。この電流計によって計測される駆動電流は、溶接ワイヤ15の送給負荷(ワイヤ送給負荷Ld)の算出に好適に利用可能である。
作業台15は、フロア等に固定されており、ワークWを設置する台座として使用される。作業台15は、ワークWに対するトーチ姿勢を最適に維持するためのポジショナであってもよい。作業台15が上述のポジショナである場合には、ロボット制御装置20によってポジショナの軸が駆動制御される。作業台15は、ケーブルL5を介して溶接機40に接続されており、作業台15に設置されるワークWとケーブルL5とを互いに電気的に接続するように構成されている。
(ロボット制御装置20)
図3は、ロボット制御装置20の概略構成の一例を表したものである。ロボット制御装置20は、ティーチペンダント30からの指示に従って多関節アーム部12および溶接機40を制御するものである。ロボット制御装置20は、さらに、溶接ワイヤ15の先端とワークWとの間にアークを発生させることにより形成される溶接ビードの品質を判定するようにもなっている。ロボット制御装置20は、制御部21と、サーボ制御部22と、通信部23と、記憶部24とを有している。以下では、記憶部24、サーボ制御部22、通信部23、制御部21の順に説明する。制御部21が、本発明の「設定部」、「判定部」の一具体例に相当する。
記憶部24は、各種プログラムや各種データファイルを記憶可能となっている。記憶部24は、多関節アーム12の動作を制御する制御プログラム22Aを記憶している。制御プログラム22Aは、例えば、ROM(read only memory)に格納されている。記憶部24は、さらに、マニピュレータ10の溶接作業の手順が教示された1または複数の作業プログラム22Bと、溶接ビードの品質を判定するアーク溶接品質判定プログラム22Cと、各種設定値が記述された設定ファイル22Dとを記憶している。1または複数の作業プログラム22B、アーク溶接品質判定プログラム22Cおよび設定ファイル22Dは、例えば、ハードディスクに格納されている。設定ファイル22Dには、例えば、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vfおよび溶接速度Vwのそれぞれの設定値が記述されている。アーク溶接品質判定プログラム22Cについては、後に詳述するものとする。1または複数の作業プログラム22Bに記載されている溶接作業の手順、および設定ファイル22Dに記述されている各種設定値が、本発明の「溶接条件」の一具体例に相当する。
記憶部24は、さらに、アーク溶接品質判定プログラム22Cが実行されることにより生成される各種データを記憶可能となっている。そのようなデータを含むファイルとしては、例えば、計測ファイル22Eおよび閾値ファイル22Fが挙げられる。計測ファイル22Eには、各種物理量の計測値が記述される。ここで、計測値は、瞬時値であってもよいが、閾値の設定し易さという観点からは、移動平均値であることが好ましい。各種物理量には、例えば、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vf、溶接速度Vwおよび短絡周波数fsが含まれる。なお、短絡周波数fsは、溶接中の1秒当たりに溶接ワイヤ15とワークWとが短絡する回数である。計測ファイル22Eには、サンプリング周波数Δfsで計測することにより得られた各種物理量の計測値が記述されている。閾値ファイル22Fには、例えば、後述の設定部215によって生成される上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)が記述される。これらのファイルは、例えば、RAM(Random Access Memory)に格納される。上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)については、後に詳述するものとする。
サーボ制御部22は、マニピュレータ10の各駆動モータを制御するものである。サーボ制御部22は、作業プログラム22Bに記載の移動命令と、マニピュレータ10のエンコーダからの位置情報とに基づいて、マニピュレータ10の各駆動モータを制御するようになっている。移動命令には、例えば、移動開始命令、移動停止命令、作業経路(教示点)、およびトーチ姿勢などが含まれ得る。また、サーボ制御部22は、マニピュレータ10のエンコーダからの位置情報に基づいて溶接トーチ13先端の位置情報Pfや溶接速度Vwを導出(計測)するようになっている。サーボ制御部22は、位置情報Pfや溶接速度Vwを制御部21に出力するようになっている。
通信部23は、ケーブルL2を介してティーチペンダント30と通信を行ったり、ケーブルL3を介して溶接機40と通信を行ったりするものである。通信部23は、ティーチペンダント30からの作業指令を受信して、制御部21に出力するようになっている。作業指令には、例えば、作業者が選択した作業プログラム22Bの番号などが含まれ得る。
通信部23は、制御部21からの溶接命令を、溶接機40に送信するようになっている。溶接命令には、例えば、アーク溶接の開始命令、アーク溶接の終了命令、溶接電流Isの設定値、溶接電圧Vsの設定値、ワイヤ送給の開始命令、ワイヤ送給の停止命令、およびワイヤ送給速度Vfの設定値などが含まれ得る。通信部23は、溶接機40からモニタ情報(例えば、各種計測値または通知情報)を受信して、記憶部22の計測ファイル22Eに格納するようになっている。通信部23は、さらに、必要に応じて、溶接機40からの通知情報を、制御部21に出力するようになっている。各種計測値には、例えば、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vfおよび短絡周波数fsのそれぞれの計測値が含まれ得る。通知情報には、例えば、アーク発生通知などが含まれ得る。
制御部21は、ティーチペンダント30から入力された作業指令に基づいて、作業プログラム22Bやアーク溶接品質判定プログラム22Cを読み出し、その内容を解析する解析部211を有している(図2参照)。解析部211は、解析部211での解析結果に基づいて、これらのプログラムに記載の指示に対応する命令通知を生成するようになっている。制御部21は、解析部211で生成された命令通知の内容に応じて、移動命令や溶接命令を出力する実行部212を有している(図2参照)。
制御部21は、実行部212で生成された溶接命令を、通信部23を介して溶接機40に出力する溶接制御部213を有している(図2参照)。溶接制御部213は、例えば、実行部212で溶接命令が生成されると、溶接トーチ13先端の軌道記録を開始する通知(軌道記録開始通知)を生成するようになっている。また、溶接制御部213は、例えば、溶接トーチ13先端の移動距離Δdist(=溶接距離Wp)に応じて、溶接トーチ13先端の軌道記録を終了する通知(軌道記録終了通知)を生成するようになっている。移動距離Δdistは、後述の軌道記録部214(図2参照)によって導出される。
制御部21は、溶接制御部213からの軌道記録開始通知に従って、溶接トーチ13先端の軌道記録を開始する軌道記録部214を有している(図2参照)。軌道記録部214は、溶接区間WSにおける溶接トーチ13先端の位置情報Pfを、単位時間ΔTごとに記録するとともに、溶接トーチ13先端の移動距離Δdistを単位時間ΔTごとに算出し、記録するようになっている。移動距離Δdistは、例えば、最新の位置情報Pfと、単位時間ΔT前の位置情報Pfとの差分を取ることにより得られる。なお、軌道記録部214は、溶接速度Vw×アーク時間Atにより、移動距離Δdist(=溶接距離Wp)を導出するようになっていてもよい。アーク時間Atは、アーク発生通知を受け取ってからの時間に相当する。
ここで、溶接区間WS、単位時間ΔTおよび軌道mについて説明する。図4Aは、溶接ロボットシステム1を用いたアーク溶接の様子の一例を表したものである。図4Bは、溶接区間WSを複数(M個)の軌道m(1≦m≦M)に区分けしたときの、各軌道mと単位時間ΔTとの関係の一例を表したものである。図4Aには、ワークWとして、2枚の母材110が互いに直交するように、2枚の母材110の端部同士が互いに接触しているものが示されている。図4Aでは、いわゆるすみ肉溶接の様子が例示されている。なお、溶接ロボットシステム1は、用途がすみ肉溶接に限定されるものではなく、他の方式の溶接に用いることが可能である。
溶接区間WSとは、アーク溶接開始からアーク溶接終了までの溶接線の区間を示したものである。溶接ビード120は、溶接区間WSの全体または一部に形成される。溶接区間WSはM個の軌道mに分割されており、溶接トーチ13の先端が各軌道mを移動するのに要する時間が単位時間ΔTとなっている。軌道記録部214は、溶接制御部213からN回目の軌道記録終了通知を受け取ると、設定開始指令Osを出力するようになっている。なお、図4B中のサンプリング周期Δtは、サンプリング周波数Δfsの逆数である。
制御部21は、設定開始指令Osに従って設定を行う設定部215を有している(図2参照)。設定部215が、本発明の「設定部」の一具体例に相当する。設定部215は、設定開始指令Osを受けると、特定の物理量の複数の(N個の)計測値P1〜PNを、母集団として記憶部24の計測ファイル22Eから取得するようになっている。特定の物理量は、例えば、ユーザによってあらかじめ設定された物理量であり、例えば、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vf、溶接速度Vwおよび短絡周波数fsのうちの少なくとも1つである。
制御部21は、取得した各計測値P1〜PNに含まれる、溶接開始位置または溶接開始時に最も近い計測値Px(i)(開始時計測値)を検出してもよい。この場合、制御部21は、計測値P1〜PNごとに検出された開始時計測値の時刻を起点として、サンプリング周期Δtで規定される時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)を設定するようになっていてもよい。制御部21は、例えば、記憶部24の計測ファイル22Eに格納された溶接開始位置または溶接開始時刻に基づいて、取得した各計測値P1〜PNに含まれる、溶接開始位置または溶接開始時に最も近い計測値Px(i)(開始時計測値)を検出してもよい。制御部21は、例えば、取得した各計測値P1〜PNの時間変化の特徴に基づいて、取得した各計測値P1〜PNに含まれる、溶接開始位置または溶接開始時に最も近い計測値Px(i)(開始時計測値)を検出してもよい。
設定部215は、記憶部24の計測ファイル22Eから取得した特定の物理量のN個の計測値P1〜PN(1≦i≦N)を母集団としたときに、その母集団において、サンプリング周期Δtで規定される時刻tx(1≦x≦X)ごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最大値Pmax(x)に基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定するようになっている。設定部215は、例えば、図5に示したように、式(1)を用いてPupper(x)を設定するようになっている。式(1)において、Pupper(x)は、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最大値Pmax(x)に定数K(K≧0)を加えた値で表される。
なお、設定部215は、例えば、以下の式を用いてPupper(x)を設定するようになっていてもよい。以下の式において、Pupper(x)は、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最大値Pmax(x)に、定数Kと、各時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の平均値μxを表す関数における、平均値μxの微分Δμxの絶対値(|Δμx|)のL倍とを加えた値で表される。
upper(x)=Pmax(x)+K+L|Δμx|
Δμx=(μx−μx−1)/(tx−tx−1)
設定部215は、さらに、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最小値Pmin(x)に基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定するようになっている。設定部215は、例えば、図5に示したように、式(2)を用いてPlower(x)を設定するようになっている。式(2)において、Plower(x)は、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最小値Pmin(x)から定数K(K≧0)を引いた値で表される。
なお、設定部215は、例えば、以下の式を用いてPlower(x)を設定するようになっていてもよい。以下の式において、Plower(x)は、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最小値Pmin(x)に、定数Kと、L|Δμx|とを引いた値で表される。
lower(x)=Pmin(x)−K−L|Δμx|
設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定するようになっていてもよい。設定部215は、例えば、図6に示したように、式(3)を用いて上限値Pupper(x)を設定するようになっていてもよい。具体的には、設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の平均値μxに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の標準偏差σxのK倍(K≧1)を加えた値を、時刻txにおける上限値Pupper(x)に設定するようになっていてもよい。
設定部215は、さらに、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定するようになっていてもよい。設定部215は、例えば、図6に示したように、式(4)を用いて下限値Plower(x)を設定するようになっていてもよい。具体的には、設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の平均値μxから、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の標準偏差σxのK倍(K≧1)を引いた値を、時刻txにおける下限値Plower(x)に設定するようになっていてもよい。
設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の最大値Pmax(x)に基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定するようになっていてもよい。このとき、設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txおよびその前後の時刻tx−1,tx+1を含む3つ以上の時刻におけるNY個(Y≧3)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の最大値Pmax(x)に基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定するようになっていてもよい。設定部215は、例えば、図7に示したように、式(5)を用いてPupper(x)を設定するようになっていてもよい。式(5)において、Pupper(x)は、時刻tx−1,tx,tx+1における3N個の計測値Pz(1)〜Pz(3N)の最大値Pmax(x)に定数K(K≧0)を加えた値で表される。3N個の計測値Pz(1)〜Pz(3N)は、N個の計測値Px-1(1)〜Px-1(N)、N個の計測値Px(1)〜Px(N)およびN個の計測値Px+1(1)〜Px+1(N)である。
設定部215は、さらに、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の最小値Pmin(x)に基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定するようになっていてもよい。このとき、設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txおよびその前後の時刻tx−1,tx+1を含む3つ以上の時刻におけるNY個(Y≧3)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の最小値Pmin(x)に基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定するようになっていてもよい。設定部215は、例えば、図7に示したように、式(6)を用いてPlower(x)を設定するようになっていてもよい。式(6)において、Plower(x)は、時刻tx−1,tx,tx+1における3N個の計測値Pz(1)〜Pz(3N)の最小値Pmin(x)から定数K(K≧0)を引いた値で表される。
設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定するようになっていてもよい。このとき、設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txおよびその前後の時刻tx−1,tx+1を含む3つ以上の時刻におけるNY個(Y≧3)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の最大値Pmax(x)に基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定するようになっていてもよい。設定部215は、例えば、図8に示したように、式(7)を用いて上限値Pupper(x)を設定するようになっていてもよい。式(7)において、Pupper(x)は、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の平均値μxに、時刻tx−1,tx,tx+1における3N個の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の標準偏差σxのK倍(K≧1)を加えた値で表される。
設定部215は、さらに、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定するようになっていてもよい。このとき、設定部215は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txおよびその前後の時刻tx−1,tx+1を含む3つ以上の時刻におけるNY個(Y≧3)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定するようになっていてもよい。設定部215は、例えば、図8に示したように、式(8)を用いて下限値Plower(x)を設定するようになっていてもよい。式(8)において、Plower(x)は、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の平均値μxから、時刻tx−1,tx,tx+1における3N個の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の標準偏差σxのK倍(K≧1)を引いた値で表される。
設定部215は、上記のようにして導出した上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)を記憶部24の閾値ファイル22Fに格納するようになっている。その後、設定部215は、設定開始指令Osに従った閾値解析の実行を終了するようになっている。
(ティーチペンダント30)
図9は、ティーチペンダント30の概略構成の一例を表したものである。ティーチペンダント30は、作業者がマニピュレータ10の動作を教示するものである。ティーチペンダント30は、例えば、制御部31、表示部32、入力部33、通信部34および記憶部35を有している。
表示部32は、映像信号に基づく映像を表示するものである。表示部32は、映像を表示する表示面を有する表示パネルと、映像信号に基づいて表示パネルを駆動する駆動部とを有している。入力部33は、作業者からの教示を受け付けるものである。入力部33は、例えば、複数のキーを有しており、各キーの操作に応じて入力信号を生成し、制御部31に出力するようになっている。通信部34は、ケーブルL2を介してロボット制御装置20と通信を行うものである。通信部34は、制御部31からの作業指令を、ロボット制御装置20に送信するようになっている。記憶部35は、各種のモードで種々の表示や作業指示を可能にする教示プログラム35Aを記憶する。教示プログラム35Aは、例えば、ROMに格納されている。
制御部31は、映像信号を生成し、表示部32に出力すると共に、必要に応じて作業指令を生成し、通信部34に出力するものである。制御部31は、読み出した教示プログラム35Aに従って映像信号を生成したり、必要に応じて作業指令を生成したりするようになっている。例えば、入力部33から入力された入力信号が、加工作業を実施する再生モードの選択信号であった場合、制御部31は、教示プログラム35Aに従って、記憶部24に格納されている1または複数の作業プログラム22Bのリストを表示するための映像信号を生成するようになっている。さらに、例えば、再生モードが選択されている場合に、再生する1つの作業プログラム22Bが選択されたときには、制御部31は、教示プログラム35Aに従って、再生する作業プログラム22Bの番号等を含む作業指令を生成するようになっている。さらに、例えば、再生モードが選択されている場合に、学習モードもしくは異常判定モードが選択された場合には、制御部31は、教示プログラム35Aに従って、学習モードもしくは異常判定モードの起動指令を含む作業指令を生成するようになっている。
(溶接機40)
図10は、溶接機40の概略構成の一例を表したものである。溶接機40は、ロボット制御装置20による制御に基づいて、溶接電流Is、溶接電圧Vsおよびワイヤ送給速度Vf等を緻密に制御することにより、溶接ワイヤ15の先端とワークWとの間にアークを発生させるものである。溶接機40は、制御部41、通信部42、溶接制御部43、溶接電源44、電流・電圧計測部45および記憶部46を有している。
記憶部46は、溶接制御部43および溶接電源44の動作を制御する制御プログラム46Aを記憶している。制御プログラム46Aは、例えば、ROMに格納されている。制御部41は、溶接機40の各部を制御すると共に、読み出した制御プログラム46Aに従って、溶接制御部43および溶接電源44の動作を制御するものである。制御部41は、電流・電圧計測部45から取得したモニタ情報(例えば、各種計測値、または、アーク発生通知などの通知情報)を、通信部42に出力するようになっている。通信部42は、ロボット制御装置20からの溶接指令を受信し、制御部41に出力するようになっている。通信部42は、制御部41からのモニタ情報(例えば、各種計測値または通知情報)をロボット制御装置20に出力するようになっている。
溶接制御部43は、制御プログラム46Aと、ロボット制御装置20からの溶接命令とに基づく制御部41からの指示に従って、ワイヤ送給装置14の動作を制御するものである。ロボット制御装置20からの溶接命令には、例えば、ワイヤ送給の開始命令、ワイヤ送給の停止命令、およびワイヤ送給速度Vfの設定値などが含まれ得る。また、溶接制御部43は、ワイヤ送給装置14のモータから出力されたパルス(または、上記のパルスの代わる何らかの信号)に基づいて、ワイヤ送給速度Vfを計測するようになっている。溶接制御部43は、ワイヤ送給装置14の電流計から出力された駆動電流の計測値に基づいて、ワイヤ送給負荷Ldを計測するようになっている。溶接制御部43は、ワイヤ送給速度Vfおよびワイヤ送給負荷Ldの計測値を制御部41に出力するようになっている。
溶接電源44は、例えば、デジタルインバータ回路を有しており、外部から入力される商用電源(例えば3相200V)をインバータ制御回路によって高速応答で精密な溶接電流波形制御を行うようになっている。すなわち、溶接電源44は、ケーブルL5,L6を介して溶接トーチ13とワークWとの間に高電圧の溶接電圧Vsを供給するようになっている。溶接電源44は、制御プログラム46Aと、ロボット制御装置20からの溶接命令に従って、溶接電流Isおよび溶接電圧Vsを制御するものである。ロボット制御装置20からの溶接命令には、例えば、アーク溶接の開始命令、アーク溶接の終了命令、溶接電流Isの設定値、溶接電圧Vsの設定値などが含まれ得る。
電流・電圧計測部45は、溶接トーチ13とワークWとの間に流れる溶接電流Isや、溶接トーチ13とワークWとの間の溶接電圧Vsを計測するものである。電流・電圧計測部45は、制御プログラム46Aと、ロボット制御装置20からの溶接命令に従って、サンプリング周波数Δfsで、溶接電流Is、溶接電圧Vsおよび短絡周波数fsを計測し、溶接電流Is、溶接電圧Vsおよび短絡周波数fsのそれぞれの計測値(各種計測値)を制御部41に出力するようになっている。電流・電圧計測部45は、必要に応じて、溶接中の1秒当たりのパルス数(パルス周波数fp)を計測し、制御部41に出力するようになっている。電流・電圧計測部45は、さらに、溶接電流Isおよび溶接電圧Vsの計測値から、アーク発生の有無を判定するようになっている。電流・電圧計測部45は、アークが発生した場合には、アーク発生通知を生成し、制御部41に出力するようになっている。
[学習モードにおける動作手順]
次に、学習モードにおける動作手順について説明する。以下では、施行履歴蓄積について説明を行った後に、閾値生成について説明を行う。
(施行履歴蓄積)
まずは、学習モードにおける施行履歴蓄積について説明する。ティーチペンダント30において、ユーザが、例えば、再生モードを選択し、さらに、学習モードを選択する。すると、ティーチペンダント30の制御部31は、教示プログラム35Aに従って、学習モードの起動指令を含む作業指令を生成し、ロボット制御装置20に出力する。ロボット制御装置20の制御部21は、ティーチペンダント30から、学習モードの起動指令を含む作業指令が入力されると、作業プログラム22Bおよびアーク溶接品質判定プログラム22Cを読み出す。制御部21は、作業プログラム22Bおよびアーク溶接品質判定プログラム22Cから読み出した内容と、記憶部24の設定ファイル22Dから読み出した各種設定値とに基づいて、これらのプログラムに記載の指示に対応する命令通知を生成する。制御部21は、生成した命令通知の内容に応じて、移動命令や溶接命令を出力する。
制御部21は、生成した溶接命令を、通信部23を介して溶接機40に出力する。溶接命令には、例えば、溶接開始指令や、溶接電流Is、溶接電圧Vsおよびワイヤ送給速度Vfの設定値が含まれている。溶接機40の制御部41は、ロボット制御装置20から溶接命令が入力されると、制御プログラム46Aを読み出し、溶接命令に応じて、溶接電流Isおよび溶接電圧Vsを設定すると共に、ワイヤ送給装置14に対してワイヤ送給速度Vfを設定することにより、アーク溶接を開始する。このとき、電流・電圧計測部45は、各種物理量をサンプリングしており、サンプリングにより得られた各種物理量の計測値を、制御部41に出力する。また、電流・電圧計測部45では、アーク発生を検知した時には、アーク発生通知を制御部41に出力する。制御部41は、電流・電圧計測部45から取得したモニタ情報(例えば、各種計測値、または、アーク発生通知などの通知情報)を、通信部42を介して、ロボット制御装置20に出力する。制御部41は、例えば、予め設定された時間間隔(例えば、最小10ms程度)になると、その間の各種計測値の移動平均値を算出し、通信部42を介して、ロボット制御装置20に出力する。
制御部21は、さらに、生成した移動命令を、通信部23を介してマニピュレータ10に出力する。マニピュレータ10は、ロボット制御装置20から移動命令が入力されると、入力された移動命令に応じて、各アーム12Aを変位させ、結果的に溶接トーチ13を上下前後左右に移動させる。このとき、制御部21は、エンコーダから位置情報を取得する。
制御部21は、溶接機40から取得した各種計測値を記憶部24の計測ファイル22Eに格納する。このとき、制御部21は、溶接機40から取得した溶接開始指令に基づいて、溶接開始位置または溶接開始時刻を導出し、記憶部24の計測ファイル22Eに格納してもよい。制御部21は、エンコーダから取得した位置情報Pfに基づいて、溶接速度Vwを導出し、記憶部24の計測ファイル22Eに格納する。制御部21は、エンコーダから取得した位置情報Pfに基づいて、溶接区間WSの終了を判定し、溶接区間WSが終了した場合には、溶接区間WSを識別する番号を記憶部24の計測ファイル22Eに格納する。
(閾値生成)
次に、学習モードにおける閾値生成について説明する。制御部21は、溶接区間WSの終了回数が所定の回数(N回)に達したことを検知した場合には、特定の物理量の複数の(N個の)計測値P1〜PNを、母集団として記憶部24の計測ファイル22Eから取得する。制御部21は、記憶部24の計測ファイル22Eから取得した特定の物理量のN個の計測値P1〜PN(1≦i≦N)を母集団としたときに、その母集団において、時刻tx(1≦x≦X)ごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最大値Pmax(x)に基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定する。制御部21は、さらに、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最小値Pmin(x)に基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定する。制御部21は、例えば、上述した具体的な方法によって、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)を設定する。
なお、制御部21は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定してもよい。制御部21は、さらに、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定してもよい。このとき、制御部21は、例えば、上述した具体的な方法によって、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)を設定してもよい。
また、制御部21は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の最大値Pmax(x)に基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定してもよい。制御部21は、さらに、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の最小値Pmin(x)に基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定してもよい。このとき、制御部21は、例えば、上述した具体的な方法によって、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)を設定してもよい。
また、制御部21は、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)を設定してもよい。制御部21は、さらに、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける下限値Plower(x)を設定してもよい。このとき、制御部21は、例えば、上述した具体的な方法によって、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)を設定してもよい。
制御部21は、上記のようにして導出した上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)を記憶部24の閾値ファイル22Fに格納する。このようにして、学習モードが実行される。
[異常判定モードにおける構成]
次に、異常判定モードにおける構成について説明する。
図11は、溶接ロボットシステム1の、異常判定モードにおける機能ブロックの一例を表したものである。溶接ロボットシステム1は、異常判定モードにおいては、学習モードにおける設定部215の代わりに、判定部216を備えている。判定部216が、本発明の「判定部」の一具体例に相当する。そこで、以下では、学習モードと異なる内容について主に説明するものとし、学習モードと共通する内容については、適宜省略するものとする。
軌道記録部214は、異常判定モードにおいて、溶接制御部213から軌道記録終了通知を受け取ると、判定開始指令Ohを出力するようになっている。制御部21は、判定開始指令Ohに従って異常判定を行う判定部216を有している(図11参照)。判定部216が、本発明の「判定部」の一具体例に相当する。判定部216は、判定開始指令Ohを受けると、学習モードにおける溶接条件設定と同一の溶接条件設定下で溶接時に得られた計測値PN+1が上限値Pupper(x)と下限値Plower(x)との範囲にあるときは溶接不良無しと判定し、計測値PN+1が上記範囲外にあるときは溶接不良ありと判定するようになっている。
判定部216は、計測値PN+1に含まれる所定の数の計測値Px(N+1)が上記範囲外にあるときに、溶接不良ありと判定するようになっていてもよい。つまり、判定部216は、計測値Px(N+1)が上記範囲外にあると判定した回数が所定の数を超えたときに、溶接不良ありと判定するようになっていてもよい。
判定部216は、計測値Px(N+1)が上記範囲外にあると判定した時から所定の時間(閾値逸脱許容時間)を経過した後においても、計測値Px(N+1)が上記範囲外にあるときに、溶接不良ありと判定するようになっていてもよい。ここで、判定部216は、あらかじめ設定した距離と、溶接速度Vwとから、閾値逸脱許容時間を導出するようになっていてもよい。
判定部216は、溶接不良ありと判定した場合に、溶接を直ちに停止するようにロボット制御装置20に指示してもよい。また、判定部216は、溶接不良ありと判定した場合に、溶接不良があった旨を通知するようにロボット制御装置20に指示してもよい。
図12は、ティーチペンダント30の表示面におけるグラフィック表示の一例を表したものである。表示部32は、監視情報を表示するための映像信号に基づいて、計測値PN+1と溶接距離Wpとの関係を、例えば、図12に示したように、上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)とともにグラフィック表示するようになっている。図12から、アーク溶接開始時における、上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)の範囲が、アーク安定時における、上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)の範囲よりも若干、広くなっていることがわかる。
[品質判定]
次に、図11を参照して、溶接ロボットシステム1におけるアーク溶接品質判定手順について説明する。
まず、ロボット制御装置20(制御部21)が、溶接機40に対して、溶接命令を出力する。すると、溶接機40は、制御部21からの指示に従って、溶接を開始するとともに、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vfおよび短絡周波数fsのサンプリングを行い、これらの計測値を制御部21に出力する。制御部21は、溶接機40からの、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vfおよび短絡周波数fsの計測値を取得する。
制御部21は、また、サーボ制御部22に対して、移動命令をする。すると、サーボ制御部22は、制御部21からの指示に従って、マニピュレータ10の動作を制御するとともに、マニピュレータ10のエンコーダからの位置情報をサンプリングし、サンプリングにより得られた位置情報から、溶接トーチ13先端の位置情報Pfや溶接速度Vwを導出(計測)する。サーボ制御部22は、導出した位置情報Pfや溶接速度Vwを制御部21に出力する。制御部21は、サーボ制御部22からの、位置情報Pfや溶接速度Vwの計測値を取得する。
次に、制御部21は、計測開始時(または再計算開始時)から現在までの経過期間が、移動平均値の算出に必要な期間(算出期間)を超えているか否か判定する。算出期間は、例えば、少なくとも10μs程度である。制御部21は、経過期間が算出期間を超えている場合には、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vf、短絡周波数fsおよび溶接速度Vwの移動平均値を算出する。
次に、制御部21は、算出した移動平均値が、上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)の範囲にあるか否か判定する。制御部21は、算出した移動平均値が上記範囲内にある場合には、溶接不良無しと判定る。制御部21は、算出した移動平均値が上記範囲外にある場合には、溶接不良ありと判定し、品質判定を終了する。
なお、制御部21は、溶接不良ありと判定した場合に、品質判定を終了せずに(つまり、溶接作業を止めずに)、溶接作業を最後まで遂行させつつ、品質判定を継続してもよい。また、制御部21は、算出した移動平均値が上記範囲にあるか否かの判定を、溶接が開始された時刻から始めてもよいし、溶接が終了してから始めてもよい。
[効果]
次に、溶接ロボットシステム1におけるアーク溶接品質判定システムの効果について説明する。
従来から、溶接不良そのものを低減する技術や、溶接不良をより正確に検出する技術が開発されている。溶接不良をより正確に検出する技術として、例えば、特許文献1が提案されている。特許文献1では、アーク溶接中の実際の溶接電流もしくは溶接電圧の移動平均値が、あらかじめ設定された範囲を逸脱した場合に、溶接不良が発生したと判定する技術が提案されている。しかし、特許文献1に記載の発明では、閾値が定常時の溶接条件(溶接電流、溶接電圧等)を基準とした一定の値となっているために、定常時ではない状態(例えば溶接開始時や溶接終了時、あるいは溶接条件を意図的に変更したとき等)では、溶接不良の判定をすることができないという問題があった。
一方、本実施の形態では、過去の複数の計測値P1〜PNを含む母集団から得られた統計的な値に基づいて、溶接不良の判定に用いられる閾値(上限値Pupper(x)および下限値Plower(x))が設定される。これにより、溶接不良の判定に用いられる閾値(上限値Pupper(x)および下限値Plower(x))が、過去に行われた安定した溶接結果の蓄積から求められた値となる。その結果、定常時以外の溶接状態であっても、過去の同様の溶接状態の元で得られた閾値が用いられることになるので、溶接不良の判定をすることができる。
本実施の形態において、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の最大値Pmax(x)および最小値Pmin(x)に基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)が設定されている場合には、定常時以外の溶接状態であっても、少ない計算量で溶接不良の判定をすることができる。また、本実施の形態において、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の最大値Pmax(x)および最小値Pmin(x)に基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)が設定されている場合には、定常時以外の溶接状態であっても、少ない計算量で比較的精度良く溶接不良の判定をすることができる。
本実施の形態において、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおけるN個の計測値Px(1)〜Px(N)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)が設定されている場合には、定常時以外の溶接状態であっても、精度良く溶接不良の判定をすることができる。また、本実施の形態において、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txを含む複数の時刻におけるNY個(Y≧2)の計測値Pz(1)〜Pz(NY)の標準偏差σxに基づいて、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)が設定されている場合には、定常時以外の溶接状態であっても、より精度良く溶接不良の判定をすることができる。
本実施の形態において、上記母集団において、時刻txごとに、時刻txにおける平均値μxに、時刻txまたは時刻txを含む複数の時刻における標準偏差σxのK倍(K≧1)を加えた値が上限値Pupper(x)に設定されるとともに、時刻txにおける平均値μxから、時刻txまたは時刻txを含む複数の時刻における標準偏差σxのK倍(K≧1)を引いた値が、時刻txにおける下限値Plower(x)に設定されている場合には、定常時以外の溶接状態であっても、精度よく溶接不良の判定をすることができる。
本実施の形態において、取得した各計測値P1〜PNに含まれる、溶接開始位置または溶接開始時に最も近い計測値Px(i)(開始時計測値)が検出され、計測値P1〜PNごとに検出された開始時計測値の時刻を起点として、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)が設定されている場合には、溶接開始時刻のばらつきに起因する誤判定を低減することができる。
本実施の形態では、溶接不良の判定に用いる計測値として、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vf、溶接速度Vw、または短絡周波数fsが用いられているので、定常時以外の溶接状態であっても、溶接不良の判定をすることができる。また、本実施の形態では、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vf、溶接速度Vw、または短絡周波数fsを計測する計測部が設けられており、その計測部によって計測された値が、溶接不良の判定に用いられているので、定常時以外の溶接状態であっても、溶接不良の判定をすることができる。
本実施の形態では、計測値Px(i)と溶接距離Wpとの関係が、上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)とともに表示部32にグラフィック表示されるので、定常時以外の溶接状態であっても、ユーザが直観的に溶接不良の判定結果を確認することができる。
<2.変形例>
以下に、上記実施の形態の溶接ロボットシステム1の変形例について説明する。なお、以下では、上記実施の形態と共通の構成要素に対しては、上記実施の形態で付されていた符号と同一の符号が付される。また、上記実施の形態と異なる構成要素の説明を主に行い、上記実施の形態と共通の構成要素の説明については、適宜、省略するものとする。
[変形例A]
上記実施の形態では、サンプリング周期Δtで規定される時刻tx(1≦x≦X)ごとに、上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)が設定されていた。しかし、上記実施の形態において、サンプリング周期Δtとは異なる周期で規定される時刻tx(1≦x≦X)ごとに、上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)が設定されてもよい。
[変形例B]
上記実施の形態では、設定ファイル22Dには、例えば、溶接電流Is、溶接電圧Vs、ワイヤ送給速度Vfおよび溶接速度Vwのそれぞれの設定値が記述されていた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、設定ファイル22Dに、さらに、上述のワイヤ送給負荷Ldおよびパルス周波数fpのそれぞれの設定値が記述されていてもよい。このとき、計測ファイル22Eには、ワイヤ送給負荷Ldおよびパルス周波数fpの計測値が記述される。ワイヤ送給負荷Ldは、ワイヤ送給装置14のモータ電流から算出される物理量である。パルス周波数fpは、パルス溶接法による溶接中の1秒当たりのパルス数である。本変形例Bでは、溶接不良の判定に用いる計測値として、ワイヤ送給負荷Ldまたはパルス周波数fpが用いられるので、定常時以外の溶接状態であっても、溶接不良の判定をすることができる。また、本変形例Bでは、ワイヤ送給負荷Ldまたはパルス周波数fpを計測する計測部が設けられており、その計測部によって計測された値が、溶接不良の判定に用いられるので、定常時以外の溶接状態であっても、溶接不良の判定をすることができる。
[変形例C]
上記実施の形態では、閾値ファイル22Fがロボット制御装置20の記憶部24内に格納されていた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、閾値ファイル22Fが、例えば、ロボット制御装置20とネットワークで接続された別のハードディスク等の記憶部内に格納されていてもよい。ただし、この場合には、ロボット制御装置20は、ネットワークで接続された別のハードディスク等の記憶部内に閾値ファイル22Fを格納したり、ネットワークで接続された別のハードディスク等の記憶部内から閾値ファイル22Fを読み出したりするようになっている。
[変形例D]
上記実施の形態では、制御部21は、溶接区間WSの終了回数が所定の回数(N回)に達したことを検知すると、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)を生成していた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、溶接区間WSの終了回数が所定の回数(N回)に達したときに、ユーザが、ロボット制御装置20(制御部21)に対して、時刻txにおける上限値Pupper(x)および下限値Plower(x)の生成を指示してもよい。
1…溶接ロボットシステム、10…マニピュレータ、11…ベース部材、12…多関節アーム部、12A…アーム、13…溶接トーチ、14…溶接ワイヤ、15…作業台、20…ロボット制御装置、21…制御部、22…サーボ制御部、22A…制御プログラム、22B…作業プログラム、22C…アーク溶接品質判定プログラム、22D…設定ファイル、22E…計測ファイル、22F…閾値ファイル、23…通信部、30…ティーチペンダント、31…制御部、32…表示部、33…入力部、34…通信部、35…記憶部、35A…教示プログラム、40…溶接機、41…制御部、42…通信部、43…溶接制御部、44…溶接電源、45…電流・電圧計測部、46…記憶部、46A…制御プログラム、110…母材、120…溶接ビード、211…解析部、212…実行部、213…溶接制御部、214…軌道記録部、215…設定部、216…判定部、At…アーク時間、fp…パルス周波数、Is…溶接電流、L1〜L6…ケーブル、Ld…ワイヤ送給負荷、Os…設定開始指令、Oh…判定開始指令、Pupper(x)…上限値、Plower(x)…下限値、Pmax(x)…最大値、Pmin(x)…最小値、P1,Pi,PN,Px(i−1),Px(i),Px(i+1)…計測値、Sn…短絡回数、tx−1,tx,tx+1…時刻、Vf…ワイヤ送給速度、Vs…溶接電圧、WS…溶接区間、W…ワーク、Δf…サンプリング周波数、Δt…サンプリング周期、ΔT…単位時間。

Claims (6)

  1. 共通の溶接条件設定下で溶接が繰り返し行われたときに得られた複数の第1の計測値を母集団としたときに、前記母集団において、第1の時刻ごとに、前記第1の時刻または前記第1の時刻を含む複数の時刻における最大値に基づいて前記第1の時刻における上限値を設定し、前記第1の時刻または前記第1の時刻を含む複数の時刻における最小値に基づいて前記第1の時刻における下限値を設定する設定部と、
    前記溶接条件設定下で溶接時に得られた第2の計測値が前記上限値と前記下限値との範囲にあるときは溶接不良無しと判定し、前記第2の計測値が前記範囲外にあるときは溶接不良ありと判定する判定部と
    を備えた
    アーク溶接品質判定システム。
  2. 共通の溶接条件設定下で溶接が繰り返し行われたときに得られた複数の第1の計測値を母集団としたときに、前記母集団において、第1の時刻ごとに、前記第1の時刻または前記第1の時刻を含む複数の時刻における標準偏差に基づいて前記第1の時刻における上限値および下限値を設定する設定部と、
    前記溶接条件設定下で溶接時に得られた第2の計測値が前記上限値と前記下限値との範囲にあるときは溶接不良無しと判定し、前記第2の計測値が前記範囲外にあるときは溶接不良ありと判定する判定部と
    を備えた
    アーク溶接品質判定システム。
  3. 前記設定部は、前記母集団において、前記第1の時刻ごとに、前記第1の時刻における平均値に、前記第1の時刻または前記第1の時刻を含む複数の時刻における標準偏差の正の整数倍を加えた値を、前記第1の時刻における上限値に設定し、
    前記設定部は、前記母集団において、前記第1の時刻ごとに、前記第1の時刻における平均値から、前記第1の時刻または前記第1の時刻を含む複数の時刻における標準偏差の正の整数倍を引いた値を、前記第1の時刻における下限値に設定する
    請求項2に記載のアーク溶接品質判定システム。
  4. 複数の前記計測値は、溶接電流、溶接電圧、ワイヤ送給速度、溶接速度、ワイヤ送給負荷、短絡周波数、または、パルス周波数である
    請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のアーク溶接品質判定システム。
  5. 前記溶接電流、前記溶接電圧、前記ワイヤ送給速度、前記溶接速度、前記ワイヤ送給負荷、前記短絡周波数、または、前記パルス周波数を計測する計測部をさらに備えた
    請求項に記載のアーク溶接品質判定システム。
  6. 前記第2の計測値と溶接距離との関係を、前記上限値および前記下限値とともにグラフィック表示する表示部をさらに備えた
    請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のアーク溶接品質判定システム。
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